JP3760644B2 - 画像処理方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディザ法による疑似階調処理を行う画像処理方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばワークステーションやパソコン(パソコン等)およびワープロ(ワープロソフト搭載のパソコンを含む)等において、表示装置(各種ディスプレイ等)や印刷装置(各種プリンタ等)などに画像を出力する場合、その装置の仕様によっては、原画像をそのまま出力できない場合がある。例えば256階調の階調値をマトリクス要素とするマトリクスデータ(以下単に「マトリクス」)で表現された画像、すなわち、各画素毎にn値(この場合n=256)の階調値情報を有する画像(階調画像)を、より少ない(限定された)階調値の画像しか扱えない装置に出力するためには、その階調値に適合した画像(疑似階調画像)に変換する必要がある。そして、この画像変換(圧縮)処理、すなわち疑似階調処理の方法(手法)の1つとして、いわゆるディザ法がある。
【0003】
このディザ法は、原画像の階調画像の各画素の階調値に雑音を加えた後に2値化(2値ディザ法)または限定された多値化(多値ディザ法)を行う手法であり、1つの領域内を平均化しまとめて1つの陰影や色として認識する人間の目の特性を利用したものである。例えば2値ディザ法では、階調画像の各画素の階調値に合わせて2値(例えば1と0)の配分を変化させて(例えば階調値に合わせて所定の規則でマトリクス内の「1」を間引きして)、中間階調(例えば1と0を黒と白としたときの灰色)を表現する。代表的な2値ディザ法として、組織的ディザ法がある。
【0004】
組織的ディザ法では、原画像の階調画像の各画素のn値(nは3以上の整数)の階調値のしきい値をm値(mはn≧m≧2となる整数)で規定してマトリクス要素として配列したディザマトリクスを予め用意し、原画像の階調画像(のマトリクス)をディザマトリクスのサイズのマトリクスに分割し、分割した各マトリクス毎にそのマトリクス要素の階調値とそれに対応するディザマトリクスのしきい値とを比較演算して、しきい値が示す条件を満たすか否かを判別し、その判別結果に従って2値のうちのいずれかを割り付けることにより、2値のマトリクスで表現された疑似階調画像を作成する。例えば条件を満たすときは有効を示す値(例えば1)、条件を満たさないときは無効を示す値(例えば0)を割り付けて、2値(1および0)のマトリクスで表現された疑似階調画像を作成する。
【0005】
なお、階調値としきい値の規定の仕方により、例えばしきい値以上の階調値、しきい値を超える階調値、しきい値以下の階調値、またはしきい値未満の階調値などを、しきい値が示す条件を満たす階調値と規定することができるが、以下では、階調値=しきい値のときには条件を満たすもの(すなわちしきい値以上またはしきい値以下を条件とする)を例に挙げて説明する(もちろん、階調値=しきい値のときには条件を満たさないものとしても、同様の原理で処理できる)。
【0006】
多値ディザ法は、画像変換(圧縮)後の画像、すなわち疑似階調画像が、2値のマトリクスで表現された画像(2値画像)ではなく、3値以上の多階調値のマトリクスで表現された画像(多値画像)となるディザ法ではあるが、2値ディザ法と同様に処理できる。例えば原画像の階調画像の各画素の階調値が0〜255の256値で表現されているとき、▲1▼0〜64、▲2▼64〜128、▲3▼128〜192、および、▲4▼192〜255の4段階に分割し、各段階に対するディザマトリクスを用意して、各段階に対して上述の組織的ディザ法を適用すれば良い。例えば上記▲1▼の結果の2値を0および1、▲2▼の結果の2値を1および2、▲3▼の結果の2値を2および3、▲4▼の結果の2値を3および4と規定して、各段階に対して組織的ディザ法を適用すれば、結果として0〜4の5値の疑似階調画像を作成できる。もちろん、この多値(例えば5値)の疑似階調画像に対しさらに2値ディザ法を用いて、最終的に2値の疑似階調画像を得ることもできる。
【0007】
上述のディザ法による疑似階調処理(ディザリング:以下「ディザ処理」)は、モノクロ画像(濃淡の階調値を有する階調画像)ばかりでなく、カラー画像に対しても適用できる。すなわち、カラー3原色等の基本色の各階調値に関するディザ処理(カラーディザ処理)を行えば良い。例えば疑似階調画像をディスプレイ等に出力する表示画像として作成する場合には、R(レッド)、G(グリーン)およびB(ブルー)の3原色のRGB各色の階調値に関するディザ処理を行い、印刷のための印刷画像として作成する場合には、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の3原色のCMY各色の階調値に関するディザ処理、またはさらにK(ブラック)を加えたCMYKの4基本色の階調値に関するディザ処理を行えば良い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のディザ処理では、3値以上のn値(例えば256値)の階調値をマトリクス要素とするマトリクスで表現された階調画像、すなわち、各画素毎にn値(この場合n=256)の階調値情報を有する階調画像を、画像処理の対象とするので、大きなメモリ容量を必要とする。また、多値ディザ法による疑似階調処理(多値ディザ処理)では、ディザ処理結果としても多値(例えば5値)の疑似階調画像のためのメモリ容量を必要とする。また、ディザマトリクスとの比較演算を基本的な処理とするので、膨大な処理時間を必要とする。特にカラーディザ処理では、各基本色毎に処理されるので、メモリ容量や処理時間の問題が顕著となる。
【0009】
