JP3769376B2 - 孔版印刷機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔版印刷機と孔版印刷機の版胴ユニット引抜方法に係り、特に、版胴ユニットを挿入・引抜可能に備えていて、該版胴ユニットの挿入・引抜によって電気コネクタを同時に接続・離間させるように構成されたものにおいて、版胴ユニットの引抜動作時、まず、電気コネクタを離間させて、次いで、版胴ユニットに引抜動作を行わせるようにし、それによって、誤動作の発生を防止するようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
孔版印刷機において、版胴ユニットの着脱と電気コネクタの着脱に関する構成を開示したものとして、例えば、特公昭62−28757号公報、特開平9−26034号公報に記載されたものがある。
この内、特公昭62−28757号公報に開示されているものは、孔版印刷機本体と版胴ユニットに一対の電気コネクタの各片を取り付けておき、版胴ユニットを孔版印刷機本体に着脱する際に、電気コネクタも着脱されるように構成したものである。
又、特開平9−26034号公報に開示されているものは、版胴ユニットを孔版印刷機本体に固定する固定手段があり、この固定手段を解除することにより、電気コネクタの離間がなされるように構成されている。
そして、上記特公昭62−28757号公報、特開平9−26034号公報に記載されたものは、何れも版胴ユニットの着脱と電気コネクタの着脱を同時に行うようにしていて、それによって、作業を簡易化するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
すなわち、特公昭62−28757号公報、特開平9−26034号公報に記載されたものにおいては、確かに、版胴ユニットを着脱することにより、同時に電気コネクタの着脱をも行うことができるので、別途、電気コネクタの着脱作業を行う必要がない分、作業の省力化を図ることができる。しかしながら、いずれの場合も、版胴ユニットの着脱のタイミングと電気コネクタの接続・離間のタイミングとの関係で誤動作が発生してしまうという問題があった。
具体的に説明すると、版胴ユニットを孔版印刷機本体から離脱させるべく引き抜こうとした場合、該引抜動作の初期時においては、未だ電気コネクタは接続された状態にある。つまり、版胴ユニットが引き抜かれようとして移動している時に、電気コネクタは未だ接続された状態にある。その為、例えば、版胴ユニットが移動することにより、内装するインクの液面が変動してしまって、インクが有るにもかかわらずインクセンサが液面低下を検出して、インク供給信号が出力されてしまうことがある。その場合には、仮に、その後、インク供給信号が停止されても、インク供給圧力はすぐには低下しないので、そのままインクの供給動作が実行されてしまうことになる。これは明らかに誤動作であり、それによって、過剰なインクが供給されて、次の印刷時に印刷の品質が低下してしまったり、過剰なインクが外部に漏れてしまうことが懸念される。
このように、版胴ユニットの着脱のタイミングと電気コネクタの接続・離間のタイミングとの関係で、各種の誤動作が発生してしまうことが予想され、その改善が要求されていた。
【0004】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、版胴ユニットの孔版印刷機本体に対する着脱動作によって電気コネクタを接続・離間させるタイプの孔版印刷機において、版胴ユニットの孔版印刷機本体に対する着脱のタイミングと電気コネクタの接続・離間のタイミングを工夫することにより、両者のタイミングのずれに起因した誤動作の発生を防止することが可能な孔版印刷機と孔版印刷機の版胴ユニット引抜方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1による孔版印刷機は、孔版印刷機本体と、上記孔版印刷機本体に対して出入可能に取り付けられ任意の電装部品を備えた版胴ユニットと、上記孔版印刷機本体及び版胴ユニットに夫々取り付けられ上記孔版印刷機本体と上記電装部品とを電気的に接続する一対の電気コネクタと、を具備してなる孔版印刷機において、上記孔版印刷機本体と上記版胴ユニットとの間に設けられ第1弾性部材による付勢力を利用した係合構造によって上記版胴ユニットを孔版印刷機本体の所定の印刷位置に保持する保持手段と、上記版胴ユニットに移動可能に設けられ上記一対の電気コネクタの一方を備えていて第2弾性部材によって一対の電気コネクタを接続させる方向に付勢されていて上記第2弾性部材の付勢力に抗して