JP3762342B2 - 分布帰還型半導体レーザの製造方法 - Google Patents

分布帰還型半導体レーザの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信や光計測に用いる光を出力する半導体レーザに係わり、特に、単一波長の光を出力する分布帰還型半導体レーザの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信や光計測に用いる光を出力する半導体レーザにおいては、例えば、図12(a)に示すように、半導体基板1上に活性層2及びクラッド層3が積層されており、半導体基板1の下面とクラッド層3の上面との間に電圧を印加すると、活性層2の端面から光4が出力される。しかし、この光4は、詳細に検証すると、図12(b)に示すように、それぞれ波長λが微妙に異なる複数の光の集合とみなせる。
【0003】
そこで、単一波長λ0の光4を出力させるために、図12(c)に示すように、活性層2の隣接位置に光4の出射方向に回折格子5を形成した分布帰還型(Distributed Feedback :DFB)半導体レーザが提唱されている。このように回折格子5が組込まれた分布帰還型半導体レーザにおいては、光導波路の等価屈折率をn、格子間隔をdとすると、この活性層2で発生した多数の波長λを有する光のうち、波長λが、λ=2ndの条件を満たす単一波長λ0(=2nd)の光4が出力される筈である。
【0004】
しかし、分布帰還型半導体レーザは、図12(c)に示すように内部に形成される回折格子5が光の出射方向に沿って一様な位相連続型の場合には、原理的に単一波長λ0のみで発振する「単一モード発振」は実現せず、図12(d)に示すように、λ=2ndの条件を満たす波長λ0は出力されずに、この波長λ0の左右に別の波長λ+1、λ-1の光が出力される。
【0005】
このような不都合を解消するためには、λ/4シフト構造と呼ばれる光の位相をλ/4だけ移相させる位相シフト構造を回折格子5の途中に形成することで「単一モード発振」を実現している。
【0006】
しかし、途中に位相シフト構造を有する回折格子5は、単純で量産性に優れたレーザ干渉露光法による一括露光作業工程では製造できず、一般的には電子ビーム描画装置を用いて長時間かけて描画する製造方法を採用しているのが実状である。これに対し、レーザ干渉露光法で製造した回折格子でもλ/4シフト構造と同等な効果を得るための技術が特許第1781186号(特公平4―67356号公報)に提案されている。
【0007】
すなわち、この提案された分布帰還型半導体レーザにおいては、図13に示すように、活性層2の上側に、第1、第2の回折格子導波路6a、6bと、第1、第2の回折格子導波路6a、6bを結合する平坦な結合導波路7とを同一面に一体構造で形成している。そして、第1、第2の回折格子導波路6a、6bの各回折格子は、レーザ干渉露光法を用いて仮想的な単一の回折格子の一部を構成するようにそれぞれの位相を整合させて形成している。
【0008】
なお、この例においては、第1の回折格子導波路6aの回折格子の格子間隔dと第2の回折格子導波路6bの回折格子の格子間隔dとは等しく設定されているが、第1の回折格子導波路6aの回折格子の溝深さは第2の回折格子導波路6aの回折格子の溝深さより大きく設定している。このように、回折格子の溝深に差を設定することにより、第1の回折格子導波路6aを伝搬する光の反射特性を高め、両端面から出力される光4に方向選択性を持たせている。
【0009】
そして、結合導波路7は、この結合導波路7が第1、第2の回折格子導波路6a、6bと同一格子間隔dを有した回折格子で構成されていた場合に対して、伝送する光の位相をπの整数倍からずらす伝送特性を有する。
【0010】
なお、この提案では、「第1の回折格子導波路6aから第2の回折格子導波路6bへ伝送する光の位相をπの整数倍からずらす」としているが、製造された分布帰還型半導体レーザにおいて、単一波長の光が発生する確率が高い構造としては、「第1の回折格子導波路6aから第2の回折格子導波路6bへ伝送する光の位相がπの半奇数倍(π/2、3π/2、5π/2、…)になる」構造であることは明らかである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図13に示した構造の分布帰還型半導体レーザにおいても、まだ解消すべき次のような課題があった。
【0012】
すなわち、「第1、第2の回折格子導波路6a、6bと、第1、第2の回折格子導波路6a、6bを結合する平坦な結合導波路7とを同一面に一体構造で形成」しようとすると、製造工程において、活性層2の上方に形成した第1、第2の回折格子導波路6a、6bを形成するための単一の材料で形成された単一層を、上面からエッチングすることによって、第1、第2の回折格子導波路6a、6bと平坦な結合導波路7とを形成する必要がある。
【0013】
図14に示すように、第1、第2の回折格子導波路6a、6bの各格子高さや溝深さを考慮した平均厚みh0a、h0b及び平坦な結合導波路7の厚みh1は、エッチングの時間や、エッチング液の濃度や、エッチング液の温度等のエッチング条件に大きく影響され、この分布帰還型半導体レーザの製造工程において、この第1、第2の回折格子導波路6a、6bの平均厚みh0a、h0bや結合導波路7の厚みh1を高い精度で制御することは非常に困難である。
【0014】
一般に、結合導波路7において、この結合導波路7を伝送する光の位相がそこに回折格子がある場合と比較してずれるのは、回折格子の有無という導波路の構造の違いによって、光の伝搬定数がわずかに異なるためである。光の伝搬定数は伝送する光が感じる等価屈折率nによって決まる。図14を用いて説明すると、結合導波路7の厚みh1と、第1、第2の回折格子導波路6a、6bの平均厚みh0[=(h0a 0b)/2]との差(h0―h1)に依存する。
