JP3760811B2 - パチンコ球の送り出し装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はパチンコ球の送り出し装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の送り出し装置としては、従来より、図12に示す構成のものがある。これは、ケース1内に球通路2を形成すると共に、スプロケット3がその外周部を球通路2に臨ませる位置に回転自在に配置されている。このスプロケット3は所定の間隔を隔てて2枚が対をなして設けられており(図面上は1枚のみ現れる)、ウオーム歯車4を利用した歯車機構を介してモータ5により回転駆動されるようになっており、これが回転されるとパチンコ球6が単位個数づつ送り出される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記構成の送り出し装置に使用されるモータ5は、静止状態から起動させる際、ウォーム歯車4等の噛み合い部分で生じる大きな摩擦力に打ち勝つだけの大きなトルクが必要となる。そのため、モータ自体は大型のものが採用される傾向にあった。したがって、狭いスペースしか確保し得ないパチンコ台の背面への設置には困難を伴うこととなっていた。
【0004】
そこで、本発明は、狭いスペースへの設置に有効なパチンコ玉の送り出し装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるパチンコ球の送り出し装置は、パチンコ球が縦列をなして通過する球通路に、パチンコ球を単位個数づつ通過させる回転部材を、その外周が前記球通路に臨む位置に設け、モータの回転軸の回転を前記回転部材に伝達することにより回転部材を回転させるパチンコ球の送り出し装置において、前記モータは制御装置に接続されたステッピングモータであり、かつこの制御装置は前記ステッピングモータの起動に際し、前記回転部材によるパチンコ球の送り出しが検出されるまでの間、自起動周波数よりも低い周波数のパルスを励磁コイルへ供給するところに特徴を有する。
また、請求項2の発明は、請求項1記載のものにおいて、制御装置は前記ステッピングモータの停止時にも自起動周波数よりも低い周波数のパルスを励磁コイルへ供給するところに特徴を有する。
【0006】
【発明の作用及び効果】
本発明によれば、ステッピングモータの起動時に制御装置からは自起動周波数よりも低い周波数のパルスが出力される。すると、ステッピングモータは直ちには駆動できないが、励磁パルスの位相の進行に伴い、回転子が微少角度の回転と揺れ戻しとを繰り返すうちに振動を開始する。この振動が継続すると、ついには回転部材の慣性力に打ち勝って回転部材が回転を開始する。
【0007】
このように、ステッピングモータの起動時に励磁コイルに加える励磁パルスの周波数を自起動周波数よりも低い周波数としたため、小型・小トルクのステッピングモータでも回転部材を駆動させることができる。したがって、パチンコ台背面の狭いスペースへの取付けを容易にすることができる。
また、請求項2の発明によれば、ステッピングモータの停止時にも自起動周波数よりも低い周波数のパルスが供給されるようにしたため、ステッピングモータの停止精度を向上させることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をパチンコ機のパチンコ球送り出し装置に適用して具体化した一実施例について図面を参照して説明する。
【0009】
この実施例のパチンコ球送り出し装置は、パチンコ球を送り出すための機構部分と、これを制御する電子制御装置とから構成されている。
【0010】
<パチンコ台の概略構造>
まず、本実施例におけるパチンコ台の概略構造を図4を参照して説明する。図4はパチンコ台を背面側から見て描いたもので、同図に示したように、パチンコ台は、機枠1と、この機枠1の前面に開閉自在に取り付けられた前枠3と、前枠3の裏面に着脱自在に挿着される遊技盤5とを中心に構成されている。遊技盤5の裏面には、種々の機構が搭載される機構板7が回動自在に取り付けられており、この機構板7の裏面上部には図示しないパチンコ球送給装置から送給されるパチンコ球を貯める景品球タンク10が固定されている。
