JP3768257B2 - 改変タンパク質 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、改変タンパク質に関する。さらに詳しくは、4本のヘリックス束構造を有するタンパク質のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換することによって改変した改変タンパク質、それをコードする塩基配列を含有するDNA、該DNAを含有する発現ベクター、並びに該発現ベクターで形質転換された形質転換体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、生物活性を有する天然タンパク質を各種疾患の治療薬として用いるための臨床開発が検討されている。例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(以下、GM−CSFと略す。)、マクロファージコロニー刺激因子(以下、M−CSFと略す。)、インターロイキン3(以下、IL−3と略す。)、インターロイキン6(以下、IL−6と略す。)等、多くのサイトカイン類について臨床試験が実施され、あるいは臨床試験が検討されている(造血因子(1994年)5巻、6〜86頁)。
【0003】
しかしながら、一般的には蛋白製剤を慢性的に投与する場合、投与量が大量であるほど自己抗体の出現による副作用や、製造コスト上の問題が生じやすくなるといった問題点がある。このような問題点を改善するには、例えば天然型よりも比活性の高い改変タンパク質を用いて投与量を抑制するといった方法を用いること等が考えられる。ここで、比活性の高い改変タンパク質を得るには構造活性相関解析等の基礎的データが必要となってくる。
【0004】
サイトカイン類の中でも、GM−CSF、M−CSF、成長ホルモン(以下、GHと略す。)、プロラクチン(以下、PRLと略す。)、エリスロポエチン(以下、EPOと略す。)、G−CSF、LIF、及びIL−3、IL−6等の各種インターロイキン類等は、いずれもαヘリックスに富み、共通構造として4本のヘリックス束構造(4-Helix Bundle) (なお、個々のヘリックスはN末端側からそれぞれヘリックスA、B、C、Dと呼ぶ。)を有すると言われている(J. F.
Bazan, Neuron (1991年)7巻、197 頁)。
【0005】
4本のヘリックス束構造を有するタンパク質は、160〜200アミノ酸残基からなる長鎖構造のグループ(long-chain group) と105〜145アミノ酸からなる短鎖構造のグループ(short-chain group) に分類される(J. -L. Boulay & W. E. Paul, Curr. Biol. (1993年)3巻、573 頁、S. Sprang & J. Bazan, Curr. Opin. Struct. Biol.(1993年)3巻、815 頁)。前者には、GH、PRL、EPO、G−CSF、LIF、及びIL−6、インターロイキン4(以下、IL−4と省略する)及びGM−CSF等を含む。
【0006】
これらのサイトカイン類において、ヘリックスAとヘリックスBの間のアミノ酸残基(以下、ABループ領域)及びヘリックスD領域に関しての生物活性発現に対する重要性が示されている。IL−6に関しても同様の報告がある (R. Sevino et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1993年)90巻、4067頁、C. Lutticken et al., FEBS Lett.(1991年)282 巻、265 頁、J. P. J. Brakenhoff et al., J. Immunol.(1990年)145 巻、561 頁、X. Li et al., J. B. C. (1993年)268 巻、22377 頁)。GHに関しては、変異体作製による同様の報告 (B. C. Cunningham et al., Science (1990年)247 巻、1461頁)と共に、GHとGH受容体との複合体のX線結晶解析により、直接の同定もなされている(A. M. DeVos et al., Science (1992年)255 巻、306 頁)。
【0007】
また、バザーンはαヘリックスに富むサイトカイン類の中で、ヘリックスCとヘリックスDの間のアミノ酸残基(以下、CDループ領域)とヘリックスDの境界領域(以下、D1キャップ領域と省略する)において、D1モチーフと呼ぶアミノ酸の類似配列があることを示した(J. F. Bazan, Neuron (1991年)7巻、197 頁)。D1モチーフの配列は−φ−(F/W)−(E/Q)−(K/R)−(K/R)−φ−X−G−(φは疎水性残基、Xはいずれの残基でも良いことを示す)であり、同領域は、例えばLIF(154〜161番目)、OSM(159〜166番目)、IL−6(157〜164番目)、インターロイキン11(以下、IL−11と省略する)(148〜155番目)のそれぞれのアミノ酸に相当すると考えられる。このCDループ領域とヘリックスDの境界領域に関しては、IL−6(J. P. J. Brakenhoff et al., J. B. C. (1994年)269 巻、86頁)及びLIF(R. C. Robinson et al., Cell (1994年)77巻、1101頁)において、受容体結合への重要性が報告されている。
【0008】
しかしながら、IL−6のD1キャップ領域のアミノ酸配列はD1モチーフとの類似性がないため、D1モチーフ上での改変に重要なアミノ酸の同定にはならず、また、LIFの同領域のアミノ酸配列はD1モチーフと類似性が高いものの改変に重要なアミノ酸残基の同定はなされていない。また、他のαヘリックスに富むサイトカイン類では、同領域が活性発現に重要であるという報告は無い。
【0009】
一方、ヒトCNTFは、200個のアミノ酸残基からなり、αヘリックスに富み、53%のαヘリックス、9%のβターン構造の含量からなると言われている(A. Negro et al., J. Neurosci. Res., (1991年)29巻、251 頁)。2次構造解析から、ヒトCNTFはαヘリックスに富むサイトカイン類と類似した構造であることが予想され、D1モチーフの配列はヒトCNTFにおいては151〜158番目のアミノ酸残基に相当する。このようにヒトCNTFは4本のヘリックス束構造を有するタンパク質の中では長鎖構造のグループに属し、同グループ内タンパク質とのより緊密な類似性が予想される。
【0010】
また、ヒトCNTFに関して、細胞内へシグナルを伝える為の受容体としては、CNTF受容体α(以下、CNTF−Rαと省略する)、LIF受容体(以下、LIF−Rと省略する)及びgp130の3種から構成されていると考えられている。gp130は、ヒトCNTFの場合と共に、IL−6、LIF、OSM及びIL−11のシグナル伝達の場合にも共通な受容体である(S. Davis et al., Science(1991年)253 巻、59頁、S. Davis et al., Science (1993年)260 巻、1805頁、D. P. Gearing et al., Science(1992年)255 巻、1434頁、N. Y. Ip et al., Cell(1992年)69巻、1121頁)。前述の構造の類似性と共に、同じ受容体を共有しているという点から、CNTF、IL−6、LIF、OSM及びIL−11においては、それぞれのリガンド内で、同じ部位に相当するアミノ酸残基が受容体との結合に関わっている可能性が高いと考えられる。
【0011】
ヒトCNTFは副交感神経である毛様体神経節の生存維持効果を示す因子として、1979年にシルビオ・バロン(S.Varon)らによって発見され(Brain Res. (1979年)173 巻、29-45 頁)、その後、精製およびクローニングについて報告されている(G. Barbin et al., J. Neurochem (1984 年)43巻、1468-1478 頁、L. F. Lin et al., Science (1989 年)246 巻、1023頁、P. Masiakowski et al., J. Neurochem (1991 年)57巻、1003頁、A. Negro et al., Eur. J. Biochem. (1991 年)201 巻、289 頁、J. R. McDonald et al., Biochim. Biophys. Acta.(1991年)、70巻、1090頁、国際公開番号 WO90/7341号公報、国際公開番号
WO91/4316号公報)。
【0012】