移動することにより上記一対の電気コネクタを離間させる電気コネクタ接続・離間手段と、上記版胴ユニットに上記第2弾性部材によって一方向に付勢された状態で移動可能に設けられると共に上記保持手段及び上記電気コネクタ接続・離間手段と関係していて上記版胴ユニットを上記孔版印刷機本体内に出し入れするときに操作される引抜手段と、を具備し、上記引抜手段を上記第2弾性部材の付勢力に抗して他方向に操作・移動させながら上記版胴ユニットを上記孔版印刷機本体から引き抜く際、まず、上記引抜手段の他方向への操作・移動によって上記電気コネクタ接続・離間手段が移動して上記一対の電気コネクタを離間させ、次いで、上記引抜手段の他方向へのさらなる操作・移動によって上記保持手段の係合構造を解除させて上記版胴ユニットの上記孔版印刷機本体からの引抜を可能とし、次いで、上記引抜手段を介しての引抜操作によって上記版胴ユニットを孔版印刷機本体から引き抜くようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項2による孔版印刷機は、請求項1記載の孔版印刷機において、上記電気コネクタ接続・離間手段は、一対の電気コネクタの接続・離間方向と平行な方向に動作するものであることを特徴とするものである。
又、請求項3による孔版印刷機は、請求項1又は請求項2記載の孔版印刷機において、上記引抜手段は版胴ユニットの軸方向に直交する幅方向に掛け渡された把持部材を備えていて、該把持部材を把持して一連の引抜操作を行なうものであることを特徴とするものである。
又、請求項4による孔版印刷機は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の孔版印刷機において、電装部品は版胴ユニットの版胴内のインク量を検出するインクセンサであることを特徴とするものである。
【0006】
すなわち、本願発明の場合には、版胴ユニットを孔版印刷機本体内から引き抜く際、まず、引抜手段を介しての引抜操作による該引抜手段の動作を利用して電気コネクタ接続・離間手段を動作させて一対の電気コネクタを離間させ、次いで、引抜手段のさらなる動作を利用して保持手段を動作させて状態保持を解除させ、それによって、版胴ユニットを孔版印刷機本体内から引き抜くようにしたものであり、それによって、誤動作の発生を防止することができる。
又、引抜手段として、一対の電気コネクタを接続方向に付勢する弾性部材により一方向に付勢されたものとした場合には、一対の電気コネクタが該弾性部材によって常時接続方向に付勢されていることになり、接続状態が不用意に損なわれることを防止することができる。
又、電気コネクタ接続・離間手段として、一対の電気コネクタの接続・離間方向と平行な方向に動作するものとした場合には、一対の電気コネクタの接続不良や破損防止を図ることができる。
又、引抜手段として、版胴ユニットの軸方向に直交する幅方向に掛け渡された把持部材を備えたものとした場合には、該把持部材を把持して一連の引抜動作を行うことができ、操作性を向上させることができる。
又、電装部品としては様々なものが想定されるが、例えば、版胴ユニットの版胴内のインク量を検出するインクセンサとすることができ、それによって、誤動作に起因した過剰インクの供給を防止することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図12を参照して本発明の一実施の形態を説明する。まず、図1を参照して、孔版印刷機の全体の構成を説明する。第1版胴1、第2版胴3、転写胴5が配置されていて、これら第1版胴1、第2版胴3、転写胴5は、図示しない駆動手段によって同期して回転するようになっている。すなわち、第1版胴1は図1中矢印Aで示す方向に回転し、第2版胴3は図1中矢印Bで示す方向に回転し、転写胴5は図1中矢印Cで示す方向に回転する。
【0008】
上記第1版胴1の図1中右上には製版手段7が設置されている。そして、図示しない原稿読取手段によって、表面印刷用の原稿データを読み取り、その読み取った表面印刷用の原稿データを製版手段7に出力する。製版手段7は入力した表面印刷用の原稿データに基づいて、孔版原紙に穿孔・製版を施す。穿孔・製版された孔版原紙は、第1版胴1の外周面に巻回・着版される。すなわち、第1版胴1の外周面にはクランプ手段9が設置されていて、上記孔版原紙はその先端をクランプ手段9によってクランプされ、後は、第1版胴1が矢印A方向に回転することにより、第1版胴1の外周面に巻回・着版される。
【0009】
