JP3763045B2 - 多連式方向切換弁のシャトル弁機構 - Google Patents

多連式方向切換弁のシャトル弁機構 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設機械等の各種油圧駆動機器に付設され、アクチュエータへの作動オイルの送給方向を切り換える方向切換弁を複数連設してなる多連式方向切換弁に係り、詳しくは、上記多連式方向切換弁に内蔵され、複数の方向切換弁のシリンダポートから最高圧力を選択するシャトル弁機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平4ー54302号公報に開示される従来の多連式方向切換弁においては、図7に示すように、本体1に設けたスプール孔2に、不図示のアクチュエータに接続されるシリンダポート3、4と、不図示のタンクに作動オイルを還流させる1対のタンク通路5と、不図示のメインポンプから供給通路を介して送給される作動オイルをシリンダポート3、4に供給する2又状のブリッジ通路6、7とが開口している。上記スプール孔2内で、1対の溝8aを有するスプール8が右または左方向に摺動することにより、溝8aを介して一方のシリンダポート3または4がブリッジ通路6または7に連通し、他方のシリンダポート3または4がタンク通路5に連通するようになっている。
【0003】
また、本体1には、スプール孔2の上側及び下側に、それぞれスプール孔2と直交して鉛直方向に延びる孔9及び10が設けられ、上側の孔9には、チェック弁11を内蔵した圧力補償弁12が嵌入される一方、下側の孔10内にはシャトル弁13が設けられている。チェック弁11は、上記メインポンプに接続される供給通路が連通する中央油室14と、ブリッジ通路6、7との間に設けられ、ブリッジ通路6、7から上記供給通路側への作動オイルの逆流を防止している。
【0004】
圧力補償弁12の上部油室15は孔21を介してブリッジ通路6、7に連通している。一方、下部油室16は、スプール8が右または左方向へ摺動してシリンダポート3または4とブリッジ通路6または7とが連通した際に、スプール8内の軸方向孔17及び径方向孔18、19を介して高圧側のシリンダポート3または4と連通するようになっている。
【0005】
圧力補償弁12の孔20とブリッジ通路6、7との間に可変絞り30が形成され、例えば、アクチュエータの負荷が増大した時に高圧側のシリンダポート3または4の圧力が上昇し、上記軸方向孔17及び径方向孔18、19を介して下部油室16の圧力も上昇する。これにより、圧力補償弁12が上方に移動して中央油室14からブリッジ通路6、7に一層大きな油圧が供給され、アクチュエータの負荷に応じた油圧がブリッジ通路6、7からシリンダポート3または4に供給される。
【0006】
各方向切換弁のシャトル弁13には、スプール8内の径方向孔18、軸方向孔17、径方向孔22及びシャトル弁13の第1入口孔23を介して当該方向切換弁の高圧側のシリンダポート3または4の圧力がボール24の一側に供給される。一方、図8に示すように、通路25及び第2入口孔26を介して、隣接する一方の方向切換弁(不図示)の高圧側のシリンダポートの圧力がボール24の他側に供給される。そして、上記ボール24が低圧側に移動することにより、上記2つの方向切換弁のシリンダポートの圧力の内、より高圧側が選択されて、この高圧側のシリンダポートの圧力が出口孔27及び通路28を介して隣接する他方の方向切換弁のシャトル弁13aに供給される。以下、同様にして、複数の方向切換弁のシリンダポートの最高圧力が選択され、上記メインポンプのポンプ圧と上記シリンダポートの最高圧力との差に応じて設定された制御圧Pcが、図7の圧力補償弁12の上端の油室29に供給されるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の多連式方向切換弁においては、前記アクチュエータとの接続用の不図示の配管がシリンダポート3、4に取り付けられるため、シリンダポート3、4が上面に開口する姿勢で、多連式方向切換弁が油圧駆動機器に組み付けられ、従って、シャトル弁13は多連式方向切換弁の底部に位置することになる。