ヒトCNTFの薬理作用に関し、in vitroにおいて、海馬、中隔GABA作動性神経(N. Y. IP et al. J. Neursci. (1991) 11巻、3124-3134 頁)、視神経細胞(H. D. Hoffman J. Neurochem. (1988) 51巻、109-113 頁)、知覚神経(G. Barbin et al. J. Neurochem. (1984) 43 巻、1468-1478 頁)、副交感神経(Y. Arakawa et al. J. Neursci. (1990) 10巻、3507-3515 頁)および運動神経(M. Sendtner et al. J. Cell Science. suppl. (1991) 15 巻、103-109 頁)に対する生存維持効果、コリン作動性神経(S. Saadat et al. J. Cell Biol. (1989) 108巻、1807-1816 頁、U. Ernsberger et al. Neuron (1989) 2巻、1275-1284 頁)、タイプ2Aアストロサイト(D. J. Anderson et al. TINS (1989) 12 巻、83頁)への分化活性、in vivoにおいては、片側海馬−中隔野連絡路(F−F)切除モデルにおいて、中隔のコリン作動性神経の生存維持効果(T. Hagg et al. Neuron(1992年)8 巻、145 頁)、運動神経切断モデルにおける運動神経生存維持効果(M. Sendtner et al. Nature (1990) 345 巻、440-441 頁)、遺伝性運動疾患マウスにおける運動神経生存維持効果(M. Sendtner et al. Nature (1992) 358 巻、502-503 頁)、黒質−線条体切断モデルにおける黒質ドーパミン作動性神経に対する保護効果(T. Hogg & S. Varon Proc. Natl. Acad. Sci, USA, (1993) 90 巻、6315-6319 頁)、光受容体細胞の保護効果(M. M. LaVail et al. Proc. Natl. Acad. Sci, USA, (1992) 89巻、11249-11253 頁)、視神経細胞の保護効果(K. Unoki & M. M. LaVail, Investigative Ophthalmology & Visual Science (1994) 35巻、907-915 頁)等が報告されている。
【0013】
このようにヒトCNTFは神経細胞に作用して、その生存維持、突起伸展促進および神経伝達物質合成促進活性を示すことから、外傷による神経障害、アルツハイマー病、脳血管性痴呆症、筋萎縮性側索硬化症など神経細胞の萎縮・変性疾患に対し、有用な治療剤となることが期待されている(J. E. Springer, DN & P (1991) 4巻、394 頁、R. M. Lindsay, Neurobiol. of Aging (1994) 15巻、249-251 頁、R. M. Lindsay, TINS (1994) 17 巻、182 頁)。
【0014】
さらに、運動神経変性疾患のモデル動物(Wobbler mice)における神経障害に対して、脳由来神経栄養因子との併用によるより効果的な保護効果が示され(H.Mitsumoto et al., Science (1994)265 巻、1107-1110 頁)、今後はヒトCNTF単独だけではなく、他の神経栄養因子との併用による治療(R.Nishi, Science(1994)265 巻、1052-1053 頁)も含めて有用な治療剤となることが期待されている。
【0015】
しかしながら、現在、米国で行われている筋萎縮性側索硬化症を対象とした天然型ヒトCNTFの臨床治験(Bio World Today, Sep. 8(1993年))では、週6mgとかなり大量のヒトCNTFが投与されている。前記のように、一般的には蛋白製剤を慢性的に投与する場合、投与量が大量であるほど自己抗体の出現による副作用や、製造コスト上の問題が生じやすくなる。実際、CNTFの米国のフェーズII、III 試験において、抗体の出現が見られ(BIO World Today, Sep 8 (1993)) 、他の副作用も問題となっている(BIO World Today, Jun 24 (1994)), Science (1994 年)264 巻、772-774 頁)。従って、天然型よりも比活性の高いヒトCNTF改変体が期待されている。
【0016】
このように天然型よりも比活性の高い改変タンパク質への期待は、ヒトCNTFのみならず、前記のような各種のサイトカイン類に対しても同様に強いものであり、構造活性相関の解析等による種々の検討がなされているものの、未だ効果的な改変体は見い出されていないのが実状である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、4本のヘリックス束構造を有するタンパク質に関して天然型タンパク質よりも比活性の高い改変タンパク質を提供することにある。本発明の他の目的は、当該改変タンパク質をコードする塩基配列を含有するDNAを提供することにある。本発明のさらに他の目的は、当該DNAを含有する発現ベクター、及び当該発現ベクターで形質転換された原核細胞又は真核細胞を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく、4本のヘリックス束構造を有するタンパク質のD1キャップ領域のアミノ酸残基に着目して鋭意研究したところ、D1キャップ領域に相当するアミノ酸残基の少なくとも1つを他のアミノ酸残基に置換することにより、当該タンパク質の比活性が上昇することを見いだし、本発明を完成するに到った。例えば、天然型ヒトCNTFでは、D1キャップ領域である155番目のリジン残基が活性発現に必須であることを発見した。また153番目のアミノ酸残基の置換がCNTF活性の増加に有効であり、この位置のアミノ酸残基であるグルタミン酸残基を他のアミノ酸残基に置換することにより、天然型ヒトCNTFの比活性を上昇できることを見出した。
【0019】
即ち、本発明の要旨は、
(1) 天然型ヒト毛様体神経栄養因子(以下、毛様体神経栄養因子をCNTFと略す。)のアミノ酸配列の少なくとも153位に相当するアミノ酸残基が、芳香族性アミノ酸残基又はアルギニン残基に置換されてなるヒトCNTFの改変タンパク質、
(2) 天然型ヒト毛様体神経栄養因子(以下、毛様体神経栄養因子をCNTFと略す。)のアミノ酸配列の少なくとも153位に相当するアミノ酸残基が、アラニン残基、バリン残基、ロイシン残基、メチオニン残基、グルタミン残基、アスパラギン残基、グリシン残基、プロリン残基、チロシン残基、フェニルアラニン残基、トリプトファン残基、ヒスチジン残基、リジン残基又はアルギニン残基に置換されてなるヒトCNTFの改変タンパク質、
) 天然型ヒトCNTFの63位に相当するアミノ酸残基が他のアミノ酸残基にさらに置換されている前記(1)又は(2)記載の改変タンパク質、
) 他のアミノ酸残基がアルギニン残基である前記()記載の改変タンパク質、
) 前記〜()いずれか記載の改変タンパク質をコードする塩基配列を含有するDNA、
) 前記()記載のDNAを含有する発現ベクター、並びに、
) 天然型ヒトCNTFのアミノ酸配列の少なくとも153位に相当するアミノ酸残基をアラニン残基、バリン残基、ロイシン残基、メチオニン残基、グルタミン残基、アスパラギン残基、グリシン残基、プロリン残基、チロシン残基、フェニルアラニン残基、トリプトファン残基、ヒスチジン残基、リジン残基又はアルギニン残基に置換する工程を含む、ヒトCNTFの改変タンパク質の製造方法、に関する。
【0020】
本発明において「4本のヘリックス束構造を有するタンパク質」とは、LIF、OSM、G−CSF、GM−CSF、GH、PRL、EPO、インターロイキン2、IL−3、IL−4、インターロイキン5、IL−6、IL−11、骨髄単球成長因子(以下、MGFと略す。)、インターフェロンα(以下、IFNαと略す。)等のαヘリックスに富むサイトカイン類、及びヒトCNTF等のタンパク質をいう。なかでも、細胞内へのシグナル伝達のための受容体としてgp130を利用するタンパク質が好適であり、ヒトCNTF、LIF、OSM、IL−6、IL−11等が挙げられる。
また、個々のヘリックス構造は、N末端側からそれぞれヘリックスA、ヘリックスB、ヘリックスC、ヘリックスDという。本発明において「D1キャップ領域」とは、CDループ領域(ヘリックスCとヘリックスDの間のアミノ酸残基をいう。)とヘリックスDとの境界領域のことをいい、アミノ酸配列が−φ−(F/W)−(E/Q)−(K/R)−(K/R)−φ−X−G−(φは疎水性残基、Xはいずれの残基でも良いことを示す。)で表される配列を有する領域をいう。この8個のアミノ酸からなる配列は、本発明における4本のヘリックス束構造を有するタンパク質において共通してみられるものであり、D1モチーフ配列と呼ばれる。表1に、上記4本のヘリックス束構造を有するタンパク質中のD1キャップ領域におけるD1モチーフのアミノ酸配列を示す。なお、ILはインターロイキンを略記したものである。
【0021】
【表1】
Figure 0003768257
【0022】
さらに、本発明において、「天然型ヒトCNTFのアミノ酸配列」とは、国際公開番号WO91/4316号公報に記載されたものであり(配列番号:1)、「天然型LIFのアミノ酸配列」とは、文献(R.C.Robinson et al.,Cell,(1994) 77巻1101頁)に記載されたものであり、「天然型OSMのアミノ酸配列」とは、文献(T.M.Rose and A.G.Bruce, Proc.Natl.Acad.Sci.USA,(1991) 88巻8641頁, J.C.Kallestad et al., J.B.C.(1991) 266巻8940頁)に記載されたものであり、「天然型G−CSFのアミノ酸配列」とは、文献(B.Lovejoy et al., J.Mol.Biol.(1993)234巻 640頁)に記載されたものである。本明細書におけるアミノ酸の位置の表記もこれらに従う。
【0023】
本発明において、「改変タンパク質」とは、天然型タンパク質のアミノ酸配列中の少なくともD1キャップ領域に相当するアミノ酸残基(特にD1モチーフ中のアミノ酸残基)の少なくとも1つが他のアミノ酸残基に置換されたタンパク質をいう。ここで、D1キャップ領域における改変、即ち、置換を受けるアミノ酸残基の数、種類、D1キャップ領域における位置等は限定されるものではない。しかしながら、改変タンパク質の比活性を高くする観点から、D1モチーフのN末端側から3番目のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されている改変体が好ましい。具体的には、ヒトCNTFにおける153位、LIFにおける156位、OSMにおける161位、G−CSFにおける146位が、ここでいうD1モチーフのN末端側から3番目のアミノ酸残基に相当する。
