JP3766379B2 - フォーカス調整装置、光学機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、駆動軸に螺合される従動部材の移動により、光学レンズ部を光軸方向に移動させてフォーカス調整するフォーカス調整装置、光学機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10に示すように、従来から、カメラなどの光学機器には光学レンズ部103をその光軸方向に移動させてフォーカス調整をするフォーカス調整装置100が搭載されている。このフォーカス調整装置100では、特にデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等高度な駆動精度が要求されるため、DCモータよりもステッピングモータ101が用いられる。このステッピングモータ101の出力軸105には、ネジ溝が刻設されたリードスクリュー102が軸受104に軸支されて設けられ、出力軸105とともに回転するようになっている。また、光学レンズ部103は、光学レンズ109とこの光学レンズ109を保持するレンズ保持部110とナット111で構成されている。ナット111はレンズ保持部110に支持されているとともに、リードスクリュー102に螺合されている。したがって、ステッピングモータ101の駆動によりリードスクリュー102が回転すると、出力軸105の軸方向、すなわち光学レンズ109の光軸方向に光学レンズ部103が移動する。
【0003】
また、従来技術として、ガイドシャフトにより光軸方向に移動可能に案内される鏡枠と、該鏡枠を光軸方向に沿って駆動するための駆動源と、該駆動源に取付けられたリードスクリューと、該リードスクリューに螺合し回転規制部によって回転を規制され前記リードスクリューの回転に伴って光軸方向にのみ移動するナット部と、該ナット部の動きに対して前記鏡枠が追従動作するように、前記鏡枠の一部を前記ナット部に圧接させる付勢バネと、を備え、該リードスクリューの先端部及び根元部は、該ネジ部の谷の径より細い径を有した非ネジ部となし、かつ該根元部にはまり込んだ該ナットを該スクリュウの先端方向へ押し出す如く付勢するコイルバネを該根元部近傍に介挿した光学機器が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−84207号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図10に示す機構では、不図示の制御部からステッピングモータ101に所定の駆動パルスを与えることにより、ナット111の移動範囲を制限している。しかしながら、制御部の動作不良により必要以上の駆動パルスを与えてしまうと、図11に示すように、ナット111がリードスクリュー102の先端部106にまで暴走する場合がある。
【0006】
この場合、図12に示すように、ナット111がリードスクリュー102の先端部106にねじ込まれるとナット111の端面112が軸受104に当接して、リードスクリュー102の先端部106とナット111が締結してしまい、ナット111とリードスクリュー102との食い付きが生じることとなる。
【0007】
同様に、図13に示すように、ナット111がリードスクリュー102の後端部107に暴走すると、図14に示すように、ナット111がリードスクリュー102の後端部107にねじ込まれ、レンズ保持部110が支持板113に当接して、リードスクリュー102の先端部106とナット111とが締結してしまい、ナット111とリードスクリュー102との食い付きが生じることとなる。
【0008】
したがって、このような食い付き状態からステッピングモータ101を逆回転させても、ステッピングモータ101の駆動トルクがリードスクリュー102とナット111との締め付けトルクよりも低いためトルク不足となり、リードスクリュー102の両端部106,107から中途部108へナット111が戻らない場合がある。この場合、光学レンズ部103がリードスクリュー102の両端部106,107に留まった状態となり、フォーカス調整をすることができないこととなる。
【0009】
