JP3766998B2 - ガンマ補正回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ディジタルビデオカメラ装置などに適用して好適なガンマ補正回路に関する。詳しくは、受像管の発光出力特性がリニア特性となるように撮像信号に対して付与されるガンマ特性を表すガンマ値からリニア特性を表すリニア値を差し引いた値をガンマ補正値としてメモリするに際して、入力撮像信号のディジタル論理レベルを示すディジタルコードを基準にしてガンマ補正値をメモリすることによって、ガンマ処理系の回路構成の簡略化を図ったものである。
【0002】
【従来の技術】
ディジタルビデオカメラ装置などでは、カラー受像機(カラーCRT)の発光出力特性がリニアではなく、周知のように入力テレビジョン信号の例えば2.2乗に比例するようなノンリニア特性(図12A曲線Lb)となっている。この発光出力特性をリニア特性とするため、通常送像側でその撮像信号に対してノンリニア特性(曲線Lc)を付与するようにしている。
【0003】
このようなノンリニア特性はガンマ特性(γ特性)と言われるもので、受像側のノンリニア特性は、入力をX、出力をYで表したとき、
【0004】
【数1】
【0005】
と表せるから、送像側で予め加えるガンマ特性は、
【0006】
【数2】
【0007】
となる。上述した曲線Lbにおいては、γ=2.2である。
【0008】
送像側、つまりビデオカメラ装置側で付与するこのガンマ特性は、図12Aに示す曲線La(実際には直線であるが)の入力レベルを曲線Lcのレベルにレベル変換するものであるため、通常メモリを用意し、個々の入力レベルに対するガンマ補正後の撮像データをストアしておき、このガンマ補正後の撮像データを入力レベルで参照することによって、ガンマ補正された出力撮像信号(撮像データ)を得るようにしている。
【0009】
個々の入力撮像レベルに対するガンマ補正後の撮像データをそのままメモリにストアするとメモリ容量が膨大なものとなる。そのため、最近では曲線Lcで表されるガンマ補正曲線のガンマ値と、曲線Laで表されるリニア特性の値(リニア値)との差分をガンマ補正値として取り扱うようにすると共に、この差分で表されるレベル変化量を示すノンリニア曲線を折れ線近似してそれぞれの線分のデータを最終的なガンマ補正値としてストアする試みがなされている。
【0010】
その具体例は本出願人が先に提案した「特開平4−23570号公報」などに詳しく開示されている。その内容を図12を参照して簡単に説明する。
【0011】
図12Aにおいて、入力撮像信号を8ビットでディジタル化したときには、入力0%のレベルは黒レベルの16量子化レベル(論理レベルであって、図ではディジタル化したときのディジタルコードとして示す)に相当し、入力100%のレベルは235量子化レベルに相当する。8ビットでディジタル化すると、0量子化レベルに相当する入力−7%のレベルまで表現できることになる。
【0012】
次に、(曲線Lc−曲線La)なる差分データが求められる。この差分データを示す曲線を図12B曲線Ldとして示す。この差分データに入力撮像データを加えて始めて、その入力撮像レベルをガンマ補正した値として得られるものであるから、以後この曲線Ldをガンマ補正値(データ)という。
【0013】
曲線Ldにおいて入力0%は16量子化レベルに相当するから、この曲線データから黒レベルに相当する16量子化レベルが減算される。そうすると、同図C曲線Leのように、入力0%は0量子化レベルに対応するようになる。その後、同図Dのようにこの例では各量子化ステップでの線分が折れ線で近似される。
【0014】
メモリには各量子化ステップでの線分を表すガンマ補正値がメモリされる。具体的には、その線分の入力レベルXmの他に、そのときの切片データbmと傾きデータamがガンマ補正値として、入力レベルXm+1 を参照するためのアドレス内に格納される。
【0015】
したがって、これらの格納データを利用して入力レベルXm+1でのガンマ補正後のデータYm+1を求めると、
Ym+1=(Xm+1−Xm)・am+bm
のようになる。
【0016】
そのようなガンマ補正処理を図13を参照して説明する。
同図Aに示す曲線Laは入力撮像信号の入力レベルXm+1を示す。この入力レベルXm+1から黒レベルに相当する16量子化レベルが減算されて同図Bに示すような曲線La′となされる。つぎに、入力レベルXm+1とメモリに保管された同図Cに示すガンマ補正値Xm,am,bmを用いてガンマ補正出力Ym+1が算出される。このとき、数種類あるガンマ補正曲線に合わせるためのゲイン調整(実際にはゲイン調整用の係数kの乗算)が行われる。
【0017】