【0015】
すなわち、この結合導波路7を伝送する光の位相のずれ量を正確にπの半奇数倍(π/2、3π/2、5π/2、…)に近づけるためには、上述した差(h0―h1)を正確に制御する必要がある。
【0016】
しかし、前述したように、結合導波路7の平均厚みh1と、第1、第2の回折格子導波路6a、6bの平均厚みh0a、h0bとは、この分布帰還型半導体レーザの製造工程におけるエッチング精度に依存する。その結果、結合導波路7を伝送する光の位相のずれ量を高い精度で制御できず、製造された分布帰還型半導体レーザにおいて、単一波長の光が発生する確率が低下し、製造時の歩留まりが低下する問題がある。
【0017】
また、特許第1781186号には、図13及びその説明として、「一方の回折格子導波路6a(コラゲーシヨン3’)の深さを大きくして、レーザ光の反射特性を高め、出力に方向選択性をもたせたものである」との記載があるが、その製造方法については全く明らかにしていない。それどころか、この特許第1781186号における特許請求の範囲に記載されているように「第1および第2の回折格子導波路と、該第1および第2の回折格子導波路を結合する平坦な結合導波路とを同一面に一体構造で形成し、上記第1および第2の回折格子導波路の各回折格子は、レーザ干渉露光法を用いて仮想的な単一の回折格子の一部を構成するようにそれぞれの位相を制御させて形成し」たのでは、回折格子導波路(コラゲーション)の深さが一様な構造しか形成できず、図13に示されている構造を実現することは実際には不可能であった。
【0018】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、第1、第2の回折格子層を接続する結合層をこの第1、第2の回折格子層と異なる材料物質で形成することにより、第1、第2の回折格子層及び結合層の形状精度及び寸法精度を高く維持でき、単一波長の光が発生する確率を向上でき、さらに簡単に光の高出力化を図ることができ、また製造時の歩留まりを大幅に向上できる分布帰還型半導体レーザの製造方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、半導体基板上にこの半導体基板より屈折率の大きい材質からなる回折格子層を形成するための層を形成する工程と、一様周期の回折格子を形成するとともに光の出射方向に互いに離間し且つ互いの結合係数が異なるような第1、第2の回折格子層が形成されるように、回折格子層を形成するための層に所定の間隙を挟んでエッチング阻害物質を形成する工程と、エッチング阻害物質をエッチングマスクとし、露出された部分を選択エッチングにより除去することにより、第 1 、第 2 の回折格子層および第 1 、第 2 の回折格子層間の平坦領域を形成する工程と、この形成された互いに離間した第1、第2の回折格子層の間及び第1、第2の回折格子層の上方に半導体基板と同一材料物質からなる緩衝層を形成する工程と、緩衝層の上方に活性層を形成する工程と、活性層の上方にクラッド層を形成する工程とを含む分布帰還型半導体レーザの製造方法である。
さらに、エッチング阻害物質の形成工程は、回折格子層を形成するための層の上にレジストを塗布する工程と、該レジストに所望の一様周期で回折格子状の露光を電子ビーム描画または干渉露光法によって行う工程と、第2の回折格子層となる領域の光の導波方向と直交する方向の領域でかつ該領域から第2の回折格子層となる領域を除く領域と、平坦領域または平坦領域を含む該平坦領域の光の導波方向と直交する方向の領域とを全面露光する工程と、レジストを現像によって部分的に除去する工程とを含む。
また、別の発明においては、上記エッチング阻害物質の形成工程は、回折格子層を形成するための層の上にレジストを塗布する工程と、該レジストに、第1の回折格子層となる領域と第2の回折格子層となる領域の光の導波方向に直交する方向への格子パターンの広がりを異ならせて回折格子状の露光を電子ビーム描画または干渉露光法によって行う工程と、平坦領域または平坦領域を含む該平坦領域の光の導波方向と直交する方向の領域とを全面露光する工程と、レジストを現像によって部分的に除去する工程とを含む。
【0020】
このように構成された分布帰還型半導体レーザの製造方法においては、回折格子層を形成するための層をエッチングにより、互いに離間した第1、第2の回折格子層の間の領域が形成されるが、この場合、第1、第2の回折格子層の間の結合層が充填されるべき領域は、回折格子層を形成するための層を全厚みに亘ってエッチングすればよいので、高い形状精度及び高い寸法精度を維持できる。
したがって、この製造方法で製造された分布帰還型半導体レーザにおける第1の回折格子層から結合層を経て第2の回折格子層へ伝搬する光の位相のずれ量をπの半奇数倍(π/2、3π/2、5π/2、…)の近傍にすることが可能である。
【0021】
この製造方法で製造された分布帰還型半導体レーザにおいては、第1、第2の回折格子層に挟まれた結合層は、この第1、第2の回折格子層と異なる材料物資で形成されている。このように、第1、第2の回折格子層の間の結合層をこの第1、第2の回折格子層と異なる材料物資で形成可能であることは、この結合層を埋込むための第1、第2の回折格子層の間の領域を形成する場合に、第1、第2の回折格子層を形成するための層をエッチング手法で形成しても、この領域を選択エッチングで除去するのみでよい。したがって、この領域の形状及び寸法の精度を向上できるので、第1、第2の回折格子層の間の結合層の形状及び寸法の精度が向上する。
【0022】
その結果、第1、第2の回折格子層の間の結合層を伝送される光の位相のずれ量をπの半奇数倍(π/2、3π/2、5π/2、…)の近傍に制御できる。
【0023】
