JP3763052B2 - アルミニウム固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

アルミニウム固体電解コンデンサの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、信頼性が高い製品を量産することができるアルミニウム固体電解コンデンサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に多用されているアルミニウム電解コンデンサは、アルミニウム箔をエッチングして表面積を拡大し、それを化成処理して酸化膜を生成したものを陽極箔とし、そして、未化成のものを陰極箔とし、陽極箔と陰極箔との間にマニラ紙などのセパレータを挟んで巻回した素子(以後、「巻回素子」、と呼ぶ)に液体電解質を含浸して完成される(要すれば、「特開平8−78287号公報」、を参照)。
【0003】
近年、前記したアルミニウム電解コンデンサに於ける液体電解質に変えて導電性高分子材料を電解質として用いるアルミニウム固体電解コンデンサが商品化されている。
【0004】
アルミニウム固体電解コンデンサに於ける固体電解質は、アルミニウム電解コンデンサに於ける液体電解質に比較し、電気伝導度が高く、従って、損失が少ないので、周波数特性や温度特性に優れている旨の特徴がある。
【0005】
然しながら、アルミニウム電解コンデンサと異なり、陽極酸化膜の自己修復作用がないことから、陽極酸化膜に欠陥が発生した場合、短絡モードの不良となる可能性が高い。
【0006】
通常、電気機器に用いたコンデンサが短絡した場合、異常電流が流れ、電気機器に火災が発生する危険がある為、アルミニウム固体電解コンデンサでは、陽極酸化膜の耐圧をアルミニウム電解コンデンサの場合に比較して三倍程度に高めたものを用いているのであるが、それに起因して容量は約1/3になってしまう。
【0007】
ところで、従来の技術(例えば、「特開平10−50558号公報」、「特開平10−50560号公報」などを参照)を適用してアルミニウム固体電解コンデンサを製造する場合、巻回素子を作成してから、陽極酸化膜の再化成を行った後、ケースに組み込んで固定している。
【0008】
図7は従来のアルミニウム固体電解コンデンサを製造する工程を説明する為のフロー・チャートであり、まず、第一工程では化成処理で酸化膜が形成された陽極箔、セパレータ、陰極箔からなる巻回素子を作成し、第二工程では陽極箔の酸化膜を再化成して欠陥を修復し、第三工程では洗浄を行い、第四工程では熱処理を行い、第五工程では固体電解質を生成させ、第六工程ではケースへの組み込みを行い、第七工程では巻回素子とケースとをエポキシ樹脂で接着し且つ硬化し、第八工程ではエージングを行い、第九工程で検査を行う。
【0009】
前記図7のプロセスに於いて、第二工程で再化成を行って陽極酸化膜の生成を完全に行っても、その後に続く、第三工程から第七工程に至る迄の間、即ち、洗浄から始まってケースへの組み込みまでの間に巻回素子に何等かのストレスが加わって陽極酸化膜に亀裂を生じ易い旨の問題がある。
【0010】
具体的には、巻回素子をケース内に組み込み、エポキシ樹脂で接着硬化させるまでは、巻回素子のリード端子は容易に動くし、また、巻回素子自体が柔らかくて外力に依って変形し易いので、電極箔にストレスを加えないように取り扱うことは難しく、しかも、陽極酸化膜は1.3〔nm/V〕と極めて薄いものであるから、各工程で細心の注意をはらっても不良率は高く5〔%〕〜50〔%〕に及ぶことがあって、その信頼性は低い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、アルミニウム固体電解コンデンサを製造する際、コンデンサ本体(例えば巻回素子)にストレスが加わらないようにすることが可能な工程順序を採用し、そして、その工程の実施を可能にする手段を提供し、信頼性が高く品質良好なアルミニウム固体電解コンデンサを量産できるようにする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明では、アルミニウム固体電解コンデンサに於けるコンデンサ本体を完成した段階で、直ちにケースに組み込むと共に樹脂に依る接着及び硬化を実施し、工程初期の段階で巻回素子を固定して陽極酸化膜にストレスが加わることを抑止することが基本になっていて、このような工程の実施を可能にするには、巻回素子に於けるリード端子を樹脂で接着及び硬化した後の種々な処理工程の実施を可能にする開口をもったケースが必要であり、そのようなケースは、本出願人の出願に係る特願平7−135116号(特開平8−78287号公報)に開示されている。
【0013】