ガンマ補正出力Ym+1に対して同図Dに示すように、入力0%を16量子化レベルに戻す作業が行われる。具体的には16量子化レベルがガンマ補正出力Ym+1に加算される。そののちこのガンマ補正出力Ym+1に入力撮像信号レベルが加えられて、同図Eに示すように正規にガンマ補正された出力撮像信号が得られる。
【0018】
したがって実際のガンマ補正回路は図14のように構成されることになる。
端子91に供給された入力撮像信号は減算器92で黒レベルXb分が引き算され、その後エンコーダ93で入力撮像信号のレベルに応じたアドレス(参照コード)にエンコードされる。
【0019】
参照アドレスはメモリ94に与えられる。この参照アドレスによってメモリ94からは上述したガンマ補正値(Xm,am,bm)がリードされる。そのうち、データXmは減算器95で入力撮像信号レベルXm+1との減算処理が行われ、次の乗算器96で傾きデータamとの乗算が行われ、最後に加算器97で切片データbmを加算して、ガンマ補正出力Ym+1が生成される。その後乗算器98でゲイン調整用の係数kが乗算される。そして最後に加算器99で黒レベルXbが加えられて入力0%が16量子化レベルに戻された後、加算器100で入力撮像信号Xm+1に加え合わせられて出力端子102にガンマ補正された出力撮像信号が得られる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来のガンマ補正回路にあっては、入力0%を0量子化レベルに対応させているので、メモリ94に格納されるガンマ補正値用のデータテーブルの作成が簡単になると言った利点があるものの、以下のような問題を惹起する。
【0021】
図12B,Cに示すように入力0%を0量子化レベルにシフトすると、入力−7%に相当するレベルのコードはマイナスになってしまうので、エンコーダ93は負の数までも取り扱うことになり、エンコーダ93の構成が返って複雑になってしまう。
【0022】
さらに、このようなレベルシフトを行うことによって、ガンマ補正回路90のハードも図14に示すように減算器92、加算器99などが必要になるから、ガンマ補正回路全体の回路規模の増大を招いてしまう。
【0023】
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、回路構成を簡略化できるガンマ補正回路を提案するものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、請求項1において、撮像信号をディジタル化し、ディジタル化したこの入力撮像信号に対してガンマ補正を行うようにしたガンマ補正回路において、
受像管の発光出力特性がリニア特性となるように撮像信号に対して付与されるガンマ特性を表すガンマ値から上記リニア特性を表すリニア値を差し引いた値をガンマ補正値としてメモリするに際して、
上記撮像信号をディジタル化したときの量子化レベル範囲における各量子化レベル毎に上記ガンマ補正値がメモリされ、
入力撮像信号が供給されたときにはこの入力撮像信号をアドレスとして上記ガンマ補正値が参照され、
参照されたこのガンマ補正値を上記入力撮像信号に加えることで、ガンマ補正された出力撮像信号が得られるようになされたことを特徴とする。
【0025】
請求項2において、上記ガンマ補正値は、折れ線近似により算出された線分の値であることを特徴とする。
【0026】
請求項3において、上記ガンマ補正値は、入力撮像信号の入力レベルに対する直前の入力レベルXmによって特定される線分であって、この入力レベルXmでの切片データbmと、傾きデータamであること特徴とする。
【0027】
請求項4において、ディジタル化された入力撮像信号より参照データを生成するエンコーダと、
このエンコーダの出力が供給されるメモリとを有し、
このメモリには上記ガンマ補正値がストアされ、上記入力撮像信号によって参照されたガンマ補正値が合成手段に供給され、
この合成手段で上記入力撮像信号とガンマ補正値とを加えることによって、所定のガンマ特性が付与された出力撮像信号が得られるようになされたことを特徴とする。
【0028】
請求項5において、上記合成手段では、上記入力撮像信号Xm+1に対し上記入力レベルXmを減算し、その減算出力に対して傾きデータamが乗算されたものに上記切片データbmが加算される処理が行われ、
この合成手段で形成されたガンマ補正値が上記入力撮像信号に加えられるようになされたことを特徴とする。
【0029】
