JP3766578B2 - 写真測量用画像処理装置およびこの写真測量用画像処理装置を用いた写真測量方法 - Google Patents
写真測量用画像処理装置およびこの写真測量用画像処理装置を用いた写真測量方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は写真測量における写真測量用画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
写真測量は地図の作成に広く使用されているが、交通事故の現場検証等の局所的な状況の記録においても極めて有効な手段として活用されている。近年では従来のステレオカメラを用いた写真測量方法に代わって単眼のカメラによる写真測量方法が提案され、この写真測量方法によると撮影位置の自由度を向上させるとともに簡易機材による効率的な写真測量を実現できる。
【0003】
具体的には、被写体およびその近傍のターゲットについて、任意の異なる2方向、例えば2つの撮影位置を結ぶ基線より前方で双方の光軸が交わりかつそれら光軸の成す角が180度未満となるように撮影を行う。そして、専用の画像処理装置においてこれら2画像をモニタに並列して表示し、マウス等を用いたマニュアル作業により双方の画像に共通に写し込まれた被写体上の測量点が特定され、その3次元座標が算出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
マニュアル作業においては、双方の画像においてそれぞれ撮影位置を考慮しつつ対応する測量点を見出し指定しなければならないため、熟練したオペレータにとっても非常に煩雑な作業である。
【0005】
従来では、例えば同一の被写体およびターゲットについて、ターゲットの左側、右側の順に撮影する等の撮影手順を予め定めておき、得られた画像を撮影順にモニタ画面の左方および右方に表示している。即ちモニタ画面の左方には左方から撮影した画像が、右方には右方から撮影した画像が常に表示され、これにより立体視に近い状態となり、測量点を見出し易くなる。
【0006】
しかし、上述の撮影手順を踏まえてかつ測量精度や撮影範囲を考慮しながら撮影を行う作業はオペレータにとって負担が大きく、また撮影の自由度が狭められていた。
【0007】
本発明はこのような従来の問題点を解消すべく創案されたもので、写真測量において撮影の自由度を阻害することなく、かつ測量点指定のマニュアル作業を大幅に効率化することが目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る写真測量用画像処理装置は、所定位置のターゲットを共通に含む第1画像および第2画像についてそれぞれターゲットに対する撮影点の相対位置を算出し第1カメラ位置および第2カメラ位置として特定するカメラ位置算出手段と、第1および第2カメラ位置に対応して第1および第2画像のいずれか一方の画像をモニタ画面の左画像表示領域に表示しかつ他方の画像をモニタ画面の左画像表示領域の水平方向の右側に並列した右画像表示領域に表示する表示手段とを備えることを特徴としている。
【0009】
写真測量用画像処理装置は、さらに水平面におけるターゲットに対する第1および第2カメラ位置の第1および第2ベクトルを算出するベクトル算出手段と、第1ベクトルに対する第2ベクトルの外積を算出する外積算出手段と、外積の正負に基づいて第1および第2画像の表示位置を決定する表示位置決定手段とを備えていてもよい。表示位置決定手段は、具体的には、外積が正の場合に、第1画像の表示位置を左画像表示領域にかつ第2画像の表示位置を右画像表示領域に定める。
【0010】
また、本発明に係る写真測量方法は、被写体と所定位置のターゲットとを異なる方向から撮影して第1および第2画像を得る第1ステップと、写真測量用画像処理装置を用いて第1および第2カメラ位置を特定し第1および第2画像をモニタ画面に水平方向に並列して表示する第2ステップと、モニタ画面上の第1および第2画像について被写体上の測量点に対応する第1像点および第2像点をそれぞれ特定する第3ステップと、第1および第2カメラ位置と第1および第2像点とに基づいて測量点の3次元座標を算出する第4ステップと、測量点の3次元座標に基づいて測量図を作成する第5ステップとを備えることを特徴としている。ここで用いられる写真測量用画像処理装置は、第1画像および第2画像についてそれぞれターゲットに対する撮影点の相対位置を算出し第1カメラ位置および第2カメラ位置として特定するカメラ位置算出手段と、第1および第2カメラ位置に対応して第1および第2画像のいずれか一方の画像をモニタ画面の左画像表示領域に表示しかつ他方の画像をモニタ画面の左画像表示領域の水平方向の右側に並列した右画像表示領域に表示する表示手段とを備える。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に本発明に係る写真測量用画像処理装置およびこの写真測量用画像処理装置を用いた写真測量方法の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は実施形態である写真測量の撮影状況を示す図であり、測量対象である道路の外形RGおよび白線RWを鉛直上方から見た水平面図である。同図には、撮影点を示すカメラ位置M1〜11が黒丸点で示され、各カメラ位置M1〜11は図示しない単一の写真測量用カメラに設けられた撮影光学系の後側主点位置に一致する。カメラ位置M1〜11からそれぞれ伸びる矢印は撮影光学系の光軸の方向を示している。
【0013】
写真測量においては同一の測量対象に対して異なる2方向からの撮影が連続して行われる。詳述すると、例えば測量対象がT字路の場合、このT字路の右側のカメラ位置M1から撮影が開始され、次に左側のカメラ位置M2からT字路が撮影される。カメラ位置M1およびM2で得られた2フレーム分の画像は1組のペア画像(ペア1)として定義され、図中RP1で示される位置に置かれたターゲット10を共通に写し込んでいる。
【0014】
続いて、ターゲット10はターゲット位置RP1からRP2へ移動させられ、カメラ位置M3における撮影が行われる。そしてターゲット10は再びターゲット位置RP1に戻され、カメラ位置M4〜M7からの撮影が行われる。戻されたターゲット10の位置を区別するためにここではターゲット位置RP3として定義する。
【0015】
基本的に、1つの測量対象に対して任意の異なる2つのカメラ位置からの撮影が行われる。具体的には2つのカメラ位置を結ぶ基線より前方で双方の光軸が交わり、かつそれら光軸の成す角が180度未満となるように撮影を行う。しかし、実際には以前行った異なる測量対象の撮影を忘れたり、写真測量に直接関係ない被写体を撮影する状況が起こり得るため、この場合にはターゲット10を移動して撮影を行う。即ち、図1に示す撮影では、カメラ位置M1およびM2の撮影後に、カメラ位置M3において1フレームだけこの測量に関係のない画像が得られる。
