JP3762497B2 - 麺線延伸装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、麺線を延伸する装置に関し、詳しくは、延伸時の麺線に対する延伸負荷を安定・均一化させて太さに変化のない一定品質の麺線を製造することができる麺線延伸装置に関する。
【0002】
【従来技術】
麺線の延伸を機械的に行うための装置としては、例えば相接回転する一対のローラ等の回転体を延伸方向に離隔して前後に設け、前方の回転体の対の周速を、後方の回転体の対よりも速く設定して、これらの間に架設するようにした麺線に延伸作用を与えるもの(特開平2−65753号公報)、水平ベルトコンベアを多段に設置すると共に下段のものほど搬送速度を速く設定し、これらの多段ベルトコンベアに蛇行して麺線が搬送される際にベルトに接した従動ローラとの間で麺線を引っ張って延伸作用を与えるもの(特公平5−5458号公報)、この多段ベルトコンベアで蛇行状に搬送される麺線の引張り力(テンション)を一定範囲とするために、上段から下段のベルトコンベアに降る麺線により引っ張られる引張量検出ローラを設けて、この引張りによる移動が一定範囲となるようにコンベアの搬送速度を調節するようにしたもの(特開平7−123902号公報)などが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平2−65753号の麺線延伸装置では、延伸中に麺線が切断すると該麺線は下方に垂れ下がってしまい、機械を停止して再度前後のローラ対の間に麺線を架設する作業が必要という問題がある。
【0004】
また特公平5−5458号の麺線延伸装置は、麺線の切断があってもコンベア上にある麺線はそのまま搬送できる点で優れている。しかし、上下コンベアの搬送速度の違いで麺線を引っ張る方式であるためこれらの搬送速度の差を適切に調整しないと麺線の切断を招くことは避けられないのに対し、その適切な搬送速度は環境条件(湿度,温度等)や麺線自体の太さや生地温度,加水率などによってその都度違うのが普通であるという状況からすると、切断を少なくした効率的な延伸を行うことは難しいという問題がある。
【0005】
更に、特開平7−123902号公報の麺線延伸装置は、引張量検出ローラによって麺線に作用している引張り力を検出し、その検出情報に基づいてコンベアの搬送速度を制御するので、多段コンベア式装置におけるコンベア搬送速度の設定が難しいという問題は解消される。しかし、このような延伸装置においても、上述のように適切な搬送速度は環境条件(湿度,温度等)や麺線自体の太さや生地温度,加水率などによってその都度違うのが普通であるため、麺線の切断は完全に解消できるものではなく、一度麺線の切断が生じた場合(装置の稼働初期ににおいても同じ)には、コンベアに相接して回転する従動ローラに巻き付いてしまうことがある。この麺線の従動ローラへの巻き付きが起こると、装置を停止させて作業員が巻き付いた麺線を従動ローラから取り除くという作業が必要になり、装置の稼働効率を低下させてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、コンベアに従動ローラを回転させてこれらの間に麺線を通すことで麺線にテンションを与える従来の装置における問題、すなわち装置の稼働初期や麺線切断時に、麺線の搬送先端が従動ローラに巻き付いてしまうという問題を解消することを目的としてなされたものである。
【0007】
また本発明の別の目的は、麺線ロット毎の調整が不要ないし極めて簡単な麺線延伸装置を提供するところにある。すなわち、従来のコンベアと従動ローラの間に麺線を通して相接回転するこれらの間で麺線にテンションを与える方式では、これに通す麺線の種類(太さなどが違う)が変わった場合に従動ローラとコンベアの隙間量(あるいは押付け力)を変更しなければならないため、ロット毎の調整が面倒であるが、本発明において従動ローラを不要としてこの面倒な調整の問題を解消するようにしたのである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本願請求項1の麺線延伸装置の発明は、複数のベルトコンベアの麺線搬送面を多段に横設すると共に、上段より下段ベルトコンベアの搬送速度を速く設定し、上段から下段の麺線搬送面に麺線を順次搬送移行させながら、上下段のベルトコンベアの速度差で麺線に延伸のテンションを与える麺線延伸装置において、各下段ベルトコンベアが麺線搬送面下流で転回する軌道のベルト面に、麺線を間に挾んで低摩擦係数の表面の滑らかな可撓性シートを所定圧力で押付ける麺線押付機構を設け、麺線押付機構を、シート上端を固定しかつシート下端を自由端とした吊り下げシートで構成したことを特徴とする。
【0009】
上記構成において用いられるシートとしては、食品衛生法に適合し、表面の滑り性がよいものであれば特に限定されずに用いることができ、例えば四フッ化エチレン(PTFE)等のシートを例示することができる。
【0010】
上記の発明によれば、ベルトコンベアの面に沿って延設したシートにより麺線延伸のためのテンションを与えることができるので、従来の従動ローラを用いた場合の麺線の巻き付きという不具合が完全に防止でき、またうどんのような太物からそーめんのような細物までスリップを起こさず、かつ麺線のつぶれを招くことなく延伸させることができる。
【0011】
本願の請求項の発明よって、簡易に麺線延伸装置を構成できる。
【0012】
