JP3768687B2 - アースドリルのケリーバ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば地中深く縦穴を掘削するのに好適に用いられるアースドリルのケリーバ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、高層ビル等の建設現場においては、地中深く掘削した縦穴内にコンクリート等を流込むことにより地盤を固める作業が行われ、地中に縦穴を掘削する作業にはアースドリルが好適に用いられている。そして、アースドリルには、通常、下端側に掘削バケットが設けられ縦穴の掘削深さに応じて下向きに伸長するケリーバ装置が搭載されている。
【0003】
ここで、この種の従来技術によるケリーバ装置は、同軸上に配設され互いに伸縮可能となった複数の筒体と、前記各筒体のうち最内周側に位置する筒体に取付けられ、トルクが付与されることにより縦穴を掘削する掘削バケットと、前記各筒体のうち最外周側に位置する筒体にトルクを与えるトルク付与手段と、前記トルク付与手段によるトルクを最外周側の筒体から前記掘削バケットに伝達するため前記各筒体間に設けられたトルク伝達部とからなっている。
【0004】
そして、トルク付与手段により最外周側の筒体に与えられたトルクは、トルク伝達部によって内周側の筒体に順次伝達され、最内周側の筒体が掘削バケットと一体に回転し、掘削バケットの回転によって地中に縦穴を掘削する構成となっている(例えば、特開平3−55390号公報等)。
【0005】
ここで、ケリーバ装置の各筒体間に設けられるトルク伝達部は、各筒体のうち外側となる筒体の内周面に一定の間隔をもって形成された複数(例えば、3本)のトルク伝達用溝と、各筒体のうち内側となる筒体の外周面に設けられ、トルク伝達用溝に係合する複数のトルク伝達用突起とから構成されている。
【0006】
そして、各筒体は、通常、長さ寸法が10m以上に達する長尺の上側筒体と、長さ寸法が600mm未満の短尺の下側筒体とからなり、下側筒体の内周面を立削り盤(スロッタ)等の工作機械により切削して上述のトルク伝達用溝を形成した後、この下側筒体を上側筒体の下端側に溶接等によって接合する構成となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、掘削バケットに大きなトルクを伝達するためには、トルク伝達用突起と係合するトルク伝達用溝の溝長さを大きくする必要がある。
【0008】
しかし、工作機械を用いて下側筒体の内周面にトルク伝達用溝を切削加工する方法では、トルク伝達用溝の溝長さを大きくするために工作機械等の設備が大型化してしまうという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、筒体の内周面を機械加工することなく筒体の内周面に溝長さの大きなトルク伝達用溝を形成することができ、掘削バケットに大きなトルクを伝達できるようにしたアースドリルのケリーバ装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明は、同軸上に配設され互いに伸縮可能となった複数の筒体と、前記各筒体のうち最内周側に位置する筒体に取付けられ、トルクが付与されることにより縦穴を掘削する掘削バケットと、前記各筒体のうち最外周側に位置する筒体にトルクを与えるトルク付与手段と、前記トルク付与手段によるトルクを最外周側の筒体から前記掘削バケットに伝達するため前記各筒体間に設けられたトルク伝達部とを備え、前記トルク伝達部は、前記各筒体のうち外側の筒体に対応する曲率をもって円弧状に湾曲され、前記外側の筒体の内周面に周方向に一定の間隔をもって固着された複数の円弧状プレートと、前記外側の筒体の内周側に位置して前記各円弧状プレート間に形成されたトルク伝達用溝と、前記各筒体のうち内側の筒体の外周面に設けられ、前記トルク伝達用溝に係合するトルク伝達用突起とから構成してなるアースドリルのケリーバ装置に適用される。
【0011】