図1は本発明に依るアルミニウム固体電解コンデンサを製造する工程の一例を説明する為のフロー・チャートであり、まず、第一工程では化成処理で酸化膜が形成された陽極箔、セパレータ、陰極箔からなる巻回素子を作成し、第二工程では巻回素子を第一の開口及び第二の開口をもつケースに第一の開口を介して組み込み、第三工程では巻回素子とケースとを第一の開口に於いてエポキシ樹脂で接着し且つ硬化し、第四工程では陽極箔の酸化膜を再化成して欠陥を修復し、第五工程では洗浄し、第六工程では熱処理し、第七工程では固体電解質を生成させ、第八工程ではエージングし、第九工程では第二の開口を封止し、第十工程では検査を行って完成する。尚、アルミニウム固体電解コンデンサには、主として、前記説明した巻回素子を用いるもの、及び、電極が平板型であるもの、が存在するので、これ等を含めてケース内に存在する部分を「コンデンサ本体」と呼び、また、その構造上、「コンデンサ本体」にはリード端子の一部も含まれる。
【0014】
前記したところから、本発明に依るアルミニウム固体電解コンデンサの製造方法に於いては、
(1)
下部に開放された第一の開口(例えば第一の開口3A)及び上部に狭窄化された第二の開口(例えば第二の開口3B)をもつケース(例えばケース3)内にコンデンサ本体(例えばコンデンサ本体1)を第一の開口から挿入してエポキシ樹脂(例えば接着剤5)で封止固定する工程と、次いで、第二の開口を介して固体電解質原料(例えば3,4−エチレンジオキシ−チオフェン)を導入してコンデンサ本体に被着或いは含浸してから酸化重合反応させて固体電解質(例えばポリエチレンジオキシ−チオフェン)を生成する工程と、次いで、第二の開口を封止する工程とが含まれてなることを特徴とするか、又は、
【0015】
(2)
前記(1)に於いて、コンデンサ本体をケースの上部内壁との間に第二の開口を閉塞しない為の間隙をおいて第一の開口にエポキシ樹脂で封止固定することを特徴とするか、又は、
【0016】
(3)
前記(1)に於いて、固体電解質原料がコンデンサ本体に被着或いは含浸されてから固体電解質原料を酸化重合反応させるために第二の開口を介して酸化剤(例えばp−トルエンスルホン酸鉄(III) )を導入することを特徴とするか、又は、
【0017】
(4)
前記(1)に於いて、酸化重合反応に依って固体電解質を生成させてから第二の開口が開いている状態で乾燥を行う間にエージングを施すことを特徴とするか、又は、
【0018】
(5)
前記(1)に於いて、コンデンサ本体を第一の開口にエポキシ樹脂で封止固定してから第一の開口を介して化成液を導入し且つ陽極に通電することで化成処理を行い、次いで、洗浄及び乾燥を行うことを特徴とするか、又は、
【0019】
(6)
前記(1)に於いて、第二の開口を介して導入する固体電解質原料が3,4−エチレンジオキシ−チオフェンであることを特徴とするか、又は、
【0020】
(7)
前記(3)に於いて、酸化剤を導入してから少なくとも第二の開口内近傍に在る酸化剤を排除することを特徴とするか、又は、
【0021】
(8)
前記(3)に於いて、固体電解質原料と酸化剤とを導入してから超音波振動を加えて混合を促進することを特徴とするか、又は、
【0022】
(9)
前記(5)に於いて、化成処理中に超音波振動を加えることを特徴とするか、又は、
【0023】
(10)
前記(5)に於いて、洗浄液を保持した槽内に第二の開口を浸漬し且つ槽内の減圧と加圧を繰り返してケース内の洗浄液の流入排出を行って洗浄することを特徴とする。
【0024】
前記手段を採ることに依り、コンデンサ本体は、最初から剛性が高いケース内に在って外力から保護されている為、多少手荒く取り扱っても、陽極酸化膜にストレスが加わって欠陥を発生するおそれはないことから、信頼性が高いアルミニウム固体電解コンデンサを実現することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
図2は本発明に於ける第三工程を終了した段階に在るアルミニウム固体電解コンデンサを表す要部切断側面図であり、図に於いて、1はコンデンサ本体、2はリード端子、3はケース、3Aは第一の開口、3Bは第二の開口、3Cはカラー部分、4は接着剤阻止体、5は接着剤をそれぞれ示している。
【0026】
巻回素子を作成するには、従来の技術を適用して良く、図示されている二本のリード端子2の一方は陽極箔に、また、他方は陰極箔にそれぞれ接続されていることは云うまでもない。
【0027】
巻回素子のリード端子2に接着剤阻止体4を嵌装し、それを第一の開口3Aを介してケース3内に挿入し、エポキシ樹脂などの接着剤5を注入して硬化させることで巻回素子はケース3に固定されて図示の構造が完成される。尚、接着剤阻止体4は、文字通り接着剤5がコンデンサ本体1などに流入することを阻止する役割を果たし、加えて、巻回素子の位置決めをする役割を果たしている。
【0028】
このように、巻回素子を工程初期の段階でケース3に固定しておくことで、リード端子2を押し開いてもコンデンサ本体1にストレスが加わることはなく、また、以後の加工工程でケース3を保持してもコンデンサ本体1にストレスが加わることもない。
【0029】
ケース3の材料としては、ポリフェニレンサルファイド(polyphenylene sulfide:PPS)樹脂のような溶融温度が高い熱可塑性樹脂を用い、ピーク温度が約240〔℃〕である半田リフロー温度に耐えるようにしているが、ケース3と同様に第一の開口3A及び第二の開口3Bをもつ構造のアルミニウム・ケースであっても良い。因みに、PPS樹脂の溶融温度は約280〔℃〕である。
【0030】