ところで、例えばワープロ等において、文字、数字、記号、図形等を含むキャラクタ等(以下、「文字」で代表する)を入力し、各文字を要素とする文字列等を表示したり印刷したりする場合、色指定等の最小単位は文字である。また、反転文字の場合や背景色を設定可能な場合等では、文字の背景側への色指定等もできる。また、この場合、表示画像や印刷画像として作成される文字列の画像を全体画像とすると、その文字列に含まれる各文字の画像はその全体画像の要素画像となる。
【0010】
この場合、各要素画像について、要素画像の本体となる文字の形状の画像を要素本体画像、その背景の画像を要素背景画像とすると、表示画像や印刷画像上、各要素画像の画素のうちの要素本体画像の画素とその背景になる要素背景画像の画素とは、視認により判別可能であり、これに対応して、データ処理上も、要素画像を表現するマトリクスのマトリクス要素のうち、要素本体画像の画素に対応するマトリクス要素と、要素背景画像の画素に対応するマトリクス要素とは、区分可能である。また、この場合、要素本体画像と要素背景画像には個別の階調値が設定され、要素本体画像の全画素は同一階調値となり、それとは別の階調値で要素背景画像の全画素も同一階調値となる。なお、上述の反転文字等の場合、文字の背景側を要素本体画像、文字側を要素背景画像と見ることもできる。
【0011】
また、いわゆる文字入力装置としてのワープロ等ばかりでなく、任意の線図や絵柄等を描画入力できる描画入力装置(描画(デザイン)ソフトを搭載したパソコン等を含む)でも同様の画像が作成される。すなわち、例えば全体画像のうちの任意の1の線図や絵柄にその濃淡や色を指定した場合も、その任意の1の線図や絵柄の画像は要素画像であり、その本体となる線図や絵柄の形状の画像は要素本体画像に相当し、その背景になる要素背景画像とは区分可能であり、少なくとも要素本体画像の全画素が同一階調値となる。また、いかに複雑な描画画像も、少なくとも要素本体画像の全画素が同一階調値の要素画像を合成した合成画像(全体画像)と見て、各要素画像に分解でき、各要素画像を見れば、その要素画像の要素本体画像とそれ以外の要素背景画像に分解でき、要素本体画像と要素背景画像とは区分可能であり、少なくとも要素本体画像の全画素が同一階調値となる。なお、感覚的には背景側と見られる画像も、見方を変えれば、本体側となる。
【0012】
ここで、要素本体画像の明瞭さについて考える。単一の要素画像について、上述のように要素本体画像と要素背景画像とが区分可能であっても、ディザ処理によりいわゆる間引きが行われると、微視的(ミクロ的)に見れば、それらの間の境界(例えば要素本体画像の輪郭線等)に凸凹が生じるので、その境界(輪郭線等)が不明瞭になる。特に要素本体画像のサイズが小さかったり線幅の狭い部分等があると、その部分に凹が割り付けられたとき(間引きされたとき)に、輪郭線等にいわゆるかすれや切れが生じて不明瞭になる。また、ディザ処理により印刷画像を作成してその画像を印刷装置に出力する場合、印刷の際のインク等のにじみ等がその不明瞭さに拍車を掛ける。
【0013】
本発明は、要素画像の本体となる要素本体画像の画素とその背景になる要素背景画像の画素とが区分可能でかつ少なくとも要素本体画像の全画素が同一階調値の要素画像を、少なくとも1つ有する全体画像を対象として、メモリ容量の節約や処理時間の短縮が図れ、かつ要素本体画像のかすれや切れ等を防止可能なディザ処理を行うことができる画像処理方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像処理方法は、画素のn値(nは3以上の整数)の階調値のしきい値をm値(mはn≧m≧2となる整数)で規定してマトリクス要素として配列したディザマトリクスに基づいて、ディザ処理を行う画像処理方法であって、全体画像が有する要素画像のうち、要素画像の本体となる要素本体画像の画素とその背景になる要素背景画像の画素とを区分可能な少なくとも1つの要素画像について、前記要素本体画像の全画素に、所定の2値のうちの有効を示す値を割り付け、前記要素背景画像の全画素に、前記2値のうちの無効を示す値を割り付けることにより、前記2値のマトリクスで表現された要素形状画像を作成して記憶する要素形状画像作成工程と、前記要素画像について、前記要素本体画像の全画素に同一の指定階調値として、前記n値のうちの1つの階調値を記憶する指定階調値記憶工程と、前記ディザマトリクスと同一サイズの前記2値のマトリクスで表現され、前記ディザマトリクスの各しきい値のうちの前記指定階調値が条件を満たすしきい値に対応するマトリクス要素に、前記2値のうちの有効を示す値を割り付け、条件を満たさないしきい値に対応するマトリクス要素に、前記2値のうちの無効を示す値を割り付けたディザマスクを記憶するディザマスク記憶工程と、前記要素形状画像の前記ディザマスクと同一サイズのマトリクス毎に、各マトリクスと前記ディザマスクとの対応するマトリクス要素同士を対象として、双方が有効を示す値のときのみ有効を示す値とする論理積演算を行うことにより、その論理積演算の結果として、前記要素形状画像と同一サイズの前記2値のマトリクスで表現された要素ディザ画像を作成する要素ディザ画像作成工程と、要素ディザ画像のマトリクス要素のうち、要素本体画像の輪郭線に対応するマトリクス要素に、所定の2値のうちの有効を示す値を割り付けることにより、要素ディザ画像を補正した要素ディザ補正画像を作成する要素ディザ補正画像作成工程と、要素本体画像が所定の特性を有するか否かを、要素本体画像のドットサイズに基づいて判別する要素本体特性判別工程と、を備え、要素ディザ補正画像作成工程は、要素本体特性判別工程において要素本体画像が所定の特性を有していると判別した場合、要素ディザ画像を補正して要素ディザ補正画像を作成し、所定の特性を有していないと判別した場合、要素ディザ画像をそのまま要素ディザ補正画像とすることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の画像処理装置は、画素のn値(nは3以上の整数)の階調値のしきい値をm値(mはn≧m≧2となる整数)で規定してマトリクス要素として配列したディザマトリクスに基づいて、ディザ処理を行う画像処理装置であって、