次に、図示しない原稿読取手段によって、裏面印刷用の原稿データを読み取り、その読み取った裏面印刷用の原稿データを製版手段7に出力する。製版手段7は、入力した裏面印刷用の原稿データに基づいて、孔版原紙に穿孔・製版を施す。穿孔・製版された孔版原紙は第1版胴1の外周面に設置された別のクランプ手段11によってその先端をクランプされ、第1版胴1が矢印A方向に回転することにより、第1版胴1の外周面(既に表面印刷用の孔版原紙が巻回・着版されているのでその孔版原紙の外周面ということになる)に巻回される。そして、そこから、転写胴5側に受け渡される。すなわち、クランプ手段11と転写胴5側のクランプ手段(図示せず)が対向した位置で両者を開放し、それによって、孔版原紙の先端が転写胴5側のクランプ手段側に受け渡されてクランプされる。後は、転写胴5が矢印C方向に回転することにより、転写胴5の外周面に巻回されていく。
【0010】
次に、転写胴5側から第2版胴3側に孔版原紙が受け渡される。すなわち、転写胴5のクランプ手段と第2版胴3のクランプ手段15が対向した位置で両者を開放し、それによって、孔版原紙の先端が第2版胴3のクランプ手段15側に受け渡されてクランプされる。後は、第2版胴3が矢印B方向に回転することにより、第2版胴3の外周面に巻回・着版されていくことになる。
尚、第1版胴1と第2版胴3内には、図示しない印刷手段が内装されている。
【0011】
又、転写胴5の図1中左側には給紙手段17が設置されている。給紙手段17は、給紙台19を備えていて、この給紙台19上には複数枚の印刷用紙21が積層・配置されている。又、最上位の印刷用紙21に当接するようにピックアップローラ23が設置されている。又、このピックアップローラ23の図1中右側には、一対のレジストローラ25、27が対向・配置されている。上記ピックアップローラ23によって最上位の一枚の印刷用紙21を取り出し、上記一対のレジストローラ25、27の間を介して、第1版胴1と転写胴5の間に供給する。供給された印刷用紙21は、転写胴5側のクランプ手段13によってその先端を保持され、第1版胴1と転写胴5の間を通過する際に、印刷用紙21の表面に第1版胴1側から表面印刷が施され、同時に裏面には転写胴5側から裏面印刷が施される。
【0012】
上記転写胴5側の印刷は、まず、第2版胴3側から転写胴5側に画像が転写され、その転写された画像が印刷用紙21の裏面側に転写・印刷されるものである。印刷を施された印刷用紙21は、分離爪29によって転写胴5より分離され、排紙台31上に排紙されることになる。
尚、第1版胴1の外周面に巻回・着版されている孔版原紙は、排版手段33に排版され、第2版胴3の外周面に巻回・着版されていた孔版原紙は、排版手段35に排版されることになる。
【0013】
上記構成をなす孔版印刷機には、洗浄手段41が設置されている。すなわち、既に説明したように、転写胴5の外周面には第2版胴3側から裏面印刷用の画像データが転写され、その転写された画像データを印刷用紙21の裏面に転写・印刷する。その際、転写胴5から印刷用紙21へのインクの転写は100%ではなく、転写胴5の外周面上にインクが残留する。この残留したインクを上記洗浄手段41によって洗浄・除去するものである。上記洗浄手段41は、洗浄液転写・塗布手段43と、拭取手段45とから構成されている。そして、上記洗浄液転写・塗布手段43によって転写胴5の外周面に洗浄液を塗布し、拭取手段45によってインク等の汚れを含んだ洗浄液を拭き取るものである。
【0014】
上記構成をなす両面印刷用の孔版印刷機において、第1版胴1と第2版胴3は、共に、孔版印刷機本体に対して着脱可能な構成になっている。すなわち、第1版胴1、第2版胴3を軸方向に沿って孔版印刷機本体から引き出すことにより孔版印刷機本体から離脱させ、逆に、軸方向に沿って孔版印刷機本体内に挿入することにより、印刷機本体に装着する構成になっている。
【0015】
そこで、第1版胴1を例に挙げて、その着脱のための構成、及び電気的な接続構造について詳細に説明していく。第1版胴1は、図2に示すように、他の機構部と共に版胴ユニットとして構成されている。まず、軸方向先端側(図2中左側)と軸方向基端側(図2中右側)には、フレーム51、53が夫々配置されていて、これらフレーム51、53の間には版胴主軸55が取り付けられている。上記第1版胴1はこの版胴主軸55に取り付けられている。上記フレーム51とフレーム53の上端間にはドラムハンドル57が配置されている。このドラムハンドル57の一端(図2中左端)はフレーム51の上端にねじ59によって取付・固定されており、又、ドラムハンドル57の他端(図2中右端)は、フレーム53の上端にねじ61によって取付・固定されている。又、上記ドラムハンドル57の一端側には、図3にも示すように、一対のコロ部材62、64が回転可能に取り付けられている。
