JP3768955B2 - 面実装型コイル部品及びその製造方法 - Google Patents

面実装型コイル部品及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器の回路基板に面実装する面実装型コイル部品及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コイル部品は、携帯電話、ハードディスク装置、ノート型パーソナルコンピュータ等の電子機器の電源回路に必須の電子部品である。なかでも、面実装型のコイル部品は、プリント配線板に低い高さで実装できるメリットがあることから、各種電子機器の小型化が進む昨今、その必要度が向上している(例えば、特許文献1参照)。また、コイル部品ではコアに巻線が捲回されるが、巻線が断面円形のものの他、導体の高充填率を実現できる平角タイプ(断面が長方形)の巻線も使用されている。平角巻線を利用したコイル部品の例が、下記特許文献2に記載されている。
【0003】
図18(a),(b)に、平角巻線を利用した従来の面実装型コイル部品の一例を示す。図18(a)は、面実装型コイル部品101の平面図であり、図18(b)は、図18(a)におけるXVIIIb−XVIIIb方向を模式的に示す断面図である。この面実装型コイル部品101は、実装されるべきプリント配線板にほぼ垂直に配置されると共に巻線105が捲回されたドラム型コア102と、このドラム型コア102の周囲に配設されたリング型コア103と、このリング型コア103に互いに離間して配された一対の端子電極部107a,107bとを備えている。図18(b)に示すように、各端子電極部107a,107bは、図中上下の部分を屈曲させた形状をなし、リング型コア103の外周部に接着されている。巻線105の両端末105a,105bは、溶接やハンダ付け等により端子電極部107a,107bに電気的に接続されている。本例では、ハンダ106a,106bによって接続が図られている。このような面実装型のコイル部品によれば、ある程度の低背化の要請に応えられる。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−332425号公報
【特許文献2】
特許第3204243号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の面実装型コイル部品には、次のような問題があった。すなわち、図18(b)に示すように、巻線105の両端末105a,105bは、ドラム型コア102から上方に導かれ、リング型コア103の肩部で折り曲げることで、リング型コア103の上部において端子電極部107a,107bと接続されている。
【0006】
このため、リング型コア103上に乗り上げた巻線105の厚さ分程、低背化が妨げられていた。ときには、巻線11の厚さ分のみならず、溶接やハンダ等による隆起分も低背化を妨げる要因となっていた(同図の例ではハンダ106a,106bが相当する)。つまり、上記従来のコイル部品では、昨今の電子機器の小型化に伴う低背化の要請に応えきれなくなっている。
【0007】
また、外装コアとしてのリング型コア103の肩部における折り曲げ作業が必要となることにより、コイル部品の生産性が妨げられていた。更に、平角巻線を利用しているため、巻線の幅方向がドラム型コアの高さ方向に沿うように捲回されている場合は、図中の領域Sのように捩れが生じるため、このことも生産性を低下させる要因となっていた。つまり、巻線を上記のように配線することが原因で、低背化が阻害されるだけでなく、巻線の電極への接続作業すなわち継線作業が煩わしくなっていたのである。なお、上記特許文献2のように平角巻線を同心円状にレコードのように捲回するエッジワイズ巻きを採用した場合は、巻線を幅方向に曲げる必要があり、この場合もやはり継線作業は面倒であった。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、低背化が図られると共に、平角巻線と電極の継線作業が容易な面実装型コイル部品及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、本発明は、巻線が捲回されたドラム型コアと、このドラム型コアを包囲するように設けられた外装コアと、この外装コアに取付けられた一対の電極とを備える面実装型コイル部品であって、巻線は、平角形状をなしており、外装コアは、複数の部分コアからなると共に、各部分コアの間にはギャップ部が形成されており、巻線の端末は、ギャップ部において、又は、ギャップ部より引き出された位置で、電極と接続されていることを特徴としている。
【0010】
本発明の面実装型コイル部品において、巻線の端末は、ドラム型コアの高さ方向に曲げずに上記ギャップ部に通されていることが好適である。
【0011】
ドラム型コアの高さ方向とは、ドラム型コアにおける巻線が捲回される胴部の軸方向に相当するものである。このような構成にした場合、面実装型コイル部品を側方、すなわちドラム型コアの高さ方向と直交する方向から見ると、巻線の端末が直線状になっている。そして、かかる構成では、コイル部品内における巻線の配線パターンが極めて簡潔で、継線作業も容易である。
【0012】
本発明の面実装型コイル部品において、巻線の端末は、ギャップ部において電極に接続されると共に、一の部分コアの第1面とこの部分コアと隣り合う部分コアの第2面とによって、ギャップ部が画成されており、第1面と第2面とは、互いの間隔がドラム型コアから順遠方向に拡大化していることが好適である。つまり、第1面と第2面とは、互いの間隔がドラム型コアから遠ざかるに連れて広がるように形成されていることが好ましい。
【0013】
ギャップ部において巻線と電極を継線すれば、外装コアの外側で継線を行う場合に比して、コイル部品を小型化することができる。更に、上記のように第1面及び第2面をドラム型コアの中心から外側に向けて広げることで、継線作業のためのスペースが確保されることになり、該作業をスムーズに実行できる。また、前記第1面と前記第2面との位置関係を略垂直にすれば、継線作業のスペースを充分に確保することができる。
【0014】
更に、本発明の面実装型コイル部品において、上記電極は、部分コアに取付けられる本体部と、当該本体部に連設された突片とを備え、この突片を本体部側に折曲げることで、本体部と突片との間に巻線の端末が狭まれていることが好適である。
【0015】
このような突片を設ければ、突片で巻線の端末を仮止めしてから溶接やハンダ付け等で接続を強固にするという手法を採ることができる。このため、面実装型コイル部品をプリント配線板等へ実装する際に、ハンダ付け等の熱で巻線の端末に施された溶接部分やハンダが溶融しても、巻線は突片で抑えられているため電極から離れて断線する事態を防止できる。