【0024】
本発明において、「他のアミノ酸残基」とは、天然のアミノ酸残基又は非天然のアミノ酸残基を意味する。他のアミノ酸残基が天然のアミノ酸残基の場合、中性又は塩基性アミノ酸残基が好ましい。即ち、本発明の改変タンパク質の好ましい例として、D1モチーフのN末端側から3番目のアミノ酸残基が、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、グルタミン、アスパラギン、グリシン、プロリン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン等の中性アミノ酸の残基や、ヒスチジン、リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸の残基に置換されたものが挙げられる。なかでも、比活性の向上という観点から、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジンなどの芳香族性アミノ酸残基や、アルギニン等の残基に置換されたものがとりわけ好ましい。また、アラニン、バリン、ロイシン、メチオニン、プロリン等の疎水性アミノ酸残基等も好適である。
【0025】
また、他のアミノ酸残基が非天然のアミノ酸残基である場合としては、例えば蛋白質の合成段階で非天然アミノ酸を導入した場合、又は蛋白質合成後化学修飾された天然のアミノ酸残基等が挙げられる。蛋白質の合成段階で導入する方法として、部位特異的に様々な非天然アミノ酸を導入する一般的に有効な方法が報告されており(Science, 244, 182 (1989))、実際にパラ位をフッ素或いはニトロ基で修飾したフェニルアラニンを化学的にtRNAにアシル化し、in vitroの蛋白合成系で発現した結果が示されている。また他の方法として、非天然のアミノ酸であるフラノマイシン(Furanomycin) を認識する大腸菌のIsoleucyl-tRNA(J. B. C., 265, 6931 (1990))を利用して目的の位置に導入したり、或いはCell−Freeの蛋白合成系(J. Biochem., 110, 166 (1991))において、目的の導入を行うことにより非天然のアミノ酸残基に置換されたもの等が挙げられる。
【0026】
また、精製蛋白を利用して、アミノ酸残基特異的あるいは部位特異的に化学修飾したものも挙げられる(新生化学実験講座1,IV,11(1991)) 。例えばグルタミン酸残基に対しては、アミド化する、リジン残基に置換した後トリニトロフェニル化する、アルギニン残基に置換した後フェニルグリオキサールと反応させる、ヒスチジン残基に置換した後カルベトキシ化する、トリプトファン残基に置換した後アリールスルフェニルクロリドと反応させる、チロシン残基に置換した後ニトロ化する等の方法による改変体が挙げられる。これらの化学修飾は常法により行うことができる。
【0027】
なお、本発明においては改変タンパク質の活性を著しく損なわないかぎり、D1モチーフのN末端側から3番目のアミノ酸残基に相当するアミノ酸残基の置換に加え、その位置以外のアミノ酸残基に対する、通常蛋白工学分野で行われる改変(アミノ酸置換、アミノ酸削除、アミノ酸付加、およびドメイン置換等)を行うことも可能である。
【0028】
例えば天然型ヒトCNTFにおいて、153位に加えて、さらに63位、136位、154位、156位、157位、160位、163位、164位、167位、177位、178位、184位などのアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換したものが挙げられる。ここでいう153位以外のアミノ酸残基の置換は、前記のように定義される「他のアミノ酸残基」で置換される。天然型ヒトCNTFでは、アミノ酸配列の63位のアミノ酸残基をアルギニン残基に置換することによりCNTF活性が上昇することが既に公表されているが(Panayotatos et al., J.B.C., 268 巻,19000-19003頁(1993))、このようなヒトCNTF上のCNTF活性増加に有効な変異を組み合わせた置換を行うことにより、それぞれの部位の単独置換体以上の比活性を有する改変体をも得ることができる。例えば、153位に加えて63位のアミノ酸残基も置換する場合、153位と63位を共にアルギニンに置換したもの、153位はチロシンに63位はアルギニンに置換したもの、153位をトリプトファンに63位はアルギニンに置換したもの等が好適例として挙げられる。
【0029】
本発明の改変タンパク質は、遺伝子工学分野における常法により作成することができる。即ち、D1モチーフのN末端側から3番目に相当するアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換する場合、当該天然型タンパク質、又は当該改変体をコードするDNA含有ベクターの一部を合成オリゴヌクレオチドで置換して、当該天然型タンパク質のアミノ酸配列において、D1モチーフのN末端側から3番目に相当するアミノ酸をコードするDNAを他のアミノ酸をコードするDNAに変え、これを適当な発現ベクターに連結して宿主内に導入し、形質転換させた宿主に目的の改変体を生産させることができる。以下、その詳細について述べる。
【0030】
本発明の改変タンパク質の製造には、例えば、当該天然型タンパク質をコードする構造遺伝子を用いることができる。ヒトCNTFを改変する場合、天然型ヒトCNTFをコードするヒトCNTF構造遺伝子は、例えばウサギあるいはヒトのゲノムDNAからのクローニングによって既に取得されており(K. A. Stockli et al., Nature, 342, 316 (1989)., L. F. Lin et al., Science, 246, 1023 (1989)., P. Masiakowski et al., J. Neurochem., 57, 1003(1991)., A. Negro et al., Eur.J. Biochem., 201, 289(1991)., J. R. McDonald et al., Biochem. Biophys. Acta., 1090, 70(1991)., A. Lam et al., Gene, 102, 271 (1991)) 、そのDNA配列及びアミノ酸配列も知られている。従って、例えば常法(J. Sambrook et al., Molecular cloning : A laboratory manual)に従って、天然型ヒトCNTF遺伝子をクローニングすることができる。また、LIF、OSM、G−CSFをコードする構造遺伝子も同様に取得されているので(J.F.Moreau et al., Nature(1988)336巻 690頁, M.N.Kallested et al., Mol.Cell.Biol.(1989) 9巻2847頁, H.Nomura et al., EMBO J.(1986) 5巻 871頁)、それらを用いてヒトCNTFと同様に行えばよい。
【0031】
プラスミド中にクローニングした天然型タンパク質構造遺伝子の特定の配列を他の配列に置換する方法は、既に一般的に行える状況にあり、本発明においても常法により、D1モチーフのN末端側から3番目に相当するアミノ酸残基を置換することができる。置換の方法は、目的とする置換したアミノ酸配列をコードするDNAを増幅し、得られたDNAフラグメントを当該天然型タンパク質における置換の対象となる部分の配列(以下、相当配列と省略する。)と置き換える方法が便利である。
【0032】
具体的には、例えば置換した塩基配列からなるオリゴヌクレチドと、増幅に必要なタンパク質の配列中、置換部位以外の塩基配列或いはベクター部分の配列に相当するオリゴヌクレオチドをプライマーに用い、天然型タンパク質の構造遺伝子を含むプラスミドを鋳型にして、上記2種で挟まれた領域を増幅し、得られた増幅フラグメントを天然型タンパク質の相当配列と置き換える方法が便利である。2種のプライマーで挟まれた領域の増幅方法としては、例えば遺伝子増幅法(PCR)(Gene, 77, 61-68 (1989)) が行われ、またこの操作を行うためには市販のDNA自動増幅装置が有効に用いられる。なお、1回の増幅反応で天然型タンパク質の相当配列との置き換えに都合の良い制限酵素切断部位を有するフラグメントが得られない場合には、1回目の遺伝子増幅産物を2回目の遺伝子増幅反応の1つのプライマーとして用い、目的の制限酵素切断部位を有するフラグメントを調製することもできる。
【0033】
図1に、その一例としてヒトCNTFを対象とする場合を示す。図1に示されるように、2回の遺伝子増幅反応を行うことによって目的の置換した塩基配列が導入され、かつ天然型ヒトCNTFの相当配列との置き換えに都合の良い制限酵素切断部位を有するフラグメントを得ることができる。さらに、2つの異なる部位に置換を導入する場合には、別個にそれぞれの部位に変異を導入した後、適当な制限酵素切断部位を利用してクローニングし、両変異を持つ遺伝子を構築するか、あるいは一方の変異を導入したあと、その変異遺伝子をテンペレートとして用いて、さらに遺伝子増幅反応による一方の変異の導入を行い構築することができる。
【0034】