【0011】
この景品球タンク10の下方には、景品球となるパチンコ球を、2列に縦列させて導き出す導出樋12が形成されており、その下端に本実施例の送り出し機構20が挿着されている。なお、導出樋12の途中には、送り出し機構が動作可能な個数のパチンコ球が溜まっていない場合にこれを検出する球補給インターロックスイッチ21が設けられている。また、導出樋12の末端、送り出し機構20の直前には、導出樋12での球詰まり等を検出する球詰まりインターロックスイッチ22が設けられている。送り出し機構20は、このインターロックスイッチ21がオフの場合にのみ、景品球の送り出し動作を行う。
【0012】
送り出し機構20は、入賞球に応じて所定個数の景品球を送り出すためのものである。入賞球は、入賞球導出路23に設けられた検出器24により検出される。本実施例では、入賞球には入賞した役物の種類等に応じて3つに区別されており、検出器24も3組設けられている。パチンコ球の送り出しを開始するための信号という意味で、これを第1、第2及び第3のスタートスイッチ(24a,24b,24c)と称する。
【0013】
送り出し機構20の下方には、送り出し機構20によって計数されて放出されたパチンコ球を前枠3の前面に設けられた上皿および下皿に導く放出樋26が設けられている。そして、放出樋26と上皿、下皿との接続部近傍には、上皿および下皿にパチンコ球が一杯になったことを検出する上下皿インターロックスイッチ27が設けられている。
【0014】
<送り出し機構20>
次に、送り出し機構20の構成について説明する。送り出し機構20は、図1および図3に示すように、上下に開口した中空の角筒状のケース29を備え、その内部のうち前記導出樋12の下端に対応した位置に、2列の球通路31,32が設けられている。また、ケース29の内部には、ケース29の壁面に両端が支持された横軸35が設けられ、この横軸35に2つの回転部材に相当する球切り円盤41,42が連結筒部43により一体かつ横軸35に対して回転自在に軸支されている。
【0015】
各球切り円盤41,42は、外周の13カ所に半円状の切欠Paを有する2枚のスプロケット44と、このスプロケット44が両側に固定されたブラケット45とから構成されている。球切り円盤41,42は、その外周が図1に示すように、球通路31,32の内部に臨む位置に設けられている。また、スプロケット44の外周に設けられた切欠Paの径がパチンコ球とほぼ同一であることから、球切り円盤41,42が回転すると、球通路31、32内のパチンコ球Bは1個を1単位として放出樋26へと送り出されることになる。なお、球切り円盤41,42は、切欠Paのピッチのちょうど1/2だけずれた回転位置で互いに固定されており、パチンコ球の送り出しは両球切り円盤41,42により交互になされるようになっている。
【0016】
一方、前記ケース29の外側にはステッピングモータ50が取り付けられ、その回転軸51がケース29内に挿入され、両球切り円盤41,42の間を挿通している。そして、この回転軸51にはウオーム47が固定され、これが前記2組の球切り円盤41,42を連結する連結筒部43の外周に設けたウオーム歯車46に噛み合って回転軸51の回転を減速する歯車機構を構成している。従って、ステッピングモータ50が回転すると、その回転軸51に直結されたウオーム47の回転によってウオーム歯車46が回転し、球切り円盤41,42も回転してパチンコ球の送り出し動作が行われる。なお、上記ウオーム47とウオーム歯車46との組合わせによる減速比は、回転軸51が1回転すると2個のパチンコ球が払い出される値に設定されている。
【0017】