また、上記特許文献1においても、図12と同様なリードスクリューとナットを用いており、リードスクリューの先端部及び根元部において食い付きが生じてしまうため、リードスクリュー端部から中途部へナットが戻らない場合があり、光学レンズ部がリードスクリューの先端部及び根元部に留まった状態となることとなる。
【0010】
更に、上記特許文献1では、ナットをリードスクリューの先端側に押し出すためのコイルバネと鏡枠をナットに付勢するための付勢バネとを備えているため、光学レンズ部の移動範囲が狭くなり、部品点数が増加し、光学機器が大型化することとなる。
【0011】
また、上記特許文献1では、両方のバネから常時レンズの光軸方向に付勢されているため、ナットを移動させるためにはステッピングモータの駆動トルクを大きくしなければならない。したがって、この必要トルクを得るためにモータを大型化したり、消費電力を大きくしなければならない。
【0012】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、本発明は、簡単な構成により、フォーカス調整における光学レンズ部を、その移動許容範囲外から移動許容範囲内へのスムーズな移動を図ることを目的とする。また、この簡単な構成を採用することによりフォーカス調整装置の小型化を図ることを目的とする。更に、このようなフォーカス調整機構を設けて光学機器の小型化を図ることを目的とする。また、駆動軸の製造作業の効率化を図ることを目的とし、またこれにより駆動軸を量産することができる駆動軸の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかるフォーカス調整装置は、回転駆動する駆動軸と、該駆動軸に螺合される従動部材と、該従動部材に設けられる光学レンズ部と、を備え、前記従動部材の移動が許容される移動許容範囲内において前記従動部材の移動により前記光学レンズ部を光軸方向に移動させてフォーカス調整するフォーカス調整装置であって、前記移動許容範囲外において、ネジ溝が形成されている前記駆動軸端部の外周面とネジ山が形成されている前記従動部材の内周面との間にガタを生じさせる空隙を設けたことを特徴とする。
【0014】
この請求項1の発明によれば、移動許容範囲外において、駆動軸と従動部材との間の摩擦抵抗や締め付けトルクが低減され、駆動軸と従動部材との食い付きが緩和される。
【0015】
また、請求項2の発明にかかるフォーカス調整装置は、請求項1に記載のフォーカス調整装置であって、前記駆動軸端部の外周面は、前記移動許容範囲における有効径よりも、前記移動許容範囲外における有効径が小さい小径領域を有することを特徴とする。
【0016】
この請求項2の発明によれば、従動部材が移動許容範囲外に位置する場合、駆動軸と従動部材との間に空隙が形成されるためガタが生じる。これにより、移動許容範囲外において、駆動軸と従動部材との間の摩擦抵抗や締め付けトルクが低減され、駆動軸と従動部材との食い付きが緩和される。
【0017】
また、請求項3の発明にかかるフォーカス調整装置は、請求項2に記載のフォーカス調整装置において、前記小径領域における前記駆動軸端部の外径は、前記従動部材の内径よりも大きいことを特徴とする。
【0018】
この請求項3の発明によれば、従動部材が移動許容範囲外に位置する場合、駆動軸と従動部材との間に空隙を形成され、かつ駆動軸と従動部材とが螺合されるため、ガタが生じる。これにより、移動許容範囲外において、駆動軸と従動部材との間の摩擦抵抗や締め付けトルクが低減され、駆動軸と従動部材との食い付きが緩和される。
【0019】
また、請求項4の発明にかかるフォーカス調整装置は、請求項2または3に記載のフォーカス調整装置において、前記小径領域は、前記従動部材の厚みよりも狭いことを特徴とする。
【0020】
この請求項4によれば、移動許容範囲外において、駆動軸と従動部材とが一部食い付くことにより、移動許容範囲外においても光学レンズ部を安定した状態で移動させることができる。また、移動許容範囲外において駆動軸と従動部材との間に空隙が形成されるため、ガタが生じる。これにより、移動許容範囲外において、駆動軸と従動部材との間の摩擦抵抗や締め付けトルクが低減され、駆動軸と従動部材との食い付きが緩和される。
【0021】
また、請求項5の発明にかかるフォーカス調整装置は、請求項2〜4のいずれか一つに記載のフォーカス調整装置において、前記小径領域は、前記駆動軸端部に設けられていることを特徴とする。
【0022】
