JP3762664B2 - 排気浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5及び図6は一般的なセミトラクタの一例を示すもので、この種のセミトラクタ1においては、キャブ2の後方にカプラ3を介しセミトレーラ4が連結されるようになっており、このセミトレーラ4の長さを極力大きくして輸送効率の向上を図る観点からホイールベース(前輪5の車軸と後輪6の車軸との間の距離)を非常に短く設定した車両となっている。
【0003】
このため、キャブ2の背面から後輪6までの間における左右のサイドレール7の外側には、エアタンク8、バッテリ9、燃料タンク10、スペアタイヤ11等といった様々な補器類が緊密な状態で効率良くレイアウトされて搭載されており、他方、左右のサイドレール7に挟まれた車両中心部には、変速機12等の駆動系が配置されるようになっている。
【0004】
そして、キャブ2のエンジン13から排出される排気ガスは、一方のサイドレール7の下側を車両後方に向けて延び且つ後輪6の車軸を上方へ迂回して車両最後尾に到る排気管14により後方へ導かれて排出されるようになっており、該排気管14の途中には、排気ガスの騒音対策として消音器15(マフラ)が装備されるようになっている。
【0005】
ここで、図示する例におけるセミトラクタ1では、消音器15により排気ガスの騒音対策だけを施したものとなっているが、近年においては、排気ガスの浄化規制が非常に厳しく強化されてきているので、酸素共存下でも選択的にNOxを還元剤と反応させる性質を備えたNOx還元触媒(選択還元型触媒)や、排気ガス中の酸素濃度が高い希薄燃焼運転時にNOxを酸化して硝酸塩の状態で一時的に吸蔵し且つ排気ガス中の酸素濃度が低い濃空燃比運転時に排気ガス中の炭化水素や一酸化炭素の介在によりNOxを分解放出して還元浄化する性質を備えたNOx吸蔵還元触媒や、排気ガス中に含まれるパティキュレート(Particulate Matter:粒子状物質)の酸化浄化を助勢する酸化触媒等といった触媒コンバータ、或いは、前記パティキュレートを物理的に捕集するパティキュレートフィルタ等を内部に装備して成る通気式浄化器を前記消音器15と組み合わせて排気管14の途中に装備することが検討されている。尚、通気式浄化器を消音器15と組み合わせて装備するとした場合、浄化性能確保のために極力排気温度の高い位置、即ちエンジン13と消音器15との間に通気式浄化器を配置するのが通常である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した如きホイールベースの短いセミトラクタ1の場合には、各種の補器類が既に緊密な状態でレイアウトされているので、これらの補器類との干渉を避けながら、一方のサイドレール7の下側を車両前後方向に延びている排気管14に対し触媒コンバータやパティキュレートフィルタ等の通気式浄化器を消音器15と組み合わせて搭載できるスペースを確保することが非常に困難となり、この搭載性の問題が通気式浄化器をセミトラクタ1に採用する上での大きな障害となっていた。
【0007】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、セミトラクタ等のホイールベースの短い車両に対し通気式浄化器を消音器と組み合わせて支障なく搭載し得るようにすることを目的としている。
【0008】
本発明は、キャブ直後の車幅方向における一方の側に消音器を配置すると共に、該消音器と車幅方向に対峙する他方の側に通気式浄化器を配置し、前記消音器をエンジンに対し第一の排気管により接続し且つ前記通気式浄化器に対しては第二の排気管により接続した排気浄化装置であって、消音器側から通気式浄化器側に向けて延びる第二の排気管が、前記消音器と通気式浄化器との間に確保されている変速機脱着スペースを車両前方側へ迂回して前記通気式浄化器に対し車両前方側から接続されていることを特徴とするものである。
【0009】
而して、このようにすれば、キャブ直後の左右位置に消音器と通気式浄化器とを夫々振り分けて配置し、第一及び第二の排気管を車両前後方向に延在させずに配置することが可能となるので、排気経路の途中に通気式浄化器を消音器と組み合わせて配置するにあたり、これらの配置に要する車両前後方向のスペースが著しく縮小され、ホイールベースの短い車両であっても、他の補器類との干渉を避けつつ消音器及び通気式浄化器を支障なく搭載することが可能となる。
しかも、消音器側から通気式浄化器側に向けて延びる第二の排気管が、前記消音器と通気式浄化器との間に確保されている変速機脱着スペースを車両前方側へ迂回して前記通気式浄化器に対し車両前方側から接続されているので、消音器を通気式浄化器に接続する第二の排気管が変速機脱着スペースと干渉することを確実に回避させることが可能となる。
