JP3760689B2 - 画像形成装置における中間転写体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンタ等の電子写真方式を用いた画像形成装置に係わり、特に像担持体に形成したトナー像を一旦中間転写体に転写した後、これを用紙等の記録媒体に転写して再生画像を得るようにした画像形成装置における中間転写体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式を用いた画像形成装置は、光導電性感光体からなる像担持体上に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザ光等で静電潜像を形成した後、帯電したトナーで前記静電潜像を現像して可視化したトナー像とする。
【0003】
そして、上記トナー像を中間転写体を介して、あるいは直接記録紙等の転写材に静電的に転写することにより所要の再生画像を得る。
特に、上記像担持体に形成したトナー像を中間転写体に一次転写し、さらに中間転写体上のトナー像を記録紙に二次転写する方式を採用した画像形成装置として、特開昭62−206567号公報等に開示されたものが知られている。
【0004】
前記、中間転写体方式を採用した画像形成装置に用いられるベルト材料としては、ポリカーボネイト樹脂(特開平06−095521)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)(特開平5−200904、特開平6−228335)、ポリアルキレンフタレート(特開平6−149081)、PC(ポリカーボネイト)/PAT(ポリアルキレンテレフタレート)のブレンド材料(特開平6−149083)、ETFE(エチレンテトラフロロエチレン共重合体)/PC,ETFE/PAT,PC/PATのブレンド材料(特開平6−149079)などの熱可塑性樹脂の導電性の無端ベルトを用いる提案がなされている
【0005】
前記ポリカーボネイト樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)などの熱可塑性樹脂の導電性材料は、ヤング率が24000kg/cm2 以下であり機械特性が劣るため、駆動時の応力に対するベルト変形が大きく、高品質の転写画質が安定して得られないとともに、使用時にベルト端部よりクラックが発生するためにベルトの寿命が短いなどの問題がある。
【0006】
機械特性が優れた材料としては、ポリイミド樹脂をあげることができ、例えば、特許番号2560727号(特開昭63−311263)公報において、カーボンブラック分散のポリイミドシームレスベルトが提案されている。
【0007】
上記ポリイミドベルトの成形方法には、ポリイミド原料溶液を円筒金型に注入して無端状に成膜する遠心成形法や、成膜原液を金属シート上に流延して成膜したポリイミドフィルムを接合する方法などがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来におけるカーボンブラック分散のポリカーボネイト、カーボンブラック分散のエチレンテトラフロロエチレン共重合体などの熱可塑性樹脂、ならびにカーボンブラック分散のポリイミド樹脂を中間転写体として用いて、10℃15%RHの低温低湿環境下において、葉書などの中間転写体の幅より短い用紙を連続して、1000枚以上転写した後で、ハーフトーン(マゼンタ30%)の画像を転写すると用紙走行部が白抜けする問題が発生した。
【0009】
用紙走行部が白抜けするのは、二次転写部での用紙剥離時に中間体と用紙との間における剥離放電によって、中間転写体の用紙走行部の表面抵抗率が周辺部位より低下して、転写効率が周辺部位より低下することが原因である。
【0010】
そこで本発明者は、中間転写体のトナー転写面のアセトン抽出物中にイオン性物質が含まれている場合には前記放電破壊が生じ易いことを見いだし、アセトン抽出物中にイオン性物質が含まれているかどうかを、磁気モーメントをもつ原子核の磁場中での核スピン遷移に基づく高周波電波吸収(共鳴吸収)の周波数が、原子の状態に依存することを利用し、化合物の構造解析を行う核磁気共鳴分析法(Nuclear Magnetic Resonance Spectrometr,N.M.R.)を利用して判別する知見に到達した。
【0011】
さらに本発明者は、上記剥離放電を防止するために、中間転写体のトナー転写面のアセトン抽出物において、前記放電破壊が生じ易いイオン性物質を無くするという本発明の基本的技術思想に着眼し、イオン性物質の有無を上記NMR法における1H−NMRスペクトルで2.2ppmのピークの有無により判別する判別手法に到達した。
【0012】
