JP3766915B2 - アンカーとコンクリートとの剪断方向支持能力検定機 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、既存の鉄筋コンクリート建造物(軸組構造物等)に、あと施工アンカー(以下、アンカーと略す)を介して、補強用コンクリート体または鉄骨架構体を結合して補強するために、予めコンクリートとアンカーとの支持能力を検定する検定機に関する。
【0002】
【従来の技術】
一例として、既存の鉄筋コンクリート構造物である梁や柱その他の組み合わせからなるいわゆる軸組構造を補強するため、つぎのような工法が提案されている。即ち、既存の鉄筋コンクリート造軸組の表面に多数の孔を穿設し、そこにアンカーを挿入固定し、そのアンカーの一部を軸組表面から突出させる。そして、その軸組の外周にコンクリートを打設し、既新旧コンクリートを接合することにより補強させる補強工事が提案されている。
ところが、コンクリートの圧縮強度は使用材料や施工方法等によって異なる。そして、その圧縮強度が低い鉄筋コンクリート造軸組にアンカーを打ち込んだ場合、そのアンカーの支持能力が小さくなることは言うまでもない。
そこで、鉄筋コンクリート軸組のコンクリート強度を検定するために、従来ダイヤモンドコアビットで鉄筋コンクリート軸組から小円柱状コンクリートのテストピースを抜き取り、それを圧縮強度試験機により強度試験していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、テストピースによる圧縮強度試験の値が必ずしもアンカーとコンクリートとの剪断方向支持能力を決定するとは限らない。逆に言えば、圧縮強度試験機によって比較的強度が高いと判断されたコンクリートであっても、コンクリートに孔を穿設しアンカーを固定したものにおいて、そのアンカーに剪断方向の外力が加わったとき、それを支持できるアンカーとコンクリートとの結合力が必ずしも高いとは限らない。それは圧縮強度試験の方法および条件が、実際にアンカーを固定して外力を加えたときと異なるからである。
そこで、本発明は特に柱や壁等の補強工事において、アンカーとコンクリートとの剪断方向支持能力をより現実的に検定することができる検定機を提供することを課題とし、その課題を解決するために次の構成をとる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のアンカーとコンクリートとの剪断方向支持能力検定機は、引張強度が既知で両端に係止部1a,1bが形成された基準ピース1と、
コンクリート2の穿設孔2aに固定され一端部がそのコンクリート表面から突出されるアンカー3と、
コンクリート表面に突出した前記アンカー3の突出部と前記基準ピース1の一端部とを、その基準ピース1が前記コンクリート表面に平行するように着脱自在に連結する連結部材4と、
前記基準ピース1の他端部に着脱自在に連結される引張機構5と、
を具備し、
前記引張機構5により前記基準ピース1を前記コンクリート表面と平行な方向に引っ張ったとき、基準ピース1の塑性変形とアンカー3の固定部のコンクリート破壊状態とを比較することにより、アンカー3とコンクリート2との剪断方向の外力支持能力を検定するように構成したものである。
【0005】
また第2の本発明は、引張強度が既知で両端に係止部1a,1bが形成された基準ピース1と、
夫々互いに離間してコンクリート2の穿設孔2aに固定され一端部がそのコンクリート表面から突出される一対のアンカー3,3aと、
コンクリート表面に夫々突出した一対の前記アンカー3,3aの突出部に夫々着脱自在に連結する一対の連結部材4,4aと、
一方の前記連結部材4と前記基準ピース1の一端部とが着脱自在に連結され、その基準ピース1の他端部と他方の前記連結部材4aとの間に着脱自在に介装される引張機構5と、
を具備し、
前記引張機構5により基準ピース1を前記コンクリート表面と平行な方向に引っ張ったとき、その基準ピース1の塑性変形とアンカー3の固定部のコンクリート破壊状態とを比較することにより、アンカー3とコンクリート2との剪断方向の外力支持能力を検定するように構成したものである。
