JP3766589B2 - 光半導体素子収納用パッケージ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体レーザ(LD),フォトダイオード(PD)等の光半導体素子を収納する光半導体素子収納用パッケージに関し、特に光半導体素子を気密に封止し、かつ光半導体素子と光信号の授受を行なうための光ファイバが設けられたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の光半導体素子収納用パッケージ(以下、光半導体パッケージという)を図2に示す。同図のように、光半導体パッケージは、上面にLD,PD等の光半導体素子5が載置される載置部1aを有するFe−Ni−Co合金やCu−W合金等から成り、略四角形の板状体である基体1と、載置部1aを囲繞するようにして基体1上にAgロウ等のロウ材を介して取着され、光信号の授受を行なうための貫通孔2aを有する枠体2と、枠体2の上面に接合されて光半導体素子5を気密封止する蓋体4とから主に構成されている。
【0003】
また、枠体2の側部には、枠体2の貫通孔2aに嵌入接合されて光ファイバ6を固定するための筒状の固定部材3が設けられており、その固定部材3の内部に集光レンズ等用の透光性部材3aが取着されている。さらに、枠体2の他の側部には図示しない貫通孔または切り欠きが形成され、その貫通孔または切り欠きから成る取付部に、光半導体素子5に駆動用の高周波信号を入出力させるためのセラミック端子(フィードスルー端子)(図示せず)が取り付けられている。そのセラミック端子は、枠体2の内外を導出するメタライズ層から成る線路導体を有し、その線路導体の枠体2の外側の部位に外部リード端子が接続されている。
【0004】
そして、基体1の載置部1aに回路基板等を搭載した基台8を介して光半導体素子5を接着固定すると共に、光半導体素子5の各電極をボンディングワイヤを介してセラミック端子の線路導体に接続することにより外部リード端子に電気的に接続し、次に、枠体2の上面に蓋体4を取着させ、基体1と枠体2と蓋体4とから成る容器内部に光半導体素子5を収容し、最後に、固定部材3に、光ファイバ6の端部に取着された、ステンレススチール(以下、ステンレスという)から成るフランジ7をYAGレーザ光の照射によるレーザ溶接によって接合させ、光ファイバ6を枠体2に固定することによって、製品としての光半導体装置となる。
【0005】
かかる光半導体装置は、外部電気回路から供給される駆動信号によって光半導体素子5に光を励起させ、励起された光を光ファイバ6を介して外部に伝達することによって高速光通信等に使用されるものとして機能する。
【0006】
なお、このような光半導体パッケージは、基体1や枠体2の表面に予めAuメッキが施されており、基体1や枠体2の酸化腐食を有効に防止するとともに、光半導体素子5を載置部1aに強固に接合することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の光半導体パッケージにおいては、固定部材3は、サファイア{熱膨張係数約7×10-6(1/℃)}等から成る透光性部材3aとの熱膨張係数の整合を考慮して、Fe−Ni−Co合金{熱膨張係数約4.7×10-6(1/℃)(室温〜400℃)},Fe−Ni合金{熱膨張係数約5×10-6〜10×10-6(1/℃)(室温〜400℃)}から成り、またフランジ7は溶接性に優れたステンレスから成っているが、フランジ7をYAGレーザ光の照射によるレーザ溶接によって固定部材3に接合させる際、Fe−Ni−Co合金やFe−Ni合金は溶接性が悪いため、固定部材3の溶接部にクラックが発生するという問題点を有していた。
【0008】
また、透光性部材3aは、金(Au)−錫(Sn)等の低融点ロウ材により固定部材3の内部に接合され、光半導体パッケージを気密封止するものであるが、透光性部材3aと固定部材3は熱膨張係数が極端に異ならないように整合させてある。しかし、固定部材3は、その内部に透光性部材3aをロウ材を介して取着する際の歪み(残留応力)が残留した状態のまま枠体2に取着されており、その結果固定部材3のフランジ7が接合される外側端面は変形している。このため、光ファイバ6を精度良く固定することが困難になるとともに、フランジ7を溶接する工程の作業性が低下するという問題点を有していた。
【0009】