【0016】
このような構成を採るにあたって、更に、一の部分コアに取付けられた電極の突片は、ドラム型コアの高さ方向と直交する方向へ延伸させたときに、その部分コアと隣り合う部分コアに接触しないことが好適である。
【0017】
電極の本体部と突片との間に巻線を通す際に、突片の先端を電極本体部から離隔させて隙間を大きくしておけば、その作業を容易に行える。このような隙間を大きくすることによる作業容易性の効果は、外装コアの外周部で巻線と電極を継線する構成のときよりも、ギャップ部という限られた空間で継線する構成のときに顕著になる。そして、突片の先端と電極本体部との隙間を大きくするために突片を延伸させた場合に、隣の部分コアに接触しないように構成することで、該部分コアの存在が継線作業の妨げにならず、該作業をスムーズに行うことができる。
【0018】
また、上記突片を備えた構成を採るにあたって、ドラム型コアは、巻線が捲回された胴部と、この胴部の両側に設けられた一対の鍔部とを備え、電極の突片における根元部分は、ドラム型コアの高さ方向について、鍔部の周囲に位置することが好適である。
【0019】
このように、胴部の周囲でなく鍔部の周囲に突片の根元部分を位置させることで、巻線をギャップ部に通す際に突片の存在が妨げになることはなく、継線作業をスムーズに行える。
【0020】
更に、上記突片を備えた構成を採るにあたって、ドラム型コアは、巻線が捲回された胴部と、この胴部の両側に設けられた一対の鍔部とを備え、電極の突片は、一対の鍔部の間隔以上の長さを有することが好適である。
【0021】
突片をこのような長さで形成すれば、巻線の両端末が胴部の如何なる高さ位置から引き出されても、突片によって抑えることができる。また、巻線を例えばクロスワイズ等の方法で巻くことで一端が胴部の下側から引き出され、他端が胴部の上側から引き出されるような場合でも、突片は両端末を抑えることができる。従って、巻線の両端末それぞれのために電極を用意する必要がなく、生産効率が高まると共にコスト削減を実現することができる。
【0022】
また、本発明の面実装型コイル部品において、上記電極は、ドラム型コアの高さ方向における上側及び下側にそれぞれフック部を有し、上側及び下側のフック部によって部分コアに取付けられているようにしてもよい。電極をこのような構成にすれば、部分コアへの電極の取付けが容易で、且つ、不意の脱却を防止することができる。
【0023】
本発明の面実装型コイル部品は、巻線が捲回されたドラム型コアと、このドラム型コアを包囲するように設けられた外装コアと、この外装コアに取付けられた一対の電極とを備える面実装型コイル部品であって、巻線は、平角形状をなしており、外装コアは、複数の部分コアからなると共に、各部分コアの間にはギャップ部が形成されており、巻線の端末は、上記ギャップ部を通され、電極と接続されていることを特徴とする。
【0024】
本発明の面実装型コイル部品では、平角形状をなす巻線の端末はギャップ部を通され、外装コアの上側を迂回しない。このため、巻線が外装コアに載った分だけコイル部品の背が高くなるという問題は生じず、ほぼ巻線の厚さ分は低背化を実現できる。更に、巻線と電極の継線作業に際しては、巻線を外装コアの肩部で折り曲げる必要は無いため、その作業を容易に行うことができる。また、巻線の幅方向がドラムの高さ方向に沿うように捲回されている場合は、巻線を捻ることなくギャップ部を通せるため、継線作業が極めて容易となる。
【0025】
本発明に係る他の面実装型コイル部品は、巻線が捲回されたドラム型コアと、このドラム型コアを収容すると共に開放端を有する有底筒状の外装コアと、この外装コアに取付けられた一対の電極とを備える面実装型コイル部品であって、巻線は、平角形状をなしており、外装コアには、長手方向がドラム型コアの高さ方向に延びる第1のスリット及び第2のスリットが形成されており、第1のスリット及び第2のスリットは、ともに外装コアの開放端側に形成されていると共に、第1のスリットは、第2のスリットよりも長くされ、巻線の両端は、当該巻線の幅方向がドラム型コアの高さ方向に沿うようにして第1のスリット及び第2のスリットを通され、電極と接続されていることを特徴とする。
【0026】
本発明の面実装型コイル部品では、平角形状をなす巻線の端末は、外装コアに形成されたスリットを通されて、電極と接続される。つまり、巻線は外装コアの上側を迂回しないため、巻線が外装コアに載った分だけコイル部品の背が高くなるという問題は生じず、ほぼ巻線の厚さ分は低背化を実現できる。更に、巻線と電極を継線するに際しては、巻線を外装コアの肩部で折り曲げる必要は無いため、その作業を容易に行うことができる。また、巻線の幅方向がドラムの高さ方向に沿うように捲回されている場合は、巻線を捻ることなくスリットを通せるため、継線作業が極めて容易となる。
【0027】
本発明では、上記第1のスリット及び第2のスリットは、ともに外装コアの開放端側に形成されていると共に、第1のスリットは、第2のスリットよりも長くされている。例えば平角巻線をクロスワイズ法でドラム型コアに捲回した場合、巻線の一端はドラム型コアの下方から引き出され、巻線の他端はドラム型コアの上方から引き出される形になる。この際、下方から引き出された巻線を深さの深い第1のスリットに通し、上方から引き出された巻線を第2のスリットに通すことで、ドラム型コアを外装コアに収容した際に、外装コアが障害となって巻線が折り曲げられる事態を防止できる。
【0028】
また、上記第1のスリットを外装コアの底側に形成し、第2のスリットを外装コアの開放端側に形成してもよい。上記の如く巻線の一端がドラム型コアの下方から引き出され、巻線の他端はドラム型コアの上方から引き出される場合に、下側の巻線を第1のスリットに通し、上側の巻線を第2のスリットに通すことで、ドラム型コアを外装コアに収容した際に、外装コアが障害となって巻線が折り曲げられる事態を防止できる。
【0029】
更に、上記各面実装型コイル部品において、平角の巻線は、クロスワイズ法でドラム型コアに捲回されていることが好ましい。クロスワイズ法では、巻線はその幅方向がドラム型コアの高さ方向に沿うようにして捲回されるため、捻ることなく、上記のギャップ又はスリットに通すことができる。
【0030】
本発明に係る面実装型コイル部品の製造方法は、巻線が捲回されたドラム型コアと、このドラム型コアを包囲するように設けられた外装コアと、この外装コアに取付けられた一対の電極とを備える面実装型コイル部品の製造方法であって、外装コアを構成する複数の部分コアを、各部分コアの間にギャップ部が形成され且つ当該ギャップ部に平角形状の巻線の端末が通るようにドラム型コアに接着する工程と、巻線の端末と電極とを接続する工程と、を含むことを特徴としている。