【0016】
続いて、ターゲット10はターゲット位置RP3からRP4へ順次移動させられ、カメラ位置M8〜M11の4箇所からの撮影が行われる。
【0017】
図2は、カメラ位置M1〜M11の撮影により得られた画像を概念的に示す図である。カメラ位置M1〜M11に対応する画像はそれぞれIM1〜11で示している。画像IM1〜11は、図中矢印の順、即ち撮影順に従ってICメモリカード等の画像記録媒体に電子情報、即ちデジタル画素データとして記録される。各画像のデジタル画素データには、画像番号(撮影順に1〜11が付される)、画像名(ここでは便宜上符号で示す)およびターゲット位置RPに関する情報が併せられ、各画像に対応した測量画像データが生成され、この測量画像データが画像記録媒体に格納される。
【0018】
後述する写真測量用画像処理装置においては、ターゲット位置RPに関する情報に基づいて、同一位置のターゲット10が写し込まれている画像が1つのグループとして定義付けられる。詳述すると、ターゲット10がターゲット位置RP1に置かれた時に得られた画像IM1およびIM2は第1グループに定義され、同様に、ターゲット位置RP2に対応する画像IM3が第2グループに、ターゲット位置RP3に対応する画像IM4〜IM7が第3グループに、ターゲット位置RP4に対応する画像IM8〜IM11が第4グループに定義される。
【0019】
また、水平面において1つの測量対象に関して右方および左方から撮影された2枚の画像はペア画像として定義される。即ち、画像IM1およびIM2がペア1、画像IM4およびIM5がペア2、画像IM6およびIM7がペア3、画像IM8およびIM9がペア4、画像IM10およびIM11がペア5に定められ、この測量では5組のペア画像が得られる。
【0020】
1組のペア画像、例えばペア1の画像IM1およびIM2はモニタ画面に並列して表示され、マウス等を用いたマニュアル作業により、被写体上の測量点が双方の画像IM1およびIM2に投影された像点がそれぞれ特定され、測量点の3次元座標が算出される。このとき、対応する像点を目視により見出す作業においては双方の画像IM1、IM2のカメラ位置M1、M2を常に想定しなければならず、非常に煩わしい。
【0021】
そこで、本実施形態においてはモニタ画面の左側には左方から撮影した左画像(画像IM2)を、右側には右方から撮影した右画像(画像IM1)を表示する。これにより立体視に近い状態となり、対応する像点を見出し易くなる。
【0022】
図3を参照して、画像IM1および画像IM2を右画像または左画像に選定する原理を説明する。図3は水平面におけるターゲット10と各カメラ位置M1、M2との相対位置関係を概念的に示す図である。
【0023】
ターゲット10は、水平方向に伸びる2本の柱部材12、14を備え、これら2本の柱部材12、14は互いに連結される端部16において直角を形成している。ターゲット10には右手系の3次元座標直交座標系である基準座標系(X,Y,Z)が設定され、その原点は端部16に設けられた基準点(図中白丸で示す)に定められる。X軸は端部16の基準点および柱部材14に沿って設けられた3個の基準点を通る直線に一致し、Z軸は端部16の基準点および柱部材12に沿って設けられた2個の基準点を通る直線に一致する。2本の柱部材12、14が水平方向に伸びているので、X−Z平面は実質的に水平面とみなされ、Y軸は鉛直方向に一致するとみなされる。なお、Y軸の+方向は鉛直上方である。
【0024】
カメラ位置M1は、ターゲット10に対する相対3次元位置、即ち基準座標系(X,Y,Z)における基準座標(ΔX1 ,ΔY1 ,ΔZ1 )で表され、同様に、カメラ位置M2は基準座標(ΔX2 ,ΔY2 ,ΔZ2 )で表される。なお、各カメラ位置におけるカメラ20の光軸は、一点鎖線の矢印CL1 およびCL2 で示される。
【0025】
ここで、水平面、即ちX−Z平面における原点に対するカメラ位置M1のベクトル(ΔX1 ,ΔZ1 )を第1ベクトルVec1に定義し、同様に原点に対するカメラ位置M2の第2ベクトルVec2(ΔX2 ,ΔZ2 )を定義する。このとき第1ベクトルVec1に対する第2ベクトルVec2の外積Gは、(1)式により求められる。
【0026】
G=ΔZ1 ×ΔX2 −ΔX1 ×ΔZ2 ・・・(1)
【0027】
この外積Gは、第1ベクトルVec1および第2ベクトルVec2に垂直かつ右手系となる方向を有するベクトルである。ここでは外積Gは負となり、ベクトルの向きが(−Y)方向である、即ち第2ベクトルVec2が第1ベクトルVec1に対してY軸周りに時計回り方向の位置にあることが示される。従って、外積Gが負であることにより、水平面においてカメラ位置M2がカメラ位置M1より左方にあると判断でき、画像IM1が右画像に定められると共に画像IM2が左画像に定められる。
【0028】
このように、本実施形態においては、各ペア画像についてターゲット10に対するカメラ位置Mの3次元座標に基づいて外積Gを算出し、外積Gの正負に基づいて、右画像および左画像を定めている。従って、撮影時に必ず左方あるいは右方からペア画像を撮影するという手順を踏まなくてもよい。
【0029】
図4は、本実施形態の写真測量用画像処理装置の主要構成を示すブロック図である。写真測量用画像処理装置200は、装置全体の動作を制御するCPU210と、測量画像データをICメモリカード180から読取るためのカード読取装置212と、ペア画像および測量図を表示するモニタ装置214とを備える。また写真測量用画像処理装置200は、像点指定や種々の指示に用いるマウス216およびキーボード217を備える。CPU210、カード読取装置212、モニタ装置214、マウス216、プリンタ218およびスピーカ219は、直接または間接的にバス230に接続される。
【0030】
マウス216およびキーボード217にはバス230に接続された入力制御部226が接続され、マウス216およびキーボード217からの入力がバス230に転送され、またこれらの入力モード等が設定される。
【0031】
また、プリンタ218およびスピーカ219にはバス230に接続された出力制御部228が接続される。作成された測量図はプリンタ218により必要に応じて印刷される。スピーカ219は、マウス216およびキーボード217からの入力間違い等の警告音を発生し、オペレータに報知する。
【0032】
ICメモリカード180はカード読取装置212に挿入され、ICメモリカード180内に格納された画像IM1〜11に対応した測量画像データが装置内に適宜読み込まれる。なお、ICメモリカード180からの読み出し後、ICメモリカード180内に格納されていた測量画像データは消去され、測量画像データ読出しの重複を防止している。