この請求項5の発明によれば、従動部材が駆動軸の先端部又は/及び後端部に位置する場合、駆動軸と従動部材との間に空隙が形成されるため、ガタが生じる。これにより、駆動軸の先端部又は/及び後端部において、駆動軸と従動部材との間の摩擦抵抗や締め付けトルクが低減され、駆動軸と従動部材との食い付きが緩和される。
【0023】
また、請求項6の発明にかかるフォーカス調整装置のように、請求項1〜5のいずれか一つに記載のフォーカス調整装置において、更に、前記駆動軸に前記光学レンズ部の移動に必要な駆動トルクを伝達する伝達手段を設けてもよい。また、請求項7の発明にかかるフォーカス調整装置のように、請求項6に記載のフォーカス調整装置において、前記伝達手段としてステッピングモータを設けることが好ましい。
【0024】
この請求項7の発明によれば、ステッピングモータの脱調により駆動軸が振動することで、駆動軸と従動部材との締め付けトルクに抗し、食い付きが解除される。したがって、光学レンズ部を移動規制範囲から移動許容範囲へ移動させる場合、必要な駆動トルクを伝達するだけでガタが生じ、従動部材が駆動軸と螺合した状態で簡単に移動許容範囲へ戻すことができる。
【0025】
また、請求項8の発明にかかる光学機器は、請求項1〜7のいずれか一つに記載のフォーカス調整装置を具備することを特徴とする。
【0026】
この請求項8の発明によれば、光学機器内部の省スペース化を図ることができる。
【0027】
また、光学レンズを光軸方向に移動させる駆動軸の製造方法であって、予め駆動軸の端部の径をその中途部の径よりも小さく加工し、該加工された前記駆動軸の周面にネジ溝を形成することとしてもよい。
【0028】
これによれば、ガタつきを生じさせることが可能な駆動軸を簡単な手法で製造することができる。なお、駆動軸の端部をテーパ状に加工してもよく、これによれば、予め駆動軸の端部をテーパ状に加工するだけで、従動部材との間にガタつきを生じさせるための空隙を形成するネジ溝を形成することができる。また、駆動軸の周面に形成されたネジ溝は、転造により形成することとしてもよい。これによれば、駆動軸の中途部と端部の両方のネジ溝を同時に形成することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるフォーカス調整装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。このフォーカス調整装置は、フィルムカメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、望遠鏡及び顕微鏡などの各種の光学機器に適用されるものである。
【0030】
図1〜図3は、本実施の形態のフォーカス調整装置1を示す概略部分側断面図である。このフォーカス調整装置1は、駆動部2と光学レンズ部3とで略構成される。
【0031】
駆動部2は、伝達手段としてのAFモータ4と、駆動軸としてのリードスクリュー5と、軸受6と、支持板7と、ガイドシャフト8と、で略構成されている。
【0032】
AFモータ4は例えばステッピングモータやDCモータであり、モータ本体10と出力軸11で構成されている。このAFモータ4は不図示の制御部からの駆動指令に基づいて出力軸11を回転させる。AFモータ4としてはステッピングモータを用いることがこのましく、AFモータ4を小型化でき、消費電力を低減することができる。
【0033】
リードスクリュー5はAFモータ4の出力軸11から伝達される回転力により回転駆動する。このリードスクリュー5の周面にはネジ溝が形成されている。リードスクリュー5の両端部13,14の両端縁17,20は略テーパ状に形成されている。リードスクリュー5の先端部13の端面(先端面18)にはリードスクリュー5と同軸な突出軸22が設けられており、軸受6に嵌合されている。すなわち、リードスクリュー5は出力軸11に対し相対回転不能に保持されている。また、リードスクリュー5の後端部14の端面(後端面21)からも軸方向に突出部23が設けられている。この突出部23とリードスクリュー5の後端部14には、同軸上に嵌合孔15が形成されており、AFモータ4の出力軸11が嵌挿されるようになっている。
【0034】
軸受6は、リードスクリュー5の先端部13側に設けられている。軸受6の端面24はリードスクリュー5の先端面18と対面している。この端面24には凹部25が形成されており、突出軸22と嵌合するようになっている。