目的の置換(あるいは挿入)が行われたDNA配列を確認するためには、ジデオキシ法(Science, 214, 1205(1981))の原理を利用し、例えばシークナーゼDNAシークエンスキット(東洋紡社製)を用いて行うことができる。その他、実施例に記載されているような制限酵素によるDNAの切断、欠失、それらにより生じるDNA断片の電気泳動による分離、回収、あるいは連結等の遺伝子操作は全て公知の方法(T.Maniatis et al., Molecular cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Lab.(1982))に準じて行うことができる。
【0035】
このようにして得られる改変タンパク質をコードする塩基配列を含有するDNAは、例えばpKK223−4(Pharmacia 社製、図2)等周知の発現ベクターに連結された後、適当な宿主に導入されることにより、本発明の目的物質である改変タンパク質を発現することができる。宿主としては、原核細胞または真核細胞のいずれでもよく、例えば大腸菌株や動物細胞株は、特に記載のない限り既に広く普及しており入手は容易である。例えば大腸菌宿主としては、JM109株等が挙げられる。また、動物細胞宿主としては、COS−1、CHO細胞が挙げられる。
【0036】
発現ベクターを用いてこれらの宿主を形質転換するには、電気パルス法(高山伸一郎、細胞工学6、 771、 1987)、或いは塩化カルシウム法 (J. Mol. Biol. 53, 159 (1970)) を用いればよい。このような形質転換された大腸菌株や動物細胞株等を用い、例えば常法(T. Maniatis et al., Molecular cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Lab.(1982))に従って、改変タンパク質を発現させることができる。さらに、得られた菌株を常法に従い溶菌し、遠心分離(10500×g)にかけて可溶性画分を得ることができる。発現された改変タンパク質は、必要に応じて常法に従って精製することも可能である。例えばヒトCNTF改変体の場合は、J. Neurochem.,57, 1003(1991) に従って精製することができる。
【0037】
ヒトCNTF改変体の場合、具体的には、例えば、発現誘導後の大腸菌を、集菌後リゾチーム処理により溶解し、更に超音波処理を行う。遠心分離(11000×g)を行い、ヒトCNTF改変体を含む不溶性画分を得て、この画分を6Mの塩酸グアニジン溶液で可溶化し、次いでβメルカプトエタノールを含むトリス−塩酸緩衝液で透析し再生を行う。次に、陰イオン交換カラムクロマトグラフィー(Asahipak-502NP: 旭化成社製)にかけた後、NaCl直線濃度勾配により可溶化されたヒトCNTF改変体を溶出する。更に、溶出した可溶性タンパク質を疎水性カラムクロマトグラフィー(Ether-5PW:東洋曹達社製)にのせ、洗浄後に硫酸アンモニウム直線濃度勾配で溶出することにより、精製ヒトCNTF改変体を得ることができる(J. Neurochem., 57, 1004〜1005(1991)を参照し、一部改変した)。
【0038】
発現された改変タンパク質の定量は、通常用いられる公知の方法でよい。例えば、天然型タンパク質を用いて得られる特異的抗体によるエンザイムイムノアッセイ(ELISA)やSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)等が利用できる。ELISAによる場合、上述と同様の方法で調製した天然型タンパク質の精製品を用い、例えば常法(Methods in Enzymology, 73, 46-52(1981))に従って、動物〔例えばニュージーランドホワイトラビット(♂,1kg)等〕に免疫して抗血清を取得することができる。抗血清からの特異的抗体の精製は、例えば天然型タンパク質を標品としてカラム担体〔例えば活性化セファロース(Pharmacia 社製, CNBr Activated Sepharose 等〕に結合させ、これを用いてカラムクロマトグラフィーを行うことにより可能である。該方法により得られる特異的抗体を用いて、改変タンパク質の定量のためのELISAを行うことにより、未精製の状態で微量の改変タンパク質を検体とした場合でも、充分に定量を行うことが可能となる。
【0039】
また、改変タンパク質を定量する別の方法として、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)を利用することができる。即ち、公知の方法(Nature, 227, 680(1970))でSDS−PAGEを行い、当該タンパク質に由来するゲルバンドの濃度を画像処理ソフト(例えば、NIH Image 1.47)を用いて、エンザイムイムノアッセイ(ELISA)の場合と同様に未精製の状態で改変タンパク質の定量を行うことができる。
【0040】
上述のようにして調製した改変タンパク質の生物活性は、それぞれのタンパク質に応じた方法で測定する。
例えばヒトCNTF改変体タンパク質の生物活性は、ニワトリ後根神経節(DRG)、毛様体神経節(CG)又はラットDRG等を用いることにより公知の方法(Nerve Growth Factors, 31-56,(1989))で測定することができる。また、LIF改変体タンパク質の生物活性は、胎性幹細胞等種々の細胞を利用して、公知の方法(D.Metcalf, Growth Factors (1992) 7巻 169頁)で測定することができる。OSM改変体タンパク質の生物活性は、黒色腫細胞の成長阻害活性等(D.Horn et al., Growth Factors (1990) 2巻 157頁)を利用して測定することができる。G−CSF改変体タンパク質の生物活性は、造血系の腫瘍細胞であるNFS−60細胞の成長促進活性(M.Tsuchiya et al., Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1986)83巻7633頁)等を利用して測定することができる。
【0041】
本発明のヒトCNTF改変体等の改変タンパク質は、天然型タンパク質と同等あるいはそれ以上の生物活性を有しているため、天然型に比べて有用な治療剤となり得ることが期待される。更に、天然型タンパク質の医薬品としての開発段階で問題になっている、大量投与による問題点、即ち、必要量を生産することの量的な難しさ、混在する物質による副作用、あるいは天然型タンパク質自身に対する抗体出現の為の副作用等の問題点を解決できる可能性があると考えられる。
【0042】
例えばヒトCNTF改変体の生物活性としては、後述の実施例において示されるように、153位のアミノ酸残基がアラニン、バリン、ロイシン、メチオニン、グルタミン、アスパラギン、グリシン、プロリン、リジンの残基に置換された場合には、153位がグルタミン酸(天然型)のものに対して2〜3倍のニワトリDRGニューロンに対する生存維持活性を示し、153位のアミノ酸残基がチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニンの残基に置換された改変体は、ニワトリDRGニューロン、ニワトリCGニューロン及びラットDRGニューロンに対して天然型ヒトCNTFの約10倍の生存維持活性を示す。また、153位のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基(例えば、アルギニン、チロシン、トリプトファン残基)に置換され、かつ63位のアミノ酸残基がアルギニン残基等に置換された場合には、ニワトリDRGニューロンに対してそれぞれの単独置換体よりもさらに高い比活性を示す。
このように本発明のヒトCNTF改変体は、天然型ヒトCNTFと同等あるいはそれ以上の生物活性を有しているため、天然型ヒトCNTFと同様に、運動神経変性疾患、末梢神経ニューロパチーなどの末梢神経関連疾患、アルツハイマー病、脳血管性痴呆症、パーキンソン病、ハンチング病などの中枢神経関連疾患、網膜色素変性症、緑内障、糖尿病性網膜症、網膜黄斑変性症などの眼関連神経の治療剤となり得る。更に、天然型ヒトCNTFの医薬品としての開発段階で問題になっている、大量投与による問題点、即ち、必要量を生産することの量的な難しさ、混在する物質による副作用、あるいはヒトCNTF自身に対する抗体出現の為の副作用等の問題点を解決できる可能性があると考えられる。
【0043】
前述したように、バザーンが、CNTF類縁タンパク質であるαヘリックスに富むサイトカイン類の中でD1キャップ領域においてD1モチーフと呼ぶアミノ酸の類似配列があることを示したが(J. F. Bazan, Neuron (1991年)7巻、197 頁)、本発明者らは今回初めてそのモチーフ内での各アミノ酸の役割を明らかにした。各タンパク質において、D1キャップ領域のD1モチーフとして予想されるアミノ酸配列を表1に示す。この時、長鎖構造のグループ(IA、IB)と短鎖構造のグループ(II)を分類して表記し、更に長鎖構造のグループに関しては受容体としてgp130を利用するグループ(IA;CNTFはこのグループに属する)とそれ以外のグループ(IB)に分類して表記した。
ヒトCNTFと同様に、D1モチーフと類似配列を持つタンパク質は、長鎖構造のタンパク質に多く、特に受容体としてgp130を利用するLIF及びOSM、あるいはG−CSFでの類似性が高い。
【0044】
αヘリックスに富むサイトカイン類に関しては、現在までに多くの構造活性相関解析がなされており、ヒトCNTFと、より構造の類似性の高い長鎖構造のグループのタンパク質に関する構造活性相関解析の結果について、図3に簡略にまとめた。受容体としてgp130を利用するグループ(A)とそれ以外のグループ(B)に分類して表記し、また、実験的に活性発現に重要であることが既知の領域に関しては網掛けで、活性発現への関与が予測される領域に関しては破線で囲って表記した。
