JP3769322B2 - 角速度センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の振動片を第1方向に励振しておき、コリオリ力によって生じる第1方向と直交する第2方向への一対の振動片の振動を検出して、第1及び第2方向と直交する軸線回りの角速度を検出する角速度センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のセンサは、例えば特開平2−38917号公報に示されているように、連結片の両端に平行に延設した一対の振動片を設けるように振動子をH型に構成し、励振による漏れ振動が検出されるべき振動に影響を与えないようにするために、振動子をその重心位置にて支持するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の角速度センサにあっては、振動子が重心位置からあらゆる方向に同一形状をしているわけではないので、種々の漏れ振動が発生し、漏れ振動を充分になくすことができない。
【0004】
【本発明の特徴】
本発明は上記問題に対処するためになされたもので、その第1の特徴は、
角速度の被検出物体に少なくともその一端を固定した支持片の中央部から横方向に延設した連結片と、該連結片の両端に上方に延設した左右一対の励振用振動片と同連結片の両端に下方に延設した検出用振動片とにより構成した振動体と、前記支持片の軸線と直交する第1方向に前記励振用振動片を励振させる励振手段と、前記支持片の軸線及び前記第1方向の双方に直交する第2方向のコリオリ力による前記検出用振動片の各振動を検出する検出手段とを備え、前記検出手段により検出された前記検出用振動片の振動により前記支持片の軸線回りの角速度を検出するようにした角速度センサにおいて、前記励振手段による励振周波数を、前記検出手段による検出振動の周波数に近い領域にて前記励振用振動片の励振による漏れ振動の共振周波数に近い周波数に設定して、前記検出用振動片の一方の振動片にてコリオリ力と同一方向に前記励振用振動片の励振による漏れ振動が発生し、同検出用振動片の他方の振動片にてコリオリ力と逆方向に前記励振用振動片の励振による漏れ振動が発生するようにし、前記検出手段が前記検出用振動片の振動を表す信号を合算して出力するようにしたことにある。
【0005】
上記構成においては、励振用振動片の励振による漏れ振動は一方の検出用振動片にてコリオリ力と同一方向に発生するとともに、他方の検出用振動片にてコリオリ力と逆方向に発生しているので、一対の検出用振動片のコリオリ力による各振動を表す電気信号を加算して取り出すようにすれば、一方の検出用振動片に発生している漏れ振動と他方の検出用振動片に発生している漏れ振動に関する各電気信号が打ち消されるとともに、コリオリ力による振動を表す大きな電気信号を取り出すことができる。したがって、この第1の特徴によれば、角速度の検出精度が良好になる。
【0006】
また、本発明の第2の特徴は、角速度の被検出物体にその一端を固定した支持片の中央部から横方向に延設した連結片と、該連結片の両端に上方に延設した左右一対の励振用振動片と同連結片の両端に下方に延設した検出用振動片とにより構成した振動体と、前記支持片の軸線と直交する第1方向に前記励振用振動片を互いに逆相に励振させる励振手段と、前記支持片の軸線及び前記第1方向の双方に直交する第2方向のコリオリ力による前記検出用振動片の各振動を検出する検出手段とを備え、前記検出手段により検出された前記検出用振動片の振動により前記支持片の軸線回りの角速度を検出するようにした角速度センサにおいて、前記励振手段による励振周波数を、前記検出手段による検出振動の周波数に近い領域にて前記励振用振動片の励振による漏れ振動の共振周波数に近い周波数に設定して、前記検出用振動片の一方の振動片にてコリオリ力と同一方向に前記励振用振動片の励振による漏れ振動が発生し、同検出用振動片の他方の振動片にてコリオリ力と逆方向に前記励振用振動片の励振による漏れ振動が発生するようにし、前記検出手段が前記検出用振動片の振動を表す信号を合算して出力するようにしたことにある。
【0007】