【0031】
このような製造方法によれば、平角形状の巻線の端末と電極を継線するに際して、巻線は上記ギャップ部に通されるため外装コアの肩部で折り曲げる必要は無く、その作業を容易に行うことができる。また、得られる面実装型コイル部品では、巻線は外装コアの上側を迂回しないため、巻線が外装コアに載った分だけコイル部品の背が高くなるという問題は生じず、ほぼ巻線の厚さ分は低背化を実現することができる。しかも、巻線の幅方向がドラムの高さ方向に沿うように捲回されている場合は、巻線を捻ることなくギャップ部を通せるため、継線作業が極めて容易となる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る面実装型コイル部品及びその製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。尚、同一要素には同一符号を用いるものとし、重複する説明は省略する。
【0033】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態の面実装型コイル部品10を示す斜視図であり、図2(a)〜(c)は、それぞれ同コイル部品10の平面図、正面図、側面図である。面実装型コイル部品10は、プリント配線板等にリフローハンダ付け等で面実装された上で、携帯電話、ハードディスク装置、ノート型パーソナルコンピュータ等の電子機器の電源回路に適用され、例えば250kHz〜1MHzのスイッチング周波数で好適に使用されるものである。
【0034】
面実装型コイル部品10は、胴部に巻線11が捲回されたドラム型コア12と、このドラム型コア12を包囲するように設けられた外装コア14とを主として備える。巻線11は平角形状のもの(断面が長方形)を使用しており、丸線タイプに比して導体の高充填率が実現されている。外装コア14は、同一形状の2つの部分コア15,16から形成されており、各部分コア15,16は、ドラム型コア12との間にコアギャップ18を介して配置されている。各部分コア15,16には一対の電極25,26が取付けられており、巻線11の両端末11a,11bはそれぞれ電極25,26に継線される。尚、発明を理解し易くするために、図2(a)においては、電極25側は巻線と電極の継線作業を施した状態を示し、電極26側は継線作業を施す前の状態を示している。
【0035】
ドラム型コア12は、例えばNi−Cu−Zn系の磁性材料で形成され、巻線11が捲回された円柱状の胴部12aと、この胴部12aの両側に設けられた円板状の一対の鍔部12b,12cとから構成されている。巻線11は、銅線に絶縁用のウレタン被膜を施したものであり、両先端部においては電極25,26との導通を図るためにウレタン被膜が除去されている。また、本実施形態では、巻線11は、いわゆるクロスワイズ法で胴部12aに巻かれている(後述の図3A(a)〜(c)を参照)。
【0036】
外装コア14は、ドラム型コア12と同様に、例えばNi−Cu−Zn系の磁性材料で形成することができる。各部分コア15,16は横断面が略V字状であり、その内壁面は、コアギャップ18を周方向に沿って一定にするために、ドラム型コア12の外周面に対応させて曲面状となっている。尚、コアギャップ18は、粒径の揃ったガラスビーズ等の略球状の絶縁体を混練した接着剤によってドラム型コア12と各部分コア15,16を接着することで、鍔部12b,12cの円周方向に沿ってほぼ一様の寸法にすることができる。また、図2(b),(c)から判るように、部分コア15,16の高さは、ドラム型コア12よりも若干低くなっている。更に、各部分コア15,16は平面視において互いの2つの先端部が対向するようにドラム型コア12の周囲に配されており、各先端部の間には、ギャップ部21,22(図2(a)に破線で示す領域)が形成されている。
【0037】
部分コア15,16は、平面視において矩形状の外装コアを単に対角線に沿って区分けしたのではなく、他方の部分コアに対向するそれぞれの先端部を切り欠き或いは面取りしたような形状になっている。そして、部分コア15の面(第1面)SA1と部分コア16の面(第2面)SB1とでギャップ部21が画成され、部分コア15の面(第1面)SA2と部分コア16の面(第2面)SB2とでギャップ部22が画成されている。
【0038】
より詳しくは、部分コア15におけるギャップ部21を画成する面SA1と、部分コア15と隣り合う部分コア16における当該ギャップ部21を画成する面SB1とは、互いの間隔がドラム型コア12から遠ざかるに連れて広がるように形成されている。ギャップ部22側においても、面SA2と面SB2とは同様に外側に向けて広がるように形成されている。つまり、各ギャップ部21,22は、外側に向かうに連れて広がる空間となっている。尚、本実施形態では、上記の面SA1と面SB1とは略垂直の位置関係にあり、同様に面SA2と面SB2も略垂直の位置関係にある。ここで、略垂直とは、両面のなす角度が必ずしも90°である必要は無く、若干のズレがあってもよいことを意味する。ズレの範囲としては、例えば80°〜100°とすることが考えられる。
【0039】
電極25,26は、部分コア15,16におけるギャップ部21,22近傍に取付けられた本体部25a,26aと、この本体部に連設されてギャップ部21,22に位置する帯状の突片(案内片)25b,26bとを有する。本体部25a,26aは、部分コアの外壁に面接触する長方形状の中心部分を有し、該中心部分よりも高さの小さな部分が図2(c)における左右方向に延設されている。そして、その延設された同図右側の部分は面SA1に倣うように屈曲されており、この屈曲部分から上記の突片25b,26bが外方に突出している。更に、図2(b)の図中右側に示すように、電極25,26の底部は内側に折曲げられており、該底部は部分コア底面に形成された段部に収められている。そして、電極25,26は、例えば一液性エポキシ樹脂等の各種接着剤によって部分コアに接着される。このような電極の底部をリフローハンダ付け等を施すことで、プリント配線板に面実装型コイル部品10が実装されることになる。尚、電極25,26はリン青銅で形成されており、部分コアと対面する領域を除いてメッキがされている。メッキ処理は、例えば厚さ0.5μmのNiによる下地メッキを施した上で、厚さ4μmのSn100%のメッキを施すという手法を採ることができる。
【0040】
