JP3763115B2 - 厨芥処理機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は生ゴミ等の厨芥を乾燥処理する厨芥処理機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、生ゴミ等の厨芥を乾燥状態にして腐敗しないようにすると共に、処理中に発生する臭気成分を脱臭処理する厨芥処理機が知られている。
一方、本出願人は、厨芥を乾燥処理して生じる水蒸気を凝縮させ、この凝縮水に臭気を溶け込ませて排水する厨芥処理機を先に出願している。
この厨芥処理機は、図10に示すように、生ゴミAを収納する処理槽10と、処理槽10を収納する空間を形成する加熱室8と、加熱室8内で処理槽10を加熱するヒータ11と、フィンチューブ41およびタンク42からなる空間を形成する凝縮室40と、フィンチューブ41に送風するファン50と、凝縮室40から凝縮水を排水する排出管5と、排出管5の流路を開閉する開閉弁4と、これらを制御するコントローラ12とを備えている。
【0003】
生ゴミAが投入されて乾燥処理の開始操作がされると、開閉弁4を開弁し、ヒータ11により処理槽10を加熱する。
そして、処理槽10の生ゴミAから水分が蒸発し始め、空気を排出管から押し出し、水蒸気が凝縮室40まで満たされると開閉弁4を閉じ、加熱室8と凝縮室40との連通した空間を密閉する。
この状態で、加熱室8で厨芥を加熱して水分を蒸発させながら、フィンチューブ41に送風するファン50を作動させて水蒸気を冷却して凝縮させる。
また、凝縮室40内では、水蒸気が凝縮されることにより負圧となって加熱室8で発生した水蒸気が流れ込み、加熱室8内も負圧となって沸点が下がり、水分が更に蒸発する。
そして、厨芥から発生した臭気のほとんどは凝縮した水に溶け込み、所定のタイミングで開閉弁4を開いて凝縮水と共に臭気成分を排出する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水蒸気を凝縮させるために、フィンチューブ41に送風するファン50が組込まれることから、このファン50によって騒音を生じると共に、フィンチューブ41で熱交換された温かい風が室内に流れ込む等の問題があった。
また、冷却用のファン50を備えることによって、厨芥処理機を安価にできない問題があった。
更に、凝縮水を排水するための排水設備が必要となる問題があった。
そこで、本発明の厨芥処理機は上記課題を解決し、シンクの流し排水管を利用して排水すると共に、冷却用のファンを設けることなく、台所のシンクを利用することによって水蒸気を凝縮させることにより厨芥処理機を安価にすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明による厨芥処理機は、第1に、
生ゴミ等の厨芥を加熱する加熱部と、
上記加熱部と連通され上記厨芥から発生した水蒸気を冷却して凝縮させる凝縮部と、
上記凝縮部での凝縮によって生じた凝縮水を外部に排出する排出路を有し、
上記加熱部で上記厨芥を加熱して水分を蒸発させるとともに上記凝縮部で水蒸気を凝縮させて上記厨芥の乾燥処理を行い、
上記排出路と台所のシンクの水を排水する排水管とを連通し、凝縮によって生じた凝縮水を上記排水管を通して排出する厨芥処理機において、
臭気の戻りを滞留水によって遮るトラップを上記シンクの排水管の途中に設け、このトラップと上記凝縮部とを熱伝導部材で一体に固定し、凝縮部の熱を上記トラップに放熱することを特徴とするものである(第1発明)。
【0007】
また、本発明による厨芥処理機は、第2に、
生ゴミ等の厨芥を加熱する加熱部と、
上記加熱部と連通され上記厨芥から発生した水蒸気を冷却して凝縮させる凝縮室と、
上記凝縮室での凝縮によって生じた凝縮水を外部に排出する排出路を有し、
上記加熱部で上記厨芥を加熱して水分を蒸発させるとともに上記凝縮室内で水蒸気を凝縮させて上記厨芥の乾燥処理を行い、
上記排出路と台所のシンクの水を排水する排水管とを連通し、凝縮によって生じた凝縮水を上記排水管を通して排出する厨芥処理機において、
臭気の戻りを滞留水によって遮るトラップを上記シンクの排出管の途中に設け、当該トラップを上記凝縮室内に配置し、水蒸気の熱を上記トラップへ放熱することを特徴とするものである(第2発明)。