上記構成においても、前記場合と同様に、検出用振動片にそれぞれ発生している漏れ振動を互いに打ち消すことができ、コリオリ力による振動を表す大きな電気信号を取り出すことができて、角速度の検出精度が良好になる。また、上記構成においては、励振手段が励振用振動片を互いに逆相に励振するので、コリオリ力による検出用振動片の振動も逆相に現れ、この検出用振動片による振動によって上記の支持片に位置する角速度センサの重心位置は移動しない。したがって、角速度センサに作用する角速度によって、支持片の自由端部が振動することはない。一方、励振手段によって励振用振動片に同相の漏れ振動が発生した場合には、角速度センサの重心位置が移動することになり、上記の支持片の自由端部は同重心位置の移動を抑制する方向、すなわち前記漏れ振動と逆相に振動する。この支持片の振動は前記漏れ振動の負荷となり、同漏れ振動を抑制するとともに、前記重心の移動の抑制により検出用振動片の漏れ振動が安定化する。この漏れ振動の安定化により、検出用振動片が均等な振幅で漏れ振動するようになるので、前述のような各検出用振動片の振動を表す電気信号の合成により、漏れ振動を互いに打ち消し易くなる。その結果、この第2の特徴によれば、より角速度の検出精度が良好になる。
【0008】
【発明の実施の形態】
a.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明すると、図1は同実施形態に係る角速度センサを正面図により示している。この角速度センサは、金属材料で一体的に構成した振動体10を備えている。振動体10は、その下端と上端に設けた固定部18,19にて角速度の被検出物体に上下方向に固定した支持片16,17と、これら支持片16,17の中央部から横方向に延設した連結片11と、同連結片11の両端にて上下方向にそれぞれ延設した左右一対の振動片12〜15とによりH型振動子を構成している。
【0009】
振動片12,13は励振用に設けられており、各振動片12,13の外側には連結片11の近傍にて励振用の圧電素子21,22がそれぞれ添着されている。圧電素子21,22には所定の周波数で発振する発振源23が接続されるようになっており、この発振源23から供給される電気信号により、振動片12,13が紙面左右方向にそれぞれ振動するようになっている。振動片14,15は検出用に設けられており、各振動片14,15の正面側には連結片11の近傍にて振動検出用の圧電素子24,25がそれぞれ添着されている。圧電素子24,25は振動片14,15の紙面垂直方向の各振動をそれぞれ表す各電気信号をそれぞれ取り出すもので、両圧電素子24,25には、前記各振動をそれぞれ表す各電気信号を入力して各電気信号の差信号を取り出す信号取り出し回路26が接続されている。この信号取り出し回路26はバンドパスフィルタ回路27に接続されており、同フィルタ回路27は予め決められた周波数帯域の電気信号のみを出力する。
【0010】
上記のように構成した振動体10において、発振源23から圧電素子21,22に発振信号を付与することにより、振動片12,13を図2(A)及び図3(A)に示すように互いに紙面左右逆方向(逆相)にそれぞれ励振させると、振動片14,15も互いに紙面左右逆方向(逆相)に振動する。この場合、振動片14,15が図2(A)に示すように振動片12,13と各逆方向(逆相)に振動する場合と、振動片14,15が図3(A)に示すように振動片12,13と各同方向(同相)に振動する場合とがある。このような振動片12,13の振動に対する振動片14,15の振動モードは、振動体10の材質、形状、寸法などにより決まる同振動体10の左右方向の固有振動数と、発振源23及び圧電素子21,22により励振される振動片12,13の励振周波数との関係により定まる。
【0011】
このように振動片14,15を励振させた状態で、支持片16,17の軸線回りの角速度が振動体10に作用すると、振動片14,15は図2(B)又は図3(B)に示すようにコリオリ力によって紙面垂直方向に同角速度の大きさに比例した振幅で振動し始める。なお、図示中、記号z1は紙面に垂直な裏から表への振動片12〜15の変位を示しており、記号z2は紙面に垂直な表から裏への振動片12〜15の変位を示しており、異なる記号z1,z2の組み合わせは互いに逆方向の振動(逆相振動)を意味しかつ同一な記号z1,z1(又はz2,z2)の組み合わせは互いに同一方向の振動(同相振動)を意味する。
【0012】