全体画像が有する要素画像のうち、要素画像の本体となる要素本体画像の画素とその背景になる要素背景画像の画素とを区分可能な少なくとも1つの要素画像について、前記要素本体画像の全画素に、所定の2値のうちの有効を示す値を割り付け、前記要素背景画像の全画素に、前記2値のうちの無効を示す値を割り付けることにより、前記2値のマトリクスで表現された要素形状画像を作成して記憶する要素形状画像作成手段と、前記要素画像について、前記要素本体画像の全画素に同一の指定階調値として、前記n値のうちの1つの階調値を記憶する指定階調値記憶手段と、前記ディザマトリクスと同一サイズの前記2値のマトリクスで表現され、前記ディザマトリクスの各しきい値のうちの前記指定階調値が条件を満たすしきい値に対応するマトリクス要素に、前記2値のうちの有効を示す値を割り付け、条件を満たさないしきい値に対応するマトリクス要素に、前記2値のうちの無効を示す値を割り付けたディザマスクを記憶するディザマスク記憶手段と、前記要素形状画像の前記ディザマスクと同一サイズのマトリクス毎に、各マトリクスと前記ディザマスクとの対応するマトリクス要素同士を対象として、双方が有効を示す値のときのみ有効を示す値とする論理積演算を行うことにより、その論理積演算の結果として、前記要素形状画像と同一サイズの前記2値のマトリクスで表現された要素ディザ画像を作成する要素ディザ画像作成手段と、要素ディザ画像のマトリクス要素のうち、要素本体画像の輪郭線に対応するマトリクス要素に、所定の2値のうちの有効を示す値を割り付けることにより、要素ディザ画像を補正した要素ディザ補正画像を作成する要素ディザ補正画像作成手段と、要素本体画像が所定の特性を有するか否かを、要素本体画像のドットサイズに基づいて判別する要素本体特性判別手段と、を備え、要素ディザ補正画像作成手段は、要素本体特性判別手段によって要素本体画像が所定の特性を有していると判別された場合、要素ディザ画像を補正して要素ディザ補正画像を作成し、所定の特性を有していないと判別された場合、要素ディザ画像をそのまま要素ディザ補正画像とすることを特徴とする。
【0016】
この画像処理方法およびその装置では、全体画像の要素画像のうち、本体となる要素本体画像の画素とその背景になる要素背景画像の画素とを区分可能な少なくとも1つの要素画像について、要素本体画像の全画素に、所定の2値のうちの有効を示す値を割り付け、要素背景画像の全画素に、所定の2値のうちの無効を示す値を割り付けることにより、所定の2値のマトリクスで表現された要素形状画像を作成する。すなわち、要素本体画像に有効を示す値、要素背景画像に無効を示す値を割り付けた2値マトリクスで表現された要素形状画像を作成する。また、その一方で、要素本体画像の全画素に同一の指定階調値として、n値のうちの1つの階調値を記憶する。
【0017】
この場合、指定階調値を各画素の情報と別に記憶しても、各画素の情報としては2値のいずれかを有すれば(記憶すれば)よいので、各画素単位で(各画素毎に)n値(n≧3)の階調値情報を有するよりメモリ容量は少なくて済む。なお、この場合、各画素毎にn値の階調値情報を有する画像(階調画像)に基づいて、上記の要素形状画像を作成しつつ指定階調値を抽出しても良いし、最初から要素形状画像の作成と指定階調値の指定とを個別に行っても良い。パソコン等で作成された階調画像に基づく場合などには、前者に該当する方法を採用し、ワープロ等において、文字等をテキスト入力して、その文字毎に階調値を指定(濃淡指定、色指定等)して要素画像とする場合などには、後者に該当する方法を採用すれば良い。
【0018】
また、この画像処理方法およびその装置では、ディザマトリクスと同一サイズの所定の2値のマトリクスで表現されたディザマスクを記憶する。すなわち、ディザマトリクスの各しきい値のうちの指定階調値が条件を満たすしきい値に対応するマトリクス要素に、所定の2値のうちの有効を示す値を割り付け、条件を満たさないしきい値に対応するマトリクス要素に、所定の2値のうちの無効を示す値を割り付けたマトリクスをディザマスクとして記憶する。
【0019】
この場合のディザマスクは、ディザマトリクスと同一サイズの所定の階調画像に上述のディザマトリクスに基づく2値ディザ処理を行った結果の疑似階調画像(のマトリクス)と一致する。すなわち、ディザマトリクスと同一サイズの階調画像が各画素毎にn値の階調値情報を有し、かつ、その全画素の階調値情報が上記の指定階調値を示しているときに、その階調画像の各画素の階調値を上記のディザマトリクスの各しきい値と比較して比較結果を2値化した場合の、演算結果のマトリクスと一致する。なお、この場合、考え得る指定階調値のそれぞれについてのディザマスクを予め記憶しておいても良いし、指定階調値が判明した後に、ディザマトリクスとの比較演算により新たに作成して記憶しても良い。前者の場合、演算時間が省略できるので、画像処理全体の処理時間短縮が図れる。一方、後者の場合、ディザマスク記憶用のメモリ容量を節約でき、また、ディザマトリクスのサイズの比較演算なので、その処理時間も比較的短くて済む。
【0020】
また、この画像処理方法およびその装置では、要素形状画像のディザマスクと同一サイズのマトリクス毎に、各マトリクスとディザマスクとの対応するマトリクス要素同士を対象として、双方が有効を示す値のときのみ有効を示す値とする論理積演算を行うことにより、その論理積演算の結果として、要素形状画像と同一サイズの所定の2値のマトリクスで表現された要素ディザ画像を作成する。
【0021】