【0016】
一方、孔版印刷機本体側をみてみると、図4に示すように、奥側(図3中左端)にフレーム91が配置されていると共に、手前側(図3中右側)にフレーム85が配置されている。これらフレーム91、85の間にはガイドバー101が配置されている。上記ガイドバー101の内周側には、図5に示すように、左右にアングル部材103、105が敷設されていて、これらアングル部材103、105には、コロ部材107、109が夫々取り付けられている。これらコロ部材107、109の上端は、アングル部材103、105に形成された切欠部から上方に突出・配置されている。
尚、図5は、フレーム85の部分の構成を示すものであって、フレーム85には版胴ユニットが挿入・引抜されるための開口部85aが形成されている。
【0017】
そして、版胴ユニットを孔版印刷機本体内に出し入れする場合には、図4に示すように、ドラムハンドル57に取り付けられた左右のコロ部材63、65を介してカイドバー101側の左右のアングル部材103、105上を滑らせるものであり、その際、カイドバー101側の左右のコロ部材107、109がドラムハンドル57の下面側に接触して滑らせるように機能することになる。
【0018】
上記フレーム53の図2中右側には4箇所において、支柱63が突設されていて、これら4本の支柱63にはフレーム65がねじ止めにより取付・固定れている。上記フレーム65は、機械的強度を高めるための曲げ部65aが4箇所において設けられている。又、フレーム65の左右両側には、図3に示すように、アングル部材67、69がねじ止めにより取り付けられている。
【0019】
上記アングル部材67側の構成をみてみると、図2及び図3に示すように、アングル部材67には、回転支点軸部材67aが取り付けられていて、略「く」字状をなすレバー部材71がこの回転支点軸部材67aを中心にして、図2中矢印a方向に回動可能に取り付けられている。又、アングル部材67の図2中下部には曲げ部67bが設けられていると共に、上記レバー71には軸部材71aが突設されている。これら曲げ部67bと軸部材71aとの間にはコイルスプリング73が張設されている。よって、レバー71は、このコイルスプリング73のスプリング力によって、図2中反時計方向に常時付勢される構成になっている。又、アングル部材67の図2中上部には曲げ部67cが設けられていて、上記レバー71はこの曲げ部67cに当接している。したがって、レバー71の図2中反時計方向への付勢は、この曲げ部67cによって一定量に規制される構成になっている。
【0020】
図2中上記レバー71の裏面側にはコネクターガイドレバー75が配置されていて、このコネクターガイドレバー75には、図2中左右方向に沿った二箇所において、長溝75a、75aが夫々形成されていて、これら長溝75a、75aを介して、アングル部材67より突設された2個のガイド軸部材67d、67dによってガイドされるようになっている(尚、図2中1個のガイド軸部材67dのみ示し、他の1個はレバー71の裏面側に隠れていて、図8〜図10にはその両方が示されている)。又、コネクターガイドレバー75には軸部材75bが突設されていて、一方、レバー71側には長溝71bが形成されている。上記軸部材75bはこの長溝71bに係合している。よって、レバー71を回動・動作することにより、コネクターガイドレバー75が図2中左右方向(図2中矢印bで示す方向)に往復動することになる。
【0021】
上記コネクターガイドレバー75の先端(図2中左端)には電気コネクタ77が取り付けられている。一方、孔版印刷機本体側には、図4及び図5に示すように、上記電気コネクタ77と対をなす電気コネクタ79がフレーム85に取り付けられている。そして、上記電気コネクタ77が上記電気コネクタ79に挿入されることにより、電気的な接続が得られ、逆に、電気コネクタ77が電気コネクタ79より引き抜かれることにより、電気的な接続状態が解除されることになる。 尚、上記電気コネクタ77は、図12に示すような構成をなしていて、又、電気コネクタ79は、図11に示すような構成をなしている。図11及び図12におい、斜線を施した部分(符号77a、79aで示す)が導通部であり、この実施の形態においては、10本の信号線、1本の電源線、1本の接地線、合計12本の導通部がある。又、上記電気コネクタ77と電気コネクタ79は、版胴ユニットの軸方向に沿って、遊び寸法を備えている。具体的には、図示しないインクセンサ(第1版胴1内のインク量を監視するセンサ)の動作に支障が生じない程度の遊び寸法(具体的には、0.5mm程度)を備えている。それによって、版胴ユニットを孔版印刷機本体内に挿入する際、電気コネクタ77、79に無理な力が作用してこれを損傷させてしまうことを防止するようにしている。
