JP3762574B2 - 洗濯機の開閉扉 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗濯機に関する。特に、ハウジングの上面にある投入口を覆う開閉扉に関する。
【0002】
【従来の技術】
洗濯機には、洗濯するための洗濯槽が、ハウジング内に設けられている。このハウジングの上面には、洗濯槽へ洗濯物を出し入れするための投入口が形成され、この投入口を開閉自在に覆う開閉扉が設けられている。開閉扉の後端縁が、ハウジングの上面に、蝶番等を含む開閉機構により連結されている。
【0003】
また、開閉扉には、一枚板状のものや、一対の板状の扉部材を折り畳み可能に連結したものがある。後者の開閉扉では、一対の扉部材の隣接する端縁同士が、折り畳み連結機構を介して互いに連結されている。
折り畳み連結機構は、従来は、軸部と、この軸部が嵌まる孔を有する支持部とを有していた。軸部は、一対の扉部材の一方に一体に形成され、支持部は、一対の扉部材の他方に一体に形成されている。これらの軸部および支持部は、扉部材と同様に樹脂材料により形成されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、樹脂材料は、通常、金属材料に比べると弱いので、開閉扉の上に大量の洗濯物が頻繁に載せられる場合には、折り畳み連結機構が傷み易い。
特に、近年の洗濯機は、洗濯能力を大容量化される傾向にあることから、洗濯物を大量に扱うことになり、これに伴い、開閉扉の上にかかる荷重も大きくなることが想定される。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上述の技術的課題を解決し、開閉扉の折り畳み連結機構の強度を高くできる洗濯機の開閉扉を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1に記載の発明の態様によれば、洗濯機のハウジングの上面に設けられ、洗濯物を出し入れするための投入口を開閉する開閉扉であって、
この開閉扉は、板状の一対の扉部材と、一対の扉部材の対向する端縁同士を相対回動可能に連結する折り畳み連結機構とを有し、この折り畳み連結機構により、一対の扉部材が表面を同じ向きにして並ぶ広げた状態と、一対の扉部材が重なり合う折り畳み状態とにでき、
折り畳み連結機構は、一対の扉部材にそれぞれ形成された孔形成部材と、これら孔形成部材にそれぞれ形成された孔と、これらの孔を貫いて嵌まる軸とを有し、
上記扉部材には、洗濯機の内部を見るための窓が設けられ、
上記孔形成部材は、互いに相手方の間に入り込んで、軸方向に沿って並び、
上記孔は、複数個が軸方向に沿って並び、軸の全長にわたって連続して互いに連通しており、
上記孔形成部材には、軸の周面を露出させることができる側面開口が形成されていることを特徴とする洗濯機の開閉扉を提供する。
請求項2記載の発明の態様によれば、洗濯機のハウジングの上面に設けられ、洗濯物を出し入れするための投入口を開閉する開閉扉であって、
この開閉扉は、板状の一対の扉部材と、一対の扉部材の対向する端縁同士を相対回動可能に連結する折り畳み連結機構とを有し、この折り畳み連結機構により、一対の扉部材が表面を同じ向きにして並ぶ広げた状態と、一対の扉部材が重なり合う折り畳み状態とにでき、
折り畳み連結機構は、一対の扉部材にそれぞれ形成された孔形成部材と、これら孔形成部材にそれぞれ形成された孔と、これらの孔を貫いて嵌まる軸とを有し、
上記孔形成部材は、互いに相手方の間に入り込んで、軸方向に沿って並び、
上記孔は、複数個が軸方向に沿って並び、軸の全長にわたって連続して互いに連通しており、
上記孔形成部材には、軸の周面を露出させることができる側面開口が形成されていることを特徴とする洗濯機の開閉扉を提供する。
請求項3記載の発明の態様によれば、洗濯機のハウジングの上面に設けられ、洗濯物を出し入れするための投入口を開閉する開閉扉であって、