さて、上記回転軸51の根元部分には、図1に示すように、回転体に相当する回転円盤52が取り付けられている。この回転円盤52は、図2に示すように外周のうち2カ所の弧状領域を切り欠いてその切欠き部分を標識部としての透光部53とし残余の部分を非標識部としての遮光部54とした形状であって、計2カ所の透光部53と、やはり計2カ所の遮光部54とは全て同一の角度を有する。即ち、回転円盤52の全周を90度の角度で4等分し、各角度領域に透光部53と遮光部54とを交互に配した形態となっている。そして、この回転円盤52の外周部分を挟む位置に、標識部検出器として例えば赤外光を利用した透過形光検出器55が静止部位たるケース29に固定して設けられている。この透過形光検出器55は、図示しない発光素子と受光素子とを互いの光軸を一致させて間隔を隔てて配置した公知の構成で、回転円盤52の遮光部54によって光軸が遮られている場合にはオフ状態にあり、透光部53によって光の通過が許容された場合にはオン状態になる特性を有する。従って、回転円盤52が回転して光の透過・遮断が繰り返されると、パルス信号が出力されることになり、1回転で2回の光の透過が生ずるから、結局、パチンコ球を1個送り出す度に1個のパルス信号が出力されることになる。なお、回転軸51に対する回転円盤52の取り付け位相は、ステッピングモータ50の停止角度位置において、透過形光検出器55の光軸が遮光部54の中央(図2においてPにて示す)に来るように設定されている。
【0018】
<電子制御装置60の構成>
次に、電子制御装置60の構成とその動作について説明する。この電子制御装置60は、図5に示すように算術論理演算部やROM,RAM等を内蔵した1チップマイクロコンピュータ(以下,MPUという)61を中心に、電源部63、インターフェイス部65、設定部67等から構成されている。
【0019】
電源部63は、外部から24ボルトの交流を受けて3種類直流電圧VE,VD,VCCを生成する。
【0020】
インターフェイス部64は、MPU61の入出力ポートPiと外部の検出器、スイッチ、ランプ、モータ等とのインターフェイスをとる回路であり、レベル信号入力部81〜85と、出力部87,88と、積分入力部90と、ドライバIC92,93等から構成されている。
【0021】
レベル信号入力部81〜85は、インターロックスイッチ27,21,22および第1ないし第3のスタートスイッチ24a,24b,24cと、コネクタCNを介して接続され、レベル変換機能とチャタリング除去機能とを有する。
【0022】
出力部87,88は、MPU61と発光ダイオードLD1やホトカプラPC1との間に介装されており、トランジスタを備えて電流増幅機能を有する。なお、発光ダイオードLD1は、うち止め等の原因で景品球の排出が完了していない入賞球が存在することを表示するものである。また、ホトカプラPC1は、その出力側のトランジスタがコネクタCNを介して球発射用のモータの制御装置(図示せず)に接続されており、ホトカプラの発光ダイオードが点灯してトランジスタが導通状態になっている場合だけ、球発射用モータを駆動可能としている。
【0023】
積分入力部90は、前記球送り出し機構20の透過形光検出器55に接続されており、抵抗R23,R24,R25およびコンデンサC25から構成されていて、透過形光検出器55の出力側トランジスタのオンオフを安定化電源VCCの信号レベルに変換すると共にノイズを除去して取り込む機能を有する。
【0024】
ドライバIC92は、ランプやソレノイドを駆動する電流を抵抗R31〜R34を介して引き込むシンクタイプの集積回路であり、MPU61のポートP14〜P17がハイレベルになったとき、その出力をロウレベルにし、接続されたランプ等に動力用電源VE からの電流を流してこれらの負荷を駆動する。
【0025】
ドライバIC93は、ドライバIC92と同じものであり、ステッピングモータ50の励磁コイルML1,ML2に接続されている。なお、ステッピングモータ50の励磁コイルML1,ML2は、図示するようにバイファイラタイプであり、その両センタには抵抗R40を介して動力用電源VE が接続されている。この抵抗R40は、1−2相励磁における1相励磁時と2相励磁時のホールディングトルクをほぼ等しくして、ステッピングモータ50の回転を滑らかにするためのものである。
【0026】
設定部67は、ダイオードアレイからなる設定器94a,94b,94c,96と、景品球の手動払い出し用のスイッチSw1とからなる回路である。MPU61は、所定のインターバルでポートP34〜P37の電圧レベルを順次ロウレベルに落とし、そのときのポートP20〜P23の状態を読み込んで各設定器94a〜94c、96の設定状態を把握することができる。ダイオードが接続されているビットは値0となり、接続されていないビットは値1となる。各設定器94a〜94cは、それぞれスタートスイッチ24a〜24cを通過する入賞球により払い出す景品球の数に対応させており、設定器94aが例えば「1101」に設定されている場合には、第1スタートスイッチ24aに入賞球が通ったときの景品球の数は13個に設定されていることになる。