そのため、シャトル弁13に異物が噛み込む等の不具合が発生して、シャトル弁13の修理、点検が必要な場合、シリンダポート3、4から上記配管を取り外し、更に、多連式方向切換弁を油圧駆動機器から取り外した上で、シャトル弁13の修理、点検を行わねばならないので、シャトル弁13の修理、点検作業が極めて煩雑になるものであった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決して、シャトル弁の修理、点検を容易に行える多連式方向切換弁のシャトル弁機構を提供することを目的としている。そのため、本発明に係る多連式方向切換弁のシャトル弁機構は、多連式方向切換弁の本体に設けられ、アクチュエータに接続される1対のシリンダポート、タンクに接続されるタンク通路、及び供給通路に接続されるブリッジ通路が連通するスプール孔と、このスプール孔に摺動自在に嵌入し、その摺動により一方のシリンダポートを上記ブリッジ通路に連通させ且つ他方のシリンダポートを上記タンク通路に連通させるスプールと、上記本体に設けられ、上記供給通路、及び油圧ポンプに接続するポンプ通路が連通する圧力制御用スプール孔と、この圧力制御用スプール孔に摺動自在に嵌入し、その一端が上記供給通路に連通され、他端が上記1対のシリンダポートの内の高圧側に連通されて、供給通路と高圧側のシリンダポートとの圧力差により、ポンプ通路から供給通路に供給される作動オイルの圧力を制御する圧力制御用スプールとをそれぞれ備えた方向切換弁が複数連設された多連式方向切換弁の少なくとも一部の方向切換弁に付設され、複数の方向切換弁のシリンダポートより最高圧力を選択する1または複数のシャトル弁からなるシャトル弁機構であって、上記少なくとも一部の方向切換弁の圧力制御用スプール孔とスプール孔とが大略平行に設けられると共に上記少なくとも一部の方向切換弁の圧力制御用スプールに軸方向へ延びるように形成された孔にシャトル弁が収納され、このシャトル弁の第1入口が当該方向切換弁の高圧側のシリンダポートに連通され、シャトル弁の第2入口が、上記圧力制御用スプールに設けた径方向孔と上記圧力制御用スプール孔に形成した環状室とを介して、連設する一の方向切換弁の高圧側のシリンダポートまたは上記連設する一の方向切換弁に付設されたシャトル弁の出口に連通されると共に、上記圧力制御用スプールに径方向孔として設けられ上記シャトル弁で上記第1及び第2入口からの圧力より高圧選択された圧力の出口が、上記圧力制御用スプール孔に形成した環状室を介して、連設する他の一の方向切換弁のシャトル弁の第2入口に連通可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
上記の構成によれば、シャトル弁を付設した方向切換弁において、スプール孔と圧力制御用スプール孔とを大略平行に設けると共に、上記圧力制御用スプール孔内の圧力制御用スプールに軸方向の孔を形成してこの孔内にシャトル弁を収納したので、シャトル弁の修理、点検を行う場合、多連式方向切換弁を油圧駆動機器に組み付けたままの状態で、多連式方向切換弁の側部から、必要によりシャトル弁を取り出して、シャトル弁の点検、修理、または取替等の作業を行うことができ、この際、アクチュエータとの接続用の配管をシリンダポートから取り外す必要もない。また、シャトル弁は圧力制御用スプールの軸方向のデッドスペースを利用して設置したので、シャトル弁を設けることにより、方向切換弁が大型化することもない。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基いて説明する。図1〜図4に示すように、建設機械等の各種油圧駆動機器に組み付けられる多連式方向切換弁は、例えば、5つの方向切換弁31〜35を連設してなる。各方向切換弁31は、それぞれ作動オイルの送給方向切換用のスプール31a〜35aが設けられた方向切換部31bと、圧力制御用スプール31c〜35cが設けられた圧力制御部31dとを備えている。方向切換弁32、33間には、方向切換用のスプールを有せず、圧力制御用スプール36aのみを有する圧力制御弁36が設けられている。
【0011】
以下、図1〜第4に対応する構成をJIS記号で表した図5を用いて、まず、本多連式方向切換弁の全体構成及び作用を簡単に説明する。油圧供給源として、第1及び第2油圧ポンプP1、P2が設けられ、方向切換弁31、32の方向切換部31b、32bには、第1油圧ポンプP1からポンプ通路37及び各圧力制御部31d、32dを介して作動オイルが供給される一方、方向切換弁33〜35の方向切換部33b〜35bには、第2油圧ポンプP2からポンプ通路38及び各圧力制御部33d〜35dを介して作動オイルが供給されるようになっている。