【0010】
また、本発明においては、消音器が略立方体形状を成していることが好ましく、このようにすれば、同じ容積について通常の消音器の場合の如き円筒形状を採用した場合よりも表面積が大幅に低減され、放熱面積の減少により大幅な排気温度低下が防止されるので、消音器の下流側に通気式浄化器を設置しても、消音器を経由することによる排気ガスの温度低下が抑制される結果、この排気ガスの温度低下に起因した後段の通気式浄化器における不具合を未然に回避することが可能となる。
【0011】
更に、本発明においては、通気式浄化器が車幅方向に軸心を向けた横置きの円筒形状を成していることが好ましく、このようにすれば、車両前後方向における通気式浄化器の配置スペースが少なくて済む。
【0013】
更に、本発明においては、通気式浄化器を車体に組付けるのに際し、通気式浄化器の車幅方向内側端をサイドレール下面に取り付け且つその車幅方向外側端を前記通気式浄化器の直上に配置されている補器のキャリヤ下面に取り付けるようにすれば良い。
【0014】
尚、本発明における通気式浄化器には、各種の触媒コンバータやパティキュレートフィルタ等を適宜に装備せしめることが可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1〜図4は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図5及び図6と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0017】
本形態例の要部についての平面図を図1に示し、そのII−II方向の矢視図を図2に示している通り、本形態例においては、セミトラクタ1におけるキャブ2直後の車幅方向における左側(図1中の下側)に消音器15が配置されていると共に、該消音器15と車幅方向に対峙する右側(図1中の上側)に通気式浄化器16が配置されており、前記消音器15がエンジン13(図6参照)に対し第一の排気管14Aにより接続され且つ前記通気式浄化器16に対しては第二の排気管14Bにより接続されるようになっている。
【0018】
ここで、本形態例に例示してある消音器15は、略立方体形状を成すように形成されており、左側のサイドレール7の外側面にブラケット17を介して取り付けられている。
【0019】
他方、前記通気式浄化器16は、車幅方向に軸心を向けた横置きの円筒形状を成したケーシング18の内部に、図3に示す如きフロースルー型式の触媒モノリスから成る円筒形状の触媒コンバータ19を同心状に装備しており、この触媒コンバータ19には、NOx還元触媒(選択還元型触媒)やNOx吸蔵還元触媒や酸化触媒等が適宜に選定されて担持されるようになっている。
【0020】
即ち、触媒コンバータ19にNOx還元触媒を採用すれば、酸素共存下でも選択的にNOxを還元剤と反応させることができ、また、触媒コンバータ19にNOx吸蔵還元触媒を採用した場合には、排気ガス中の酸素濃度が高い希薄燃焼運転時にNOxを酸化して硝酸塩の状態で一時的に吸蔵させ且つ排気ガス中の酸素濃度が低い濃空燃比運転時に排気ガス中の炭化水素や一酸化炭素の介在によりNOxを分解放出して還元浄化させることができ、更に、触媒コンバータ19に酸化触媒を採用した場合には、排気ガス中に含まれるパティキュレート(Particulate Matter:粒子状物質)の酸化浄化を助勢することができる。
【0021】
ただし、通気式浄化器16におけるケーシング18内に、前述した触媒コンバータ19に替えて、図4に示す如きパティキュレートフィルタ20を採用することも可能である。
【0022】
このパティキュレートフィルタ20は、コージェライトなどのセラミックから成る多孔質のハニカム構造となっていて、格子状に区画された各流路21の入口が交互に目封じされ、入口が目封じされていない流路21については、その出口が目封じされるようになっており、各流路21を区画する多孔質薄壁22を透過した排気ガスのみが下流側へ排出されて、前記多孔質薄壁22の内側表面にパティキュレートが捕集されるようになっている。
【0023】
尚、この種のパティキュレートフィルタ20に対し、例えば、アルミナに白金を担持させたものに適宜な量のセリウム等の希土類元素を添加して成る酸化触媒を一体的に担持させ、その一体的に担持させた酸化触媒によって、捕集済みパティキュレートの酸化反応を促進して着火温度を低下せしめ、従来より低い排気温度でもパティキュレートを燃焼除去し得るようにした触媒再生型のパティキュレートフィルタ20とすることも可能であり、また、NOx低減効果を同時に得るべく、NOx還元触媒やNOx吸蔵還元触媒を一体的に担持させることも可能である。
【0024】