接着剤5としては、半田リフローを経ても、リード端子2やケース3との接着性が劣化せずに機械的強度を維持する必要があり、熱硬化性のエポキシ樹脂は、その目的に適している。
【0031】
巻回素子をケース3に固定した後、図1に見られる工程フローでは、再化成→洗浄→熱処理の各工程を経るのであるが、これらの工程は、巻回素子を作成するまでに実施される化成に依って形成された陽極酸化膜に欠陥が生じないか、或いは、高い製造歩留りを要求されなければ不要であり、従って、その説明は後にして、次に、固体電解質の生成について説明する。
【0032】
さて、第二の開口3Bから固体電解質を生成させる為の物質を導入し且つ該物質を処理して固体電解質としなければならないが、従来、このようなことは実施されていないので、その実現には技術を要する。
【0033】
この実施の形態では、固体電解質原料に於ける導電性高分子材料として3,4−エチレンジオキシ−チオフェンを、また、酸化剤としてp−トルエンスルホン酸鉄(III) をそれぞれ用いている。
【0034】
3,4−エチレンジオキシ−チオフェンは濃度が高く、取り扱い難いので、エタノールに溶解して20〔重量%〕溶液として流動性を高めている。以下の記述では、この液を第一液と呼ぶことにする。
【0035】
この第一液は、後にケース3を完全に封止することを考慮して狭く形成されている第二の開口3Bを介して導入しなければならず、その為には、真空含浸法を適用すると好結果が得られる。
【0036】
図3及び図4は工程要所に於けるアルミニウム固体電解コンデンサ及び製造装置を表す要部切断側面説明図であり、図2に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0037】
図に於いて、2Aは陽極側リード端子、2Bは陰極側リード端子、10はアルミニウム固体電解コンデンサ、21は真空含浸槽、22は第一液送入管、23はバルブ、24は排気管、25は切り替えバルブ、26は正側電源電圧供給路を兼ねた可動コンデンサ支持部材、27は陰極、28は直流電源、29は超音波加振装置、30は振動子、31は液温制御ユニット、32は電解液タンク、33は真空ポンプ、34は排気管、35は外気供給管、36は第一液、38は透明な有底円筒体、39は空気の気泡をそれぞれ示している。尚、図示のアルミニウム固体電解コンデンサ製造装置の主体は真空含浸装置である。
【0038】
図3及び図4を参照しつつ、アルミニウム固体電解コンデンサの製造工程について説明する。
【0039】
図3参照
3−(1)
図示されているように、真空含浸槽21外に延在している可動コンデンサ支持部材26の一端を充分に押し下げ、この状態で、コンデンサ10を真空含浸槽21内にセットするが、この場合、ケース3の開口3Cが真空含浸槽21の底に対向するように向け、且つ、陽極側リード端子2Aを可動コンデンサ支持部材26に接続することで実施する。
【0040】
3−(2)
バルブ23を開き、所要量の第一液36をタンク32から真空含浸槽21内に移し、液面が所定高さに維持された段階でバルブ23を閉じる。
【0041】
真空含浸作業が連続して行われているのであれば、第一液タンク32から真空含浸槽21内に移す第一液36の量は、前回真空含浸作業に於ける消費分を補う程度である。
【0042】
図示の状態では、真空含浸槽21外に延在している可動コンデンサ支持部材26が押し下げられているので、コンデンサ10は第一液36に未だ触れていない。
【0043】
3−(3)
液温制御ユニット31を作動して、第一液36の液温が適正になるように維持する。
【0044】
通常、第一液36の温度を制御する必要はないが、真空含浸及びコンデンサ本体1の陽極箔に酸化膜を生成させる為の再化成の各処理は、第一液36の温度と関係をもつので、その種類に適した温度にコントロールした方が良い。
【0045】
3−(4)
この状態で、切り替えバルブ25を真空ポンプ33と連通するように切り替えることで真空含浸槽21内を外気と遮断し、真空ポンプ33を駆動して排気を行う。
【0046】
真空含浸槽21内の気圧は低下するので、ケース3内の空気及び有底円筒体38内の空気も膨張して拡散し、次第に排出される。
【0047】
この際、ケース3から排出される空気の流れを見ることはできないが、底を上にして開口を第一液36中に浸漬した有底円筒体38から排出される空気は気泡39となって第一液36中を通過するので視認することができる。尚、透明な有底円筒体38としては、通常のガラスからなる試験管を利用することができる。
【0048】
排気が進行し、有底円筒体38から気泡が現れない状態となった時点で、真空含浸槽21内の気圧が目標値に達し且つ一定値を維持しているものと判断して良い。
【0049】
図4参照
4−(1)
可動コンデンサ支持部材26に於ける真空含浸槽21外に延在している部分の押し下げを若干戻し、コンデンサ10に於けるケース3の第二の開口3Bが第一液36中に浸漬された状態とする。尚、この状態では、ケース3内や有底円筒体38内に第一液36が入ってくることはない。
【0050】
4−(2)
真空ポンプ33を停止してから、切り替えバルブ25を外気供給管35と僅かに連通するように切り替えることで真空含浸槽21内に外気を緩徐に導入する。
