JP3767759B2 - 電界効果型半導体素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電界効果型半導体素子、特に電界効果トランジスタに関する。
【0002】
【従来の技術】
電界効果トランジスタの性能(特に、高速動作性能など)の向上を図るには、ゲート・ソース間の入力抵抗等の寄生抵抗を減らすことが重要である。ゲート・ソース間に大きな寄生抵抗が発生する原因としては、ゲート・ソース間のチャンネル層(電子走行層)が表面に露出しているために表面空乏層が発生し、この表面空乏層がチャンネル層の内部に伸びてキャリアの通路を狭めて高抵抗化することがある。
【0003】
例えば、従来より用いられているセルフアライン注入構造の電界効果トランジスタ1を図1に示す。これは、半導体基板2の上方に設けられたチャンネル層(n型低抵抗層)3の表面にT字形断面をしたゲート電極4を形成し、ゲート電極4をマスクとして、その両脇にチャンネル層3から半導体基板2までイオン注入してn+型注入領域(ソース領域、ドレイン電極)5,6を自己整合的に形成したものである。このような電界効果トランジスタ1では、ゲート電極4とn+注入領域5,6との間の目空き部分3aでチャンネル層3が表面に露出しているので、その表面準位のためにチャンネル層3内に表面空乏層Vが伸びる。このためチャンネル層3の電流通路が狭くなってゲート・ソース間の入力抵抗が増大し、また飽和電流値も制限される。
【0004】
図2は表面空乏層Vが小さくなるようにした従来例であって、リセスエッチング構造を有する電界効果トランジスタ7である。この構造の電界効果トランジスタ7にあっては、半導体基板2の上方に形成されたチャンネル層(n型低抵抗層)3の上面に、n+型の表面低抵抗層8を形成し、この表面低抵抗層8の一部をリセスエッチングし、リセス9内に露出したチャンネル層3の上面にゲート電極4を形成し、表面低抵抗層8の上にソース電極10及びドレイン電極11を形成したものである。この電界効果トランジスタ7にあっては、ゲート電極4とソース電極10又はドレイン電極11の間の目空き領域において表面低抵抗層8が露出しているので、表面低抵抗層8から表面準位にキャリア(電子)が供給される結果、表面空乏層が収縮してゲート・ソース間の入力抵抗が小さくなる。しかし、この電界効果トランジスタ7では、ゲート電極4とソース電極10又はドレイン電極11とがチャンネル層(n型層)3及び表面低抵抗層(n+型層)8を通して電気的に導通しているので、表面に露出している表面低抵抗層8の表面準位により電界効果トランジスタ7の耐圧が劣化するという問題がある。
【0005】
一方、図3に示す埋め込みチャンネル構造の電界効果トランジスタ12のように、チャンネル層(n型低抵抗層)3を絶縁層(i型高抵抗層)13の下に形成し、絶縁層13の上にゲート電極4を形成した場合には、ゲート電極4とn+注入領域5,6との間に絶縁層13が存在しているため、耐圧劣化を防ぐことができる。しかしながら、表面が絶縁層13であるため、ゲート電極4の両脇の目空き部分13aにおいて表面空乏層Vがチャンネル層3まで伸び、ゲート・ソース間が高抵抗化するという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は叙上の従来例の欠点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、チャンネル層の空乏化を避けて寄生抵抗を小さくすると同時に、高耐圧化を図ることができる電界効果型半導体素子を提供することにある。
【0007】
請求項1に記載の電界効果型半導体素子は、低抵抗電子走行層の表面に形成された2つのオーミック電極の間の前記低抵抗電子走行層の直上に高抵抗半導体層を設け、当該高抵抗半導体層の直上にゲート電極を備えた電界効果型半導体素子において、前記高抵抗半導体層の一部若しくは全体を前記低抵抗電子走行層よりも電子親和力の小さい半導体層とし、前記高抵抗半導体層の直上のうち少なくとも前記オーミック電極とゲート電極との間の領域に低抵抗半導体層が形成されており、前記オーミック電極と前記低抵抗半導体層とが空間を介して離間しており、前記ゲート電極とオーミック電極の間の領域において、表面準位による空乏層を、もっとも表面近くに位置する低抵抗半導体層の内部で終端させていることを特徴としている。
【0008】
