JP3761482B2 - 基板処理装置およびスプラッシュガードの洗浄方法 - Google Patents

基板処理装置およびスプラッシュガードの洗浄方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板等に代表される各種の被処理基板に処理液を用いた表面処理を施すための基板処理装置、および基板処理装置に備えられたスプラッシュガードの洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置や液晶表示装置の製造工程では、基板に処理液(薬液または純水)を供給して基板の表面処理を行うための基板処理装置が用いられる。基板を1枚ずつ処理する枚葉型の基板処理装置では、たとえば、基板を水平に保持して回転させるスピンチャックが備えられていて、このスピンチャックによって基板が水平面内で回転される一方で、その基板の表面に処理液が供給されることにより、基板の表面に処理液による処理が施される。また、処理液による処理後は、スピンチャックによって基板を高速回転させて、基板の表面に付着している処理液を遠心力で振り切って乾燥させる乾燥処理が行われる。
【0003】
スピンチャックは、有底筒状の処理カップおよびこの処理カップに対して昇降可能なスプラッシュガードに囲まれた空間内に配置されている。これにより、基板の周縁から側方に飛散する処理液を処理カップまたはスプラッシュガードで受け止めることができ、処理カップおよびスプラッシュガードより外方への処理液の飛散を防止することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、基板から飛散して処理カップまたはスプラッシュガードに付着した処理液が乾燥して結晶化すると、この処理液の結晶がパーティクルとなって基板汚染の原因となるおそれがある。
枚葉型の基板処理装置の中には、処理時に基板の上面付近の気流が乱れることを防止するために、基板の上面に近接した位置に対向配置される遮断板を備えたものがある。この遮断板が備えられている場合、たとえば、遮断板を回転させつつ、その遮断板の上面に洗浄液を供給して、遮断板の周縁から洗浄液を振り飛ばすことにより、処理カップおよびスプラッシュガードの内面に洗浄液を供給して、処理カップおよびスプラッシュガードの内面に付着した処理液を洗浄液で洗い流すことができる。また、このときスプラッシュガードを上下動させることにより、スプラッシュガードの内面の広い範囲に処理液を供給して、スプラッシュガードの内面をより良好に洗浄することが考えられる。
【0005】
しかし、処理カップおよびスプラッシュガードの内面に付着している処理液を洗い流すことはできても、スプラッシュガードの外面に付着した処理液を洗い流すことができず、このスプラッシュガードの外面に付着した処理液の結晶化による基板汚染を防止することはできない。
そこで、この発明の目的は、スプラッシュガードなどに付着した処理液および処理液の結晶を良好に洗い落とすことのできる基板処理装置を提供することである。
【0006】
また、この発明の他の目的は、スプラッシュガードなどに付着した処理液および処理液の結晶を良好に洗い落とす方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)に処理液を供給して処理する基板処理装置であって、基板を保持して回転させる基板保持手段(1)と、この基板保持手段の周囲を取り囲むように設けられていて、上記基板保持手段によって回転されている基板から飛散した処理液を受け止めて、外方への処理液の飛散を防止するスプラッシュガード(5)と、このスプラッシュガードの下方に配置され、上記スプラッシュガードを洗浄するための洗浄液を貯留可能貯留槽(42)と、上記スプラッシュガードを上記貯留槽に対して昇降させるためのスプラッシュガード昇降駆動機構(54)と、このスプラッシュガード昇降駆動機構を制御して、上記スプラッシュガードの少なくとも一部を洗浄するために、そのスプラッシュガードの少なくとも一部を上記貯留槽に貯留された洗浄液中に浸漬させる制御部(7)とを含むことを特徴とする基板処理装置である。
