JP3766825B2 - 浴槽用配管の漏水検査用治具 - Google Patents

浴槽用配管の漏水検査用治具 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴槽用配管の漏水検査用治具に係り、更に詳しくは、漏水検査用治具の取り外す際に、水抜き位置を容易に認識して作業者の衣類等を濡らしてしまうことのない浴槽用配管の漏水検査用治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、湯張りされた湯を再加熱することのできる風呂の配管構造は、浴槽の側壁に設けられて当該浴槽を内外に連通させる筒状の循環アダプターと、この循環アダプターに一端側が接続される一方、他端側が追焚き機能付き給湯機に接続される導出管及び導入管とを備えて構成されている。このような配管は、建物に設置した後に漏水検査を行う必要がある。
【0003】
前記漏水検査を行うための治具としては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−178600号公報
【0005】
前記特許文献1に記載された漏水検査用治具は、循環アダプターの内側に嵌合して当該循環アダプターの浴槽側開放部を閉塞する構造とされている。具体的には、循環アダプターの内面側に挿入される筒状壁部と、この筒状壁部の一端側を閉塞する底壁部と、当該底壁部の中央部に連なる軸状の突起部とを備えて構成されている。筒状壁部には、その挿入方向先端側に切欠部が形成されており、この切欠部を循環アダプターの内面側に設けられた凸部に係合させることにより、漏水検査に際して循環アダプターから治具が抜け出ることがないようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載された漏水検査用治具にあっては、漏水検査を行うべく治具を循環アダプターに装着した状態で、配管内に水を供給して検査圧力を付与する構成であるため、治具を循環アダプターから取り外すときに、内部の水が作業者側に飛散してしまう、という不都合がある。しかも、検査用圧力によって凸部が切欠部に強く食い込んでしまい、検査終了後に、治具を循環アダプターから抜き出すことが困難になる、という不都合もある。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、検査終了後に、治具及び循環アダプター内に満たされた水を軸部回りの特定位置から排出できるようにして作業者の衣類等を濡らしてしまうことのない配管の漏水検査用治具を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、検査圧力を簡易な構成によって低下させることを可能にして循環アダプターからの抜き出しを容易に行うことができる浴槽の配管漏水検査用治具を提供することにある。
【0009】
また、本発明の更に他の目的は、循環アダプターに対する着脱が容易な配管の漏水検査用治具を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、浴槽の内外に連通する循環アダプターと、この循環アダプターに接続されて浴槽の湯を浴槽外へ導出する導出管及び浴槽内に湯を導入する導入管を含む追焚き用配管を備えた浴槽用配管の漏水検査用治具において、
前記浴槽の内側から前記循環アダプターに抜け止め手段を介して装着されるとともに、当該循環アダプターに装着された状態で前記追焚き用配管に連通する通路を有する治具本体と、当該治具本体に取り付けられて前記通路を閉塞する閉塞部材とを備え、
前記治具本体は浴槽内に突出する軸部を含み、この軸部の外周部分に前記循環アダプターから取り出すときに指を引っ掛けて引き抜き力を強く作用せしめることが可能な突出部を設け、この突出部の先端に前記閉塞部材が着脱自在に設けられるという構成を採っている。
漏水検査を行う場合には、前記治具を循環アダプター内に挿入して装着することができる。この状態で、導出管又は導入管の何れか一方を閉塞しておき、何れか他方から水が供給される。そして、供給された水により浴槽用配管内に所定圧力、例えば、0.1MPa程度の圧力を付与し、所定時間経過したときの圧力変化の有無に基づいて漏水しているか否かを検査することができる。