すなわち、従来なら、要素画像のディザマトリクスと同一サイズのマトリクス毎に、各マトリクスの各画素の階調値とそれに対応するディザマトリクスのしきい値とを比較して疑似階調画像を得るが、この画像処理方法およびその装置では、単に論理積演算でよいので、処理速度の向上(処理時間の短縮)が図れる。また、その論理積演算の入力(ディザマスク、要素形状画像を表現するマトリクス)も出力(要素ディザ画像のマトリクス)も2値マトリクスなので、メモリ容量を節約できる。もちろん、全体画像の一部の要素画像ばかりでなく、全体画像に対しても同様の処理が可能な場合、すなわち全要素画像について要素本体画像と要素背景画像とが区分可能な場合、全体画像に適用することにより、さらにメモリ容量の節約および処理時間の短縮が図れる。
【0022】
また、従来の場合、元のn値の指定階調値を各画素の階調値情報として有するため、多値(例えば前述の5値)の疑似階調画像にしたとしても、n値の指定階調値の情報を失ってしまい、さらに2値化すると、疑似階調画像の多値の情報さえも失ってしまう。最初から2値ディザ処理を行う場合も同様であり、2値化によりn値の情報を失ってしまう。すなわち、設定(指定)した階調値を表示画面等で再確認するためには、元の階調画像を記憶しておく必要があり、余分なメモリ容量が必要となる。また、要素本体画像の画素に同一の階調値が指定されていても、それを一括で確認することはできず、階調画像の全画素の階調値を表示または印刷して、各画素毎にて視認する必要がある。これに対し、上述の方法およびその装置では、要素本体画像の画素に同一の階調値が指定されている場合、要素本体画像に対する指定階調値を各画素の情報とは別に記憶しているので、メモリ容量を節約しつつ、そのまま数値(階調値)により一括で確認できる。
【0023】
したがって、この画像処理方法およびその装置では、要素画像の本体となる要素本体画像の画素とその背景になる要素背景画像の画素とが区分可能でかつ少なくとも要素本体画像の全画素が同一階調値の要素画像を、少なくとも1つ有する全体画像を対象として、メモリ容量の節約と処理時間の短縮を図りつつ、ディザ処理を行うことができる。
【0024】
なお、上述の文字をテキスト入力して、その文字毎に階調値を指定(濃淡指定、色指定等)して要素画像とする場合などの他、文字の背景側の階調値を指定(濃淡指定、色指定等)できる場合には、文字の背景側を要素本体画像として扱うことにより、文字の背景側の要素ディザ画像を作成できる。これは反転文字等の場合に適している他、その応用として、文字側を要素本体画像としたときの要素ディザ画像と文字の背景側を要素本体画像としたときの要素ディザ画像とを組み合わせて(重ね合わせて)、双方にディザ処理を行った要素ディザ画像を得ることもできる。
【0025】
また、いかに複雑な描画画像も、少なくとも要素本体画像の全画素が同一階調値の要素画像を合成した合成画像(全体画像)と見て、各要素画像に分解でき、各要素画像の要素本体画像とそれ以外の要素背景画像に分解でき、要素本体画像と要素背景画像とは区分可能なので、各要素画像に対応する要素ディザ画像を作成して、それらを組み合わせる(対応するマトリクス要素を重ね合わせる)ことにより、複雑な描画画像にディザ処理を行った要素ディザ画像をも得ることができる。
【0026】
同様に、元の画像がカラー画像の場合にも適用でき、この場合、例えばRGBまたはCMYの3原色の各色の階調値、あるいは後者にKを加えたCMYKの4色の各色の階調値のそれぞれについて、上述の処理により各要素ディザ画像を求めて組み合わせれば良い。また、この場合、例えばCMY各色の要素ディザ画像を求めてから、それらの各要素ディザ画像の全てに共通して有効を示す値の画素(マトリクス要素)を抽出することにより、Kの要素ディザ画像を得ることもできる。
【0027】
また、この画像処理方法およびその装置では、要素本体画像の輪郭線に基づいて要素ディザ画像を補正した要素ディザ補正画像を作成する。例えば前述の要素形状画像では、要素本体画像の画素を表現するマトリクス要素には有効を示す値が割り付けられ、要素背景画像の画素を表現するマトリクス要素には無効を示す値が割り付けられているので、それらの境界線(要素本体画像の輪郭線等)は明瞭である。しかし、要素ディザ画像における要素本体画像の画素に対応するマトリクス要素には、論理積演算の結果、有効を示す値と無効を示す値とが混在するので、例えば要素本体画像の輪郭線に対応するマトリクス要素にも、有効を示す値と無効を示す値とが混在してしまうことがあり、その場合、要素背景画像との境界、すなわち要素本体画像の輪郭線に対応する部分が不明瞭になる。そこで、このような場合に、要素本体画像に基づいて要素ディザ画像を補正することにより、例えば要素ディザ画像の要素本体画像の輪郭線に対応する部分を明瞭にすることができ、この補正結果の要素ディザ補正画像では、上述した要素ディザ画像の利点に加え、要素本体画像のかすれや切れ等を防止することが可能になる。
【0028】
したがって、この画像処理方法およびその装置では、要素画像の本体となる要素本体画像の画素とその背景になる要素背景画像の画素とが区分可能でかつ少なくとも要素本体画像の全画素が同一階調値の要素画像を、少なくとも1つ有する全体画像を対象として、メモリ容量の節約や処理時間の短縮が図れるばかりでなく、要素本体画像のかすれや切れ等を防止可能になる。また、この画像処理方法およびその装置では、要素本体画像が所定の特性を有するか否かをドットサイズに基づいて判別し、所定の特性を有していると判別したときに、要素ディザ画像を補正して要素ディザ補正画像とし、有していないと判別したときに、要素ディザ画像をそのまま要素ディザ補正画像とする。すなわち、所定の特性を有するか否かを判別することにより、補正対象の要素ディザ画像を絞ることができ、要素画像を複数有するような場合に、一律に補正するのに比べて全体として処理時間を短縮できる。さらに、ディザ処理の結果の明瞭さ、特にいわゆる間引き処理による結果の明瞭さは、種々のサイズにより多様なので、ドットサイズに基づいて所定の特性を有するか否かを判別することにより、種々のサイズのうちの処理結果の明瞭さに影響し易いサイズに着目して、補正の対象を絞ることができ、効率のよい補正が可能になる。また、この場合、一般的なドットサイズに基づいて判別するので、処理しやすい。