また、固定部材3の外側端面にAuメッキ膜を施していると、Auメッキ膜がレーザ光を反射してしまい、フランジ7を固定部材3に強固に接合させることが困難になる。従って、固定部材3の外側端面のAuメッキ膜を予め除去しておかなければならなかった。この手段として、固定部材3にAuメッキを施した後、従来周知の機械的研磨や切削加工によりAuメッキ膜を除去する等の対策がとられていた。しかしながら、前述のように固定部材3が変形しているため、精度良く加工することができず、フランジ7を溶接する工程の作業性を悪化させ、光ファイバ6を精度良く固定することが困難になるという問題点を有していた。
【0010】
そこで、固定部材3を溶接性に優れたステンレスで作製することも考えられるが、ステンレスの低融点ロウ材による接合時の温度(400℃程度)における熱膨張係数は、11×10-6〜19×10-6(1/℃)であり、透光性部材3aの熱膨張係数は、6×10-6〜8×10-6(1/℃)とかなり異なっている。このため、固定部材3に透光性部材3aを低融点ロウ材で接合する際、大きな応力が透光性部材3aに加わり、透光性部材3aにクラックが発生し、光半導体パッケージを気密に封止することができなくなっていた。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑み案出されたもので、その目的は、光ファイバを枠体に強固かつ精度良く固定することによって、光半導体素子から励起された光を光ファイバを介し外部に良好に伝達することができるものを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、上面に光半導体素子が載置される載置部を有する基体と、側部に貫通孔を有するとともに前記基体の上面に前記載置部を囲繞するように取着された枠体と、外側端部に光ファイバの端部が接合され内部に透光性部材を有して前記貫通孔に挿着された筒状の固定部材とを具備した光半導体素子収納用パッケージにおいて、前記固定部材は、Fe−Ni−Co合金またはFe−Ni合金から成る筒状の本体部と、該本体部の前記枠体内部側端部にロウ付けされ、熱膨張係数が前記本体部の熱膨張係数より大きい前記透光性部材と、前記本体部の外側端面にロウ付けされるとともに、光ファイバの端部に取付けられたフランジが溶接されるステンレススチールから成る環状部材とから成り、前記透光性部材のロウ付け位置と前記外側端面との間で前記本体部の外周面が前記貫通孔に挿着されていることを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記の構成により、環状部材をステンレスとし、固定部材の本体部をFe−Ni−Co合金またはFe−Ni合金で作製したため、環状部材の熱膨張係数は、本体部の熱膨張係数{約4.7×10−6〜10×10−6(1/℃)(室温〜400℃)}よりも大きいものとなる。これにより、環状部材と本体部をAgロウ等のロウ材で接合した際、環状部材のフランジ接合面が凹となる応力が働く。そこで、本発明では、透光性部材の熱膨張係数が本体部の熱膨張係数{約4.7×10−6〜10×10−6(1/℃)(室温〜400℃)}より大きいものとする。これにより、本体部と透光性部材をAu−Sn等の低融点ロウ材で接合した際、透光性部材の非接合面側が凹となる応力が働く。つまり、固定部材の両端部でそれぞれ中心軸方向に働く応力が発生し、これらの応力は、本体部を枠体に接合した接合面を支点として働くため、互いに相殺されることになる。これにより、固定部材の変形を抑えることができる。従って、環状部材のフランジ接合面のAuメッキを除去する際、精度良く加工することが容易になり、精度良くかつ強固に光ファイバを固定することができ、光学特性の優れた光半導体装置を製造することができる。
【0015】
また、ステンレスから成る環状部材としたため、環状部材が溶接性に優れることとなり、光ファイバが固定されたフランジを溶接する際、溶接部にクラックが発生することがなくフランジを強固に接合することができる。さらに、ステンレスは耐蝕性に優れているため、Auメッキを除去した後においても固定部材の腐蝕を抑制することができる。
【0016】
本発明は、好ましくは、前記固定部材の本体部の前記枠体から外側への突出長さが0.5mm以上であることを特徴とする。
【0017】
本発明は、上記の構成により、フランジを溶接により固定した際、溶接による熱応力が透光性部材に伝わらず、透光性部材にクラックが発生するのを有効に防止できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の光半導体パッケージについて以下に詳細に説明する。図1は本発明の光半導体パッケージの断面図であり、本発明の光半導体パッケージは、上面にLD,PD等の光半導体素子5が載置される載置部1aを有するFe−Ni−Co合金,Cu−W合金等から成り、略四角形の板状体である基体1と、載置部1aを囲繞するようにして基体1上にAgロウ等のロウ材を介して取着され、光信号の授受を行なうための貫通孔2aを有する枠体2と、枠体2の上面に接合されて光半導体素子5を気密封止する蓋体4とから主に構成されている。