【0035】
支持板7は、例えば金属製とされており、両端部が屈曲して略コ字状に形成されている。支持板7の水平板部26はリードスクリュー5の長さと略同等とされている。支持板7の両端部はともに水平板部26に垂直な垂直板部27,28とされており、リードスクリュー5の先端部13側の垂直板部27は、リードスクリュー5の後端部14側の垂直板部28よりも短く形成されている。リードスクリュー5の先端部13側の垂直板部27には、開口部30が形成されており、軸受6を保持するようになっている。また、リードスクリュー5の後端部14側の垂直板部28にも開口部31が形成されており、後端面21の突出部23が嵌合されている。またこの開口部31の下方には貫通孔32が形成されており、ガイドシャフト8が貫通するようになっている。なお、このガイドシャフト8は、リードスクリュー5の中心軸C(図4〜図6参照)と平行とされている。なお、ガイドシャフト8は光学機器内部にて保持されている。これにより、この駆動部2は、出力軸11の回転に伴ってリードスクリュー5も自身の軸回りに回転するようになっている。
【0036】
光学レンズ部3は、撮影レンズ33と、レンズ保持部34と、従動部材としてのナット35と、回転規制シャフト36と、で略構成されている。
【0037】
撮影レンズ33はその正面から入射光を受光して撮像素子へ導く。なお、本実施の形態では撮影レンズ33の光軸はリードスクリュー5の中心軸Cと平行とされている。
【0038】
レンズ保持部34の下部にはレンズ枠37が突出形成されており、撮影レンズ33の周縁を保持するようになっている。また、レンズ保持部34には撮影レンズ33の光軸方向に貫通孔38が形成されており、ガイドシャフト8が貫通するようになっている。更に、レンズ保持部34の上部には、一対の垂直片40,41が設けられている。一方の垂直片40の先端には略U字状の切欠部43が形成されており、その切欠部43にはリードスクリュー5が遊挿されている。一方の垂直片40の前面44は、AFモータ4側の側面42と面一とされている。
【0039】
一方の垂直片40の背面45には従動部材としてのナット35が設けられている。ナット35はリードスクリュー5に螺合されている。ナット35の前面46は一方の垂直片40の背面45に密着されている。
【0040】
両垂直片40,41には一対の挿通孔50,51が形成されており、回転規制シャフト36が支持されている。この回転規制シャフト36は、ナット35に形成されている貫通孔47を貫通しており、リードスクリュー5の回転に伴うナット35の回転を阻止している。
【0041】
このフォーカス調整装置1では、リードスクリュー5を一方の方向(例えば時計回り)に回転させると、光学レンズ部3がナット35及びガイドシャフト8に案内されて先端部13側に移動し、図2に示すように、ナット35とリードスクリュー5の先端部13とが螺合して、ナット35の背面48が軸受6の端面24と当接する。本実施の形態ではナット35がリードスクリュー5の先端部13と螺合する位置では、ナット35とリードスクリュー5の先端部13側への移動が軸受6の端面24により規制される。すなわち、この位置ではリードスクリュー5の先端部13方向への移動が許容されず、移動許容範囲から外れることとなる。
【0042】
同様に、リードスクリュー5を他方の方向(例えば反時計回り)に回転させると、光学レンズ部3がナット35及びガイドシャフト8に案内されて後端部14側に移動し、図3に示すように、ナット35とリードスクリュー5の後端部14とが螺合して、レンズ保持部34の垂直片40の前面44が支持板7と当接する。本実施の形態ではナット35とリードスクリュー5の後端部14とが螺合する位置も、ナット35のリードスクリュー5の後端部14への移動が支持板7により規制される。すなわち、この位置ではリードスクリュー5の後端部14方向への移動が許容されず、移動許容範囲から外れることとなる。
【0043】
これに対し、リードスクリュー5の中心軸Cのいずれの方向へも移動が規制されていない位置に位置する場合は、ナット35はリードスクリュー5の中心軸C方向への移動が許容される。たとえば、図1に示すように、ナット35がリードスクリュー5の中途部16に位置する場合は、中心軸C方向のいずれの方向へも移動が可能であるため、図1の状態ではナット35は移動許容範囲に位置することとなる。
