JP2006226423A - 回転シリンダ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 油圧ユニットを一体に備えても主軸部後端に取り付け得る実用レベルの重量となる回転シリンダ装置を提供する。
【解決手段】 回転シリンダ1のハウジング10に固着される取付ベース22に取り付けた油圧ポンプ23をエアモータ25により回転駆動し、作動油タンク24からの作動油を汲み上げてシリンダ室4へ供給する油圧ユニット20を構成する。エアモータ25は電気モータのようなコイルを有するロータ、ステータ構造でないため、重量が軽く、エアモータ25を採用したことにより油圧ユニット20を付加した回転シリンダ装置としても全体重量が実用的な範囲に収まり、主軸部60後端に無理なく取り付けできる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、旋盤の主軸部後端に取付けられ、油圧ユニットから圧油の供給を受けて動作し、主軸部先端のワーク把握チャックを開閉作動させる回転シリンダ装置に関するものである。
従来一般には、旋盤の主軸部後端に取り付けた回転シリンダを作動させるために、作動油タンクと油圧ポンプとポンプ駆動用のモータとを備えた油圧ユニットを旋盤に対して別置きし、その油圧ユニットと回転シリンダとを長い油圧配管で接続していた。このような構成では配管の取り回しが容易でないなどの理由から、特許文献1に記載のように、油圧シリンダと、油圧ポンプ駆動用の電気モータと、油圧ポンプと、作動油タンクとを含むハイブリッド油圧駆動ユニットを、旋盤の主軸台に内蔵したものが知られている。
また、回転シリンダではないが、特許文献2に記載のように、電動モータでポンプ駆動するようにした油圧ユニット一体型直動シリンダも知られている。
特許文献3には、エアモータで油圧ポンプを駆動するようにした油圧ユニットが開示されている。
特開2002−172504号公報 特開2001−124013号公報 特開平5−340411号公報
特許文献1のものは、主軸部後端に取り付ける回転シリンダに油圧ユニットを取り付けたものではない。また、電気モータは重量が嵩むので、そうした電気モータを備えた特許文献1や特許文献2の油圧ユニットは、重量がきわめて大きくなって主軸部後端に取り付け得るものではない。
更に、電気モータを備えたものでは、モータからの発熱、油圧ポンプによる発熱により作動油の油温が上昇するのに加えて、油圧作動の回転シリンダのディストリビュータ部分での回転による発熱によっても作動油温度が上昇する。主軸部後端に取付ける回転シリンダにおいては、高い温度の作動油が回転シリンダに供給されると、その熱が主軸に伝わって主軸が熱変位を引き起こし、加工精度に影響を与える問題がある。
特許文献3では、停電時に繋がるクラッチでエアモータを油圧ポンプに接続してエアモータを圧縮空気で作動させ、停電時に油圧機器への圧油供給が断たれることのないようにしたものであり、工作機械の回転シリンダへの適用の示唆はない。
この発明は、重量増加を極力抑えて主軸部後端への取付けを可能とし、長い油圧配管を不要とした安全性の高い実用的な回転シリンダ装置を提供するものである。また、作動油の温度上昇を抑えて主軸への熱影響を少なくできる回転シリンダ装置を提供するものである。
本発明の回転シリンダ装置は、ピストンを内蔵しているシリンダ本体をディストリビュータに相対回転可能に設け、油圧ポンプ、作動油タンク、ポンプ駆動モータを備えた油圧ユニットにより発生する圧油をディストリビュータを介してシリンダ本体内に供給してピストンを作動するようにした回転シリンダ装置において、油圧ユニットのポンプ駆動モータをエアモータで構成し、その油圧ユニットをディストリビュータに一体的に設けて成ることを特徴とする。
また、シリンダ本体の後側中心部に軸部を突設し、軸部に筒形のディストリビュータを軸受を介して相対回転可能に嵌合し、そのディストリビュータに油圧ユニットを一体的に設けたことを特徴とする。
また、シリンダ本体の内部中心部に筒部を設け、筒部にディストリビュータの軸部を軸受を介して相対回転可能に嵌挿し、そのディストリビュータに油圧ユニットを一体的に設けたことを特徴とする。
また、ディストリビュータにハウジングを固定的に設け、そのハウジングに油圧ユニットを一体的に設けて成ることを特徴とする。
また、ディストリビュータに取付ベースを固定的に設け、その取付ベースに油圧ポンプ、作動油タンク、エアモータを一体的に設けて油圧ユニットを構成して成ることを特徴とする。