また、第1の回折格子層の回折格子における結合係数κ1と、第2の回折格子層の回折格子における結合係数κ2とが互いに異なる値に設定されている。
【0024】
回折格子における結合係数κとは、回折格子を伝搬する光の前進波と後進波との結合の度合いを示す指標であり、結合係数κが高いことは光が回折格子上を進む間に前進波から後進波へ変換される度合いが強いことを示し、結合係数κが低いことは光が回折格子上を進む間に前進波から後進波へ変換される度合いが弱いことを示す。
【0025】
例えば、導波路中の回折格子における格子の体積と隙間を含む格子以外の部分が占める体積との比が大きいほど結合係数κが低くなる傾向を示し、回折格子における格子の屈折率と隙間を含む格子以外の部分の屈折率との差が小さいほど結合係数κが低くなる傾向を示す。
【0026】
第1の回折格子層の回折格子における結合係数κ1と第2の回折格子層の回折格子における結合係数κ2とが異なることは、第1の回折格子層における光の反射率と、第2の回折格子層における光の反射率とが異なることを示す。その結果、第1の回折格子層側の端面から出力される光の量と、第2の回折格子層側の端面から出力される光の量とを異ならせることが可能である。
【0027】
よって、故意に、分布帰還型半導体レーザの一方の端面から出力される光の強度を他方の端面から出力される光の強度に比較して上昇できる。一般に、分布帰還型半導体レーザにおいては、一方の端面から出力される光のみを利用しているので、この分布帰還型半導体レーザから出力される光の強度を上昇できる。
【0028】
さらに、回折格子の結合係数が小さい回折格子層側の光出射端面に反射防止膜が形成されているので、出射端面での光の反射が抑制され、出力される光の強度をより一層上昇できる。
【0029】
また別の発明は、半導体基板上に、活性層と、半導体基板と同一材料からなる緩衝層と、この緩衝層より屈折率の大きい材質からなる回折格子層を形成するための層を形成する工程と、一様周期の回折格子を形成するとともに光の出射方向に互いに離間し且つ互いの結合係数が異なるような第1、第2の回折格子層が形成されるように、回折格子層を形成するための層に所定の間隙を挟んでエッチング阻害物質を形成する工程と、エッチング阻害物質をエッチングマスクとし、露出された部分を選択エッチングにより除去することにより、第 1 、第 2 の回折格子層および前記第 1 、第 2 の回折格子層間の平坦領域を形成する工程と、この形成された互いに離間した第1、第2の回折格子層の間及び第1、第2の回折格子層の上方に緩衝層と同一材料物質からなるクラッド層を形成する工程とを含む分布帰還型半導体レーザの製造方法である。
そして、エッチング阻害物質の形成工程は、回折格子層を形成するための層の上にレジストを塗布する工程と、該レジストに所望の一様周期で回折格子状の露光を電子ビーム描画または干渉露光法によって行う工程と、第2の回折格子層となる領域の光の導波方向と直交する方向の領域でかつ該領域から第2の回折格子層となる領域を除く領域と、平坦領域または平坦領域を含む該平坦領域の光の導波方向と直交する方向の領域とを全面露光する工程と、レジストを現像によって部分的に除去する工程とを含む。
また、別の発明においては、上記エッチング阻害物質の形成工程は、回折格子層を形成するための層の上にレジストを塗布する工程と、該レジストに、第1の回折格子層となる領域と第2の回折格子層となる領域の光の導波方向に直交する方向への格子パターンの広がりを異ならせて回折格子状の露光を電子ビーム描画または干渉露光法によって行う工程と、平坦領域または平坦領域を含む該平坦領域の光の導波方向と直交する方向の領域とを全面露光する工程と、レジストを現像によって部分的に除去する工程とを含む。
【0031】
先の発明の分布帰還型半導体レーザの製造方法においては、活性層の下方に第1、第2の回折格子層を配設したのに対して、この発明が適用される分布帰還型半導体レーザの製造方法においては、活性層の上方に第1、第2の回折格子層を配設している。その他の構成は、先の発明の分布帰還型半導体レーザの製造方法に類似している。
【0032】
したがって、先の発明の分布帰還型半導体レーザの製造方法とほぼ同じ作用効果を奏することが可能である。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態を図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係わる分布帰還型半導体レーザの製造方法で製造された分布帰還型半導体レーザを光の伝搬方向に沿って切断した断面図である。図2は図1の分布帰還型半導体レーザをA―A’線で切断した場合の断面図である。
【0053】
n型InPからなる半導体基板11の上面に、n型InGaAsPからなる第1の回折格子層12aと、結合層13と、n型InGaAsPからなる第2の回折格子層12bとが形成されている。第1、第2の回折格子層12a、12bは、それぞれ、複数の格子14と格子相互間に存在する複数の隙間15とを有する第1、第2の回折格子16a、16bで構成されており、第1、第2の回折格子16a、16bに含まれる全部の格子14と全部の隙間15とで、仮想的に同一格子間隔(ピッチ)dで位相が連続する一つの回折格子16を構成する。また、第1、第2の回折格子16a、16bを構成する各格子14の屈折率は半導体基板11の屈折率より高く設定されている。
【0054】
さらに、第1、第2の回折格子16a、16bの格子間隔dは互いに等しく設定されているが、第1の回折格子16aにおける各格子14の高さは、第2の回折格子16aにおける各格子14の高さより低く設定されている。
【0055】
そして、第1、第2の回折格子層12a、12bの間の領域を充填する結合層13は半導体基板11と同一材質で形成されている。