また、電極25,26の突片25b,26bは、巻線11の継線作業を行う前段階では、図1に二点鎖線で示すように部分コア15の面SA1の略法線方向(X方向)に延伸されている。この状態は、図2(c)からも判る。そして、継線に際しては、巻線の端末11a,11bをそれぞれギャップ部21,22に通し、突片25b,26bをかしめ加工等で電極の本体部25a,26a側に折り曲げ、本体部と突片との間に巻線の端末11a,11bの被膜が除去された部分を挟み込む形になる。尚、突片による挟み込みは仮止めであり、図2(a)のギャップ部21側のようにその上からアーク溶接やレーザビーム溶接、或いはハンダ付け等を施すことで継線作業が完了する。このように突片25b,26bによって仮止めする手法を採ることで、その後のハンダ付け等の作業を容易且つ確実に行うことができる。更に、面実装型コイル部品10をプリント配線板等へ実装する際に、ハンダ付け等の熱で継線箇所に施された溶接部分やハンダが溶融しても、巻線は突片で抑えられているため電極25,26から離隔する断線事態を防止できる。
【0041】
次に、面実装型コイル部品から得られる効果を説明する。上記のように、巻線の端末11a,11bは、部分コア15,16間のギャップ部21,22において、それぞれ電極25,26と接続される。つまり、巻線11は外装コア14の上側を迂回しないため、巻線11が外装コア14に載った分だけコイル部品の背が高くなるという問題は生じず、ほぼ巻線11の厚さ分(更には溶接或いはハンダ付けの隆起分)は低背化を実現できる。また、巻線11と電極25,26との継線作業に際しては、巻線11を外装コア14の肩部で折り曲げる必要は無いため、その作業を容易に行うことができる。
【0042】
また、部分コア15の面SA1と部分コア16の面SB1とは略垂直であり、互いの間隔が外側に向けて徐々に広がるように形成されているため、ギャップ部21は継線作業を行うために充分なスペースとなっている。ギャップ部22についても同様のことが言える。
【0043】
尚、本実施形態では、ギャップ部21,22内において継線しているが、継線は巻線の端末11a,11bをギャップ部21,22から引き出して行う形態にしてもよい。つまり、巻線の端末がギャップ部21,22に通された上で電極に接続されていればよい。この形態を詳しく説明すると、ギャップ部から引き出した巻線を例えば面SA1の外側の辺部で屈曲させ、外装コア14の外周部の領域で電極に接続する。この場合も、巻線11を外装コア14の肩部で折り曲げる必要は無いため、継線作業を容易に行うことができる。もっとも、外装コア14の外周部で継線を行うと、継線に要する電極の突片や溶接の隆起分だけコイル部品10の寸法が大きくなるため、小型化の観点からはギャップ部21,22において巻線と電極とを継線することが好ましい。
【0044】
更に、本実施形態では、図2(b),(c)に示すように、巻線の端末11a,11bは、ドラム型コア12の高さ方向(Z方向)に曲げずにギャップ部21,22に通されている。つまり、面実装型コイル部品10を側方から見た場合に、巻線の端末11a,11bは直線状になっている。そして、このような構成にすれば、巻線の胴部12aから外装コア14に向かう線分が折り曲げられた場合に比して、コイル部品10内における巻線の配線パターンが極めて簡潔で、継線作業も容易に行うことができる。しかも、後述するように巻線11はクロスワイズ法でドラム型コア12に捲回されていることから、その幅方向がドラム型コア12の高さ方向に一致している(図3(c)参照)。そして、ギャップ部21,22もドラム型コア12の高さ方向に延びているため、巻線11を捻らずにギャップ部を通すことができ、この観点からも継線作業が容易になっていると言える。
【0045】
また、図1に示すように、部分コア15に取付けられた電極25の突片25bは、ドラム型コア12の高さ方向と直交する方向(X方向)へ延伸させたときに、隣り合う部分コア16に接触しないようになっている。これにより、部分コア16によって突片25bをX方向に延伸させることが阻害されないことから、電極の本体部25aと突片25bの先端部との間隔を充分確保することができ、巻線を電極本体部25aと突片25bとの間に通しやすくなり、継線作業が容易になる。
【0046】
ここで、図2(c)を参照して、電極25,26の突片25b,26bについて詳説する。同図に示すように、電極の突片26bにおける根元部分26c、すなわち本体部26aとの境界付近は、ドラム型コアの高さ方向(Z方向)について、鍔部12cの周囲に位置している(図中、鍔部12cの隠れた部分を破線で示す)。このように、胴部12aの周囲でなく鍔部12cの周囲に突片の根元部分26cを位置させることで、巻線11の端末11bをギャップ部22に通す際に突片26bの存在が妨げになることはなく、継線作業をスムーズに行える。尚、図2(b)に示すように、突片25bについても、同様にその根元部分は胴部12aではなく鍔部12cの周囲に位置している。
【0047】
また、突片25b,26bの長手方向の長さXは、鍔部12bと鍔部12cとの間隔以上となっている。このため、巻線の両端末11a,11bが胴部12aの如何なる高さ位置から引き出されても、突片25b,26bによって抑えることができる。本実施形態ではクロスワイズ法で捲回されているため、胴部12aにおいて巻線は2段に積層されており、図2(b)に示すように一方の端末11aは上側から引き出され、図2(c)に示すように他方の端末11bは下側から引き出されている。このように引き出される巻線の高さ位置が両端側で異なる場合でも、突片の長さXを上記のようにすることで、両端末11a,11bを抑えることができる。従って、各端末11a,11bそれぞれ用の電極を用意する必要はなく、一種類の電極で済ませることができるため、生産効率が高まると共にコスト削減を図ることができる。尚、このように一種類の電極で巻線の各端末について共用するための他の方法として、電極の上下両方に突片を設け、各突片の長さの合計を鍔部12b,12c間の長さ以上にすることが挙げられる。
【0048】
次に、図3〜図7を参照して、本実施形態の面実装型コイル部品10の製造方法を説明する。
【0049】
まず、図3(a)に示すようにドラム型コア12の胴部12aにクロスワイズ法によって巻線11を巻き始める。クロスワイズ法とは、1本の巻線をドラム型コアの下側及び上側にそれぞれ反対周りに巻き付けるものである。尚、同図では、上側の鍔部12bを省略している。図3(b)及び図3(c)は、巻線11の捲回を終えた状態を示す。図3(b)に示すように、捲回し終えた後に、巻線11の両端末11a,11bの先端部の絶縁被覆を除去する。また、図3(c)に示すように、クロスワイズ法では、巻線11は2段積層された形になり、巻線の幅方向はドラム型コア12の高さ方向に沿っている。このように積層数を2段に抑えることで、コイル部品10を低背にすることができる。