また、取付ベースに貫通孔を設け、貫通孔の一端に油圧ポンプを、他端にエアモータを固着してエアモータの出力軸と油圧ポンプの入力軸を連結し、取付ベースに作動油タンクを一体的に連結して油圧ユニットを構成して成ることを特徴とする。
本発明は、油圧ユニットのポンプ駆動モータをエアモータで構成し、その油圧ユニットをディストリビュータに一体的に設けているので、油圧ユニットの重量を大きく軽減して回転シリンダと一体化したときの総重量を主軸部後端に装着できる程度の実用的な重量にでき、長い油圧配管を省いた取扱いの容易な回転シリンダ装置を実用化できる。また、エアモータとしたことでモータ作動による熱発生が少なくなって作動油の温度上昇を少なくでき、主軸に伝わる熱を少なくできて加工精度を高く維持できる。しかも、長い油圧配管を無くすことで、配管からの油洩れを防止でき、回転シリンダ装置の安全性を高めることができる。
また、本発明は、ディストリビュータにハウジングを固定的に設け、そのハウジングに油圧ユニットを一体的に設けているので、回転シリンダの構成を変更することなくハウジングの一部を利用して油圧ユニットを容易に一体的に設けることができる。
また、本発明は、ディストリビュータに取付ベースを固定的に設け、その取付ベースに油圧ポンプ、作動油タンク、エアモータを一体的に設けて油圧ユニットを構成しているので、油圧ユニットを種々のディストリビュータに容易に一体的に設けることができる。
また、本発明は、 取付ベースに貫通孔を設け、貫通孔の一端に油圧ポンプを、他端にエアモータを固着してエアモータの出力軸と油圧ポンプの入力軸を連結し、取付ベースに作動油タンクを一体連結して油圧ユニットを構成しているので、油圧ユニット自体の組付けとディストリビュータへの一体化とを簡易にでき、しかも、エアモータ自体が圧縮空気の供給により回転する際に内部で断熱膨張が起きて冷却され、エアモータの低温が作動油タンクに伝わってタンク内の作動油を冷やして回転シリンダへ供給される作動油の温度上昇を抑えることができ、主軸部の熱変位を小さくできて加工精度に及ぼす影響を小さくできる。
1は本実施形態の回転シリンダで、図6に示すようにシリンダ本体2の前端面をロッドカバー3で塞いでシリンダ室4を形成し、そのシリンダ室4にピストン5がピン6によって回り止めされた状態で軸方向移動可能に内蔵されている。シリンダ室4はピストン5により前後のシリンダ室4a,4bに区画されている。シリンダ本体2の後側中心部に軸部7が一体に突設され、軸部7の外周に筒形のディストリビュータ8が軸受9を介して相対回転可能に嵌合されている。ディストリビュータ8は、ハウジング10の環状支持孔10aに固定的に嵌着されている。ディストリビュータ8とハウジング10は固定的に設けられているが、ディストリビュータ8に大きな回転力が作用した際に相対回転を許すように設けることが安全対策上好ましい。ディストリビュータ8には2つの環状溝11,12が形成されており、一方の環状溝11は軸部7とシリンダ本体2に設けた流路13を介して前側のシリンダ室4aに連通し、もう一方の環状溝12は軸部7とシリンダ本体2に設けた流路14を介して後側のシリンダ室4bに連通している。
ハウジング10には一端が各環状溝11,12に連通する流路15,16が形成されている。各流路15,16の他端はハウジング10下面に開口している。ハウジング10の下方にはドレン回収空間10bが備えられ、そのドレン回収空間10bに軸部7とディストリビュータ8との隙間に流れ出した作動油が回収されるようになっている。ハウジング10にはドレン回収空間10bに連通するドレン排出孔17が設けられている。シリンダ室4a、4bから排出される作動油は、流路15,16、後述の流路37,38、切換弁34、戻し配管39を経て作動油タンク24に流れる。
次に油圧ユニット20について説明する。本実施形態の油圧ユニット20は、ハウジング10の下面にボルト21を介して一体的に設けたブロック状の取付ベース22に、油圧ポンプ23、作動油タンク24、ポンプ駆動モータ25を備えたものである。取付ベース22には、回転シリンダ1軸線と平行な貫通孔22aが形成してある。貫通孔22aの一端(前端)には油圧ポンプ23が固着され、油圧ポンプ23の入力軸23aが貫通孔22a内に突出している。貫通孔22aの他端(後端)にはポンプ駆動モータであるエアモータ25が固着してあり、エアモータ25の出力軸25aが貫通孔22a内に臨んでいる。モータ出力軸25aとポンプ入力軸23aとは同一軸線上にあり、カップリング26で連結してある。エアモータ25は図7に示すように、モータボディ27内に複数枚の羽根28を有するロータ29が回転自在に設けられていて、給気孔30から圧縮空気を導入してロータ29を回転する構造である。