【0056】
第1、第2の回折格子層12a、12b及び結合層13の上面には、半導体基板11と同一材料物質からなる緩衝層17が形成されている。なお、結合層13と緩衝層17とは一体形成されている。この緩衝層17の上面に、それぞれ適当な組成のInGaAsPからなる、下側SCH層、MQW層、上側SCH層を含む活性層18が形成されている。この活性層18の上面には、p型InPからなるクラッド層19が形成されている。
【0057】
クラッド層19の上面にp電極20が取付けられ、半導体基板11の下面にはn電極21が取付けられている。さらに、単一モードの光23が出射される活性層18と第1の回折格子層12a側との端面には、反射防止膜22が形成されている。
【0058】
図2の断面図に示すように、半導体基板11の上部、第1、第2の回折格子16a、16b、結合層13、緩衝層17、活性層18、クラッド層19の一部はメサ型に形成されている。そして、メサの両側には、下側から、p型InPからなるp型埋込層24、n型InPからなるn型埋込層25が形成されている。
【0059】
このように構成された第1実施形態の分布帰還型半導体レーザにおいて、p電極20とn電極21との間に電圧を印加すると、活性層18は多波長を有する光を放出するが、この波長を有する光のうち、回折格子16の格子間隔dと第1、第2の回折格子層12a、12bの等価屈折率n0とで定まる単一波長λ0を有した光23が選択されてレーザ発振される。
【0060】
この場合、結合層13の存在によって、光23の位相がπの半奇数倍(π/2、3π/2、5π/2、…)だけずれるので、単一波長λ0を有した光23a、23bが両端面から出力される。
【0061】
より具体的に説明すると、第1、第2の回折格子層12a、12bの間に存在する結合層13は、第1、第2の回折格子層12a、12bとは異なる半導体基板11と同一材料物質で形成されている。
【0062】
したがって、この領域の形状及び寸法の精度を向上できるので、第1、第2の回折格子層12a、12bの間の結合層13の形状及び寸法の精度が上昇する。結合層13の形状及び寸法の精度が向上すると、前述した各回折格子16a、16b寸法と結合層13の寸法との関係が常に一定値を維持するので、光23が感じる等価屈折率が素子毎に変動することが防止されるので、光23の位相がπの半奇数倍(π/2、3π/2、5π/2、…)だけずれ、単一波長λ0を有した光23a、23bが出力される。
【0063】
すなわち、分布帰還型半導体レーザから出力される光23a、23bの波長精度が大幅に向上するとともに、単一モード率を向上でき、分布帰還型半導体レーザの製造上の歩留まりを向上できる。
【0064】
さらに、この第1実施形態の分布帰還型半導体レーザにおいては、第1の回折格子層12aの回折格子16aの一つの格子間隔d内における格子14の体積と隙間15を含む格子14以外の部分が占める体積との割合を示す体積比v1と、第2の回折格子層12bの回折格子16bにおける体積比v2とが互いに異なる値に設定されている。
【0065】
第1、第2の回折格子層12a、12bの各回折格子16a、16bの格子14どうしと、隙間15どうしとが互いに同一材料で形成されているので、屈折率や光の強度分布の寄与を考えないと、この各体積比v1、v2が第1、第2の回折格子層12a、12bの各結合係数κ1、κ2に対応する。
【0066】
したがって、結果として、第1の回折格子層12aの回折格子16aにおける結合係数κ1と、第2の回折格子層12bの回折格子16bにおける結合係数κ2とが互いに異なる値に設定されている。
【0067】
具体的には、前述したように、結合層13を挟んで互いに離間して配設された第1、第2の回折格子層12a、12bとは、同一格子間隔(ピッチ)dで位相が連続する回折格子16の一部を構成するが、第1、第2の回折格子層12a、12bでそれぞれ形成される回折格子16a、16bの形状が互いに異なる。各回折格子16a、16bは、それぞれ一つの格子間隔dにおいては、1個の格子14と1個の隙間15(又は溝)とで構成されるが、この一つの格子間隔d内における格子14の体積と隙間15を含む格子14以外の部分が占める体積との割合を前述したように体積比vとする。この体積比vは、光23の進行方向と一致する方向の格子14の幅、格子14の高さ、及び光23の進行方向と直交する方向の格子14の幅等によって定まる。
【0068】
図1の実施形態においては、第1の回折格子層12aの回折格子16aにおける格子14の光23の進行方向と一致する方向の高さを、第2の回折格子層12bの回折格子16bにおける格子14の光23の進行方向と一致する方向の高さより小さな値に設定することによって、第1の回折格子層12aの回折格子16aの体積比v1と、第2の回折格子層12bの回折格子16bの体積比v2とを異ならせている(v1<v2)。よって、第1の回折格子層12aの結合係数κ1 と第2の回折格子層12bの結合係数κ2とが異なる(κ1<κ2)。
【0069】
その結果、第1の回折格子層12aの回折格子16aにおける光の反射率と、第2の回折格子層12bの回折格子16bにおける光の反射率とが異なり、図3に示すように、分布帰還型半導体レーザ内で往復する光23の強度分布特性26を左右非対称とできる。その結果、第1の回折格子層12a側の端面から出力される光23aの強度P0aと、第2の回折格子層12b側の端面から出力される光23bの強度P0bと異ならせることが可能である。
【0070】
よって、故意に、分布帰還型半導体レーザの一方の端面から出力される光の強度を他方の端面から出力される光の強度に比較して上昇できる。この図1の実施形態においては、第1の回折格子層12a側の端面から出力される光23aの強度P0aを、第2の回折格子層12b側の端面から出力される光23bの強度P0bより高く設定される。