振動片12〜15を紙面左右方向に図2(A)の振動モードで励振させた場合には、振動片12と振動片14の紙面左右方向の振動も、振動片13と振動片15の紙面左右方向の振動も互いに逆相であるので、振動片12〜15の前記コリオリ力による紙面垂直方向の振動は左右逆相かつ上下逆相となる。そして、この振動モードを本明細書では第1振動モードと呼び、この場合には、この第1振動モードの振動片14,15の振動が前記角速度の検出に利用される。また、振動片12〜15を紙面左右方向に図3(A)の振動モードで励振させた場合には、振動片12と振動片14の紙面左右方向の振動も、振動片13と振動片15の紙面左右方向の振動も互いに同相であるので、振動片12〜15の前記コリオリ力による紙面垂直方向の振動は左右逆相かつ上下同相となる。そして、この振動モードを本明細書では第2振動モードと呼び、この場合には、この第2振動モードの振動片14,15の振動が前記角速度の検出に利用される。
【0013】
一方、前記発振源23及び圧電素子21,22による励振によって、振動片12〜15は前記角速度が作用しなくても紙面垂直方向に種々のモードで振動してしまう。この振動を本明細書では漏れ振動と呼び、この漏れ振動は角速度の検出精度を悪化させるものである。このような漏れ振動のうちで、本願発明において着目している漏れ振動は、図2(C)及び図3(C)に示すように、振動片12〜15の全てが紙面垂直の同一方向に同時に変位する振動モード(この振動モードを本明細書では第3振動モードという)であり、この漏れ振動は比較的大きなものである。
【0014】
上記のような第1〜第3振動モードは、振動体10の材質、形状、寸法などににより決まるものであって、同振動体10が有する紙面垂直方向の種々の固有振動数に起因するものである。いま、振動体10をH型振動子で構成するとともに各部の寸法を適当に定めることにより、図4に示すように、左右逆相かつ上下逆相の第1振動モード、左右及び上下同相の第3振動モード、及び左右逆相かつ上下同相の第2振動モードに対する各固有振動数f1,f3,f2 がこの順に高くなるように設定する。
【0015】
まず、第1振動モードの振動片14,15の振動を角速度の検出に使う場合について説明する。発振源23の発振周波数を固有振動数f3の近傍に設定して、発振源23及び圧電素子21,22による振動片14,15の紙面左右方向の振動に伴う振動片14,15の紙面垂直方向の漏れ振動を第3振動モードに集中させる。この場合、振動片14,15の紙面左右方向の振動周波数が高すぎるために振動片14,15が紙面垂直方向に第3振動モードで共振しなければ、連結片11の近傍であって振動片12,13の各内側面の一部12a,13aをそれぞれ削るようにする。また、振動片14,15の紙面左右方向の振動周波数が低すぎるために振動片14,15が紙面垂直方向に第3振動モードで共振しなければ、振動片14,15の正面下端部に質量14a,15aをそれぞれ付加するようにする。なお、質量14a,15aの付加は、エポキシ樹脂の接着、金属の蒸着などにより行うとよい。このような振動片12,13の一部12a,13aの削除又は振動片14,15への質量14a,15aの付加により、振動片14,15の紙面左右方向の振動周波数と振動片14,15の第3振動モードの振動周波数とを近づけることができ、互いの共振により、発振源23及び圧電素子21,22による振動片14,15の紙面左右方向の振動に伴う振動片14,15の紙面垂直方向の漏れ振動を第3振動モードに集中させることができる。
【0016】
また、この場合、角速度の検出には振動片14,15の第1振動モードによる振動を利用しているので、角速度の検出感度を上げるために、発振源23及び圧電素子21,22による振動片14,15の紙面左右方向の振動周波数は第1振動モードの固有振動数f1に近い方がよい。したがって、発振源23及び圧電素子21,22による振動片14,15の紙面左右方向の振動周波数は、振動片14,15の固有振動数f3以下の近傍で、前記左右方向の振動により振動片14,15を第3振動モードで共振させる周波数に設定するとよい。当然ながら、発振源23の発振周波数も前記紙面左右方向の振動周波数にほぼ等しく設定するとよい。また、バンドパスフィルタ27の中心周波数は、第1振動モードの固有振動周波数f1に設定するとよい。
【0017】