【0027】
ポートP20に接続された設定器96の第1ビットは、景品球の払い出しタイミングを指定するものであり、ダイオードを接続して値0とした場合には、連続した入賞球に対して景品球を複数セット払い出す際のタイミングを遅くする設定となる。連続した入賞球に対する景品球の払い出しの様子については、後述する。
【0028】
以上の構成を有する電子制御装置60が実行する処理について、図6ないし図8のフローチャートに従って説明する。図示はしないが、タイマー割込みを利用して一定時間毎に各入力ポートの状態を読み取るようになっており、その時に、入賞球が検出されて第1ないし第3のスタートスイッチ24a〜24cからスタート信号が入力されていると、図6に示したスタート信号入力処理ルーチンが実行される。
【0029】
スタート信号の入力があった場合には、まずスタート信号を入力したポートの番号を読み込み(ステップ100)、入賞球カウンタとしての変数Nを値1だけインクリメントする処理を行う(ステップ110)。続いて、ポートP15をハイレベルに切り換え、ドライバIC92を介して入賞を表すランプLP2を所定時間点灯し(ステップ120)、更にステップ100で読み込んだポートの番号からスタートスイッチ24の1つを特定してそのスタートスイッチ24に応じて予め定められた景品球数を変数Siに設定する処理を行う(ステップ130)。本実施例では、スタートスイッチ24は3台設けられており、入賞した役物の種類により、景品球数を3種類用意している。その後、この処理ルーチンの実行タイミングを示す変数iを1だけインクリメントして(ステップ140)、メインルーチンにリターンして本処理ルーチンを終了する(「リターン」)。
【0030】
図7は、インターロック信号処理ルーチンを示すフローチャートである。これは前述した入力ポート読み込み処理の実行の結果、3つのインターロックスイッチ21,22,27からのインターロック信号のいずれかがオンまたはオフからオフまたはオンに変化したことが検出されると起動される。この処理ルーチンが起動されると、まずインターロック信号がオンに変化した直後であるか否かの判断を行い(ステップ200)、インターロック信号の変化がオフからオンへの変化であると判断されると、インターロック状態であることを示すフラグFILを値1に設定する処理を行う(ステップ210)。
【0031】
続いて、インターロック信号が上皿および下皿が満杯であることを示しているか否かを判断し(ステップ220)、両皿とも満杯の場合には、球発射モータを制御する発射制御信号をオフに切り換えて(ステップ230)、その後、リターンに抜けて本処理ルーチンを終了する。
【0032】
一方、インターロック信号の変化が、オンからオフ状態へのものであった場合には(ステップ200)、その変化によって全インターロック信号がオフに切り替わったか否かを判断する(ステップ240)。全てのインターロック信号がオフ状態になっていれば、フラグFILを値0にリセットし(ステップ250)、発射制御信号をオンに切り換えて(ステップ260)、本処理ルーチンを「リターン」に抜けて終了する。この場合には、パチンコ球の発射が可能となる。
【0033】
全インターロック信号のうち1つでもオフになっていない場合には(ステップ240)、上下皿インターロック信号がオフになっているか否かを判断し(ステップ270)、この両信号がオフになっていれば、フラグFILが値はそのままに、発射制御信号をオンに切り換える処理(ステップ260)のみを行う。一方、上下皿インターロック信号がオフになっていない場合には、何も行わず、そのまま「リターン」に抜けて本処理ルーチンの実行を終了する。
【0034】
