JP3764818B2 - 工作機械用ツールのクランプ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、工作機械用の切削工具などのツールを自動的に交換する装置の中のクランプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3、4に示した従来のクランプ装置は、オートツールチェンジャーAから分離し、オートツールチェンジャーAは図示していない電動機で駆動するようにしている。
そして、この従来のクランプ装置は、図3に示す本体1に開閉ロッド2を設け、この開閉ロッド2が、スプリング3のバネ力で、図示の押し上げ位置にあるとき、開閉ロッド2の先端に設けた図示していないクランプ機構が、このスプリング3のバネ力で工具などのツールをクランプする。そして、開閉ロッド2をスプリング3に抗して押し下げたとき、そのクランプ力が解除される。このように開閉ロッド2の推力でクランプ力を発揮させたり、そのクランプ力を解除する機構は、従来から公知である。
【0003】
上記のようにした本体1の上には、シリンダ4を固定している。このシリンダ4には、ピストン5を摺動自在に組み込み、シリンダ4内を下側室4aと上側室4bとに区画している。また、このピストン5のピストンロッド6をシリンダ4の上下両側から突出させ、下側ロッド部6aを開閉ロッド2に対向させている。したがって、ピストン5が図3において下方に移動すると、その下側ロッド部6aが、開閉ロッド2をスプリング3に抗して押し下げ、上記クランプ機構のクランプ力を解除する。
【0004】
また、ピストンロッド6の上側ロッド部6bの突出端には支持棒7を起立させるとともに、この支持棒7にスイッチングロッド8を固定している。そして、このスイッチングロッド8を、上下に配置した一対のリミットスイッチ9、10間に臨ませている。
したがって、ピストン5が、このリミットスイッチ9、10の間隔分だけストロークすれば、いずれかのリミットスイッチ9あるいは10がオンになる。しかも、このリミットスイッチ9、10は、図4に示すように、コントローラCに接続しているので、このリミットスイッチ9、10のオン・オフ信号は、コントローラCに入力される。
【0005】
上記シリンダ4の一側には、電磁弁からなる制御バルブvの弁本体11を固定している。そして、この弁本体11の一側には、油圧ポンプPおよびタンクTを固定し、他側には電動モータMを固定している。そして、これら制御バルブvおよび電動モータMは、上記コントローラCに接続している。このようにした電動モータMは、コントローラCからの起動信号が入力しない限り、停止した状態を保つようにしている。したがって、当然のことであるが、油圧ポンプPも停止状態を保つ。このようにコントローラCの信号を受けてから油圧ポンプPを駆動させるようにしたのは、油圧ポンプPを必要なときだけ駆動して、そのエネルギーロスを少なくするためである。
【0006】
なお、このコントローラCはCPU等からなり、オートツールチェンジャーAも制御する。ただし、このコントローラCは、オートツールチェンジャーAの作業手順の中の基準動作、例えば、そのドアを開く等、前記クランプ機構が動作する以前の動作を基準にして電動モータMを駆動させる構成にしている。このようにオートツールチェンジャーAの基準動作に応じて電動モータMを駆動させるようにしたのは、この電動モータMの起動遅れを防止するためである。すなわち、電動モータMは、その起動時に回転数がすぐに上昇しないということで、どうしても起動遅れが生じる。この電動モータの起動遅れは、結局シリンダ4の動作遅れとなり、作業のスピードアップの障害になってしまう。しかし、上記のようにクランプ機構の動作前であるオートツールチェンジャーAの基準動作に対応させて電動モータMを予め回転させれば、たとえ電動モータMの起動遅れがあったとしても、クランプ機能に影響を及ぼさない。
さらに、上記制御バルブvの一方のポートを、シリンダ4に形成した通路12を介して下側室4aに連通し、他方のポートを、通路13を介して上側室4bに連通している。
【0007】
上記したクランプ装置の構成を回路として示したのが、図4である。この図4からも明らかなように、制御バルブvが図示のノーマル位置にあるとき、油圧ポンプPが通路12を介してシリンダ4の下側室4aに連通し、上側室4bは通路13を介してタンクTに連通する。
また、制御バルブvを、上記ノーマル位置から切り換えると、今度は、下側室4aがタンクTに連通し、上側室4bが油圧ポンプPに連通する。
なお、図中符号14はリリーフ弁である。
【0008】
次に、この従来のクランプ装置の作用を説明する。