そして、請求項1の発明の特徴は、前記外側の筒体には前記各円弧状プレートと対応する位置に長さ方向に間隔をもって径方向の貫通穴を複数個設け、前記各貫通穴を通じて外部に露出した前記各円弧状プレートの外周面に前記各貫通穴の内周縁を溶接する構成としたことにある。
【0012】
このように構成したことにより、各筒体のうち外側となる筒体の内周面に複数の円弧状プレートを固着するだけで、各円弧状プレート間にトルク伝達用溝を形成することができる。従って、円弧状プレートの長さ寸法を大きくするだけで、溝長さの大きなトルク伝達用溝を形成することができる。
【0014】
しかも、筒体の内周面に円弧状プレートを配置すると、貫通穴を通じて円弧状プレートの外周面が筒体の外部に露出するから、貫通穴の内周縁を円弧状プレートの外周面に溶接することにより、円弧状プレートを筒体の内周面に容易に固着することができる。また、筒体に設ける貫通穴の数を増加することにより、筒体と円弧状プレートとの間の溶接部位を大きくすることができ、筒体に対する円弧状プレートの取付強度を高めることができる。
【0015】
さらに、請求項2の発明は、同軸上に配設され互いに伸縮可能となった複数の筒体と、前記各筒体のうち最内周側に位置する筒体に取付けられ、トルクが付与されることにより縦穴を掘削する掘削バケットと、前記各筒体のうち最外周側に位置する筒体にトルクを与えるトルク付与手段と、前記トルク付与手段によるトルクを最外周側の筒体から前記掘削バケットに伝達するため前記各筒体間に設けられたトルク伝達部とを備え、前記トルク伝達部は、前記各筒体のうち外側の筒体に対応する曲率をもって円弧状に湾曲され、前記外側の筒体の内周面に周方向に一定の間隔をもって固着された複数の円弧状プレートと、前記外側の筒体の内周側に位置して前記各円弧状プレート間に形成されたトルク伝達用溝と、前記各筒体のうち内側の筒体の外周面に設けられ、前記トルク伝達用溝に係合するトルク伝達用突起とから構成してなるアースドリルのケリーバ装置において、各円弧状プレートには貫通穴を設け、外側の筒体には前記貫通穴と対応する位置に他の貫通穴を設け、前記外側の筒体の貫通穴と各円弧状プレートの貫通穴とには結合部材を挿嵌して設け、前記各円弧状プレートは前記結合部材を介して前記外側の筒体の内周面に固着する構成としたことにある。
【0016】
このように構成したことにより、筒体の貫通穴と円弧状プレートの貫通穴とに結合部材を挿嵌するだけで、筒体の内周面に円弧状プレートを容易に固着することができる。また、円弧状プレートの貫通穴に結合部材を挿嵌した後、この結合部材を筒体の貫通穴に挿嵌することにより、筒体に対する円弧状プレートの位置合わせを容易に行うことができる。
【0017】
また、請求項3の発明は、結合部材は、各円弧状プレートの貫通穴と外側の筒体の貫通穴とに溶接する構成としたことにある。
【0018】
このように構成したことにより、各円弧状プレートを結合部材を介して外側の筒体の内周面に強固に固着することができ、各円弧状プレート間に形成されるトルク伝達用溝の強度を高めることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるアースドリルのケリーバ装置の実施の形態について、図1ないし図10を参照しつつ詳細に説明する。
【0020】
図1において、1は下部走行体、2は下部走行体1に旋回可能に搭載された上部旋回体を示し、上部旋回体2の前部にはブーム3が俯仰動可能に設けられている。また、上部旋回体2には、後述の主巻ロープ5が巻回される主巻ドラム4等が配設されている。
【0021】
5は主巻ドラム4に一端側が巻回された主巻ロープで、この主巻ロープ5の他端側は、ブーム3の先端側に回転可能に設けられたシーブ6に巻回されて下方に垂下し、スイベルジョイント7を介してケリーバ装置8に接続されている。
【0022】