また本願請求項の発明は、上記吊り下げシートの下端に重錘を組み付けることによって押し付け力の調整が行えるようにしたことを特徴とし、これにより延伸させる麺線の種類や状態に応じて簡単にテンションの強さを変更調整することができる。重錘の重さは、延伸対象の麺線により必ずしも一定ではないが、あまり軽すぎると麺線をベルト面に押付ける力が不足してスリップを招くことがあり、反対にあまり重すぎるとスリップはないものの麺線が重なった場合につぶれ、麺線同士の付着を招くことがあるので、これらの問題を考慮して所定の範囲の押付け力となるように重錘が選択される。なお重錘は、幅方向に関して押付け力にバラツキがないように幅方向に渡る棒状等のものをシートに組付けることが好ましい。
【0013】
なお、上記各発明においては、各ベルトコンベアの搬送速度を適宜変更調整できるように構成することが好ましい。
【0014】
本発明の麺線延伸装置は、通常は、麺線切出し装置の後段に配置されて、切り出された麺線を所定の太さまで延伸するように使用される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
実施形態1
図1及び図2に示した本例の麺線延伸装置は、ベルトコンベア1〜4を上下方向に4段に横設して構成され、各ベルトコンベアは、駆動ローラ101,201,301,401と被動ローラ102,202,302,402の各一対のローラに無端回動するようにコンベアベルト103,203,303,403が架設され、それぞれの駆動ローラ101,201,301,401をモータ104,204,304,404で回転させて、ベルトの回動速度V1 〜V4 が、V1 <V2 <V3 <V4 と下段のものがより速い速度となるように設定されている。
【0017】
5は麺線であり、本例では上記4段に横設したベルトコンベア1〜4によって図2に示す如く蛇行状に搬送され、下の段ほどベルトの速度が速く設定されている速度差で、引っ張られて延伸が行われる。
【0018】
そしてこのような引っ張り時のテンションにより、麺線5がベルトに対してスリップを起こすことを防ぐために、麺線押付機構6が各下段側のベルトコンベア2〜4の被動ローラ202〜402外側に配置され、転回するベルト面に麺線を押し付けるように設けられている。
【0019】
この麺線押付機構6の詳細は、2段目のベルトコンベア2の一部を拡大した図1に示され、本例では、表面が滑らかな可撓性シート(例えばPTFEシート)601の上端を装置のベルト搬送面の上方に設けた固定部602に結着固定し、下端側を被動ローラ202によるベルト転回面に沿って下方に垂らすと共に、下端に重錘603を組付けることで、所定の押付け力で麺線5をベルト面に押し付けるように構成している。なお、上記シート6は、幅方向に多数並ぶ麺線を全幅に渡ってベルト面に押し付けることができる寸法に設けられる。
【0020】
以上のような極めて簡易な構成により、本例の麺線延伸装置は麺線5のスリップを招くことなく延伸のためのテンションを麺線5に与えることができ、しかもテンション付与のための従動ローラを用いていないので、麺線先端がローラに巻き付くという不具合を招くことが全くない。
【0021】
なお麺線押付機構は上記構成のものに限定されるものではなく、例えばシートの上端(又は下端)を装置固定部に連結固定し、下端(又は上端)に重錘を組付けることに代えて、引張バネを介して装置固定部に連結するようにしてもよいし、更にバネ力調整手段を設けることもでき、これらによっても上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0022】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の麺線延伸装置によれば、装置の稼働初期や麺線切断時においても、麺線の搬送先端を確実に搬送下流側に送ることができ、従来装置におけるテンション付与のための従動ローラに麺線先端が巻き付いてしまう不具合を招くことがない。
【0023】
また、垂れ下がるように設けたシートの下端に重錘を取り付ける構成の装置では、その装置の構成が極めて簡易であると共に、麺線をベルト面に押付ける力の管理を重錘の重さだけで行えるため、従来の従動ローラとベルト面の隙間管理のような面倒な調整作業を不要とできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の麺線延伸装置における麺線押付機構の部分を拡大して示した図。
【図2】本発明の実施形態1の麺線延伸装置の全体概要を示した図。
【符号の説明】
1〜4・・・ベルトコンベア
101〜401・・・駆動ローラ
102〜402・・・被動ローラ
103〜403・・・コンベアベルト(ベルト)
104〜404・・・モータ
5・・・麺線
6・・・麺線麺線押付機構
601・・・シート
602・・・装置固定部
603・・・重錘

Claims (2)

  1. 複数のベルトコンベアの麺線搬送面を多段に横設すると共に、上段より下段ベルトコンベアの搬送速度を速く設定し、上段から下段の麺線搬送面に麺線を順次搬送移行させながら、上下段のベルトコンベアの速度差で麺線に延伸のテンションを与える麺線延伸装置において、
    各下段ベルトコンベアが麺線搬送面下流で転回する軌道のベルト面に、麺線を間に挾んで低摩擦係数の可撓性シートを所定圧力で押付ける麺線押付機構を設け
    前記麺線押付機構を、シート上端を固定しかつシート下端を自由端とした吊り下げシートで構成したことを特徴とする麺線延伸装置。
  2. 請求項において、前記吊り下げシートの下端に押し付け力調整用の重錘を有することを特徴とする麺線延伸装置。
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