【0008】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この発明によれば、貯留槽に洗浄液を溜め、この溜められた洗浄液にスプラッシュガードの少なくとも一部を浸漬させることにより、その浸漬させた一部に付着している処理液を洗い落とすことができる。よって、スプラッシュガードの洗浄を定期的に行うことにより、スプラッシュガードに付着した処理液が乾燥して結晶化することを防止でき、処理液の結晶による基板の汚染を防止することができる。また、たとえスプラッシュガードに処理液の結晶が付着していても、その付着している処理液の結晶を洗い落とすことができる。
【0009】
求項2記載の発明は、上記制御部は、上記スプラッシュガード昇降駆動機構を制御して、上記スプラッシュガードを往復昇降させることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置である。
この発明によれば、スプラッシュガードを往復昇降させて、貯留槽内の洗浄液とスプラッシュガードとを相対的に昇降させることにより、とくにスプラッシュガードに処理液の結晶が付着している場合に、その処理液の結晶を良好に洗い落とすことができる。
請求項3記載の発明は、基板(W)に処理液を供給して処理する基板処理装置であって、基板を保持して回転させる基板保持手段(1)と、この基板保持手段の周囲を取り囲むように設けられていて、上記基板保持手段によって回転されている基板から飛散した処理液を受け止めて、外方への処理液の飛散を防止するスプラッシュガード(5)と、このスプラッシュガードの下方に配置され、上記スプラッシュガードを洗浄するための洗浄液を貯留可能な貯留槽(42)と、この貯留槽内に対して洗浄液の供給および排液を行う手段(47,49)と、上記貯留槽内に対する洗浄液の供給および排液を制御して、上記スプラッシュガードの少なくとも一部を洗浄するために、上記スプラッシュガードの少なくとも一部が上記貯留槽内の洗浄液に浸漬した状態で、上記貯留槽内の洗浄液と上記スプラッシュガードとの間に相対的な昇降を生じさせる制御部(7)とを含むものであることを特徴とする基板処理装置である。
この発明によれば、貯留槽内の洗浄液とスプラッシュガードとを相対的に昇降させることにより、スプラッシュガードに付着している処理液を洗い落とすことができる。よって、スプラッシュガードの洗浄を定期的に行うことにより、スプラッシュガードに付着した処理液が乾燥して結晶化することを防止でき、処理液の結晶による基板の汚染を防止することができる。また、たとえスプラッシュガードに処理液の結晶が付着していても、その付着している処理液の結晶を洗い落とすことができる。
なお、請求項4記載のように、上記基板処理装置は、上記基板保持手段を収容するカップ(4)をさらに含み、上記処理液は、薬液であり、上記貯留槽は、上記カップの底部に形成され、基板の処理のために用いられた後の薬液を回収するための回収溝であり、上記スプラッシュガードは、基板から飛散した処理液を受け止めて、その処理液を上記回収溝に案内するようにされてもよい。また、この場合に、請求項5記載のように、上記基板保持手段に保持された基板に純水を供給するための純水ノズル(3)と、上記カップの底部に形成され、上記回収溝と仕切壁(43)を挟んで隣接し、基板の処理に用いられた純水を排液するための排液溝(41)とをさらに含み、上記回収溝に貯留された洗浄液中に上記スプラッシュガードの少なくとも一部が浸漬されたときに、上記回収溝に貯留されている洗浄液が上記仕切壁を越えて溢れ、その溢れた洗浄液により上記廃液溝が洗浄されるようにされてもよい。
さらにまた、請求項記載のように、上記基板処理装置は、上記貯留槽内の洗浄液に超音波振動を付与する超音波振動付与手段(9)をさらに含むものであってもよい。
【0010】
また、請求項記載のように、上記処理液は、薬液を含み、上記スプラッシュガードの少なくとも一部は、上記基板保持手段による基板の回転時に当該基板から飛散する薬液を受け止める部位(52)を含んでいてもよい。
さらには、請求項8記載のように、上記基板処理装置は、上記基板保持手段を収容するカップ(4)と、上記貯留槽に洗浄液を供給するための洗浄液供給管(81)とをさらに含み、上記貯留槽は、上記カップの底部に形成されており、上記洗浄液供給管は、上記カップの側面に接続されていてもよい。