次に、本実施の形態で採用したケリーバ装置8について説明するに、ケリーバ装置8は、ケリーバ本体9と、掘削バケット10と、駆動装置11とから大略構成されている。そして、ケリーバ本体9は、図2に示すように、互いに同軸上に位置し、上,下方向に伸縮可能に設けられた後述のインナケリーバ13、セカンドケリーバ17、サードケリーバ22、アウタケリーバ30からなっている。
【0023】
10はインナケリーバ13の下端側に取付けられた掘削バケットで、この掘削バケット10は、駆動装置11によってケリーバ本体9と共に回転しつつ自重によって下方に移動することにより、地中深く縦穴を掘削するものである。
【0024】
11はアウタケリーバ30にトルクを付与するトルク付与手段としての駆動装置で、この駆動装置11は、例えば油圧モータ等の回転源からなり、上部旋回体2の前部に設けられたフロントフレーム12の先端側に配設されている。そして、駆動装置11は、アウタケリーバ30を外側から回転駆動することにより、掘削バケット10にトルクを付与するものである。
【0025】
13はケリーバ本体9の最内周側に位置する筒体としてのインナケリーバで、このインナケリーバ13は、例えば12〜13m程度の長さ寸法を有している。そして、図3に示すように、インナケリーバ13の上端側には上側ロッド13Aが設けられ、上側ロッド13Aの上端は、図1に示すスイベルジョイント7を用いて主巻ロープ5に連結されている。また、インナケリーバ13の下端側には、掘削バケット10が取付けられる下側ロッド13Bが設けられ、この下側ロッド13Bには、後述するコイルばね15用のばね受けとなるフランジ部13Cが一体的に設けられている。
【0026】
14,14,…はインナケリーバ13の外周面にほぼ全長に亘って延びたトルク伝達用突起としての3本のトルク伝達用バーで、図4に示すように、各トルク伝達用バー14は、インナケリーバ13の外周面に周方向に等しい間隔(例えば、120°)をもって溶接等により固着されている。そして、各トルク伝達用バー14は、セカンドケリーバ17の内周側に設けられた後述のトルク伝達用溝20に係合するものである。
【0027】
15はインナケリーバ13のフランジ部13Cに下端側が当接したコイルばねで、このコイルばね15の上端側は、インナケリーバ13の外周側に遊嵌された環状のばね受16に当接し、このばね受16は、後述の支持筒19を介してセカンドケリーバ17、サードケリーバ22、アウタケリーバ30を下側から弾性的に支持するものである。
【0028】
17はインナケリーバ13の外周側に挿嵌された筒体としてのセカンドケリーバで、このセカンドケリーバ17は、例えば12〜13m程度の長さ寸法を有し、インナケリーバ13よりも大径の円筒体からなっている。そして、図3に示すように、セカンドケリーバ17の上端側外周には環状のストッパ18が設けられ、このストッパ18が、サードケリーバ22の内周側に設けられた後述する各円弧状プレート25の上端部に当接したときに、サードケリーバ22に対するセカンドケリーバ17の伸長動作が停止する構成となっている。また、セカンドケリーバ17の下端側外周には、サードケリーバ22とアウタケリーバ30の下端部を支持する支持筒19が固着されている。
【0029】
20,20,…はセカンドケリーバ17の内周側に設けられた6本のトルク伝達用溝で、各トルク伝達用溝20は、例えばセカンドケリーバ17の内周面を機械加工することにより、図4に示すように、周方向に一定の間隔(例えば、60°)をもって形成されている。そして、各トルク伝達用溝20のうち3個には、インナケリーバ13の外周側に設けた各トルク伝達用バー14が係合する構成となっている。
【0030】
21,21,…はセカンドケリーバ17の外周面にほぼ全長に亘って延びたトルク伝達用突起としての3本のトルク伝達用バーで、各トルク伝達用バー21は、セカンドケリーバ17の外周面に周方向に等しい間隔(例えば、120°)をもって溶接等により固着されている。そして、各トルク伝達用バー21は、サードケリーバ22の内周側に設けられた後述の各トルク伝達用溝28に係合するものである。
【0031】
