JP3762059B2 - シートスライド装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フロア側に設けられる第1のレールと、該第1のレールに移動可能に係合し、シートが設けられる第2のレールとを有するシートスライド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
第1のレールと第2のレールとの間に、樹脂やばね等の弾性部材を設け、第1のレールと第2のレールとの間のガタを除去するシートスライド装置が、例えば実開昭52-128226号公報に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような構成のシートスライド装置においては、常に、弾性部材が第1のレールと第2のレールとを押圧しているので、第2のレールを第1のレールに対して移動させる場合に、摺動抵抗が大きくなり、第2のレールの移動操作力が大きくなる問題点がある。
【0004】
又、第2のレール,第1のレール,弾性部材の寸法精度により、第2のレール,第1のレールに作用する弾性部材による押圧力も変動し、第2のレールの移動操作力が一定とならない問題点もある。
【0005】
更に、弾性部材として薄板のばね材等を用いると、びびり音が発生する問題点もある。
又、更に、第2のレールが移動する毎に、弾性部材には荷重が作用するので、弾性部材の摩耗の問題点もある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、第2のレールの移動操作力が一定で、且つ、小さな操作力で移動可能なシートスライド装置を提供することにある。
【0007】
第2の目的は、第2のレールの移動時に、異音が発生しないシートスライド装置を提供することにある。
第3の目的は、弾性部材の摩耗が少ないシートスライド装置を提供することにある。
【0008】
第4の目的は、操作性の良いシートスライド装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1記載の発明は、フロア側に設けられ、ロック穴が形成された第1のレールと、シート側に設けられ、前記第1のレールにその長手方向に移動可能に係合する第2のレールと、前記第2のレール側に配置され、前記ロック穴との係脱方向に移動可能に案内されたロック部材と、前記第2のレールに回転可能に支持され、前記ロック部材と連動して回転するように一方の端部が前記ロック部材に係合したロックレバーと、前記ロック部材が前記ロック穴に係合する方向に前記ロックレバーを付勢するスプリングと、前記第2のレールに端部が係止され、中間部が前記第1のレールに当接され、この状態での弾性変形により、前記第1及び第2のレール間のガタを除去する方向の付勢力を前記第1及び第2のレール間に付与するストッパスプリングと、前記ロック部材と連動して回転するように前記第2のレールに支持され、前記ロック部材が前記ロック穴から離脱した非ロック時においては、前記ストッパスプリングの中間部に当接し、該中間部を前記第1のレールから離間させる解除レバーと、を備えたことを特徴とするシートスライド装置である。
【0010】
第2のレールの移動時には、ロック部材に連動して解除レバーが作動しており、ストッパスプリングの押圧は解除される。
従って、第2のレールを第1のレールに対して移動させた場合、移動操作力が一定で、且つ、小さな操作力で移動可能となる。
【0011】
又、第2のレールの移動時には、ストッパスプリングは、一方のレールを押圧していないので、びびり音等の異音の発生もない。
更に、第2のレールの移動時に、ストッパスプリングに荷重が作用しないので、ストッパスプリングの摩耗も少なくなる。
【0012】
請求項2記載の発明は、フロア側に設けられ、ロック穴が形成された第1のレールと、シート側に設けられ、前記第1のレールにその長手方向に移動可能に係合する第2のレールと、前記第2のレール側に配置され、前記ロック穴との係脱方向に移動可能に案内されたロック部材と、前記第2のレールに回転可能に支持され、前記ロック部材と連動して回転するように一方の端部が前記ロック部材に係合したロックレバーと、前記ロック部材が前記ロック穴に係合する方向に前記ロックレバーを付勢するスプリングと、前記第2のレール上であって前記ロック部材より前側の位置に端部が係止され、中間部が前記第1のレールに当接され、この状態での弾性変形により、前記第1及び第2のレール間のガタを除去する方向の付勢力を前記第1及び第2のレール間に付与する第1のストッパスプリングと、前記第2のレール上であって前記ロック部材より後側の位置に端部が係止され、中間部が前記第1のレールに当接され、この状態での弾性変形により、前記第1及び第2のレール間