請求項記載の発明は、基板(W)を保持して回転させる基板保持手段(1)と、この基板保持手段の周囲を取り囲むように設けられていて、上記基板保持手段によって回転されている基板から飛散した処理液を受け止めて、外方への処理液の飛散を防止するスプラッシュガード(5)と、このスプラッシュガードの下方に配置され、上記スプラッシュガードを洗浄するための洗浄液を貯留可能な貯留槽(42)と、上記スプラッシュガードを上記貯留槽に対して昇降させるためのスプラッシュガード昇降駆動機構(54)とを備え、基板に処理液を供給して処理する基板処理装置において、上記スプラッシュガードを洗浄する方法であって、上記貯留槽に洗浄液を貯留する工程と、上記スプラッシュガードの少なくとも一部を洗浄するために、上記スプラッシュガード昇降駆動機構を制御して、そのスプラッシュガードの少なくとも一部を上記貯留槽に貯留された洗浄液中に浸漬させる工程とを含むことを特徴とするスプラッシュガードの洗浄方法である。
【0011】
この方法によれば、請求項1に関連して述べた効果と同様な効果を達成することができる。
また、請求項10記載の発明は、基板(W)を保持して回転させる基板保持手段(1)と、この基板保持手段の周囲を取り囲むように設けられていて、上記基板保持手段によって回転されている基板から飛散した処理液を受け止めて、外方への処理液の飛散を防止するスプラッシュガード(5)と、このスプラッシュガードの下方に配置され、上記スプラッシュガードを洗浄するための洗浄液を貯留可能な貯留槽(42)と、この貯留槽内に対して洗浄液の供給および排液を行う手段(47,49)とを備え、基板に処理液を供給して処理する基板処理装置において、上記スプラッシュガードを洗浄する方法であって、上記スプラッシュガードの洗浄のために、上記貯留槽内に対する洗浄液の供給および排液を制御して、上記貯留槽内の洗浄液と上記貯留槽および上記スプラッシュガードとの間に相対的な昇降を生じさせることを特徴とするスプラッシュガードの洗浄方法である。
この方法によれば、請求項3に関連して述べた効果と同様な効果を達成することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を説明するための図である。この基板処理装置は、レジストアッシング処理後の半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)Wに付着しているポリマーを除去するための装置である。より具体的には、たとえば、タングステン配線またはポリシリコン配線をパターン形成する工程において、ウエハW上にほぼ一様に形成されたタングステン配線膜またはポリシリコン配線膜を選択的に除去するためのエッチング処理、このエッチング処理に使用したレジストパターンを除去するためのレジストアッシング処理の後に、レジストアッシング処理で除去されずにポリマーとなって残留したレジスト残渣を除去するためのポリマー除去装置である。
【0013】
このポリマー除去装置は、ウエハWを水平に保持して回転させるためのスピンチャック1と、スピンチャック1に保持されたウエハWの上面にポリマー除去のための薬液を供給するための薬液ノズル2と、スピンチャック1に保持されたウエハWの上面に純水を供給するための純水ノズル3とを備えている。
ポリマー除去のための薬液としては、有機アルカリ液を含む液体、有機酸を含む液体、無機酸を含む液体、ふっ化アンモン系物質を含む液体のうちの少なくともいずれか1つが使用できる。そのうち、有機アルカリ液を含む液体としては、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、ヒドロキシルアミン、コリンのうちの少なくともいずれか1つを含む液体が挙げられる。また、有機酸を含む液体としては、クエン酸、蓚酸、イミノジ酸、および琥珀酸のうちの少なくともいずれか1つを含む液体が挙げられる。また、無機酸を含む液体としては、ふっ酸および燐酸のうちの少なくともいずれか1つを含む液体が挙げられる。その他、ポリマー除去液としては、1−メチル−2ピロリドン、テトラヒドロチオフェン1.1−ジオキシド、イソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、2−(2アミノエトキシ)エタノール、カテコール、N−メチルピロリドン、アロマティックジオール、パーフレン、フェノールを含む液体などのうちの少なくともいずれか1つを含む液体があり、より具体的には、1−メチル−2ピロリドンとテトラヒドロチオフェン1.1−ジオキシドとイソプロパノールアミンとの混合液、ジメチルスルホキシドとモノエターノルアミンとの混合液、2−(2アミノエトキシ)エタノールとヒドロキシアミンとカテコールとの混合液、2−(2アミノエトキシ)エタノールとN−メチルピロリドンとの混合液、モノエタノールアミンと水とアロマティックジオールとの混合液、パーフレンとフェノールとの混合液などのうちの少なくともいずれか1つが挙げられる。