【0033】
カード読取装置212の読込み動作および書込み動作は、バス230に接続された記録媒体制御部222により制御される。記録媒体制御部222にはハードディスク213が接続され、このハードディスク213にはICメモリカード180から読み込まれた測量画像データが格納される。なお、ハードディスク213内に格納された測量画像データや、作成された測量図のデータは必要に応じて光磁気ディスク215に記録される。
【0034】
バス230には表示メモリ242および作業メモリ244がそれぞれ接続される。表示メモリ242はモニタ装置214で表示すべき内容をデジタルデータとして保持し、バス230に接続された表示制御部224は保持されたデジタルデータをモニタ装置214のためのアナログRGB信号に変換する。作業メモリ244はCPU210による演算、処理におけるキャッシュメモリ等に使用される。
【0035】
CPU210は、入力状態管理部232、表示状態管理部234、演算処理部236およびデータ管理部238を備え、必要な管理、演算、処理を実行する。入力状態管理部232はマウス216およびキーボード217の設定を管理し、また入力された情報、例えばマウス216の座標、キーボード217から入力された文字等を所定のデジタルデータに変換する。表示状態管理部234はモニタ装置214に表示すべき内容を管理し、表示に関する設定の変更等があったときには表示内容を変更する。演算処理部236はぺア画像選択や測量図作成のための種々の演算処理に使用される。データ管理部238はICメモリカード180から読込んだデータ内容を管理し、また読み込まれたデータに基づいて作成された座標データ等を管理する。
【0036】
図5はCPU210において実行される写真測量画像処理プログラムのメインルーチンを示すフローチャートである。このメインルーチンは、写真測量画像処理プログラムの起動をマウス216等で指示することにより開始される。
【0037】
先ずステップS102において、測量画像データの読込み開始がマニュアルで指示され、カード読取装置212に装着されたICメモリカード180から、カメラ位置M1〜11における撮影により得られた測量画像データが読み込まれる。このとき、各測量画像データに含まれるデジタル画像データや画像番号、画像名およびターゲット位置RPに関する情報は作業メモリ244に格納され、ICメモリカード180から測量画像データが消去される。
【0038】
ステップS104〜ステップS108においては、カメラ位置M1〜11のそれぞれについて基準座標が算出される。詳述すると、ステップS104では画像数を示すパラメータjmaxには「11」が代入され、ループカウンタjには初期値1が代入される。ステップS106ではカメラ位置Mjの基準座標が算出され、作業メモリ244に格納される。ステップS108ではループカウンタjがjmaxに達したか否かが判定され、達していなければステップS110においてjが1インクリメントされてステップS106に戻る。これにより、全11画像についてのカメラ位置の基準座標が得られる。なお、カメラ位置の算出方法については公知であり、ここでは説明を省略する。
【0039】
全カメラ位置M1〜11の基準座標の算出が終了すると、ステップS200のペア編集サブルーチンが実行され、画像IM1〜11についてペアの組合せが決定されると同時に、各ペアについて左画像および右画像が決定される。
【0040】
ステップS200においてペアの組合せおよび左右画像が決定された後、ステップS112の測量図作成処理が実行され、各ペア画像に基づいて測量図が作成される。そして、作成された測量図および用いられた画像等のデータは、ステップS114においてハードディスク213に保存され、このメインルーチンは終了する。
【0041】
図6および図7は、ペア編集処理サブルーチン(ステップS200)におけるモニタ装置214の画面を概念的に示す図である。図6は初期状態を示し、図7はペアの組合せおよび左画像および右画像の決定が終了した状態を示す。
【0042】
モニタ画面の左方にはペア表示領域GDAが設定され、このペア表示領域GDAには画像IM1〜11の特徴を明示し得るものとして、オブジェクトOB1〜11が示される。このオブジェクトOB1〜11は画像IM1〜11に対応してそれぞれ生成され、例えば縮小画像である。2つのオブジェクトを1組のペアに決定することにより、対応する2画像がペア画像として定義される。なお、図6にはオブジェクトOB11は示されていないが、ペア表示領域GDAの右端に設けられたスクロールバーSRBの指示によってスクロール表示可能である。
【0043】
また、モニタ画面にはペアになり得ないオブジェクトをペア表示領域GDAから退避させるための一時退避表示領域TMPAや、警告や説明等を報知するためのメッセージ表示領域MDAが設けられ、さらにペア表示領域GDAおよび一時退避表示領域TMPA間でオブジェクトOB1〜11を移動するための第1移動ボタンMB1、第2移動ボタンMB2、第3移動ボタンMB3や、このペア編集処理を完了または中止するための完了ボタンCIBおよび中止ボタンCSBが設けられる。
【0044】
ペア表示領域GDAはペアとなりうる2個のオブジェクトは水平方向に並んで順に表示され、各ペアは垂直方向に図中上から順に並んで表示される。さらに、水平方向に並ぶ2個のオブジェクトについては、左画像になり得るオブジェクトがペア表示領域GDAの左側に設けられた左画像表示領域LDAに表示され、右画像になり得るオブジェクトがペア表示領域GDAの右画像表示領域RDAに表示される。
【0045】
図7に示す適正なペアの組合せおよび左右画像の決定は、以下のように行われる。まず、ICメモリカード180から画像IM1〜11を読み出し、画像番号に従ってその連続する2枚ずつの画像(オブジェクト)を仮のペアとする。そして、仮のペアとして対応付けられた2画像について、上述の原理に基づいてそれぞれ右画像および左画像が決定され、図6の初期画面に表示される。
【0046】
図6では、仮のペアとして、ペア1(OB1,OB2)、ペア2(OB3,OB4)、ペア3(OB5,OB6)、ペア4(OB7,OB8)およびペア5(OB9,OB10)が表示され、また左画像としてOB2、OB4、OB6、OB8およびOB9が選択され、右画像としてOB1、OB3、OB5、OB7およびOB10が選択されている。なお図示しないが、オブジェクトOB11はペアとなるべきオブジェクトはなく、左側に表示される。
【0047】