【0118】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係る画像処理方法およびその装置を適用したテープ印刷装置について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。まず、図1はテープ印刷装置の外観斜視図であり、図2は、その制御系のブロック図である。
【0119】
このテープ印刷装置1は、キー入力した所望の文字などに基づいて作成した印刷画像を、印刷テープT1にインクジェット方式でカラー印刷すると共に、この印刷テープT1の印刷部分を切断してラベルを作成するものである。また、印刷テープT1に加えラミネートテープT2(図3および図4参照)を搭載することで、この印刷テープT1の印刷部分にラミネートテープT2を貼着し、この状態で印刷テープT1およびラミネートテープT2を切断してラミネート済みのラベルを作成することもできる。以下、印刷テープT1のみのタイプ、またはそれにラミネートテープT2を加えたタイプの、両タイプのテープを代表するときは、「テープT」という。
【0120】
印刷テープT1は、基材テープと基材テープの裏面に塗着した粘着層と粘着層に貼着した剥離紙テープとで構成され、基材テープは、紙やコート層を有する紙、あるいはコート層を有するフィルム等のインクを十分吸収できる素材で構成される。粘着層は、ラベルとしての印刷テープをファイルなどの貼付対象物に貼り付けるためのものであり、また剥離紙テープは、この粘着層にゴミなどが付着するのを防止するためのものである。
【0121】
一方、ラミネートテープT2は、基材テープと基材テープの裏面に塗着した粘着層とで構成され、基材テープは、16〜38μm厚程度の透明なフィルムなどで構成される。また、印刷テープT1とほぼ同一幅に形成され、側端を揃え重ねるようにして貼着される。実際には、印刷テープT1に対しラミネートテープT2がわずかに(0.3mm程度)狭幅に形成され、貼着の際のラミネートテープT2の微小な横ずれを吸収できるようになっている。
【0122】
これら各種のテープTには、テープ幅4.5mm〜96mm程度の各種(10種類程度)のものが用意されている。それぞれテープカートリッジ5に収容された状態で提供され、テープ幅に応じて幅方向24ドット〜1024ドット程度の解像度の印刷画像が印刷される。なお、これらのテープTには、材質の異なるものや、地色が白色以外のものなども用意されており、将来採用されるものも含めれば、少なくとも数十種類のものが使用可能となっている。また、テープカートリッジ5には、印刷テープT1およびラミネートテープT2を搭載可能なタイプのもの(図4参照)と、印刷テープT1のみ搭載可能なタイプがあり、それぞれ幅が異なる「大」、「中」、「小」の3種類のものが用意されている。
【0123】
図1に示すように、テープ印刷装置1は、装置本体2と、装置本体2の前部に取り付けたキーボード3と、テープT(印刷テープT1+ラミネートテープT2:図3参照)を収容したテープカートリッジ5と、4色のインクを充填したインクカートリッジ8(図3参照)とで構成されており、テープカートリッジ5およびインクカートリッジ8は、装置本体2に対し着脱自在に装着されている。装置本体2は、装置ケース23によりその外殻が形成され、装置ケース23の上部には、テープカートリッジ5およびインクカートリッジ8を着脱するための開閉蓋21が広く設けられている。また、装置ケース23の側面には、テープTを外部に排出するスリット状のテープ排出口22が形成されている。
【0124】
キーボード3は、装置本体2に対し起倒自在に取り付けられており、テープ印刷装置1を使用する場合には、キーボード3を引き倒した状態にし、これを携帯する場合には、キーボード3を引き起こした状態にする。また、開閉蓋21の右前部には、装置本体2に内蔵したディスプレイ4に対応して、小窓25が形成されている。このキーボード3とディスプレイ4については、さらに後述する。
【0125】
また、図2に示すように、テープ印刷装置1は、基本的な構成として、キーボード3やディスプレイ4を有してユーザとのインタフェースを行う操作部11、インクジェット方式の印刷ヘッド7によりテープカートリッジ5のテープT(印刷テープT1)に印刷を行う印刷部12、印刷後のテープTの切断を行う切断部13、各種センサを有して各種検出を行う検出部14、各種ドライバを有して各部回路を駆動する駆動部270、電源部290、および、テープ印刷装置1内の各部を制御する制御部200を備えている。
【0126】
このため、装置ケース23の内部には、印刷部12、切断部13、検出部14などの他、図外の回路基板が収納されている。この回路基板には、電源部290の他、駆動部270や制御部200の各回路などが搭載されている。電源部290の電源ユニットEUは、ACアダプタ接続口24や外部から着脱可能なニッカド電池等の電池Eに接続され、テープ印刷装置1内の各部に電力を供給する。
【0127】
図3はテープ印刷装置の装置本体の断面図である。図2および図3に示すように、印刷部12は、両端を図外のフレームに支持されたキャリッジガイド軸31と、キャリッジガイド軸31にスライド自在に取り付けられたキャリッジ32と、正逆走行することでキャリッジ32を左右方向(テープTの幅方向)に往復動させる図外のタイミングベルトと、タイミングベルトを正逆走行させるキャリッジモータ(CRモータ)122と、送り従動ローラ42および送り駆動ローラ43を上下に配設して成る送りローラ41と、ラミ従動ローラ45およびラミ駆動ローラ46を上下に配設して成るラミネートローラ44と、送り駆動ローラ43およびラミ駆動ローラ46を図外の減速歯車列を介して回転駆動させるテープ送りモータ(TFモータ)121と、印刷ヘッド7のインクノズルを塞ぐとともに、必要に応じてポンプモータ123によりクリーニング処理等を行うヘッドキャップ機構(図示せず)と、テープカートリッジ5をセットするイジェクト機構124とを備えている。