【0050】
次に、図4に示すように、ドラム型コア12に各部分コア15,16を接着する。接着に際しては、まず、電極が取付けられた部分コア15の内周面に、コアギャップ18を一様にするために例えば上記のように粒径が揃った複数個のガラスビーズ入りの接着剤を塗布した上で、ドラム型コア12を接着剤が塗布された部分に当接させ、ヒートプレス(150℃で約60〜120秒)で接着剤を仮硬化させる。次いで、ドラム型コア12と部分コア16を押し付けない圧力フリー状態で、150℃で約30〜60分間加熱し、接着剤を本硬化させる。続いて、部分コア16を同様の手法でドラム型コア12に接着する。この際、巻線の端末11a,11bがそれぞれのギャップ部21,22を通るようにする。
【0051】
ここで、図18に示した従来の形態では、製造に際してリング型コア103にドラム型コア102を挿通させるため、リング型コア103の内周面に対してクリアランスをもってドラム型コア102の外径寸法を定めていた。ところが、リング型コアの中心位置からドラム型コアの軸中心から偏心してしまい、その結果、所望の直流重畳特性が得られないという問題が生じていた。これに対して、本実施形態では外装コア14を複数の部分コアに分割するという構成を採っているため、外装コア14とドラム型コア12との間のコアギャップ18を均一にし易くなっている。その結果、外装コアとドラム型コアを組み立てる際に余分なクリアランスが不要となり、小面積化を実現することができる。特に、上記のように外装コアを分割することで、上記のように粒径の揃ったガラスビーズ入りの接着剤を使用することが可能となった。尚、コアギャップ18を一様にするために、ガラスビーズ入りの接着剤に代えて厚さが均一なシートを使用してもよい。
【0052】
次に、図5に示すように、ワイヤフォーミングによって巻線の端末11a,11bを電極の本体部25a,26a側に近付けた後に、突片25b,26bをかしめて巻線を仮止めする。この際、上記のようにギャップ部21,22は継線するのに十分なスペースとなっているため、作業をスムーズに行える。尚、図4に示す状態から突片25b,26bをかしめて、突片に押されることで巻線の端末11a,11bが自然と本体部25a,26a側に案内されるようにしてもよい。このように突片25b,26bを案内片として利用すれば、ワイヤフォーミングの工程を省略することができる。
【0053】
次いで、図6に示すように、突片25b,26bに挟まれた巻線の先端部分をカッター等で切断する。その後、図7に示すように突片25b,26bを覆うようにアーク溶接やレーザビーム溶接或いはハンダ付け等を施し、巻線11と電極25,26の継線作業が終了する。以上により、本実施形態の面実装型コイル部品10が完成する。
【0054】
[第2実施形態]
次に、図8及び図9を参照して、本発明に係る面実装型コイル部品30の第2実施形態を説明する。図8は、本実施形態のコイル部品の斜視図であり、図9(a)は、コイル部品の平面図であり、図9(b)は、図9(a)のIXb− IXb方向の断面図である。
【0055】
面実装型コイル部品30は、平角形状の巻線11がクロスワイズ法で捲回されたドラム型コア12と、このドラム型コア12とほぼ一様のコアギャップ18を介して接着された一対の略U字型の部分コア35,36からなる外装コア34とを有している。部分コア35と部分コア36とは、互いに接合しないように対面位置にギャップ部41,42を介してドラム型コア12を側方から包囲している。コアギャップ18は、第1実施形態と同様に、粒径の揃ったガラスビーズ入り接着剤等を使用することで、その寸法を周方向に渡ってほぼ一定にすることができる。
【0056】
部分コア35には、部分コア36側に向けて平行に突設された直方体形状の脚部(対向突部)35a,35bが形成されており、該脚部35a,35bには、一対のキャップ状電極45,46が取付けられている。キャップ状電極45,46は、部分コア35に嵌着される本体部45a,46aと、この本体部に連設されてギャップ部41,42に位置する突片(案内片)45b,46bとを備える。
【0057】
電極本体部45a,46aは、各部分コアの脚部35a,35bの外側に位置する四辺形状の中心部と、その上下四隅に形成された帯状の片を折り曲げてなるフック部45h,46hとを備える。キャップ状電極45,46は、ドラム型コア12の高さ方向の上側及び下側に形成されたフック部45h,46hの挟み込みによって、脚部35a,35bに嵌着されている。このようなキャップ状電極45,46を用いることで、部分コアへの電極の取付けが容易で、且つ、不意の脱却を防止することができる。尚、下側のフック部45h,46hを通じて、プリント配線板との導通が図られる。尚、第1実施形態の面実装型コイル部品において、このようなキャップ状電極を適用することもできる。また、キャップ状電極は、本体部の四辺形領域を部分コアの内側に配置し、各フック部を外側に屈曲させて脚部35a,35bに取付けてもよい。
【0058】
突片45b,46bは、第1実施形態と同様に巻線の端末11a,11bを電極本体部との間に挟み込み、固定を補助するためのものである。突片45bは、図中下方に折り曲げて巻線を仮止めするように構成され、これとは反対に、突片46bは、上方に折り曲げて巻線を仮止めするようになっている。尚、図8は、突片で巻線を抑える前の状態を示し、図9は、突片を折り曲げて巻線を仮止めした状態を示す。図9の状態にアーク溶接やハンダ付け等を施すことにより、継線が完了する。
【0059】
本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、巻線の端末11a,11bは、部分コア45,46間のギャップ部41,42において、それぞれキャップ状電極45,46と接続される。つまり、巻線11は外装コア34の上側を迂回しないため、ほぼ巻線11の厚さ分(更には溶接或いはハンダ付けの隆起分)は低背化を実現できる。また、巻線11とキャップ状電極45,46の継線作業に際しては、巻線11を外装コア34の肩部で折り曲げる必要は無いため、その作業を容易に行うことができる。しかも、クロスワイズ法を利用して平角巻線11の幅方向がドラム型コア12の高さ方向に一致しているため、巻線を捻らずにギャップ部を通すことができ、この観点からも継線作業が極めて容易になっている。
【0060】
[第3実施形態]
次に、図10を参照して、本発明に係る面実装型コイル部品の第3実施形態を説明する。図10(a)は、本実施形態の面実装型コイル部品の平面図であり、図10(b)は、図10(a)のXb− Xb方向の断面図である。