この発明では、ガンマ特性曲線Lcによって表されるガンマ値からリニア特性曲線Laで表されるリニア値を差し引いた値をそのものをガンマ補正値として使用する。このガンマ補正値は黒レベルに相当する16量子化レベルが入力0%に当たるので、入力撮像信号の量子化レベルを基準にしてガンマ補正値が作成されていることになる。したがって入力0%は16量子化レベルのままであって、従来のように入力0%が0量子化レベルとなるようなレベルシフト処理はなされない。
【0030】
その結果、量子化レベルは0量子化レベルから235量子化レベル(実際には入力109%に相当する255量子化レベルまで取り扱うことができる)までとなり、量子化レベルを表すディジタルコード(0〜255)は正のコードのみを取り扱うことになる。これによってエンコーダの回路規模が削減される。これと同時に入力0%を0量子化レベルにするための減算器や、16量子化レベルに戻すための加算器などが不要になり、全体の回路構成を簡略化できる。
【0031】
【発明の実施の形態】
続いて、この発明に係るガンマ補正回路の一例を上述したディジタルビデオカメラ装置に適用した場合につき、図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
説明の便宜上この発明の原理構成から説明する。この発明においてもその基本的なガンマ補正処理は従来例で述べた処理と殆ど同じである。黒レベルに相当する16量子化レベルをどのように処理するかにかかっている。
【0033】
図2はこの発明におけるガンマ補正処理動作を説明するためのもので、本例においても入力撮像信号は8ビットでディジタル化されている場合である。8ビットでディジタル化すると、図2Aに示すように入力0%のレベルは黒レベルの16量子化レベル(図ではコードとして示す)に相当し、入力100%のレベルは235量子化レベルに相当し、0量子化レベルは入力−7%のレベルに当たる。
【0034】
上述したように受像管(図示はしない)の発光出力特性が曲線Laで示すようなリニア特性となるように、撮像信号に対して曲線Lcのようなガンマ特性が付与される。そのため(曲線Lc−曲線La)なる差分データが求められる。その差分データは同図B曲線Ldのようになる。
【0035】
この差分データそのものがガンマ補正値となる。ガンマ補正値は入力0%が16量子化レベルに相当し、入力100%が235量子化レベルに相当し、そして入力−7%が0量子化レベルに相当することは明かである。
【0036】
この発明では黒レベルのシフトを行うことなく、このガンマ補正値そのものが量子化ステップごとの線分として折れ線近似される(図2C)。同図Cのように、各線分での入力レベルXm、そのときの切片データbmと傾きデータamが、入力レベルXm+1 を参照するためガンマ補正値としてメモリ内にテーブル化されて格納される。
【0037】
したがって、これらのガンマ補正値を利用して入力レベルXm+1でのガンマ補正後のデータYm+1を求めると、従来と同様な値になる。再掲すれば次の通りである。
Ym+1=(Xm+1−Xm)・am+bm ・・・・(1)
したがって図2Dに示すように入力撮像信号の入力レベルがXm+1であるとき、この入力レベルXm+1によって参照されたガンマ補正値がメモリからリードされる。
【0038】
ガンマ補正値曲線Ldは同図Eのようになっているので、入力レベルXm+1に対応するガンマ補正値Xm,am,bmを用いてガンマ補正出力Ym+1が算出される。このとき、必要に応じて数種類あるガンマ補正曲線に合わせるためのゲイン調整(実際にはゲイン調整用の係数kの乗算)が行われる。ガンマ補正出力Ym+1に入力撮像信号レベルが加えられて、同図A曲線Lcに示すようにガンマ補正された出力撮像信号が得られる。
【0039】
このようにメモリに格納されるデータとしては、図2Bに示すように黒レベルシフトの処理がなされていないものであるから、0から255まで量子化レベルは全て正の数(ディジタルコード)として取り扱うことできる。これに加えて黒レベルのシフト処理を省けるため、そのための周辺回路構成を簡略化できることになる。
【0040】
実際のガンマ補正回路90は図1のように構成されることになる。
端子91に供給された入力撮像信号Xm+1はエンコーダ93に直接供給されて入力撮像信号のレベルに応じたアドレス(参照コード)にエンコードされる。
【0041】
参照アドレスはメモリ94に与えられる。この参照アドレスによってメモリ94からは上述したガンマ補正値(Xm,am,bm)がリードされる。そのうち、データXmは減算器95に供給されて入力撮像信号レベルXm+1との減算処理(Xm+1−Xm)が行われ、次の乗算器96で傾きデータamとの乗算{(Xm+1−Xm)・am}が行われる。そして最後に加算器97で切片データbmを加算して、(1)式で示すような最終的なガンマ補正出力Ym+1が生成される。その後必要に応じて乗算器98でゲイン調整用の係数kが乗算される。そして最後に加算器100で入力撮像信号Xm+1に加え合わせられることによって、出力端子102にはガンマ補正された出力撮像信号が得られる。