【0006】
さらに第2の発明における好ましい実施の形態では、前記引張機構5は、
一端部が前記基準ピース1の前記他端部にその軸線の回りに回動自在に連結され、外周に回動用把持部5aが形成された本体5bと、
その本体5bの他端部に一方端部が螺着され、他方端部が非回動に前記他方の連結部材4aに着脱自在に連結された棒体5cと、
を具備するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明のアンカーとコンクリートとの剪断方向支持能力検定機の縦断面図であり、図2はその平面図である。
この検定機は、既設コンクリート2に互いに離間して一対の穿設孔2aを穿設し、そこにアンカー3,3aの中間部以下を挿入し、接着剤等を介してアンカー3,3aを穿設孔2aに固定する。その接着剤の一例として、社団法人日本建築あと施工アンカー協会の定める接着系アンカーであって、不飽和ポリエステル樹脂および骨材を外側のガラス管に、硬化剤を内側のガラス管に夫々収納したアンカーボルト用のレジンカプセルがある。これは、そのカプセルを孔内に挿入し、内外のガラス管を破損させることにより、不飽和ポリエステル樹脂と硬化剤とを混合し、アンカー3,3aを穿設孔2a内面に強固に固定するものである。
【0008】
このとき、アンカー3,3aをコンクリート2k 穿設孔2a内に挿入する長さは、アンカー3の直径の7倍以上とすることが好ましい。これらのアンカー3,3aの頭部には外ネジが形成されている。次いで、断面溝状の連結部材4,4aをスリーブ6を介してアンカー3,3aに接続する。この連結部材4,4aは、その溝状の底部に孔を有すると共に、両側壁部にスリーブ6挿通用の孔を有する。また、図において左側の連結部材4にはナット8が内装され、そのナット8に基準ピース1の一端部が螺着される。また、アンカー3,3aの上端部には座金を介し夫々ナット7が螺着締結される
次に、基準ピース1は軟鋼材からなり、その両端に直径が拡大した係止部1a,1bを有し、図において右側の係止部1aは円形頭部に形成され、左側の係止部1bは外ネジが形成されている。そして、この基準ピース1はその引張強度が既知のものである。
【0009】
次に、基準ピース1の右側の係止部1aと右側の連結部材4aとを引張機構5が連結する。この引張機構5は、細長い筒状の本体5bと棒体5cと側蓋5fならびにベアリング5gを有する。本体5bは、その両端に内ネジが形成されている。この実施例では、右側の内ネジはその内直径が小径であり、左側の内ネジは内直径が大である。そして、右側の内ネジに棒体5cの外ネジ5eが螺着され、左側の内ネジに側蓋5fの外ネジが螺着される。側蓋5fは、内フランジを有する短い筒状に形成され、その内フランジにベアリング5gが内装される。そして、基準ピース1の係止部1aがそのベアリング5gに支持される。また、棒体5cの右端には外周が正四角の角頭部5dが形成され、それが連結部材4aに収納されて、その内面で回り止めされる。
なお、引張機構5の右端外周には回動用把持部5aが図2の如く形成されている。この例では、スパナを嵌着できるようにその横断面が正六角形の構造である。
【0010】
【使用方法】
図1および図2に示す如く、一対のアンカー3,3aをコンクリート2の穿設孔2aにその中間部以下を挿入すると共に、穿設孔2aとアンカー3外周との間を一例として接着剤で確固に固定する。そして、夫々のアンカー3にスリーブ6を介して連結部材4,4aを挿入すると共に、アンカー3,3aに座金を介しナット7を螺着締結する。それと共に、連結部材4に内装されたナット8に基準ピース1の係止部1bを螺着し且つ、引張機構5の側蓋5fにベアリング5gを介して基準ピース1の係止部1aを把持させる。次いで、引張機構5の本体5bを側蓋5fに螺着させる。それと共に、棒体5cの外ネジ5eを本体5bの端部に螺着し且つ、棒体5cの角頭部5dを連結部材4aに装着しておく。
なお、角頭部5dを連結部材4aに収納するには、スリーブ6が存在しない状態で連結部材4aの開口側からその軸部を挿入し、連結部材4aの底部貫通孔にその軸部を挿通すればよい。