【0061】
本実施形態の面実装型コイル部品50では、外装コア54を構成する部分コア55,56を同一形状のU字型にしている。このため、部分コア55,56間に形成されたギャップ部61とギャップ部62とを結んだ直線状にドラム型コア12の軸中心が位置する配置関係になっている。
【0062】
また、一対の電極65,66は、部分コア55の両脚部に接着剤によって接着されている。電極65,66は、部分コア55に接着される本体部65a,66aと、この本体部に連設された突片65b,66bとからなる。そして、第2実施形態と同様に、平角巻線の端末11a,11bはギャップ部61,62に通され、突片65b,66bによりギャップ部61,62において仮止めされている。図10の状態から、突片65b,66b付近を覆うようにアーク溶接やハンダ付け等を施すことで、継線が完了する。
【0063】
本実施形態においても、上記各実施形態と同様に巻線をギャップ部61,62に通すため、ほぼ巻線の厚さ分の低背化を図れる。更に、外装コアの肩部での折り曲げ作業が不要であることから巻線と電極との継線作業を容易に行える。しかも、平角巻線11の幅方向がドラム型コア12の高さ方向に一致しているため、巻線を捻らずにギャップ部を通すことができ、この観点からも継線作業が極めて容易になっている。また、本実施形態では、部分コア55,56を同一形状にしているため、第2実施形態と比較して、一種の部分コアを作製すれば済むという利点がある。
【0064】
[第4実施形態]
次に、図11を参照して、本発明に係る面実装型コイル部品の第4実施形態を説明する。図11(a)は、本実施形態の面実装型コイル部品の平面図であり、図11(b)は、図11(a)のXIb− XIb方向の断面図である。
【0065】
本実施形態では、面実装型コイル部品を平面視して外装コア54の外縁に沿って四角形(図11(a)において破線で示す)を仮想した場合に、部分コア55,56間のギャップ部61,62は対向する2つの頂点付近にそれぞれ位置している。また、部分コア55,56におけるギャップ部61,62を画成する面は、この仮想四角形の対角線l1と平行になっている。つまり、ギャップ部61,62は、ドラム型コア12の半径方向に渡って一定の幅になっている。
【0066】
本実施形態においても、上記各実施形態と同様に平角巻線をギャップ部61,62に通すため、ほぼ巻線の厚さ分の低背化を図れる。更に、外装コアの肩部での折り曲げ作業が不要であることから巻線と電極との継線作業を容易に行える。但し、ギャップ部61,62が外側に向かって広がる構造としていないため、継線作業の容易性という観点からは、本実施形態よりも第1実施形態の方が優れた構成といえる。
【0067】
[第5実施形態]
次に、図12を参照して、本発明に係る面実装型コイル部品の第5実施形態を説明する。図12(a)は、本実施形態の面実装型コイル部品の平面図であり、図12(b)は、図12(a)のXIIb− XIIb方向の断面図である。
【0068】
本実施形態では、外装コア74を構成する各部分コア75,76のいずれについても、他方のコアに向かう脚部の長さが左右(図12(a)では上下)で異なるようにしている。部分コア75では脚部75rが他方の脚部75lよりも長く、部分コア76では脚部76rが他方の脚部76lよりも長くされている。また、部分コア75と部分コア76は、同一の形状になっている。
【0069】
更に、部分コア75の両脚部75r,75lには、一対の電極65,66が取付けられている。電極65,66は第3実施形態と同種の構造をしており、部分コアに接着される本体部65a,66aとこれに連設されてギャップ部61,62に位置する突片65b,66bとを備える。
【0070】
本実施形態においても、上記各実施形態と同様に平角巻線をギャップ部61,62に通すため、ほぼ巻線の厚さ分の低背化を図れる。更に、外装コアの肩部での折り曲げ作業が不要であることから巻線と電極との継線作業を容易に行える。
【0071】
[第6実施形態]
次に、図13を参照して、本発明に係る面実装型コイル部品の第6実施形態を説明する。
【0072】
本実施形態の面実装型コイル部品90では、ドラム型コア12を包囲する外装コア84は、部分コア85と部分コア86とで構成されている。そして、部分コア85と部分コア86との間には、ギャップ部21が一箇所だけ形成されている。更に、この一つのギャップ部21に平角巻線の両端末11a,11bを通し、それぞれ電極25,26に接続している。電極としては、例えば第1実施形態のように突片を備えるものを使用できる。
【0073】
このような構成にした場合、突片で巻線を挟む仮固定や、その後のアーク溶接やハンダ付け等の継線作業をギャップ部21の一箇所で集中して行えるため、面実装型コイル部品の製造作業がスムーズになり、生産性の向上にも繋がる。
【0074】
尚、本実施形態では、ギャップ部が一つだけ形成されているが、第1実施形態のようにギャップ部が複数形成されている場合に、そのうちの一つに平角巻線の両端末を通すようにしてもよい。
【0075】
[第7実施形態]
次に、図14を参照して、本発明に係る面実装型コイル部品の第7実施形態を説明する。
【0076】
本実施形態の面実装型コイル部品98では、ドラム型コア12を包囲する外装コア94は、部分コア95、部分コア96、及び部分コア97の3つで構成されている。見方を変えると、図10に示した面実装型コイル部品50における部分コア56を二分したものに相当する。このように外装コアを3分した構造のため、それぞれの部分コア間には、3つのギャップ部91,92,93が形成されている。ギャップ部を複数設ければ、直流重畳特性を良好に、すなわち電流変化に対するインダクタンスの変化が小さくできるという利点がある。
【0077】
また、部分コア95の両脚部には、一対の電極65,66が取付けられている。そして、巻線の両端末11a,11bは、ギャップ部91,92に通されて、各電極65,66に接続されている。
【0078】
このように、外装コアを3分した場合にも、上記各実施形態と同様の効果が得られる。更に、図示は省略するが、外装コアを4つ以上の部分コアで形成する場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0079】
[第8実施形態]
次に、図15及び図16を参照して、本発明に係る面実装型コイル部品の第8実施形態を説明する。図15は、巻線と電極を継線する前の状態を示す斜視図であり、図16は、巻線と電極を継線した状態を示す拡大図である。
【0080】