【0019】
また、枠体2の側部には、枠体2の貫通孔2aに嵌入接合されて光ファイバ6を固定するための筒状の固定部材3が設けられており、その固定部材3の内部に集光レンズ等用の透光性部材3aが取着されている。さらに、枠体2の他の側部には図示しない貫通孔または切り欠きが形成され、その貫通孔または切り欠きから成る取付部に、光半導体素子5に駆動用の高周波信号を入出力させるためのセラミック端子(フィードスルー端子)(図示せず)が取り付けられている。そのセラミック端子は、枠体2の内外を導出するメタライズ層から成る線路導体を有し、その線路導体の枠体2の外側の部位に外部リード端子が接続されている。
【0020】
そして、基体1の載置部1aに回路基板等を搭載した基台8を介して光半導体素子5を接着固定すると共に、光半導体素子5の各電極をボンディングワイヤを介してセラミック端子の線路導体に接続することにより外部リード端子に電気的に接続し、次に、枠体2の上面に蓋体4を取着させ、基体1と枠体2と蓋体4とから成る容器内部に光半導体素子5を収容し、最後に、固定部材3に、光ファイバ6の端部に取着された、ステンレスから成るフランジ7をYAGレーザ光の照射によるレーザ溶接によって接合させ、光ファイバ6を枠体2に固定することによって、製品としての光半導体装置となる。
【0021】
本発明の基体1は、鉄−ニッケル−コバルト合金や銅−タングステンの焼結材等から成り、そのインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施したり、射出成形と切削加工を施すことによって所定の形状に製作される。その上面の略中央部には、IC、LSI、半導体レーザー(LD)、フォトダイオード(PD)等の光半導体素子5を基台8を介して載置するための載置部1aが設けられており、載置部1aには光半導体素子5が半田等の接合材により載置固定される。光半導体素子5は、その電極がセラミック端子に被着形成されている線路導体にボンディングワイヤ等を介して電気的に接続されている。
【0022】
基体1は、その表面に耐蝕性に優れかつロウ材の濡れ性に優れる金属、具体的には0.5〜9μmのNi層と、厚さ0.5〜5μmのAu層を順次メッキ法により被着させておくと、基体1の酸化腐蝕するのを有効に防止できる。
【0023】
また、基体1の上面の外周部には載置部1aを囲繞するようにして枠体2が立設されており、枠体2は基体1とともにその内側に光半導体素子5を収容する空所を形成する。枠体2は基体1と同様に鉄−ニッケル−コバルト合金や銅−タングステンの焼結材等の金属から成り、基体1と一体成形されることによって、または、基体1に銀ろう等のろう材を介してろう付けされたり、シーム溶接法等の溶接法により接合されることによって基体1の上面の外周部に立設される。
【0024】
枠体2は、その表面に耐蝕性に優れかつロウ材の濡れ性に優れる金属、具体的には0.5〜9μmのNi層と、厚さ0.5〜5μmのAu層を順次メッキ法により被着させておくと、枠体2の酸化腐蝕するのを有効に防止できる。
【0025】
枠体2の側面には取付部が形成され、この取付部には、光半導体素子5と外部電気回路との高周波信号の入出力を行なう機能を有するとともに、光半導体パッケージの内外を遮断する機能を有するセラミック端子が、これに設けられているメタライズ層を介してAgロウ等のロウ材で接合される。
【0026】
また、枠体2は、その側面に貫通孔2aが設けられており、この貫通孔2aに筒状の固定部材3が挿入固定されている。
【0027】
この固定部材3は、Agロウ等のロウ材により気密に封止されており、光ファイバ6が光半導体素子5と対向するようにフランジ7を介して接合され、これにより光ファイバ6と光半導体素子5との間で光信号の授受が行い得るようになっている。
【0028】
また、固定部材3は枠体2に固定されるFe−Ni−Co合金あるいはFe−Ni合金からなる本体部3bとフランジ7に固定されるステンレスからなる環状部材3cからなる。本体部3bと環状部材3cは、Agロウ等のロウ材で接合される。
【0029】
固定部材3は、その表面に耐蝕性に優れかつロウ材の濡れ性に優れる金属、具体的には0.5〜9μmのNi層と、厚さ0.5〜5μmのAu層を順次メッキ法により被着させておくと、枠体2の酸化腐蝕を有効に防止できる。また、固定部材3の光半導体パッケージ内部側の端部には、透光性部材3aが例えばAu−Sn合金等からなる低融点ロウ材を介して接合されている。
【0030】