なお、この例ではコンクリート2上にテフロン9を載置し、連結部材4,4aの滑りを良くしている。
【0011】
このように準備された検定機において、本体5bの回動用把持部5aにスパナを嵌着し、それを締結方向に螺回する。すると、本体5bは棒体5cに対して図において右方に移動し、基準ピース1に引張加重を加える。そして、その加重を徐々に大きくし、基準ピース1の塑性変形とアンカー3の固定部のコンクリート破壊状態とを比較する。それにより、アンカー3とコンクリート2との剪断方向の外部支持能力を検定するものである。すなわち、穿設孔2a孔縁部に破損が生じることなく、基準ピース1が塑性変形した場合には、その塑性変形に見合う引張加重がアンカー3に加わっても、コンクリート2とアンカー3との支持能力は充分耐え得ることになる。
【0012】
通常、どの程度の支持能力があるかの検定には、本検定機に取り付ける基準ピースを、その直径の小なるものから順次大なるものに換えることにより、アンカー3およびコンクリート2の支持能力の限界値を予測することが可能となる。
次式はアンカー3とコンクリート2との支持力Qの一般的実験値を表す。このとき、アンカー3はコンクリート2にその直径の7倍以上挿入固定されている必要がある。
Q=0.4(FC .EC )1/2 .A
ここに、FC はコンクリートの圧縮強度であり、EC はコンクリートのヤング係数、Aはアンカーの断面積である。通常のコンクリートの場合、FC は180Kgf/cm2 であり、コンクリートのEC は2.1×105 Kgf/cm2 である。
そこで、アンカー3の外直径を2cmとすると、
Q=0.4(180×210,000)1/2 ×π×12 =7,700Kgfとなる。
【0013】
そこで、上記条件における外直径2cmのアンカー3の支持力Qに相当する基準ピース1の外直径を求めると次のようになる。なお、このとき基準ピース1の引張強さを50Kgf/mm2 と仮定する。
7,700/50=πD2 /4
故にD=14mm
したがって、コンクリート2が所定の強度を有している場合には、直径14mmの基準ピース1と直径20mmのアンカー3とが平衡するものとなる。すなわち、基準ピース1が破断する荷重とコンクリート2が破損する荷重とが一致するものである。
【0014】
次に、低強度の既存の鉄筋コンクリート建築物の場合には、前記直径14mmの基準ピース1で直径20mmのアンカー3を使用すると、基準ピース1が破断する前にコンクリート2が破損する。
そこで、このように既存鉄筋コンクリートの強度低下が予測される場合には、基準ピース1の直径を前記より小さなもので行う必要がある。そして、許容の圧縮強度を想定し、それに相応する基準ピース1を用いて検定すれば、少なくともその既存コンクリートの強度は許容値を越えていることが確認できる。
なお、図1および図2において棒体5cの強度は当然に基準ピース1の強度よりも大なる必要がある。
このような検定は、既存コンクリートからコア抜きしたコンクリートテストピースの圧縮試験と並行して行っても、或いは単独で行ってもよい。
【0015】
【他の発明の実施の形態】
次に、図3は本発明の他の実施の形態であり、この例は引張機構5に油圧装置を用いた例である。すなわち、既設コンクリート2のコーナー部において油圧装置の支持部をその直交二面に当接させ、そのピストンロッド10を基準ピース1の係止部1aに保持させたものである。そして、ピストンロッド10を右方に引張り、基準ピース1の破断状況とアンカー3周辺のコンクリート2の破損状況とを比較することにより、コンクリート2とアンカー3との支持能力を検定することができる。
なお、上記の例は何れもアンカーボルトをコンクリートの穿設孔に固定したが、それに代えてアンカーナットを穿設孔に埋設固定し、それにボルトを螺着締結して前記検定を行うことも考えられる。
【0016】
【発明の作用・効果】