本発明の電界効果型半導体素子にあっては、ゲート電極及びオーミック電極間の領域(以下、目空き部分という)において、電子走行層の上方に低抵抗半導体層が形成されているので、目空き部分における表面準位には低抵抗半導体層からキャリアが供給され、表面空乏層を収縮させることができる。従って、目空き部分において表面空乏層が電子走行層まで伸びて電流通路を狭めるのを防止することができ、ゲート・ソース間の入力抵抗等の寄生抵抗を小さくすることができる。しかも、電子走行層は高抵抗半導体層の下方に埋め込まれているので、ゲート電極とオーミック電極の間の素子耐圧を高くすることができる。また、低抵抗半導体層をオーミック電極と空間を介して離間させておけば、ゲート電極とオーミック電極が短絡するのを防止し、耐圧を確保できる。
【0009】
例えば、前記ゲート電極とオーミック電極の間のいずれの導電経路にも高抵抗半導体層を介在させておけば(請求項2)、電界効果型半導体素子の耐圧を向上させることができる。
【0010】
より具体的に言うと、請求項3のように、前記高抵抗半導体層の表面に設けられた前記低抵抗半導体層を選択的に除去することによってリセスを形成し、当該リセス内に露出した前記高抵抗半導体層の上にゲート電極を形成すれば(請求項3)、ゲート電極の両側に設けられたオーミック電極との目空き部分では、表面の低抵抗半導体層によって表面空乏層が電子走行層まで伸びるのを防ぐことができる。また、ゲート電極は高抵抗半導体層の上に形成されているので、高抵抗半導体層によってゲート電極とオーミック電極の間を絶縁することができ、素子の高耐圧化を図ることができる。
【0011】
従って、本発明の電界効果型半導体素子によれば、チャンネル層の空乏化を避けて寄生抵抗を小さくすると同時に、高耐圧化を図ることができる。
【0012】
また、請求項4に記載のように、低抵抗半導体層を、ゲート電極と離間させておいてもよい。
【0014】
例えば、低抵抗半導体層の膜厚とキャリア濃度との間に一定の関係を持たせることにより、低抵抗半導体層の内部で表面空乏層を終端させることができ、電子走行層に表面空乏層が侵入しないようにできる。
【0015】
そして、本発明の電界効果型半導体素子においては、高抵抗半導体層の一部もしくは全体を電子走行層よりも電子親和力の小さい半導体層としているので、電子は電子親和力の大きな電子走行層に閉じ込められるので、素子の耐圧を高め、ピンチオフ特性を良好にすることができる。また、短チャンネル効果も防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図4は本発明の一実施形態による電界効果トランジスタ21の概略断面図である。この電界効果トランジスタ21は、半導体基板22の上にチャンネル層(n型低抵抗層)23、高抵抗層(i型層)24及びn型又はn+型の表面低抵抗層25を積層し、表面低抵抗層25に設けたリセス30の両側において表面低抵抗層25から半導体基板22までn型不純物をイオン注入してn+注入領域(ソース領域、ドレイン領域)26,27を形成し、このn+注入領域26,27の上面にそれぞれソース電極28とドレイン電極29を形成し、リセス30内において、高抵抗層24の上にゲート電極31を形成したものである。ここで、ゲート電極31の側面と表面低抵抗層25の側端との間には、ゲート電極31とソース電極28(又は、ドレイン電極29)が短絡しないよう、ギャップを設ける必要があるが、このギャップはできるだけ狭くすることが好ましい。
【0017】
この電界効果トランジスタ21の製造手順を図5(a)〜(h)により説明する。まず、半絶縁性GaAs基板やSi基板などの半導体基板22の上に、n型低抵抗層(キャリア濃度n=1017〜1019cm-3、膜厚5〜100nm)からなるチャンネル層23、ほぼi型の高抵抗層24(キャリア濃度n<1016cm-3またはp<1016cm-3、膜厚5〜100nm)、n型の表面低抵抗層25(n=1017〜1019cm-3、膜厚5〜100nm)をエピタキシャル成長法やイオン注入法などによって順次積層する[図5(a)]。
【0018】
この後、ソース領域やドレイン領域となる領域を除いて表面低抵抗層25をレジスト膜32によって覆い、このレジスト膜32をマスクとして半導体基板22に達する深さまでSiイオンを注入してn+注入領域26,27を形成する[図5(b)]。さらに、このレジスト膜32の上からオーミック電極用の金属材料33を真空蒸着させ[図5(c)]、リフトオフ法によりn+注入領域26,27の表面にオーミック接触するソース電極28及びドレイン電極29を形成する[図5(d)]。
【0019】