【0045】
D1キャップを含むCDループとヘリックスDの境界領域に関しては、前述のようにIL−6 (J. P. J. Brakenhoff et al., J. B. C. (1994年)269 巻、86頁)及びLIF(R. C. Robinson et al., Cell (1994年)77巻、1101頁)において受容体結合への重要性が報告されている(但し、IL−6のD1キャップ領域のアミノ酸配列はD1モチーフとの類似性が無いため、D1モチーフ上での改変に重要なアミノ酸の同定にはならず、また、LIFの同領域のアミノ酸配列はD1モチーフと類似性が高いものの、改変に重要なアミノ酸残基の同定はなされていない)。また、他のαヘリックスに富むサイトカイン類で、同領域が活性発現に重要であるという報告は、後述するG−CSFを除くと報告されていない。また今回、ヒトCNTFにおいてD1キャップ領域の重要性が示されたことから、D1キャップ領域を受容体結合に利用するタンパク質の1つの共通項目として、gp130を受容体として利用するということが考えられる。同グループのタンパク質としては、CNTF以外にLIF、OSM、IL−6、IL−11が知られており、これらのタンパク質において、D1キャップ領域に相当するアミノ酸残基が、活性発現のための受容体結合に関与している可能性が高いと考えられる。
【0046】
特に、LIF及びOSMはD1モチーフとの類似性が高いことから、ヒトCNTFにおけるD1キャップ領域での変異による効果と同じ効果が、それぞれのタンパク質での相当する部位の改変により起こることが予想される。具体的には、ヒトCNTFの155位のリジン残基に相当する、LIFの158位及びOSMの163位のリジン残基の変異により、活性が激減することが予想され、またヒトCNTFの153位のグルタミン酸残基に相当する、LIFの156位及びOSMの161位のグルタミン残基の変異により、ヒトCNTFの場合と同じような活性の上昇が期待される。また、この両残基に限らず、D1モチーフ内の他のアミノ酸の変異でも活性の変化があることが予想される。
【0047】
gp130を利用しない、あるいは利用するという報告がないタンパク質の中で、D1モチーフの配列との類似性が顕著なものとしてG−CSFがある。G−CSFにおいては、同領域周辺を認識するモノクローナル抗体が、G−CSFの活性を中和するという報告もあり(J. E. Layton et al., J. B. C. (1991年)266 巻、23815 頁)、D1キャップ領域の受容体結合への関与が予想される。即ち、ヒトCNTFの153位のグルタミン酸残基に相当する、G−CSFの146位のグルタミン残基の変異により、ヒトCNTFの場合と同じような活性の上昇が期待され、D1モチーフ内の他のアミノ酸の変異により活性の変化が起こることが予想される。更に、G−CSFとの類似性が報告されているMGFについても同様のことが予想され、MGFのD1キャップ領域内の変異により、活性の変化(あるいは上昇)が起こることが予想される。gp130を受容体として利用するタンパク質に限らず、D1モチーフという共通配列での受容体結合は一般に見られることかも知れない。
【0048】
【実施例】
以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本実施例において使用する略語の名称を以下に示す。
PCR : 遺伝子増幅法
BAP : bacterial alkaline phosphatase
IPTG : isopropyl-β-D-thiogalactopyranoside
PMSF : phenylmethanesulfonyl fluoride
PBS : phosphate buffered saline
BSA : bovine serum albumin
ALP : alkaline phosphatase
SA : streptoavidine
PNPP : p-nitrophenyl phosphate
DRG : dorsal root ganglion
DMEM : dulbecco's modified eagle medium
FCS : fetal calf serum
MTT: 3-[4,5-dimethylthiazol-2-yl]2,5-diphenyltetrazolium bromide
CG : ciliary ganglion
【0049】
実施例1
天然型ヒトCNTF遺伝子への変異導入及びヒトCNTF改変体発現ベクターの調製
1)実験材料
大腸菌株JM109(lacIq : 宝酒造社製)をクローニングのため、また天然型ヒトCNTFおよびヒトCNTF改変体の発現のための宿主菌として使用した。天然型ヒトCNTF発現ベクター(pKKCNTF )としては、tacプロモーターを有する大腸菌発現ベクターであるpKK223-4(Pharmacia 社製、図2)に天然型ヒトCNTF遺伝子及び該CNTF遺伝子の5’側にリンカーDNAを挿入して作製したものを使用した(図4)。
【0050】
2)変異導入遺伝子の増幅反応
ランダムなアミノ酸の部位特異的変異の導入は、遺伝子増幅法(PCR)を利用した。数種の合成DNAプライマーを使用し、2段階のPCR反応により調製した(図1)。PCRには、テンペレートとして天然型ヒトCNTF発現ベクター(pKKCNTF)を使用し、ポリメラーゼは適合度(fidelity)の高いpfu ポリメラーゼ(Stratagene社製)を利用した。なお、使用したプライマーのシークエンスを図5に示した。変異部位のプライマーとしては、天然型ヒトCNTFのアミノ酸配列における152番目から157番目のそれぞれのアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換したヒトCNTF改変体(以下、例えば153位を置換したヒトCNTF改変体を単に「E153位改変体」と省略する場合がある。)を得るためのプライマーを示したが、その相当部位において、第1コドン及び第2コドンはG、A、T及びC、また第3コドンはG及びCの混合として、合成の段階で調製した。これら32種の混合プライマーにより、目的の部位については20種のアミノ酸全てを網羅していることになる。
【0051】
また、63位のグルタミン残基をアルギニン残基に置換する場合は、目的の変異の単一のプライマーとして、図5に示すpQ63Rを用いた。改変体作成の手法、条件等は、変異部位のプライマーとしてpE153の代わりにpQ63Rを用いた以外は、上記と同様である。また、63位のグルタミン残基をアルギニン残基に置換したCNTF改変体を「Q63R改変体」と省略する場合がある。なお、各ステップのPCRの反応条件を図6に示した。
【0052】
具体的にはまず、構造遺伝子の5’側或いは3’側のプライマー1と、変異部位のプライマー2(pE153又はpQ63R)の2種のプライマーを利用して、1回目のPCR反応を行った。プライマー1 は、変異部位に近い方のプライマー(図5に記載の#N)を用いた。増幅後、アガロースゲルにて電気泳動し、目的遺伝子を切り出し精製した。次に、この生成産物と図5に記載の#C(RV)をプライマーとして利用し、ヒトCNTF全構造遺伝子を増幅するようにして2回目のPCR反応を行った。この段階においては、1回目のPCRによる生成産物をプライマーとして用いるが、使用量は約1〜2pmolと、ある程度狭い範囲でのみ増幅が可能であり、1回目のPCRの生成産物量が、少な過ぎてもまた逆に多過ぎても増幅されなかった。また、アニーリングの温度は60℃前後が適当であり、テンペレートにはpKKCNTF をPvuII で消化し線状(linear)DNAとして調製したものを用いた。
【0053】
3)ヒトCNTF改変体発現ベクターの調製
天然型ヒトCNTF発現ベクター(pKKCNTF )をBamHI 及びPstIで切断し、パッセンジャー部分である天然型ヒトCNTF構造遺伝子部分を除き、ベクターとして用いた。一方、このベクターに挿入するパッセンジャー(ヒトCNTF改変体構造遺伝子)部分には、BamHI 及びPstIの切断部位が構造遺伝子内にも存在する。そのため、BamHI 及びPstIサイトは使用できないので、それらとそれぞれ相同な(cohesive)部分を生成する、Bgl II(5’側)及び EcoT22I(3’側)の切断部位を遺伝子増幅のプライマー内にデザインし(図5)、これらの制限酵素による消化後、ベクターの BamHI、PstIサイトに挿入した。即ち、具体的には、まずpKKCNTF をBamHI 及びPstIで消化し、電気泳動後切り出し精製し、更に、BAP処理を行った。一方、遺伝子増幅によって調製されたパッセンジャーをBgl IIとEcoT22I で切断し、このパッセンジャー(約100ng:モル数でベクターの約10倍)と上記調製したベクター(100ng)を用いてライゲーションを行い、後述の方法でJM109株へ形質転換した。得られたクローンについて塩基配列の決定を行い、変異の同定を行なった。塩基配列決定には、シークナーゼDNAシークエンスキット(東洋紡社製)を利用した。このようにして、E153位改変体発現ベクターとQ63R改変体発現ベクターを得た。
【0054】
4)両部位の置換(153位/63位)を組み合わせた変異遺伝子及び発現ベクターの調製