次に、第2振動モードの振動片14,15の振動を角速度の検出に使う場合について説明する。この場合も、発振源23及び圧電素子21,22による振動片14,15の紙面左右方向の振動に伴う振動片14,15の紙面垂直方向の漏れ振動を第3振動モードに集中させることは前記場合と同じである。一方、この場合には、角速度の検出感度を上げるために、発振源23及び圧電素子21,22による振動片14,15の紙面左右方向の振動周波数は第2振動モードの固有振動数f2に近い方がよい。したがって、発振源23及び圧電素子21,22による振動片14,15の紙面左右方向の振動周波数は、振動片14,15の固有振動数f3以上の近傍で、前記左右方向の振動により振動片14,15を第3振動モードで共振させる周波数に設定するとよい。この場合も、発振源23の発振周波数も前記紙面左右方向の振動周波数にほぼ等しく設定するとよい。また、バンドパスフィルタ27の中心周波数は、第2振動モードの固有振動周波数f2に設定するとよい。
【0018】
上記のように構成した角速度センサによれば、発振源23及び圧電素子21,22により振動片12,13を励振させると、振動片14,15も図2(A)又は図3(A)のように励振される。この場合、前記励振による紙面垂直方向の漏れ振動は図2(C)又は図3(C)に示す第3振動モードに集中している。この第3振動モードでは、振動片14,15は同相に振動するので、圧電素子24,25は漏れ振動として同相の振動を検出し、同検出した振動を表す電気信号は信号取り出し回路26に供給される。信号取り出し回路26は圧電素子24,25からの各電気信号の差信号を出力するので、前記同相の漏れ信号は互いに打ち消される。一方、角速度の検出に用いられる紙面垂直方向の振動片14,15の振動は図2(B)又は図3(B)に示すような第1振動モード又は第2振動モードである。そして、この第1振動モードにおいても、第2振動モードにおいても、振動片14,15の紙面垂直方向の振動は逆相であり、圧電素子24,25により検出された振動片14,15の振動を表す各電気信号は互いに逆相になる。前記のように信号取り出し回路26は入力した各電気信号の差信号を出力するので、前記各電気信号は合算されて大きな電気信号として出力される。その結果、上記第1実施形態に係る角速度センサによれば、角速度の検出精度が良好になる。
【0019】
この角速度の検出精度が良好になったことを実験により確認すると、次のとおりである。上記第1実施形態のような形状の振動体10において、発明者らは、振動片12〜15の紙面左右方向の励振による振動と同振動片12〜15の紙面垂直方向の第3振動モードの振動を共振させない場合(以下、従来例という)と、上記第1実施形態のように前記両振動を共振させた場合とで、ゼロ点ドリフト電圧の相違を比較した。前記両振動体10の常温(20℃)時における漏れ振動に対する出力電圧を電気的なレベルシフト操作によりゼロ点に調整した上で、振動体10を80℃の環境下において漏れ振動による出力電圧を測定したところ、前記従来例による角速度センサでは1.3Vの漏れ振動による出力電圧が観測された。これに対し、上記第1実施形態による角速度センサでは0.3Vの漏れ振動による出力電圧が観測された。したがって、この実験結果からも上記第1実施形態による角速度センサの検出精度が良好になったことが理解できる。
【0020】
なお、上記第1実施形態においては、角速度検出に振動片12〜15の紙面垂直方向の第1又は第2振動モードを利用するとともに、漏れ振動を振動片12〜15の紙面垂直方向の第3振動モードに集中させるようにした。しかし、この発明では、振動片14,15の各振動を表す各電気信号を合成することにより、漏れ振動を表す電気信号を打ち消して取り出すとともに角速度に起因した振動を表す大きな電気信号を取り出すことにあるので、振動片14,15の一方でコリオリ力と同方向に漏れ振動が発生し、かつ他方でコリオリ力と逆方向に漏れ振動が発生するようにすればよい。
【0021】