次に、ソース電極28及びドレイン電極29を覆うようにしてゲート電極形成用のフォトレジスト膜34を作製し、フォトレジスト膜34にゲート電極形成用の窓35を開口する[図5(e)]。このフォトレジスト膜34を用いて表面低抵抗層25を選択的にウエットエッチングし、ゲート電極形成部に窓35よりも若干幅の広いリセス30を形成し、リセス30内に高抵抗層24を露出させる[図5(f)]。
【0020】
ついで、このフォトレジスト膜34の上から、ショットキー電極用の金属材料36(例えば、Ti/Pt/Au)を真空蒸着等によって堆積させ[図5(g)]、フォトレジスト膜34を除去すると、リフトオフ法によって、高抵抗層24とショットキー接合するゲート電極31がリセス30内に形成される[図5(h)]。
【0021】
こうして完成された電界効果トランジスタ21のキャリア濃度プロファイルを図6(a)(b)(c)又は図7(a)(b)(c)に示す。図6(a)(b)(c)はチャンネル層23、高抵抗層24及び表面低抵抗層25をエピタキシャル成長法によって作製した場合のキャリア濃度プロファイル、図7(a)(b)(c)はチャンネル層23、高抵抗層24及び表面低抵抗層25をイオン注入法によって作製した場合のキャリア濃度プロファイルであって、図6(a)及び図7(a)はいずれもゲート電極31の直下における深さ方向に沿ってのキャリア濃度プロファイルを示し、図6(b)及び図7(b)はソース電極28又はドレイン電極29の直下でのキャリア濃度プロファイルを示し、図6(c)及び図7(c)はゲート電極31とソース電極28(又は、ドレイン電極29)の間の目空き部分37におけるキャリア濃度プロファイルを示している。
【0022】
このような構造の電界効果トランジスタ21によれば、図4に示されているように、ゲート電極31及びソース電極28(又は、ドレイン電極29)の間の目空き部分37が表面低抵抗層25によって覆われているので、目空き部分37で表面低抵抗層25に生じている表面準位には、表面低抵抗層25からキャリアを供給することができ、目空き部分37における表面空乏層を消失もしくは収縮させることができる。従って、目空き部分37における表面空乏層がチャンネル層23にまで伸びてゲート・ソース間の入力抵抗等の寄生抵抗が大きくなるのを防止することができる。
【0023】
一方、ゲート電極31とソース電極28(又は、ドレイン電極29)との導電経路には高抵抗層24が存在しているので、ゲート電極31とソース電極28(又は、ドレイン電極29)の間の耐圧が向上する。従って、このような構造の電界効果トランジスタ21によれば、チャンネル層23の空乏化を避けて寄生抵抗を小さくすると同時に、高耐圧化を図ることができる。
【0024】
(第2の実施形態)
図8は本発明の別な実施形態による電界効果トランジスタ41の構造を示す概略断面図、図9(a)(b)はその製造工程の一部を示す図である。この電界効果トランジスタ41を製造手順に沿って説明する。
【0025】
まず、第1の実施形態の場合と同様にして、半導体基板22の上にn型低抵抗層からなるチャンネル層23、ほぼi型の高抵抗層24及びn型又はn+型の表面低抵抗層25をエピタキシャル成長法により、あるいはイオン注入法により形成する。この後、表面低抵抗層25の上にレジスト膜42を成膜し、レジスト膜42のソース電極及びドレイン電極を形成しようとする領域を開口する。ついで、このレジスト膜42をマスクとして表面低抵抗層25及び高抵抗層24をエッチング除去し、チャンネル層23を露出させ[図9(a)]、露出したチャンネル層23の表面にオーミック金属を蒸着させてソース電極28及びドレイン電極29を形成する。
【0026】
次に、チャンネル層23の上に形成されたメサ型をした部分の中央部にゲート電極形成用の窓44を開口されたフォトレジスト膜43で覆い、このフォトレジスト膜43をマスクとして表面低抵抗層25を選択的にリセスエッチングすることにより、表面低抵抗層25にリセス30を形成すると共にリセス30内に高抵抗層24を露出させる。ついで、リセス30内において高抵抗層24の表面にショットキー電極用金属材料(例えば、Ti/Pt/Au)を堆積させ、高抵抗層24にショットキー接合したゲート電極31を形成し、図8のような電界効果トランジスタ41を完成する。
【0027】