22はセカンドケリーバ17の外周側に挿嵌されたサードケリーバで、このサードケリーバ22は、セカンドケリーバ17よりも大径の円筒体からなっている。ここで、サードケリーバ22は、図5ないし図7に示すように、例えば12〜13m程度の長さ寸法Aを有する長尺な上側円筒体22Aと、例えば800〜900mm程度の長さ寸法Bを有する下側円筒体22Bとが、接合部22Cで溶接等によって接合されることにより形成されている。また、サードケリーバ22の上端側外周には環状のストッパ23が設けられ、このストッパ23が、アウタケリーバ30の内周面に固着された後述する各円弧状プレート33の上端部に当接したときに、アウタケリーバ30に対するサードケリーバ22の伸長動作が停止する構成となっている。
【0032】
24,24,…はサードケリーバ22を構成する下側円筒体22Bに設けられた複数の貫通穴で、各貫通穴24は、例えば下側円筒体22Bの周方向に等しい間隔(例えば、60°)をもった6か所に、下側円筒体22Bの長さ方向に等しいピッチをもって4個づつ(合計24個)穿設されている。
【0033】
25,25,…は下側円筒体22Bの内周面に固着された6枚の円弧状プレートで、各円弧状プレート25は、下側円筒体22Bの内周面に対応する曲率をもって円弧状に湾曲した板体からなっている。そして、各円弧状プレート25には、下側円筒体22Bに穿設された各貫通穴24と等しい穴径を有する4個の貫通穴26,26,…が、各貫通穴24と等しいピッチをもって穿設されている。
【0034】
27,27,…は下側円筒体22Bの各貫通穴24と円弧状プレート25の各貫通穴26とに挿嵌された結合部材としての複数(合計24個)の円板で、各円板27は、例えば円弧状プレート25の貫通穴26に挿嵌され、貫通穴26の内周縁に溶接部W1によって溶接された後、下側円筒体22Bの貫通穴24に挿嵌され、この貫通穴24の内周縁に溶接部W2によって溶接されている。
【0035】
ここで、各円弧状プレート25が下側円筒体22Bの内周面に一定の間隔をもって固着されることにより、隣合う各円弧状プレート25間には、周方向に等しい間隔(例えば、60°)をもった6個のトルク伝達用溝28,28,…が形成される。そして、これら各トルク伝達用溝28には、セカンドケリーバ17の外周面に設けた各トルク伝達用バー21が係合する構成となっている。
【0036】
この場合、各円弧状プレート25の長さ寸法を大きくすることにより、各トルク伝達用溝28の溝長さを大きくすることができるから、例えば下側円筒体22Bの内周面を機械加工してトルク伝達用溝を形成する場合に比較して、各トルク伝達用溝28の溝長さを容易に大きくすることができ、大きなトルクを伝達することができる。
【0037】
また、円弧状プレート25の貫通穴26に挿嵌した円板27を、下側円筒体22Bの貫通穴24に挿嵌することにより、下側円筒体22Bに対する各円弧状プレート25の位置合わせを容易に行うことができ、各円弧状プレート25を下側円筒体22Bの内周面に固着するときの作業性を向上させることができる。
【0038】
29,29,…はサードケリーバ22の外周面にほぼ全長に亘って延びたトルク伝達用突起としての3本のトルク伝達用バーで、各トルク伝達用バー29は、サードケリーバ22の外周面に周方向に等しい間隔(例えば、120°)をもって溶接等により固着されている。そして、各トルク伝達用バー29は、アウタケリーバ30の内周側に設けられた後述の各トルク伝達用溝34に係合するものである。
【0039】
ここで、各トルク伝達用バー29のうち、サードケリーバ22の下側円筒体22B側に伸長した部位は、図7に示すように、下側円筒体22Bの外周面に露出した円板27の平坦面に溶接することができる。このため、各トルク伝達用バー29を、サードケリーバ22の下端側まで伸長させて設けることができ、かつ各トルク伝達用バー29をサードケリーバ22の外周面に溶接するときの作業性を向上させることができる。
【0040】