【0051】
このようにすると、第一液36は徐々にケース3内並びに有底円筒体38内に入り込み、コンデンサ本体1に液面が到達すると、陽極箔と陰極箔との間に介挿されている絶縁紙からなるセパレータに於ける毛細管現象に依って第一液36が吸い上げられ、コンデンサ本体1の液面は、ケース3内の液面よりも高くなる。
【0052】
4−(3)
外気の導入が更に進行して、真空含浸槽21内の圧力が上昇すると、第一液36の液面は更に上昇する。図では、第一の液36がコンデンサ本体1に含浸されつつある状態を表している。
【0053】
4−(4)
外気の導入が完了し、真空含浸槽21内の気圧が大気圧となった場合、ケース3内と有底円筒体38内には第一液36が充満する。
【0054】
第一液36の含浸量は、コンデンサの種類に応じて定めるのであるが、一般に、ケース3に於ける容積の60〔%〕〜70〔%〕程度で良いから、真空含浸時の減圧は300〔hPa〕〜400〔hPa〕程度にする。
【0055】
前記した工程を経て、コンデンサ10には第一液36が含浸され、その後、含浸された第一液36を乾燥させる工程に入るのであるが、第二の開口3Bを下向きにしておきたのでは、第一液36が流出してしまうので、第二の開口3Cが上を向くように保持しなければならない。
【0056】
図5は乾燥工程にあるコンデンサ及びコンデンサの載置台を表す要部切断側面図であり、図2乃至図4に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0057】
図に於いて、40は載置台、40Aはコンデンサのリード端子2A及び2Bを受容する凹所、xはコンデンサ本体1の頂面とケース3に於ける第二の開口3B側の壁面、即ち、上壁内面との間の間隙をそれぞれ示している。
【0058】
図示されている間隙xは、第二の開口3Bを介して外部と連通するのに必要な通路をなしていて、少なくとも0.1〔mm〕以上、好ましくは0.5〔mm〕程度が必要である。
【0059】
市場の要求では、外形寸法をできる限り小さくすることが要求されている為、従来のコンデンサでは間隙xを0にするのであるが、本発明によるコンデンサでは、そのようにした場合、第一液36の乾燥が不十分となり、信頼性が低下するので、前記した程度の間隙xをもたせることが必要である。
【0060】
前記した程度の間隙xを維持する為には、コンデンサ本体1の頂面がケース3の上壁面と直接触れないようにケース3の上壁内面に所要の間隙xと等しい高さの突起を設けておくと有効である。
【0061】
第一液36の溶媒はエタノールであるから、その沸点78.3〔℃〕を越えない温度、例えば70〔℃〕を維持して乾燥させることが好ましく、その乾燥時間は、コンデンサの大きさ、及び、第二の開口3Bの大きさに依存して異なることは当然であり、ケース3の外形寸法が3.6〔mm〕×3.6〔mm〕×6.3〔mm〕〜4.6〔mm〕×4.6〔mm〕×10.1〔mm〕で、第二の開口3Bの直径φが0.8〔mm〕である場合、30〔分〕〜3〔時間〕である。
【0062】
乾燥が終わると、コンデンサ本体1の内面及び外面は前記導電性高分子材料のモノマからなる膜で覆われているので、これに酸化剤を混合して酸化重合反応を生じさせ、固体電解質を生成させなければならない。
【0063】
この実施の形態では、前記したように、酸化剤としてp−トルエンスルホン酸鉄(III) を採用し、これを正ブチルアルコール(沸点 117.7〔℃〕)に溶解して50〔重量%〕溶液として使用する。以下の記述では、この液を第二液と呼ぶことにする。
【0064】
第二液をケース3内のコンデンサ本体1に導入するには真空含浸が最適であって、それを実施するには、第一液の真空含浸と全く同じ手段が用いて良いが、コンデンサ本体1内に第二液が欠如している空所を生成させないようにすることが肝要であり、従って、第一液の場合に比較して大きい減圧、例えば100〔hPa〕程度まで減圧することが好ましい。
【0065】
従って、第二液を真空含浸した直後に於いては、ケース3内は第二の開口3Bまで含めて第二液で充満した状態にあり、そのように第二の開口3Bまでが第二液で満たされていると乾燥させることが困難である。
【0066】
図6はケースに於ける第二の開口に充満している第二液を排除する工程を説明する為のコンデンサ及び排除装置を表す要部説明図であり、図2乃至図5に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0067】
図に於いて、41は圧搾空気供給管、42はノズル、51は第二液、51Aは吹き飛ばされる第二液をそれぞれ示している。
【0068】
図から明らかであるが、コンデンサ10を直立させておき、ノズル42から圧搾空気を吹きつけて第二の開口3B近傍に存在する第二液51を吹き飛ばして排出する。尚、この際、含浸時にケース3の外側に付着した第二液も同時に排除することができる。
【0069】
ここで第二の開口3Bから排出される第二液は、コンデンサ本体1とケース3との間に在る余剰の液であるから、その排出がコンデンサの特性に影響を与えることは皆無である。
【0070】