【0042】
以上説明したガンマ補正回路90はディジタルビデオカメラ装置に使用されるガンマ補正回路に適用して好適である。次に図3を参照してこのディジタルビデオカメラ装置を説明する。
【0043】
この例では撮像素子として3個の固体撮像素子(以下はCCDイメージセンサの場合である)が使用され、それらよりG,R,Bの各原色信号が撮像信号として得られる。さらにこれら3個のCCDイメージセンサから得られる撮像信号をディジタル化したときに、その基本波成分中に混入する折り返し成分を除去するため、画素ずらし法を採用した光学系が使用される。
【0044】
画素ずらし法とは、図4に示すように例えばG信号を得るCCDイメージセンサに対し、R信号およびB信号を得るCCDイメージセンサを、水平方向に対して1/2画素ピッチP/2だけ相対的にずらして同一被写体像を撮像するようにしたものである。
【0045】
こうすると、図5Aに示すようにG信号のサンプリングキャリア(その周波数はfs)の位相(0相)に対して、R信号およびB信号のサンプリングキャリアの位相が同図Bのように180°(π相)だけずれる。したがって両者をマトリックスして合成すれば、同図Cのようにサンプリングキャリアが相殺される結果、側波帯成分(鎖線図示)が相殺されて基本波成分のみとなる。したがって画質劣化の原因を除去できる。
【0046】
しかし、実際には上述したようにCCDイメージセンサの関係をP/2に完全に調整することが不可能なこと、非線形処理により基本波成分の高調波が発生すること、などに起因して基本波成分中に高調波成分が折り返されてしまう。図3ではこれらの要因による高調波成分、特にその二次成分に対する折り返し成分をできるだけ抑圧するように構成されている。
【0047】
図3はディジタルビデオカメラ装置10の一態様を示す。被写体像12はCCDイメージセンサ20,22,24によって撮像信号(R,G,Bの原色信号)に変換される。そのスペクトラムを図6A,Bに示す。撮像信号はA/D変換器40,42,44に供給されて、第1のサンプリング周波数(fsとする。fsは例えば18MHz)によってディジタル化される。
【0048】
ディジタル化された撮像信号はプリプロセッサ30においてプリプロセス処理が行われる。プリプロセス処理とは、プリアンプ処理、補間処理、それに伴うフィルタ処理、シェーディング処理などを総称した信号処理を言う。プリプロセス処理を施された撮像信号はアップコンバータ50,56,58においてアップコンバート処理などが行われる。
【0049】
アップコンバータ50(56,58も同様)は図8に示すようにレートコンバータ52とディジタルローパスフィルタ54とで構成される。レートコンバータ52では第1のサンプリング周波数fsよりも高い第2のサンプリング周波数f2(この例では2fs)を使用してアップコンバートされる。
【0050】
したがってこのレートコンバータ52として上述したこの発明に係るアップコンバータを使用することができる。2fsにアップコンバートするため実際には図8に示すように、回路構成が簡略化された非巡回型トランスバーサルフィルタを備えたアップコンバータなどが使用される。
【0051】
アップコンバートされた撮像信号は後段のディジタルローパスフィルタ54によって通過帯域が制限される。上述したようにfs/2以上fsまでの周波数成分を有する撮像信号(周波数をfとする)の場合、その高調波による折り返し成分は周波数fよりも低い帯域側に折り返る。特に非線形処理系を通すと、2fの二次高調波成分が発生し、これの折り返し成分f′は(2f−2fs)となる。この折り返し成分f′が信号帯域以下になる条件は上述したように、
2fs−2f〈f ・・・・(2)
∴f〉2fs/3 ・・・・(3)
である。
【0052】
信号帯域以下の周波数帯域に折り返るのは、非線形処理の他に後述する画素ずらしが完全でないときに発生する折り返し成分(fs−2f)などが考えられる。
【0053】
このような高調波の折り返し成分を抑圧するため、この発明では折り返る元の高調波自体を抑圧する。そのため、図8に示すようなディジタルローパスフィルタ54が設けられ、図9のように撮像信号に対し、2fs/3を阻止周波数とした帯域制限を加える(図6C,D)。つまり、この発明では2fs/3のレスポンスが完全にゼロになるようにディジタルフィルタ特性が設定される。帯域制限された撮像信号は次段の色補正回路60で画像全体に対する色の微調整が行われる。
【0054】