検査終了後は、前記閉塞部材を軸部の外周部分から取り外すことで通路を開放し、内部の水を排出して検査圧力を降下させることができる。この水の排出位置は、軸部本体の特定位置に限定されているので、作業者の衣類を濡らしてしまうような不都合は生じない。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において、前記軸部に、当該軸部の軸線と交わる方向に向けられた突出部が設けられ、この突出部の先端に前記閉塞手段が設けられる、という構成を採るとよい。このような構成では、治具本体を循環アダプターから引き抜こうとするときに、指を突出部に引っ掛けることができ、引き抜き力を強く作用せしめることが可能となる。しかも、引き抜きに際して、治具を周方向に回転させることも容易となる。
【0013】
また、前記軸部は、略L字状又はT字状に設けることが好ましい。これにより、前述した引き抜きを作業を一層容易に行うことができる。
【0014】
なお、本明細書において、「水」は湯をも含む概念として用いられる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1には、本実施例に係る浴槽用配管の漏水検査用治具が適用される浴槽の要部断面図が示されている。この図において、浴槽10の側壁11には、当該浴槽10の内外に連通する筒状をなす循環アダプター13が設けられ、この循環アダプター13には、浴槽10に対して水を供給、排出する追焚き用配管(浴槽用配管)15が接続されている。循環アダプター13は、循環アダプター本体16と、これにねじ結合される締付ジョイント17とからなり、これらの内側に配置された仕切部材18により浴槽10の水を浴槽外へ導出する導出部13Aと、浴槽10に水を導入する導入部13Bとに区分されている。
【0017】
前記追焚き用配管15は、導出部13Aに接続されて浴槽10の湯を外部に導出して図示しない給湯機に供給する導出管15Aと、前記導入部13Bに接続されて給湯機で加熱された湯を浴槽10に導入する導入管15Bとからなる。
【0018】
図2及び図3に示されるように、前記締付ジョイント17は略筒状をなし、浴槽10の内側に位置する端部外縁に、側壁11の内側に係止されるフランジ部20を備え、浴槽10の外側に突出する他方の端部外周面にねじ部21を備えている。また、締付ジョイント17は、図1に示されるように、フランジ部20に部分的に設けられたボス23が仕切部材18に当接するようになっている。フランジ部20の外縁部には切欠部24が設けられており、導入管15Bにより導入される湯は、ボス23間の隙間25と切欠部24を通って浴槽10に流入自在となっている。
【0019】
前記循環アダプター本体16は略二重筒状の有底円筒状をなし、底部27を追焚き用配管15が貫通するとともに、開放端部外縁にフランジ部28を備え、開放端部の内周面にねじ部29を備えている。循環アダプター13は、締付ジョイント17のフランジ部20を浴槽10の内側から側壁11に係止させた状態で、ねじ部21に循環アダプター本体16のねじ部29を締め付けてフランジ部20,28により側壁11を挟持して浴槽10に取り付けられる。なお、締付ジョイント17のフランジ部20と側壁11との間、及び、循環アダプター本体16のフランジ部28と側壁11との間にはパッキン30,31がそれぞれ介装されている。
【0020】
前記仕切部材18は、前記循環アダプター本体16の内側筒部に嵌合する筒状部18Aと、この筒状部18Aの一端に連なるとともに、浴槽10内に向けられた屈曲領域を有するフランジ部18Bとからなる。この仕切部材18の浴槽10側にはカバー33が被せられる。カバー33には窓部35が設けられており、水がカバー33前面の窓部35を通過して導出部13Aに流通するようになっている。
【0021】
浴槽10に湯張りされた水を再加熱するときには、浴槽10内の水は窓部35を通過して導出部13Aに流入し、導出管15Aにより給湯機に導出され、当該給湯機で加熱された湯は、導入管15Bにより導入部13Bに導入された後、締付ジョイント17の前記切欠部24、又はカバー33側面の窓部35を通って浴槽10内に流入する。
【0022】
前記循環アダプター13及び追焚き用配管15の漏水検査を行うときには、カバー35及び仕切部材18を取り外し、以下に詳述する漏水検査用治具40により締付ジョイント17の中空部を浴槽10の内側から閉塞する。そして、追焚き用配管15の給湯機側の末端部に、例えば、導入管15Bに図示しないバルブ等を介して閉塞し、導出管15Aに圧力計を備えたバルブを介して水圧加圧手段を接続する。
【0023】