その他、トリエタノールアミン、ペンタメチルジエチレントリアミンなどのアミン類、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのうちの少なくともいずれか1つを含む液体が挙げられる。
【0014】
スピンチャック1としては、たとえば、ウエハWのデバイス形成面を上方に向けた状態で、そのウエハWの非デバイス形成面(下面)を真空吸着することにより、ウエハWをほぼ水平に保持することができる真空吸着式のもの(バキュームチャック)が用いられている。この真空吸着式のスピンチャック1は、たとえば、ウエハWを保持した状態で、鉛直な軸線まわりに回転することにより、その保持したウエハWを水平面内で回転させることができる。
【0015】
スピンチャック1は、処理カップ4内に収容されている。処理カップ4は、スピンチャック1の周囲を取り囲んでいて、底部には、ウエハWの処理に用いられた後の純水などを排液するための環状の排液溝41と、ウエハWの処理のために用いられた後の薬液を回収するための環状の回収溝42とが筒状の仕切壁43で仕切られて形成されている。排液溝41には、排液ライン44が接続されており、この排液ライン44の途中部には、排液バルブ45が介装されている。また、回収溝42には、回収ライン46および排液ライン47が接続されている。回収ライン46の途中部には、回収バルブ48が介装されており、排液ライン47の途中部には、排液バルブ49が介装されている。
【0016】
処理カップ4に関連して、ウエハWから飛散する薬液または純水を捕獲するためのスプラッシュガード5が設けられている。スプラッシュガード5は、ウエハWの回転軸線に対してほぼ回転対称な形状を有しており、上方部の内面は、ウエハWの回転軸線に対向するように開いた断面く字状の排液捕獲部51となっている。また、スプラッシュガード5の下方部には、ウエハWの回転半径方向外方に向かうに従って下方に向かう傾斜曲面を有する回収液捕獲部52が形成されている。回収液捕獲部52の上端付近には、処理カップ4の仕切壁43を受け入れるための仕切壁収納溝53が形成されている。
【0017】
スプラッシュガード5に関連して、たとえば、ボールねじ機構などを含むスプラッシュガード昇降駆動機構54が設けられている。スプラッシュガード昇降駆動機構54は、スプラッシュガード5を、回収液捕獲部52がスピンチャック1に保持されたウエハWの端面に対向する回収位置と、排液捕獲部51がスピンチャック1に保持されたウエハWの端面に対向する排液位置との間で上下動させる。また、スプラッシュガード昇降駆動機構54は、スピンチャック1に対するウエハWの搬入/搬出の際に、スプラッシュガード5を排液位置よりも下方の退避位置に退避させる。
【0018】
薬液ノズル2には、薬液供給源からの薬液を供給する薬液供給配管21が接続されている。この薬液供給配管21の途中部には、薬液ノズル2からの薬液の吐出を制御するための薬液供給バルブ22が介装されている。
純水ノズル3は、たとえば、処理カップ4外に設定された鉛直軸線を中心に揺動可能なアームの先端に取り付けられたスキャンノズルであり、アームを揺動させることによって、スピンチャック1に保持されたウエハWの上方に位置させて、そのウエハWの上面の中央部に純水を供給することができる。純水ノズル3には、純水供給源からの純水を供給する純水供給配管31が接続されていて、この純水供給配管31の途中部には、純水ノズル3からの純水の吐出を制御するための純水供給バルブ32が介装されている。
【0019】
また、このポリマー除去装置には、スピンチャック1に保持されたウエハWの下面の周縁部に薬液および純水を選択的に供給するためのバックリンスノズル6が備えられている。バックリンスノズル6には、薬液ノズル2によるウエハWへの薬液供給に同期して薬液が供給され、純水ノズル3によるウエハWへの純水供給に同期して純水が供給されるようになっている。