のガタを除去する方向の付勢力を前記第1及び第2のレール間に付与する第2のストッパスプリングと、前記第2のレールに中間部が回転可能に支持され、前記ロック部材と連動して回転するように一方の端部が前記ロック部材に係合され、前記ロック部材が前記ロック穴から離脱した非ロック時においては、前記第1のストッパスプリングの中間部に当接し、該中間部を前記第1のレールから離間させる第1の解除レバーと、前記第2のレールに中間部が回転可能に支持され、前記ロック部材と連動して回転するように一方の端部が前記ロックレバーの他方の端部に係合され、前記ロック部材が前記ロック穴から離脱した非ロック時においては、前記第2のストッパスプリングの中間部に当接し、該中間部を前記第1のレールから離間させる第2の解除レバーと、を備えたことを特徴とするシートスライド装置である。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に図面を用いて本発明のシートスライド装置の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施の形態例のシートスライド装置の前部の断面図、図2は図1に示すシートスライド装置の後部の断面図、図3は図1におけるA-A断面図、図4は図1におけるB-B断面図、図5は図1におけるC-C断面図、図6は図2におけるD-D断面図、図7は図2におけるE-E断面図、図8は図1における矢印X方向からみたスプリングの掛け方を説明する図である。
【0017】
これらの図において、10はフロア側に設けられる第1のレールとしてのロアレール、20はロアレール10内に設けられ、シートが設けられる第2のレールとしてのアッパレールである。
【0018】
ロアレール10の断面形状は、図3から図7に示すように、フロアと対向する基底部11と、この基底部11の両側より折曲して上方に延出する第1及び第2の側壁部12,13と、側壁部12,13の上部より折曲し、互に近づく方向に延出し、両者の間に隙間Dを形成する第1及び第2の天面部14,15と、第1及び第2の天面部14,15の先端部より基底部11方向に垂下した第1及び第2の垂下部16,17とからなっている。
【0019】
一方、ロアレール10内に設けられるアッパレール20は、ロアレール10の基底部11と対向する基底部21と、この基底部21の両側より折曲し、ロアレールの第1及び第2の側壁部と対向するように上方に延出する第1及び第2の側壁部22,23とからなっている。
【0020】
そして、アッパレール20の複数の箇所には、図1,図2,図7に示すように、第1及び第2の側壁部22,23に支持されたシャフト31を有するローラ32が回転可能に設けられている。このローラ32はアッパレールの基底部21に形成された穴24を介して、ロアレール10の基底部11を転動することにより、アッパレール20はロアレール10に対して移動可能となっている。
【0021】
次に、アッパレール20のロアレール10に対する移動を禁止するロック機構の説明を行なう。図1及び図3に示すように、ロアレール10の基底部11の複数の箇所には、ロック穴35が形成されている。一方、アッパレール20の基底部21には穴36が形成され、この穴36にはロック穴35に係脱可能な突起40aを有するロック部材40を上下方向に案内するガイド部材41が設けられている。
【0022】
アッパレール20の第1及び第2の側壁部22,23間に支持されたピン51には、ロックレバー50が回転可能に係合している。このロックレバー50の一方の端部側には、ロック部材40に設けられたピン42に遊嵌する長穴52が形成され、他方の端部側には、水平方向に折曲され、ロアレール10の隙間Dに位置する折曲部53が形成されている。尚、図4において、53はピン51の抜け止めを行なうEリング、54はロックレバー50の位置決めを行なうスペーサである。
【0023】
ピン51には、中間部がピン51に巻回され、一方の端部側がロックレバー50に、他方の端部側がアッパレール20に形成された切片部20aにそれぞれ係止されたスプリング56が設けられ、このスプリング56の付勢力により、ロックレバー50は、ロック部材40の突起40aがロアレール10のロック穴35に係合する方向に付勢されている。
【0024】
次に、アッパレール20には、ロアレール10とアッパレール20との間の上下方向のガタをなくす方向にロアレール10とアッパレール20とを押圧する弾性部材としての第1及び第2のストッパスプリング60,70が設けられている。
【0025】
これら第1及び第2のストッパスプリング60,70のアッパレール20への取り付け構造は同一なので、図1,図5,図8を用いて第1のストッパスプリング60の取り付け構造を説明し、第2のストッパスプリング70の取り付け構造の説明は省略する。