こうして完成された電界効果トランジスタ41のキャリア濃度プロファイルを図10(a)(b)(c)又は図11(a)(b)(c)に示す。図10(a)(b)(c)はチャンネル層23、高抵抗層24及び表面低抵抗層25をエピタキシャル成長法によって作製した場合のキャリア濃度プロファイル、図11(a)(b)(c)はチャンネル層23、高抵抗層24及び表面低抵抗層25をイオン注入法によって作製した場合のキャリア濃度プロファイルであって、図10(a)及び図11(a)はいずれもゲート電極31の直下における深さ方向に沿ってのキャリア濃度プロファイルを示し、図10(b)及び図11(b)はソース電極28又はドレイン電極29の直下でのキャリア濃度プロファイルを示し、図10(c)及び図11(c)はゲート電極31とソース電極28(又は、ドレイン電極29)の間の目空き部分37におけるキャリア濃度プロファイルを示している。
【0028】
このような構造の電界効果トランジスタでも、図8に示されているように、ゲート電極31及びソース電極28(又は、ドレイン電極29)の間の目空き部分37は表面低抵抗層25によって覆われているので、目空き部分37で表面低抵抗層25に生じている表面準位には、表面低抵抗層25からキャリアを供給することができ、目空き部分37における表面空乏層を消失もしくは収縮させることができる。従って、目空き部分37における表面空乏層がチャンネル層23にまで伸びてゲート・ソース間の入力抵抗等の寄生抵抗が大きくなるのを防止することができる。
【0029】
一方、ゲート電極31とソース電極28(又は、ドレイン電極29)との導電経路には高抵抗層24が存在しているので、ゲート電極31とソース電極28(又は、ドレイン電極29)の間の耐圧が向上する。従って、このような構造の電界効果トランジスタ41によれば、チャンネル層23の空乏化を避けて寄生抵抗を小さくすると同時に、高耐圧化を図ることができる。
【0030】
(第3の実施形態)
図12は本発明のさらに別な実施形態による電界効果トランジスタ51の概略断面図である。この電界効果トランジスタ51にあっては、半導体基板22の上にチャンネル層(n型低抵抗層)23、高抵抗層(i型層)24及びn型又はn+型の表面低抵抗層25を積層し、表面低抵抗層25に設けたリセス30内において高抵抗層24の上にゲート電極31を形成している。さらに、リセス30の両側において表面低抵抗層25をエッチング除去して高抵抗層24を露出させ、露出した高抵抗層24から半導体基板22までn型不純物をイオン注入してn+注入領域(ソース領域、ドレイン領域)26,27を形成し、このn+注入領域26,27の上面にそれぞれソース電極28とドレイン電極29を形成している。ゲート電極31とソース電極28及びドレイン電極29の間の目空き部分52は表面低抵抗層25によって覆われている。但し、ゲート電極31及び表面低抵抗層25の間とソース電極28及び表面低抵抗層25の間の少なくとも一方には耐圧を考慮したギャップを設けてあり、ゲート電極31及び表面低抵抗層25の間とドレイン電極29及び表面低抵抗層25の間の少なくとも一方にも耐圧を考慮したギャップを設けてある。
【0031】
このような構造の電界効果トランジスタ51にあっても、チャンネル層22の空乏化を避けて寄生抵抗を小さくすると同時に、高耐圧化を図ることができることは明らかである。
【0032】
なお、第1〜第3の実施形態では、リセス構造として高抵抗層24の上にゲート電極31を設けているが、リセス構造とすることなく表面低抵抗層25の上にゲート電極31を設けても差し支えない。
【0033】
(第4の実施形態)
目空き部分に発生する表面空乏層は、寄生抵抗を増大させない程度であれば、高抵抗層やチャンネル層まで伸びていても差し支えないが、表面空乏層はできるだけ表面低抵抗層の内部で終端していることが望ましい。
【0034】
図13は表面低抵抗層25におけるキャリア濃度と表面空乏層厚(表面空乏層の深さ)との関係を示している。従って、あるキャリア濃度の表面低抵抗層25に対しては、図13により当該キャリア濃度に対応する表面空乏層厚を求め、その表面空乏層厚よりも表面低抵抗層25の膜厚を大きくすればよい。あるいは、ある膜厚の表面低抵抗層25に対しては、図13により当該膜厚と等しい表面空乏層厚に対応するキャリア濃度を求め、求めたキャリア濃度よりも大きなキャリア濃度とすればよい。例えば、表面低抵抗層25のキャリア濃度が1×1019cm-3であれば、表面低抵抗層25の膜厚は10nm以上にすればよく、逆に、表面低抵抗層25の膜厚が100nmであれば、表面低抵抗層25のキャリア濃度を1×1017cm-3以上にすればよい。
【0035】
(第5の実施形態)