このポリマー除去装置はさらに、マイクロコンピュータを含む構成の制御部7を備えている。制御部7は、スピンチャック1を回転させるための駆動機構やスプラッシュガード5を昇降させるためのスプラッシュガード昇降駆動機構54の動作を制御する。また、薬液供給バルブ22、純水供給バルブ32、排液バルブ45,49および回収バルブ48の開閉を制御する。
【0020】
ウエハWに対する処理を開始する前の期間には、スピンチャック1は停止しており、また、スピンチャック1へのウエハWの搬入が阻害されないように、スプラッシュガード5はスピンチャック1によるウエハWの保持位置よりも下方の退避位置に待避している。
基板搬送ロボット(図示せず)から処理対象のウエハWがスピンチャック1に受け渡されると、スプラッシュガード5が、回収液捕獲部52がウエハWの周端面に対向する回収位置まで上げられる。また、スピンチャック1の回転が開始されて、その後、ウエハW(スピンチャック1)の回転速度が所定の速度に達すると、薬液ノズル2およびバックリンスノズル6からウエハWへの薬液の供給が開始される。薬液ノズル2からの薬液は、ウエハWの上面のほぼ中央部に供給されるようになっている。ウエハWに供給された薬液は、ウエハWの回転に伴って受ける遠心力により、その供給位置からウエハWの回転半径方向外方側へと導かれる。これにより、ウエハWの上面および下面の周縁部には、ほぼ全域に薬液が隈無く行き渡り、ウエハWの上面および下面の周縁部に付着しているポリマー残渣が良好に除去される。
【0021】
この薬液処理の際に、ウエハWの周縁から振り切られて側方に飛散した薬液は、スプラッシュガード5の回収液捕獲部52に捕獲される。そして、この回収液捕獲部52を伝い、回収液捕獲部52の下端縁から処理カップ4の回収溝42へと落下する。このとき、回収バルブ48が開成されて、排液バルブ49が閉成されており、回収溝42に集められた薬液は、回収ライン46を介して回収液処理設備に回収され、以降の薬液処理に再利用される。これにより、薬液を使い捨てる構成に比べて、薬液の消費量を格段に低減することができる。
【0022】
ウエハWへの薬液の供給が所定時間に渡って行われると、薬液ノズル2およびバックリンスノズル6からの薬液の供給が停止される。そして、スプラッシュガード5が、排液捕獲部51がウエハWの周端面に対向する排液位置まで下げられる。その後、純水ノズル3およびバックリンスノズル6からウエハWへの純水の供給が開始される。このとき、純水ノズル3からの純水は、ウエハWの上面のほぼ中央部に供給される。ウエハWに供給された純水は、ウエハWの回転に伴って受ける遠心力により、その供給位置からウエハWの回転半径方向外方側へと導かれる。これにより、ウエハWの上面および下面の周縁部のほぼ全域に純水が隈無く行き渡り、ウエハWの上面および下面の周縁部に付着している薬液がきれいに洗い流される。この純水による処理の後は、ウエハWが高速回転されて、ウエハWに付着している純水を振り切って乾燥させる処理が行われる。
【0023】
純水による処理の際に、ウエハWの周縁から振り切られて側方に飛散した純水は、スプラッシュガード5の排液捕獲部51に捕獲される。そして、この排液捕獲部51を伝い、排液捕獲部51の下端縁から処理カップ4の排液溝41へと落下する。このとき、排液バルブ45は開成されており、排液溝41に集められた薬液は、排液ライン44を介して排液処理設備へと排液される。
乾燥処理の終了後は、スピンチャック1によるウエハWの回転が停止される。また、スプラッシュガード5が排液位置から退避位置まで下降される。そして、図示しない搬送ロボットの働きによって、スピンチャック1に保持されている処理後のウエハWが搬出されていく。
【0024】
上述のように、ウエハWの処理時には、ウエハWから薬液が飛散して、スプラッシュガード5の内面に付着する。また、薬液ノズル2およびバックリンスノズル6から吐出された薬液がウエハWの表面で跳ね返ってミストとなり、この薬液のミストが飛散して、処理カップ4およびスプラッシュガード5の内面やスプラッシュガード5の外面に付着する。処理カップ4およびスプラッシュガード5の内外面に付着した薬液が乾燥して結晶化すると、その薬液の結晶がパーティクルとなってウエハWを汚染するおそれがある。
【0025】