【0026】
アッパレール20の第1及び第2の側壁部22,23には、それぞれ貫通穴25,26が形成されている。第1のストッパスプリング60の一方の端部は、第1の側壁部22の貫通穴26に係合する第1の係合部61と、第2の側壁部23の貫通穴26に係合する第2の係合部62と、第1の係合部61より折曲しロアレール10の第1の垂下部16方向に延出する第1の延出部63と、第2の係合部62より折曲しロアレール10の第2の垂下部17方向に延出する第2の延出部64と、第1の延出部63,第2の延出部64間に設けられ、ロアレール10の第1の垂下部16,第2の垂下部17の先端面を押圧可能な押圧部65とからなっている。
【0027】
第1のストッパスプリング60は、第1及び第2の係合部61,62が貫通穴25,26に係合することにより、押圧部65は、第1及び第2の係合部61,62を中心に、第1及び第2の延出部63,64を腕として回転移動可能となっている。
【0028】
次に、この第1のストッパスプリング60の押圧を解除する機構を説明する。80は中間部がアッパレール20の第1及び第2の側壁部22,23間に支持されたピン81に回転可能に係合する第1の解除レバーである。第1の解除レバー80の一方の回転端部側には、第1のストッパスプリング60の押圧部65に係合する係合溝82が形成され、他方の回転端部側には、ロック部材40に設けられたピン42に係合する長穴83が形成されている。尚、図5において、85はピン81の抜け止めを行なうEリング、86は第1の解除レバー80の位置決めを行なうスペーサである。
【0029】
次に、第2のストッパスプリング70の押圧を解除する機構を説明する。90は回転基端部がアッパレール20の第1及び第2の側壁部22,23間に支持されたピン91に回転可能に係合する第2の解除レバーである。第2の解除レバー90の中間部には、第2のストッパスプリング70の押圧部に係合する係合溝92が形成され、回転先端部側は、ロックレバー50の他方の回転端部にピン93を用いて回転可能に取り付けられている。
【0030】
次に、上記構成に動作を説明する。
(1) 非シートスライド時
スプリング56の付勢力により、アッパレール20側のロック部材40の突起40aは、ロアレール10側のロック穴35に係合し、アッパレール20のロアレール10に対する移動は禁止されている。
【0031】
このとき、アッパレール20側に設けられた第1及び第2のストッパスプリング60,70の押圧部65,75はロアレール10の第1及び第2の垂下部16,17の先端面を押圧し、ロアレール10とアッパレール20との上下方向のガタをなくしている。
【0032】
(2) シートスライド時
操作者が、ロックレバー50の折曲部53をスプリング56の付勢力に抗して下方向に移動させる。すると、ロックレバー50は、ピン51を中心に回転し、一方の回転端部側のロック部材40が上方に移動し、ロック部材40の突起40aと、ロアレール10側のロック穴35との係合が解除され、アッパレール20はロアレール10に対して移動可能となる。
【0033】
同時に、ロック部材40が上方に移動することにより、第1の解除レバー80がピン81を中心に回転し、一方の回転端部側が下方向に移動し、第1のストッパスプリング60の押圧部65を下に押し下げ、第1のストッパスプリング60のロアレール10に対する押圧を解除する。
【0034】
又、ロックレバー50の他方の回転端部が下方向に移動することにより、第2の解除レバー90はピン91を中心に下方向に移動し、第2のストッパスプリング70の押圧部75を下に押し下げ、第2のストッパスプリング70のロアレール10に対する押圧を解除する。
【0035】
上記構成によれば、下記のような効果を得ることができる。
(1) アッパレール20をロアレール10に対して移動させ場合、アッパレール20側に設けられた第1及び第2のストッパスプリング60,70のロアレール10への押圧がなくなるので、移動操作力が一定で、且つ、小さな操作力で移動可能となる。
【0036】
(2) アッパレール20の移動時には、第1及び第2のストッパスプリング60,70は、ロアレール10を押圧していないので、びびり音等の異音の発生もない。
【0037】
(3) アッパレール20の移動時に、第1及び第2のストッパスプリング60,70に荷重が作用しないので、第1及び第2のストッパスプリング60,70の摩耗も少なくなる。
【0038】
(4) アッパレール20を移動させる際に、必ず操作されるロックレバー50に連動して、第1及び第2のストッパスプリング60,70の押圧を解除する機構を連動させたことにより、操作性が良い。
【0039】
尚、本発明は、上記実施の形態例に限定するものではない。上記実施の形態例では、ストッパスプリング60,70をアッパレール20側に設けたが、ロアレール10側に設けても良い。