この開閉扉は、板状の一対の扉部材と、一対の扉部材の対向する端縁同士を相対回動可能に連結する折り畳み連結機構とを有し、この折り畳み連結機構により、一対の扉部材が表面を同じ向きにして並ぶ広げた状態と、一対の扉部材が重なり合う折り畳み状態とにでき、
折り畳み連結機構は、一対の扉部材にそれぞれ形成された孔形成部材と、これら孔形成部材にそれぞれ形成された孔と、これらの孔を貫いて嵌まる軸とを有し、
上記孔形成部材は、互いに相手方の間に入り込んで、軸方向に沿って並び、
上記孔は、複数個が軸方向に沿って並び、
上記孔形成部材には、軸の周面を露出させることができる側面開口が形成されていることを特徴とする洗濯機の開閉扉を提供する。
【0007】
本態様によれば、軸は一対の扉部材と別部材であるので、軸に扉部材と異なる高強度の材料を利用できる結果、軸の強度を高くすることができる。
また、例えば、組立時に、側面開口を通じて孔内の軸を見ながら、軸を複数の連続した孔に通すことができるので、軸が見えない場合に比べて、軸を通す作業が容易である。
また、軸を孔から取り外したい場合には、側面開口から軸の周面を押すことにより、軸を移動させて孔内から取り出すことができる。
また、扉部材に洗濯機の内部を見るための窓を設けると、窓を通して内部を見ることができ、例えば、洗濯の進行状況を容易に確認できる。
【0009】
請求項4に記載の発明の態様によれば、請求項1から3のいずれか1項に記載の洗濯機用の開閉扉において、上記孔には、軸の端部の近傍に、軸方向から見たときに、軸の一部と重なり合って配置される抜け止め突部が設けられ、軸の端部にある孔は、他の孔よりも、抜け止め突部の突出する方向に広げられていることを特徴とする洗濯機の開閉扉を提供する。
【0010】
本態様によれば、組立時に、広げられた端部の孔を通じて軸を抜け止め突部越しに孔内に容易に入れることができる。また、入れられた軸は孔から抜け出すことが抜け止め突部により防止される。その結果、例えば、孔内に軸を固定するための作業を省くことができ、組み立て易い。
軸の抜け止めを、抜け止め突部という簡素な構成により実現できる。
【0012】
請求項5に記載の発明の態様によれば、請求項1から4のいずれか1項に記載の洗濯機の開閉扉において、上記側面開口は、折り畳み状態において、外部への露出を回避する位置にあることを特徴とする洗濯機の開閉扉を提供する。
【0013】
本態様によれば、折り畳み状態で、ユーザが不用意に軸に触れることを確実に防止できる。ここで、外部への露出を回避する位置とは、折り畳み状態の開閉扉の周囲から見え難い位置であればよい。
請求項6に記載の発明の態様によれば、請求項1から5のいずれか1項に記載の洗濯機の開閉扉において、上記側面開口は、指の進入を阻止する大きさに形成されていることを特徴とする洗濯機の開閉扉を提供する。
【0014】
本態様によれば、ユーザが不用意に軸に触れることをより一層確実に防止できる。
請求項7記載の発明の態様によれば、請求項1から6のいずれか1項に記載の洗濯機の開閉扉において、上記軸は、金属製であることを特徴とする洗濯機の開閉扉を提供する。
【0015】
本態様によれば、高強度且つ安価な軸を容易に得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態の洗濯機の正面側面図である。
洗濯機1は、箱状のハウジング2を有しており、その内部に、洗濯や脱水するための洗濯槽3や、図示していないが、洗濯槽3へ給水したり洗濯槽3から排水するための弁や管等が設けられている。また、洗濯槽3の上方となるハウジング2の上面2aには、洗濯物を出し入れするための投入口4が形成されており、この投入口4には開閉扉5が設けられている。
【0017】
