JP3768733B2 - 揮発性有機化合物の処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、揮発性有機化合物の処理装置に関し、特に揮発性有機化合物を含むガスを燃焼処理し、さらにその熱を再生する燃焼蓄熱式VOC処理装置のガス分配弁の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の塗装工場、金属洗浄、印刷工場などからは、トルエン、キシレン、スチレン等の揮発性有機化合物(以下、VOCという)を含んだ排ガスが発生する。このようなVOCガスはせいぜい数十ppm から数%程度の濃度であるが、環境への影響がかなり大きいことが明らかになってきた。例えば(1)NOxと反応して光化学スモッグが発生し、森林が枯死したり人体への悪影響を及ぼす、(2)発ガン性など人体に健康障害を起こさせる、(3)光化学オキシダントの主成分であるオゾンの対流圏内での増加により地球温暖化が生じる、等である。このため前記業界ではVOC排ガスを処理した上で大気中に排出している。
従来、VOCの処理方法としては、直接燃焼式、触媒燃焼式、蓄熱燃焼方式、触媒燃焼/蓄熱方式、濃縮方式、生物処理方式があるが、VOC濃度量変動への対応、ランニングコスト、保守保全を考慮すると蓄熱燃焼式が有力視されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
現時点でのVOC処理設備の中でも最も熱経済性、高除去率を達成できるものとして、蓄熱燃焼方式と蓄熱触媒燃焼方式が挙げられる。しかし、これらの方式も完全というわけではなく、蓄積層が大きい。蓄熱材の熱の出し入れのための切替バルブが多く、それに伴って開閉時の圧力変動が生じ、上流側の塗装等のブースに悪影響を及ぼすといった問題が生じることもある。
本発明の目的は、VOCの処理においてコンパクトでしかも上流側に悪影響を及ぼさないVOC処理装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本願で特許請求される発明は以下のとおりである。
(1) 揮発性有機化合物(VOC)を燃焼させる熱源を内蔵する炉と、該炉に連結された固定蓄熱部と、該固定蓄熱部に連結された、VOC含有ガスおよびパージガスの各供給ラインならびに処理済みガスの排出ラインと、該供給ラインおよび排出ラインにそれぞれ連結されるとともに、前記各ラインの流路を、前記VOC含有ガスを前記固定蓄熱部を介して炉に供給する流路、炉で焼却処理された処理済みガスを前記固定蓄熱部を介して排出する流路および前記蓄熱部および炉にパージガスを供給する流路に順次切替える分配装置とを有する装置であって、該分配装置は、VOC含有ガスとパージガスと処理済みガスの3種類のガスをそれぞれ導くための3重管ヘッダと、該3重管ヘッダの端面に褶接してガスを前記のように順次切り替えて分配するための回転弁と、該回転弁の背面に当接し、前記固定蓄熱部に対してガスを供給および排出するための固定弁とを有し、前記回転弁は、中心部に回転軸を有する一枚の円盤状回転板からなり、該回転軸の外周に前記3重管ヘッダがその最も内側にパージガスの供給ラインを有するように同心状に配置され、前記3重管ヘッダの端面が前記円盤状回転板と当接して3トラックを形成し、その背面には所定の角度に仕切られた固定弁が当接して6セクターを形成し、かつ前記3重管ヘッダの端面の周方向と、前記固定弁の各流路の仕切部にはそれぞれパッキンが埋め込まれ、前記3重管を流れる各流体が少なくとも同時に固定弁を通過しないように、前記円盤状回転板に前記順序に従って開口部および閉塞部を形成するように構成されていることを特徴とする揮発性有機化合物の処理装置。
【0007】
以下、本発明を図面により具体的に説明する。