一般に撮影はペア画像を連続して撮影するのでこの仮のペアがそのまま適正な組合せになる可能性が高い。しかし、画像IM3のように撮影途中で関連した証拠写真を撮影する場合には、仮のペアは適正な組合せとならない。そこで、ターゲット位置RPに関する情報に基づいて、ペアを構成する2画像のグループ(ターゲット位置RP)が互いに異なる場合には、例えば破線TDLで2つのオブジェクトを囲むことによりオペレータに報知する。
【0048】
そこで、オペレータは図7に示すようにオブジェクトOB3をペア表示領域GDAから除去し、一時退避表示領域TMPAに退避させる。するとオブジェクトOB5が1つ上の段に繰り上がり、同様にOB7、OB9およびOB11がそれぞれ1つ上の段に繰り上がる。さらに、オブジェクトOB3を除く10個のオブジェクトについて各ペア毎に上述の原理に基づいて左右画像の判定が行われ、右画像および左画像が定められる。
【0049】
以上のようにして図7に示す適正なペアの組合せが実現し、ペア表示領域GDAにはペア1(OB1,OB2)、ペア2(OB4,OB5)、ペア3(OB6,OB7)、ペア4(OB8,OB9)およびペア5(OB10,OB11)が表示される。また、左画像としてOB2、OB5、OB6、OB8およびOB11が定められ、右画像としてOB1、OB4、OB7、OB9およびOB10が定められる。
【0050】
図7に示すようにペアの組合せおよび左右画像が適正である場合には、完了ボタンCIBが指示され、ペア表示領域GDAの表示内容に従ってペア画像の組合せが決定され、同時に左または右画像が決定される。即ち、ペア1において左画像が画像IM2、右画像が画像IM1に定義され、同様にペア2(左画像IM5,右画像IM4)、ペア3(左画像IM6,右画像IM7)、ペアP4(左画像IM8,右画像IM9)およびペア5(左画像IM11,右画像IM10)が定義付けられる。
【0051】
このように、仮のペアが自動的に組み合わせられ、またペアの状況を目視で確認しつつ、その編集を容易に行うことができるので、適正なペアの組合せを容易に実現し得る。また、左画像および右画像の決定はペアが編集される度に自動的に行われるので、オペレータはペアの組合せを行うだけでよく、作業を効率よく行える。
【0052】
図8〜図10を参照して、ペア編集処理を詳細に説明する。図8および図9は、ペア編集処理サブルーチン(ステップS200;図5)の詳細を示すフローチャートである。
【0053】
ここでは、ペア表示領域GDAに表示すべきオブジェクトに対応する画像名を示すリストとして「UseList」を設定し、さらにペア表示領域GDAに表示すべき順に並べたUseListの要素番号を示すリストとして「ThumbnailList」を設定している。また一時退避表示領域TMPAに表示すべきオブジェクトに対応する画像名のリストとして「UnUseList」を設定している。図10の(a)〜(d)は、図6および図7のペア編集処理におけるUseList、ThumbnailListおよびUnUseListの変遷を示す表である。
【0054】
UseListおよびUnUseListにおいて、ペア表示領域GDAまたは一時退避表示領域TMPAに表示すべきオブジェクトを先頭から順にカウントした値は「要素番号」として示される。同様に、ThumbnailListにおいて、ペア表示領域GDAに表示すべき順に並べられたUseList要素番号を先頭から順にカウントした値は「要素番号」として示される。
【0055】
ペア表示領域GDAには、ThumbnailListの要素番号順に対応するオブジェクトが上方から表示され、このときThumbnailListの要素番号が奇数の場合は対応するオブジェクトはペア表示領域GDAの左画像表示領域に、要素番号が偶数の場合は右画像表示領域に表示される。
【0056】
また、ペア表示領域GDAにおいてオブジェクトが指定された場合には、パラメータ「SelThumbnailNum」に指定されたオブジェクトに対応するThumbnailListの要素番号が格納されるとともに、パラメータ「UseSelNum」に指定されたオブジェクトのUseList要素番号が格納される。また一時退避表示領域TMPAにおいてオブジェクトが指定された場合には、パラメータ「UnUseSelNum」に指定されたオブジェクトのUnUseList要素番号が格納される。
【0057】
まず、ステップS202においてパラメータUseSelNumおよびUnUseSelNumに初期値0が代入される。次にステップS204において、図10(a)に示すように、UseListには初期値として画像名「IM1」〜「IM11」が書き込まれ、一方UnUseListは何も書き込まれない空の状態に初期化される。
【0058】
この段階では一時退避表示領域TMPAにはオブジェクトが存在しないため、ステップS206において、第2移動ボタンMB2および第3移動ボタンMB3は薄く表示される(ディスエーブル状態)。このディスエーブル状態では、第2移動ボタンMB2および第3移動ボタンMB3上でマウスクリックしても、オブジェクトの移動は行われない。
【0059】
次のステップS210においては左右画像決定サブルーチンが実行され、図3に示す原理に基づいて、仮のペアのそれぞれについて左画像および右画像が決定される。図10(b)には左右画像決定サブルーチン実行後のUseList、UnUseListおよびThumbnailListが示される。
【0060】
そして、ステップS240のペア表示領域表示更新サブルーチンでは、ステップS210で決定されたThumbnailListに基づいて、ペア表示領域GDAが表示更新され、ステップS260の一時退避表示領域表示更新サブルーチンでは、ステップS210で決定されたUnUseListに基づいて一時退避表示領域TMPAが表示更新される。
【0061】
図10(b)の初期状態においては、一時退避表示領域TMPAには何も表示されず、ペア表示領域GDAにはThumbnailListの要素番号順にオブジェクトOB1〜11が表示される(図6参照)。
【0062】
ペア表示領域GDAまたは一時退避表示領域TMPAのオブジェクトの表示が更新された後、ステップS282が実行され、UseListの要素数、即ちオブジェクトの数が偶数であるか否か判定される。要素数が偶数のときはペア編集処理の終了が許可されてステップS284へ進み、ここで完了ボタンはイネーブル状態とされる。要素数が奇数のときはペア編集処理の終了は許可されずステップS286へ進み、完了ボタンはディスエーブル状態とされる。
【0063】