【0010】
上記第1発明によれば、加熱部で厨芥を加熱して水分を蒸発させ、凝縮部で水蒸気を冷却して凝縮し、この凝縮の際に生じる凝縮水をシンクの排水管へ排出し、下水として処理する。
ここで、厨芥から発生した臭気のほとんどは凝縮水に溶け込むことになるから、臭気成分を容易に処理することができる。この結果、特別な排水処理装置が不要となり、厨芥処理機の低コスト化を図ることができる。
加えて、上記凝縮部内の水蒸気は、熱伝導部材を介してシンクの排水管のトラップに放熱され、当該トラップに滞留される滞留水によって冷却されるので、水蒸気の凝縮が促進される。
その結果、凝縮部を冷却する冷却用ファンが不要となって厨芥処理機を安価にできる。
【0011】
また、上記第2発明によれば、加熱部で厨芥を加熱して水分を蒸発させ、凝縮室内で水蒸気を冷却して凝縮し、この凝縮の際に生じる凝縮水をシンクの排水管へ排出し、下水として処理する。
ここで、厨芥から発生した臭気のほとんどは凝縮水に溶け込むことになるから、臭気成分を容易に処理することができる。その結果、特別な排水処理装置が不要となり、厨芥処理機の低コスト化を図ることができる。
加えて、上記凝縮室内の水蒸気は、当該凝縮室内に配される排水管のトラップに放熱され、当該トラップに滞留される滞留水によって冷却されるので、水蒸気の凝縮が促進される。
その結果、凝縮室を冷却する冷却用ファンが不要となって厨芥処理機を安価にできる。
【0013】
【発明の実施形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の厨芥処理機の好適な実施例について説明する。
図1は、本発明の一実施例としての厨芥処理機の概略構成図である。この厨芥処理機はシステムキッチンのシンク1下部に組み込まれるもので、ケーシング前面に設けられる前扉9と、生ゴミAを収納する処理槽10と、処理槽10を収納する空間を形成する加熱室8と、加熱室8内で処理槽10を加熱するヒータ11と、シンク1に当接して水蒸気を凝縮する空間を形成する凝縮室6と、凝縮室6の一部を形成しつつシンク1の流し排水管2に連通する排出管5と、この排出管5と流し排水管2とを挟んで固定し熱伝導によって排出管5を冷却する熱伝導部材3と、排出管5の出口流路を開閉する電磁弁である開閉弁4と、これらを制御するコントローラ12とからなる。
【0014】
開閉弁4は通常閉弁した状態となっており、流し排水管下流から臭気が逆流することが防止される。
また、前扉9を閉じた状態では前扉9とケーシングとの間がシールされ、この状態で開閉弁4を閉弁することにより加熱室8と凝縮室6とにより形成される空間は密閉状態となる。また、加熱室8を形成する壁は断熱構造となっており、加熱室8内壁面で水蒸気の結露が防止される。
【0015】
コントローラ12は、図示しない操作スイッチからの操作に基づいてヒータ11、開閉弁4への通電を制御して乾燥処理運転を行なう。
【0016】
次に、排出管5および排出管5を介して凝縮室6を冷却する熱伝導部材3について、更に詳しく記述する。
この熱伝導部材3は、排出管5と流し排水管2の外形面に密着して固定できるように、断面半丸の溝を設けた2枚の板で形成され、これらの管を両側から挟み込みビス14で固定される。
図1では、シンク1から流れる排水が一時的に溜まるトラップ7のU字部直管部分と排出管5の直管部分とが挟みこまれ固定される。
この場合に、熱伝導部材3は、図2および図3に示すように、流し排水管2のトラップ7の一部または全体を挟む熱伝導部材3a、3bであっても良い。
例えば、図2に示す熱伝導部材3aは、排出管5および流し排水管2の直管部分を挟み込み、ビス14で固定される。
また、図3に示す熱伝導部材3bは、流し排水管2のトラップ7のS字形状に沿って溝が設けられ、排出管5と共に挟み込んで固定される。
【0017】
図4は、シンク1に接する凝縮室6に代えて、シンク1の底面に接して蛇行する管6aが形成されるものである。この管6aには、図示しないが、凝縮水が逆流しないように下流に向けて下り勾配の傾斜が設けられる。
また、図5に示す凝縮室6bは、容積を大きくし、凝縮室6b内に、流し排水管2のトラップ7全体が配置されるものである。