そこで、この実施形態に係る基板処理装置では、処理カップ4の側面に洗浄水供給管81が接続されており、この洗浄水供給管81から回収溝42内に純水を供給することができるようになっている。洗浄水供給管81の途中部には、制御部7によって開閉制御される洗浄水供給バルブ82が介装されている。そして、たとえば、所定枚数のウエハWに対して処理を行う度に、回収溝42に純水が溜められて、この溜められた純水にスプラッシュガード5を出没させることにより、処理カップ4およびスプラッシュガード5の洗浄処理が行われるようになっている。
【0026】
図2は、処理カップ4およびスプラッシュガード5の洗浄処理について説明するための図解的な断面図である。処理カップ4およびスプラッシュガード5の洗浄処理に際しては、まず、図2(a)に示すように、スプラッシュガード5が、回収液捕獲部52がウエハWの周端面に対向する回収位置まで上げられる。そして、処理カップ4の回収溝42に接続されている回収ライン46および排液ライン47(回収バルブ48および排液バルブ49)が閉じられた状態で、洗浄水供給バルブ82が開かれて、洗浄水供給管81から処理カップ4の回収溝42に純水が供給されることにより、回収溝42内に純水が溜められる。
【0027】
回収溝42内に仕切壁43の上端近傍まで純水が溜められると、図2(b)に示すように、スプラッシュガード5が回収位置(図2(b)に仮想線で示す位置)と最下方の退避位置(図2(b)に実線で示す位置)との間で上下に往復動される。これにより、スプラッシュガード5の仕切壁収納溝53よりも外側の部位が回収溝42内の純水中に浸漬されたり、その純水中から出現したりして、仕切壁収納溝53よりも外側の部位(回収液捕獲部52)の内面および外面に付着した薬液が洗い落とされる。また、スプラッシュガード5の仕切壁収納溝53よりも外側の部位が回収溝42内の純水中に浸漬されるときに、回収溝42内に貯留されている純水が仕切壁43を超えて溢れ、この溢れた純水により、スプラッシュガード5の仕切壁収納溝53内が洗われるとともに、処理カップ4の排液溝41の内面に付着した薬液が洗い流される。
【0028】
スプラッシュガード5の上下動が複数回繰り返されると、排液ライン47上の排液バルブ49が開かれて、スプラッシュガード5から洗い落とされた薬液を含む回収溝42内の純水が排水される。
以上のように、この実施形態の基板処理装置は、処理カップ4の回収溝42内に溜められた純水にスプラッシュガード5を出没させることにより、処理カップ4およびスプラッシュガード5に付着した薬液を洗い落とすことができる構成になっている。ゆえに、処理カップ4およびスプラッシュガード5の洗浄処理を定期的に行うことにより、処理カップ4およびスプラッシュガード5に付着した薬液が乾燥して結晶化することを防止でき、薬液の結晶によるウエハWの汚染を防止することができる。また、たとえ処理カップ4およびスプラッシュガード5に薬液の結晶が付着していても、その付着している薬液の結晶を洗い落とすことができる。
【0029】
なお、スプラッシュガード5の仕切壁収納溝53よりも内側の部位、つまり排液捕獲部51は、ウエハWを薬液で処理した後に行われる純水処理の際に、ウエハWから飛散する純水によって洗われるので、排液捕獲部51を積極的に洗浄しなくても、排液捕獲部51で薬液の結晶を生じるおそれはない。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。たとえば、上述の実施形態では、処理カップ4の回収溝42内に溜められた純水にスプラッシュガード5を複数回出没させることにより、処理カップ4およびスプラッシュガード5に付着した薬液を洗い落とすとしたが、回収溝42内に溜められた純水に対するスプラッシュガード5の出没は1回だけであってもよい。この場合、処理カップ4およびスプラッシュガード5を良好に洗浄するために、たとえば、図1に示すように、回収溝42内の純水に超音波振動を付与するための超音波振動発生器9が処理カップ4の側面などに設けられることが好ましい。
【0030】
また、回収溝42内に溜められた純水に対するスプラッシュガード5の出没が1回しか行われない場合には、スプラッシュガード5が待避位置に移動されて、排液捕獲部51が回収溝42内に収容された状態で、洗浄水供給バルブ82および排液ライン47上の排液バルブ49をそれぞれ開閉させて、回収溝42内に純水を溜めたり、その溜められた純水を排水したりすることにより、回収溝42内の純水と処理カップ4およびスプラッシュガード5との間に相対的な移動を生じさせることが好ましい。こうすることにより、処理カップ4およびスプラッシュガード5をよりきれいに洗浄することができる。