ステップS284またはステップS286の実行後、ステップS288においてマウスクリックが検知されれば、さらにステップS290においてクリック場所が判定され、クリック場所に応じてそれぞれ分岐処理が実行される。即ち、クリック場所が完了ボタンCIBの場合にはステップS300、ペア表示領域GDAの場合にはステップS400、一時退避表示領域TMPAの場合にはステップS500、第1移動ボタンMB1の場合にはステップS600、第2移動ボタンMB2の場合にはステップS700、第3移動ボタンMB3の場合にはステップS800、中止ボタンCSBの場合にはステップS900にそれぞれ進む。
【0064】
ステップS300を除く各分岐処理が終了すると、左右画像決定サブルーチン(ステップS210)、一時退避表示領域表示更新サブルーチン(ステップS240)およびペア表示領域表示更新サブルーチン(ステップS260)が再び実行され、各分岐処理によって変更された結果に基づいて画面の表示更新が行われる。
【0065】
なお、ステップS288においてクリックが検知されなかった、またはステップS290においてクリック場所が分岐処理に移行すべき場所でなかったと判定されたときは、分岐処理は実行されずにステップS288に戻る。即ち、完了ボタンCIB、ペア表示領域GDA、一時退避表示領域TMPA、第1移動ボタンMB1、第2移動ボタンMB2、第3移動ボタンMB3および中止ボタンCSBの何れかがクリックされるまでステップS288、290は繰り返し実行される。
【0066】
例えば図6および図7に示すように、オブジェクトOB3をペア表示領域GDAから除去し一時退避表示領域TMPAに退避させる場合には、まずペア表示領域GDAに表示されたオブジェクトOB3の領域(以下、オブジェクトスコープと呼ぶ)内をマウス216によりクリックすると、ステップS400が実行されてオブジェクトOB3が指定されたとして反転表示される。
【0067】
続いて、マウス216により第1移動ボタンMB1をクリックするとステップS600が実行され、オブジェクトOB3は一時退避表示領域TMPAに移動する。図10(c)はこの時点でのUseList、UnUseListおよびThumbnailListを示す。
【0068】
ステップS600の実行後に再び左右画像決定サブルーチン、一時退避表示領域表示更新サブルーチンおよびペア表示領域表示更新サブルーチンが実行されると、モニタ画面は図7に示す状態に更新表示される。このときのUseList、UnUseListおよびThumbnailListは図10(d)に示される。
【0069】
なお、ペア表示領域GDAおよび一時退避表示領域TMPAの双方においてオブジェクトをマウスで指定した後(ステップS300およびS400の実行後)に、第2移動ボタンMB2をマウスで指示すると、ステップS700が実行され、一時退避表示領域TMPAで指定されたオブジェクトが、ペア表示領域GDAで指定されたオブジェクトの前に挿入される。そして、ペア表示領域GDAで指定されたオブジェクト以降のオブジェクトが、それぞれ1つ後ろの位置に繰り下がる。
【0070】
一方、第3移動ボタンMB3を指示した場合には、ステップS800が実行され、一時退避表示領域TMPAで指定されたオブジェクトがペア表示領域GDAの最後のオブジェクトの後に挿入される。
【0071】
ペア表示領域GDAまたは一時退避表示領域TMPAにおいてオブジェクトを指定した後にその指定をキャンセルする場合には、中止ボタンCSBをクリックしてステップS900を実行させる。これにより指定されたオブジェクトは反転表示から通常の状態に戻る。
【0072】
図11は、左右画像決定サブルーチン(ステップS210;図8)の詳細を示すフローチャートである。
【0073】
まずステップS212においてThumbnailListが何も書き込まれない空の状態に初期化される。次にステップS214において、ペア数を示すパラメータimaxにはUseListの要素数を2で割った商が代入され、ループカウンタiに初期値1が代入される。
【0074】
ステップS216ではループカウンタiがimax以下か否かが判定され、imax以下であればステップS218〜S230が実行される。即ち、ステップS218〜S230はペア数imaxの回数分だけ繰り返し実行される。imaxより大きければステップS232に進む。
【0075】
ステップS218では、UseListにおける要素番号が(2×i−1)に一致する画像名と、その次の要素番号(2×i)の画像名とが取得される。ここで、便宜上File1、File2と定義する。
【0076】
ステップS220においては画像名File1、File2に対応するカメラ位置Mの基準座標を作業メモリ244から読出し、この基準座標に基づいて、第1ベクトルVec1および第2ベクトルVec2を取得する。そして、ステップS222において第1ベクトルVec1および第2ベクトルVec2の外積Gを算出し、ステップS224において正負を判定する。
【0077】
ステップS224において外積Gが正であると判定されると、ステップS226が実行され、ThumbnailListの要素番号(2×i−1)に対応する要素はUseList要素番号[2×i−1] となり、要素番号(2×i)に対応する要素はUseList要素番号[2×i] となる。なお、ここでは要素番号を( )で囲み、要素を[ ]で囲んで示す。
【0078】
一方、外積Gが負または0であればステップS228が実行され、ThumbnailListの要素番号(2×i−1)に対応する要素はUseList要素番号[2×i] となり、要素番号(2×i)に対応する要素はUseList要素番号[2×i−1] となる。即ち、ThumbnailListにおいてUseList要素番号の順番が入れ替わる。ステップS226またはステップS228の実行後、ステップS230においてiがインクリメントされ、ステップS216に戻る。
【0079】
ステップS216において、ループカウンタiがimaxより大きい、即ち全ペアについてステップS218〜S230が実行されたと判定されると、ステップS232に進み、ここでさらにUseListの要素数が奇数であるか否かが判定される。奇数の場合、ステップS234においてUseListの最後の要素番号[2×imax+1]がThumbnailListの最後の要素番号(2×imax+1)の要素として格納される。偶数の場合はステップS234は実行されない。以上で左右画像決定サブルーチンが終了する。
【0080】
図12は、ペア表示領域表示更新サブルーチン(ステップS240;図8)の詳細を示すフローチャートである。
【0081】
まず、ステップS242において要素数を示すパラメータkmaxにはUseListの要素数が代入され、ループカウンタkに初期値1が代入される。ステップS244ではループカウンタkがkmax以下か否かが判定され、kmax以下であればステップS246〜S252が実行される。即ち、ステップS246〜S252はUseList要素数(kmax)の回数分だけ繰り返し実行される。ループカウンタkがパラメータmaxより大きければ、ペア表示領域表示更新サブルーチンは直ちに終了する。