開閉扉5は、樹脂材料で形成された板状の一対の扉部材6,7と、一対の扉部材6,7同士を相対回動可能に連結する折り畳み連結機構8とを有している。一対の扉部材6,7は、略長方形状に形成され、その長手方向に沿う端縁9,10(図3参照)同士が互いに対向して折り畳み連結機構8より連結されている。折り畳み連結機構8により、広げた状態(図1に実線で図示した状態)と折り畳み状態(図1に一点鎖線で図示した状態)とにすることができる。
【0018】
広げた状態では、一対の扉部材6,7が、その表面6a,7aを同じ向きにして、隣接して並び、一枚板状になる。また、折り畳み状態では、一対の扉部材6,7が重なり合って、その表面6a,7aが外になるようにされ、開閉扉5は2つ折り状態にされる。また、この状態では、扉部材6,7の裏面(表面6a,7aの裏側の面である。)は折り畳みの内側に挟み込まれる。
【0019】
開閉扉5では、一方の扉部材6を洗濯機1の前寄りに、他方の扉部材7を後寄りに配置している。他方の扉部材7には、折り畳み連結機構8のある端縁10と対向する端縁11に、開閉扉5をハウジング2の上面2aに開閉可能に連結する開閉連結機構12が設けられている。
開閉連結機構12は、扉部材7の端縁11に沿って延びる回動中心軸13を含む蝶番で構成されている。この開閉連結機構12は、蝶番の他、公知の機構を利用できる。開閉連結機構12により、広げた状態の開閉扉5がほぼ水平に配置されて投入口4を覆う閉成状態(図1に実線で図示した状態)と、開閉扉5を投入口4の後方で上面2aに対して立て掛けて投入口4を開放する開成状態とにすることができる。開成状態では、開閉扉5を、折り畳み状態にしてもよいし(図1にこの状態を一点鎖線で図示)、また、広げた状態としてもよい。
【0020】
このように、開閉扉5を開く際に折り畳むことにより、開閉扉5の開閉のためのスペースが少なくて済むので、洗濯機1の上方を広く開けておかずに済む。例えば、洗濯機1の上方に乾燥機を配置する場合に、乾燥機の設置高さを低くして、使い易くできる。
本実施の形態では、上述の折り畳み連結機構8に特徴がある。すなわち、一対の扉部材6,7のそれぞれに形成された孔23,24(図3参照)を貫く軸20が、一対の扉部材6,7のそれぞれと別体で設けられている。これにより、軸20の強度を高め、且つそのためのコストの増加を抑制することができる。
【0021】
また、本実施の形態の開閉扉5には、投入口4の内部を見るための窓14が設けられている。これにより、洗濯の進行状況を容易に確認できる。
以下、詳細に説明する。
扉部材6,7は、投入口4の略半分を覆う大きさの主体板部15,16と、主体板部15,16の一部に設けられた半円形状の窓14とをそれぞれ有している。また、主体板部15には、開閉操作時に把手となる凹部17が形成されている。
【0022】
各窓14は、折り畳み連結機構8のある側の端縁9,10寄りに、互いに接近して隣り合って配置されている。これにより、2つの窓14は、開閉扉5のほぼ中央部でほぼ円形をなして、単一の大きな窓としても機能するようになっている。2つの窓14は、半透明の樹脂材料で形成され、窓14を除いた主体板部15,16の表面6a,7aは不透明にされている。ユーザが洗濯状況を確認したいときには、開閉扉5を開けずに、窓14を通して洗濯槽3の内部を見ることができる。なお、窓14を透明部材で形成してもよい。
【0023】
折り畳み連結機構8は、図2および図3に示すように、一方の扉部材6に一体に形成された孔形成部材としての第1こま部21と、他方の扉部材7に一体に形成された孔形成部材としての第2こま部22と、第1こま部21に形成された孔23と、第2こま部22に形成された孔24と、これらの孔23,24を貫いて嵌まっている単一部材からなる上述の軸20とを有している。
【0024】
軸20は、一対の扉部材6,7の互いに隣接する端縁9,10に沿って延びている。軸20は、一対の扉部材6,7の相対回動の回動中心となる。軸20は、ステンレス鋼等の耐蝕性のある金属材料からなり、円柱形状に形成されている。軸20の材料としては、開閉扉5は水で濡れることが想定されることから、錆の生じ難い耐蝕性のあるものが好ましい。特に、軸20を金属材料で形成する場合には、軸20の剛性を高くできるので、開閉時にがたつき難くて、より一層好ましい。耐蝕性のある金属材料としては、ステンレス鋼の他、アルミニウムを例示できる。