【0071】
なお、図1の実施形態においては、第1の回折格子層12b側の端面に反射防止膜22を形成しているので、第1の回折格子層12a側の端面から出力される光23aの強度P0aをより高くしている。この場合、第2の回折格子層12b側の端面はへき開面のままである。
【0072】
したがって、分布帰還型半導体レーザとして、高出力でかつ狭線幅な光特性を得ることができ、図4に示すように、印加電流に対する光の出力特性27における直線応答性を、従来の分布帰還型半導体レーザにおける出力特性27aに比較して改善できる。
【0073】
(第2実施形態)
図5(a)(b)(c)、図6(d)(e)(f)、図7(g)(h)は、本発明の参考となる分布帰還型半導体レーザの製造方法を示す製造工程図である。具体的には、図1に示す、第1の回折格子層12aの回折格子16aの体積比v1(結合係数κ1)と、第2の回折格子層12bの回折格子16bの体積比v2(結合係数κ2)とを異ならせた(v1<v2)、分布帰還型半導体レーザの製造方法を示す。なお、各工程は、上面図と、図1と同一方向の断面図と、図2と同一方向の正面図で示す。
【0074】
先ず、図5(a)に示すように、n型InPからなる半導体基板11上に、第1、第2の回折格子層12a、12bとして、組成波長1.08μmのn型InGaAsPを厚さ0.1μm成長してから、その上にエッチング阻害物質としての電子ビームレジスト(例えば日本ゼオン社製ZEP―520等)を0.2μm厚に塗布する。
【0075】
加熱処理後に電子ビーム描画装置で回折格子パターン描画を行う。図5(b)に、この実施形態における、第1、第2の回折格子層12a、12bの回折格子16a、16bの格子間隔(ピッチ)dを240nmとした描画パターン及び描画条件を示す。回折格子部分の描画条件は、チップ(分布帰還型半導体レーザ)加工後に光23aの出力側となる第1の回折格子層12a(図では左側)ではドーズ量を多く(例えば0.45nC/cm程度)、反対側の第2の回折格子層12bではドーズ量を少なく(0.3nC/cm程度)設定して照射する。周辺部は電子ビームあるいは紫外線照射などにより露光してもよい。
【0076】
そして、描画された回折格子パターンを現像する。図5(c)に示すように、この実施形態においては、現像後のレジストパターンは回折格子16a、16bの格子14相互間の隙間15がドーズ量を多くした部分では140nm程度、少なくした部分では70nm程度となる。図8に実験的に求めたドーズ量と格子14相互間の隙間15の大きさとの関係を示す。このように、ドーズ量を変更することによって、隙間15の大きさを任意に設定可能である。
【0077】
この状態で飽和臭素水と燐酸の水溶液を用いて20秒程度エッチングを行う。すると、図6(d)に示すような断面形状となる。この後の結晶成長工程における加熱によって格子14の幅の違いは格子14の高さの違いに転写される。
【0078】
図6(e)は、加熱が終了して、さらに、レジストを除去した時点における断面形状である。こうして光出射側の回折格子16aの体積比v1が小さく、反対側の回折格子16bの体積比v2が大きい(v1<v2)構造の分布帰還型半導体レーサが作製される。なお、中央の結合層13に相当する部分はレジストが全く塗布さていないためエッチングレートが最も遅いが、n型1nGaAsP層が除去され、n型InPからなる半導体基板11の上面が露出する。
【0079】
この場合、硫酸、過酸化水素水、水を混合したエッチング液に浸潰すると、InGaAsPからなる回折格子層12a、12bの露出面がエッチングされるが、回折格子層12a、12bの下側に位置する半導体基板11のInPはエッチングされないため、半導体基板11の上面に到達した時点でエッチングは停止する。ここで重要な事は、隣接する格子14相互間に、回折格子層12a、12bの上面から下面まで貫通する隙間15が形成されていることである。
【0080】
すなわち、たとえ、エッチング時間のばらつきや、エッチング液の濃度や温度に変動が生じたとしても、正確でかつ再現性の高い回折格子16a、16bを形成できる。
【0081】
次に、図6(f)に示すように、この形成された互いに離間した第1、第2の回折格子層12a、12bの間の結合層13の領域、及び第1、第2の回折格子層12a、12bの上に半導体基板11と同一材料物質であるInPからなる緩衝層17を結晶成長法にて形成する。この状態において、第1、第2の回折格子層12a、12bの間に、半導体基板11と同一材料物質であるInPからなる結合層13が形成される。
【0082】
さらに、この緩衝層17の上にフォトルミネッセンス(PL)波長1.45μm〜1.65μmとなるInGaAsPを含む材質である活性層18を結晶成長法で形成する。この活性層18は、一般的に、多重量子井戸層構造が採用される。なお、必要であれば多重量子井戸構造の上下に光分離閉じ込め層を形成することが可能である。さらに、この活性層18の上にp型InPからなるクラッド層19を結晶成長法で形成する。
【0083】
そして、図7(g)に示すように、クラッド層19の上面の中央部に光23の伝搬方向に沿って、誘電体成長阻害膜を形成したのちに、エッチングにより、半導体基板11の上部、第1、第2の回折格子得16a、16b、結合層13、緩衝層17、活性層18、クラッド層19をメサ型に形成する。
【0084】
次に、図7(h)に示すように、メサの両側に、下側から、p型InPからなるp型埋込層24、n型InPからなるn型埋込層25を形成する。そして、誘電体成長阻害膜を除去して、n型埋込層25及びメサの上面に再度クラッド層19を形成し、このクラッド層19の上面に、p型InGaAs又はp型InGaAsPのコンタクト層、及びp電極を形成する。さらに、半導体基板11の下面にn電極21を形成する。また、単一モードの光23が出射される活性層18、第1、第2の回折格子層12a、12bの端面をへき開により形成して、最後に、第1の回折格子層12a側の端面に反射防止膜22を形成する。