第一液を構成するモノマは界面と濡れ性が良いエタノールで希釈してからコンデンサ本体1に含浸するので、陽極箔表面の細孔の中まで入った後、エタノールが蒸発し、表面にはモノマの薄い膜が残った状態にあり、そこへ第二液の含浸を行うので、モノマと第二液との混合は自然に行われるのであるが、その混合を更に助長する為に超音波振動を加えると有効であり、それに依って品質のばらつきを少なくすることができる。
【0071】
第二液を含浸した直後から、3,4−エチレンジオキシ−チォフェンはp−トルエンスルホン酸鉄(III)の作用に依って、緩徐な酸化重合反応が進行するのであるが、その間、図5に見られるように、コンデンサ10を第二の開口3Cが上を向くように直立させて保持し、下記の熱処理に依って酸化重合及び正ブチルアルコールからなる溶剤の乾燥を行う。
【0072】
第一段階
処理温度:50〔℃〕
処理時間:3〔時間〕
第二段階
処理温度:60〔℃〕
処理時間:3〔時間〕
第三段階
処理温度:80〔℃〕
処理時間:10〔時間〕〜 30〔時間〕
第四段階
処理温度:125〔℃〕
処理時間:2〔時間〕
第五段階
処理温度:150〔℃〕
処理時間:1〔時間〕
【0073】
温度80〔℃〕を適用して実施される熱処理の処理時間は、コンデンサの大きさなどの仕様に応じて選択して良い。
【0074】
温度150〔℃〕の熱処理が終了すると、3,4−エチレンジオキシ−チォフェンの酸化重合は完了してポリエチレン−ジオキシ−チオフェンとなるのであるが、本発明では、温度125〔℃〕の熱処理及び温度150〔℃〕の熱処理を行っている段階、即ち、第二の開口3Bを封止する以前の段階で電圧を印加してエージングを行うことで大変良い効果が得られている。
【0075】
通常のアルミニウム電解コンデンサの分野に於ける「エージング」は「酸化膜の修復」の意味で用いられることは一般に知悉されているところであり、また、アルミニウム固体電解コンデンサに於いては、基本的に電解コンデンサのような酸化膜の修復作用はないとされている。
【0076】
然しながら、実験に依れば、完成されたアルミニウム固体電解コンデンサに高温の下で電圧負荷を加えて長時間経過すると漏れ電流は少なくなることが観測される。
【0077】
これは、コンデンサ内に含まれる僅かな水分が漏れ電流に依って電気分解されることで発生した酸素に依って、陽極箔の欠陥部分に表出されたアルミニウムが酸化される為であると考えられ、従って、アルミニウム固体電解コンデンサに於いてもエージングすることは有効である。
【0078】
ところで、そのエージングは、コンデンサ本体1がケース3に固定された後に行うことが必須であり、若し、コンデンサ本体1がケース3に固定されていない状態でエージングを行ったとした場合、その後の工程でコンデンサ本体1に必ずストレスが加わるので、エージングを行ったことが無駄になる可能性が大きい。
【0079】
従来の技術(例えば、「特開平10−50558号公報」、「特開平10−50560号公報」などを参照)に於いても、コンデンサ本体をケースに固定せずにエージングすることの問題を回避する為、それ等の固定後に実施していることは図7に見られる通りである。
【0080】
然しながら、従来の技術では、コンデンサ本体をケースにエポキシ樹脂を用いて接着硬化して固定することは、取りも直さず、ケースを封止、即ち、密閉してしまうことと同義であって、その状態では水分が不足した状態である為、エージングに依る効果は充分に得られない。
【0081】
この点、本発明に於いては、第二の開口3Bが封止される以前の熱処理段階でエージングの同時実施が可能であり、その段階では既にコンデンサ本体1がケース3に固定されていて、しかも、ケース3内にはエージングの効果を充分に達成することが可能な程度の水分が存在する状態でエージングを実施し、その後、余剰の水分を第二の開口3Bを介して充分に排出してから封止することができる。
【0082】
本発明に於いても、ケース3を密閉、即ち、第二の開口3Bを封止した後、エージングを行う工程を実験したが、前記酸化重合及び溶剤乾燥の為の熱処理を終わった状態では、溶剤や水分が全て蒸発している為、エージングの効果は充分ではないが必要あれば実施しても支障は起こらない。
【0083】
さて、前記した通り、本発明に於いて、図1に見られる再化成→洗浄→熱処理の工程は必須ではないが、その工程を実施することはコンデンサの特性を向上する上で好ましいことである為、以下、その実施について説明する。
【0084】
通常のアルミニウム電解コンデンサであるとアルミニウム固体電解コンデンサであるとを問わず、その陽極箔にはエッチングを施して表面積を増大し、化成液中で化成電流を流して酸化膜を生成させる処理を行っていて、その場合、幅が広いロールに巻いたアルミニウム箔を引き出しながら連続的に処理することで生産性を向上している。
【0085】
従って、巻回素子を作成する為には、アルミニウム箔を幅狭く且つ短く切断する必要があり、その切断面には酸化膜は存在しないことになり、また、そのようにして作成した電極箔にはリード端子を接続しなければならず、その工程中に酸化膜が損傷されることが多い。
【0086】