【0025】
第1こま部21は、図2に示すように、一方の扉部材6の主体板部15の端縁9に形成され、裏面側に向け、且つ主体板部15の外側に向けて張り出している。第1こま部21の張り出した部分の中央には、上述の孔23が形成され、第1こま部21の外形は円周面25で形成されている。
また、第2こま部22は、他方の扉部材7の主体板部16の端縁10に形成され、裏面側に向け、且つ主体板部16の内側に向けて張り出している。第2こま部22の張り出した部分の中央には、上述の孔24が形成され、第2こま部22の外形は円周面26で形成されている。
【0026】
これらの円周面25,26は、軸20の軸方向(以下「軸方向」という。)からみたときに、ほぼ同様の大きさで形成されている。それゆえ、第1こま部21および第2こま部22を組み合わせたときに、凹凸の少ない滑らかな外形とすることができる。
第1こま部21は、図4に示すように、扉部材6の端縁9に沿って複数箇所、例えば、5箇所に設けられ、各第1こま部21同士の間に所定の間隔が開けられている。また、第2こま部22は、扉部材7の端縁10に沿って複数箇所、例えば、6箇所に設けられ、各第2こま部22同士の間に所定の間隔が開けられている。第1こま部21と第2こま部22とは、互いに相手方の間に交互に入り込んで、軸方向に沿って一列に並んでいる。隣接する第1こま部21と第2こま部22との間に隙間がほとんどないようにされている。第1こま部21および第2こま部22は、互いに協働して、軸20の全体を孔23,24内に収容し、両持ち状態で支持している。複数の孔23,24は、軸方向に沿って並び、軸20の全長にわたって連続して互いに連通している。これら複数の孔23,24は、軸20に対して相対回動可能に、がたつきなくそれぞれ嵌め込まれている。
【0027】
これら複数の孔23,24のなかで、軸方向の一方の端部にある孔28(例えば、図5で紙面左側にある第2こま部22の孔24である。)は、端部が塞がれている。また、軸方向の他方の端部にある孔27(例えば、図5で紙面右側にある第2こま部22の孔24である。)は、端部が開放されている。組立時には、開放された端部の孔27から軸20を孔23,24内に入れる。
【0028】
この軸20の挿入側となる孔27には、軸方向から見たときに、軸20の一部と重なり合って配置される抜け止め突部29が設けられている。図5および図6に示すように、この抜け止め突部29は、孔27内に突出して形成され、軸20の端部41の近傍にある。抜け止め突部29は、軸20の端面20aと引っかかることにより軸20が軸方向に移動することを阻止する。また、この孔27は、他の孔23,24よりも広げられた長円形状に形成され、その長円形の長手方向を抜け止め突部29の突出する向きに沿わせている。長円形の孔27は、軸20が抜け止め突部29を乗り越えて、軸20を通すことができる大きさを有し、孔内にある軸20の中心C1に対して開口(中心C2)がずれている。
【0029】
また、軸方向の中間にある第2こま部22の孔24は、軸方向に延びる円周面で形成されている。
また、各第1こま部21には、図3に示すように、断面略U字形状の部分32と、断面円形の筒状部分33とが軸方向に沿って並んでいる。孔23は、筒状部分33において軸方向に延びる円周面で形成されている。孔23は、部分33と部分32との間で滑らかにつながっている。孔23は、断面略U字形状の部分32において、軸方向に延びる円周面からなる底面と、この底面から立ち上がる一対の側面とで形成され、底面に対向するように、孔23から軸20の周面42を露出させることができる側面開口34が設けられている。
【0030】