【0012】
また、後述するシャトル弁55、56により、3個の方向切換弁33〜35の方向切換部33b〜35bにおけるシリンダポートの最高圧力C7が求められ、このC7が小さい時、言い換えれば、方向切換弁33〜35での作動オイルの必要量が小さい時に、第2油圧ポンプP2からの作動オイルがポンプ通路38及び圧力制御弁36を介して方向切換弁31、32の方向切換部31b、32bに供給可能とされている。
【0013】
各方向切換部31b〜35bは、両端部に供給される制御圧a1〜a5及びb1〜b5の圧力バランスにより切換が行われ、各圧力制御部31d〜35dは、当該方向切換弁31〜35の方向切換部31b〜35bの高圧側のシリンダポートの圧力C1〜C5の変動に応じて切換が行われるようになっている。
【0014】
方向切換弁31〜35の各方向切換部31b〜35bに各1対の配管A1〜A5及びB1〜B5を介して接続された不図示の第1〜第5アクチュエータが全て非作動状態で、従って、全ての方向切換弁31〜35が無負荷状態である場合、各方向切換部31b〜35bは中立位置である切換位置Iが選択され、各圧力制御部31d〜35d及び圧力制御弁36も切換位置Iが選択されるようになっている。
【0015】
この状態では、第1油圧ポンプP1からの作動オイルは、ポンプ通路37から圧力制御部31d、通路40、圧力制御部32d及び通路41を順次通過し、更に、方向切換部32b、通路42、方向切換部31b及びタンク通路43を介して第1オイルタンクT1に還流する。一方、第2油圧ポンプP2からの作動オイルは、ポンプ通路38、圧力制御弁36、通路44、41、方向切換部32b、通路42、方向切換部31b及びタンク通路43を介して第1オイルタンクT1に還流する。
【0016】
次に、例えば、方向切換弁31の方向切換部31bに接続された第1アクチュエータが作動する場合、制御圧a1を上昇させることにより、方向切換部31bも、第1アクチュエータの作動方向に応じて、順次切換位置II、III に切り換わり、作動オイルが配管A1を介して第1アクチュエータに供給され、その供給量は切換位置II、III の順に増加する。第1アクチュエータから配管B1を介して還流する作動オイルは、更に、タンク通路47及び共通タンク通路48を介して第1オイルタンクT1に戻される。
【0017】
同時に、検出通路45を介して検出される方向切換部31bの高圧側のシリンダポートの圧力C1が上昇することにより、圧力制御部31dが順次切換位置II、III に切り換わり、これにより、第1油圧ポンプP1からの作動オイルが供給通路46を介して方向切換部31bに供給される。その供給量は、切換位置II、III の順に増加する。
【0018】
第1アクチュエータの作動方向が上記と逆方向の場合、方向切換部31bは切換位置Iから順次切換位置IV、Vに切り換わるが、この場合の動作は、配管B1が作動オイルの供給側、配管A1が還流側となる以外は上記と同様であるので説明を省略する。また、方向切換弁32の作動は、方向切換弁31と大略同様に行われるので、説明を省略する。
【0019】
次に、方向切換弁33の方向切換部33bに接続された第3アクチュエータが作動する場合、方向切換部33bは、制御圧a3に応じて、切換位置Iから切換位置IIに切り換わり、これにより、上記第2油圧ポンプP2からの作動オイルが方向切換部33bから配管A3を介して第3アクチュエータに供給され、第3アクチュエータから排出されるオイルが配管B3を介して還流され、タンク通路51及び共通タンク通路49を介して第2オイルタンクT2に戻される。同時に、検出通路52を介して圧力制御部33dに供給される方向切換部33bの高圧側のシリンダポートの圧力C3の上昇に伴って、圧力制御部33dが圧力C3に応じて切換位置II、III に切り換わり、その結果、第2油圧ポンプP2からの作動オイルがポンプ通路38、圧力制御部33d、供給通路53及び逆止弁54を介して方向切換部33bに供給される。さらに、後述するシャトル弁56からの複数の方向切換弁33〜35のシリンダポートの最高圧力C7が圧力制御弁36に入力されることにより、その圧力に応じて、圧力制御弁36が順次切換位置II、III に切り換わる。ここで、上記圧力制御弁36が切換位置II、III の順に切り換わるに伴って、第2油圧ポンプP2から方向切換弁31、32側への作動オイルの供給量は減少し、逆に方向切換弁33〜35側への作動オイルの供給量が増加する。また、圧力制御部33dが切換位置II、III の順に切り換わるに伴って、方向切換部33bへの作動オイルの供給量が増す。