30はサードケリーバ22の外周側に挿嵌され、ケリーバ本体9の最外周側に位置する筒体としてのアウタケリーバで、このアウタケリーバ30は、サードケリーバ22よりも大径の円筒体からなっている。ここで、アウタケリーバ30は、図8ないし図10に示すように、例えば12〜13m程度の長さ寸法Cを有する長尺な上側円筒体30Aと、例えば800〜900mm程度の長さ寸法Dを有する下側円筒体30Bとが、接合部30Cで溶接等によって接合されることにより形成されている。そして、上側円筒体30Aの上端側外周には環状のストッパ31が設けられ、このストッパ31が、駆動装置11の上端部に当接したときに、アウタケリーバ30の下降動作が停止する構成となっている。
【0041】
32,32,…はアウタケリーバ30を構成する下側円筒体30Bに径方向に貫通して設けられた複数の貫通穴で、各貫通穴32は、例えば下側円筒体30Bの周方向に等しい間隔(例えば、60°)をもった6か所に、下側円筒体30Bの長さ方向に等しいピッチをもって4個づつ(合計24個)穿設されている。
【0042】
33,33,…は下側円筒体30Bの内周面に固着された6枚の円弧状プレートで、各円弧状プレート33は、下側円筒体30Bの内周面に対応する曲率をもって円弧状に湾曲した板体からなっている。そして、各円弧状プレート33は、下側円筒体30Bの長さ方向に並んだ4個の貫通穴32を閉塞するようにして下側円筒体30Bの内周面に仮止めされた後、貫通穴32を通じて下側円筒体30Bの外部に露出した外周面に貫通穴32の内周縁を溶接部W3によって溶接することにより、下側円筒体30Bの内周面に固着されている。
【0043】
かくして、各円弧状プレート33が下側円筒体30Bの内周面に一定の間隔をもって固着されることにより、隣合う各円弧状プレート33間には、周方向に等しい間隔(例えば、60°)をもった6個のトルク伝達用溝34,34,…が形成される。そして、これら各トルク伝達用溝34には、サードケリーバ22の外周面に設けた各トルク伝達用バー29が係合する構成となっている。
【0044】
この場合、各円弧状プレート33の長さ寸法を大きくすることにより、各トルク伝達用溝34の溝長さを大きくすることができるから、例えば下側円筒体30Bの内周面を切削してトルク伝達用溝を形成する場合に比較して、各トルク伝達用溝34の溝長さを容易に大きくすることができ、大きなトルクを伝達することができる。
【0045】
35,35,…はアウタケリーバ30の外周面にほぼ全長に亘って延びたトルク伝達用突起としての3本のトルク伝達用バーで、各トルク伝達用バー35は、アウタケリーバ30の外周面に周方向に等しい間隔(例えば、120°)をもって溶接等により固着されている。そして、各トルク伝達用バー35は、駆動装置11に設けられたトルク伝達用溝(図示せず)に係合するものである。
【0046】
本実施の形態によるケリーバ装置8は上述の如き構成を有するもので、以下、その作動について説明する。
【0047】
まず、図1に示すように、アウタケリーバ30内にサードケリーバ22、セカンドケリーバ17、インナケリーバ13を収容し、ケリーバ本体9を縮小させた状態で、ブーム3の先端側から主巻ロープ5によってケリーバ本体9および掘削バケット10を吊下げる。そして、駆動装置11に設けたトルク伝達用溝(図示せず)をアウタケリーバ30の各トルク伝達用バー35に係合させた状態で、駆動装置11によりアウタケリーバ30を回転駆動する。
【0048】
このとき、アウタケリーバ30に付与されるトルクは、各トルク伝達用溝34と各トルク伝達用バー29との係合によりサードケリーバ22に伝達され、サードケリーバ22のトルクは、各トルク伝達用溝28と各トルク伝達用バー21との係合によりセカンドケリーバ17に伝達される。また、セカンドケリーバ17のトルクは、各トルク伝達用溝20と各トルク伝達用バー14との係合によりインナケリーバ13に伝達され、インナケリーバ13の下端側に取付けられた掘削バケット10にトルクが与えられる。
【0049】