側面開口34は、図2に示すように、開閉扉5の閉成状態(広げた状態)で、投入口4のある側となる裏面側に向き、且つ下方に向いて開口するように形成されている。下方に向いて開口する側面開口34であれば、荷重が扉部材6,7にかかるときに、孔23の底面と軸20の周面42とが確実に接することができ、荷重を確実に軸20で受け止めることができる。また、この側面開口34は、図7に示すように、折り畳み状態において、扉部材6,7の裏面同士で挟まれる内部に臨んで開口し、外部への露出を回避する位置に配置される。さらに、側面開口34の大きさは、軸20を指で直接に触れないように指の進入を阻止できる大きさの範囲内であり、且つ通常の汎用工具を内部に入れることのできる大きさとされている。
【0031】
このようにして、複数の孔23,24内に嵌め込まれた軸20は、扉部材6,7から径方向の荷重を受ける場合であっても、がたつくことはなく、また、軸方向にもがたつくことなく孔内に保持されている。
また、開閉扉5の組立時には、一対の扉部材6,7の端縁9,10を対向させて並べ、第1こま部21および第2こま部22を噛み合わせて一列に並べ、孔23,24を連通させる。この状態で、軸20を少し傾けるようにして、端部の孔27から抜け止め突部29越しに軸20を孔内に入れる。そして、軸20を孔23,24の内面に沿わせて奥に押し込めばよい。
【0032】
このとき、側面開口34を通じて軸20が見えるので、軸20が見えない場合に比べて、連続する孔23,24に軸20を通し易い。というのは、隣接する孔23,24間に段差があると、この段差に軸20が引っかかることがあるが、軸20が見えると段差を容易に解消できるからであり、これに対して、軸20が見えない場合には、引っかかっている段差が分かり難く解消し難いからである。
【0033】
軸20が孔23,24の奥まで入り、軸20の端面20aが抜け止め突部29よりも孔内に入ると、軸20の装着が完了する。この状態では、入れられた軸20が孔23,24から抜け出すことを抜け止め突部29により防止できる。
また、メンテナンス時に軸20を取り外す必要がある場合には、孔23の側面開口34を通じて工具等を介して軸20の周面42を押してやればよい。これにより軸20の端部41を、抜け止め突部29との係合を解除する方向となる径方向に偏らせつつ、軸方向の反挿入の向きに移動させることができ、軸20の端部41を抜け止め突部29を越えて抜け出させることができる。後は、出てきた軸20を引き抜けばよい。
【0034】
このように本実施の形態によれば、図3に示すように、軸20は一対の扉部材6,7と別部材であるので、軸20に扉部材6,7と異なる高強度の材料を利用できる結果、軸20の強度を高くすることができる。
また、軸20と扉部材6,7とは別体なので、扉部材6,7に軸20を固定する部分を設けずに済み、また、軸20を両持ち状態で支持するのも容易である。その結果、扉部材6,7に無理な力がかかり難く、扉部材6,7は破損し難い。これに対して、軸と一体に形成される従来の扉部材では、軸を固定する部分に応力集中が生じることが懸念され、また、通常、扉部材と一体の軸は片持ち状態で支持されるので、軸の根元に大きな力がかかり易い。
【0035】
また、軸20と別体の扉部材6,7には、軸20を固定する部分を設けずに済み、無理な力がかかり難く、扉部材6,7は破損し難い。これに対して、軸と一体に形成される従来の扉部材では、軸を固定する部分に応力集中が生じることが懸念される。
孔23,24を、軸20の全長にわたる複数箇所に設けているので、荷重を分散できる結果、第1こま部21および第2こま部22が破損し難い。
【0036】
単一部材の軸20は、複数部材からなる軸20を設ける場合に比べて、偏った荷重であっても軸方向の広い範囲で受け止められるので、第1こま部21および第2こま部22がより一層破損し難い。