【0031】
また、排液溝41に接続されている排液ライン44上の排液バルブ45を閉じた状態で、純水ノズル3を排液溝41の上方に移動させて、その純水ノズル3から排液溝41に純水を供給して、排液溝41内に純水が溜めることにより、排液溝41が積極的に洗浄されてもよい。
さらには、排液捕獲部51が積極的に洗浄されてもよく、この場合、たとえば、スプラッシュガード5を排液位置に移動させた状態で、スピンチャック1にダミーウエハを保持させて回転させるとともに、このダミーウエハの上面に純水ノズル3から純水を供給すればよい。こうすれば、ダミーウエハから飛散する純水によって排液捕獲部51を洗浄することができる。
【0032】
また、処理カップ4の排液溝41および回収溝42への純水の供給は、たとえば、スピンチャック1にダミーウエハを保持させて回転させるとともに、このダミーウエハの上面に純水ノズル3から純水を供給して、ダミーウエハからスプラッシュガード5の排液捕獲部51または回収液捕獲部52に純水を飛散させ、その飛散した純水を排液捕獲部51または回収液捕獲部52からそれぞれ排液溝41または回収溝42に流下させることにより達成されてもよい。
【0033】
基板処理装置による処理対象の基板は、ウエハに限らず、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイパネル用ガラス基板および磁気/光ディスク用基板などの他の種類の基板であってもよい。
また、この発明は、基板に処理液を用いた表面処理を施す装置であれば、基板の表面に付着しているポリマーを除去するための装置に限らず、たとえば、基板に処理液としてのエッチング液を供給して、基板の表面に形成されている不要な金属薄膜をエッチング除去する装置や、基板に処理液としての洗浄液を供給して、基板の表面を洗浄液で洗浄する装置に適用されてもよい。
【0034】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を説明するための図である。
【図2】処理カップおよびスプラッシュガードの洗浄処理について説明するための図解的な断面図である。
【符号の説明】
1 スピンチャック
2 薬液ノズル
3 純水ノズル
4 処理カップ
5 スプラッシュガード
7 制御部
9 超音波振動発生器
42 回収溝
43 仕切壁
46 回収ライン
47 排液ライン
48 回収バルブ
49 排液バルブ
51 排液捕獲部
52 回収液捕獲部
53 仕切壁収納溝
54 スプラッシュガード昇降駆動機構
81 洗浄水供給管
82 洗浄水供給バルブ
W ウエハ

Claims (10)

  1. 基板に処理液を供給して処理する基板処理装置であって、
    基板を保持して回転させる基板保持手段と、
    この基板保持手段の周囲を取り囲むように設けられていて、上記基板保持手段によって回転されている基板から飛散した処理液を受け止めて、外方への処理液の飛散を防止するスプラッシュガードと、
    このスプラッシュガードの下方に配置され、上記スプラッシュガードを洗浄するための洗浄液を貯留可能貯留槽と
    上記スプラッシュガードを上記貯留槽に対して昇降させるためのスプラッシュガード昇降駆動機構と、
    このスプラッシュガード昇降駆動機構を制御して、上記スプラッシュガードの少なくとも一部を洗浄するために、そのスプラッシュガードの少なくとも一部を上記貯留槽に貯留された洗浄液中に浸漬させる制御部とを含むことを特徴とする基板処理装置。
  2. 上記制御部は、上記スプラッシュガード昇降駆動機構を制御して、上記スプラッシュガードを往復昇降させることを特徴とする請求項記載の基板処理装置。
  3. 基板に処理液を供給して処理する基板処理装置であって、
    基板を保持して回転させる基板保持手段と、
    この基板保持手段の周囲を取り囲むように設けられていて、上記基板保持手段によって回転されている基板から飛散した処理液を受け止めて、外方への処理液の飛散を防止するスプラッシュガードと、
    このスプラッシュガードの下方に配置され、上記スプラッシュガードを洗浄するための洗浄液を貯留可能な貯留槽と、