【0082】
ステップS246では、k番目のThumbnailListの要素がUseSelNumに一致するか否かが判定され、一致する場合にはステップS248において対応するオブジェクトがペア表示領域GDAに反転表示され、一致しない場合にはステップS250においてオブジェクトは通常の色でペア表示領域GDAに表示される。ステップS248またはステップS250の終了後、ステップS252においてループカウンタkが1インクリメントされ、ステップS244に戻る。
【0083】
UseSelNumには、ペア表示領域GDAでオブジェクトが指定された場合には対応するThumbnailListの要素であるUseList要素番号が、指定されていない場合には0が代入されており、ステップS246〜250により指定されたオブジェクトのみを反転表示させることができる。
【0084】
以上のように、ペア表示領域表示更新サブルーチンの実行によってモニタ画面のペア表示領域GDAには、ThumbnailListの要素番号順にオブジェクトが表示される。
【0085】
図13は、一時退避領域表示更新サブルーチン(ステップS260;図8)の詳細を示すフローチャートである。一時退避領域表示更新サブルーチンは、UnUseListについて処理を行う点以外は実質的にペア表示領域表示更新サブルーチンと同じであり、同一または対応する処理にはステップ数に20を加算して示し、詳細を省く。
【0086】
一時退避領域表示更新サブルーチンにおいては、UnUseListの各要素に対応するオブジェクトが、要素番号順に一時退避領域TMPAに表示されるが、このときUnUseSelNumに一致するオブジェクトは反転表示され、逸れ以外は通常に表示される。一時退避領域TMPAにおいてオブジェクトが指定されていない場合にはUnUseSelNumは0であり、何れのオブジェクトも反転表示されない。
【0087】
具体例をあげて説明すると、画像IM1〜11が読み込まれて、初めて左右画像決定サブルーチン(ステップS210)が実行された場合には、まずペア数imaxは5に定められる。そして仮のペアi(=1)の画像IM1およびIM2について、画像IM1が右画像に画像IM2が左画像に判定されて、ThumbnailListにおいてUseList要素番号は、[2]、[1]の順に格納される。
【0088】
これにより、ThumbnailListの要素番号(1)に対応した画像名は「IM2」、要素番号(2)に対応した画像名は「IM1」となり、ペア表示領域GDAの一番上の左画像表示領域LDAにオブジェクトOB2を、右画像表示領域RDAにオブジェクトOB1を表示することができる。
【0089】
続いて、ペア2〜5について上述の処理が繰り返し行われ、ペア2、ペア3およびペア4についてはUseList要素番号の順番は逆になり、それぞれ[4]および[3]、[6]および[5]、[8]および[7]の順に格納され、ペア5についてはそのまま[9]および[10]の順で格納される。そしてペアとならない「画像IM11」即ちUseList要素番号[11]については、ThumbnailListの11番目に格納される。
【0090】
左右画像決定サブルーチンの実行の結果、ThumbnailListの要素であるUseList要素番号は図10(b)に示すように、先頭から順に[2][1][4][3][6][5][8][7][9][10][11]となり、対応する画像名の順番は「IM2」「IM1」「IM4」「IM3」「IM6」「IM5」「IM8」「IM7」「IM9」「IM10」「IM11」となる。
【0091】
そして、ペア表示領域表示更新サブルーチン(ステップS240)および一時退避領域表示更新サブルーチン(ステップS260)が順に実行されることにより、図6に示す初期画面においてペア表示領域GDAにThumbnailListのUseList要素番号順にオブジェクトOB1〜11が表示され、一時退避領域TMPAには何も表示されない。このとき、UseSelNumおよびUnUseSelNumは初期値0であり、何れの画像も反転表示されない。
【0092】
図14は、第1の分岐サブルーチンE(ステップS300;図9)の詳細を示すフローチャートである。第1の分岐サブルーチンEは、完了ボタンCIBがクリックされたときに実行される。
【0093】
ステップS302では、ペア数を示すパラメータimaxにはUseListの要素数を2で割った商が代入され、ループカウンタiには初期値1が代入される。ステップS304はループカウンタiがimax以下か否かが判定され、imax以下であればステップS306が実行される。即ち、ステップS306はペア数imaxの回数分だけ繰り返し実行される。imaxより大きければ第1の分岐サブルーチンEが終了する。
【0094】
ステップS306では、現在表示されているペアの組合せが正しいものとして、ThumbnailListの要素番号(2×i−1)に対応するUseList要素番号および画像名が左画像、ThumbnailListの要素番号(2×i)に対応するUseList要素番号および画像名が右画像として特定され、これらがi番目のペアとして確定される。
【0095】
図15は、第2の分岐サブルーチンA1(ステップS400;図9)における処理を示す。第2の分岐サブルーチンA1は、ペア表示領域GDAがクリックされた場合に実行される。
【0096】
ステップS402において、クリック場所がペア表示領域GDAのいずれか1個のオブジェクトスコープ内であると判定されればそのオブジェクトが指定されたとみなされ、ステップS404において指定されたオブジェクトに対応するThumbnailList要素番号がパラメータSelThumbnailNumに代入される。
【0097】
さらにステップS406において、ThumbnailListの要素番号がSelThumbnailNumに一致する要素、即ち指定されたオブジェクトに対応するUseList要素番号がUseSelNumに登録されて終了する。ステップS402においてクリック場所がオブジェクトスコープ内でなかったと判定されるとステップS402は実行されず、何れの要素番号もUseSelNumに登録されずに終了する。
【0098】
図16は、第3の分岐サブルーチンA2(ステップS500;図9)の詳細を示すフローチャートである。第3の分岐サブルーチンA2は一時退避表示領域TMPAがクリックされたときに実行される。
【0099】