例えば、発振源23及び圧電素子21,22によって振動片12〜15を紙面左右方向であって同一方向に励振するようにすれば、支持片16,17の軸線回りの角速度が作用した際には、コリオリ力により図2(C)及び図3(C)に示す第3振動モードの振動片14,15の振動を角速度の検出に利用することになる。したがって、この場合には、発振源23及び圧電素子21,22による励振に伴う漏れ振動を図2(B)の第1振動モード又は図3(B)の第2振動モードに集中させるようにすればよい。そして、信号取り出し回路26としては、圧電素子24,25からの電気信号を加算して出力するようにすればよい。これにより、第1又は第2振動モードによる振動片14,15の振動を表す電気信号が打ち消されてしまうとともに、第3振動モードによる振動片14,15の振動を表す電気信号が大きな電気信号として取り出される。その結果、これによっても、上記第1実施形態と同様な効果を期待できる。
【0022】
b.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について図面を用いて説明すると、図5は同実施形態に係る角速度センサを正面図により示している。この角速度センサは、上記第1実施形態の固定部18をなくして支持片16の一端を自由端に構成し、同支持片16を振動片16Aに代えたことを特徴としている。他の構成は上記第1実施形態と同じであり、発振源23及び圧電素子21,22により振動片12〜15を図6(A)又は図7(A)に示すように紙面左右方向であって振動片12,13の組と振動片14,15の組が互いに逆相になるように励振し、図6(B)又は図7(B)に示すように上記第1又は第2振動モードの振動片14,15の振動を角速度の検出に利用することも同じである。また、図6(C)又は図7(C)に示す第3振動モードの漏れ振動を前記振動片12〜15の励振に共振させて、漏れ振動を第3振動モードに集中させることも同じである。
【0023】
このように構成した第2実施形態においても、第3振動モードによる漏れ振動を互いに電気的に打ち消し合うようにするとともに、第1又は第2振動モードによる振動を大きな電気信号として取り出すようにして、角速度の検出精度を良好にすることも上記第1実施形態と同じである。
【0024】
さらに、この第2実施形態においては、角速度を検出するための第1又は第2振動モードによる振動片12,13の組と振動片14,15の組はそれぞれ逆相に振動するので、これらの振動によっては振動体10の重心位置は移動しない(図8(A)参照)。したがって、振動体10に作用する角速度によって、振動片16Aが振動することはない。一方、第3振動モードによる振動片12〜15の振動はすべて同相であるので、振動体10の重心位置が紙面垂直方向に移動することになり、振動片16Aは同重心位置の移動を抑制する方向、すなわち前記漏れ振動と逆相に振動する(図8(B)参照)。この振動片16Aの振動は前記漏れ振動の負荷となり、同漏れ振動を抑制するとともに、前記重心の移動の抑制により振動片12〜15の漏れ振動を安定化させる。この漏れ振動の安定化により、振動片14,15が均等な振幅で漏れ振動するようになるので、信号取り出し回路26による振動片14,15の振動を表す電気信号の合成により、漏れ振動を互いに打ち消し易くなる。その結果、この第2実施形態によれば、角速度の検出精度がより良好になる。
【0025】
また、この場合も、この角速度の検出精度が良好になったことを実験により確認すると、次のとおりである。上記第1実施形態と同様な条件で、この第2実施形態に係る角速度センサにおいて、振動体10の常温(20℃)時における漏れ振動に対する出力電圧を電気的なレベルシフト操作によりゼロ点に調整した上で、振動体10を80℃の環境下において漏れ振動による出力電圧を測定したところ、0.06Vの漏れ振動による出力電圧が観測された。したがって、この実験結果からもこの第2実施形態による角速度センサの検出精度が極めて良好になったことが理解できる。
【0026】
c.その他の変形例
なお、上記第1及び第2実施形態においては、振動体10をH型に構成するようにしたが、振動体10の形状は一対の振動片を有するものであれば、U字型など種々の形状に変形させることもできる。
【0027】
また、上記第1及び第2実施形態においては、振動体10を金属材料で構成して、圧電素子21,22により振動片12〜15を励振するとともに圧電素子24,25により振動片14,15の振動を検出するようにしたが、振動体10自体を圧電材料で構成するようにしてもよい。この場合、振動体10を励振したり、振動体10の振動を検出するために、上記圧電素子21,22,24,25に代えて導電材料で構成した励振用電極及び振動検出用電極を設けるようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る角速度センサの正面図である。