また本発明者は、像担持体に形成したトナー像を一旦中間転写体に転写した後、これを記録媒体に転写して再生画像を得るようにした画像形成装置における中間転写体において、前記中間転写体を、カーボン分散ポリイミドベルトによって構成して、前記中間転写体のトナー転写面のアセトン抽出物が、1H−NMRスペクトルで2.2ppmのピークを示すもの以外のものによって構成するという本発明の画像形成装置における中間転写体の基本的構成に到達した。
【0013】
さらに本発明者は、ポリイミド樹脂としてビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4−アミノフェニールエーテルとの反応による溶液にカーボンブラックを分散させ、カーボンブラックが分散した前記溶液をシート上に流延させ、前記流延されたポリイミドフィルムの成膜のトナー転写面に相当する部位を空気雰囲気において加熱することにより、1H−NMRスペクトルで2.2ppmのピークを示すものをアセトン抽出物から除去するという本発明の画像形成装置における中間転写体の製造方法に到達した。
【0014】
また本発明者は、上述した本発明の知見および技術的思想に基づき、更に研究開発を重ねた結果、用紙走行部の表面抵抗率が周辺部位より低下して白抜け欠陥の発生を防止するという目的を達成する本発明に到達した。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1に記載の第1発明)の画像形成装置における中間転写体は、
像担持体に形成したトナー像を一旦中間転写体に転写した後、これを記録媒体に転写して再生画像を得るようにした画像形成装置における中間転写体において、
前記中間転写体が、カーボン分散ポリイミドベルトによって構成され、
前記中間転写体のトナー転写面のアセトン抽出物が、1H−NMRスペクトルで2.2ppmのピークを示すもの以外のものによって構成されている
ものである。
【0016】
本発明(請求項2に記載の第2発明)の画像形成装置における中間転写体の製造方法は、
ポリイミド樹脂としてビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4−アミノフェニールエーテルとの反応による溶液にカーボンブラックを分散させたポリイミドフィルムの成膜のトナー転写面に相当する部位を空気雰囲気において加熱することにより、アセトン抽出物中の1H−NMRスペクトルで2.2ppmのピークを示すものを除去する
ものである。
【0017】
【発明の作用および効果】
上記構成より成る第1発明の画像形成装置における中間転写体は、前記カーボン分散ポリイミドベルトによって構成された前記中間転写体のトナー転写面のアセトン抽出物が、1H−NMRスペクトルで2.2ppmのピークを示すもの以外のものによって構成されているので、葉書などの中間転写体の幅より短い用紙を連続して多数転写した後の用紙走行部の表面抵抗率が周辺部位より低下して白抜け欠陥の発生を防止するという効果を奏する。
【0018】
上記構成より成る第2発明の画像形成装置における中間転写体の製造方法は、ポリイミド樹脂としてビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4−アミノフェニールエーテルとの反応による溶液にカーボンブラックを分散させたポリイミドフィルムの成膜のトナー転写面に相当する部位を空気雰囲気において加熱することにより、アセトン抽出物中の1H−NMRスペクトルで2.2ppmのピークを示すものを除去するので、用紙走行部の表面抵抗率が周辺部位より低下して白抜け欠陥を発生することの少ない中間転写体を得ることができるという効果を奏する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態につき、図面を用いて説明する。
【0020】
(実施形態)
本実施形態の画像形成装置における中間転写体は、像担持体に形成したトナー像を一旦中間転写体に転写した後、これを記録媒体に転写して再生画像を得るようにした画像形成装置における中間転写体において、前記中間転写体が、カーボン分散ポリイミドベルトによって構成され、前記中間転写体のトナー転写面のアセトン抽出物が、1H−NMRスペクトルで2.2ppmのピークを示すもの以外のものによって構成されているものである。
【0021】
本実施形態の前記中間転写体の製造方法は、ポリイミド樹脂としてビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4−アミノフェニールエーテルとの反応による溶液にカーボンブラックを分散させ、カーボンブラックが分散した前記溶液をシート上に流延させ、前記流延されたポリイミドフィルムの成膜のトナー転写面に相当する部位を空気雰囲気において加熱することにより、1H−NMRスペクトルで2.2ppmのピークを示すものをアセトン抽出物から除去するものである。
【0022】