【0085】
次に、本発明の分布帰還型半導体レーザの製造方法における実施形態を説明する。
上述したドーズ量変調以外の体積比vの異なる回折格子16a、16bを形成する方法としては、エッチング時のエッチングレートがウエハ面露出面積に依存して変化すること利用することもできる。すなわち、ウエハ表面のうちレジストや誘電体膜などのエッチング阻害物質に覆われている面積が大きく、エッチングされる部分が小さい場合にはエッチングレートが速く、逆に、広い面積をエッチングする場合はエッチングレートが遅くなる現象が、上記の飽和臭素水と燐酸の水溶液などで知られている。
【0086】
この特徴を利用すれば、図9(a)(b)(c)(d)に示すようなレジストパターンを作製することで体積比vの異なる回折格子を部分的に作製することが可能となる。
【0087】
図9(a)に示すように、周辺部のレジストを除去してからエッチングするとエッチングレートは遅くなる。この場合は電子ビーム描画装置を用いなくとも干渉露光法で作製可能である。
【0088】
図9(c)に示すように、光の導波方向に直交する方向への格子パターンの広がりを変えて(例えば20μmと100μm)エッチングレートを制御することも可能である。
【0089】
さらに、例えば、結合層13として第1、第2の回折格子層12a、12bと同一材料(n型InGaAsP)の一部を薄く残す場合は、図9(d)に示すように、周囲のレジストを除去せずエッチングマスクとして残しておけば、露出面積の制御によってエッチングレートを制御することができ、回折格子部のエッチングがInP基板に達するまでの時間(30秒程度)の間にエッチングされる厚さを制御することができる。
【0090】
なお、図9(b)は、図9(a)の手法と図9(d)の手法との中間の手法を示す図である。
【0091】
以上の説明はポジレジストを使用した場合について述べたが、ネガレジストを使用しても同様である。またいずれの場合も、n型InGaAsPに直接レジストを塗布するのでなく、例えば30nm厚程度のn型InP層を介在させ、エッチングを2段階に分けて選択性エッチャントを使用することも可能である。
【0092】
この場合は、レジストをエッチングマスクとして飽和臭素水を含むエッチャントで5秒程度エッチングしてInPを部分的に除去し、露出したn型InGaAsPを、今度は、n型InPをエッチングマスクとして硫酸と過酸化水素を含む水溶液によってエッチングする方法なども可能である。
【0093】
この方法であれば、硫酸と過酸化水素を含む水溶液がInGaAsPのみを選択的にエッチングすることから、特に、次の第3実施形態で説明する図10に示すように活性層18の上側に回折格子16a、16bを形成する場合に、エッチングが緩衝層のInPとの界面で停止することから、誤って活性層18までエッチングが到達するような事故を防ぐことが可能となる。
【0094】
(第3実施形態)
図10は本発明の分布帰還型半導体レーザの製造方法で製造された分布帰還型半導体レーザを光の伝搬方向に沿って切断した断面図である。図11は図10の分布帰還型半導体レーザをA―A’線で切断した場合の断面図である。図1、図2に示す第1実施形態の分布帰還型半導体レーザと同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明は省略する。
【0095】
n型InPからなる半導体基板11の上面に、それぞれ適当な組成のInGaAsPからなる、下側SCH層、MQW層、上側SCH層を含む活性層18が形成されている。この活性層18の上面には、クラッド層19と同一材料物質からなる緩衝層17が形成されている。この緩衝層17の上面に、p型InGaAsPからなる第1の回折格子層12aと、結合層13と、p型InGaAsPからなる第2の回折格子層12bとが形成されている。
【0096】
第1、第2の回折格子層12a、12bは、それぞれ、複数の格子14と格子相互間に存在する複数の隙間15とを有する第1、第2の回折格子16a、16bで構成されており、第1、第2の回折格子16a、16bに含まれる全部の格子14と全部の隙間15とで、仮想的に同一格子間隔(ピッチ)dで位相が連続する一つの回折格子16を構成する。また、第1、第2の回折格子16a、16bを構成する各格子14の屈折率は半導体基板11の屈折率より高く設定されている。
【0097】
さらに、第1、第2の回折格子16a、16bの格子間隔dは互いに等しく設定されているが、第1の回折格子16aにおける各格子14の高さは、第2の回折格子16aにおける各格子14の高さより低く設定されている。
【0098】
そして、第1、第2の回折格子層12a、12bの間の領域を充填する結合層13はクラッド層19と同一材質で形成されている。第1、第2の回折格子層12a、12b及び結合層13の上面には、p型InPからなるクラッド層19が形成されている。なお、結合層13とクラッド層19とは一体形成されている。
【0099】
クラッド層19の上面にp電極20が取付けられ、半導体基板11の下面にはn電極21が取付けられている。さらに、単一モードの光23が出射される活性層18と第1の回折格子層12a側の端面には、反射防止膜22が形成されている。
【0100】
図11の断面図に示すように、半導体基板11の上部、活性層18、緩衝層17、第1、第2の回折格子得16a、16b、クラッド層19の一部はメサ型に形成されている。そして、メサの両側には、下側から、p型InPからなるp型埋込層24、n型InPからなるn型埋込層25が形成されている。
【0101】