そして、このような触媒コンバータ19やパティキュレートフィルタ20を装備した通気式浄化器16は、キャブ2直後の右側のサイドレール7の外側面に取り付けられた棚状のバッテリキャリヤ23の直下に配置されており、その車幅方向内側端を前記右側のサイドレール7の下面に対しブラケット24を介して取り付けられ且つその車幅方向外側端を直上のバッテリキャリヤ23下面に対しブラケット25,26を介して取り付けられている。
【0025】
尚、バッテリキャリヤ23上にバッテリ9が載置されることは勿論であり、バッテリキャリヤ23を挟んでバッテリ9と通気式浄化器16とが上下段に配置されることになる。
【0026】
また、本形態例においては、第一の排気管14Aが、図示しないエンジンの排気側を成す車幅方向右側にてサイドレール7下まで下降してから車幅方向左側へわたって消音器15に接続されるようにしてあると共に、該消音器15から反対側の通気式浄化器16に向けて延びる第二の排気管14Bが、前記消音器15と通気式浄化器16との間に確保されている変速機12の脱着スペースを車両前方側(図1中における左側)へ迂回して、前記通気式浄化器16のケーシング18の胴部分に対し車両前方側から接続されるようになっている。
【0027】
尚、図中27は通気式浄化器16の排気出口を成すテールパイプを示している。
【0028】
而して、このように排気浄化装置を構成すれば、キャブ2直後の左右位置に消音器15と通気式浄化器16とを夫々振り分けて配置し、第一及び第二の排気管14A,14Bを車両前後方向に延在させずに配置することが可能となるので、排気経路の途中に通気式浄化器16を消音器15と組み合わせて配置するにあたり、これらの配置に要する車両前後方向のスペースが著しく縮小される。
【0029】
従って、ホイールベースの短いセミトラクタ1であっても、他の補器類との干渉を避けつつ消音器15及び通気式浄化器16を支障なく搭載することができるので、セミトラクタ1に対し近年の厳しい排気ガスの浄化規制に則した対策を施すことができる。
しかも、第二の排気管14Bが変速機12の脱着スペースを車両前方側へ迂回して通気式浄化器16のケーシング18の胴部分に対し車両前方側から接続されているので、消音器15を通気式浄化器16に接続する第二の排気管14Bが変速機12の脱着スペースと干渉する虞れを確実に回避することができ、車両整備を行う場合等において、前記第二の排気管14Bを取り外すような手間をかけずに変速機12を下方へ吊り降ろして該変速機12の整備を行うことができる。
【0030】
また、本形態例においては、消音器15が略立方体形状を成すように構成されているので、同じ容積について通常の消音器15の場合の如き円筒形状を採用した場合よりも表面積を大幅に低減することができ、放熱面積の減少により大幅な温度低下を防止することができるので、消音器15の下流側に通気式浄化器16を設置しても、消音器15を経由することによる排気ガスの温度低下を抑制することができ、この排気ガスの温度低下に起因した後段の通気式浄化器16における不具合を未然に回避することができる。
【0031】
即ち、通気式浄化器16に装備される触媒コンバータ19には、有効な触媒性能が発揮される活性温度領域があるので、触媒コンバータ19に導入される排気ガスの温度が低下してしまうと、必要な化学反応が促進されなくなるという不具合が起こり、また、パティキュレートフィルタ20の場合には、捕集したパティキュレートが良好に燃焼除去させなくなって短期間に目詰まりを起こしてしまうといった不具合が起こり得るが、このような不具合を未然に回避する上で略立方体形状の消音器15の採用は非常に有効なものとなる。
【0032】
更に、本形態例においては、通気式浄化器16が車幅方向に軸心を向けた横置きの円筒形状を成すように構成されているので、車両前後方向における通気式浄化器16の配置スペースをより確実に少なくすることができ、該通気式浄化器16の搭載性を更に向上することができる。
【0034】
更に、通気式浄化器16を車体に組付けるのに際し、通気式浄化器16の車幅方向内側端をサイドレール7下面に取り付け且つその車幅方向外側端を直上のバッテリキャリヤ23下面に取り付けるようにしているので、前記通気式浄化器16をバッテリキャリヤ23上のバッテリ9と一緒に効率良く搭載し且つ簡単確実に支持することができる。
【0035】
尚、本発明の排気浄化装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、消音器と通気式浄化器とを図示とは逆(左右反対)に配置しても良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0036】
【発明の効果】