クランプ機構が、図示していない切削工具などのツールをクランプしているときには、制御バルブvが図示のノーマル位置を保つ。制御バルブvがノーマル位置を保てば、前記したようにピストン5が押し上げ位置を保つとともに、開閉ロッド2もスプリング3の作用で、押し上げ位置を保つ。開閉ロッド2が上記のように押し上げ位置を保っていれば、クランプ機構が上記ツールをクランプし続ける。また、このときには、電動モータMは停止した状態を保つ。
なお、上記のようにノーマル位置において、ピストン5を押し上げ位置に保ったのは、開閉ロッド2と下側ロッド部6aとを非接触の状態に保つためである。つまり、上記ノーマル位置では、開閉ロッド2が切削工具とともに高速回転するので、もし、それら両者が接触していると、その接触部分で焼き付きなどが発生してしまう。このような焼き付きを防止するために、ノーマル状態で開閉ロッド2と下側ロッド部6aとを非接触にしたものである。
【0009】
上記の状態からコントローラCは、クランプ機構の動作前となるオートツールチェンジャーAの特定の動作信号を出力すると同時に、電動モータMの起動信号も出力する。この電動モータMの起動信号に基づいて、電動モータMを予め回転させておく。このように電動モータMを予め回転させておけば、クランプ機構の動作時には、電動モータMが所期の回転数まで上がり、その起動遅れなど問題にならない。
その後、制御バルブvを上記ノーマル位置から切り換えれば、シリンダ4の下側室4aがタンクTに連通し、上側室4bがポンプPに連通するので、ピストン5が下降する。ピストン5が下降すれば、下側ロッド部6aで開閉ロッド2を押し下げる。
この開閉ロッド2が所定位置まで下降すると、クランプ機構のクランプ力が解除される。このクランプ力が解除されるときの開閉ロッド2の位置は、スイッチングロッド8が下側のリミットスイッチ10をオンにする位置である。
【0010】
このようにリミットスイッチ10がオンになると、コントローラCが動作して電動モータMおよび油圧ポンプPを停止しても、制御バルブvを設定された時間内、切り換え位置に保つ。そして、この設定時間が経過するか、またはツール交換終了信号が入力すると、コントローラCが制御バルブvに切り換え信号を送信し、制御バルブvを再びノーマル位置に切り換える。
上記のように制御バルブvがノーマル位置に切り換われば、ピストン5が上昇して、再びクランプ力を発揮させる。
このとき、スイッチングロッド8が上側のリミットスイッチ9に接触してそれをオンにするが、このようにリミットスイッチ9がオンになると、コントローラCが動作して、電動モータMを停止させる。電動モータMが停止してしまえば、油圧ポンプPも停止する。ただし、このとき、開閉ロッド2がスプリング3のバネ力で押し上げ位置を保つので、そのバネ力でクランプ力は維持される。
【0011】
このようにした従来の装置では、制御バルブv、油圧ポンプP、タンクTおよび電動モータMを、一体化してシリンダ4に固定したので、特別な配管が不要になる。
また、油圧ポンプPは、クランプ力を解除するときだけ、動作させればよいことになる。言い換えれば、スプリング3のバネ力でクランプ力を維持しているときには、油圧ポンプPを止められるので、その分、エネルギーロスが少なくなる。
しかも、クランプ装置のクランプ力を解除するときに、電動モータMの起動遅れがないので、装置全体の作業スピードも維持される。
【0012】
なお、この種の工作機械用ツールのクランプ装置では、例えばそれを自動車生産工場などで使うと、工具の交換スピードが特に問題になる。そのために従来の電動モータの起動遅れは、装置全体の作業スピードに大きく影響していたが、この従来の装置の場合には、電動モータの起動遅れを問題にする必要がない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようにした従来の装置では、油圧ポンプとタンクとを連通する配管も不要で、しかも、電動モータの起動遅れもないという有利さがあるが、タンクを必要とするという点において、小型化に限界があるという問題があった。
この発明の目的は、タンクまでも不要にして、さらなる小型化を可能にした装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明は、開閉ロッドにスプリングのバネ力を作用させ、そのバネ力の作用でクランプ力を維持する一方、シリンダの推力をバネ力に抗して開閉ロッドに作用させ、このバネ力に抗する開閉ロッドの推力でクランプ力を解除する構成にした機械工作用ツールのクランプ装置を前提にする。
【0015】