本実施形態の中間転写体は、中間転写体方式の画像形成装置であれば適用することが可能であり、特に限定されるものではない。例えば、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置や、感光体ドラム等の像担持体上に担持されたトナー像を中間転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像器を備えた複数の像担持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置等に適用される。
【0023】
一例として、一次転写を繰り返すカラー画像形成装置の概要を図1に示す。
図1は、本実施形態を適用する画像形成装置の主要部分を説明する模試図であって、1は、像を担持する像担持体としての感光体ドラム、2は中間転写体としての転写ベルト、3は転写電極であるバイアスロール、4は転写媒体である記録紙を供給するトレー、5はB(ブラック)トナーによる現像装置、6はY(イエロー)トナーによる現像装置、7はM(マジェンタ)トナーによる現像装置、8はC(シアン)トナーによる現像装置、9はベルトクリーナー、13は剥離爪、21、23、24はベルトローラ、22はバックアップロール、25は導電性ロール、26は電極ロール、31はクリーニングブレード、41は記録紙束、42はピックアップローラ、43はフィードローラである。
【0024】
図1において、前記感光体ドラム1は時計方向の矢印A方向に回転し、図示しない帯電装置によってその表面が一様に帯電される。帯電された感光体ドラム1にレーザ書き込み装置などの画像書き込み手段により第一色(例えば、B)の静電潜像が形成される。
【0025】
この静電潜像は現像装置5によってトナー現像されて可視化されたトナー像Tが形成される。トナー像Tは感光体ドラム1の回転で導電性ロール25が配置された一次転写部に到り、導電性ロール25からトナー像Tに逆極性の電界を作用させることにより上記トナー像Tを静電的に転写ベルト2において重ね合わせ、多重トナー像が形成される。
【0026】
転写ベルト2に転写された多重トナー像は転写ベルト2の回転でバイアスロール3が設置された二次転写部に到る。
二次転写部は、転写ベルト2のトナー像が担持された表面側に設置されたバイアスロール3と当該転写ベルト2の裏側からバイアスロールに対向するごとく配置されたバックアップロール22およびこのバックアップロール22に圧接して回転する電極ロール26から構成される。
【0027】
記録紙41は記録紙トレー4に収容された記録紙束からピックアップローラ42で一枚ずつ取り出され、フィードロール43で二次転写部の転写ベルト2とバイアスロール3との間に所定のタイミングで給送される。
給送された記録紙41はバイアスロール3とバックアップロール22による圧接搬送と転写ベルト2の回転で当該転写ベルト2に担持されたトナー像が転写される。
【0028】
トナー像が転写された記録紙41は、最終トナー像の一次転写終了まで退避位置にある剥離爪13を作動させることにより転写ベルト2から剥離され、図示しない定着装置に搬送され、加圧/加熱処理でトナー像を固定して永久画像とされる。
【0029】
なお、多重トナー像の記録紙41への転写の終了した転写ベルト2は二次転写部の下流に設けたベルトクリーナ9で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。また、バイアスロール3にはポリウレタン等からなるクリーニングブレード31が常時当接するごとくとりつけられており、転写で付着したトナー粒子や紙紛等の異物が除去される。
【0030】
単色画像の転写の場合は、一次転写されたトナー像Tを直ちに二次転写して定着装置に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合は各色のトナー像が一次転写部で正確に一致するように転写ベルト2と感光体ドラム1との回転を同期させて各色のトナー像がずれないようにする。
【0031】
上記二次転写部では、バイアスロール3と転写ベルト2を介して対向配置したバックアップロール22に圧接した電極ロール26にトナー像の極性と同極性の出圧(転写電圧)を印加することで当該トナー像を記録紙41に静電反発で転写する。
【0032】
上述したカラー画像形成装置において中間転写体として適用される転写ベルト2は、以下のような手順で作製されたポリイミドベルトによって構成されている。
【0033】
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4−アミノフェニールエーテルとの脱水縮合反応によって得られたポリアミド酸のNMP(N−メチル−2−ピロリジノン)溶液のなかにオイルファーネス系のカーボンブラックを分散させた溶液を作成した。
【0034】
この溶液を金属シート上に均一な厚みに流延後、加熱によりNMPを蒸発させ除去した。その後所定の温度(焼成温度と呼ぶ)に昇温して、ポリイミドフィルムを作製した。
【0035】