【図2】 (A)は励振による振動片の振動状態の一例を説明するための作動説明図であり、(B)は(A)の励振状態においてコリオリ力による振動片の振動状態を説明するための作動説明図であり、(C)は励振による振動片の漏れ振動の状態を説明するための作動説明図である。
【図3】 (A)は励振による振動片の振動状態の他の例を説明するための作動説明図であり、(B)は(A)の励振状態においてコリオリ力による振動片の振動状態を説明するための作動説明図であり、(C)は励振による振動片の漏れ振動の状態を説明するための作動説明図である。
【図4】 振動体の各種振動モードを説明するための説明図である。
【図5】 本発明の第2実施形態に係る角速度センサの正面図である。
【図6】 (A)は励振による振動片の振動状態の一例を説明するための作動説明図であり、(B)は(A)の励振状態においてコリオリ力による振動片の振動状態を説明するための作動説明図であり、(C)は励振による振動片の漏れ振動の状態を説明するための作動説明図である。
【図7】 (A)は励振による振動片の振動状態の他の例を説明するための作動説明図であり、(B)は(A)の励振状態においてコリオリ力による振動片の振動状態を説明するための作動説明図であり、(C)は励振による振動片の漏れ振動の状態を説明するための作動説明図である。
【図8】 (A)及び(B)は漏れ振動を抑制するための振動片の機能を説明するための各振動片の振動状態を説明するための作動説明図である。
【符号の説明】
10…振動体、11…連結片、12〜15,16A…振動片、16,17…支持片、18,19…固定部、21,22…励振用の圧電素子、23…発振源、24,25…検出用の圧電素子、26…信号取り出し回路、27…バンドパスフィルタ。
Claims (2)
- 角速度の被検出物体に少なくともその一端を固定した支持片の中央部から横方向に延設した連結片と、該連結片の両端に上方に延設した左右一対の励振用振動片と同連結片の両端に下方に延設した検出用振動片とにより構成した振動体と、前記支持片の軸線と直交する第1方向に前記励振用振動片を励振させる励振手段と、前記支持片の軸線及び前記第1方向の双方に直交する第2方向のコリオリ力による前記検出用振動片の各振動を検出する検出手段とを備え、前記検出手段により検出された前記検出用振動片の振動により前記支持片の軸線回りの角速度を検出するようにした角速度センサにおいて、
前記励振手段による励振周波数を、前記検出手段による検出振動の周波数に近い領域にて前記励振用振動片の励振による漏れ振動の共振周波数に近い周波数に設定して、前記検出用振動片の一方の振動片にてコリオリ力と同一方向に前記励振用振動片の励振による漏れ振動が発生し、同検出用振動片の他方の振動片にてコリオリ力と逆方向に前記励振用振動片の励振による漏れ振動が発生するようにし、前記検出手段が前記検出用振動片の振動を表す信号を合算して出力するようにしたことを特徴とする角速度センサ。 - 角速度の被検出物体にその一端を固定した支持片の中央部から横方向に延設した連結片と、該連結片の両端に上方に延設した左右一対の励振用振動片と同連結片の両端に下方に延設した検出用振動片とにより構成した振動体と、前記支持片の軸線と直交する第1方向に前記励振用振動片を互いに逆相に励振させる励振手段と、前記支持片の軸線及び前記第1方向の双方に直交する第2方向のコリオリ力による前記検出用振動片の各振動を検出する検出手段とを備え、前記検出手段により検出された前記検出用振動片の振動により前記支持片の軸線回りの角速度を検出するようにした角速度センサにおいて、
前記励振手段による励振周波数を、前記検出手段による検出振動の周波数に近い領域にて前記励振用振動片の励振による漏れ振動の共振周波数に近い周波数に設定して、前記検出用振動片の一方の振動片にてコリオリ力と同一方向に前記励振用振動片の励振による漏れ振動が発生し、同検出用振動片の他方の振動片にてコリオリ力と逆方向に前記励振用振動片の励振による漏れ振動が発生するようにし、前記検出手段が前記検出用振動片の振動を表す信号を合算して出力するようにしたことを特徴とする角速度センサ。
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