JP3768324B2 - 偏光板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は液晶表示体等に広く用いられている偏光板に関し、特にPVA系偏光板の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
PVA−ヨウ素系偏光板においては、従来、PVA(ポリビニルアルコール)の薄いフィルムに光学的異方性の高いヨウ素をヨウ化カリ水溶液等の中で吸着させた後、ホウ酸水溶液中で、一方向に4倍程度延伸した偏光膜が使用されている。即ち、上記のようにして得られた偏光膜の両面に光学的透明性の高いトリアセチルセルロースフィルムを貼合して偏光板を得ることが行われている(偏光フィルムの応用;1986年(株)シーエムシー)。
【0003】
この場合、トリアセチルセルロースフィルムと偏光膜の接着を高めるために、トリアセチルセルロースフィルムは、通常、貼合前に無機アルカリ水溶液等の溶液中に浸漬することによりケン化処理を受ける。このとき、非接着面も同時にケン化されるため、それを偏光膜の両面に貼合して製造した偏光板の表面が親水性になる。
このように、偏光板の表面(偏光膜との非貼合面)が親水性になると、粘着剤を介してガラス板等に貼合した場合、経時によって、水分に起因する発泡等のトラブルが生じる。
また、ハードコート等の塗膜を有するトリアセチルセルロースフィルムを用いた場合には、ケン化の不要な塗膜側もアルカリが接触するので塗膜の特性が損なわれる場合もある。
【0004】
そこで、本発明者等は、従来の偏光板製造設備及び工程を変えることなく、トリアセチルセルロースフィルムの偏光膜との貼合面のみをケン化処理することについて鋭意検討した結果、ケン化処理前に、特性変化を望まない面にアルカリに対して耐性がある層を設けておくことにより、従来の偏光板の製造工程を殆ど変えることなく、ケン化処理による不都合をなくすことができることを見出し、本発明に到達した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、ガラス板等に貼合した場合の耐久性に優れた偏光板の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の目的は、偏光膜の両面に保護フィルムとしてそれぞれトリアセチルセルロースフィルムが貼合されていると共に、一方のトリアセチルセルロースフィルムの表面に更に反射防止膜を有する偏光板の製造方法であって、トリアセチルセルロースフィルムの一方の面に塗膜を設け、次いで、該塗膜上に剥離可能な保護層を設けた後、ケン化処理を施すことにより片面のみがケン化された第1のトリアセチルセルロースフィルムを得、次いで偏光膜の片面に、前記トリアセチルセルロースフィルムのケン化された表面が接するように貼合すると共に、偏光膜の他面に、一方の面のみがケン化され、他面側に塗膜を有することのある第2のトリアセチルセルロースフィルムのケン化面を貼合することを特徴とする偏光板の製造方法によって達成された。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で使用するトリアセチルセルロースフィルムは、従来から偏光膜の保護用フィルムとして用いられているトリアセチルセルロースフィルムであり、その厚さは特に限定されるものではない。また、その一方の表面に設ける塗膜は、公知の塗膜の中から適宜選択して使用することができ、この塗膜は反射防止膜であっても良い。
【0008】
また、塗膜の上に設ける剥離可能な保護層は、前記塗膜を膨潤させない溶液に溶解させたフィルム形成性樹脂を塗布した後乾燥させたり、硬化性樹脂液を塗布・硬化させ、或いは、粘着層を有するプラスチック製の粘着フィルムを貼着する等の、何れの方法で設けられたものであっても良いが、少なくとも後工程のケン化に耐え得る層であることが必要である。
【0009】
本発明で使用することのできる保護層の素材としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルホルマール、ポリ2塩化ビニル、塩素化ポリエーテル、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ABS樹脂、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリアセタール共重合体、ポリメチルメタクリレート、変性アクリル樹脂、ナイロン、セルロース誘導体、ポリエステル、フッソ樹脂、ポリウレタン、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン、天然ゴム、合成ゴム、塩素化ポリオレフィン等の樹脂からなる群の中から選択される少なくとも1種の樹脂が用いられる。必要に応じて、可塑性、フィラー、塗液調整用添加剤を加えることができる。
【0010】
上記保護層は、ケン化処理後、すぐ剥がしても良いし、その後の工程を経て、最終形態(粘着剤塗布品、反射板貼合品等)として完成した後に剥がしても良い。粘着フィルムとしては、前記塗膜の表面がケン化処理によって影響されない程度にアルカリに耐性があると共に、ケン化処理後に剥がせるものでであれば、どのようなフィルムでも使用出来る。ただし、ケン化後の工程で高熱が必要となる場合には、加熱工程前に剥がす場合を除き、所要の耐熱性を有することが必要である。
粘着剤としては、ゴム系、アクリル系、シリコーン系の粘着剤などが利用出来る。
【0011】
本発明においては、トリアセチルセルロースフィルムのアルカリによる変性を避けたい側に反射防止膜等の塗膜を設け、更に該塗膜上に、アルカリに対して耐性がある剥離可能な保護層を設けてなるトリアセチルセルロースフィルム表面に、偏光膜との貼合に必要な程度のケン化処理(アルカリへの浸漬時間、アルカリ液温度、同濃度)を行う。次いで、偏光膜の少なくとも一方の面に、上記によって得られた塗膜を有する第1のトリアセチルセルロースフィルムのケン化処理された面を公知の方法によって貼合し、偏光板を得る。
【0012】
偏光膜の一方の面にのみ、反射防止膜を有する上記の第1のトリアセチルセルロースフィルムを貼合する場合には、偏光膜の他の面には、一方の面のみがケン化処理された第2のトリアセチルセルロースフィルムの前記ケン化処理面を貼合する。このトリアセチルセルロースフィルムの、貼合しない外側の面には、別途塗膜が設けられていても良い。前記第1のトリアセチルセルロースフィルムに設けられている塗膜が反射防止膜でない場合には、第2のトリアセチルセルロースフィルムのケン化処理されていない面には、反射防止膜が設けられていることが必要である。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、偏光板の表面が親水性化されていないので、貼着剤を介してガラス面等に貼合しても、耐久性は十分である。
【0014】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0015】
実施例1.