このように構成された第3実施形態の分布帰還型半導体レーザにおいて、p電極20とn電極21との間に電圧を印加すると、活性層18は多波長を有する光を放出するが、この波長を有する光のうち、回折格子16の格子間隔dと第1、第2の回折格子層12a、12bの等価屈折率n0とで定まる単一波長λ0を有した光23が選択されてレーザ発振される。
【0102】
この場合、第1、第2の回折格子層12a、12bの間に存在する結合層13は、第1、第2の回折格子層12a、12bとは異なるクラッド層19と同一材料物質で形成されている。したがって、この領域の形状及び寸法の精度を向上できる。さらに、回折格子16a、16bを格子14と隙間15とで構成しているので、回折格子16a、16bの形状及び寸法の精度を向上できる。
【0103】
よって、図1、図2の第1実施形態と同様に、分布帰還型半導体レーザから出力される光23a、23bの波長精度が大幅に向上するとともに、単一モード率を向上でき、分布帰還型半導体レーザの製造上の歩留まりを向上できる。
【0104】
さらに、第1の回折格子層12aの回折格子16aにおける結合係数κ1と、第2の回折格子層12bの回折格子16bにおける結合係数κ2とが互いに異なる値に設定されている(κ1<κ2)。よって、図1、図2の第1実施形態と同様に、分布帰還型半導体レーザとして、高出力でかつ狭線幅な光特性を得ることができる。
【0105】
(第4実施形態)
次に、このように構成された図10、図11に示す分布帰還型半導体レーザの製造方法を説明する。
【0106】
先ず、n型InPからなる半導体基板11上に、InGaAaPからなる活性層18、p型InPからなる緩衝層17を成長させ、その緩衝層17に上に第1、第2の回折格子層12a、12bとして、組成波長1.08μmのn型InGaAsPを厚さ0.1μm成長させる。その上にエッチング阻害物質としての電子ビームレジスト(例えば日本ゼオン社製ZEP―520等)を0.2μm厚に塗布する。
【0107】
以下、第2実施形態で既に説明した図5(b)〜図6(e)の各工程を順番に実施する。
そして、図6(f)の工程で、形成された互いに離間した第1、第2の回折格子層12a、12bの間の結合層13の領域、及び第1、第2の回折格子層12a、12bの上にp型InPからなるクラッド層19を結晶成長法で形成する。
【0108】
その後、図7(g)にて、メサ型に形成し、図7(h)にて、p型埋込層24、n型埋込層25を形成し、上面に再度クラッド層19を形成し、p電極20、n電極21を形成する。また、第1の回折格子層12a側の端面に反射防止膜22を形成する。
【0109】
したがって、上述した第2実施形態の分布帰還型半導体レーザの製造方法と同様の効果を得ることができる。
【0110】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の分布帰還型半導体レーザの製造方法においては、第1、第2の回折格子層を接続する結合層をこの第1、第2の回折格子層と異なる材料物質で形成し、さらに、第1、第2の回折格子層の回折格子における各結合係数を互いに異なる値に設定している。
【0111】
したがって、第1、第2の回折格子層及び結合層の形状精度及び寸法精度を高く維持でき、単一波長の光が発生する確率を向上でき、さらに簡単に光の高出力化を図ることができ、また製造時の歩留まりを大幅に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる分布帰還型半導体レーザを光の伝搬方向に沿って切断した断面図
【図2】図1の分布帰還型半導体レーザをA―A’線で切断した場合の断面図
【図3】同実施形態の分布帰還型半導体レーザにおける光の強度分布特性を示す図
【図4】同実施形態の分布帰還型半導体レーザにおける光の出力特性を示す図
【図5】同実施形態の分布帰還型半導体レーザの製造方法を示す図
【図6】同じく同実施形態の分布帰還型半導体レーザの製造方法を示す図
【図7】同じく同実施形態の分布帰還型半導体レーザの製造方法を示す図
【図8】ドーズ量と隙間の間隔との関係を示す図
【図9】分布帰還型半導体レーザの各回折格子を示す図
【図10】本発明の第3実施形態に係わる分布帰還型半導体レーザを光の伝搬方向に沿って切断した断面図
【図11】図10の分布帰還型半導体レーザをA―A’線で切断した場合の断面図
【図12】分布帰還型半導体レーザの動作原理を説明するための図
【図13】従来の分布帰還型半導体レーザの概略構成を示す断面模式図
【図14】同従来の分布帰還型半導体レーザの問題点を説明するための図
【符号の説明】
11…半導体基板
12a…第1の回折格子層
12b…第2の回折格子層
13…結合層
14…格子
15…隙間
16a、16b…回折格子
17…緩衝層
18…活性層
19…クラッド層
20…p電極
21…n電極
22…反射防止膜
23、23a、23b…光
24…p型埋込層
25…n型埋込層
23、23a、23b…光
25…光の強度分布特性
27、27a…光の出力特性

Claims (4)

  1. 半導体基板上にこの半導体基板より屈折率の大きい材質からなる回折格子層を形成するための層を形成する工程と、
    一様周期の回折格子を形成するとともに光の出射方向に互いに離間し且つ互いの結合係数が異なるような第1、第2の回折格子層が形成されるように、前記回折格子層を形成するための層に所定の間隙を挟んでエッチング阻害物質を形成する工程と、
    前記エッチング阻害物質をエッチングマスクとし、露出された部分を選択エッチングにより除去することにより、前記第1、第2の回折格子層および前記第1、第2の回折格子層間の平坦領域を形成する工程と、
    この形成された互いに離間した第1、第2の回折格子層の間及び前記第1、第2の回折格子層の上方に前記半導体基板と同一材料物質からなる緩衝層を形成する工程と、