そして、水圧加圧手段により、例えば、0.1MPaの水圧を付与し、5分間維持し、この間に水圧が低下しなければ、循環アダプター13及び追焚き用配管15に漏水がないものと判定する。
【0024】
前記浴槽用配管の漏水検査用治具40は、図2及び図3に示されるように、循環アダプター13を構成する締付ジョイント17に装着される治具本体41と、この治具本体41にねじ結合によって着脱自在に設けられた閉塞部材42と、これら治具本体41及び閉塞部材42の間に配置されるパッキンPとにより構成されている。
【0025】
治具本体41は、締付ジョイント17内に差し込み可能な外径を備えた中空の筒部43と、この筒部43の直径よりも若干大きな直径を有するとともに、当該筒部43の一端側すなわち図2中左端側に設けられた底部44と、この底部44の中央部から浴槽10の内方に向かって突出する軸部45とを備えている。筒部43の外周側には、ゴム等の弾性部材からなるOリング46が脱落不能な状態で装着されているともに、前記底部44と軸部45の中央部には、当該軸部45の軸線方向に貫通して追焚き用配管15に連通する通路47が形成されている。この通路47は、底部44の反対側となる先端近傍位置で、軸部45の軸線方向と略直交する方向に向けられて当該軸部45の外周部分に開放する屈曲通路47Aを備え、当該屈曲通路47Aの内周面に雌ねじ49が形成されている。なお、筒部43の開放側端部には、略L字状の切欠部43Aが筒部43の周方向略180度間隔位置にそれぞれ形成されており、これら切欠部43Aに、前記締付ジョイント17の内周面における周方向略180度間隔位置に突設された突起17Aがそれぞれ係合可能となっている。ここにおいて、切欠部43Aと突起17Aとにより、循環アダプター13に対する漏水検査用治具40の抜け止め手段が構成されている。
【0026】
前記閉塞部材42は、操作用の摘み部50と、この摘み部50の一端側から突出する突軸部51とからなり、当該突軸部51の軸方向に沿う領域の外周面に、前記雌ねじ49にねじ結合する雄ねじ52が形成されている。なお、突軸部51の軸長は、前記雌ねじ49が形成された領域(ねじ部)の長さよりも短い長さとされている。
【0027】
前記パッキンPは薄板リング状をなし、その穴57の内径は、突軸部51の外径と略同一に形成され、パッキンPの板面58は、前記軸部45における屈曲通路の開放口回りと摘み部50の突軸部側端面50Aとの間に挟まれるようになっている。
【0028】
前記漏水検査用治具40を用いて漏水検査を行う場合には、まず、治具本体41を循環アダプター13に装着し、筒部43の切欠部43Aに、締付ジョイント17の突起17Aを係合させて抜け止めした位置に保っておく(図2参照)。同時に、治具本体41にパッキンPを介して閉塞部材42をねじ結合して通路47を密閉させておく(図2参照)。
【0029】
漏水検査に際し、導出管15A又は導入管15Bの何れか一方の給湯機側端部を閉塞するとともに、何れか他方の端部から水を供給して圧力を付与し、所定時間経過時における圧力変化の有無を検査すればよい。
【0030】
検査終了後、漏水検査用治具40を循環アダプター13から取り出すときは、前記閉塞部材42を治具本体41に対して緩めて取り外せばよい。これにより、通路47に充満している水が屈曲通路47Aを通って浴槽10内に流出して配管内の水圧を降下させる。
【0031】
このようにして水圧が降下した後は、治具本体41を若干回転させて切欠部43Aに対する突起17Aの係合を解除し、浴槽10の内方に引き抜く力を付与して循環アダプター13から漏水用検査治具40を抜き出すことが可能となる。
【0032】
このような実施例によれば、治具本体41と閉塞部材42とのねじ結合を解除して当該閉塞部材42を治具本体41から取り外すことで通路47内の水を浴槽10内に流出させることができ、循環アダプター13、浴槽用配管15及び通路47内に充満している水の水圧を降下させることが可能となる。また、水は、治具本体41の特定箇所、すなわち、前記屈曲通路47の開放口から常に流出することとなり作業者の衣類を濡らしてしまうようなおそれを防止することができる。しかも、抜け止め手段を構成する切欠部43Aに突起17Aが検査時の水圧によって強く食い込んでいても、当該食い込み力を減退若しくは消失させることができ、これにより、治具本体41を循環アダプター13から容易に抜き出すことが可能となる。