また、軸20と扉部材6,7とは別体で形成されているので、軸20だけを高強度な材料で形成し、且つ扉部材6,7を低強度であっても安価な材料で形成できる。その結果、軸20の強度を高めるためのコストの上昇を必要な範囲内に抑制することができる。なお、従来の扉部材と一体の軸20の強度を高めるには、軸20だけでなく扉部材全体を高強度で高価な材料で形成することになり、必要以上にコストが上昇することが懸念される。
【0037】
特に、金属製の軸20は、高強度且つ安価なものを容易に得られるので、部品コストの増加を確実に抑制できる。
また、軸20は単一であるので、部品点数の増加を最小限に抑制できる結果、組み立て易くでき、組立コストの上昇を抑制できる。
また、抜け止め突部29という簡素な構成により、組立時に孔23,24内に軸20を固定する作業を不要にできて、さらに組み立て易くできる、
また、孔23に側面開口34があるので、組立時に複数の孔23,24に軸20を通し易い。
【0038】
また、側面開口34を利用して、必要に応じて軸20を取り外すことができるメンテナンスのし易さを確保しつつ、その一方で、側面開口34のみで露出する軸20により、ユーザが軸20に不用意に触れることを防止して、軸20が抜けることを防止することができる。
特に、側面開口34は、折り畳み状態で外部へ露出しないように配置されているので、ユーザが不用意に軸20に触れることを確実に防止できる。さらに、指が入らない大きさの側面開口34であれば、より一層確実に防止できる。
【0039】
また、第1こま部21および第2こま部22が、軸方向に沿って直線状に連続して配置されるので、窓14を通して見たときの審美性に優れている(図8参照)。
特に、窓14を通して見たときに、第1こま部21および第2こま部22の表面が、連続した面、例えば、円周面を形成しているので、美観上より一層好ましい。また、軸20が単一の場合には、より一層好ましい。
【0040】
さらに、閉成状態では、側面開口34は窓14に対して反対側に向いて開口し、窓14を通して見えない位置にあるので、美観上より一層好ましい。
また、上述のように扉部材6,7が破損し難くて、且つ高強度な軸20を利用できるので、所要の荷重に耐えるための軸20等を小形化できる結果、折り畳み連結機構8が窓14からの視界を妨げ難く、内部を見易くできる。
【0041】
また、上述の各こま部21,22は、審美性に優れ且つ視界も妨げ難いので、窓14を大きくできる結果、より一層内部を見易くできる。
なお、各こま部21,22の配置や数は、上述のものに限定されない。例えば、第1こま部21を1つ端縁9の中央に配置し、その両側に、2つの第2こま部22を配置することも考えられる。
【0042】
また、開閉扉5は、窓14のあるものであったが、窓14がないものにも本発明を適用することができる。
また、軸20は、金属製のものに限定されない。例えば、軸20の材質を、高強度な樹脂等としてもよく、公知の硬質部材を利用できる。
その他、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す洗濯機の上半部の一部断面側面図である。
【図2】図1のC部を拡大して示す断面図であり、広げた状態を図示する。
【図3】図1の折り畳み連結機構の分解斜視図である。
【図4】図1の開閉扉を下方から見た模式図である。
【図5】図1の折り畳み連結機構の断面図であり、図2のA−A断面を示す。
【図6】図5のB方向からみた開閉扉の要部の拡大図である。
【図7】図1のC部を示す断面図であり、折り畳み状態を図示する。
【図8】図1の折り畳み連結機構の斜視図であり、窓を通して見た状態を示す。
【符号の説明】
1 洗濯機
2 ハウジング
2a 上面
4 投入口
5 開閉扉
6,7 扉部材
6a,7a 表面
8 折り畳み連結機構
9,10 端縁
14 窓
20 軸
23,24 孔
27 孔(端部にある孔)
29 抜け止め突部
34 側面開口
41 軸の端部
42 軸の周面

Claims (7)

  1. 洗濯機のハウジングの上面に設けられ、洗濯物を出し入れするための投入口を開閉する開閉扉であって、