    前記緩衝層の上方に活性層を形成する工程と、
    前記活性層の上方にクラッド層を形成する工程と
    を含む分布帰還型半導体レーザの製造方法であって、
    前記エッチング阻害物質の形成工程は、
    前記回折格子層を形成するための層の上にレジストを塗布する工程と、
    該レジストに所望の一様周期で回折格子状の露光を電子ビーム描画または干渉露光法によって行う工程と、
    前記第2の回折格子層となる領域の光の導波方向と直交する方向の領域でかつ該領域から前記第2の回折格子層となる領域を除く領域と、前記平坦領域または前記平坦領域を含む該平坦領域の光の導波方向と直交する方向の領域とを全面露光する工程と、
    前記レジストを現像によって部分的に除去する工程とを含む
    ことを特徴とする分布帰還型半導体レーザの製造方法。
  2. 半導体基板上にこの半導体基板より屈折率の大きい材質からなる回折格子層を形成するための層を形成する工程と、
    一様周期の回折格子を形成するとともに光の出射方向に互いに離間し且つ互いの結合係数が異なるような第1、第2の回折格子層が形成されるように、前記回折格子層を形成するための層に所定の間隙を挟んでエッチング阻害物質を形成する工程と、
    前記エッチング阻害物質をエッチングマスクとし、露出された部分を選択エッチングにより除去することにより、前記第1、第2の回折格子層および前記第1、第2の回折格子層間の平坦領域を形成する工程と、
    この形成された互いに離間した第1、第2の回折格子層の間及び前記第1、第2の回折格子層の上方に前記半導体基板と同一材料物質からなる緩衝層を形成する工程と、
    前記緩衝層の上方に活性層を形成する工程と、
    前記活性層の上方にクラッド層を形成する工程と
    を含む分布帰還型半導体レーザの製造方法であって、
    前記エッチング阻害物質の形成工程は、
    前記回折格子層を形成するための層の上にレジストを塗布する工程と、
    該レジストに、前記第1の回折格子層となる領域と前記第2の回折格子層となる領域の光の導波方向に直交する方向への格子パターンの広がりを異ならせて回折格子状の露光を電子ビーム描画または干渉露光法によって行う工程と、
    前記平坦領域または前記平坦領域を含む該平坦領域の光の導波方向と直交する方向の領域とを全面露光する工程と、
    前記レジストを現像によって部分的に除去する工程とを含む
    ことを特徴とする分布帰還型半導体レーザの製造方法。
  3. 半導体基板上に、活性層と、前記半導体基板と同一材料からなる緩衝層と、この緩衝層より屈折率の大きい材質からなる回折格子層を形成するための層を形成する工程と、
    一様周期の回折格子を形成するとともに光の出射方向に互いに離間し且つ互いの結合係数が異なるような第1、第2の回折格子層が形成されるように、前記回折格子層を形成するための層に所定の間隙を挟んでエッチング阻害物質を形成する工程と、
    前記エッチング阻害物質をエッチングマスクとし、露出された部分を選択エッチングにより除去することにより、前記第1、第2の回折格子層および前記第1、第2の回折格子層間の平坦領域を形成する工程と、
    この形成された互いに離間した第1、第2の回折格子層の間及び前記第1、第2の回折格子層の上方に前記緩衝層と同一材料物質からなるクラッド層を形成する工程と
    を含む分布帰還型半導体レーザの製造方法であって、
    前記エッチング阻害物質の形成工程は、
    前記回折格子層を形成するための層の上にレジストを塗布する工程と、
    該レジストに所望の一様周期で回折格子状の露光を電子ビーム描画または干渉露光法によって行う工程と、
    前記第2の回折格子層となる領域の光の導波方向と直交する方向の領域でかつ該領域から前記第2の回折格子層となる領域を除く領域と、前記平坦領域または前記平坦領域を含む該平坦領域の光の導波方向と直交する方向の領域とを全面露光する工程と、
    前記レジストを現像によって部分的に除去する工程とを含む
    ことを特徴とする分布帰還型半導体レーザの製造方法。
  4. 半導体基板上に、活性層と、前記半導体基板と同一材料からなる緩衝層と、この緩衝層より屈折率の大きい材質からなる回折格子層を形成するための層を形成する工程と、
    一様周期の回折格子を形成するとともに光の出射方向に互いに離間し且つ互いの結合係数が異なるような第1、第2の回折格子層が形成されるように、前記回折格子層を形成するための層に所定の間隙を挟んでエッチング阻害物質を形成する工程と、
    前記エッチング阻害物質をエッチングマスクとし、露出された部分を選択エッチングにより除去することにより、前記第1、第2の回折格子層および前記第1、第2の回折格子層間の平坦領域を形成する工程と、
    この形成された互いに離間した第1、第2の回折格子層の間及び前記第1、第2の回折格子層の上方に前記緩衝層と同一材料物質からなるクラッド層を形成する工程と
    を含む分布帰還型半導体レーザの製造方法であって、
    前記エッチング阻害物質の形成工程は、
    前記回折格子層を形成するための層の上にレジストを塗布する工程と、
    該レジストに、前記第1の回折格子層となる領域と前記第2の回折格子層となる領域の光の導波方向に直交する方向への格子パターンの広がりを異ならせて回折格子状の露光を電子ビーム描画または干渉露光法によって行う工程と、
    前記平坦領域または前記平坦領域を含む該平坦領域の光の導波方向と直交する方向の領域とを全面露光する工程と、
    前記レジストを現像によって部分的に除去する工程とを含む
    ことを特徴とする分布帰還型半導体レーザの製造方法。
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