【0022】
上記アングル部材67には軸部材67eが突設されていて、この軸部材67eにはストッパ部材81が、図2中矢印cで示す方向に回動可能に取り付けられている。又、上記軸部材67eにはコイルスプリング83が装着されていて、このコイルスプリング83の一端83aは、上記ストッパ部材81の曲げ部81cに係合している。又、コイルスプリング83の他端はアングル部材67の曲げ部67fに係合している。そして、ストッパ部材81は、上記コイルスプリング83によって、図2中時計方向に付勢されている。又、ストッパ部材81は曲げ部材67bに当接していて、それによって、上記時計方向への回動が一定量に規制されるようになっている。
上記ストッパ部材81の先端(図2中左端)には、係止部81aが形成されている。この係止部81aの先端には先端に向かって下り勾配になるように形成された傾斜面81bが設けられている。
【0023】
又、図4及び図5に示すように、孔版印刷機のフレーム85にはアングル部材87が取り付けられていて、このアングル部材87にはロックピン89が突設されている。そして、既に説明したストッパ部材81の先端の係止部81aがこのロックピン89に係合する関係にある。そして、第1版胴1が孔版印刷機本体内に挿入されて所定位置に位置したところで、上記係止部81aがロックピン89に係合し、その状態が保持されることになる。
又、図4に示すように、孔版印刷機本体のフレーム91にはホルダ93が取り付けられていて、このホルダ93内に前述した版胴主軸55が挿入されることになる。
【0024】
又、図3におけるアングル部材69側にも同様の構成が設けられており、よって、図中同一部分(レバー71、コイルスプリング73、ストッパ部材81、コイルスプリング83)には同一符号を付して示すと共に、アングル部材69の各軸部材や曲げ部については、アングル部材67側と同じ符号(a、b、c、d、e、f)を付して示し、その説明は省略する。
但し、コネクターガイドレバー75、電気コネクタ77については、アングル部材67側のみに配置されているものであって、アングル部材69側には設けられていないものである。
又、アングル部材69側のストッパ部材81の係止部81aは、図5に示すように、孔版印刷機本体のフレーム85に取り付けられたアングル部材94に取り付けられたロックピン96に係合する関係にある。
【0025】
又、図3に示すように、左右のレバー71、71の上端間にはステー92が取り付けられていて、実際に操作する場合にはこのステー92を把持して行うことになる。
又、図3に示すように、フレーム65には、左右に位置決めピン95、97が突設されている。一方、図5に示すように、孔版印刷機本体のフレーム85側には左右に嵌合孔99、100が形成されている。上記位置決めピン95、97が上記嵌合孔99、100内に挿入されると共に、版胴主軸55がホルダ93内に挿入されることにより、版胴ユニットの位置が決定されるものである。その際、位置決めピン95、97は段付構造となっていて、その段付部の端面95a、97aがフレーム85に当接することにより、上記位置決めがなされることになり、そこが印刷可能位置ということになる(その状態を図7に示す)。
【0026】
又、図2に示すように、第1版胴1の端部にはヘリカルギヤ1aが設けられていて、版胴ユニットが所定の印刷位置に位置することにより、このヘリカルギヤ1aに孔版印刷機本体側の図示しないギヤと噛合することになり、それによって、孔版印刷機本体側より第1版胴1側に回転が伝達されることになる。
【0027】
以上の構成を基にその作用を説明する。
まず、版胴ユニットを孔版印刷機本体内に挿入して取り付ける動作から説明する。図4に示すように、版胴ユニットのドラムハンドル57とステー92を把持し、ドラムハンドル57をカイドバー101に差し込む。これによって、版胴ユニットが宙づり状態となる。次に、ステー92を把持して版胴ユニットを孔版印刷機本体内に押し込んでいく。上記ステー92を把持した押し込み動作によって、左右に配置されているレバー71、71にも該押し込み力が作用するが、これらレバー71、71は、アングル部材67の曲げ部67c、アングル部材69の曲げ部69cに当接しているので、回動してしまうことはない。したがって、ステー92を押し込む動作が版胴ユニットを孔版印刷機本体内に押し込む動作になる。 又、上記押し込み動作に際して、ドラムハンドル57側に取り付けられたコロ部材63、65、ガイドバー101側に取り付けられたコロ部材107、109が効果的に機能し、したがって、版胴ユニットは円滑に押し込まれることになる。