本発明のアンカーとコンクリートとの剪断方向支持能力検定機は、引張機構5により基準ピース1をコンクリート表面と平行な方向に引っ張ったとき、その基準ピース1の塑性変形とアンカー3の固定部のコンクリート破壊状態とを比較することにより、アンカー3とコンクリート2との剪断方向の外力支持能力を検定するように構成したものである。そして、その基準ピース1は引張強度が既知であるから、その塑性変形を確認することによりコンクリートとアンカーとの剪断方向支持能力を把握することが可能となる。
しかも、本検定機は構造が簡単で取扱易く、迅速に試験を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンカーとコンクリートとの剪断方向支持能力検定機の縦断面図。
【図2】同平面図。
【図3】本発明の他の検定機の一部破断図。
【符号の説明】
1 基準ピース
1a,1b 係止部
2 コンクリート
2a 穿設孔
3,3a アンカー
4,4a 連結部材
5 引張機構
5a 回動用把持部
5b 本体
5c 棒体
5d 角頭部
5e 外ネジ
5f 側蓋
5g ベアリング
6 スリーブ
7,8 ナット
9 テフロン
10 ピストンロッド
【発明の属する技術分野】
本発明は、既存の鉄筋コンクリート建造物(軸組構造物等)に、あと施工アンカー(以下、アンカーと略す)を介して、補強用コンクリート体または鉄骨架構体を結合して補強するために、予めコンクリートとアンカーとの支持能力を検定する検定機に関する。
【0002】
【従来の技術】
一例として、既存の鉄筋コンクリート構造物である梁や柱その他の組み合わせからなるいわゆる軸組構造を補強するため、つぎのような工法が提案されている。即ち、既存の鉄筋コンクリート造軸組の表面に多数の孔を穿設し、そこにアンカーを挿入固定し、そのアンカーの一部を軸組表面から突出させる。そして、その軸組の外周にコンクリートを打設し、既新旧コンクリートを接合することにより補強させる補強工事が提案されている。
ところが、コンクリートの圧縮強度は使用材料や施工方法等によって異なる。そして、その圧縮強度が低い鉄筋コンクリート造軸組にアンカーを打ち込んだ場合、そのアンカーの支持能力が小さくなることは言うまでもない。
そこで、鉄筋コンクリート軸組のコンクリート強度を検定するために、従来ダイヤモンドコアビットで鉄筋コンクリート軸組から小円柱状コンクリートのテストピースを抜き取り、それを圧縮強度試験機により強度試験していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、テストピースによる圧縮強度試験の値が必ずしもアンカーとコンクリートとの剪断方向支持能力を決定するとは限らない。逆に言えば、圧縮強度試験機によって比較的強度が高いと判断されたコンクリートであっても、コンクリートに孔を穿設しアンカーを固定したものにおいて、そのアンカーに剪断方向の外力が加わったとき、それを支持できるアンカーとコンクリートとの結合力が必ずしも高いとは限らない。それは圧縮強度試験の方法および条件が、実際にアンカーを固定して外力を加えたときと異なるからである。
そこで、本発明は特に柱や壁等の補強工事において、アンカーとコンクリートとの剪断方向支持能力をより現実的に検定することができる検定機を提供することを課題とし、その課題を解決するために次の構成をとる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のアンカーとコンクリートとの剪断方向支持能力検定機は、引張強度が既知で両端に係止部1a,1bが形成された基準ピース1と、
コンクリート2の穿設孔2aに固定され一端部がそのコンクリート表面から突出されるアンカー3と、
コンクリート表面に突出した前記アンカー3の突出部と前記基準ピース1の一端部とを、その基準ピース1が前記コンクリート表面に平行するように着脱自在に連結する連結部材4と、
前記基準ピース1の他端部に着脱自在に連結される引張機構5と、
を具備し、
前記引張機構5により前記基準ピース1を前記コンクリート表面と平行な方向に引っ張ったとき、基準ピース1の塑性変形とアンカー3の固定部のコンクリート破壊状態とを比較することにより、アンカー3とコンクリート2との剪断方向の外力支持能力を検定するように構成したものである。
【0005】