図8および図9に分割して示した「パチンコ球送り出し制御ルーチン」は次のように実行される。この処理ルーチンは、フラグFILが値0であるか否かの判断と未処理の入賞球が存在することを示す変数Nが値0でないか否かの判断とを繰り返し行い(ステップ300,310)、FIL=0でNが0でなくなったときに、ステップ320以下の処理を開始する。即ち、図7に示した処理ルーチンにおいて、通常はインターロック信号がオフであるからフラグFILが値0に設定され、かつ図6に示した処理ルーチンにおいて新たな入賞球が計数された場合に、「パチンコ球送り出し制御ルーチン」を実行して景品球を送り出す制御を開始するのである。
【0035】
さて、ステップ320では、ドライバIC93を介してステッピングモータ50の励磁コイルML1,2に低周波のパルスを出力して、図10(A)に示すようにステッピングモータ50を起動する処理を行う。このステッピングモータ50は、図10(B)に示すように、1−2相励磁により駆動されるが、その起動時には回転子の自起動周波数よりかなり低い周波数で駆動される。
【0036】
ステッピングモータ50の回転子は、静止状態から起動する際、回転子に結合されたウオーム歯車46、ウオーム47、球切り円盤41,42が受ける大きな静止摩擦と慣性モーメントとに抗して動き始めなければならない。しかし、回転子自体はギヤの遊び等が存在するから、励磁により小さく回転することは自由である。従って、ある相の励磁によって回転した回転子は、球切り円盤41,42が静止している状態では一旦もとの回転位置に戻る。この間にも励磁コイルに与えられる励磁パルスの位相は次々に進んで行き、回転子は励磁パルスから見れば滑った状態で小さな回転と揺れ戻しとを繰り返す。そうして徐々に振動を始め、やがて大きな静止摩擦と慣性モーメントとに抗して球切り円盤41,42を動かし始める。この様子は、あたかも小さな駆動力の機関車が加速・停止を繰り返し、多数の列車をついには静止摩擦と慣性とを振り切って発進させる様に似ている。
【0037】
ステッピングモータ50が停止している状態では、透過形光検出器55の光軸Pは回転円盤52の遮光部54の中央に位置しており(図2参照)、光軸Pが遮られた状態にあるから、透過形光検出器55の出力はオフの状態にある。しかし、ステッピングモータ50の回転軸51が回転し、この結果、球切り円盤41,42がパチンコ球を1個だけ放出するまで回転するようになると、透過形光検出器55の光軸Pが回転円盤52の透光部53を通過して次の遮光部54の中央に位置するようになる。このため、光軸Pに光が一時的に通過することが許容され、透過形光検出器55の出力は一時的にオン状態となるパルス信号が出力される(図10(A)参照)。以下、この透過形光検出器55からのパルス信号を「球送り出し信号」と称する。
【0038】
さて、前述したステッピングモータ50の低周波駆動(ステップ320)は上述の球送り出し信号を検出するまで実行され(ステップ330)、同信号を検出した後はパチンコ球の送り出し個数を計数するカウンタCに値1を設定する(ステップ340)。
【0039】
続いて、ステッピングモータ50の励磁コイルML1,ML2に通常周波数の励磁パルスを出力し(ステップ350)、再び光検出器55から球送り出し信号が入力したか否かの判断を繰り返す(ステップ360)。いったん動き始めた球切り円盤41、42は、小さな動摩擦と慣性によって小さなトルクでも十分に回転する。従って、球切り円盤41、42は交互にパチンコ球を送り出し、これに応じてパチンコ球が1個送り出される度に光検出器55から球送り出し信号が次々と出力されることになる。そこで、この球送り出し信号が入力される度に、カウンタCの値をインクリメントし(ステップ370)、このカウンタCの値が図6に示した処理ルーチンで設定された景品球数を示す変数S0 から値1を減じた数になるまで待機する(ステップ380)。
【0040】
カウンタCの値が(S0 −1)、即ち景品球数の最後の1個となるまで通常のパルス信号でステッピングモータ50を駆動し、最後の1個となったところで(ステップ380)、再び低周波パルスでモータ50を駆動する(ステップ390)。この結果、図9(A)に示すように、やや時間を掛けて最後のこのパチンコ球が送り出され、これを光検出器55が検出して球送り出し信号が出力されると(ステップ400)、ステッピングモータ50を停止させる(ステップ410)。この停止状態では、透過形光検出器55の光軸Pは回転円盤52の次の遮光部54の中央に位置することになり、光検出器55の出力状態はオフに戻っている。なお、本実施例では、最後の1個だけ低周波パルスで駆動したが、パチンコ球の残りが3個程度になったときから低周波パルス駆動に切り換えるようにしてもよい。このようにすれば、停止精度がいっそう向上する。