通常のアルミニウム電解コンデンサ、即ち、電解液を用いるコンデンサの場合には、電解液が強力な自己修復能力をもつので、組み立て後のエージング工程で酸化膜の損傷を修復することが可能であるが、アルミニウム固体電解コンデンサの場合には、基本的に自己修復能力がないので、電極箔の切断面などに於ける酸化膜の欠陥部分を再化成に依って修復しておくことは好ましいことである。
【0087】
標準的な化成液としては、アジピン酸アンモン2〔%〕〜3〔%〕水溶液の1〔リットル〕にリン酸0.1(g)を溶解して使用するが、他にホウ酸アンモニウム水溶液など種々のものが用いられていて、化成電圧や電極箔の種類に応じて選択され、また、化成液の温度も酸化膜の特性に影響を与えるから、定められた温度に制御する必要がある。
【0088】
再化成処理が進むと酸化膜が成長し、次第に化成電流は減少してゆくのであるが、その過程で超音波振動を加えることで化成液と酸化膜との接触を良好にして小さい欠陥部分も修復できるようにすることができる。
【0089】
従来の製造プロセスに於ける再化成処理は、図7からも明らかであるが、巻回素子をケースに収容しない状態で行っているので、化成液の含浸や洗浄の作業は容易であるものの、その手段を採った場合、如何に優れた酸化膜を成膜したとしても、ケースに収容して固定するまでは外力に対する抵抗性は殆どないので、続く工程中に細心の注意を払ったとしても、巻回素子にストレスを加えることなく作業するのは無理である。
【0090】
例えば、リード線を保持して移動した場合、リード端子と接続されている電極箔にストレスが加わるし、また、巻回素子をトレーに置いただけでも電極箔にストレスが加わり、ましてや、巻回素子を重ね置きするなどは論外である。
【0091】
本発明に於いても、図1に見られる再化成→洗浄→熱処理の各工程を巻回素子の状態で実施することはできるが、ケース組み込み及びエポキシ樹脂接着硬化を行う工程で酸化膜にストレスが加わることは回避できない。
【0092】
従って、本発明では、再化成処理を行う場合には、巻回素子1をケース3に固定した後に実施するのであるが、その際、最終的な封止を確実、且つ、容易に行う為に小さくしてある第二の開口3Bを介して実施しなければならず、その為には、前記説明した第一液及び第二液の真空含浸の場合と同様な手段を採ると良い結果が得られる。
【0093】
即ち、図3及び図4を参照して説明した第一液或いは第二液を化成液に変えることで殆ど同様な工程で再化成処理を実施でき、図示された製造装置の操作などは殆ど同じであるが、若干の補足説明が必要である。
【0094】
図3に見られる真空含浸槽21内に於いて、ケース3の第二の開口3Bを液面から離して保持し、真空ポンプ33を作動して含浸槽21内の排気を行うのであるが、この際、勿論、ケース3内の気体も第二の開口3Bを介して排出される。
【0095】
図4に見られるように、ケース3に於ける第二の開口3Bを化成液中に挿入してから真空含浸槽21内に外気を導入し、化成液がケース3内に充満してから、化成電圧を印加する。
【0096】
化成電圧に於ける正電圧を陽極箔に、また、負電圧を化成液中に浸漬して設けた陰極27にそれぞれ加えると、化成電流が陽極箔から第二の開口3Bを介して陰極27に流れる。尚、コンデンサ10のリード端子2Aは陽極箔に接続されている。
【0097】
前記のように化成電流が流れると水の電気分解が行われ、陽極箔には酸素が発生してアルミニウムが酸化されるので酸化アルミニウム膜が生成され、陰極27には水素が発生して含浸槽21内に放出される。尚、この場合、化成液の温度は化成膜、即ち、酸化膜の特性に深く関係するので、常に一定温度となるようにコントロールすることが必要で、通常は40〔℃〕〜60〔℃〕である。
【0098】
再化成中、図4に見られる超音波加振装置29及び振動子30を作動させ、化成液を経由して陽極箔に超音波振動を加えて化成を促進することができる。
【0099】
再化成を行う時間は10〔分〕から60〔分〕程度であるが、必要あれば、その後に続く洗浄、乾燥、熱処理の各工程が終了してから更に繰り返すことは任意である。
【0100】
再化成が終了した場合、ケース3内から化成液を排除し、洗浄し、乾燥しなければならない。
【0101】
従来の技術に於けるように、巻回素子のままで処理した場合には、一定時間、例えば10〔分〕〜30〔分〕程度、純水の流れに浸漬しておくだけで良いが、本発明の場合には、ケース3内にコンデンサ本体1が固定されているので、流水中に浸漬しただけでは洗浄できないから、以下に説明する手段を採ると良い。
【0102】
図3に見られるように真空含浸槽21内でコンデンサ10を第二の開口3Bを下に向けて保持し、真空ポンプ33を作動して減圧すれば、ケース3内の化成液は第二の開口3Bから排出される。
【0103】
この場合、強く減圧すれば化成液の排出量は多くなるが、多数個を同時に処理する場合には、排出にばらつきを生じるので、下記のように二回に亙って減圧すると良い。即ち、
大気圧(1013〔hPa〕→減圧(100〔hPa〕〜200〔hPa〕)→大気圧(1013〔hPa〕)→減圧(100〔hPa〕〜200〔hPa〕)→大気圧(1013〔hPa〕)
である。
【0104】