作動油タンク24は箱状に形成されたタンク本体31と上板32とから成り、上板32を介して取付ベース22の下面に固着されている。上板32には吸入パイプ33が貫通されて適宜なシール材で油密にシールされており、吸入パイプ33の下端に設けたストレーナ33aがタンク本体31内に配置されている。吸入パイプ33の上端は油圧ポンプ23の吸引側23bに接続されている。取付ベース22の一側面には4ポート電磁切換弁34が取り付けてある。切換弁34のA,B,P,Tポートに夫々取付ベース22に設けた流路35〜38が連通している。Tポートに連通する流路35にはタンク24内に配置されている戻し配管39が接続されている。Pポートに連通する流路36は油圧ポンプ23の吐出側23cに連通している。この流路36にはリリーフ流路40が連通され、リリーフ流路40は取付ベース22下面に開口し、下端部にリリーフ弁41が設けてあり、リリーフされた作動油はタンク24内に戻るようになっている。Aポート、Bポートに連通する流路37,38は回転シリンダ1のハウジング10に形成された流路15,16に夫々連通している。取付ベース22に設けたドレン孔42上端がドレン排出孔17に連通している。下端は作動油タンク24の上板32に設けた貫通孔32aに連通している。
上記構成の回転シリンダ1のロッドカバー3が図1に示すように旋盤の主軸部60後端に一体的に設置され、ピストン5のロッド部5aと主軸部60先端に取り付けたチャック61とがコネクティングチューブ62によって連結される。その結果、シリンダ本体2や軸部7は、主軸部60を介してチャック61と一体に回動するようになる。また、油圧ユニット20により発生する圧油をシリンダ室4に供給することでピストン5が往復動され、その往復動でチャック爪61aを開閉作動するようになっている。なお、ディストリビュータ8、ハウジング10及び油圧ユニット20は、主軸部60を回転可能に保持している主軸台(図示しない)等に設置されたフォーク部材(図示しない)によって回り止めされている。
上記回転シリンダ装置は、回転シリンダ1のディストリビュータ8と油圧ユニット20が一体的に設けられているので、旋盤の主軸60に装着する際に、油圧配管の作業が不要であるし、床面への油圧ユニットの設置作業も不要であり、据付け作業を容易にでき、しかも、床面を有効利用できる。また、エアモータ25は電気モータのようなコイルを有するロータ、ステータ構造でないため、重量を軽くしてある。モータ出力を同じ、例えば、0.75kWとしたときには、エアモータの重量はおよそ2kg、これに対して電気モータはその6倍以上である。従って、エアモータ25を採用したことにより油圧ユニット20を付加した回転シリンダ装置としての重量が実用的な範囲に収まり、主軸部60後端に無理なく取り付けできる。
次に回転シリンダ装置の油圧作動を、図8に示す模式的な油圧回路に基づいて説明する。図8では実体の流路等と対応する部分には同じ符号を付している。エアモータ25に工場のエア配管を接続し、圧縮空気をエアモータ25に送り込む。エアモータ25の出力軸25aが回転して油圧ポンプ23を駆動し、作動油タンク24から作動油が汲み上げられて電磁弁34を経由し、シリンダ室4へ送り込まれる。エアモータ25は圧縮空気を断熱膨張させて動作するので低温を生じるため、ポンプ駆動用モータとして電気モータを使用する場合と比較して、油圧ユニット20における熱発生を小さくでき、油圧ユニット20から送り出される作動油温度の上昇を抑えることができる。また、取付ベース22を介してエアモータ25が一体に連結してあるから、エアモータ25で生じている低温が作動油タンク24に伝達され、タンク24内の作動油を冷却する効果も期待できる。
電磁弁34が、図8(a)のように左側流路状態に切り替わっているとすると、作動油は流路13を介して前側のシリンダ室4aに送り込まれ、後側のシリンダ室4bの作動油が作動油タンク24に戻り、ピストン5が後退されるが、ピストン5の移動中は油圧ポンプ23の負荷トルクが小さいためにエアモータ25の回転数は上昇し、油圧ポンプ23に大きな流量を生じさせることができ、ピストン5の作動スピードを高めることができる。ピストン25の後退移動によりコネクティングチューブ62を介してチャック61の爪61aを閉じてワーク外径を把持するとピストン5のストロークが止まるため、油圧ポンプ23の負荷トルクが増してエアモータ25の回転数が自動的に下がり、その結果、エアモータ25は大きなトルクを発生しポンプ圧力を高圧に維持する。