【0128】
また、キャリッジ32には、その下部にテープTに印刷を行う印刷ヘッド7が、上部にインクを供給するためのインクカートリッジ8を装着するカートリッジホルダ34が、それぞれ一体に取り付けられている。この場合、印刷ヘッド7は下向きに取り付けられ、またインクカートリッジ8はカートリッジホルダ34に下向きに装着される。インクカートリッジ8が装着されると、インクカートリッジ8の各色のインクタンク8aが印刷ヘッド7に連通し、インクの供給が可能になる。なお、インクタンク8aには、それぞれC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(黒:ブラック)の各色のインクが充填されている。
【0129】
また、キャリッジ32には図外の遮光板が突設しており、フォトインタラプタなどから成るホーム位置センサ142に臨むと、印刷ヘッド7がホーム位置(図示せず)にあることを検出して、ゼロ点補正等の位置補正を行うようになっている。このホーム位置は、印刷ヘッド7の待機位置であるとともに、印刷のための基準位置となっており、この基準位置からCRモータ122を所定のステップ数だけ回転させることにより、キャリッジ32をテープTの印刷範囲の幅方向の各位置に精度良く移動させ、これと同期して印刷ヘッド7を駆動することにより、テープTの表面に所望の印刷が行われる。
【0130】
また、テープカートリッジ5には、ビットパターン等による識別情報を示す識別プレート115が設けられていて(図4参照)、キャリッジ32に搭載したテープ識別センサ141が識別プレート115に臨むことで、テープカートリッジ5、印刷テープT1およびラミネートテープT2の種別や、個々の印刷テープT1に対する印刷開始位置が、検出されるようになっている。以下、これらの検出信号を「テープ識別信号」という。
【0131】
送り駆動ローラ43は装置本体2に設けられ、送り従動ローラ42はテープカートリッジ5に設けられている。装置本体2にテープカートリッジ5を装着すると、送り従動ローラ42が送り駆動ローラ43との間に印刷テープT1を挟み込むようにして、これを押圧する。そして、この状態でTFモータ121を回転させることにより、送り従動ローラ42と送り駆動ローラ43との間に挟み込まれた印刷テープT1が先方に送られる。
【0132】
ラミ駆動ローラ46は装置本体2に設けられ、ラミ従動ローラ45はテープカートリッジ5に設けられている。装置本体2にテープカートリッジ5を装着すると、ラミ従動ローラ45がラミ駆動ローラ46との間に印刷テープT1およびラミネートテープT2を挟み込むようにして、これらを押圧する。そして。この状態でTFモータ121が回転することにより、ラミ従動ローラ45とラミ駆動ローラ46との間に挟み込まれた印刷テープT1とラミネートテープT2とが、貼着しながら先方に送られる。
【0133】
切断部13は、カッタ51とそれを切断動作させるカッタモータ131とを備えている。印刷が完了後には、テープT(印刷テープT1+ラミネートテープT2)は、TFモータ121によって所定距離だけステップ送りされてから停止するので、この停止と同時に、カッタモータ131が駆動され、テープTの切断が行われる。なお、テープ印刷装置1では、このカッタ51の切断動作を手動でも行えるように、カットキー340を設け、モード設定によって、自動/手動を切り替えられるようにしている。
【0134】
図2に示すように、検出部14は、上述のテープ識別センサ141、ホーム位置センサ142とを備えている。前述のように、テープ識別センサ141は、テープカートリッジ5やテープTの種別および印刷開始位置を検出し、ホーム位置センサ142は、印刷ヘッド7がホーム位置に達したことを検出し、それぞれの検出信号(テープ識別信号、位置検出信号)を制御部200に入力する。なお、実状に合わせて、テープ印刷装置1の各部に電力を供給する電源部290の電源ユニットEUに接続されてその電位変動を検出する電圧センサ、周囲温度センサ、ヘッド表面温度センサ等の他のセンサを設けることもできるし、一部を省略した構成とすることもできる。
【0135】
駆動部270は、ディスプレイドライバ271と、ヘッドドライバ272と、モータドライバ273とを備えている。ディスプレイドライバ271は、制御部200から出力される制御信号に基づき、その指示に従って、操作部11のディスプレイ4を駆動する。同様に、ヘッドドライバ272は、制御部200の指示に従って、印刷部12の印刷ヘッド7を駆動する。また、モータドライバ273は、印刷部12のTFモータ121を駆動するTFモータドライバ273aと、CRモータ122を駆動するCRモータドライバ273bと、ポンプモータ123を駆動するポンプモータドライバ273cと、切断部13のカッタモータ131を駆動するカッタモータドライバ273dとを有し、同様に、制御部200の指示に従って、各モータを駆動する。
【0136】
操作部11は、キーボード3とディスプレイ4とを備えている。ディスプレイ4は、横方向(X方向)約6cm×縦方向(Y方向)4cmの長方形の形状の内側に、96ドット×64ドットの表示画像データを表示可能な表示画面41を有し、ユーザがキーボード3からデータを入力して、文字(前述のようにキャラクタの意味で使用)を配置した文字列画像やそれを含む印刷画像を表現するマトリクスデータを作成・編集したり、その結果等を視認したり、キーボード3から各種指令・選択指示等を入力したりする際などに用いられる。
【0137】