図14は本発明のさらに別な実施形態による電界効果トランジスタ61の構造を示す概略断面図である。この電界効果トランジスタ61にあっては、半導体基板22の上にチャンネル層(n型)23、高抵抗層(i型)24及び表面高抵抗層(i型)62を積層した後、デルタドーピング法やパルスドーピング法等の手法により表面高抵抗層62の内部(例えば、中央部)にキャリアドーピング層63を薄く形成し、表面高抵抗層62に形成したリセス30内において高抵抗層24の上にゲート電極31を形成したものである。なお、図14では、ソース電極28及びドレイン電極29は、表面に露出させたチャンネル層23の上に形成しているが、表面に露出させた高抵抗層24から半導体基板22までイオン注入して形成されたn+注入領域の上に形成してもよい(図12参照)。
【0036】
このような構造の電界効果トランジスタ61の目空き部分64におけるキャリア濃度プロファイルを図15又は図16に示す。図15はチャンネル層23、高抵抗層24及び表面高抵抗層62をエピタキシャル成長法によって作製し、パルスドーピング法によってキャリアドーピング層63を形成した場合のキャリア濃度プロファイル、図16はチャンネル層23、高抵抗層24及び表面高抵抗層62をイオン注入法によって作製し、デルタドーピング法によってキャリアドーピング層63を形成した場合のキャリア濃度プロファイルであって、図15及び図16はいずれも目空き部分64におけるキャリア濃度プロファイルを示している。
【0037】
このような構造の電界効果トランジスタ61にあっても、表面準位には表面高抵抗層62内のキャリアドーピング層63からキャリアが供給されるので、目空き部分64においてチャンネル層23に表面空乏層が伸びるのを防止でき、寄生抵抗が大きくなるのを避けることができる。また、ゲート電極31とソース電極28(又は、ドレイン電極29)との間の導電経路には、高抵抗層24が介在しているので、耐圧も大きくなる。
【0038】
ここで、表面空乏層がチャンネル層23まで伸びず、表面高抵抗層62の内部で終端するようにするためには、図13によってキャリアドーピング層63のキャリア濃度から決まる表面空乏層厚よりもキャリアドーピング層63の膜厚が大きくなるようにしておけばよい。
【0039】
(第6の実施形態)
図17は本発明のさらに別な実施形態による電界効果トランジスタ65の構造を示す概略断面図であって、第5の実施形態の変形例である。この電界効果トランジスタ65にあっては、半導体基板22の上にチャンネル層(n型)23及び高抵抗層(i型)24を積層した後、デルタドーピング法やパルスドーピング法等によって高抵抗層24の内部にキャリアドーピング層63を薄く形成し、高抵抗層24の上にゲート電極31を形成したものである。このような構造の電界効果トランジスタ65にあっても、キャリアドーピング層63によって表面空乏層を収縮させて寄生抵抗を小さくし、高抵抗層24によって素子耐圧を高めることができる。もっとも、素子動作の信頼性からは、図14に示した第5の実施例のような構造が好ましい。
【0040】
(第7の実施形態)
図18は本発明のさらに別な実施形態による電界効果トランジスタ66の構造を示す概略断面図である。この電界効果トランジスタ66にあっては、半導体基板22の上にチャンネル層(n型)23、高抵抗層(i型)24、低抵抗層(n型、n+型)67及び高抵抗層(i型)68を積層し、高抵抗層68の上にゲート電極31を形成したものである。このような構造の電界効果トランジスタ66にあっても、低抵抗層67によって表面空乏層を収縮させて寄生抵抗を小さくし、高抵抗層24,68によって耐圧を高めることができる。もっとも、素子動作の信頼性からは、図4に示した第1の実施例のような構造が好ましい。
【0041】
(第8の実施形態)
次に、本発明のさらに別な実施形態による電界効果トランジスタを説明する。この実施形態は、例えば図4に示したような構造の電界効果トランジスタ21において、高抵抗層24の一部または全部をチャンネル層23よりも電子親和力の小さい半導体層とするものである。例えば、チャンネル層23をGaAs又はInGaAsによって形成し、高抵抗層24をAlGaAs又はInGaPによって形成することによって、チャンネル層23の電子親和力φ23を大きくし、高抵抗層24の電子親和力φ24を小さくすることができる。あるいは、チャンネル層23をInGaAsによって形成し、高抵抗層24をGaAsによって形成することによって、チャンネル層23の電子親和力φ23を大きくし、高抵抗層24の電子親和力φ24を小さくすることもできる。
【0042】