こうしてワークを把握した状態で主軸部60が回転して、図示しない刃具によりワークが加工される。主軸部60の回転により回転シリンダ1の軸部7が回転するため、軸受9部分で発熱してその熱がシリンダ室4の作動油に伝播して油温を上げるが、エアモータ25を油圧ユニット20に備えたことで電気モータの場合に比べてシリンダ室4へ供給される作動油の温度が低くなっているので、ディストリビュータ8部分での熱伝達があっても従来ほどの温度上昇がなく、その結果、回転シリンダ1を介して旋盤の主軸部60後端に伝播する熱量が少なくなって主軸部60の熱変位を少なくでき、加工に与える影響を小さくできる。加工が終わると、主軸部60は停止され、電磁弁34が図8(b)のように切り替わると、ピストン5を前方に移動させてワークの把持を開放する。
本発明は、上記の実施態様に限定されるものではなく、他の実施態様にも同様に実施することができる。例えば、前記実施態様では、シリンダ本体2の後側中心部に突設した軸部7に、筒形のディストリビュータ8を相対回転可能に嵌合した回転シリンダ装置を示しているが、図9に示すような、シリンダ本体50の内部中心部に設けた筒部51に、ディストリビュータ52の軸部52aを軸受53を介して相対回転可能に嵌挿した回転シリンダ装置にも同様に実施することができる。また、前記実施態様では、取付ベース22に油圧ポンプ23、作動油タンク24、エアモータ25を一体的に設けて油圧ユニット20を構成しているが、ディストリビュータ8またはハウジング10に油圧ポンプ23や作動油タンク24やエアモータ25を一体的に設けて油圧ユニット20を構成しても良いし、この場合、油圧ユニット20の一部を取付ベース22に一体的に設けても良い。取付ベース22の貫通孔22aの向きを左右または上下にして油圧ポンプ23とエアモータ25の取付け位置を変更しても良い。
本願回転シリンダ装置の側面図である。 図1のII視図である。 図2のIII視図である。 図1のIV−IV線断面図である。 図1のV−V線断面図である。 回転シリンダの縦断面図である。 エアモータの構造を示す図である。 油圧回路図である。 他の実施形態を示す図である。
符号の説明
2 シリンダ本体
5 ピストン
7 軸部
8 ディストリビュータ
9 軸受
10 ハウジング
20 油圧ユニット
22 取付ベース
22a 貫通孔
23 油圧ポンプ
23a 入力軸
24 作動油タンク
25 エアモータ
25a 出力軸
50 シリンダ本体
51 筒部
52 ディストリビュータ
52a 軸部
53 軸受

Claims (6)

  1. ピストンを内蔵しているシリンダ本体をディストリビュータに相対回転可能に設け、油圧ポンプ、作動油タンク、ポンプ駆動モータを備えた油圧ユニットにより発生する圧油をディストリビュータを介してシリンダ本体内に供給してピストンを作動するようにした回転シリンダ装置において、油圧ユニットのポンプ駆動モータをエアモータで構成し、その油圧ユニットをディストリビュータに一体的に設けて成る回転シリンダ装置。
  2. シリンダ本体の後側中心部に軸部を突設し、軸部に筒形のディストリビュータを軸受を介して相対回転可能に嵌合して成る請求項1記載の回転シリンダ装置。
  3. シリンダ本体の内部中心部に筒部を設け、筒部にディストリビュータの軸部を軸受を介して相対回転可能に嵌挿して成る請求項1記載の回転シリンダ装置。
  4. ディストリビュータにハウジングを固定的に設け、そのハウジングに油圧ユニットを一体的に設けて成る請求項1乃至3の何れかに記載の回転シリンダ装置。
  5. ディストリビュータに取付ベースを固定的に設け、その取付ベースに油圧ポンプ、作動油タンク、エアモータを一体的に設けて油圧ユニットを構成して成る請求項1乃至4の何れかに記載の回転シリンダ装置。
  6. 取付ベースに貫通孔を設け、貫通孔の一端に油圧ポンプを、他端にエアモータを固着してエアモータの出力軸と油圧ポンプの入力軸を連結し、取付ベースに作動油タンクを一体的に連結して油圧ユニットを構成して成る請求項5記載の回転シリンダ装置。
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