この透光性部材3aは、例えばサファイアや非晶質ガラス等からなり、従来周知のMo−Mnメタライズ及びその表面に施されたNi,Auメッキ層や、Ti−Pt−Au等の構成から成る薄膜層が、本体部3bとの接合部に形成されている。さらに、透光性部材3aの光信号透過部には、透過する光信号の波長に合わせて適宜選択された反射防止膜が施されている。
【0031】
また、環状部材3cをステンレスとし、固定部材3の本体部3bをFe−Ni−Co合金またはFe−Ni合金で作製しているため、環状部材3cの熱膨張係数は、本体部3bの熱膨張係数{約4.7×10-6〜10×10-6(1/℃)(室温〜400℃)}よりも大きいものとなる。これにより、環状部材3cと本体部3bをAgロウ等のロウ材で接合した際、環状部材3cのフランジ7との接合面が凹となる応力が働く。従って、本発明では、透光性部材3aの熱膨張係数が本体部3bの熱膨張係数{約4.7×10-6〜10×10-6(1/℃)(室温〜400℃)}より大きいものとするのがよく、これにより、本体部3bと透光性部材3aをAu−Sn等の低融点ロウ材で接合した際、透光性部材3aの非接合面側が凹となる応力が働く。
【0032】
つまり、固定部材3の両端部でそれぞれ中心軸方向に働く応力が発生し、これらの応力は、本体部3bを枠体2に接合した接合面を支点として働くため、互いに相殺されることになる。これにより、固定部材3の変形を抑えることができる。従って、環状部材3cのフランジ7との接合面のAuメッキを除去する際、精度良く加工することが容易になり、精度良くかつ強固に光ファイバ6を固定することができ、光学特性の優れた光半導体装置を製造することができる。
【0033】
また、環状部材3cをステンレス製としたため、ステンレスは溶接性に優れているので、光ファイバ6が固定されたフランジ7を溶接する際、溶接部にクラックが発生することがなく、フランジ7を強固に接合することができる。さらに、ステンレスは耐蝕性に優れているため、Auメッキを除去した後においても、固定部材3の腐蝕を抑制することができる。
【0034】
また、環状部材3cをステンレス製としたため、ステンレスは加工性に優れているため、環状部材3cのフランジ7固定面側のAuメッキを除去することが容易になり、また精度良く加工できる。また、ステンレスはバリが生じにくく、大きな面取りを施す必要がない。これにより、環状部材3cのフランジ7との接合面側の外周角部をシャープに仕上げることが容易に行える。従って、環状部材3cの外周部とフランジ7の外周部との隙間を小さくできる。従って、環状部材3cとフランジ7との溶接が容易に行えるようになり、また強固に固定することが容易になる。
【0035】
また、本体部3bの内面の幅(円筒形の場合内径)と環状部材3cの内径は異なっていることが好ましい。これにより本体部3bと環状部材3cにズレが生じた場合、光信号が遮断されることを有効に防止できる。
【0036】
図3は、環状部材3cの本体部3bに対する接合部の面積を本体部3bの外側端面の面積より小さくした構成であって、本体部3bの内面の幅(円筒形の場合内径)と環状部材3cの内径とが異る場合(a)、本体部3bの外面の幅(円筒形の場合外径)と環状部材3cの外径とが異なる場合(b)、本体部3bの内面の幅(円筒形の場合内径)と環状部材3cの内径とが異りかつ本体部3bの外面の幅(円筒形の場合外径)と環状部材3cの外径とが異なる場合(c)について示したものである。
【0037】
図3の(a)は、本体部3bの外面の幅w2と環状部材3cの外径w4とが略等しく、環状部材3cの内径w3が本体部3bの内面の幅w1よりも大きくなっている構成であり、この場合、本体部3bと環状部材3cとを接合した際に接合誤差が生じても光軸に対する影響がほとんどないとともに、接合面積が小さいことから、本体部3bに加わる応力を小さくすることができる。
【0038】
(b)は、本体部3bの内面の幅w1と環状部材3cの内径w3とが略等しく、環状部材3cの外径w4が本体部3bの外面の幅w2よりも小さくなっている構成であり、この場合、接合面積が小さいことから、本体部3bに加わる応力を小さくすることができる。
【0039】
(c)は、本体部3bの内面の幅w1より環状部材3cの内径w3が大きく、かつ本体部3bの外面の幅w2より環状部材3cの外径w4が大きい構成であり、この場合、本体部3bと環状部材3cとを接合した際に接合誤差が生じても光軸に対する影響がほとんどないとともに、接合面積が小さいことから、本体部3bに加わる応力を小さくすることができる。また、(b)の構成では、レーザ溶接した際に溶融した環状部材3cのステンレス材が本体部3bと環状部材3cとの段差部に付着し、光半導体パッケージに光半導体素子5を収納して外部の実装基板に実装した後に、段差部に付着していたステンレス材が実装基板上に落ちて配線間や他の電子部品の端子間をショートさせるといった問題が発生する場合があるが、(c)の構成では、溶融し固化した環状部材3cのステンレス材を容易に除去でき、実装基板の他の部品に影響を及ぼすことが防止できる。