【0041】
以上の処理により1つの入賞球に対する景品球の送り出し動作が完了したことになるから、未処理の入賞球の数を示す変数Nを、値1だけデクリメントし(ステップ420)、次に変数Nが値0に等しくないか否かを判断する(ステップ430)。変数Nが値0でなければ、続いて設定器96の第1ビットが値0であるか否かの判断を行う(ステップ440)。設定器96の第1ビットが値0であれば時間T1だけ待機する処理(いわゆるソフトウエアタイマ)を行い(ステップ450)、値0でなければ時間T2(T1>T2)だけ待機する処理を行ってから(ステップ460)、本ルーチンのステップ300に戻る。なお、この待機処理中に、S0=S1,S1=S2,……,Si-1=Si,i=i-1という変数の更新処理を行って未払い出し景品球に対処する。
【0042】
この結果、設定器96の第1ビットが値0の場合には、図10(A)に示すように、連続した入賞球が存在して引き続き景品球を払い出すのではなく、所定時間T1だけ待ってから次の複数個のパチンコ球を送り出す処理を実行することになる。なお、第1ビットが値0でない場合には、連続した入賞球に対する景品球の払い出しは、時間T1より短い時間T2だけ待ってから行われる。なお、上述の各フローチャートにおいてはステップ300,310,330等においてループ処理として表現しているが、これは説明の容易化のための便宜的表現であり、実際にはループ処理を行うことなく、そのルーチンをいったん抜け出すようになっている。
【0043】
以上説明した本実施例によれば、パチンコ球の送り出し動作が行われると、パチンコ球が1個送り出される度に透過形光検出器55から球送り出し信号が出力されて信号状態がオフからオン状態に立上り、次の1個の送り出しが行われる前(球送り出し信号の出力から回転軸51が90度回転した時点)に信号状態がオンからオフに立ち下がるという変化を繰り返す(図11参照)。ここで、本発明では、回転円盤52の透光部53と遮光部54との形成角度領域を等しく設定しているから、パチンコ球の送り出し動作が連続的に行われている場合において、光検出器55の光軸に対して透光部53と遮光部54とは同じ時間づつ対応することになる。この状態は、光検出器55からの信号として観察すると、デューティー比が50%のパルス信号列となる。従って、一方の時間が極端に短くなってしまっていた従来の構成に比べ、回転円盤52が高速度で回転しても安定的な検出が可能になり、パチンコ球の送り出し個数の計数精度が高まる。
【0044】
また、次のような効果が得られる。
(イ)本実施例では、ステッピングモータ50の停止角度位置において、透過形光検出器55の光軸が遮光部54の中央(図2においてPにて示す)に来るように回転円盤52を回転軸51に取り付けた。このため、ステッピングモータ50の停止角度位置に多少のばらつきがあっても、確実に光軸が遮光部54に対応するようになり、計数誤差の発生をいっそう確実に防止することができる。
【0045】
(ロ)ステッピングモータ50の起動時と停止時に、励磁コイルML1,ML2に加える励磁パルスの周波数を自起動周波数より十分に低くしたから小形・小トルクのステッピングモータ50でも、その回転子の振動を利用して確実に回転・停止させることができる。従って、ステッピングモータ50の小形化によって、パチンコ台背面の狭いスペースへの取り付けの容易化、設計自由度の向上を図ることができるようになる。ちなみに、ステッピングモータ50の大きさは、本実施例では体積比で従来の半分程度に抑えることができた。
【0046】
(ハ)連続した入賞球に対する景品球の払い出しのタイミングを、設定器96の設定により2段階に切り換えることができる。パチンコ台には、パチンコ球を供給する供給装置が接続されているが、この球供給装置の能力に応じて最適な値を選べばよく、これにより、供給装置の能力に余裕を持たせることができる。また、役物の種類や土地柄等によって、景品球の払い出しの最適なタイミングは異なる。従って、入賞球が連続したとき、間断なく景品球が払い出される方が遊技者に訴える台では、設定器96の第1ビットを値1にして払い出しのインターバルを僅かの時間T2にし、一方、景品球の払い出しがある程度長い期間にわたって行われた方が遊技者に訴える台では、実施例のように、長い払い出しのインターバルT1を用いればよい。