pKKCNTF と同様、Q63R改変体の発現ベクター上には、制限酵素Hind IIIによる切断部位が2箇所存在する(図7)。図7に示したパッセンジャー部分をE153位改変体遺伝子の相当部分と置換することにより、両部位の置換(153位/63位)を組み合わせた変異CNTFの発現ベクターの調製を行った。具体的には、まず上記で得たQ63R改変体の発現ベクターをHind IIIで消化し、そのままライゲーションを行い、図7のパッセンジャー遺伝子を欠失した遺伝子を調製した。この遺伝子についてさらにHind IIIで消化を行い、消化されたDNAを精製後BAP処理し、ベクター部分とした。また、E153位改変体それぞれの発現ベクターをHind IIIで消化後パッセンジャー部分(約400bp)を分離精製し、上記調製したベクター部分を用いてライゲーションを行い、同様に後述の方法でJM109株へ形質転換した。得られたクローンについてパッセンジャー部分の挿入及び挿入方向を確認し、目的の挿入のあったクローンについて塩基配列決定により変異の再確認を行った。
【0055】
その結果、表2に示すそれぞれ51種のヒトCNTF改変体を発現する発現ベクターを得た。
【0056】
【表2】
Figure 0003768257
【0057】
5)発現ベクターで形質転換された大腸菌の調製
市販のJM109株のコンピテントセル(東洋紡社製)100μLに、前記により調製したヒトCNTFまたはヒトCNTF改変体を発現するベクターのDNA(約100ng)を混合し、30分間氷中に放置した。次いで42℃で30秒間熱処理を行った後、SOC培地(トリプトン20g、酵母エキス5g、塩化ナトリウム0.585g、塩化カリウム0.186g、塩化マグネシウム10mM、硫酸マグネシウム10mM、グルコース20mM:1リットルあたり)900μLに加え、37℃で約1時間振盪培養した。50μg/mL濃度のアンピシリンを含有するLB寒天培地(トリプトン10g、酵母エキス5g、塩化ナトリウム5g、寒天15g〔pH7〕:1リットルあたり)に塗り広げ、形質転換された大腸菌を選択した。
【0058】
実施例2
1)大腸菌によるヒトCNTF改変体の発現
実施例1により得られた本発明のヒトCNTF改変体発現ベクターを用いて、大腸菌を形質転換した後、この形質転換された大腸菌を利用しヒトCNTF改変体を発現させた。発現はTYGPN培地(トリプトン20g、酵母エキス10g、グリセリン8mL、リン酸1ナトリウム5g、硝酸カリウム1g〔pH6.1〕:1リットルあたり)を用い、少量培養を行った。
【0059】
即ち、50μg/mLのアンピシリンを含むTYGPN培地900μLに大腸菌株JM109の形質転換体の種培養100μLを加え、37℃で振盪培養した。2時間後、終濃度1mMとなるようにIPTGを加え、3時間培養した。遠心後、下記の溶菌操作を行った。培養液ペレットに溶菌溶液(50mM トリス・HCl(pH8.0)、1mM EDTA、100mM NaCl、リゾチーム0.27mg/mL、0.13mM PMSF、60U DNaseI)100μLを添加し、37℃で1時間消化した後、遠心(15000rpm×15分)した。そのライセートの上清をSDS−PAGEによる濃度検定及びDRGニュ−ロンの生存維持活性測定のためのサンプルとした。なお、DRGニュ−ロンの生存維持活性測定サンプルは50μLのライセートの上清を、950μLのPBS(0.1%BSAを含む。)に希釈し、ろ過除菌して調製した。
【0060】
2)SDS−PAGEによるヒトCNTF改変体の発現の確認と定量
SDS−PAGEは、以下の条件で行った。
市販の15%−25%ポリアクリルアミド濃度のグラジエントゲル(第一化学薬品社製)を用いた。前記ライセートの上清の4μLを各ウェルにのせ、定電流(40mA)で1時間泳動を行った。
【0061】
SDS−PAGEにより得られた、E153位の改変体における泳動パターンを例として図8(A)及び(B)に示した。図8(A)中、レーン1は分子量マーカー、レーン2及びレーン12は大腸菌発現天然型精製ヒトCNTF、レーン3は天然型ヒトCNTFの前記ライセート上清、レーン4〜11は本実施例により得られたE153位改変体の前記ライセート上清(4:E153R、5:E153K、6:E153A、7:E153V、8:E153L、9:E153G、10:E153P、11:E153I)の泳動パターンを示す。同様に図8(B)中、レーン1は分子量マーカー、レーン2及びレーン12は大腸菌発現天然型精製ヒトCNTF、レーン3は天然型ヒトCNTFの前記ライセート上清、レーン4〜11は本実施例により得られたE153位改変体の前記ライセート上清(4:E153Y、5:E153F、6:E153W、7:E153H、8:E153M、9:E153Q、10:E153N、11:E153D)の泳動パターンを示す。また、ヒトCNTFの位置を←で表記した。
【0062】
SDS−PAGEにより得られた、E153位の改変体、Q63R改変体及び本発明の両部位の変異の組み合わせ(E153/Q63R)による改変体における泳動パターンを図9に示した。図9中、レーン1は大腸菌発現天然型精製ヒトCNTF、レーン2は天然型ヒトCNTFの前記ライセート上清、レーン3〜9は本実施例により得られた各改変体の前記ライセート上清(3:Q63R、4:E153R、5:E153Y、6:E153W、7:E153R/Q63R、8:E153Y/Q63R、9:E153W/Q63R)の泳動パターンを示す。また、天然型ヒトCNTFの泳動位置を←(1)、Q63R改変体の泳動位置を←(2)で表記した。
【0063】
この結果から、スキャナーを利用して電気泳動の画像を取り込み、CNTFに由来するゲルバンドの濃度を画像処理ソフト(NIH Image 1.47)を用いて定量した。一例として、天然型ヒトCNTF及びヒトCNTF改変体(E153R)の定量の結果を示すと、それぞれ6.4μg/mL、7.0μg/mLであった。
【0064】
3)ELISA法によるヒトCNTF改変体の定量
精製抗天然型ヒトCNTF抗体を利用して、サンドイッチELISA法により、活性測定サンプル中のヒトCNTF改変体の濃度を定量した。即ち、予め抗天然型ヒトCNTF抗体を固定化しておいた96穴プレートに、50μLの測定サンプルをのせ、4℃で一晩放置した。PBSで各ウェルを洗浄(200μL、3回)し、ビオチン化抗天然型ヒトCNTF抗体(3%BSA/PBS/NaN3 に1000倍希釈したもの)50μLを反応させた。200μLのPBSで3回洗浄した後、アルカリ性ホスファターゼ結合ストレプトアビジン(3%BSA/PBS/NaN3 に2000倍希釈したもの)(VEC社)50μLを入れ、室温にて2時間放置した。再度200μLのPBSで3回洗浄した後、0.5mg/mL濃度のPNPPを含む0.1M炭酸ナトリウム、1mM塩化マグネシウム(pH9.8)溶液に室温にて溶解し、415nmの吸光度を測定した。なお、精製抗天然型ヒトCNTF抗体の調製は、天然型ヒトCNTFをリガンドとして用いたアフィニティークロマトグラフィーにより行った。
【0065】
天然型ヒトCNTF及びヒトCNTF改変体(E153R)の定量の結果はそれぞれ7.6μg/mL、7.9μg/mLであり、SDS−PAGEの結果から推定されたものとほぼ同程度であった。他の改変体に関しても、SDS−PAGEから求めた定量値とELISA法から求めた定量値でほぼ同程度の結果が得られた。図10〜17では、SDS−PAGEから求めた定量値で表している。
【0066】
実施例3
ヒトCNTF改変体の活性測定
ニワトリ後根神経節(DRG)ニューロンの生存維持活性を指標として、実施例2により得られた各CNTF改変体の活性測定を行った。即ち、10日令ニワトリ胚(E10)からDRGニューロンを摘出し、トリプシン(0.125%)及びDNaseIで処理した後、5%FCSを含むDMEM培地で前培養(37℃、30分)を行った。次に、ポリオルニチン(0.5mg/mL)でコートした96穴プレートを用いて、5%FCSを含むDMEM培地で分散培養(各ウェル100μL、37℃、72時間)を行った。培養後の生存細胞について、10μgのMTTを添加した際の還元能を指標として、フォルマザンの生成量を570nmの吸光度で調べた。なお、各CNTF改変体は前培養の後、最終濃度0.001ng/mL〜100ng/mLとして各々添加した。
【0067】
また、対照として、天然型ヒトCNTFを用いてDRGニューロンに対する生存維持活性を測定した。なお、活性測定に使用した天然型ヒトCNTF及び各CNTF改変体サンプルは、同じ方法で同時に調製したものである。
【0068】
また、153位のグルタミン酸残基をアルギニン残基に置換したE153R改変体、チロシン残基に置換したE153Y改変体、ヒスチジン残基に置換したE153H改変体、フェニルアラニン残基に置換したE153F改変体、トリプトファン残基に置換したE153W改変体については、以下のようにニワトリ毛様体神経節(CG)ニューロンに対する生存維持活性も調べた。即ち、8日令ニワトリ胚(E8)からCGニューロンを摘出し、トリプシン(0.125%)及びDNaseIで処理した後、5%FCSを含むDMEM培地で前培養(37℃、60分)を行った。次に、ポリオルニチン(0.5mg/mL)及びラミニン(5μg/mL)でダブルコートした96穴プレートを用いて、5%FCSを含むDMEM培地で分散培養(各ウェル100μL、37℃、24時間)を行った。培養後の生存細胞については、DRGの場合と同様にMTTを用いて吸光度を測定し、生存維持活性の指標とした。
【0069】
さらに、E153R改変体、E153Y改変体、E153H改変体、E153F改変体、E153W改変体については、以下のようにラットDRGニューロンに対する生存維持活性も調べた。すなわち、21日令ラット胚(E21)からDRGニューロンを摘出し、トリプシン(0.125%)及びDNaseIで処理した後、5%FCSを含むDMEM培地で前培養(37℃、30分)を行った。次に、ポリオルニチン(0.5mg/mL)及びラミニン(5μg/mL)でダブルコートした96穴プレートを用いて、5%FCSを含むDMEM培地で分散培養(各ウェル100μL、37℃、72時間)を行った。培養後の生存細胞については、ニワトリDRGの場合と同様にMTTを用いて吸光度を測定し、生存維持活性の指標とした。