    この開閉扉は、板状の一対の扉部材と、一対の扉部材の対向する端縁同士を相対回動可能に連結する折り畳み連結機構とを有し、この折り畳み連結機構により、一対の扉部材が表面を同じ向きにして並ぶ広げた状態と、一対の扉部材が重なり合う折り畳み状態とにでき、
    折り畳み連結機構は、一対の扉部材にそれぞれ形成された孔形成部材と、これら孔形成部材にそれぞれ形成された孔と、これらの孔を貫いて嵌まる軸とを有し、
    上記扉部材には、洗濯機の内部を見るための窓が設けられ、
    上記孔形成部材は、互いに相手方の間に入り込んで、軸方向に沿って並び、
    上記孔は、複数個が軸方向に沿って並び、軸の全長にわたって連続して互いに連通しており、
    上記孔形成部材には、軸の周面を露出させることができる側面開口が形成されていることを特徴とする洗濯機の開閉扉。
  2. 洗濯機のハウジングの上面に設けられ、洗濯物を出し入れするための投入口を開閉する開閉扉であって、
    この開閉扉は、板状の一対の扉部材と、一対の扉部材の対向する端縁同士を相対回動可能に連結する折り畳み連結機構とを有し、この折り畳み連結機構により、一対の扉部材が表面を同じ向きにして並ぶ広げた状態と、一対の扉部材が重なり合う折り畳み状態とにでき、
    折り畳み連結機構は、一対の扉部材にそれぞれ形成された孔形成部材と、これら孔形成部材にそれぞれ形成された孔と、これらの孔を貫いて嵌まる軸とを有し、
    上記孔形成部材は、互いに相手方の間に入り込んで、軸方向に沿って並び、
    上記孔は、複数個が軸方向に沿って並び、軸の全長にわたって連続して互いに連通しており、
    上記孔形成部材には、軸の周面を露出させることができる側面開口が形成されていることを特徴とする洗濯機の開閉扉。
  3. 洗濯機のハウジングの上面に設けられ、洗濯物を出し入れするための投入口を開閉する開閉扉であって、
    この開閉扉は、板状の一対の扉部材と、一対の扉部材の対向する端縁同士を相対回動可能に連結する折り畳み連結機構とを有し、この折り畳み連結機構により、一対の扉部材が表面を同じ向きにして並ぶ広げた状態と、一対の扉部材が重なり合う折り畳み状態とにでき、
    折り畳み連結機構は、一対の扉部材にそれぞれ形成された孔形成部材と、これら孔形成部材にそれぞれ形成された孔と、これらの孔を貫いて嵌まる軸とを有し、
    上記孔形成部材は、互いに相手方の間に入り込んで、軸方向に沿って並び、
    上記孔は、複数個が軸方向に沿って並び、
    上記孔形成部材には、軸の周面を露出させることができる側面開口が形成されていることを特徴とする洗濯機の開閉扉。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の洗濯機用の開閉扉において、
    上記孔には、軸の端部の近傍に、軸方向から見たときに、軸の一部と重なり合って配置される抜け止め突部が設けられ、
    軸の端部にある孔は、他の孔よりも、抜け止め突部の突出する方向に広げられていることを特徴とする洗濯機の開閉扉。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の洗濯機の開閉扉において、
    上記側面開口は、折り畳み状態において、外部への露出を回避する位置にあることを特徴とする洗濯機の開閉扉。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の洗濯機の開閉扉において、
    上記側面開口は、指の進入を阻止する大きさに形成されていることを特徴とする洗濯機の開閉扉。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の洗濯機の開閉扉において、
    上記軸は、金属製であることを特徴とする洗濯機の開閉扉。
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