ステップS502では、クリック場所がいずれか1個のオブジェクトスコープ内か否か、即ち一時退避表示領域TMPA内のオブジェクトの1つが指定されたか否かが判定される。オブジェクトスコープ内であると判定されれば、そのオブジェクトが指定されたとみなされてステップS504が実行され、指定されたオブジェクトに対応したUnUseList要素番号がUnUseSelNumに登録されて終了する。一方、ステップS502においてクリック場所がオブジェクトスコープ内でなかったと判定されると、UnUseSelNumには何れの要素番号も登録されずに終了する。
【0100】
図17は、第4の分岐サブルーチンB1(ステップS600;図9)の詳細を示すフローチャートである。第4の分岐B1サブルーチンは、第1移動ボタンMB1がクリックされたときに実行される。
【0101】
ペア表示領域GDA内でいずれか1個のオブジェクトが指定されていたとき、即ちステップS602においてUseSelNumが0でないと判定されるとステップS604〜ステップS610が実行される。なお、ステップS602においてペア表示領域GDA内で何れのオブジェクトも指定されていない(UseSelNum=0)と判定された場合には、直ちに終了する。
【0102】
詳述すると、ステップS604においてUseListからUseSelNumが示す要素番号に一致する画像名が削除され、ステップS606において削除された画像名はUnUseListの末尾に追加される。即ち指定されたオブジェクトは、ペア表示領域GDAから削除されて一時退避表示領域TMPAへ加えられる。
【0103】
ここで一時退避表示領域TMPA内のオブジェクトがペア表示領域GDA内に移動する可能性が生じるので、ステップS608において一時退避表示領域TMPAで指定されたオブジェクトとして、追加されたオブジェクトに対応する要素番号がUnUseSelNumに格納され、ペア表示領域GDAのオブジェクト指定を解除すべくUseSelNumが初期化される。即ち、ペア表示領域GDAで指定されたオブジェクトは、一時退避表示領域TMPAに退避した後も指定された状態のままである。そして、ステップS610において第2移動ボタンMB2および第3移動ボタンMB3がイネーブル状態に設定されて終了する。
【0104】
図18は、第5の分岐サブルーチンB2(ステップS700;図9)の詳細を示すフローチャートである。第5の分岐サブルーチンB2は、クリック場所が第2移動ボタンMB2であったときに実行される。
【0105】
ステップS702においてUseSelNumが0でないと判定され、かつステップS704においてUnUseSelNumが0でないと判定された場合、即ちペア表示領域GDA内でいずれか1個のオブジェクトが指定され、なおかつ一時退避表示領域TMPA内でいずれか1個のオブジェクトが指定されていたときには、ステップS706〜S712が実行される。それ以外の場合、即ちペア表示領域GDAまたは一時退避表示領域TMPAのどちらか一方、あるいは双方ともオブジェクトが指定されていなかったときは、直ちに終了する。
【0106】
ステップS706では、UnUseListからUnUseSelNumに一致する要素番号の画像名が削除される。そして、ステップS708では削除された画像名はUseListにおいて、UseSelNumに一致する要素番号の画像名の前に追加される。このように、指定されたオブジェクトは一時退避表示領域TMPAから削除され、ペア表示領域GDAで指定されたオブジェクトの前に追加される。
【0107】
以上の処理の結果、一時退避表示領域TMPAにオブジェクトが存在しなくなったときは、ステップS710において第2移動ボタンMB2および第3移動ボタンMB3が再びディスエーブルに設定される。
【0108】
そしてステップS712においてUseSelNumには追加された要素の要素番号が代入され、一時退避表示領域TMPAにおけるオブジェクトの指定を解除すべくUnUseSelNumが0に初期化され、終了する。即ち、一時退避表示領域TMPAで指定されたオブジェクトは、ペア表示領域GDAに移動した後も指定状態のままである。
【0109】
図19は、第6の分岐サブルーチンB3(ステップS800;図9)の詳細を示すフローチャートである。第6の分岐B3サブルーチンは、クリック場所が第3移動ボタンMB3であったときに実行される。
【0110】
始めにステップS802においてUnUseSelNumが0か否かが判定され、UnUseSelNumが0でない、即ち一時退避表示領域TMPA内でいずれか1個のオブジェクトが指定されていると判定された場合にはステップS804〜S810が実行される。UnUseSelNumが0の場合には直ちに終了する。
【0111】
ステップS804においては、UnUseListからUnUseSelNumに一致する要素番号の要素、即ち画像名が削除され、ステップS806において削除された画像名はUseListの末尾に追加される。即ち指定されたオブジェクトは、一時退避表示領域TMPAから削除されて、ペア表示領域GDAへ加えられる。
【0112】
以上の処理の結果、一時退避表示領域TMPAにオブジェクトが存在しなくなったときは、ステップS808において第2移動ボタンMB2および第3移動ボタンMB3がディスエーブルに設定される。そしてステップS810が実行されてペア表示領域GDAにおいて指定されたオブジェクトとして、UseSelNumに追加された要素の要素番号が代入され、一時退避表示領域TMPAのオブジェクトの指定を解除すべくUnUseSelNumが0に初期化され、終了する。
【0113】
図20は、第7の分岐サブルーチンC(ステップS900;図9)における処理を示す。第7の分岐サブルーチンCは、中止ボタンCSBがクリックされた場合に実行される。
【0114】
ここでは、指定されたオブジェクトの反転表示を解除すべくUseSelNumおよびUnUseSelNumが初期化される。即ち、ステップS902においてUseSelNumに0が代入され、ステップS904においてUnUseSelNumに0が代入される。
【0115】
以上のように、ペア編集処理においてはペアの組合せと左右画像の決定とが同時に行われ、測量図作成処理においてペア画像における像点の対応付けが非常に容易になる。また、左右画像の決定が写真測量用画像処理装置において自動的に行われることにより、撮影方向の順番を定めなくてもよく、撮影の自由度が向上する。
【0116】
図21はペア編集処理後に実行される測量図作成処理(ステップS112;図5)のモニタ画面を概念的に示す図である。モニタ画面には1組のペア画像を表示するための画像表示領域IMAが設けられ、この画像表示領域IMAはさらに左画像表示領域LIAおよびその水平方向右側に並列した右画像表示領域RIAに分割される。
【0117】