【0028】
ステー92を把持して版胴ユニットを孔版印刷機本体内にさらに押し込んでいくと、左右に配置されたストッパ部材81、81の先端の係止部81a、81aの傾斜面81b、81bがロックピン89、96に接触する。その様子を図6に示す。この状態から版胴ユニットをさらに押し込んでいくと、ストッパ部材81、81は、ロックピン89、96によって、コイルスプリング83、83のスプリング力に抗して、図6中反時計方向に回動・付勢される。そこから版胴ユニットをさらに押し込んでいくと、ストッパ部材81、81の先端の係止部81a、81aがロックピン89、96の位置を通過するので、コイルスプリング83、83のスプリング力によって、図7中時計方向に回動・付勢され、結局、係止部81a、81aがロックピン89、96に係合することになる。
【0029】
この時、版胴ユニット側の位置決めピン95、97が孔版印刷機本体側のフレーム85の嵌合孔99、100に嵌合すると共に、版胴主軸55がホルダ93内に挿入される。そして、上記位置決めピン95、97の段付端面95a、97aがフレーム85に当接する。この状態で版胴ユニットの挿入動作は完了して印刷位置となる。その状態を図7に示す。
【0030】
次に、版胴ユニットを孔版印刷機本体内に挿入するときの電気コネクタ77、79の接続動作について説明する。版胴ユニットを孔版印刷機本体内に押し込んでいくと、コネクターガイドレバー75に取り付けられている電気コネクタ77はそのままの状態で水平方向に移動していき、最終的には、孔版印刷機本体側のフレーム85に取り付けられている電気コネクタ79に差し込まれることになる。又、版胴ユニットが孔版印刷機本体内に挿入されていって、まず、版胴主軸55がホルダ93内に挿入され、次いで、版胴ユニット側の位置決めピン95、97が孔版印刷機本体側のフレーム85の嵌合孔99、100内に嵌合される。これによって、版胴ユニットの孔版印刷機本体に対する上下左右方向の位置が決められることになる。
【0031】
この時、電気コネクタ77は電気コネクタ79内に差し込まれてはいるものの未だ電気的に接続された状態にはなっていない。そして、位置決めピン95、97の段付端面95a、97aがフレーム85に当接した状態となり、その時点で始めて電気コネクタ77と電気コネクタ79が電気的に接続完了されることになる。
尚、前述したように、電気コネクタ77、79の接続は、版胴ユニットの主軸方向に対して、電気式インクセンサのケーブル導通接続上支障のない遊び寸法(例えば、0.5mmの余裕量)を備えているので、版胴ユニットを孔版印刷機本体に取り付ける時に、電気コネクタ77、79が衝突して破損してしまうといったことはない。
以上の動作が版胴ユニットを孔版印刷機本体内に装着するときの動作である。
【0032】
次に、版胴ユニットを孔版印刷機本体から離脱させる場合について説明する。この場合には、版胴ユニットのステー92を把持して、版胴ユニットを孔版印刷機本体から引き出すことになる。ステー92を把持して版胴ユニットを孔版印刷機本体から引き出す動作を開始すると、図8に示すように、版胴ユニットはそのままの状態で、まず、左右のレバー71、71が、コイルスプリング73、73のスプリング力に抗して、図8中時計方向に回動する。このレバー71、71の回動動作によって、コネクターガイドレバー75が、図8中右方向に移動する。このコネクターガイドレバー75の移動によって、電気コネクタ77の電気コネクタ79からの引抜動作が行われる。そして、レバー71、71が30°回動することにより、電気コネクタ77の電気コネクタ79からの引抜動作は完全に完了し、且つ、電気式インクセンサのケーブルの孔版印刷機本体と版胴ユニット間の導通接続状態も完全に解除される。
【0033】
一方、電気コネクタ77が電気コネクタ79より引き抜かれて電気的接続状態が解除された時点では、版胴ユニットは未だ孔版印刷機本体内に挿入されたままの状態、すなわち、ストッパ部材81、81の係止部81a、81aが、ロックピン95、97に係合したままの状態にある(図8にその様子を示す)。
そして、ステー92を把持して版胴ユニットの引抜動作をさらに継続すると、レバー71、71の作用部71c、71cが、ストッパ部材81、81の上面側に当接し、これをコイルスプリング83、83のスプリング力に抗して、図8中反時計方向に回動させる。これによって、ストッパ部材81、81の係止部81a、81aのロックピン95、97に対する係合状態が解除される。その様子を図9に示す。