キーボード3には、(いずれも図示しない)アルファベットキー群311、記号キー群312、数字キー群313、平仮名や片仮名等の仮名キー群314、および外字を呼び出して選択するための外字キー群315等を含む文字キー群31の他、各種の動作モードなどを指定するための機能キー群32などが配列されている。
【0138】
機能キー群32には、(いずれも図示しない)電源キー320、印刷動作を指示するための印刷キー321、文字サイズや装飾の種類など各種モード等や各種フォーム等を切り換えるための選択画面を表示させるフォームキー322、その各種選択画面における各種モード等の選択指示やテキスト入力時のデータ確定・改行等のための選択キー323、印刷画像データの印刷色やその中間色(混色)を指定するための色指定キー324、文字色や背景色を設定するための色設定キー325、並びに、それぞれ上(「↑」)、下(「↓」)、左(「←」)、右(「→」)方向へのカーソル移動や表示画面41の表示範囲を移動させるための4個のカーソルキー330(330U、330D、330L、330R:以下、「カーソル「↑」キー330U」等という)が含まれる。
【0139】
機能キー群32には、さらに、各種指示を取り消すための取消キー326、各キーの役割を変更したり、描画登録画像データの修正等に用いられるシフトキー327、テキスト入力画面や選択画面と印刷画像データの表示画面(イメージ画面)とを相互に切り換えるためのイメージキー328、印刷画像データとイメージ画面に表示する表示画像データとの大きさの比率を変更するための比率変更(ズーム)キー329、並びに、テープTを手動でカットするためのカットキー340が含まれる。
【0140】
なお、当然ながら、一般的なキーボードと同様に、これらのキー入力は、各キー入力毎に個別にキーを設けて入力しても良いし、シフトキー327等と組み合わせてより少ない数のキーを用いて入力しても良い。ここでは、理解を容易にするために上記の分だけキーがあるものとして説明する。
【0141】
図2に示すように、キーボード3は、上述のような種々の指令およびデータを制御部200に入力する。
【0142】
制御部200は、CPU210、ROM220、キャラクタジェネレータROM(CG−ROM)230、RAM240、周辺制御回路(P−CON)250を備え、互いに内部バス260により接続されている。
【0143】
ROM220は、CPU210で処理する制御プログラムを記憶する制御プログラム領域221の他、仮名漢字変換テーブル(辞書)、色変換テーブル、文字修飾テーブル、ディザマトリクス、所定の基本的な(規定)ディザマスクなどを含む制御データを記憶する制御データ領域222を有している。CG−ROM230は、テープ印刷装置1に用意されている文字等のフォントデータを記憶していて、文字等を特定するコードデータが与えられたときに、対応するフォントデータを出力する。
【0144】
RAM240は、電源キー320の操作により電源がオフにされても、記憶したデータを保持しておくようにバックアップされていて、各種レジスタ群241、ユーザがキーボード3から入力した文字等のテキストデータを記憶するテキストデータ領域242、表示画面41の表示画像データを記憶する表示画像データ領域243、印刷画像データを記憶する印刷画像データ領域244、描画登録画像データを記憶する描画登録画像データ領域245、処理中または処理結果のディザマスクを記憶するディザマスク領域246、印刷色等の色パレット情報を記憶する色パレットデータ領域247、文字展開バッファ(フォント色バッファ)、色変換バッファ、基本色別配置バッファ、印刷バッファなどの各種バッファ領域248などの領域を有し、制御処理のための作業領域として使用される。
【0145】
P−CON250には、CPU21の機能を補うとともに各種周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が、ゲートアレイやカスタムLSIなどにより構成されて組み込まれている。例えば、種々の計時を行うタイマ(TIM)251などもP−CON250内の機能として組み込まれている。このため、P−CON250は、検出部14の各種センサやキーボード3と接続され、検出部14からの各種検出信号およびキーボード3からの各種指令や入力データなどをそのままあるいは加工して内部バス260に取り込むとともに、CPU210と連動して、CPU210等から内部バス260に出力されたデータや制御信号を、そのままあるいは加工して駆動部270に出力する。
【0146】
そして、CPU210は、上記の構成により、ROM220内の制御プログラムに従って、P−CON250を介してテープ印刷装置1内の各部から各種信号・データ等を入力し、CG−ROM230からのフォントデータ、RAM240内の各種データ等を処理し、P−CON250を介してテープ印刷装置1内の各部に各種信号・データ等を出力することにより、印刷の位置制御、表示画面41の表示制御等を行うとともに、印刷ヘッド7を制御して所定の印刷条件でテープTに印刷するなど、テープ印刷装置1全体を制御している。
【0147】
次に、テープ印刷装置1の制御全体の処理フローについて、図5を参照して説明する。電源キー320を押すこと(電源オン)により処理が開始すると、同図に示すように、まず、テープ印刷装置1を、前回の電源オフ時の状態に戻すために、退避していた各制御フラグを復旧するなどの初期設定を行い(S1)、次に、前回の表示画面を初期画面として表示する(S2)。
【0148】
図5のその後の処理、すなわちキー入力か否かの判断分岐(S3)および各種割込処理(S4)は、概念的に示した処理である。実際には、テープ印刷装置1では、初期画面表示(S2)が終了すると、キー入力割込を許可し、キー入力割込が発生するまでは、そのままの状態を維持し(S3:No)、何らかのキー入力割込が発生すると(S3:Yes)、それぞれの割込処理に移行して(S4)、その割込処理が終了すると、再度、その状態を維持する(S3:No)。