図21においては、左画像表示領域LIAにはペア1の左画像である画像IM2が表示され、右画像表示領域RIAにはペア1の右画像である画像IM1が表示される。この表示の順番は、ペア編集サブルーチンにより決定されたUseListの要素順に基づいており、左画像表示領域LIAに表示され得る画像は先頭から奇数番目の画像、右画像表示領域RIAに表示され得る画像は先頭から偶数番目の画像である。なお、第1画像IM1および第2画像IM2は測量画像データに含まれるデジタル画素データに基づいて表示される。
【0118】
画像表示領域IMAの上方には画像表示領域IMAに表示すべきペア画像を選択するためのペア選択タグPIMTが設けられる。また、画像表示領域IMAの下側には作図領域DRAが設けられ、全画像IM1〜18に基づいて作図された測量図、具体的には道路の外形RGを示す実線LGが描かれる。測量図は道路を鉛直上方から見た水平面図である。
【0119】
このモニタ画面では、画像IM1およびIM2に共通して写し込まれた測量点qが指定され、作図領域DRAに点表示される。例えば、道路の角の測量点q1 について画像IM1および画像IM2上の像点、即ち第1像点AQ11および第2像点AQ12を特定すると、測量点q1 の基準座標が算出されて作図領域DRAに点表示される。同様に、第1像点AQ11および第2像点AQ12を特定することにより対応する測量点q2 が作図領域DRAに表示される。なお、2つの像点から測量点の基準座標を算出する方法は公知であり、ここでは説明を省略する。
【0120】
モニタ画面の左方にはメニューMMが設けられ、種々のコマンドの選択や、測量図のの表示倍率や表示方向等を適宜指定し得る。また作図領域DRA内には作図のためのメニューDRMが設けられ、このメニューDRMにおいて描画線の線種や色等が指定される。例えば「直線描画」が指定されている場合、測量点q1 およびq2 が連続して指定されると、この2点q1 およびq2 を結ぶ直線L1が自動的に作成され、作図領域DRAに表示される。
【0121】
本実施形態においては、測量図作成処理の前にペア画像における左右画像の決定が行われているので、左画像表示領域LIAに左画像を、右画像表示領域RIAに右画像を確実に表示し得る。従って、両画像における像点を見出し易くなり、測量図作成処理に要する時間を大幅に短縮できる。
【0122】
【発明の効果】
本発明によれば、写真測量において撮影の自由度を阻害することなく、かつ測量点の指定作業を大幅に効率化し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る写真測量方法の一実施形態における撮影状況を示す概念図である。
【図2】図1に示す撮影状況により得られた画像を示す概念図である。
【図3】図1に示す撮影状況におけるカメラ位置およびターゲットの関係を模式的に示す水平面図である。
【図4】写真測量画像処理装置の全体構成を示すブロック図である。
【図5】写真測量画像処理装置において実行される写真測量用画像処理プログラムのメインルーチンを示すフローチャートである。
【図6】ペア編集処理の初期状態のモニタ画面を示す概念図である。
【図7】ペア編集完了状態のモニタ画面を示す概念図である。
【図8】図5に示すペア編集処理サブルーチンの前半部分を示すフローチャートである。
【図9】図5に示すペア編集処理サブルーチンの後半部分を示すフローチャートである。
【図10】ペア編集処理におけるリストの変遷を示す表である。
【図11】図8に示す左右画像決定サブルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図12】図8に示すペア画像表示領域表示更新サブルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図13】図8に示す一時退避表示領域表示更新サブルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図14】図9に示す第1の分岐サブルーチンEの詳細を示すフローチャートである。
【図15】図9に示す第2の分岐サブルーチンA1の詳細を示すフローチャートである。
【図16】図9に示す第3の分岐サブルーチンA2の詳細を示すフローチャートである。
【図17】図9に示す第4の分岐サブルーチンB1の詳細を示すフローチャートである。
【図18】図9に示す第5の分岐サブルーチンB2の詳細を示すフローチャートである。
【図19】図9に示す第6の分岐サブルーチンB3の詳細を示すフローチャートである。
【図20】図9に示す第7の分岐サブルーチンCの詳細を示すフローチャートである。
【図21】測量図作成処理のモニタ画面を概念的に示す図である。
【符号の説明】
10 ターゲット
20 カメラ
200 写真測量用画像処理装置
214 モニタ装置
IM1〜IM11 画像
M1〜M11 カメラ位置
LDA、LIA 左画像表示領域
RDA、RIA 右画像表示領域
Claims (3)
- 所定位置のターゲットを共通に含む第1画像および第2画像について、それぞれ前記ターゲットに対する撮影点の相対位置を算出し、第1カメラ位置および第2カメラ位置として特定するカメラ位置算出手段と、
前記第1および第2カメラ位置に対応して、前記第1および第2画像のいずれか一方の画像をモニタ画面の左画像表示領域に表示し、かつ他方の画像を前記モニタ画面の前記左画像表示領域の水平方向の右側に並列した右画像表示領域に表示する表示手段と、
水平面における前記ターゲットに対する前記第1および第2カメラ位置の第1および第2ベクトルを算出するベクトル算出手段と、
前記第1ベクトルに対する前記第2ベクトルの外積を算出する外積算出手段と、
前記外積の正負に基づいて前記第1および第2画像の表示位置を決定する表示位置決定手段と
を備えることを特徴とする写真測量用画像処理装置。 - 前記表示位置決定手段が、前記外積が正の場合に、前記第1画像の表示位置を前記左画像表示領域に、かつ前記第2画像の表示位置を前記右画像表示領域に定めることを特徴とする請求項1に記載の写真測量用画像処理装置。
- 被写体と所定位置のターゲットとを異なる方向から撮影して第1および第2画像を得る第1ステップと、
請求項1に記載の写真測量用画像処理装置を用いて、前記第1および第2カメラ位置を特定し、前記第1および第2画像をモニタ画面に水平方向に並列して表示する第2ステップと、
前記モニタ画面上の前記第1および第2画像について、前記被写体上の測量点に対応する第1像点および第2像点をそれぞれ特定する第3ステップと、
前記第1および第2カメラ位置と前記第1および第2像点とに基づいて、前記測量点の3次元座標を算出する第4ステップと、
前記測量点の3次元座標に基づいて測量図を作成する第5ステップと
を備えることを特徴とする写真測量方法。
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