【0044】
次に本実施の形態の特徴であるリードスクリュー5の両端部13,14について説明する。図4及び図5に示すように、リードスクリュー5の両端部13,14の有効径r(r1〜r16)は、リードスクリュー5の中途部16の有効径Rよりも小さく形成されている。この有効径rの小さい領域が小径領域である。この有効径rはリードスクリュー5の中途部16から離れるに従って減少するようになっている(R>r1>r2>r3>r4>r5>r6>r7>r8,R>r9>r10>r11>r12>r13>r14>r15>r16)。すなわち、リードスクリュー5の両端部13,14の有効径rにより形成される仮想曲面はテーパ面となる。
【0045】
また、リードスクリュー5の両端部13,14のネジ外径s(s1〜s16)は、ナット35のネジ内径Sよりも大きく形成されている。このネジ外径sもリードスクリュー5の中途部16から離れるに従って減少するようになっている(S>s1>s2>s3>s4>s5>s6>s7>s8,S>s9>s10>s11>s12>s13>s14>s15>s16)。これにより、リードスクリュー5の先端部13では、ナット35のネジ山はリードスクリュー5の両端部13,14のネジ溝に進入するため、リードスクリュー5の両端部13,14とナット35とは螺合するようになるが、リードスクリュー5の両端部13,14の外周面とナット35の内周面とが接触せず、各リードの空隙が連続した波形状の空隙Ga,Gbが形成される。このため、リードスクリュー5の両端部13,14とナット35との間の摩擦抵抗や締め付けトルクが低減され、リードスクリュー5とナット35との食い付きが緩和される。
【0046】
したがって、図4及び図5に示すリードスクリューの両端部13,14とナット35との螺合状態にてナット35をリードスクリュー5の中途部16へ戻す方向にAFモータ4を駆動すると、この空隙Ga,Gbによりリードスクリュー5とナット35との間にガタつきが生じる。また、締め付けトルク及び摩擦抵抗が駆動トルクよりも少ないため、AFモータ4の駆動トルクにより締め付けトルク及び摩擦抵抗に抗する。これにより、ナット35をリードスクリュー5の中途部16側へスムーズに移動させることができ、光学レンズ部3の移動をスムーズに行うことができる。
【0047】
ここで、このリードスクリュー5の製造方法について説明する。まず、予め、ネジ溝形成前のリードスクリュー、すなわち、ねじブランクの両端縁を面取り加工する。これにより、ねじブランクの両端縁をテーパ面とすることができる。そして、このテーパ面を有するねじブランクを転造する。転造の方式は、平ダイス式、プラネタリ式、丸ダイス式など各種の転造方式を採用できる。これにより、一度の転造処理で、ねじブランクの中途部の周面及び両端のテーパ面にネジ溝が形成することができ、リードスクリュー5を製造することができる。これにより、加工効率及び量産性を向上することができる。
【0048】
また、リードスクリュー5の両端部13,14の有効径rが、リードスクリュー5の中途部16の有効径Rよりも小さく形成されていれば、図4及び図5に示す形状には限定されず、図6及び図7に示すような形状であってもよい。図6及び図7に示すように、リードスクリュー5の両端部13,14では有効径rにより形成される仮想曲面は円筒の周面となる。この形状の場合でも、リードスクリュー5の両端部13,14の周面とナット35の内周面との間に波形状の空隙Gc,Gdが形成される。このため、リードスクリュー5の両端部13,14とナット35の内周面との間の摩擦抵抗や締め付けトルクが低減され、リードスクリュー5とナット35との食い付きが緩和される。
【0049】
したがって、図6及び図7に示すリードスクリューの両端部13,14とナット35との螺合状態にてナット35をリードスクリュー5の中途部16へ戻す方向にAFモータ4を駆動すると、この空隙Gc,Gdによりリードスクリュー5とナット35との間にガタつきが生じる。また、締め付けトルク及び摩擦抵抗が駆動トルクよりも少ないため、AFモータ4の駆動トルクにより締め付けトルク及び摩擦抵抗に抗する。これにより、ナット35をリードスクリュー5の中途部16側へスムーズに移動させることができ、光学レンズ部3の移動をスムーズに行うことができる。