ここで、インナケリーバ13の下端側に設けられたフランジ部13Cは、コイルばね15、ばね受16および支持筒19を介してセカンドケリーバ17、サードケリーバ22、アウタケリーバ30の下端側を支持している。このため、掘削バケット10には、インナケリーバ13、セカンドケリーバ17、サードケリーバ22、アウタケリーバ30の重量(ケリーバ本体9の自重)が常時作用しており、主巻ドラム4から主巻ロープ5を繰出すと、掘削バケット10はケリーバ本体9の自重により縦穴を掘進していく。
【0050】
そして、掘削バケット10が縦穴を掘進するのに応じて、まず、アウタケリーバ30が、サードケリーバ22、セカンドケリーバ17、インナケリーバ13を収容した状態で下降し、アウタケリーバ30のストッパ31が駆動装置11の上端部に衝合したときに、アウタケリーバ30の下降動作が停止する。
【0051】
次に、この状態で掘削バケット10の掘進深さが増大するときには、サードケリーバ22が、セカンドケリーバ17およびインナケリーバ13を収容した状態で、アウタケリーバ30の下端側から下向きに伸長していく。そして、サードケリーバ22は、その上端側に設けたストッパ23がアウタケリーバ30の各円弧状プレート33の上端部に衝合したときに伸長動作を停止する。
【0052】
さらに、掘削バケット10の掘進深さが増大すると、セカンドケリーバ17が、インナケリーバ13を収容した状態で、サードケリーバ22の下端側から下向きに伸長していく。そして、セカンドケリーバ17は、その上端側に設けたストッパ18がサードケリーバ22の各円弧状プレート25の上端部に衝合したときに伸長動作を停止する。
【0053】
次に、この状態で掘削バケット10の掘進深さが増大すると、インナケリーバ13がセカンドケリーバ17の下端側から下向きに伸長していく。そして、インナケリーバ13は、その上端側に取付けられたスイベルジョイント7がセカンドケリーバ17の各トルク伝達用溝20の上端部に衝合したときに伸長動作を停止する。
【0054】
かくして、アウタケリーバ30、サードケリーバ22、セカンドケリーバ17、インナケリーバ13の全てが最大伸長する深さまで、掘削バケット10によって縦穴を掘削することができる。
【0055】
ここで、駆動装置11からアウタケリーバ30、サードケリーバ22、セカンドケリーバ17、インナケリーバ13を介して掘削バケット10に大きなトルクを伝達しようとする場合には、サードケリーバ22の各トルク伝達用バー29に係合するアウタケリーバ30の各トルク伝達用溝34、およびセカンドケリーバ17の各トルク伝達用バー21に係合するサードケリーバ22の各トルク伝達用溝28等の溝長さを大きく形成する必要がある。
【0056】
そこで、本実施の形態では、サードケリーバ22を構成する下側円筒体22Bの内周面に複数の円弧状プレート25を固着し、これら各円弧状プレート25間にトルク伝達用溝28を形成すると共に、アウタケリーバ30を構成する下側円筒体30Bの内周面に複数の円弧状プレート33を固着し、これら各円弧状プレート33間にトルク伝達用溝34を形成する構成としている。
【0057】
このため、各円弧状プレート25,33の長さを寸法を大きくすることにより、例えば工作機械等を用いて下側円筒体22B,30Bの内周面を機械加工することなく、溝長さの大きなトルク伝達用溝28,34を形成することができる。
【0058】
また、サードケリーバ22の内周側にトルク伝達用溝28を形成する場合に、サードケリーバ22を構成する下側円筒体22Bに複数の貫通穴24を設けると共に、各円弧状プレート25に貫通穴26を設け、円弧状プレート25の貫通穴26に挿嵌した円板27を、下側円筒体22Bの貫通穴24に挿嵌することにより、下側円筒体22Bの内周面に円弧状プレート25を固着する構成としたので、下側円筒体22Bに対する各円弧状プレート25の位置合わせを容易に行うことができる。
【0059】