プリプロセッサ30でプリプロセス処理を施された撮像信号はさらに画像の輪郭部を強調するためイメージエンハンサ70に送られて輪郭強調信号が生成される。本例では撮像信号のうちG信号とR信号が使用され、これらから低域側(2fs/3以下の帯域)と高域側(2fs/3以上の帯域)に分けた輪郭強調信号がそれぞれ生成される。
【0055】
図10はこのイメージエンハンサ70の具体例を示すものであり、G信号SgとR信号Srがミキサ72において、2fsのスイッチングパルスを使用してミックスされる。ミックスされた合成信号Sgrのスペクトルを図6Eに示す。信号を合成することによって側波帯成分は相殺される。
【0056】
合成信号Sgrはアパーチャー強調回路74に供給されて図11曲線FAで示すような高域補強特性となされた高域補強信号(アパーチャー補強信号)Saが生成される(図6F)。そのゲインは後段の乗算器76に与えられる係数Kaによって調整される。端子76aにはゲイン調整された高域補強信号Saが得られる。
【0057】
合成信号Sgrはさらに低域側の補強を行うべく、本例では低域側をさらに3つの帯域に分けた周波数領域に対する補強信号が生成される。本例では第1のローパスフィルタ(ディジタルローパスフィルタ)78で図11曲線FHで示すように、比較的高域側(例えば7MHz近傍)のゲインがアップするようなフィルタ特性が付与される(図6G)。
【0058】
第2のローパスフィルタ80では曲線FMで与えられるように、中域例えば5MHz近傍のゲインがアップするようなフィルタ特性が付与される(図6H)。同様に、第3のローパスフィルタ82によって図11曲線FLで示されるような低域(4MHz近傍)のゲインがアップするようなフィルタ特性が付与される(図6I)。
【0059】
これらフィルタ出力Sh,Sm,Slが対応するゲイン調整用の乗算器84,86,88にそれぞれ供給されて、所望の係数Kh,Km,Klによるゲイン調整がなされる。図11に示すようなゲイン(一例として示す)に調整された後加算器90で加算されて低域補強信号Scが生成される(図7J)。端子89aに得られるこの低域補強信号Scが色補正された撮像信号のそれぞれに加算器62,64,66を使用して加算されて低域補償される(図7K,L)。加算器62,64,66以降は非線形処理部を構成する。
【0060】
帯域制限を受けることによって撮像信号Sgl,Srl,Sblの周波数特性は図11曲線LLで示すように特に高域側が劣化している。これに図7Jのような低域補強信号Scを加えることによって図11曲線LL′のようになるから、これによって帯域制限された撮像信号の高域側を効果的に補償できる。
【0061】
低域補償された撮像信号Sgc,Src,Sbcは非線形処理系に供給されて各種の非線形処理が施される。非線形処理とは従来例で説明したように、ガンマ処理、ニー処理やホワイトクリップ処理などを指す。本例ではガンマ処理とニー処理のみを図示した。
【0062】
ガンマ補正回路90,104,106は同一構成であって、図1で示した構成のものが採用される。110,112,114はニー補正回路を示す。このような非線形処理回路を使用することによって回路規模の削減を図ることができる。
【0063】
非線形処理後の各撮像信号に対して加算器116,118,120で高域補強信号Saの加算処理が行われ、図11曲線LHのように高域までブロードな周波数特性となされた撮像信号Sga,Sra,Sbaが得られる(図7M,N)。
【0064】
このような周波数特性の補正処理が施されたのち、各撮像信号がマトリックス回路130に供給されて、この例では輝度信号Yと一対のクロマ信号Cr,Cbとが形成される。加減算などのマトリックス処理を行うことによって、特定撮像条件の下では撮像信号の基本波成分中に混入していた側波帯成分が相殺される(図7のO)。
【0065】
輝度信号Yとクロマ信号Cr,CbはD/A変換器132,134,136でアップコンバートしたままの状態でアナログ信号に戻すこともできれば、レートコンバータ140に供給して第1のサンプリング周波数fsを使用して元のサンプリングレートにダウンコンバートすることもできる。レートコンバータ140の出力はディジタルVTR(この例ではD1型ディジタルVTR)を使用してディジタル撮像信号のまま記録される。
【0066】
この発明を適用できるディジタル信号処理系としてはビデオカメラ装置に限らない。
【0067】
【発明の効果】
以上のように、この発明に係るガンマ補正回路では、受像管の発光出力特性がリニア特性となるように撮像信号に対して付与されるガンマ特性を表すガンマ値からリニア特性を表すリニア値を差し引いた値をガンマ補正値としてメモリするに際して、入力撮像信号のディジタル論理レベルを示すディジタルコードを基準にしてガンマ補正値を生成して、これをメモリするようにしたものである。