前記した工程を経ることで、ケース3内とコンデンサ本体1との間に在った化成液は排出されるが、コンデンサ本体は未だ化成液で濡れたままの状態にあるので、この後、洗浄を行う必要がある。
【0105】
図4に見られる液を洗浄液とし、第二の開口3Bを洗浄液中に挿入したまま、減圧/大気解放、を繰り返すと、減圧した際にケース3内の洗浄液が第二の開口3Bを介して排出され、大気解放した際にケース3内に洗浄液が第二の開口3Bを介して押し込まれることになるから、洗浄液は流水と同様に機能する。
【0106】
前記減圧は200〔hPa〕〜300〔hPa〕程度であり、大気解放して洗浄液をケース3内に押し込んだ場合であっても、ケース3内に気泡が残っているようにすると洗浄液は良好に循環する。
【0107】
洗浄液は化成液を溶出できるものであれば、如何なるものでも用いることができるのであるが通常は純水が好適であり、また、洗浄液の温度は洗浄速度に関係し、40〔℃〕〜80〔℃〕程度に維持すると良く、更にまた、洗浄の場合も超音波振動を併用すると洗浄効果は促進される。尚、ケース3内の洗浄液を排出するには、化成液の排出と同じ手段を採れば良い。
【0108】
ケース3内に洗浄液を排出したままでは、コンデンサ本体1は濡れた状態にある為、加熱して乾燥するが、この乾燥は、化成膜の改質の為の熱処理や絶縁紙の改質の為の熱処理と兼ねて実施することができ、目的に応じて熱処理条件は変わるが、一般的には温度が100〔℃〕〜270〔℃〕、時間が10〔分〕〜60〔分〕程度である。
【0109】
前記した各工程で再化成処理の1サイクルが完了するのであるが、前記した通り、アルミニウム固体電解コンデンサは酸化膜の自己修復作用をもたないので、固体電解質を生成させる前に良質の酸化膜を形成しておくことが信頼性を向上させる為に極めて重要であるから、高信頼性のアルミニウム固体電解コンデンサを実現する為には、再化成処理を複数サイクルに亙って繰り返した方が良い。
【0110】
試作例
外形寸法が3.6〔mm〕×3.6〔mm〕×9.8〔mm〕であるケース3に巻回素子をエポキシ樹脂で接着硬化し、前記説明した手段で再化成を2サイクル実施し、3,4−エチレンジオキシ−チオフェンをエタノールに20〔%〕溶解した溶液を前記説明した手段で含浸してから乾燥し、p−トルエンスルホン酸鉄(III) を正ブチルアルコールに50〔%〕溶解した溶液に含浸して固体電解質を生成するなどし、60個の試料を作成した。
【0111】
全試料を測定したところ、100〔kHz〕の等価直列抵抗(equivalent serial resistance:ESR)が150〔mΩ〕を越えた為に不良にしたものが3個であって、その他の57個は良品という好い結果が得られた。
【0112】
良品の中から無作為に10個を選んで、リフロー半田付けを行った後、定格電圧である6.3〔V〕を印加しながら、温度105〔℃〕の寿命試験を実施したところ下記のデータが得られ、これからすると極めて安定した性能をもつことが看取できる。尚、データは10個の平均値である。
【0113】
【表1】
Figure 0003763052
【0114】
本発明では、前記説明した実施の形態に限られることなく、また、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、他に多くの改変を実現することができる。
【0115】
例えば、前記実施の形態では、コンデンサ本体として、陽極箔と陰極箔との間にセパレータを挟んで巻回した素子を用いたが、陽極及び陰極に平板型アルミニウム電極を用いることもできる。
【0116】
また、前記実施の形態では、固体電解質を生成させる為、導電性高分子材料である3,4−エチレンジオキシ−チオフェンを溶媒に溶かしおき、また、酸化剤であるp−トルエンスルホン酸鉄(III) を別の溶媒に溶かしておき、二回に分けて含浸したが、導電性高分子材料と酸化剤とを混合した溶液を作成して一回の含浸で終了させることもできる。
【0117】
そのようにした場合、工程が少なくなる利点はあるが、混合した溶液は緩徐ではあるが重合反応が進行するので、保管しておくことはできず、含浸直前に、その都度調合しなければならず、また、混合した溶液に触れた容器などは毎回洗浄する必要があり、高価な原料の利用率は良くない。
【0118】
この点、前記実施の形態で説明した第一液及び第二液を別々に含浸させる手段を採った場合、二つの液が混合されないように注意しさえすれば、変質するおそれはないから、高価な原料を100〔%〕有効に利用することができるのであるが、これら何れの手段を採用するかは、必要に応じて選択すれば良い。尚、前記したように陽極及び陰極を平板型とした場合には、前記同様、図3及び図4に見られる装置を用いるのであるが、溶液は含浸の状態でなく塗布に近い状態で被着されることになる。
【0119】
導電性高分子材料としては、実施の形態に挙げた3,4−エチレンジオキシ−チオフェンの他にピロール、フラン、アニリン、アセン、アセチレン、チオフェノールなど種々あるが、3,4−エチレンジオキシ−チオフェン以外は実用化するには、更なる研究が必要であり、酸化剤もp−トルエンスルホン酸鉄(III) 以外のものが必要になる場合がある。
【0120】
【発明の効果】