【0070】
また、本実施例における生存維持活性の測定結果の一部として、上記と同様の方法により調製したライセートの上清希釈液中の組換え天然型ヒトCNTFと精製天然型ヒトCNTFのニワトリDRGニューロンに対する生存維持活性(図10)、E153位改変体のニワトリDRGニューロンに対する生存維持活性(図11〜14)、また、155番目のリジン残基に変異を導入した改変体(K155位改変体)のニワトリDRGニューロンに対する生存維持活性(図15)を示す。さらに、E153R改変体、E153Y改変体、E153H改変体、E153F改変体、E153W改変体のニワトリCGニューロンに対する生存維持活性(図16)およびE153R改変体、E153Y改変体、E153H改変体、E153F改変体、E153W改変体のラットDRGニューロンに対する生存維持活性(図17)についても、対応する図に示す。図10〜17において、縦軸は570nmにおける吸光度(フォルマザンの生成を示す。)を、横軸は添加したCNTFの濃度をそれぞれ示す。
【0071】
また、組換え天然型ヒトCNTFとE153位、Q63位の単独の置換体及び両部位の変異の組み合わせによる、改変体のニワトリDRGニューロンに対する生存維持活性の測定も行った。結果を図18に示す。図18においては天然型CNTF及び各CNTF改変体を終濃度1ng/mLで添加した場合の活性値を示しており、縦軸はCNTF応答細胞の生存率(%)として、570nmにおける吸光度を、100ng/mLのCNTF或いはCNTF改変体を添加した場合を100%とし(表記実験の場合は、A570 =0.19を100%とする)、%表示したもの(フォルマザンの生成を示す。)である。PBSはブランクテストとして、CNTFの代わりにPBS溶液(0.1%BSAを含む)を添加したもの、Wildは天然型ヒトCNTFを添加したものである。
【0072】
1)ライセート上清希釈液中の組換え天然型ヒトCNTFの活性
図10は、ライセート上清希釈液中の組換え天然型ヒトCNTFと精製天然型ヒトCNTFのニワトリDRGニューロンに対する生存維持活性を比較したものであるが、両者はほぼ同等の活性を示したことから、ライセート上清中の組換え天然型ヒトCNTFは活性型であることが定量的に確認された。
【0073】
2)E153位改変体のニワトリDRGニューロンに対する活性
図11〜図14において、153位のアミノ酸残基がメチオニン、ロイシン、バリン、アラニン、グルタミン、アスパラギン、グリシン、プロリン、リジンの残基に置換された場合(E153M、E153L、E153V、E153A、E153Q、E153N、E153G、E153P、E153K)、153位がグルタミン酸(天然型)のものに対して2〜3倍の生存維持活性を示し、153位のアミノ酸残基がアルギニン、ヒスチジン、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン残基に置換された場合(E153R、E153H、E153Y、E153F、E153W)は、約10倍の生存維持活性を示した。また、153位のアミノ酸残基がアスパラギン酸またはイソロイシンに置換された場合(E153D、E153I)は、天然型と同程度の生存維持活性を示した。
【0074】
図18に示したE153位改変体及びQ63R改変体(それぞれ単独の変異)は天然型CNTFよりも高い生存維持活性を示し、また各単独の改変体は同程度の比活性であることが確認された。さらに、両変異を組み合わせた改変体は、天然型CNTFよりも、さらにはそれぞれ単独の改変体よりも高い比活性を示した(図18)。
【0075】
3)K155位改変体のニワトリDRGニューロンに対する活性
図15は、K155R改変体、K155A改変体、K155M改変体のニワトリDRGニューロンに対する生存維持活性を示したものであるが、元々のリジン残基と同様に正電荷を有するアルギニン残基への変異の時のみ、天然型CNTFの1%弱の活性を保持しているが、他のアミノ酸残基への変異では、いずれも活性を消失してしまった。
【0076】
4)D1キャップ領域に変異を導入した改変体のニワトリDRGニューロンに対する活性
また、本実施例におけるヒトCNTFのD1キャップ領域に変異を導入した改変体の、ニワトリDRGニューロンに対する生存維持活性を図19にまとめた。前述の153位及び155位以外の改変体においても、変異による活性の変動が大きかった。
【0077】
5)E153位改変体のニワトリCGニューロンに対する活性
図16において、153位のアミノ酸残基がアルギニン、ヒスチジン、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン残基に置換された場合(E153R、E153H、E153Y、E153F、E153W)、153位がグルタミン酸(天然型)のものに対して10倍近い生存維持活性を示した。
DRGニューロンに対して高比活性を示した改変体はCGニューロンに対しても天然型より高い生存維持活性を示したことから、当該改変体は他のニューロンに対しても天然型より高い生存維持活性を示すことが考えられる。
【0078】
6)E153位改変体のラットDRGニューロンに対する活性
図17において、153位のアミノ酸残基がアルギニン、ヒスチジン、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン残基に置換された場合(E153R、E153H、E153Y、E153F、E153W)、153位がグルタミン酸(天然型)のものに対して10倍近い生存維持活性を示した。
この結果から、鳥類であるニワトリのニューロンに対して高比活性を示した改変体は、哺乳類であるラットのニューロンに対しても天然型より高い生存維持活性を示すと考えられる。さらにこの結果から、ヒトのニューロンに対しても天然型より高い生存維持活性を示すことが期待される。
【0079】
これらの結果から以下のことが考察された。
153位の位置がグルタミン酸(天然型)又はアスパラギン酸の場合は活性が低いことから、153位の負電荷の存在はヒトCNTFの活性発現には不利であると考えられる。このことは、負電荷をなくす改変により活性が上昇するという事実により支持される。さらに、E153R改変体が非常に高い活性を示した理由としては、グルタミン酸とは逆の電荷を持つアルギニンが153位に導入されたことによると考えられる。また、153位に芳香族性アミノ酸を導入した場合(E153Y、E153F、E153W、E153H)にも非常に高い生存維持活性を示した。その理由としては、受容体側との疎水的相互作用又はCNTF内の他の残基との活性発現に有利な相互作用の可能性が予想される。
【0080】
比活性上昇に効果のある変異として同定された部位(E153位及びQ63位)について、それぞれ単独の変異よりも両変異を組み合わせることによる相加的な活性の上昇が示された。2つの部位は3次元的にも異なる位置にあり(図20)、1分子中に2つの変異を行っても、それぞれの部位の改変の効果が現れたものと予想された。
【0081】
また、155位にアミノ酸の置換を施した場合、元々のリジンと長さがほとんど同じメチオニン残基、あるいは長さが短く立体的障害はないと考えられるアラニン残基でも、155位のリジン残基の役割を補償することが全くできないということから、155位のリジン残基はCNTFの受容体に厳密に認識されていると考えられた。更に、実施例としては示さないが、K155A改変体精製タンパク質は、天然型ヒトCNTF精製タンパク質とほとんど同じ円偏光二色性(CD)スペクトルを示すことから、活性を消失したK155A改変体は天然型ヒトCNTFとほとんど同じ全体構造を保持していると考えられた。また、このK155A改変体は天然型ヒトCNTFの受容体への結合を阻害することから、活性を消失したK155A改変体はCNTFの受容体への結合能力は保持していると考えられた。以上のことから、155位のリジン残基は細胞内へのシグナル伝達に必須のアミノ酸残基であると予想された。
【0082】
D1キャップ領域内の他のアミノ酸残基の役割に関しては、前述の153位及び155位のアミノ酸のように、明快に考察することはできないが、少なくとも156位及び157位のアミノ酸残基は、D1キャップ領域の活性構造形成に重要であると予想された。いずれにしろ、単一の残基で活性を発現できるものではなく、CNTF受容体に厳密に認識される155位の周辺残基であるD1キャップ領域全体で、1つの活性構造を形成していると考えられ、当領域全体としての重要性が考えられた。
【0083】
なお、本発明のヒトCNTF改変体とヒト成長ホルモン(hGH)に構造のホモロジーがあると仮定し、hGHの3次構造上に変異導入部位(「D1キャップ領域」及び「Q63」としてとして図中に記載)を描き加えたものを図20に表した。図20中の各数字はヒトCNTFアミノ酸残基の番号を表す。
【0084】
【発明の効果】
本発明で予測される改変タンパク質は、天然型タンパク質と同等あるいはそれ以上の活性を有するため、大量投与による自己抗体の出現等の副作用および、その他の副作用を減じた有用な治療剤としての利用が期待される。また更には、絶対投与量の低下に伴い、これら天然型タンパク質に混在する有害物質の削減、及び製造スケールの縮小が可能になると期待される。
【0085】
【配列表】
Figure 0003768257
Figure 0003768257