【0020】
第3アクチュエータの作動方向が上記と逆方向であれば、方向切換部33bは切換位置III に切り換わり、この場合、配管B3が第3アクチュエータに対する作動オイルの供給側、配管A3が還流側となる。方向切換弁34、35の方向切換部34b、35bから第4、第5アクチュエータへの作動オイルの供給も上記と同様に行われる。
【0021】
シャトル弁55の第1入口には、方向切換部34bの高圧側のシリンダポートの圧力C4が入力される一方、第2入口には、方向切換部35bの高圧側のシリンダポートの圧力C5が入力され、C4とC5間で高圧側が一次選択されて、シャトル弁55の出口から一次選択済の圧力C6がシャトル弁56の第2入口に入力される。
【0022】
シャトル弁56の第1入口には、方向切換部33bの高圧側のシリンダポートの圧力C3が入力され、ここで、C3とC6の間で高圧側が選択されて、3個の方向切換弁33〜35の方向切換部33b〜35bのシリンダポートの最高圧力C7が圧力制御弁36の一側に供給される。圧力制御弁36の他側には、第2油圧ポンプP2の作動オイル圧C8が供給され、C7とC8の圧力バランスにより、圧力制御弁36の切換が行われる。なお、図5中、各Rはリリーフ弁、各Sは絞りである。
【0023】
次に、図3のFーF線に沿う拡大断面説明図である図1に基いて、シャトル弁55を内蔵した方向切換弁34の構造を詳細に説明する。方向切換弁34は本多連式方向切換弁の本体60にそれぞれ水平方向に設けられたスプール孔61と圧力制御用スプール孔62とを有し、スプール孔61と圧力制御用スプール孔62とは互いに平行に延びている。スプール孔61には前記スプール34aが摺動自在に嵌入する一方、圧力制御用スプール孔62には前記圧力制御用スプール34cが摺動自在に嵌入している。
【0024】
スプール孔61には、上記本体60に設けられた2又状のブリッジ通路63と、ブリッジ通路63の両側に設けられた1対のシリンダポート64、65と、シリンダポート64、65の両側に設けられた1対のタンク通路66とが連通している。スプール34aには、1対の凹部67が形成され、スプール34aが図1の右側に摺動した時に、凹部67を介してブリッジ通路63とシリンダポート64とが連通し且つシリンダポート65とタンク通路66とが連通する一方、スプール34aが左側に摺動した時に、凹部67を介してブリッジ通路63とシリンダポート65とが連通し且つシリンダポート64とタンク通路66とが連通するようになっている。
【0025】
圧力制御用スプール孔62には、前記第2油圧ポンプP2からのポンプ通路38と、供給通路68の下端部とが連通し、供給通路68の上端部はブリッジ通路63に連通している。圧力制御用スプール34cには凹部70が形成され、ポンプ通路38からの作動オイルが凹部70を介して供給通路68に送給され、更にブリッジ通路63を介していずれかのシリンダポート64、65に供給可能となっている。
【0026】
圧力制御用スプール34cの図1中右側の軸方向端部には、供給通路68から通路71(図5参照)、圧力制御用スプール孔62に形成した大径の環状室72(図6)、圧力制御用スプール34cに設けた径方向孔73、及び後述する孔82とプラグ84間の環状の隙間98を介して、供給通路68内の作動オイル圧が供給される。また、圧力制御用スプール34cの図1中左側の軸方向端部には、シリンダポート64、65の内の高圧側のシリンダポートの圧力が供給されるようになっている。
【0027】
すなわち、スプール34aには、1対の軸方向孔74、75が同軸上に且つ互いに非連通状態で設けられ、且つスプール孔61には、上記軸方向孔74、75の対向する端部に大略対応させて大径の環状室76が形成されている。スプール34aが右側に摺動してブリッジ通路63とシリンダポート64とが連通した際には、軸方向孔74及び該軸方向孔74と接続させてスプール34aに設けた1対の径方向孔74a、74bを介しシリンダポート64と環状室76とが連通する一方、スプール34aが左側に摺動してブリッジ通路63とシリンダポート65とが連通した際には、軸方向孔75及び該軸方向孔75に接続させてスプール34aに設けた他の1対の径方向孔75a、75bを介しシリンダポート65と環状室76とが連通するようになっている。
【0028】