中間転写体ベルトを得る方法としては、上述の方法のほか遠心成形法、ディッピング、押出し成形、インフレーション成形等どの様な方式をとってもかまわない。また、カーボンブラックも上記のものに限らない。
また、焼成装置の温度より低い温度で作製したフィルムを、再び焼成温度に昇温しても良い。
【0036】
転写ベルト2としての上述したポリイミドフィルムによって構成された前記ポリイミドベルトにおけるアセトン抽出物の分析方法について、以下説明する。
【0037】
上記ベルトの切片の抽出側のみアセトンに触れるようにして抽出を行う。該アセトン抽出物中にイオン性物質が含まれているかどうかを、磁気モーメントをもつ原子核の磁場中での核スピン遷移に基づく高周波電波吸収(共鳴吸収)の周波数が、原子の状態に依存することを利用し、化合物の構造解析を行う核磁気共鳴分析法(Nuclear Magnetic Resonance Spectrometr,N.M.R.)により判別する。
【0038】
すなわち上記アセトン抽出物を、上記NMRを用い1H−NMRスペクトルで図2に示されるように2.2ppmの部分のピークが有るか、図3に示されるように2.2ppmの部分ピークが無いかにより、イオン性物質が含まれているかどうかを判別する。この物質は、同定できていないが、発明者らは酢酸塩と推定している。
【0039】
上記ポリイミドフィルムの表面抵抗率の算出について、以下に説明する。
φ16の内円筒、φ30×φ40の外円筒の二重円筒式プローブを用いるとともに、下面を絶縁体としての絶縁板(PTFE)の上面に上記ポリイミドフィルムを載置した図4に示されるような測定装置を用いた。この装置の内円筒に100Vをかけたときに外円筒に流れる電流量を測定し、上記ポリイミドフィルムの表面抵抗率を計算により求めた。
【0040】
本実施形態における白抜け評価について、以下に説明する。
10℃15%RHの低温低湿環境下において、A4縦用紙を連続して3000枚転写した後、ハーフトーン(マゼンタ30%)の画像をA3縦用紙に転写した画像を目視により判定を行った。このときの2次転写電圧としては、3.5KVで行った。
また、本発明者らがこれまでに行った系統的実験により、表面抵抗が周囲部分より1桁以上低下すると、白抜けすることが判っている。
【0041】
上記第1実施形態の画像形成装置における中間転写体は、前記カーボン分散ポリイミドベルトによって構成された前記中間転写体のトナー転写面のアセトン抽出物が、1H−NMRスペクトルで2.2ppmのピークを示すもの以外のものによって構成されているので、葉書などの中間転写体の幅より短い用紙としてA4縦用紙を連続して3000枚転写した後、ハーフトーン(マゼンタ30%)の画像をA3縦用紙に転写した画像を目視により判定を行い、白抜けしないことが確認された。
【0042】
本第1実施形態の画像形成装置における中間転写体は、前記カーボン分散ポリイミドベルトによって構成された前記中間転写体のトナー転写面のアセトン抽出物が、1H−NMRスペクトルで2.2ppmのピークを示すもの以外のものによって構成されているので、葉書などの中間転写体の幅より短い用紙としてA4縦用紙を連続して3000枚転写した後、ハーフトーン(マゼンタ30%)の画像をA3縦用紙に転写して画像の判定を行っても、白抜けしないことが確認され、用紙走行部の表面抵抗率が周辺部位より低下して白抜け欠陥の発生を防止するという効果を奏する。
【0043】
また本第1実施形態の中間転写体を製造する製造方法は、ポリイミド樹脂としてビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4−アミノフェニールエーテルとの反応による溶液にカーボンブラックを分散させ、カーボンブラックが分散した前記溶液をシート上に流延させ、前記流延されたポリイミドフィルムの成膜のトナー転写面に相当する部位を空気雰囲気において加熱することにより、1H−NMRスペクトルで2.2ppmのピークを示すものをアセトン抽出物から除去するので、上述のように用紙走行部の表面抵抗率が周辺部位より低下して白抜け欠陥を発生することの少ない中間転写体を得ることができるという効果を奏する。
【0044】
【実施例】
以下本発明の実施例につき、図面を用いて説明する。
【0045】
(第1実施例ないし第3実施例)
本第1ないし第3実施例においては、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4−アミノフェニールエーテルとの脱水縮合反応によって得られたポリアミド酸のNMP(N−メチル−2−ピロリジノン)溶液のなかにオイルファーネス系のカーボンブラックを分散させた溶液を作成する。
【0046】
上記作成した溶液を金属シート上に均一な厚みに流延後、加熱によりNMPを蒸発させ除去した。その後所定の焼成温度までそれぞれ昇温して、ポリイミドフィルムを作製した。
【0047】