尚、図では凝縮室6b上面が、シンク1の底面に当接していないが、更に凝縮室6bの上面を当接してシンク1によって冷却されても良い。
また、図6に示す凝縮室6cは、内部に流し排水管2のトラップ7全体が配置されると共に、流し排水管2のトラップ7外周面および凝縮室6の外面に熱伝導用のフィンFa、Fbが複数設けられるものである。
このフィンFaは、流し排水管2に挿通される円盤形状を形成し、所定間隔あけて流し排水管2の管外周に設けられる。
また、フィン形状は、これらの形状に限定されず、図7に示すように、トラップ7の外面に、所定間隔で平行に並べられるフィンFcであっても良い。また、フィンとフィンとの間に水蒸気を通過させて効率よく凝縮させるため、図8に示すように、凝縮室6cの入口方向に向けて傾斜するフィンFdであっても良い。
また図では、フィンFbが、凝縮室6cの外面に設けられる例を示しているが、凝縮室6cの内面に設けられても良い。
【0018】
また、流し排水管2のトラップ7の形状は、上述したように、S字状の形状に限定されず、シンク1からの排水を一時的に溜めるものであれば、他の形状であっても良い。
例えば、図9に示すトラップ7aは、円筒状のトラップ円筒7bと、トラップ円筒7bに端管が挿入される流し排水管2と、流し排水管2とトラップ円筒7bとの中間径で、上面が閉じられ下面が開かれた中円筒7cとが設けられ、この中円筒7cがトラップ円筒7b内径と流し排水管2の端管外径との間に、隙間をもって重合すると共に、トラップ円筒7b底面から所定間隔離間して設けられる。
そして、このトラップ7a全体を凝縮室6d内に配置して、凝縮室6d内の水蒸気を冷却するようにしても良い。
この場合に、トラップ7aの容積を大きくして排水を一時的に溜める量を多くすると、冷却効果を増すことができる。
また、容積の大きなトラップ7aではゴミ等が溜まり易いが、このトラップ7a内に、フィルターを設けてゴミを取り除くようにしても良い。
【0019】
次に、この厨芥処理機の動作について図1に基づき説明する。
食器類がシンク1で洗われると、この洗浄水は、流し排水管2から下水へ排水されると共に、流し排水管2途中のトラップ7に所定量溜まる。
一方、処理槽10内に生ゴミAが投入されて乾燥処理の開始操作がされると、開閉弁4を開弁すると共に、ヒータ11により処理槽10を加熱する。そのため、処理槽10及び加熱室8内の温度が上昇し処理槽10内の生ゴミAから水分が蒸発し始める。
そして、この水蒸気が加熱室8及び凝縮室6を満たされることによって、空気が排出管5を経て流し排水管2へ押し出される。こうして空気が排出されると、タイマーにより開閉弁4を閉弁し、加熱室8及び凝縮室6により形成される空間を密閉する。
凝縮室6は、接するシンク1へ熱伝導することにより冷却され、排出管5は、シンク1からの排水が溜められるトラップ7に熱伝導部材3を介して接しており、このトラップ7により冷却される。その結果、凝縮室6内の水蒸気が冷却され凝縮する。
この時、凝縮室6内では水蒸気が凝縮されることにより負圧となって加熱室8で発生した水蒸気が流れ込み、加熱室8内も負圧となって沸点が下がり、水分が更に蒸発する。
この場合に、密閉空間内が負圧となっているため、ケーシング前面の前扉9の隙間から臭気が外に漏れることが防止され臭気成分のほとんどは凝縮水に溶け込む。
そして、乾燥処理中あるいは乾燥処理終了後に開閉弁4を開弁することにより排出管5からシンク1の流し排水管2へ排水される。
【0020】
以上説明したように、本実施例の厨芥処理機によれば、生ゴミAを乾燥処理する際に生じる水蒸気を台所のシンク1からの排水によって冷却して凝縮し、溶け込んだ生ゴミAの臭気と共に、シンク1の流し排水管2へ排水することができる。
従って、冷却用のファンや特別な排水設備を設ける必要がないため、構造を簡単にしてコストを低減することができる。
また、加熱室8が負圧となることで臭気漏れを防ぐことができると共に、真空ポンプ等高価な装置を設ける必要がない。
更に、室内の湿度上昇を防止することができるため、室内環境の悪化を防ぐことができる。
また、この負圧によって沸点が低下するため、低温度で乾燥処理ができ、加熱に要する消費電力を低減すると共に、室内の温度上昇を低減することができる。