【0040】
更に、ロックレバー50に連動して、第1及び第2のストッパスプリング60,70の押圧を解除する機構を連動させたが、ロックレバー50と、第1及び第2のストッパスプリング60,70の押圧を解除する機構とを独立させ、別個に操作してもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、第2のレールを第1のレールに対して移動させる場合、ストッパスプリングの押圧は解除されているので、移動操作力が一定で、且つ、小さな操作力で移動可能となる。
【0042】
又、第2のレールの移動時には、ストッパスプリングは、一方のレールを押圧していないので、びびり音等の異音の発生もない。
更に、第2のレールの移動時に、ストッパスプリングに荷重が作用しないので、ストッパスプリングの摩耗も少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態例のシートスライド装置の前部の断面図である。
【図2】図1に示すシートスライド装置の後部の断面図である。
【図3】図1におけるA-A断面図である。
【図4】図1におけるB-B断面図である。
【図5】図1におけるC-C断面図である。
【図6】図2におけるD-D断面図である。
【図7】図2におけるE-E断面図である。
【図8】図1における矢印X方向からみたスプリングの掛け方を説明する図である。
【符号の説明】
10 ロアレール
20 アッパレール
40 ロック部材
50 ロックレバー
60 第1のストッパスプリング
70 第2のストッパスプリング
80 第1の解除レバー
90 第2の解除レバー
Claims (2)
- フロア側に設けられ、ロック穴が形成された第1のレールと、
シート側に設けられ、前記第1のレールにその長手方向に移動可能に係合する第2のレールと、
前記第2のレール側に配置され、前記ロック穴との係脱方向に移動可能に案内されたロック部材と、
前記第2のレールに回転可能に支持され、前記ロック部材と連動して回転するように一方の端部が前記ロック部材に係合したロックレバーと、
前記ロック部材が前記ロック穴に係合する方向に前記ロックレバーを付勢するスプリングと、
前記第2のレールに端部が係止され、中間部が前記第1のレールに当接され、この状態での弾性変形により、前記第1及び第2のレール間のガタを除去する方向の付勢力を前記第1及び第2のレール間に付与するストッパスプリングと、
前記ロック部材と連動して回転するように前記第2のレールに支持され、前記ロック部材が前記ロック穴から離脱した非ロック時においては、前記ストッパスプリングの中間部に当接し、該中間部を前記第1のレールから離間させる解除レバーと、
を備えたシートスライド装置。 - フロア側に設けられ、ロック穴が形成された第1のレールと、
シート側に設けられ、前記第1のレールにその長手方向に移動可能に係合する第2のレールと、
前記第2のレール側に配置され、前記ロック穴との係脱方向に移動可能に案内されたロック部材と、
前記第2のレールに回転可能に支持され、前記ロック部材と連動して回転するように一方の端部が前記ロック部材に係合したロックレバーと、
前記ロック部材が前記ロック穴に係合する方向に前記ロックレバーを付勢するスプリングと、
前記第2のレール上であって前記ロック部材より前側の位置に端部が係止され、中間部が前記第1のレールに当接され、この状態での弾性変形により、前記第1及び第2のレール間のガタを除去する方向の付勢力を前記第1及び第2のレール間に付与する第1のストッパスプリングと、
前記第2のレール上であって前記ロック部材より後側の位置に端部が係止され、中間部が前記第1のレールに当接され、この状態での弾性変形により、前記第1及び第2のレール間のガタを除去する方向の付勢力を前記第1及び第2のレール間に付与する第2のストッパスプリングと、
前記第2のレールに中間部が回転可能に支持され、前記ロック部材と連動して回転するように一方の端部が前記ロック部材に係合され、前記ロック部材が前記ロック穴から離脱した非ロック時においては、前記第1のストッパスプリングの中間部に当接し、該中間部を前記第1のレールから離間させる第1の解除レバーと、
前記第2のレールに中間部が回転可能に支持され、前記ロック部材と連動して回転するように一方の端部が前記ロックレバーの他方の端部に係合され、前記ロック部材が前記ロック穴から離脱した非ロック時においては、前記第2のストッパスプリングの中間部に当接し、該中間部を前記第1のレールから離間させる第2の解除レバーと、
を備えたシートスライド装置。
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