【0033】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施例に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施例に対し、形状、位置、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、位置などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0034】
例えば、図4に示されるように、軸部45の外周部分に、当該軸部45の軸線方向と交わる方向に突出部60を設けて略T字状とし、この突出部60の軸線領域を含んで前記屈曲通路47Aを形成してもよい。ここで、突出部60の突出高さは、例えば、人差し指や中指程度の一本の指を軸部45の軸線方向に沿って引っ掛けることができる程度にすることが好ましい。
【0035】
また、図5に示されるように、軸部45に屈曲軸部45Aを設けて略L字状とし、この屈曲軸部45Aの軸線領域を含んで屈曲通路47Aを形成することでもよい。この際、屈曲軸部45の長さは、手の平を引っ掛けることができる程度に設けることが好ましく、これにより、屈曲軸部45Aを操作用のレバーに類似した態様で利用することができ、治具40の着脱作業を容易に行うことができる。
【0036】
更に、前記軸部45は、丸軸状に限らず、例えば四角柱状等、その他の多角形状であってもよい。
【0037】
また、前記雌ねじ49又は雄ねじ52に、ねじ山を跨る方向に延びる溝を設けておくことも可能であり、これにより、閉塞部材42を治具本体41から取り外さない状態でも、通路47内の水を流出させることもできる。更に、図4及び図5において、雌ねじ49は治具本体41側に設けられているが、治具本体41側を雄ねじを設ける一方、閉塞部材42を袋ナット状にして当該閉塞部材42に雌ねじを設けることでもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、閉塞部材を取り外して通路内の水を排出させることができ、この排出を、治具本体の特定の位置に限定することによって、水抜き作業に際して作業者の衣類を濡らしてしまうような不都合を解消することができる。
【0039】
また、検査終了後において、水に加えられた圧力で治具本体が循環アダプターから抜き出し難い状態となっていても、閉塞部材を治具本体から取り外すことで、通路内の水を抜き出して水圧を降下させることができるので、抜け止め手段による抜け止めが強い食い込みによって行われていても、これを容易に解除して治具を循環アダプターから抜き出すことができる。
【0041】
また、前記軸部をL字状又はT字状に設けた構成により、循環アダプターに対する治具の装着作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の漏水検査用治具が適用される浴槽の循環アダプター回りの概略断面図。
【図2】 前記循環アダプターに漏水検査用治具の治具本体を装着した状態の概略断面図。
【図3】 図2の一部分解視図。
【図4】 前記実施例の変形例を示す断面図。
【図5】 前記実施例の更に異なる変形例を示す断面図。
【符号の説明】
10…浴槽、11…側壁、13…循環アダプター、15…追焚き用配管、15A…導出管、15B…導入管、17A…突起(抜け止め手段)、40…漏水検査用治具、41…治具本体、42…閉塞部材、43A…切欠部(抜け止め手段)47…通路、49…雌ねじ、52…雄ねじ、60…突出部、P…パッキン

Claims (2)

  1. 浴槽の内外に連通する循環アダプターと、この循環アダプターに接続されて浴槽の湯を浴槽外へ導出する導出管及び浴槽内に湯を導入する導入管を含む追焚き用配管を備えた浴槽用配管の漏水検査用治具において、
    前記浴槽の内側から前記循環アダプターに抜け止め手段を介して装着されるとともに、当該循環アダプターに装着された状態で前記追焚き用配管に連通する通路を有する治具本体と、当該治具本体に取り付けられて前記通路を閉塞する閉塞部材とを備え、
    前記治具本体は浴槽内に突出する軸部を含み、この軸部の外周部分に前記循環アダプターから取り出すときに指を引っ掛けて引き抜き力を強く作用せしめることが可能な突出部を設け、この突出部の先端に前記閉塞部材が着脱自在に設けられていることを特徴とする浴槽用配管の漏水検査用治具。
  2. 前記軸部が略L字状又は略T字状であることを特徴とする請求項記載の浴槽用配管の漏水検査用治具。
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