図1は、本発明装置の概略を示す説明図である。図2は、本発明に用いる分配弁20の正面断面図、図3は、図2の分配弁を下から見た底面図、図4は、本発明の分配弁の固定弁6のA−A線に沿った矢視面図である。
【0008】
図1において、この装置は、VOCを燃焼させるための熱源25を内蔵した炉24と、それと連結され、互いに独立隔離された固定蓄熱室26(触媒蓄熱燃焼方式の場合は蓄熱部と触媒部)と、この固定蓄熱室26にマニホールド8を介して連結されたVOC含有ガス、処理済みガスおよびVOC含有ガスから処理済みガスに切替えるときに蓄熱部流路に残ったVOC含有ガスを吐き出すためのパージガス、の3種類のガスを切替えるための分配弁20とから主として構成される。
【0009】
この装置でのガスの流れは次のとおりである。すなわち、VOC含有ガスは分配弁20から互いに隔離された複数室の固定蓄熱室26に供給される。その後、その流路端部に形成された熱源内蔵の炉24に入り、そこで所定の温度に加熱されながら180°方向展開して供給時に通過した蓄熱室26とは別流路から排出され、分配弁20を介して排出流路から大気へ放出される。また、1つの蓄熱室に着目すれば、先にVOC含有ガスが入り続いてガス停止、パージガス、ガス停止、その後流れが逆転して処理済みガス、ガス停止、再びVOC含有ガスという順にガスが通過する。
なお、この場合の熱収支を蓄熱体21側から見ると、炉から排出流路に向かう蓄熱層ではガス温度が蓄熱材温度より高く蓄熱、逆に炉に向かう蓄熱層ではガス温度が蓄熱材温度より低く放熱となる。
【0010】
この装置の重要なコンポーネントとなる分配弁20の詳細を図2〜6によって説明する。VOC含有ガスと、パージガスおよび処理済みガスの3種類のガスを導くための3重管ヘッダ1で形成されるトラック(端面は図6で表わされる)と、その面に接しそれらのガスを分配するための回転弁5(断面は図5で表わされる)と、その面に接し等角度で仕切られた固定弁6およびマニホールドヘッダ7(端面は図5で表わされる)と、それと蓄熱室をつなぐマニホールド8とからなる。この分配弁の心臓部となる回転弁5は、3重管ヘッダのトラックと固定部のセクターを順次切替える機能を持たせるために図5の構造を有する。すなわち、回転によってVOC含有ガスが入り、続いてガス停止、パージガス、ガス停止、その後流れが逆転して処理済みガス、ガス停止、再びVOC含有ガスという順に流路がつながるように開口部と閉塞部が配列されている。なお、回転動力は3重管の中心に位置する回転軸14にベルト15またはチェーン、歯車等の機械要素によってモータから伝達される。ここで重要なことは、1つのマニホールドヘッダにおいて一瞬たりとも複数のガス流路がつながってはならないことである。例えば1つのマニホールドヘッダにVOCガスと処理済みガスの流路がつながったとすれば、ガスはVOCガス流路から処理済みガス流路へとショートパスし、VOC含有ガスがそのまま大気に放出されることになる。このほかパージガス流路と処理済みガス流路がつながると、パージガスは蓄熱層よりも流動抵抗の小さい処理済みガス流路に流れ、パージガスがむだになる。また、VOCガスとパージガスの流路がつながると、その間パージガスの目的が達成しなくなる。これらのことから、1つのマニホールドヘッダに同時に複数ガスが混入しないように回転弁の開口部の間に閉塞部が配設されている。
【0011】
回転弁における各ガスのシール構成は次のとおりである。すなわち、3重管ヘッダ1と固定弁6に挟み込んだ回転部弁を締め付けて漏れを防止する。ただし、しゅう動には弾性体を配しており、3重管ヘッダ1の端面の周方向と固定弁6の各流路の仕切部にパッキン13を埋め込まれている。したがって、回転弁5の開口部はそれらパッキンより内側、閉塞部はパッキンの外側に接するように回転弁5の開口部と閉塞部を配設されている。