上記の装置を前提にしつつ、第1の発明は、シリンダの一方の室を圧力室とし、他方の室をタンク室とする一方、シリンダの圧力室に圧油を供給する油圧ポンプと、この油圧ポンプを回転させる電動モータとを設け、しかも、この油圧ポンプの吸込側を上記タンク室に連通し、油圧ポンプの吐出側を、シリンダの圧力室以外にアンロード弁にも接続し、アンロード弁が開位置にあるとき、油圧ポンプの吐出側をその吸込側およびタンク室に連通して油圧ポンプを空回転させ、アンロード弁が閉位置に切り換わったとき、シリンダの圧力室に圧油を供給してクランプ力を解除する構成にした点に特徴を有する。
【0016】
第2の発明は、シリンダのタンク室にリターンスプリングを設け、圧力室に圧力が作用していないクランプ状態で、開閉ロッドとシリンダのピストンロッドとを非接触にした点に特徴を有する。
第3の発明は、アンロード弁を電磁アンロード弁とするとともに、この電磁アンロード弁の開閉タイミングや電動モータの起動タイミングを制御するCPU等からなるコントローラを設けるとともに、このコントローラは、クランプ力解除以前となるオートツールチェンジャー等の特定の基準動作に応じて、電動モータを起動させるとともに、アンロード弁を閉位置に切り換える構成にした点に特徴を有する。
第4の発明は、コントローラは、電動モータを起動させた後に、アンロード弁を閉位置に切り換える構成にした点に特徴を有する。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1および図2に示した実施例は、従来のシリンダ15の上側室を圧力室16とし、この圧力室16を、図2の回路図に示すように通路17を介して油圧ポンプPの吐出側に接続している。また、シリンダ15の下側室をタンク室18とし、このタンク室18にリターンスプリング19を介在させるとともに、このタンク室18を、通路20を介して油圧ポンプPの吸込側に連通させている。
また、上記油圧ポンプPは電動モータMに連係しているが、この電動モータMは、従来と同様にCPU等からなるコントローラCに接続している。なお、このコントローラCには、オートツールチェンジャーAも接続していること、従来と同様である。
【0018】
さらに、上記油圧ポンプPの吐出側は、コントローラCに接続した電磁アンロード弁21にも接続している。この電磁アンロード弁21は、図示のノーマル位置で開き、そのソレノイドを励磁させることによって閉位置に切り換わる。
そして、電磁アンロード弁21が開位置を保つと、油圧ポンプPの吐出側がこの電磁アンロード弁21を経由して通路20と合流し、自らの吸込側にも連通する。言い換えれば、油圧ポンプPと電磁アンロード弁21との間で閉回路が構成される。したがって、このときには、油圧ポンプPが空回転することになる。
なお、図中符号22はチェック弁、23、24はフィルター、25はリリーフ弁である。また、符号8〜10は、従来と同様のスイッチングロッドおよびリミットスイッチである。
【0019】
次に、この実施例の作用を説明する。
このクランプ装置で、図示していない切削工具などのツールをクランプしているときには、電動モータMすなわち油圧ポンプPを停止させるとともに、電磁アンロード弁21を図示のノーマル位置すなわち開位置に保つ。
このように油圧ポンプPが停止していれば、ピストン5がリターンスプリング19の作用で、押し上げ位置を保つとともに、開閉ロッド2もスプリング3の作用で、押し上げ位置を保つ。開閉ロッド2が上記のように押し上げ位置を保っていれば、クランプ機構がツールをクランプし続ける。
【0020】
なお、上記のようにノーマル位置において、ピストン5を押し上げ位置に保ったのは、開閉ロッド2と下側ロッド部6aとを非接触の状態に保つためである。つまり、上記ノーマル位置では、開閉ロッド2が切削工具とともに高速回転するので、もし、それら両者が接触していると、その接触部分で焼き付きなどが発生してしまう。このような焼き付きを防止するために、ノーマル状態で開閉ロッド2と下側ロッド部6aとを非接触にしたもので、この点は従来と同様である。
【0021】
上記の状態からコントローラCが、従来と同様にクランプ機構の動作前となるオートツールチェンジャーAの特定の動作信号を出力すると同時に、電動モータMの起動信号も出力する。この電動モータMの起動信号に基づいて、電動モータMが回転する。したがってこのときには電磁アンロード弁21に切り換え信号が出力されない。つまり、電磁アンロード弁21が図示の開位置を保ったままとなる。
電磁アンロード弁が開位置を保ったままなので、油圧ポンプPが回転しても、その吐出油は、電磁アンロード弁21を経由して、油圧ポンプPの吸込側に流れるだけで、シリンダ15は動作しない。このようにシリンダ15を動作させずに、油圧ポンプPを空回転させるのは、クランプ動作までの間、電動モータMの回転数を予め上げておいて、その起動遅れが発生しないようにするためである。