【0050】
なお、図4〜図7では、リードスクリュー5の両端部13,14の小径領域の長さtをナット35の長さTよりも長く形成した例について説明したが、図8及び図9に示すように、リードスクリュー5の両端部13,14の小径領域の長さtをナット35の長さTよりも短く形成することとしてもよい。これによれば、ナット35の一部がリードスクリュー5の両端部13,14の小径領域と螺合せず、リードスクリュー5の中途部16と同一有効径である大径領域に密着した状態で螺合することとなる。この小径領域の長さtと大径領域の長さuとの比率は、AFモータ4の駆動トルクよりも大径領域における締め付けトルクや摩擦抵抗よりも小さくなるように調整すればよい。これによれば、リードスクリュー5の中途部16から両端部13,14にナット35を移動させると、ナット35がリードスクリュー5の先端部13又は後端部14に位置する場合でも大径領域による螺合により、リードスクリュー5の先端部13又は後端部14においても光学レンズ部3がぶれずにフォーカス調整をすることができる。
【0051】
また、大径領域での摩擦抵抗及び締め付けトルクにより食い付きが生じることとなるが、この程度の食い付きであれば、AFモータ4としてステッピングモータを用いることにより、ステッピングモータが脱調する。この脱調により、リードスクリュー5が振動するためガタが生じ、リードスクリュー5とナット35との食い付きが解除される。したがって、光学レンズ部3をリードスクリュー5の両端部13,14から中途部16へ移動させる場合、駆動トルクを伝達するだけで、ナット35がリードスクリュー5と螺合した状態で簡単にリードスクリュー5の中途部16へ戻すことができる。
【0052】
なお、上述した実施の形態では、移動許容範囲外となる位置をリードスクリュー5の両端部13,14としたが、先端部13又は後端部14のいずれか一方であってもよい。また、ナット35の移動が中心軸C方向の一方のみに規制される位置であれば、移動許容範囲外となる位置はリードスクリュー5の先端部13又は/及び後端部14に限定されることはない。例えば、ナット35の移動を規制する規制部材(不図示)をリードスクリュー5の中途部16近傍に設けることにより、リードスクリュー5の中途部16の一部を移動許容範囲外とすることもできる。
【0053】
本実施の形態のフォーカス調整装置1によれば、フォーカス調整の際に、リードスクリュー5の中途部16から先端部13又は/及び後端部14へ光学レンズ部3が移動した場合であっても、リードスクリュー5とナット35との空隙によりガタが生じ、ナット35とリードスクリュー5が螺合してもその締め付けトルクが弱く、ナット35とリードスクリュー5との食い付きが緩和される。これにより、光学レンズ部3をリードスクリュー5の先端部13又は/及び後端部14から中途部16へ戻す場合、光学レンズ部3をスムーズに移動させることができる。
【0054】
また、AFモータ4の駆動トルクのみで光学レンズ部3をリードスクリュー5の先端部13又は/及び後端部14から中途部16へ戻すことができるため、食い付きを解除するためのバネなどの付勢部材を別途取り付ける必要もなく、部品点数を減少することができる。これにより、光学レンズ部3の移動範囲を長く確保することができるとともに、製造容易となり、安価な装置を提供することができる。
【0055】
また、AFモータ4の駆動トルクを大きくする必要もないため、小型のAFモータ4を採用することができ、また、AFモータ4の消費電力を低減することができる。
【0056】
更に、制御部の動作不良に基づいてナット35が暴走しても、リードスクリュー5とナット35との食い付きが緩和されているため、駆動トルクが比較的小さいステッピングモータを採用しても光学レンズ部3をリードスクリュー5の両端部13,14から中途部16へスムーズに移動させることができる。
【0057】