この場合、円板27は円弧状プレート25の貫通穴26に溶接部W1によって溶接され、かつ下側円筒体22Bの貫通穴24に溶接部W2によって溶接されているから、各円弧状プレート25を円板27を介して下側円筒体22Bの内周面に強固に固着することができる。これにより、各円弧状プレート25間に形成されるトルク伝達用溝28の強度を高めることができる。
【0060】
さらに、アウタケリーバ30の内周側にトルク伝達用溝34を形成する場合に、アウタケリーバ30を構成する下側円筒体30Bに複数の貫通穴32を設け、この貫通穴32の内周縁に円弧状プレート33を溶接部W3によって溶接することにより、下側円筒体30Bの内周面に各円弧状プレート33を固着する構成としたので、例えば貫通穴32の数を増加させることにより、下側円筒体30Bと円弧状プレート33との間の溶接部位を増加することができ、円弧状プレート33の取付強度を大きくすることができる。
【0061】
なお、上述した実施の形態では、サードケリーバ22(下側円筒体22B)の内周面に1枚の円弧状プレート25を固着するために、サードケリーバ22を構成する下側円筒体22Bに4個の貫通穴24を設け、円弧状プレート25に4個の貫通穴26を設けると共に、4個の円板27を用いた場合を例に挙げたが、本発明はこれに限るものではなく、例えばこれら貫通穴24,26、円板27を3個以下、あるいは5個以上としてもよい。
【0062】
また、上述した実施の形態では、アウタケリーバ30(下側円筒体30B)の内周面に1枚の円弧状プレート33を固着するために、アウタケリーバ30の下側円筒体30Bに4個の貫通穴32を穿設した場合を例に挙げたが、本発明はこれに限るものではなく、例えば3個以下、あるいは5個以上の貫通穴32を設けてもよく、さらに、円弧状プレート33の長さ方向に延びる1個の長穴を設ける構成としてもよい。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述した如く、請求項1の発明によれば、複数の筒体のうち外側となる筒体の内周面に一定の間隔をもって複数の円弧状プレートを固着することにより、各円弧状プレート間にトルク伝達用溝を形成する構成したので、各円弧状プレートの長さ寸法を大きくするだけで、溝長さの大きなトルク伝達用溝を形成することができ、掘削バケットに大きなトルクを伝達することができる。このため、例えば工作機械等を用いて筒体の内周面を機械加工する必要がなくなり、溝長さの大きなトルク伝達用溝を形成するための大型の工作機械等を不要とすることができる。
【0064】
また、外側の筒体には各円弧状プレートと対応する位置に径方向の貫通穴を設け、貫通穴の内周縁を各円弧状プレートの外周面に溶接する構成としたので、貫通穴を通じて筒体の外部に露出した円弧状プレートの外周面を貫通穴の内周縁に溶接するだけで、円弧状プレートを筒体の内周面に固着することができる。この場合、筒体に設ける貫通穴の数を増加することにより、筒体と円弧状プレートとの間の溶接部を大きくすることができ、筒体に対する円弧状プレートの取付強度を高めることができる。
【0065】
さらに、請求項2の発明によれば、円弧状プレートに設けた貫通穴と、外側の筒体に設けた貫通穴とに結合部材を挿嵌することにより、各円弧状プレートを結合部材を介して外側の筒体の内周面に固着する構成としたので、筒体の貫通穴と円弧状プレートの貫通穴とに結合部材を挿嵌するだけで、筒体の内周面に円弧状プレートを容易に固着することができる。この場合、円弧状プレートの貫通穴に結合部材を挿嵌した後、この結合部材を筒体の貫通穴に挿嵌することにより、筒体に対する円弧状プレートの位置合わせを容易に行うことができ、筒体に円弧状プレートを固着するときの作業性を向上させることができる。
【0066】
また、請求項3の発明によれば、結合部材は、各円弧状プレートの貫通穴と外側の筒体の貫通穴とに溶接する構成としたので、各円弧状プレートを結合部材を介して外側の筒体の内周面に強固に固着することができ、各円弧状プレート間に形成されるトルク伝達用溝の強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるケリーバ装置を備えたアースドリルを示す正面図である。