そして、やがて、レバー71、71が軸部材67d、69dに当接してそれ以上の回動が規制される状態となる。
【0034】
そして、ステー92を把持して版胴ユニットの引抜動作をさらに継続すると、既に、レバー71、71の回動は規制されているので、版胴ユニットの引抜動作が開始されることになる。そして、版胴ユニットが孔版印刷機本体側から引き出されることになる。その様子を図10に示す。
版胴ユニットを引き出した後、ステー92の把持を解除すると、左右のレバー71、71とコネクターガイドレバー75は、コイルスプリング73、73のスプリング力によって元の位置に復帰すると共に、ストッパ部材81、81もコイルスプリング83、83のスプリング力によって元の位置に復帰するものである。
【0035】
以上本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、版胴ユニットを孔版印刷機本体内から引き抜く際、電気コネクタ77、79が離間してインクセンサの導通状態が完全に解除されるまで、版胴ユニットの保持状態の解除が規制されるようになっていて(版胴ユニットが移動することはない)、版胴ユニットの保持状態が解除されて引抜動作が開始されるときには、電気コネクタ77、79が離間して電気的接続状態が確実に解除されているので、従来問題になっていた誤動作(インクセンサの誤動作)の発生を防止することができる。したがって、インクセンサの誤動作に起因して、インクの過剰供給が行われ、その過剰供給されたインクが外部に漏れたり、次の印刷動作時に過剰なインクが供給されてしまうといったことを未然に防止することかできる。
又、版胴ユニットを孔版印刷機本体内に挿入して所定位置に位置させる場合においても、版胴ユニットが所定位置に位置して保持されるタイミングと(具体的には版胴ユニット側の位置決めピン95、97の段付端面95a、97aがフレーム85に当接するタイミング)、電気コネクタ77、79が接続完了されて電気的接続状態が形成されるタイミングが略同時であるので、仮に電気信号ノイズの発生があっても、版胴側に大きく影響することはない。
又、電気コネクタ77、79の接続・離間動作は、電気コネクタ77の水平方向への移動によって行われ、よって、電気コネクタ77、79の接続不良、損傷等の問題が発生することもない。
又、電気コネクタ77、79の間には、電気的接続状態を得る上で支障の無い程度の遊びが設けられているので、版胴ユニットの孔版印刷機本体に対する位置精度と電気コネクタ77、79間の位置精度において若干のずれがあっても、それによって、電気コネクタ77、79が損傷するようなことはない。
又、版胴ユニットの着脱作業は、ステー92を把持して行えばよく、作業が極めて簡単であると共に、そのための構成も簡単である。
【0036】
尚、本発明は前記一実施の形態に限定されるものではない。
前記一実施の形態においては、第1版胴1を例に挙げて説明したが、第2版胴3についても同様に適用可能である。又、転写胴5に関しても、これを引抜可能な構成にした場合には同様に適用できる。
又、孔版印刷機としては、両面印刷タイプのものを例に挙げて説明したが、それに限定されるものではない。
又、版胴ユニットの孔版印刷機本体への挿入位置を保持するための構成、これを解除するための構成、等については、図示したものに限定されるものではない。
【0037】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明による孔版印刷機と孔版印刷機の版胴ユニット引抜方法によると、版胴ユニットを孔版印刷機本体内から引き抜く際、まず、電気コネクタ接続・離間手段に動作させて一対の電気コネクタを離間させ、次いで、保持手段に動作させて状態保持を解除させ、それによって、版胴ユニットを孔版印刷機本体内から引き抜くようにしたので、誤動作の発生を防止することができる。 又、引抜手段として、一対の電気コネクタを接続方向に付勢する弾性部材により一方向に付勢されたものとした場合には、一対の電気コネクタが該弾性部材によって常時接続方向に付勢されていることになり、接続状態が不用意に損なわれることを防止することができる。
又、電気コネクタ接続・離間手段として、一対の電気コネクタの接続・離間方向と平行な方向に動作するものとした場合には、一対の電気コネクタの接続不良や破損防止を図ることができる。
又、引抜手段として、版胴ユニットの軸方向に直交する幅方向に掛け渡された把持部材を備えたものとした場合には、該把持部材を把持して一連の引抜動作を行うことができ、操作性を向上させることができる。