また第2の本発明は、引張強度が既知で両端に係止部1a,1bが形成された基準ピース1と、
夫々互いに離間してコンクリート2の穿設孔2aに固定され一端部がそのコンクリート表面から突出される一対のアンカー3,3aと、
コンクリート表面に夫々突出した一対の前記アンカー3,3aの突出部に夫々着脱自在に連結する一対の連結部材4,4aと、
一方の前記連結部材4と前記基準ピース1の一端部とが着脱自在に連結され、その基準ピース1の他端部と他方の前記連結部材4aとの間に着脱自在に介装される引張機構5と、
を具備し、
前記引張機構5により基準ピース1を前記コンクリート表面と平行な方向に引っ張ったとき、その基準ピース1の塑性変形とアンカー3の固定部のコンクリート破壊状態とを比較することにより、アンカー3とコンクリート2との剪断方向の外力支持能力を検定するように構成したものである。
【0006】
さらに第2の発明における好ましい実施の形態では、前記引張機構5は、
一端部が前記基準ピース1の前記他端部にその軸線の回りに回動自在に連結され、外周に回動用把持部5aが形成された本体5bと、
その本体5bの他端部に一方端部が螺着され、他方端部が非回動に前記他方の連結部材4aに着脱自在に連結された棒体5cと、
を具備するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明のアンカーとコンクリートとの剪断方向支持能力検定機の縦断面図であり、図2はその平面図である。
この検定機は、既設コンクリート2に互いに離間して一対の穿設孔2aを穿設し、そこにアンカー3,3aの中間部以下を挿入し、接着剤等を介してアンカー3,3aを穿設孔2aに固定する。その接着剤の一例として、社団法人日本建築あと施工アンカー協会の定める接着系アンカーであって、不飽和ポリエステル樹脂および骨材を外側のガラス管に、硬化剤を内側のガラス管に夫々収納したアンカーボルト用のレジンカプセルがある。これは、そのカプセルを孔内に挿入し、内外のガラス管を破損させることにより、不飽和ポリエステル樹脂と硬化剤とを混合し、アンカー3,3aを穿設孔2a内面に強固に固定するものである。
【0008】
このとき、アンカー3,3aをコンクリート2k 穿設孔2a内に挿入する長さは、アンカー3の直径の7倍以上とすることが好ましい。これらのアンカー3,3aの頭部には外ネジが形成されている。次いで、断面溝状の連結部材4,4aをスリーブ6を介してアンカー3,3aに接続する。この連結部材4,4aは、その溝状の底部に孔を有すると共に、両側壁部にスリーブ6挿通用の孔を有する。また、図において左側の連結部材4にはナット8が内装され、そのナット8に基準ピース1の一端部が螺着される。また、アンカー3,3aの上端部には座金を介し夫々ナット7が螺着締結される
次に、基準ピース1は軟鋼材からなり、その両端に直径が拡大した係止部1a,1bを有し、図において右側の係止部1aは円形頭部に形成され、左側の係止部1bは外ネジが形成されている。そして、この基準ピース1はその引張強度が既知のものである。
【0009】
次に、基準ピース1の右側の係止部1aと右側の連結部材4aとを引張機構5が連結する。この引張機構5は、細長い筒状の本体5bと棒体5cと側蓋5fならびにベアリング5gを有する。本体5bは、その両端に内ネジが形成されている。この実施例では、右側の内ネジはその内直径が小径であり、左側の内ネジは内直径が大である。そして、右側の内ネジに棒体5cの外ネジ5eが螺着され、左側の内ネジに側蓋5fの外ネジが螺着される。側蓋5fは、内フランジを有する短い筒状に形成され、その内フランジにベアリング5gが内装される。そして、基準ピース1の係止部1aがそのベアリング5gに支持される。また、棒体5cの右端には外周が正四角の角頭部5dが形成され、それが連結部材4aに収納されて、その内面で回り止めされる。
なお、引張機構5の右端外周には回動用把持部5aが図2の如く形成されている。この例では、スパナを嵌着できるようにその横断面が正六角形の構造である。
【0010】
【使用方法】