環状室76は通路77を介して、圧力制御用スプール孔62に形成した大径の環状室78(図6参照)に連通し、環状室78は、圧力制御用スプール34cの径方向孔80及び絞り81を介して圧力制御用スプール34cの左側の軸方向端部に通じている。これにより、1対のシリンダポート64、65の内の高圧側、つまり、ブリッジ通路63と連通している側のシリンダポートの圧力が、圧力制御用スプール34cの左側の軸方向端部に供給される。
【0029】
そして、圧力制御用スプール34cは、上記供給通路68内の作動オイル圧と、高圧側のシリンダポートの圧力との圧力バランスにより図1の左右方向に摺動し、ポンプ通路38から供給通路68への作動オイルの圧力を調整するようになっている。すなわち、高圧側のシリンダポートの圧力が上昇すると、それに応じて圧力制御用スプール34cが図1の右側に摺動し、ポンプ通路38から供給通路68への作動オイルの供給量を一定に保つものである。
【0030】
図6に詳細に示すように、圧力制御用スプール34cには、右側の軸方向端部から軸方向に延び、その径が段階的に縮小する孔82が形成され、この孔82内にシャトル弁55が収納されている。このシャトル弁55は、上記孔82内で転動可能なボール83と、圧力制御用スプール34cの右側端部から孔82内に挿入されるプラグ84とを備えている。なお、プラグ84の右側に隣接して、圧力制御用スプール孔62を閉塞するプラグ79が設けられている。
【0031】
ボール83の左側に位置するシャトル弁55の第1入口55aは、圧力制御用スプール34cに左側の軸方向端部から設けた軸方向孔85を介して上記径方向孔80に連通し、シリンダポート64、65の内の高圧側のシリンダポートの圧力C4が第1入口55aに入力されるようになっている。
【0032】
また、ボール83の右側に対向して、プラグ84内に設けた第2入口55bは、プラグ84内の軸方向孔86、径方向孔87、及び圧力制御用スプール34cに設けた径方向孔88を介して環状室90に連通している。図4に示すように、環状室90には、当該方向切換弁34に設けた通路91、隣接する一方の方向切換弁35に設けた通路92等を介して、隣接する一方の方向切換弁35の高圧側のシリンダポートの圧力C5が供給され、この圧力C5が上記第2入口55bに入力されるようになっている。
【0033】
図6において、圧力制御用スプール34cに径方向孔として設けたシャトル弁55の出口55cは、環状室93に連通し、第1及び第2入口55a、55bに供給される2つの方向切換弁34、35の各高圧側のシリンダポートの圧力C4、C5の内、相対的に低圧側を供給する入口55aまたは55bがボール83で閉塞されることにより、C4、C5の内の高圧側が一次選択されて、一次選択済の圧力C6として環状室93に供給される。図4に示すように、環状室93は当該方向切換弁34の通路94、及び隣接する他方の方向切換弁33の通路95等を介して、隣接する他方の方向切換弁33のシャトル弁56の第2入口56bに連通し、上記一次選択済のシリンダポート圧C6が、第1入口56aから供給される方向切換弁33の高圧側のシリンダポートの圧力C3と比較される。以下、前述のように、シャトル弁56で最終選択された3個の方向切換弁33〜35のシリンダポートの最高圧力P7が、通路96、97等を介して圧力制御弁36に供給される。
【0034】
上記の構成において、シャトル弁55に異物が噛み込む等の不具合が発生した場合、プラグ79を取り外し、必要により圧力制御用スプール34cを圧力制御用スプール孔62から抜き出した上で、プラグ84を圧力制御用スプール34cの孔82から取り出し、修理、点検を行ったり、必要に応じて、ボール83、プラグ84等の部品の交換を行える。この際、本多連式方向切換弁を油圧駆動機器から取り外す必要はなく、且つシリンダポート64、65に接続されている配管A3、B3を取り外す必要もない。また、シャトル弁55は圧力制御用スプール34cの軸方向のデッドスペースに収納したので、シャトル弁55を設けることにより、多連式方向切換弁の寸法の大型化を招くこともない。
【0035】