【0012】
【発明の実施の形態】
【実施例】
図1に概略を示す装置において、蓄熱/触媒室を8室、各室の断面形状150mm角、高さ600mmLとし、その上部に300mmLの加熱バーナ付きヘッダを設けた。この蓄熱室にガスを分配するための図2から図6に示す分配弁を設置した。蓄熱/触媒室にコーディエライトハニカム製蓄熱材とその上部に同基材に貴金属を担持した触媒を充填した。
【0013】
この装置にトルエン100ppm を含有する5m3 /minのVOCガスを投入し、回転弁を1rpmで回転させ、触媒層反応温度350℃に制御しながら運転した。
その結果、VOC処理装置の性能は浄化率95%以上、熱回収率95%以上、圧力損失200〜250mmAqで圧力変動は50mmAq程度に抑えることができた。
【0014】
【発明の効果】
本発明によれば、分配弁の部品数が少なく、単純な構造として装置をコンパクト化できるため、弁開閉時の圧力変動等が少なく、例えばVOC含有ガスの処理済みガスへのリーク量を5%以下、入口出口での圧力損失を10mmAq以下に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蓄熱燃焼式VOC処理装置の概要を示す図。
【図2】本発明の分配弁の正面図。
【図3】本発明の分配弁の底から見た矢視面図。
【図4】本発明の分配弁の固定弁6のA−A線に沿った矢視面図。
【図5】本発明の分配弁の回転弁5のB−B線に沿った矢視面図。
【図6】本発明の分配弁の3重管ヘッダ1のC−C線に沿った矢視面図。
【符号の説明】
1…3重管ヘッダ、2…VOC含有ガス流路、3…処理済ガス流路、4…パージガス流路、5…回転弁、6…固定弁、7…マニホールドヘッダ、8…マニホールド、9…VOC含有ガス開弁、10…処理済ガス開弁、11…パージガス開弁、12…ガス開弁、13…パッキン、14…回転軸、15…ベルト、16…プーリ、20…分配弁、21…蓄熱材、22…蓄熱材仕切板、23…触媒、24…炉、25…熱源、26…固定蓄熱室。
Claims (1)
- 揮発性有機化合物(VOC)を燃焼させる熱源を内蔵する炉と、該炉に連結された固定蓄熱部と、該固定蓄熱部に連結された、VOC含有ガスおよびパージガスの各供給ラインならびに処理済みガスの排出ラインと、該供給ラインおよび排出ラインにそれぞれ連結されるとともに、前記各ラインの流路を、前記VOC含有ガスを前記固定蓄熱部を介して炉に供給する流路、炉で焼却処理された処理済みガスを前記固定蓄熱部を介して排出する流路および前記蓄熱部および炉にパージガスを供給する流路に順次切替える分配装置とを有する装置であって、該分配装置は、VOC含有ガスとパージガスと処理済みガスの3種類のガスをそれぞれ導くための3重管ヘッダと、該3重管ヘッダの端面に褶接してガスを前記のように順次切り替えて分配するための回転弁と、該回転弁の背面に当接し、前記固定蓄熱部に対してガスを供給および排出するための固定弁とを有し、前記回転弁は、中心部に回転軸を有する一枚の円盤状回転板からなり、該回転軸の外周に前記3重管ヘッダがその最も内側にパージガスの供給ラインを有するように同心状に配置され、前記3重管ヘッダの端面が前記円盤状回転板と当接して3トラックを形成し、その背面には所定の角度に仕切られた固定弁が当接して6セクターを形成し、かつ前記3重管ヘッダの端面の周方向と、前記固定弁の各流路の仕切部にはそれぞれパッキンが埋め込まれ、前記3重管を流れる各流体が少なくとも同時に固定弁を通過しないように、前記円盤状回転板に前記順序に従って開口部および閉塞部を形成するように構成されていることを特徴とする揮発性有機化合物の処理装置。
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