【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、遺伝子増幅法(PCR)による本発明のヒトCNTF改変体発現ベクターの調製方法の概略を示す。
【図2】図2は、本発明のヒトCNTF改変体の発現ベクターの作成に用いたベクター(pKK223-4)の構造を示す。
【図3】図3は、αヘリックスに富むサイトカイン類の中の、長鎖構造のグループに属するタンパク質に関して、構造活性相関解析の既知の結果、あるいは活性発現に関与すると予想される部位を簡略に示したものである。(A)はシグナル伝達にgp130を利用するタンパク質のグループであり、(B)はそれ以外のグループである。実験的に活性発現に重要であることが既知の領域に関しては網掛けで、活性発現への関与が予測される領域に関しては破線で囲って表記した。各タンパク質における構造活性相関解析の報告を以下に列挙する(R. Savino et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.(1993年)90巻、4067頁、C. Lutticken et al., FEBS Lett.(1991年)282 巻、265 頁、J. P. J. Brakenhoff et al., J. Immunol.(1990年)145 巻、561 頁、X. Li et al., J. B. C. (1993年)268 巻、22377 頁、B. C. Cunningham et al., Science (1990年)247巻、1461頁、A. M. Devos et al., Science(1992年)255 巻、306 頁、J. P. J. Brakenhoff et al., J. B. C. (1994年)269 巻、86頁、R. C. Robinson et al., Cell(1994年)77巻、1101頁、J. C. Kallestad et al., J. B. C. (1991年)266巻、8940頁、I. Kawashima et al., FEBS Lett.(1991年)283 巻、199 頁、V. Goffin et al., Eur. J. Biochem. (1993年)214 巻、199 頁、B. Lovejoy et al., J. Mol. Biol. (1993年)234 巻、640 頁、D. Wen et al., J. B. C.(1994年)269 巻、22839 頁、B. F. Cheethan et al., Antiviral Res.(1991年)15巻、27頁)。
【図4】図4は、天然型ヒトCNTF発現ベクター(pKKCNTF )の構築図を示す。
【図5】図5は、実施例1において用いたプライマーを示す。なお、下線部分は、導入した制限酵素認識部位を示し、!はミスマッチ位置を表す。・・はG、A、T及びCの混合を、*はG及びCの混合を表す。
【図6】図6は、実施例1において用いたPCRによる各ステップの遺伝子増幅反応条件を示す。
【図7】図7は、両部位の置換(153位/63位)を組み合わせた本発明のヒトCNTF改変体発現ベクターの調製方法の概略を示す。
【図8】図8は、ヒトCNTF改変体におけるSDS−PAGEによる電気泳動の結果を示す写真である。図8(A)〔レーン1: 分子量マーカー、レーン2: 大腸菌発現天然型精製ヒトCNTF、レーン3: 天然型ヒトCNTFのライセート上清、レーン4〜11: E153位改変体のライセート上清(4:153R、5:E153K、6:E153A、7:E153V、8:E153L、9:E153G、10:E153P、11:E153I)、レーン12:大腸菌発現天然型精製ヒトCNTF〕、図8(B)〔レーン1: 分子量マーカー、レーン2: 大腸菌発現天然型精製ヒトCNTF、レーン3: 天然型ヒトCNTFのライセート上清、レーン4〜11: E153位改変体のライセート上清(4:153Y、5:E153F、6:E153W、7:E153H、8:E153M、9:E153Q、10:E153N、11:E153D)、レーン12:大腸菌発現天然型精製ヒトCNTF〕。
【図9】図9は、本発明のヒトCNTF改変体のSDS−PAGEによる電気泳動の結果を示す写真である。図9中、レーン1は大腸菌発現天然型精製ヒトCNTF、レーン2は天然型ヒトCNTFのライセート上清、レーン3〜9は本実施例により得られた各改変体のライセート上清(3:Q63R、4:E153R、5:E153Y、6:E153W、7:E153R/Q63R、8:E153Y/Q63R、9:E153W/Q63R)の泳動パターンを示す。また、天然型ヒトCNTFの泳動位置を←(1)、Q63R改変体の泳動位置を←(2)で表記する。
【図10】図10は、大腸菌発現天然型精製ヒトCNTF(○)と大腸菌のライセート上清希釈液中の組換え天然型ヒトCNTF(●)のニワトリDRGニューロンに対する生存維持活性を示す。
【図11】図11は、E153位改変体のニワトリDRGニューロンに対する生存維持活性を示す。なお、図中(A)における各データーは、天然型ヒトCNTF(●)、E153R(○)を示し、(B)における各データーは、天然型ヒトCNTF(●)、E153H(▲)、E153Y(△)、E153F(○)、E153W(□)を示す。
【図12】図12は、E153位改変体のニワトリDRGニューロンに対する生存維持活性を示す。なお、図中(C)における各データーは、天然型ヒトCNTF(●)、E153A(□)、E153V(■)、E153L(△)を示し、(D)における各データーは、天然型ヒトCNTF(●)、E153G(□)、E153P(■)を示す。
【図13】図13は、E153位改変体のニワトリDRGニューロンに対する生存維持活性を示す。なお、図中(E)における各データーは、天然型ヒトCNTF(●)、E153M(□)、E153I(△)を示し、(F)における各データーは、天然型ヒトCNTF(●)、E153K(□)を示す。
【図14】図14は、E153位改変体のニワトリDRGニューロンに対する生存維持活性を示す。なお、図中(G)における各データーは、天然型ヒトCNTF(●)、E153Q(○)、E153N(□)、E153D(■)を示す。
【図15】図15は、K155位改変体のニワトリDRGニューロンに対する生存維持活性を示す。なお、図中における各データは、天然型ヒトCNTF(●)、K155R(○)、K155A(△)、K155M(□)を示す。
【図16】図16は、E153位改変体のニワトリCGニューロンに対する生存維持活性を示す。なお、図中(A)における各データーは、天然型ヒトCNTF(●)、E153R(○)、E153Y(△)、E153F(□)を示し、(B)における各データは、天然型ヒトCNTF(●)、E153H(△)、E153W(○)を示す。
【図17】図17は、E153位改変体のラットDRGニューロンに対する生存維持活性を示す。なお、図中(A)における各データーは、天然型ヒトCNTF(●)、E153R(○)、E153Y(□)、E153F(■)を示し、(B)における各データは、天然型ヒトCNTF(●)、E153H(△)、E153W(▲)を示す。
【図18】図18は、天然型CNTF及び各CNTF改変体を終濃度1ng/mLで添加した場合の活性値を示す。縦軸は、CNTF応答細胞の生存率(%)として、570nmにおける吸光度(フォルマザンの生成を示す)で、100ng/mLのCNTF或いはCNTF改変体を添加した場合を100%として(表記実験の場合、A570 =0.19を100%とする)、その値に対する比率で表した。
【図19】図19は、ヒトCNTFにおけるD1キャップ領域の変異による改変体の、ニワトリDRGニューロンに対する生存維持活性を示す。各点(●)が、それぞれの改変体を表し、50%有効濃度(EC50)の比較による、天然型ヒトCNTFに対する活性百分率(%)で表記した。
【図20】図20は、ヒト成長ホルモン(hGH)の3次構造上に、本発明におけるヒトCNTF改変体の変異導入部位(「D1キャップ領域」及び「Q63」)を表記したものを示す。

Claims (7)

  1. 天然型ヒト毛様体神経栄養因子(以下、毛様体神経栄養因子をCNTFと略す。)のアミノ酸配列の少なくとも153位に相当するアミノ酸残基が、芳香族性アミノ酸残基又はアルギニン残基に置換されてなるヒトCNTFの改変タンパク質。
  2. 天然型ヒト毛様体神経栄養因子(以下、毛様体神経栄養因子をCNTFと略す。)のアミノ酸配列の少なくとも153位に相当するアミノ酸残基が、アラニン残基、バリン残基、ロイシン残基、メチオニン残基、グルタミン残基、アスパラギン残基、グリシン残基、プロリン残基、チロシン残基、フェニルアラニン残基、トリプトファン残基、ヒスチジン残基、リジン残基又はアルギニン残基に置換されてなるヒトCNTFの改変タンパク質。
  3. 天然型ヒトCNTFの63位に相当するアミノ酸残基が他のアミノ酸残基にさらに置換されている請求項1又は2記載の改変タンパク質。
  4. 他のアミノ酸残基がアルギニン残基である請求項記載の改変タンパク質。
  5. 請求項1〜いずれか記載の改変タンパク質をコードする塩基配列を含有するDNA。
  6. 請求項記載のDNAを含有する発現ベクター。
  7. 天然型ヒトCNTFのアミノ酸配列の少なくとも153位に相当するアミノ酸残基をアラニン残基、バリン残基、ロイシン残基、メチオニン残基、グルタミン残基、アスパラギン残基、グリシン残基、プロリン残基、チロシン残基、フェニルアラニン残基、トリプトファン残基、ヒスチジン残基、リジン残基又はアルギニン残基に置換する工程を含む、ヒトCNTFの改変タンパク質の製造方法。
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