図1および図2に示す如く、一対のアンカー3,3aをコンクリート2の穿設孔2aにその中間部以下を挿入すると共に、穿設孔2aとアンカー3外周との間を一例として接着剤で確固に固定する。そして、夫々のアンカー3にスリーブ6を介して連結部材4,4aを挿入すると共に、アンカー3,3aに座金を介しナット7を螺着締結する。それと共に、連結部材4に内装されたナット8に基準ピース1の係止部1bを螺着し且つ、引張機構5の側蓋5fにベアリング5gを介して基準ピース1の係止部1aを把持させる。次いで、引張機構5の本体5bを側蓋5fに螺着させる。それと共に、棒体5cの外ネジ5eを本体5bの端部に螺着し且つ、棒体5cの角頭部5dを連結部材4aに装着しておく。
なお、角頭部5dを連結部材4aに収納するには、スリーブ6が存在しない状態で連結部材4aの開口側からその軸部を挿入し、連結部材4aの底部貫通孔にその軸部を挿通すればよい。
なお、この例ではコンクリート2上にテフロン9を載置し、連結部材4,4aの滑りを良くしている。
【0011】
このように準備された検定機において、本体5bの回動用把持部5aにスパナを嵌着し、それを締結方向に螺回する。すると、本体5bは棒体5cに対して図において右方に移動し、基準ピース1に引張加重を加える。そして、その加重を徐々に大きくし、基準ピース1の塑性変形とアンカー3の固定部のコンクリート破壊状態とを比較する。それにより、アンカー3とコンクリート2との剪断方向の外部支持能力を検定するものである。すなわち、穿設孔2a孔縁部に破損が生じることなく、基準ピース1が塑性変形した場合には、その塑性変形に見合う引張加重がアンカー3に加わっても、コンクリート2とアンカー3との支持能力は充分耐え得ることになる。
【0012】
通常、どの程度の支持能力があるかの検定には、本検定機に取り付ける基準ピースを、その直径の小なるものから順次大なるものに換えることにより、アンカー3およびコンクリート2の支持能力の限界値を予測することが可能となる。
次式はアンカー3とコンクリート2との支持力Qの一般的実験値を表す。このとき、アンカー3はコンクリート2にその直径の7倍以上挿入固定されている必要がある。
Q=0.4(FC .EC )1/2 .A
ここに、FC はコンクリートの圧縮強度であり、EC はコンクリートのヤング係数、Aはアンカーの断面積である。通常のコンクリートの場合、FC は180Kgf/cm2 であり、コンクリートのEC は2.1×105 Kgf/cm2 である。
そこで、アンカー3の外直径を2cmとすると、
Q=0.4(180×210,000)1/2 ×π×12 =7,700Kgfとなる。
【0013】
そこで、上記条件における外直径2cmのアンカー3の支持力Qに相当する基準ピース1の外直径を求めると次のようになる。なお、このとき基準ピース1の引張強さを50Kgf/mm2 と仮定する。
7,700/50=πD2 /4
故にD=14mm
したがって、コンクリート2が所定の強度を有している場合には、直径14mmの基準ピース1と直径20mmのアンカー3とが平衡するものとなる。すなわち、基準ピース1が破断する荷重とコンクリート2が破損する荷重とが一致するものである。
【0014】
次に、低強度の既存の鉄筋コンクリート建築物の場合には、前記直径14mmの基準ピース1で直径20mmのアンカー3を使用すると、基準ピース1が破断する前にコンクリート2が破損する。
そこで、このように既存鉄筋コンクリートの強度低下が予測される場合には、基準ピース1の直径を前記より小さなもので行う必要がある。そして、許容の圧縮強度を想定し、それに相応する基準ピース1を用いて検定すれば、少なくともその既存コンクリートの強度は許容値を越えていることが確認できる。
なお、図1および図2において棒体5cの強度は当然に基準ピース1の強度よりも大なる必要がある。
このような検定は、既存コンクリートからコア抜きしたコンクリートテストピースの圧縮試験と並行して行っても、或いは単独で行ってもよい。
【0015】
【他の発明の実施の形態】