上記した本発明の排気浄化装置によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0037】
(I)キャブ直後の左右位置に消音器と通気式浄化器とを夫々振り分けて配置し、第一及び第二の排気管を車両前後方向に延在させずに配置することができるので、通気式浄化器を消音器と組み合わせて配置するのに必要な車両前後方向のスペースを著しく縮小することができ、セミトラクタ等のホイールベースの短い車両であっても、他の補器類との干渉を避けつつ消音器及び通気式浄化器を支障なく搭載することができ、セミトラクタ等のホイールベースの短い車両に対し近年の厳しい排気ガスの浄化規制に則した対策を施すことができる。
(II)第二の排気管が変速機脱着スペースを車両前方側へ迂回して通気式浄化器に対し車両前方側から接続されているので、消音器を通気式浄化器に接続する第二の排気管が変速機脱着スペースと干渉する虞れを確実に回避することができ、車両整備を行う場合等において、前記第二の排気管を取り外すような手間をかけずに変速機を下方へ吊り降ろして該変速機の整備を行うことができる。
【0038】
III)消音器が略立方体形状を成すように構成した場合には、同じ容積について通常の消音器の場合の如き円筒形状を採用した場合よりも表面積(放熱面積)を大幅に低減することができ、消音器を経由することによる排気ガスの温度低下を抑制することができるので、この排気ガスの温度低下に起因した後段の通気式浄化器における不具合を未然に回避することができる。
【0039】
IV)通気式浄化器が車幅方向に軸心を向けた横置きの円筒形状を成すように構成した場合には、車両前後方向における通気式浄化器の配置スペースをより確実に少なくすることができ、該通気式浄化器の搭載性を更に向上することができる。
【0041】
(V)通気式浄化器の車幅方向内側端がサイドレール下面に取り付けられ且つその車幅方向外側端が前記通気式浄化器の直上に配置されている補器のキャリヤ下面に取り付けられるように構成した場合には、前記通気式浄化器をキャリヤ上の補器と一緒に効率良く搭載し且つ簡単確実に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す平面図である。
【図2】図1のII−II方向の矢視図である。
【図3】図1の触媒コンバータの詳細を一部を切り欠いて示す斜視図である。
【図4】通気式浄化器に装備可能なパティキュレートフィルタの一例を概略的に示す断面図である。
【図5】一般的なセミトラクタの一例を示す側面図である。
【図6】図5のVI−VI方向の矢視図である。
【符号の説明】
1 セミトラクタ
2 キャブ
7 サイドレール
8 エアタンク(補器)
9 バッテリ(補器)
10 燃料タンク(補器)
11 スペアタイヤ(補器)
12 変速機(補器)
13 エンジン
14A 排気管
14B 排気管
15 消音器
16 通気式浄化器
19 触媒コンバータ
20 パティキュレートフィルタ
23 バッテリキャリヤ(補器のキャリヤ)

Claims (6)

  1. キャブ直後の車幅方向における一方の側に消音器を配置すると共に、該消音器と車幅方向に対峙する他方の側に通気式浄化器を配置し、前記消音器をエンジンに対し第一の排気管により接続し且つ前記通気式浄化器に対しては第二の排気管により接続した排気浄化装置であって、消音器側から通気式浄化器側に向けて延びる第二の排気管が、前記消音器と通気式浄化器との間に確保されている変速機脱着スペースを車両前方側へ迂回して前記通気式浄化器に対し車両前方側から接続されていることを特徴とする排気浄化装置。
  2. 消音器が略立方体形状を成していることを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
  3. 通気式浄化器が車幅方向に軸心を向けた横置きの円筒形状を成していることを特徴とする請求項1又は2に記載の排気浄化装置。
  4. 通気式浄化器の車幅方向内側端がサイドレール下面に取り付けられ且つその車幅方向外側端が前記通気式浄化器の直上に配置されている補器のキャリヤ下面に取り付けられていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の排気浄化装置。
  5. 通気式浄化器が触媒コンバータを装備していることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の排気浄化装置。
  6. 通気式浄化器がパティキュレートフィルタを装備していることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の排気浄化装置。
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