【0040】
さらに、本体部3bと環状部材3cを貫通孔2aに固定する際、クリアランスを出来るだけ小さくし嵌合させることが好ましく、予め精度良く嵌合させておくことによって、精度良く接合できる。
【0041】
環状部材3cの厚さは、0.5〜1.5mmの範囲が好ましい。環状部材3cの厚さを0.5mm未満とした場合、環状部材3cとフランジ7をYAGレーザ光により溶接固定する際、環状部材3c全体が容易に溶融してしまい、溶接強度が低下し易くなる。このため、光ファイバ6を強固に固定することが困難になる。また、環状部材3cの厚さが1.5mmを超えると、環状部材3cと本体部3bをロウ付け固定する際の応力が大きくなり、固定部材3が変形することになる。このため、光ファイバ6を強固に固定することが困難になる。
【0042】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や改良を加えることは何ら差し支えない。例えば、基体1及び枠体2がアルミナセラミックスや窒化アルミニウムセラミックス等のセラミックスから成り、一体的に形成されたものであっても良い。
【0043】
【発明の効果】
本発明は、枠体の側部に設けられた光ファイバの固定部材は、Fe−Ni−Co合金またはFe−Ni合金から成る筒状の本体部と、本体部の枠体内部側端部にロウ付けされ、熱膨張係数が本体部の熱膨張係数より大きい透光性部材と、その本体部の外側端面にロウ付けされるとともに、光ファイバの端部に取り付けられたフランジが溶接されるステンレススチールから成る環状部材とから成ることにより、環状部材と本体部をAgロウ等のロウ材で接合するとともに、透光性部材と本体部をAu−Sn等の低融点ロウ材で接合した際、これらの接合時に発生する応力が互いに相殺されることとなり、透光性部材に大きな応力が加わることはなく、透光性部材にクラック等が発生することが防止される。
【0044】
また、ステンレスから成る環状部材としたため、環状部材が溶接性に優れることとなり、光ファイバが固定されたフランジを溶接する際、溶接部にクラックが発生することがなくフランジを強固に接合することができる。さらに、ステンレスは耐蝕性に優れているため、Auメッキを除去した後においても固定部材の腐蝕を抑制することができる。
【0045】
本発明は、好ましくは固定部材の本体部の枠体から外側への突出長さが0.5mm以上であることにより、フランジを溶接により固定した際、溶接による熱応力が透光性部材に伝わらず、透光性部材にクラックが発生するのを有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光半導体パッケージの断面図である。
【図2】従来の光半導体パッケージの断面図である。
【図3】(a)〜(c)は、本発明の固定部材の本体部と環状部材との接合構造について各種実施の形態を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
1:基体
1a:載置部
2:枠体
2a:貫通孔
3:固定部材
3a:透光性部材
3b:本体部
3c:環状部材
4:蓋体
5:光半導体素子
6:光ファイバ
Claims (2)
- 上面に光半導体素子が載置される載置部を有する基体と、側部に貫通孔を有するとともに前記基体の上面に前記載置部を囲繞するように取着された枠体と、外側端部に光ファイバの端部が接合され内部に透光性部材を有して前記貫通孔に挿着された筒状の固定部材とを具備した光半導体素子収納用パッケージにおいて、前記固定部材は、Fe−Ni−Co合金またはFe−Ni合金から成る筒状の本体部と、該本体部の前記枠体内部側端部にロウ付けされ、熱膨張係数が前記本体部の熱膨張係数より大きい前記透光性部材と、前記本体部の外側端面にロウ付けされるとともに、光ファイバの端部に取り付けられたフランジが溶接されるステンレススチールから成る環状部材とから成り、前記透光性部材のロウ付け位置と前記外側端面との間で前記本体部の外周面が前記貫通孔に挿着されていることを特徴とする光半導体素子収納用パッケージ。
- 前記固定部材の本体部の前記枠体から外側への突出長さが0.5mm以上であることを特徴とする請求項1記載の光半導体素子収納用パッケージ。
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