次に、図3は本発明の他の実施の形態であり、この例は引張機構5に油圧装置を用いた例である。すなわち、既設コンクリート2のコーナー部において油圧装置の支持部をその直交二面に当接させ、そのピストンロッド10を基準ピース1の係止部1aに保持させたものである。そして、ピストンロッド10を右方に引張り、基準ピース1の破断状況とアンカー3周辺のコンクリート2の破損状況とを比較することにより、コンクリート2とアンカー3との支持能力を検定することができる。
なお、上記の例は何れもアンカーボルトをコンクリートの穿設孔に固定したが、それに代えてアンカーナットを穿設孔に埋設固定し、それにボルトを螺着締結して前記検定を行うことも考えられる。
【0016】
【発明の作用・効果】
本発明のアンカーとコンクリートとの剪断方向支持能力検定機は、引張機構5により基準ピース1をコンクリート表面と平行な方向に引っ張ったとき、その基準ピース1の塑性変形とアンカー3の固定部のコンクリート破壊状態とを比較することにより、アンカー3とコンクリート2との剪断方向の外力支持能力を検定するように構成したものである。そして、その基準ピース1は引張強度が既知であるから、その塑性変形を確認することによりコンクリートとアンカーとの剪断方向支持能力を把握することが可能となる。
しかも、本検定機は構造が簡単で取扱易く、迅速に試験を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンカーとコンクリートとの剪断方向支持能力検定機の縦断面図。
【図2】同平面図。
【図3】本発明の他の検定機の一部破断図。
【符号の説明】
1 基準ピース
1a,1b 係止部
2 コンクリート
2a 穿設孔
3,3a アンカー
4,4a 連結部材
5 引張機構
5a 回動用把持部
5b 本体
5c 棒体
5d 角頭部
5e 外ネジ
5f 側蓋
5g ベアリング
6 スリーブ
7,8 ナット
9 テフロン
10 ピストンロッド
Claims (3)
- 引張強度が既知で両端に係止部1a,1bが形成された基準ピース1と、
コンクリート2の穿設孔2aに固定され一端部がそのコンクリート表面から突出されるアンカー3と、
コンクリート表面に突出した前記アンカー3の突出部と前記基準ピース1の一端部とを、その基準ピース1が前記コンクリート表面に平行するように着脱自在に連結する連結部材4と、
前記基準ピース1の他端部に着脱自在に連結される引張機構5と、
を具備し、
前記引張機構5により前記基準ピース1を前記コンクリート表面と平行な方向に引っ張ったとき、基準ピース1の塑性変形とアンカー3の固定部のコンクリート破壊状態とを比較することにより、アンカー3とコンクリート2との剪断方向の外力支持能力を検定するように構成した、
アンカーとコンクリートとの剪断方向支持能力検定機。 - 引張強度が既知で両端に係止部1a,1bが形成された基準ピース1と、
夫々互いに離間してコンクリート2の穿設孔2aに固定され一端部がそのコンクリート表面から突出される一対のアンカー3,3aと、
コンクリート表面に夫々突出した一対の前記アンカー3,3aの突出部に夫々着脱自在に連結する一対の連結部材4,4aと、
一方の前記連結部材4と前記基準ピース1の一端部とが着脱自在に連結され、その基準ピース1の他端部と他方の前記連結部材4aとの間に着脱自在に介装される引張機構5と、
を具備し、
前記引張機構5により基準ピース1を前記コンクリート表面と平行な方向に引っ張ったとき、その基準ピース1の塑性変形とアンカー3の固定部のコンクリート破壊状態とを比較することにより、アンカー3とコンクリート2との剪断方向の外力支持能力を検定するように構成した、
アンカーとコンクリートとの剪断方向支持能力検定機。 - 請求項2において、前記引張機構5は、
一端部が前記基準ピース1の前記他端部にその軸線の回りに回動自在に連結され、外周に回動用把持部5aが形成された本体5bと、
その本体5bの他端部に一方端部が螺着され、他方端部が非回動に前記他方の連結部材4aに着脱自在に連結された棒体5cと、
を具備するアンカーとコンクリートとの剪断方向支持能力検定機。
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