【図2】アウタケリーバからサードケリーバ、セカンドケリーバ、インナケリーバが伸長した状態を示すケリーバ本体の正面図である。
【図3】図1中のケリーバ本体の縦断面図である。
【図4】ケリーバ本体を構成する各ケリーバのトルク伝達部を示す図3中の矢示IV−IV方向からみた横断面図である。
【図5】サードケリーバを拡大して示す正面図である。
【図6】図5中の矢示VI−VI方向からみたサードケリーバの縦断面図である。
【図7】図5中の矢示 VII−VII 方向からみたサードケリーバの横断面図である。
【図8】アウタケリーバを拡大して示す正面図である。
【図9】図8中の矢示IX−IX方向からみたアウタケリーバの縦断面図である。
【図10】図8中の矢示X−X方向からみたアウタケリーバの横断面図である。
【符号の説明】
8 ケリーバ装置
10 掘削バケット
11 駆動装置(トルク付与手段)
13 インナケリーバ(筒体)
14,21,29,35 トルク伝達用バー(トルク伝達用突起)
17 セカンドケリーバ(筒体)
20,28,34 トルク伝達用溝
22 サードケリーバ(筒体)
24,26,32 貫通穴
25,33 円弧状プレート
27 円板(結合部材)
30 アウタケリーバ(筒体)
Claims (3)
- 同軸上に配設され互いに伸縮可能となった複数の筒体と、前記各筒体のうち最内周側に位置する筒体に取付けられ、トルクが付与されることにより縦穴を掘削する掘削バケットと、前記各筒体のうち最外周側に位置する筒体にトルクを与えるトルク付与手段と、前記トルク付与手段によるトルクを最外周側の筒体から前記掘削バケットに伝達するため前記各筒体間に設けられたトルク伝達部とを備え、
前記トルク伝達部は、前記各筒体のうち外側の筒体に対応する曲率をもって円弧状に湾曲され、前記外側の筒体の内周面に周方向に一定の間隔をもって固着された複数の円弧状プレートと、前記外側の筒体の内周側に位置して前記各円弧状プレート間に形成されたトルク伝達用溝と、前記各筒体のうち内側の筒体の外周面に設けられ、前記トルク伝達用溝に係合するトルク伝達用突起とから構成してなるアースドリルのケリーバ装置において、
前記外側の筒体には前記各円弧状プレートと対応する位置に長さ方向に間隔をもって径方向の貫通穴を複数個設け、前記各貫通穴を通じて外部に露出した前記各円弧状プレートの外周面に前記各貫通穴の内周縁を溶接する構成としたことを特徴とするアースドリルのケリーバ装置。 - 同軸上に配設され互いに伸縮可能となった複数の筒体と、前記各筒体のうち最内周側に位置する筒体に取付けられ、トルクが付与されることにより縦穴を掘削する掘削バケットと、前記各筒体のうち最外周側に位置する筒体にトルクを与えるトルク付与手段と、前記トルク付与手段によるトルクを最外周側の筒体から前記掘削バケットに伝達するため前記各筒体間に設けられたトルク伝達部とを備え、
前記トルク伝達部は、前記各筒体のうち外側の筒体に対応する曲率をもって円弧状に湾曲され、前記外側の筒体の内周面に周方向に一定の間隔をもって固着された複数の円弧状プレートと、前記外側の筒体の内周側に位置して前記各円弧状プレート間に形成されたトルク伝達用溝と、前記各筒体のうち内側の筒体の外周面に設けられ、前記トルク伝達用溝に係合するトルク伝達用突起とから構成してなるアースドリルのケリーバ装置において、
前記各円弧状プレートには貫通穴を設け、前記外側の筒体には前記貫通穴と対応する位置に他の貫通穴を設け、前記外側の筒体の貫通穴と各円弧状プレートの貫通穴とには結合部材を挿嵌して設け、前記各円弧状プレートは前記結合部材を介して前記外側の筒体の内周面に固着する構成としたことを特徴とするアースドリルのケリーバ装置。 - 前記結合部材は、前記各円弧状プレートの貫通穴と前記外側の筒体の貫通穴とに溶接する構成としてなる請求項2に記載のアースドリルのケリーバ装置。
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