【0047】
(ニ)本実施例では、駆動源にステッピングモータ50を用いているが、同モータはDCモータと異なり、回路の短絡などにより回転し続けるといった故障は生じ難く、パチンコ球の送り出し装置としての信頼性は高い。本実施例ではパチンコ球の送り出しの開始時と終了時に、ステッピングモータ50が停止した場合にも、同様に低周波のパルスで駆動して再起動することもできる。
【0048】
なお、本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、次のような変形が可能である。
【0049】
▲1▼上記実施例では、光検出器55として透過形のものを利用したから、回転円盤52の外周部に標識部および非標識部として遮光部54および透光部53を交互に形成した。しかし、反射形の光検出器を利用する構成とすれば、標識部および非標識部の組として光反射部および非反射部を交互に形成すればよい。
【0050】
▲2▼また、標識部検出器としては、光学的に検出するタイプに限らず、近接スイッチのように電磁気的に物体を検出するタイプのものであってもよい。この場合には、回転体として金属円盤を利用し、突片部を標識部とすると共にそれ以外を非標識部とすることができる。その他、標識部検出器には、種々のセンサが利用できることは勿論である。
【0051】
▲3▼モータとして、3相以上の多相のステッピングモータを用いたり、ユニファイラタイプのステッピングモータを用いてもよい。
【0052】
▲4▼本実施例の球送り出し機構20では、球切り円盤40が所定角度回転するとパチンコ球を1個ずつ送り出す構成としたが、その送り出し単位は1個に限られず、2個以上であってもよいことは勿論である。
【0053】
▲5▼本実施例では、パチンコ機に取り付けられる球送り出し装置に適用した例を示したが、これに限られず、例えばパチンコ球の貸出装置やパチンコ球の計数装置の球送り出し装置に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す送り出し機構の縦断面図
【図2】回転円盤(回転体)の正面図
【図3】送り出し機構の一部破断斜視図
【図4】パチンコ台の背面図
【図5】電子制御装置のブロック図
【図6】スタート処理処理ルーチンを示すフローチャート
【図7】インターロック信号処理ルーチンのフローチャート
【図8】パチンコ球送り出し制御ルーチンのフローチャート(部分)
【図9】パチンコ球送り出し制御ルーチンのフローチャート(部分)
【図10】パチンコ球送り出し装置の各部の動作タイミングチャート
【図11】透光部と遮光部との位置と球送り出し信号との関係を示す図
【図12】従来の送り出し機構を示す図1相当図
【符号の説明】
20…送り出し機構
29…ケース(静止部位)
31,32…球通路
41,42…球切り円盤(回転部材)
50…ステッピングモータ
51…回転軸
52…回転円盤(回転体)
53…透光部(標識部)
54…遮光部(非標識部)
55…透過形光検出器(標識部検出部)

Claims (2)

  1. パチンコ球が縦列をなして通過する球通路に、パチンコ球を単位個数づつ通過させる回転部材を、その外周が前記球通路に臨む位置に設け、モータの回転軸の回転を前記回転部材に伝達することにより回転部材を回転させるパチンコ球の送り出し装置において、
    前記モータは制御装置に接続されたステッピングモータであり、かつこの制御装置は前記ステッピングモータの起動に際し、前記回転部材によるパチンコ球の送り出しが検出されるまでの間、自起動周波数よりも低い周波数のパルスを励磁コイルへ供給することを特徴とするパチンコの送り出し装置。
  2. 前記制御装置は前記ステッピングモータの停止時にも自起動周波数よりも低い周波数のパルスを励磁コイルへ供給することを特徴とする請求項1記載のパチンコ球の送り出し装置。
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