また、このフォーカス調整装置1を光学機器に組み込む場合、食い付きを解除するためのバネなどの付勢部材が不要であり、AFモータ4も小型化できるため、光学機器内部の省スペース化を図ることができる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のフォーカス調整装置によれば、光学レンズ部の移動許容範囲外から移動許容範囲へのスムーズな移動を図ることができるという効果を奏する。また、簡単な構成としたことによりフォーカス調整装置の小型化を図ることができるという効果を奏する。更に、このフォーカス調整装置を適用することにより光学機器の小型化を実現することができるという効果を奏する。また、本発明の駆動軸の製造方法によれば、予め駆動軸の端部を加工することにより光学レンズ部をスムーズに移動させる駆動軸を簡単に製造することができ、製造作業の効率化を図ることができる。これにより駆動軸を量産することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の本実施の形態にかかるフォーカス調整装置の部分側断面図である。
【図2】 この発明の本実施の形態にかかるフォーカス調整装置の部分側断面図であり、光学レンズ部が駆動軸の先端部に移動したときの図である。
【図3】 この発明の本実施の形態にかかるフォーカス調整装置の部分側断面図であり、光学レンズ部が駆動軸の後端部に移動したときの図である。
【図4】 図2における駆動軸の先端部を拡大した拡大側断面図である。
【図5】 図3における駆動軸の後端部を拡大した拡大側断面図である。
【図6】 駆動軸の先端部の変形例を示す拡大側断面図である。
【図7】 駆動軸の後端部の変形例を示す拡大側断面図である。
【図8】 駆動軸の先端部の他の変形例を示す拡大側断面図である。
【図9】 駆動軸の後端部の他の変形例を示す拡大側断面図である。
【図10】 従来のフォーカス調整装置を示す部分側断面図である。
【図11】 従来のフォーカス調整装置の部分側断面図であり、光学レンズ部が駆動軸の先端部に移動したときの図である。
【図12】 図11における駆動軸の先端部を拡大した拡大側断面図である。
【図13】 従来のフォーカス調整装置の部分側断面図であり、光学レンズ部が駆動軸の後端部に移動したときの図である。
【図14】 図13における駆動軸の後端部を拡大した拡大側断面図である。
【符号の説明】
1 フォーカス調整装置
3 光学レンズ部
4 伝達手段(AFモータ,ステッピングモータ)
5 駆動軸(リードスクリュー)
13 先端部
14 後端部
35 従動部材(ナット)
Ga,Gb,Gc,Gd 空隙
r(r1〜r16) 駆動軸(リードスクリュー)の両端部の有効径
s(s1〜s16) 駆動軸(リードスクリュー)の両端部のネジ外径
R 駆動軸(リードスクリュー)の中途部の有効径
S 従動部材(ナット)のネジ内径
Claims (8)
- 回転駆動する駆動軸と、該駆動軸に螺合される従動部材と、該従動部材に設けられる光学レンズ部と、を備え、前記従動部材の移動が許容される移動許容範囲内において前記従動部材の移動により前記光学レンズ部を光軸方向に移動させてフォーカス調整するフォーカス調整装置であって、
前記移動許容範囲外において、ネジ溝が形成されている前記駆動軸端部の外周面とネジ山が形成されている前記従動部材の内周面との間にガタを生じさせる空隙を設けたことを特徴とするフォーカス調整装置。 - 前記駆動軸端部の外周面は、前記移動許容範囲における有効径よりも、前記移動許容範囲外における有効径が小さい小径領域を有することを特徴とする請求項1に記載のフォーカス調整装置。
- 前記小径領域における前記駆動軸端部の外径は、前記従動部材の内径よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載のフォーカス調整装置。
- 前記小径領域の長さは、前記従動部材の長さよりも短いことを特徴とする請求項2または3に記載のフォーカス調整装置。
- 前記小径領域は、前記駆動軸端部に設けられていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載のフォーカス調整装置。
- 更に、前記駆動軸に前記光学レンズ部の移動に必要な駆動トルクを伝達する伝達手段を具備することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のフォーカス調整装置。
- 前記伝達手段は、ステッピングモータであることを特徴とする請求項6に記載のフォーカス調整装置。
- 請求項1〜7のいずれか一つに記載のフォーカス調整装置を具備することを特徴とする光学機器。
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