    この貯留槽内に対して洗浄液の供給および排液を行う手段と、
    上記貯留槽内に対する洗浄液の供給および排液を制御して、上記スプラッシュガードの少なくとも一部を洗浄するために、上記スプラッシュガードの少なくとも一部が上記貯留槽内の洗浄液に浸漬した状態で、上記貯留槽内の洗浄液と上記スプラッシュガードとの間に相対的な昇降を生じさせる制御部とを含むものであることを特徴とする基板処理装置。
  4. 上記基板保持手段を収容するカップをさらに含み、
    上記処理液は、薬液であり、
    上記貯留槽は、上記カップの底部に形成され、基板の処理のために用いられた後の薬液を回収するための回収溝であり、
    上記スプラッシュガードは、基板から飛散した処理液を受け止めて、その処理液を上記回収溝に案内することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置。
  5. 上記基板保持手段に保持された基板に純水を供給するための純水ノズルと、
    上記カップの底部に形成され、上記回収溝と仕切壁を挟んで隣接し、基板の処理に用いられた純水を排液するための排液溝とをさらに含み、
    上記回収溝に貯留された洗浄液中に上記スプラッシュガードの少なくとも一部が浸漬されたときに、上記回収溝に貯留されている洗浄液が上記仕切壁を越えて溢れ、その溢れた洗浄液により上記廃液溝が洗浄されることを特徴とする請求項4記載の基板処理装置。
  6. 記貯留槽内の洗浄液に超音波振動を付与する超音波振動付与手段をさらにむことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理装置。
  7. 上記処理液は、薬液を含み、
    上記スプラッシュガードの少なくとも一部は、上記基板保持手段による基板の回転時に当該基板から飛散する薬液を受け止める部位を含むことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の基板処理装置。
  8. 上記基板保持手段を収容するカップと、
    上記貯留槽に洗浄液を供給するための洗浄液供給管とをさらに含み、
    上記貯留槽は、上記カップの底部に形成されており、
    上記洗浄液供給管は、上記カップの側面に接続されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の基板処理装置。
  9. 基板を保持して回転させる基板保持手段と、この基板保持手段の周囲を取り囲むように設けられていて、上記基板保持手段によって回転されている基板から飛散した処理液を受け止めて、外方への処理液の飛散を防止するスプラッシュガードと、このスプラッシュガードの下方に配置され、上記スプラッシュガードを洗浄するための洗浄液を貯留可能な貯留槽と、上記スプラッシュガードを上記貯留槽に対して昇降させるためのスプラッシュガード昇降駆動機構とを備え、基板に処理液を供給して処理する基板処理装置において、上記スプラッシュガードを洗浄する方法であって、
    上記貯留槽に洗浄液を貯留する工程と、
    上記スプラッシュガードの少なくとも一部を洗浄するために、上記スプラッシュガード昇降駆動機構を制御して、そのスプラッシュガードの少なくとも一部を上記貯留槽に貯留された洗浄液中に浸漬させる工程とを含むことを特徴とするスプラッシュガードの洗浄方法。
  10. 基板を保持して回転させる基板保持手段と、この基板保持手段の周囲を取り囲むように設けられていて、上記基板保持手段によって回転されている基板から飛散した処理液を受け止めて、外方への処理液の飛散を防止するスプラッシュガードと、このスプラッシュガードの下方に配置され、上記スプラッシュガードを洗浄するための洗浄液を貯留可能な貯留槽と、この貯留槽内に対して洗浄液の供給および排液を行う手段とを備え、基板に処理液を供給して処理する基板処理装置において、上記スプラッシュガードを洗浄する方法であって、
    上記スプラッシュガードの洗浄のために、上記貯留槽内に対する洗浄液の供給および排液を制御して、上記貯留槽内の洗浄液と上記貯留槽および上記スプラッシュガードとの間に相対的な昇降を生じさせることを特徴とするスプラッシュガードの洗浄方法。
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