【0068】
これによれば、入力0%は黒レベルを表す量子化レベルそのものとなっているから、量子化レベルを表現するディジタルコードが全て正の数で表現できるようになるため回路規模の縮小が図れる。これに加えて黒レベルシフト処理に必要な加減算器も不要になるのでさらに回路規模の縮小を図ることができる。
【0069】
したがってこの発明は上述したディジタルビデオカメラ装置の非線形処理系に適用して極めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るガンマ補正回路一実施態様を示す要部の系統図である。
【図2】その説明に供するガンマ補正処理例を示す図である。
【図3】この発明をディジタルビデオカメラ装置に適用した場合の一実施態様を示す要部の系統図である。
【図4】画素ずらし法を説明するための図である。
【図5】そのときの周波数スペクトラムの図である。
【図6】ディジタル処理を説明するための波形図(1/2)である。
【図7】ディジタル処理を説明するための波形図(2/2)である。
【図8】アップコンバータの一例を示す系統図である。
【図9】ディジタルローパスフィルタの特性図である。
【図10】 イメージエンハンサの一例を示す系統図である。
【図11】イメージエンハンサのフィルタ特性図である。
【図12】従来のガンマ補正処理動作を説明するための図である。
【図13】従来のガンマ補正処理動作を説明するための図である。
【図14】従来のガンマ補正回路の一例を示す系統図である。
【符号の説明】
10 ディジタルビデオカメラ装置
20,22,24 撮像素子
40,42,44 A/D変換器
50 アップコンバータ
52 レートコンバータ
54 ディジタルローパスフィルタ
70 イメージエンハンサ
93 エンコーダ
94 メモリ
Claims (5)
- 撮像信号をディジタル化し、ディジタル化したこの入力撮像信号に対してガンマ補正を行うようにしたガンマ補正回路において、
受像管の発光出力特性がリニア特性となるように撮像信号に対して付与されるガンマ特性を表すガンマ値から上記リニア特性を表すリニア値を差し引いた値をガンマ補正値としてメモリするに際して、
上記撮像信号をディジタル化したときの量子化レベル範囲における各量子化レベル毎に上記ガンマ補正値がメモリされ、
入力撮像信号が供給されたときにはこの入力撮像信号をアドレスとして上記ガンマ補正値が参照され、
参照されたこのガンマ補正値を上記入力撮像信号に加えることで、ガンマ補正された出力撮像信号が得られるようになされたことを特徴とするガンマ補正回路。 - 上記ガンマ補正値は、折れ線近似により算出された線分の値であることを特徴とする請求項1記載のガンマ補正回路。
- 上記ガンマ補正値は、入力撮像信号の入力レベルに対する直前の入力レベルXmによって特定される線分であって、この入力レベルXmでの切片データbmと、傾きデータamであること特徴とする請求項2記載のガンマ補正回路。
- ディジタル化された入力撮像信号より参照データを生成するエンコーダと、
このエンコーダの出力が供給されるメモリとを有し、
このメモリには上記ガンマ補正値がストアされ、上記入力撮像信号によって参照されたガンマ補正値が合成手段に供給され、
この合成手段で上記入力撮像信号とガンマ補正値とを加えることによって、所定のガンマ特性が付与された出力撮像信号が得られるようになされたことを特徴とする請求項1記載のガンマ補正回路。 - 上記合成手段では、上記入力撮像信号Xm+1に対し上記入力レベルXmを減算し、その減算出力に対して傾きデータamが乗算されたものに上記切片データbmが加算される処理が行われ、
この合成手段で形成されたガンマ補正値が上記入力撮像信号に加えられるようになされたことを特徴とする請求項4記載のガンマ補正回路。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33170195A JP3766998B2 (ja) | 1995-12-20 | 1995-12-20 | ガンマ補正回路 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP33170195A JP3766998B2 (ja) | 1995-12-20 | 1995-12-20 | ガンマ補正回路 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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