本発明に依るアルミニウム固体電解コンデンサの製造方法に於いては、下部に開放された第一の開口及び上部に狭窄化された第二の開口をもつケース内にコンデンサ本体を第一の開口から挿入してエポキシ樹脂で封止固定する工程と、次いで、第二の開口を介して固体電解質原料を導入してコンデンサ本体に被着或いは含浸してから酸化重合反応させて固体電解質を生成する工程と、次いで、第二の開口を封止する工程とが含まれることが基本になっている。
【0121】
前記構成を採ることに依り、コンデンサ本体は、最初から剛性が高いケース内に在って外力から保護されている為、多少手荒く取り扱っても、陽極酸化膜にストレスが加わって欠陥を発生するおそれはないことから、信頼性が高いアルミニウム固体電解コンデンサを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に依るアルミニウム固体電解コンデンサを製造する工程の一例を説明する為のフロー・チャートである。
【図2】本発明に於ける第三工程を終了した段階に在るアルミニウム固体電解コンデンサを表す要部切断側面図である。
【図3】工程要所に於けるアルミニウム固体電解コンデンサ及び製造装置を表す要部切断側面説明図である。
【図4】工程要所に於けるアルミニウム固体電解コンデンサ及び製造装置を表す要部切断側面説明図である。
【図5】乾燥工程にあるコンデンサ及びコンデンサの載置台を表す要部切断側面図である。
【図6】ケースに於ける第二の開口に充満している第二液を排除する工程を説明する為のコンデンサ及び排除装置を表す要部説明図である。
【図7】従来のアルミニウム固体電解コンデンサを製造する工程を説明する為のフロー・チャートである。
【符号の説明】
1 コンデンサ本体
2 リード端子
2A 陽極側リード端子
2B 陰極側リード端子
3 ケース
3A 第一の開口
3B 第二の開口
3C カラー部分
4 接着剤阻止体
5 接着剤
10 アルミニウム固体電解コンデンサ
21 真空含浸槽
22 第一液送入管
23 バルブ
24 排気管
25 切り替えバルブ
26 正側電源電圧供給路を兼ねた可動コンデンサ支持部材
27 陰極
28 直流電源
29 超音波加振装置
30 振動子
31 液温制御ユニット
32 電解液タンク
33 真空ポンプ
34 排気管
35 外気供給管
36 第一液
38 透明な有底円筒体
39 空気の気泡

Claims (10)

  1. 下部に開放された第一の開口及び上部に狭窄化された第二の開口をもつケース内にコンデンサ本体を第一の開口から挿入してエポキシ樹脂で封止固定する工程と、
    次いで、第二の開口を介して固体電解質原料を導入してコンデンサ本体に被着或いは含浸してから酸化重合反応させて固体電解質を生成する工程と、
    次いで、第二の開口を封止する工程と
    が含まれてなることを特徴とするアルミニウム固体電解コンデンサの製造方法。
  2. コンデンサ本体をケースの上部内壁との間に第二の開口を閉塞しない為の間隙をおいて第一の開口にエポキシ樹脂で封止固定すること
    を特徴とする請求項1記載のアルミニウム固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 固体電解質原料がコンデンサ本体に被着或いは含浸されてから固体電解質原料を酸化重合反応させるために第二の開口を介して酸化剤を導入すること
    を特徴とする請求項1記載のアルミニウム固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 酸化重合反応に依って固体電解質を生成させてから第二の開口が開いている状態で乾燥を行う間にエージングを施すこと
    を特徴とする請求項1記載のアルミニウム固体電解コンデンサの製造方法。
  5. コンデンサ本体を第一の開口にエポキシ樹脂で封止固定してから第二の開口を介して化成液を導入し且つ陽極に通電することで化成処理を行い、次いで、洗浄及び乾燥を行うこと
    を特徴とする請求項1記載のアルミニウム固体電解コンデンサの製造方法。
  6. 第二の開口を介して導入する固体電解質原料が3,4−エチレンジオキシ−チオフェンであること
    を特徴とする請求項1記載のアルミニウム固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 酸化剤を導入してから少なくとも第二の開口内近傍に在る酸化剤を排除すること
    を特徴とする請求項3記載のアルミニウム固体電解コンデンサの製造方法。
  8. 固体電解質原料と酸化剤とを導入してから超音波振動を加えて混合を促進すること
    を特徴とする請求項3記載のアルミニウム固体電解コンデンサの製造方法。
  9. 化成処理中に超音波振動を加えること
    を特徴とする請求項5記載のアルミニウム固体電解コンデンサの製造方法。
  10. 洗浄液を保持した槽内に第二の開口を浸漬し且つ槽内の減圧と加圧を繰り返してケース内の洗浄液の流入排出を行って洗浄すること
    を特徴とする請求項5記載のアルミニウム固体電解コンデンサの製造方法。
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