溶剤を除去した後に、各実施例における焼成温度を表1に示されるように340°C(第1実施例)、370°C(第2実施例)、400°C(第3実施例)とし、表面抵抗率が5×1011〜1×1012Ω/□になるようにカーボン量を調整してポリイミドフィルムを作製した。フィルムの厚さは約80μmであった。
【表1】
【0048】
このカーボンブラック分散のポリイミド樹脂フィルムの空気面側が表面側になるように端部10mmを重ね合わせて接着して、ポリイミドベルトを得た。
【0049】
(比較例1ないし比較例3)
本比較例1ないし比較例3においては、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4−アミノフェニールエーテルとの脱水縮合反応によって得られたポリアミド酸のNMP(N−メチル−2−ピロリジノン)溶液のなかにオイルファーネス系のカーボンブラックを分散させた溶液を作成する。
【0050】
上記作成した溶液を金属シート上に均一な厚みに流延後、加熱によりNMPを蒸発させ除去した。その後所定の焼成温度250°C(比較例1)、280°C(比較例2)、310°C(比較例3)までそれぞれ昇温して、ポリイミドフィルムを作製した。その他は上述した実施例と同様であるので、説明を省略する
【0051】
(比較例4)
第2実施例のフィルムを用い、空気に接触しない部分が表面側になるように端部10mmを重ね合わせて接着して、ポリイミドベルトを得た。
【0052】
(比較例5)
溶剤除去後の加熱時に窒素雰囲気中で370℃に加熱し、表面抵抗率が8×1011Ω/□のポリイミドフィルムを作製した。フィルムの厚さは約80μmであった。このカーボンブラック分散ポリイミド樹脂フィルムの窒素面側になるように端部10mmを重ね合わせて接着して、ポリイミドベルトを得た。
【0053】
上述した実施例および比較例の各ベルトについて、白抜け評価結果および白抜け評価前後での表面抵抗率変化量の測定結果を表1に示した。
【0054】
上記表1から明らかなように第1実施例ないし第3実施例において、アセトン抽出物中に1H−NMRスペクトルで2.2ppmのピークを示すものをトナー転写面に含まないので、白抜けが発生しないことが判る。
【0055】
また、上記比較例4のように空気に接触しない部分を表面側にした場合もしくは、比較例5のように窒素雰囲気中で焼成した場合には白抜けが発生しており、アセトン抽出物中に1H−NMRスペクトルで2.2ppmのピークを示すものを除去する場合には、加熱だけでなく空気に面していることが必要であることが判る。これは、加熱時に空気中の酸素により1H−NMRスペクトルで2.2ppmのピークを示すものが分解するためと考えられる。
【0056】
上述の実施形態および実施例は、説明のために例示したもので、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の中間転写体を適用したカラー電子写真複写機の概要を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態における2.2ppmにピークがある場合のアセトン抽出物1H−NMRスペクトルを示す線図である。
【図3】本実施形態における2.2ppmにピークがない場合のアセトン抽出物1H−NMRスペクトルを示す線図である。
【図4】本実施形態における表面抵抗率の測定方法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム
2 転写ベルト
3 バイアスロール
4 トレー
5、6、7、8 現像装置
9 ベルトクリーナー
13 剥離爪
21、23、24 ベルトローラ
22 バックアップロール
25 導電性ロール
26 電極ロール
31 クリーニングブレード
41 記録紙束
42 ピックアップローラ
43 フィードローラ
Claims (2)
- 像担持体に形成したトナー像を一旦中間転写体に転写した後、これを記録媒体に転写して再生画像を得るようにした画像形成装置における中間転写体において、
前記中間転写体が、カーボン分散ポリイミドベルトによって構成され、
前記中間転写体のトナー転写面のアセトン抽出物が、1H−NMRスペクトルで2.2ppmのピークを示すもの以外のものによって構成されている
ことを特徴とする画像形成装置における中間転写体。 - ポリイミド樹脂としてビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4−アミノフェニールエーテルとの反応による溶液にカーボンブラックを分散させたポリイミドフィルムの成膜のトナー転写面に相当する部位を空気雰囲気において加熱することにより、アセトン抽出物中の1H−NMRスペクトルで2.2ppmのピークを示すものを除去する
ことを特徴とする画像形成装置における中間転写体の製造方法。
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