図15に示すように、本実施形態の面実装型コイル部品1は、胴部に平角形状の巻線11が捲回されたドラム型コア12と、このドラム型コア12を収容する外装コア4とを主として備える。外装コア4は、開放端4aを有する有底筒状のポットコア構造となっており、ドラム型コア12との間にコアギャップ18を介して配置されている。
【0081】
ドラム型コア12は、上記各実施形態と同様に、例えばNi−Cu−Zn系の磁性材料で形成され、巻線11が捲回された円柱状の胴部と、この胴部の両側に設けられた円板状の一対の鍔部とから構成されている。また、平角巻線11は、クロスワイズ法でドラム型コア12の胴部に巻かれている。クロスワイズ法では巻線は2層で巻かれるが、端部11aが下側で、端部11bが上側となっている。
【0082】
外装コア4は、例えばNi−Cu−Zn系の磁性材料で形成され、開放端4aからドラム型コア12が落とし込まれる形になる。更に、外装コア4には、それぞれ長手方向がドラム型コア12の高さ方向に延びる第1のスリット5及び第2のスリット6が形成されている。各スリット5,6は、開放端4a側から切り込まれており、第1のスリット5の方が第2のスリット6よりも長さが長くなっている。このようなスリットは、ポットコアを作製した後に、例えば切削加工で形成される。
【0083】
そして、巻線の両端11a,11bは、その幅方向がドラム型コア12の高さ方向に沿うようにして各々第1のスリット5及び第2のスリット6を通され、電極と接続されることになる。
【0084】
図16は、巻線の端部11bと電極7との継線状態を示す拡大図である。電極7としては、第1実施形態と同様のものを使用することができ、外装コア4における第2のスリット6近傍に取付けられた本体部7aと、この本体部に連設された帯状の突片(案内片)7bとを有する。継線に際しては、巻線の端末11bを第2のスリット6に通し、突片7bをかしめ加工等で電極の本体部7a側に折り曲げ、本体部と突片との間に巻線の端末11bの被膜が除去された部分を挟み込む形になる。突片による挟み込みは仮止めであり、その上からアーク溶接やレーザビーム溶接、或いはハンダ付け等を施すことで継線作業が完了する。また、巻線の端末11b側について説明したが、端末11a側も同様の電極と継線される。
【0085】
このような構成の面実装型コイル部品1によれば、平角形状をなす巻線の端末11a,11bは、それぞれスリット5,6を通されて電極と接続されるため、巻線を外装コア4の上側を迂回させる必要は無い。その結果、巻線11が外装コアに載った分だけコイル部品の背が高くなるという問題は生じず、ほぼ巻線の厚さ分は低背化を実現できる。更に、巻線11と電極を継線するに際しては、巻線を外装コア4の肩部で折り曲げる必要は無いため、その作業を容易に行うことができる。また、クロスワイズ法によって巻線11の幅方向がドラムの高さ方向に沿うように捲回されているため、巻線を捻ることなくスリット5,6を通せることになり、継線作業が極めて容易となる。
【0086】
しかも、第1のスリット5を第2のスリット6よりも長さを長くしているため、ドラム型コア12の高さ方向における下側から引き出された端末11aを第1のスリット5に通し、上側から引き出された端末11bを第2のスリット6に通すことで、外装コア4が障害となって巻線11が折り曲げられたり破損したりする事態を防止できる。
【0087】
[第9実施形態]
次に、図17を参照して、本発明に係る面実装型コイル部品の第9実施形態を説明する。
【0088】
同図は、本実施形態の面実装型コイル部品1の正面図である。外装コア4に収容されたドラム型コアの図示は省略しているが、第8実施形態と同様に巻線はクロスワイズ法で巻かれている。また、外装コア4については、第8実施形態と同様にポットコアとされており、側壁には第1のスリット5及び第2のスリット6が形成されている。但し、スリットの形成位置については、第8実施形態と異なっており、第1のスリット5は外装コア4の底側に形成され、一方、第2のスリット6は外装コア4の開放端4a側に形成されている。
【0089】
このような構成にした場合も、ドラム型コアの高さ方向における下側から引き出された巻線の端末11aを第1のスリット5に通し、上側から引き出された端末11bを第2のスリット6に通すことで、外装コア4が障害となって巻線11が折り曲げられたり破損したりする事態を防止できる。但し、ドラム型コアをポット型の外装コア4へ収容する際の容易性という観点からは、単にドラム型コアを落とし込むだけで各スリット5,6に巻線の両端11a,11bが差し込まれる第8実施形態の方が優れている。
【0090】
以上、本発明者らによってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、図10(b)に示す形態(第3実施形態)において、部分コアの脚部を、断面が内側(ドラム型コア側)に向けて高さが窄まるようにテーパ状に形成することができる。この際、電極本体部における上下の片を互いに近付くように屈曲させれば、接着剤を使わずに電極を部分コアに嵌め込むことができる。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る面実装型コイル部品及びその製造方法によれば、低背化が実現され、しかも、平角巻線と電極の継線作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る面実装型コイル部品の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は、第1実施形態の面実装型コイル部品の平面図であり、図2(b)は、図2(a)に示したコイル部品の正面図であり、図2(c)は、図2(a)に示したコイル部品の側面図である。
【図3】図3(a)は、ドラム型コアに巻線を巻き始める状態を示す図であり、図3(b)及び図3(c)は、巻線の捲回を終えた状態を示す図である。
【図4】面実装型コイル部品の製造の一工程を示し、ドラム型コアと部分コアを接着する状態を示す図である。
【図5】図4に続く工程であり、電極の突片によって巻線を仮止めした状態を示す図である。
【図6】図5に続く工程であり、巻線の先端部を切断した状態を示す図である。
【図7】図6に続く工程であり、電極の突片付近に溶接を施して継線を終えた状態を示す図である。
【図8】本発明に係る面実装型コイル部品の第2実施形態を示す斜視図である。
【図9】図9(a)は、第2実施形態の面実装型コイル部品の平面図であり、図9(b)は、図9(a)に示したコイル部品のIXb− IXb断面図である。
【図10】図10(a)は、第3実施形態の面実装型コイル部品の平面図であり、図10(b)は、図10(a)に示したコイル部品のXb− Xb断面図である。