又、電装部品としては様々なものが想定されるが、例えば、版胴ユニットの版胴内のインク量を検出するインクセンサとすることができ、それによって、誤動作に起因した過剰インクの供給を防止することかできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す図で、両面印刷タイプの孔版印刷機の全体の構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示す図で、第1版胴を含む版胴ユニットの構成を示す正面図である。
【図3】本発明の一実施の形態を示す図で、第1版胴を含む版胴ユニットの構成を示す側面図である。
【図4】本発明の一実施の形態を示す図で、版胴ユニットが孔版印刷機本体に挿入される途中の状態を示す正面図である。
【図5】本発明の一実施の形態を示す図で、左右のストッパ部材とロック軸との関係を示す側面図である。
【図6】本発明の一実施の形態を示す図で、版胴ユニットが孔版印刷機本体に装着される直前の状態を示す正面図である。
【図7】本発明の一実施の形態を示す図で、版胴ユニットを孔版印刷機本体に装着した状態を示す正面図である。
【図8】本発明の一実施の形態を示す図で、レバー、ストッパ部材、軸部材の関係を動作順に示す正面図である。
【図9】本発明の一実施の形態を示す図で、レバー、ストッパ部材、軸部材の関係を動作順に示す正面図である。
【図10】本発明の一実施の形態を示す図で、レバー、ストッパ部材、軸部材の関係を動作順に示す正面図である。
【図11】本発明の一実施の形態を示す図で、孔版印刷機本体側に取り付けられた電気コネクタの構成を示す斜視図である。
【図12】本発明の一実施の形態を示す図で、版胴ユニット側に取り付けられた電気コネクタの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 第1版胴
71 レバー
73 コイルスプリング
75 コネクターガイドレバー
77 電気コネクタ
79 電気コネクタ
81 ストッパ部材
83 コイルスプリング
89 ロックピン
92 ステー
96 ロックピン
Claims (4)
- 孔版印刷機本体と、上記孔版印刷機本体に対して出入可能に取り付けられ任意の電装部品を備えた版胴ユニットと、上記孔版印刷機本体及び版胴ユニットに夫々取り付けられ上記孔版印刷機本体と上記電装部品とを電気的に接続する一対の電気コネクタと、を具備してなる孔版印刷機において、
上記孔版印刷機本体と上記版胴ユニットとの間に設けられ第1弾性部材による付勢力を利用した係合構造によって上記版胴ユニットを孔版印刷機本体の所定の印刷位置に保持する保持手段と、
上記版胴ユニットに移動可能に設けられ上記一対の電気コネクタの一方を備えていて第2弾性部材によって一対の電気コネクタを接続させる方向に付勢されていて上記第2弾性部材の付勢力に抗して移動することにより上記一対の電気コネクタを離間させる電気コネクタ接続・離間手段と、
上記版胴ユニットに上記第2弾性部材によって一方向に付勢された状態で移動可能に設けられると共に上記保持手段及び上記電気コネクタ接続・離間手段と関係していて上記版胴ユニットを上記孔版印刷機本体内に出し入れするときに操作される引抜手段と、を具備し、
上記引抜手段を上記第2弾性部材の付勢力に抗して他方向に操作・移動させながら上記版胴ユニットを上記孔版印刷機本体から引き抜く際、まず、上記引抜手段の他方向への操作・移動によって上記電気コネクタ接続・離間手段が移動して上記一対の電気コネクタを離間させ、次いで、上記引抜手段の他方向へのさらなる操作・移動によって上記保持手段の係合構造を解除させて上記版胴ユニットの上記孔版印刷機本体からの引抜を可能とし、次いで、上記引抜手段を介しての引抜操作によって上記版胴ユニットを孔版印刷機本体から引き抜くようにしたことを特徴とする孔版印刷機。 - 請求項1記載の孔版印刷機において、
上記電気コネクタ接続・離間手段は、一対の電気コネクタの接続・離間方向と平行な方向に動作するものであることを特徴とする孔版印刷機。 - 請求項1又は請求項2記載の孔版印刷機において、
上記引抜手段は版胴ユニットの軸方向に直交する幅方向に掛け渡された把持部材を備えていて、該把持部材を把持して一連の引抜操作を行なうものであることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1〜請求項3の何れかに記載の孔版印刷機において、
電装部品は版胴ユニットの版胴内のインク量を検出するインクセンサであることを特徴とする孔版印刷機。
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