80μmのトリアセチルセルロースフィルム(フジタック;富士写真フィルム株式会社製の商品名)の一方の面に、ワイヤーバー♯5を用いて下記表1と同じ組成の塗布液を塗布して被膜層を得、加熱乾燥した後、該被膜層に、120W/cmの紫外線ランプで10cmの距離から1秒間照射し、5μmのハードコート層を有するトリアセチルセルロースフィルムを作製した。
【0016】
【表1】
───────────────────────────────────
ポリエステルアクリレート:95.5重量部
(ビームセット710;荒川化学株式会社製の商品名)
光反応開始剤:4.5重量部
(イルガキュア184;チバ・ガイキー社製の商品名)
イソプロピルアルコール;粘度調整のため(希釈剤として適宜の量)
──────────────────────────────────
【0017】
次いで、上記のハードコート上に、下記表2に示される組成の保護層用塗液を、♯30のワイヤーバーを用いて塗布し、90℃で2時間乾燥し、厚さが5μmの剥離可能な保護層を設けた。
【表2】
───────────────────────────────────
エチルセルロース:5.0重量部
(エトセル20;ダイセル化学(株)製の商品名)
トルエン:76.0重量部
エタノール:19.0重量部
───────────────────────────────────
【0018】
比較例1.
保護層を設けなかった他は実施例1と全く同様にして、80μmのトリアセチルセルロースフィルムの一方の面に5μmのハードコート層を有するハードコートフィルムを作製した。
【0019】
実施例2.
実施例1で使用した前記表1で示される塗布液の代わりに、下記表3に示される塗布液を使用した他は、実施例1と全く同様にして、一方の面に反射防止膜と剥離可能な保護層を有するトリアセチルセルロースフィルムを作製した。
【表3】
───────────────────────────────────
ポリエステルアクリレート:85.5重量部
(ビームセット710;荒川化学株式会社製の商品名)
無定形シリカ:10.0重量部
(サイリシア350;富士シリシア化学株式会社製の商品)
光反応開始剤:4.5重量部
(イルガキュア184;チバ・ガイキー社製の商品名)
イソプロピルアルコール;粘度調整のため(希釈剤として適宜の量)
──────────────────────────────────
【0020】
比較例2.
保護層を設けなかった他は実施例2と全く同様にして、30μmのトリアセチルセルロースフィルムの一方の面に5μmのハードコート層を有するハードコートフィルムを作製した。
得られたサンプルについて以下の測定方法により諸物性を測定し評価した結果は、表4に示した通りである。これらの結果は、本発明によって得られる偏光板が良好な耐久性を有することを容易に予測させるものである。
【0021】
【表4】
【0022】
耐薬品製;上記比較例及び実施例により作製したフィルムを2.0規定(N)のカセイソーダ溶液(55℃)に3分間浸漬させた後、表面の蒸留水に対する濡れ性(接触面)及び透明性(ヘイズ度)を測定した。
尚、保護層を有する実施例のフィルムについては、処理後、保護層を剥がして測定を行った。
また、接触角の測定には、協和界面科学株式会社製の自動接触角計CA−Z型を使用し、ヘイズ度の測定には、村上色彩株式会社製の反射・透過率計HR−100型を使用した。
Claims (4)
- 偏光膜の両面に保護フィルムとしてそれぞれトリアセチルセルロースフィルムが貼合されていると共に、一方のトリアセチルセルロースフィルムの表面に更に反射防止膜を有する偏光板の製造方法であって、トリアセチルセルロースフィルムの一方の面に塗膜を設け、次いで、該塗膜上に剥離可能な保護層を設けた後、ケン化処理を施すことにより片面のみがケン化された第1のトリアセチルセルロースフィルムを得、次いで偏光膜の片面に、前記トリアセチルセルロースフィルムのケン化された表面が接するように貼合すると共に、偏光膜の他面に、一方の面のみがケン化され、他面側に塗膜を有することのある第2のトリアセチルセルロースフィルムのケン化面を貼合することを特徴とする偏光板の製造方法。
- 剥離可能な保護層がセルロース誘導体からなる層である請求項1に記載された偏光板の製造方法。
- 第1のトリアセチルセルロースフィルムに設けられた塗膜が反射防止膜である請求項1に記載された偏光板の製造方法。
- 第2のトリアセチルセルロースフィルムとして、偏光膜と貼合しない外側表面に、更に塗膜が設けられている、トリアセチルセルロースフィルムを使用する、請求項1〜3の何れかに記載された偏光板の製造方法。
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JPH10268134A JPH10268134A (ja) | 1998-10-09 |
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1997
- 1997-03-24 JP JP09006497A patent/JP3768324B2/ja not_active Expired - Fee Related
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