【0021】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
例えば、本実施例では、水蒸気が加熱室8及び凝縮室6を満たし、空気を排出した状態となった時点で開閉弁4を閉じたが、その開閉タイミングは、例えば、凝縮室6または加熱室8の温度、湿度、圧力、凝縮水の水位等を検出して判断しても良い。
また、常時、開閉弁4を閉じ、凝縮した水の排出動作は乾燥処理運転終了後にのみ行なってもよく、運転中に複数回行なうようにしてもよく、凝縮水の水位が所定の水位に達した場合に開くようにしても良い。
また、開閉弁4を開弁する直前に、密閉空間内に外気を吸入する構成としてもよい。
【0022】
また、ヒータ11により処理槽10を加熱する構成に限ったものではなく、例えばガスバーナやマイクロ波等により加熱する構成であってもよい。
また、開閉弁4は電磁弁に限らず、例えば負圧により閉弁する逆止弁を用いてもよい。
【0023】
また、本実施例では厨芥を加熱する加熱室8と水蒸気を凝縮させる凝縮室6とを別室としたが、厨芥の加熱及び水蒸気の凝縮を同一室で行なう構成であってもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1、2に記載の厨芥処理機によれば、臭気が溶け込んだ凝縮水をシンクからの生活排水と共に下水として容易に処理できるという優れた効果を奏する。
その結果、特別な排水処理装置が不要となって厨芥処理機を安価にできる。
また、厨芥の加熱により生じた水蒸気は、請求項1に記載の厨芥処理機においては、凝縮部から熱伝導部材を介して、シンクの排水管に設けられるトラップに放熱されて冷却され、請求項2に記載の厨芥処理機においては、凝縮室内に配されるトラップに放熱されて凝縮される。
この結果、冷却用のファンが不要となり厨芥処理機の低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例としての厨芥処理機の概略構成図である。
【図2】熱伝導部材の第2実施例を示す図である。
【図3】熱伝導部材の第3実施例を示す図である。
【図4】凝縮室に代わる蛇行する管を示す図である。
【図5】凝縮室内に、トラップ全体を配置した図である。
【図6】トラップおよび凝縮室に熱伝導用のフィンを設けた図である。
【図7】熱伝導用のフィンの第2実施例を示す図である。
【図8】熱伝導用のフィンの第3実施例を示す図である。
【図9】他の形状のトラップを組込んだ図である。
【図10】従来の厨芥処理機の概略構成図である。
【符号の説明】
1 シンク
2 流し排水管
3 熱伝導部材
4 開閉弁
5 排出管
6 凝縮室
7 トラップ
8 加熱室
9 前扉
10 処理槽
11 ヒータ
12 コントローラ
Claims (2)
- 生ゴミ等の厨芥を加熱する加熱部と、
上記加熱部と連通され上記厨芥から発生した水蒸気を冷却して凝縮させる凝縮部と、
上記凝縮部での凝縮によって生じた凝縮水を外部に排出する排出路を有し、
上記加熱部で上記厨芥を加熱して水分を蒸発させるとともに上記凝縮部で水蒸気を凝縮させて上記厨芥の乾燥処理を行い、
上記排出路と台所のシンクの水を排水する排水管とを連通し、凝縮によって生じた凝縮水を上記排水管を通して排出する厨芥処理機において、
臭気の戻りを滞留水によって遮るトラップを上記シンクの排水管の途中に設け、このトラップと上記凝縮部とを熱伝導部材で一体に固定し、凝縮部の熱を上記トラップに放熱することを特徴とする厨芥処理機。 - 生ゴミ等の厨芥を加熱する加熱部と、
上記加熱部と連通され上記厨芥から発生した水蒸気を冷却して凝縮させる凝縮室と、
上記凝縮室での凝縮によって生じた凝縮水を外部に排出する排出路を有し、
上記加熱部で上記厨芥を加熱して水分を蒸発させるとともに上記凝縮室内で水蒸気を凝縮させて上記厨芥の乾燥処理を行い、
上記排出路と台所のシンクの水を排水する排水管とを連通し、凝縮によって生じた凝縮水を上記排水管を通して排出する厨芥処理機において、
臭気の戻りを滞留水によって遮るトラップを上記シンクの排出管の途中に設け、当該トラップを上記凝縮室内に配置し、水蒸気の熱を上記トラップへ放熱することを特徴とする厨芥処理機。
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