【図11】図11(a)は、第4実施形態の面実装型コイル部品の平面図であり、図11(b)は、図11(a)に示したコイル部品のXIb− XIb断面図である。
【図12】図12(a)は、第5実施形態の面実装型コイル部品の平面図であり、図12(b)は、図12(a)に示したコイル部品のXIIb− XIIb断面図である。
【図13】第6実施形態の面実装型コイル部品の平面図である。
【図14】第7実施形態の面実装型コイル部品の平面図である。
【図15】第8実施形態の面実装型コイル部品の斜視図である。
【図16】第8実施形態の面実装型コイル部品における継線部分の拡大図である。
【図17】第9実施形態の面実装型コイル部品の正面図である。
【図18】図18(a)は、従来の面実装型コイル部品を示す平面図であり、図18(b)は、図18(a)に示したコイル部品のXVIIIb− XVIIIb断面図である。
【符号の説明】
10…面実装型コイル部品、11…平角巻線、11a,11b…巻線の端末、12…ドラム型コア、12a…胴部、12b,12c…鍔部、14…外装コア、15,16…部分コア、18…コアギャップ、21,22…ギャップ部、25,26…電極、25a,26a…電極の本体部、25b,26b…電極の突片、SA1…ギャップ部を画成する第1面、SA2…ギャップ部を画成する第2面、45,46…キャップ状電極、45h,46h…フック部、5…第1のスリット、6…第2のスリット。

Claims (14)

  1. 巻線が捲回されたドラム型コアと、このドラム型コアを包囲するように設けられた外装コアと、この外装コアに取付けられた一対の電極とを備える面実装型コイル部品であって、
    前記巻線は、平角形状をなしており、
    前記外装コアは、複数の部分コアからなると共に、前記各部分コアの間にはギャップ部が形成されており、
    前記巻線の端末は、前記ギャップ部において、又は、前記ギャップ部より引き出されて、前記電極と接続されていることを特徴とする面実装型コイル部品。
  2. 前記巻線の端末は、前記ドラム型コアの高さ方向に曲げずに前記ギャップ部に通されていることを特徴とする請求項1記載の面実装型コイル部品。
  3. 前記巻線の端末は、前記ギャップ部において前記電極に接続されると共に、
    一の前記部分コアの第1面とこの部分コアと隣り合う部分コアの第2面とによって、前記ギャップ部が画成されており、
    前記第1面と前記第2面とは、互いの間隔が前記ドラム型コアから遠ざかるに連れて広がるように形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の面実装型コイル部品。
  4. 前記第1面と前記第2面とは、略垂直であることを特徴とする請求項3記載の面実装型コイル部品。
  5. 前記電極は、前記部分コアに取付けられる本体部と、当該本体部に連設された突片とを備え、
    前記突片を前記本体部側に折曲げることで、前記本体部と前記突片との間に前記巻線の端末が狭まれていることを特徴とする請求項1〜請求項4のうち何れか一項記載の面実装型コイル部品。
  6. 一の前記部分コアに取付けられた前記電極の前記突片は、前記ドラム型コアの高さ方向と直交する方向へ延伸させたときに、その部分コアと隣り合う部分コアに接触しないことを特徴とする請求項5記載の面実装型コイル部品。
  7. 前記ドラム型コアは、前記巻線が捲回された胴部と、この胴部の両側に設けられた一対の鍔部とを備え、
    前記電極の前記突片における根元部分は、前記ドラム型コアの高さ方向について、前記鍔部の周囲に位置することを特徴とする請求項5又は請求項6記載の面実装型コイル部品。
  8. 前記ドラム型コアは、前記巻線が捲回された胴部と、この胴部の両側に設けられた一対の鍔部とを備え、
    前記電極の前記突片は、前記一対の鍔部の間隔以上の長さを有することを特徴とする請求項5〜請求項7のうち何れか一項記載の面実装型コイル部品。
  9. 前記電極は、前記ドラム型コアの高さ方向における上側及び下側にそれぞれフック部を有し、前記上側及び下側のフック部によって前記部分コアに取付けられていることを特徴とする請求項1〜請求項8のうち何れか一項記載の面実装型コイル部品。
  10. 巻線が捲回されたドラム型コアと、このドラム型コアを包囲するように設けられた外装コアと、この外装コアに取付けられた一対の電極とを備える面実装型コイル部品であって、
    前記巻線は、平角形状をなしており、
    前記外装コアは、複数の部分コアからなると共に、前記各部分コアの間にはギャップ部が形成されており、
    前記巻線の端末は、前記ギャップ部を通され、前記電極と接続されていることを特徴とする面実装型コイル部品。
  11. 巻線が捲回されたドラム型コアと、このドラム型コアを収容すると共に開放端を有する有底筒状の外装コアと、この外装コアに取付けられた一対の電極とを備える面実装型コイル部品であって、
    前記巻線は、平角形状をなしており、
    前記外装コアには、長手方向が前記ドラム型コアの高さ方向に延びる第1のスリット及び第2のスリットが形成されており、
    前記第1のスリット及び前記第2のスリットは、ともに前記外装コアの前記開放端側に形成されていると共に、
    前記第1のスリットは、前記第2のスリットよりも長くされ、
    前記巻線の両端は、当該巻線の幅方向が前記ドラム型コアの高さ方向に沿うようにして前記第1のスリット及び第2のスリットを通され、前記電極と接続されていることを特徴とする面実装型コイル部品。
  12. 前記第1のスリットは、前記外装コアの底側に形成され、前記第2のスリットは、前記外装コアの前記開放端側に形成されていることを特徴とする請求項11記載の面実装型コイル部品。
  13. 前記巻線は、クロスワイズ法で前記ドラム型コアに捲回されていることを特徴とする請求項1〜請求項12のうち何れか一項記載の面実装型コイル部品。
  14. 巻線が捲回されたドラム型コアと、このドラム型コアを包囲するように設けられた外装コアと、この外装コアに取付けられた一対の電極とを備える面実装型コイル部品の製造方法であって、
    前記外装コアを構成する複数の部分コアを、前記各部分コアの間にギャップ部が形成され且つ当該ギャップ部に平角形状の前記巻線の端末が通るように前記ドラム型コアに接着する工程と、
    前記巻線の端末と前記電極とを接続する工程と、
    を含むことを特徴とする面実装型コイル部品の製造方法。
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