なお、上記の実施の形態では、多連式方向切換弁を5個の方向切換弁31〜35により構成すると共に、2個の方向切換弁33、34にシャトル弁56、55を設けて、3個の方向切換弁33〜35のシリンダポートの最高圧力を求めるようにしたが、多連式方向切換弁を構成する方向切換弁の個数及びその内のシャトル弁を設ける方向切換弁の個数は、用途に応じて任意に変更可能であり、1個の方向切換弁のみにシャトル弁を設ける構成としても良い。また、複数のシャトル弁を設ける場合、通常、互いに隣接する方向切換弁に上記複数のシャトル弁を配置するものであるが、シャトル弁を設ける方向切換弁同士は必ずしも隣接していなくて良い。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、シャトル弁を付設した方向切換弁において、スプール孔と圧力制御用スプール孔とを大略平行とする共に、上記圧力制御用スプール孔内の圧力制御用スプールに軸方向に延びる孔を形成してこの孔内にシャトル弁を収納したので、シャトル弁の修理、点検等を行う場合、多連式方向切換弁を油圧駆動機器に組み付けたままの状態で、多連式方向切換弁の側部から、必要によりシャトル弁を取り出して、シャトル弁の点検、修理、または部品の交換等の作業を行うことができ、この際、アクチュエータとの接続用の配管をシリンダポートから取り外す必要もないので、シャトル弁の修理、点検等の作業を短時間で円滑に行えるようになる。しかも、シャトル弁は圧力制御用スプールの、従来利用されていない軸方向のデッドスペースを用いて、圧力制御用スプール内に収納するようにしたので、シャトル弁を設けることにより、多連式方向切換弁の寸法が大型化することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における多連式方向切換弁の内、シャトル弁を含む方向切換弁を図3のFーF線に沿って示す拡大断面説明図。
【図2】上記多連式方向切換弁の側面図。
【図3】図2のDーD線に沿う断面説明図。
【図4】図2のEーE線に沿う断面説明図。
【図5】図2〜図4の多連式方向切換弁の内部構成をJIS記号により示す説明図。
【図6】図1の部分拡大図。
【図7】従来の多連式方向切換弁を示す垂直断面図。
【図8】図7のGーG線に沿う部分拡大断面図。
【符号の説明】
34 方向切換弁
34a スプール
34c 圧力制御用スプール
55 シャトル弁
55a 第1入口
55b 第2入口
55c 出口
60 本体
61 スプール孔
62 圧力制御用スプール孔
63 ブリッジ通路
64、65 シリンダポート
66 タンク通路
68 供給通路

Claims (1)

  1. 多連式方向切換弁の本体に設けられ、アクチュエータに接続される1対のシリンダポート、タンクに接続されるタンク通路、及び供給通路に接続されるブリッジ通路が連通するスプール孔と、このスプール孔に摺動自在に嵌入し、その摺動により一方のシリンダポートを上記ブリッジ通路に連通させ且つ他方のシリンダポートを上記タンク通路に連通させるスプールと、上記本体に設けられ、上記供給通路、及び油圧ポンプに接続するポンプ通路が連通する圧力制御用スプール孔と、この圧力制御用スプール孔に摺動自在に嵌入し、その一端が上記供給通路に連通され、他端が上記1対のシリンダポートの内の高圧側に連通されて、供給通路と高圧側のシリンダポートとの圧力差により、ポンプ通路から供給通路に供給される作動オイルの圧力を制御する圧力制御用スプールとをそれぞれ備えた方向切換弁が複数連設された多連式方向切換弁の少なくとも一部の方向切換弁に付設され、複数の方向切換弁のシリンダポートより最高圧力を選択する1または複数のシャトル弁からなるシャトル弁機構であって、
    上記少なくとも一部の方向切換弁の圧力制御用スプール孔とスプール孔とが大略平行に設けられると共に上記少なくとも一部の方向切換弁の圧力制御用スプールに軸方向へ延びるように形成された孔にシャトル弁が収納され、このシャトル弁の第1入口が当該方向切換弁の高圧側のシリンダポートに連通され、シャトル弁の第2入口が、上記圧力制御用スプールに設けた径方向孔と上記圧力制御用スプール孔に形成した環状室とを介して、連設する一の方向切換弁の高圧側のシリンダポートまたは上記連設する一の方向切換弁に付設されたシャトル弁の出口に連通されると共に、上記圧力制御用スプールに径方向孔として設けられ上記シャトル弁で上記第1及び第2入口からの圧力より高圧選択された圧力の出口が、上記圧力制御用スプール孔に形成した環状室を介して、連設する他の一の方向切換弁のシャトル弁の第2入口に連通可能に構成されていることを特徴とする多連式方向切換弁のシャトル弁機構。
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