図19は当該実施形態におけるチャンネル層23と高抵抗層24の電子親和力φ23,φ24を示すエネルギー準位図であって、電子親和力とは、真空準位と伝導帯下端とのエネルギー差である。高抵抗層24における電子親和力φ24よりもチャンネル層23における電子親和力φ23が大きく、電子は電子親和力の大きなチャンネル層23に閉じ込められるので、素子の耐圧を高め、ピンチオフ特性を良好にすることができる。また、短チャンネル効果も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のセルフアラインイオン注入構造の電界効果トランジスタを示す概略断面図である。
【図2】従来のリセスエッチング構造の電界効果トランジスタを示す概略断面図である。
【図3】従来の埋込チャンネル構造の電界効果トランジスタを示す概略断面図である。
【図4】本発明の一実施形態による電界効果トランジスタの構造を示す概略断面図である。
【図5】(a)〜(h)は同上の電界効果トランジスタの製造方法を説明する図である。
【図6】(a)(b)(c)はエピタキシャル成長法により製作された同上の電界効果トランジスタのキャリア濃度プロファイルを示す図である。
【図7】(a)(b)(c)はイオン注入法により製作された同上の電界効果トランジスタのキャリア濃度プロファイルを示す図である。
【図8】本発明の別な実施形態による電界効果トランジスタの構造を示す概略断面図である。
【図9】(a)(b)は同上の電界効果トランジスタの製造方法の一部を示す図である。
【図10】(a)(b)(c)はエピタキシャル成長法により製作された同上の電界効果トランジスタのキャリア濃度プロファイルを示す図である。
【図11】(a)(b)(c)はイオン注入法により製作された同上の電界効果トランジスタのキャリア濃度プロファイルを示す図である。
【図12】本発明のさらに別な実施形態による電界効果トランジスタの構造を示す概略断面図である。
【図13】本発明のさらに別な実施形態を説明するための図である。
【図14】本発明のさらに別な実施形態による電界効果トランジスタの構造を示す概略断面図である。
【図15】エピタキシャル成長法により製作された同上の電界効果トランジスタのキャリア濃度プロファイルを示す図である。
【図16】イオン注入法により製作された同上の電界効果トランジスタのキャリア濃度プロファイルを示す図である。
【図17】本発明のさらに別な実施形態による電界効果トランジスタの構造を示す概略断面図である。
【図18】本発明のさらに別な実施形態による電界効果トランジスタの構造を示す概略断面図である。
【図19】本発明のさらに別な実施形態による電界効果トランジスタを説明するエネルギー準位図である。
【符号の説明】
22 半導体基板
23 チャンネル層
24 高抵抗層
25 表面低抵抗層
26,27 n+注入領域
28 ソース電極
29 ドレイン電極
31 ゲート電極
62 表面高抵抗層
63 キャリアドーピング層
Claims (4)
- 低抵抗電子走行層の表面に形成された2つのオーミック電極の間の前記低抵抗電子走行層の直上に高抵抗半導体層を設け、当該高抵抗半導体層の直上にゲート電極を備えた電界効果型半導体素子において、
前記高抵抗半導体層の一部若しくは全体を前記低抵抗電子走行層よりも電子親和力の小さい半導体層とし、
前記高抵抗半導体層の直上のうち前記オーミック電極とゲート電極との間の領域に低抵抗半導体層が形成されており、
前記オーミック電極と前記低抵抗半導体層とが空間を介して離間しており、
前記ゲート電極とオーミック電極の間の領域において、表面準位による空乏層を、もっとも表面近くに位置する低抵抗半導体層の内部で終端させていることを特徴とする電界効果型半導体素子。 - 前記ゲート電極とオーミック電極の間のいずれの導電経路にも高抵抗半導体層が介在していることを特徴とする、請求項1に記載の電界効果型半導体素子。
- 前記高抵抗半導体層の表面に設けられた前記低抵抗半導体層を選択的に除去することによってリセスを形成し、当該リセス内に露出した前記高抵抗半導体層の上にゲート電極を形成したことを特徴とする、請求項1又は2に記載の電界効果型半導体素子。
- 前記低抵抗半導体層は、ゲート電極と離間していることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の電界効果型半導体素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04005297A JP3767759B2 (ja) | 1997-02-07 | 1997-02-07 | 電界効果型半導体素子 |
Applications Claiming Priority (1)
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