【0022】
その後、コントローラCが電磁アンロード弁21の切り換え信号を出力し、それを閉位置に切り換える。電磁アンロード弁21が閉位置に切り換われば、シリンダ15の圧力室16がポンプPに連通するので、ピストン5が下降する。ピストン5が下降すれば、下側ロッド部6aで、クランプ機構の開閉ロッド2を押し下げる。開閉ロッド2が所定位置まで下降すると、クランプのクランプ力が解除される。このクランプ力が解除されるときの開閉ロッド2の位置は、スイッチングロッド8が下側のリミットスイッチ10をオンにする位置である。
【0023】
このようにリミットスイッチ10がオンになると、コントローラCが動作して電動モータMおよび油圧ポンプPを停止する。ただし、電磁アンロード弁21を設定された時間内そのままにして閉位置に保つ。したがって、シリンダ15の圧力室16に圧力がこもったままになるので、クランプ力を解除した状態を維持する。そして、上記設定時間が経過するか、またはツール交換終了信号が入力すると、コントローラCが電磁アンロード弁21に切り換え信号を送信し、電磁アンロード弁21を再び開位置に切り換える。
【0024】
上記のように電磁アンロード弁21が開位置に切り換われば、圧力室16の圧油が電磁アンロード弁21から流出して油圧ポンプPを空回転させながらそのエネルギーが消費される。したがって、ピストン5がリターンスプリング19の作用で上昇して、再びクランプ力を発揮させる。
このとき、スイッチングロッド8が上側のリミットスイッチ9に接触してそれをオンにし、一連の動作を終了する。
また、当該回路内の作動油が、リークなどの理由によって減少したときには、その不足分がタンク室18から補給される。
【0025】
【発明の効果】
第1の発明によれば、タンクが不要なので、そのタンクの分だけ小型化が可能になる。
第2の発明によれば、開閉ロッドとシリンダのピストンロッドとを非接触にできるので、エネルギーロスがなくなる。
第3の発明によれば、コントローラの動作で、油圧ポンプを自動的に駆動させ、かつ、電磁アンロード弁も自動的に切り換えられる。
第4の発明によれば、電動モータの起動遅れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】要部の断面図である。
【図2】回路図である。
【図3】従来のクランプ装置の要部の断面図である。
【図4】従来のクランプ装置の回路図である。
【符号の説明】
A オートツールチェンジャー
P 油圧ポンプ
M 電動モータ
C コントローラ
2 開閉ロッド
5 ピストン
6 ピストンロッド
15 シリンダ
16 圧力室
18 タンク室
19 リターンスプリング
21 電磁アンロード弁

Claims (4)

  1. 開閉ロッドにスプリングのバネ力を作用させ、そのバネ力の作用でクランプ力を維持する一方、シリンダの推力をバネ力に抗して開閉ロッドに作用させ、このバネ力に抗する開閉ロッドの推力でクランプ力を解除する構成にした機械工作用ツールのクランプ装置において、シリンダの一方の室を圧力室とし、他方の室をタンク室とする一方、シリンダの圧力室に圧油を供給する油圧ポンプと、この油圧ポンプを回転させる電動モータとを設け、しかも、この油圧ポンプの吸込側を上記タンク室に連通し、油圧ポンプの吐出側を、シリンダの圧力室以外にアンロード弁にも接続し、アンロード弁が開位置にあるとき、油圧ポンプの吐出側をその吸込側およびタンク室に連通して油圧ポンプを空回転させ、アンロード弁が閉位置に切り換わったとき、シリンダの圧力室に圧油を供給してクランプ力を解除する構成にした工作機械用ツールのクランプ装置。
  2. シリンダのタンク室にリターンスプリングを設け、圧力室に圧力が作用していないクランプ状態で、開閉ロッドとシリンダのピストンロッドとを非接触にした請求項1記載の工作機械用ツールのクランプ装置。
  3. アンロード弁を電磁アンロード弁とするとともに、この電磁アンロード弁の開閉タイミングや電動モータの起動タイミングを制御するCPU等からなるコントローラを設けるとともに、このコントローラは、クランプ力解除以前となるオートツールチェンジャー等の特定の基準動作に応じて、電動モータを起動させ、電磁アンロード弁を閉位置に切り換える構成にした請求項1または2記載の工作機械用ツールのクランプ装置。
  4. コントローラは、電動モータを起動させた後に、アンロード弁を閉位置に切り換える構成にした請求項3記載の工作機械用ツールのクランプ装置。
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