【0149】
上述のように、テープ印刷装置1では、主な処理を割込処理により行うので、印刷対象となる印刷画像データができていれば、ユーザが任意の時点で印刷キー321を押すことにより、印刷処理割込が発生して、印刷処理が起動され、その印刷画像データによる印刷ができる。すなわち、印刷に至るまでの操作手順は、ユーザが任意に選択できる。
【0150】
次に、テープ印刷装置1において採用している画像作成・印刷処理、特にディザ処理について説明する。まず、その原理を以下に説明する。
【0151】
例えば256階調の階調値をマトリクス要素とするマトリクスデータ(以下「マトリクス」)で表現された画像、すなわち、各画素毎にn値(この場合n=256)の階調値情報を有する画像(階調画像)を、より少ない(限定された)階調値の画像しか扱えない装置に出力するためには、その階調値に適合した画像(疑似階調画像)に変換する必要がある。そして、この画像変換(圧縮)処理、すなわち疑似階調処理の方法(手法)の1つとして、いわゆるディザ法がある。
【0152】
このディザ法は、原画像の階調画像の各画素の階調値に雑音を加えた後に2値化(2値ディザ法)または限定された多値化(多値ディザ法)を行う手法であり、1つの領域内を平均化しまとめて1つの陰影や色として認識する人間の目の特性を利用したものである。例えば2値ディザ法では、階調画像の各画素の階調値に合わせて2値(例えば1と0)の配分を変化させて(例えば階調値に合わせて所定の規則でマトリクス内の「1」を間引きして)、中間階調(例えば1と0を黒と白としたときの灰色)を表現する。代表的な2値ディザ法として、組織的ディザ法がある。
【0153】
組織的ディザ法では、原画像の階調画像の各画素のn値(nは3以上の整数)の階調値のしきい値をm値(mはn≧m≧2となる整数)で規定してマトリクス要素として配列したディザマトリクスを予め用意し、原画像の階調画像(のマトリクス)をディザマトリクスのサイズのマトリクスに分割し、分割した各マトリクス毎にそのマトリクス要素の階調値とそれに対応するディザマトリクスのしきい値とを比較演算して、しきい値が示す条件を満たすか否かを判別し、その判別結果に従って2値のうちのいずれかを割り付けることにより、2値のマトリクスで表現された疑似階調画像を作成する。例えば条件を満たすときは有効を示す値(例えば1)、条件を満たさないときは無効を示す値(例えば0)を割り付けて、2値(1および0)のマトリクスで表現された疑似階調画像を作成する。
【0154】
なお、階調値としきい値の規定の仕方により、例えばしきい値以上の階調値、しきい値を超える階調値、しきい値以下の階調値、またはしきい値未満の階調値などを、しきい値が示す条件を満たす階調値と規定することができるが、以下では、階調値がしきい値以上(階調値≧しきい値)のときに条件を満たすものを例に挙げて説明する。もちろん、他の規定の仕方の場合も同様の原理で処理できる。また、2値ディザ法として上述の組織的ディザ法を用いるものとし、この2値ディザ法による疑似階調処理(2値ディザ処理)について主に説明する。
【0155】
例えば、0〜15の16階調の階調値をマトリクス要素とするマトリクスで表現された画像、すなわち各画素毎に16階調の階調値情報を有する画像(原画像の階調画像)を2階調の階調値しか扱えない装置に出力するために、16階調の階調画像を2階調の疑似階調画像に変換(圧縮)する処理(2値ディザ処理)を行う場合、まず、図6(a)に示すように、例えば4×4のマトリクス要素を配列したディザマトリクスDD16を用意する。すなわち、原画像の階調画像の各画素のn値(ここでは、n=16)の階調値のしきい値をm値(mはn≧m≧2となる整数:ここでは、1〜15の15値)で規定して4×4のマトリクス要素として配列したディザマトリクスDD16を予め用意する。
【0156】
次に、原画像の階調画像を表現したマトリクスをディザマトリクスDD16のサイズ、すなわち4×4のサイズのマトリクスに分割し、分割した各マトリクス毎にそのマトリクス要素の階調値とそれに対応するディザマトリクスのしきい値とを比較演算して、しきい値が示す条件(ここでは、階調値≧しきい値)を満たすか否かを判別し、その判別結果に従って2値のうちのいずれかを割り付けることにより、2値のマトリクスで表現された疑似階調画像を作成する。
【0157】
例えば原画像の階調画像を表現したマトリクス(以下「入力マトリクス」)を4×4のサイズに分割したマトリクスのうちの1つ(以下「分割入力マトリクス」)が同図(b)に示す分割入力マトリクスIG4であるとき、この分割入力マトリクスIG4のマトリクス要素の階調値は全て「4」なので、ディザマトリクスDD16の「1」〜「4」のしきい値が示す条件のみを満足する。
【0158】
この場合、ディザマトリクスDD16のマトリクス要素のうち、条件が満たされないマトリクス要素を「0」、条件が満たされたマトリクス要素をそのしきい値により表現すると(以下、このように表現したマトリクスを「成立しきい値マトリクス」という)、同図(c)の成立しきい値マトリクスAG4のようになる。また、この場合、条件を満たすときは有効を示す値(ここでは「1」)、条件を満たさないときは無効を示す値(ここでは「0」)を割り付けて、2値(「1」および「0」)のマトリクスで表現すると、同図(d)のマトリクスBG4のようになる。
【0159】
このマトリクスBG4は、2値ディザ処理により作成する目的の疑似階調画像を表現するマトリクス(以下「出力マトリクス」)を4×4のサイズに分割したマトリクスのうちの1つであり(以下この種のマトリクスを「分割出力マトリクス」という)、分割入力マトリクスIG4に対する2値ディザ処理結果のマトリクスである。そして、この分割出力マトリクスBG4で表現された画像は、「1」を黒、「0」を白としたときに、同図(e)の分割画像PG4となる。
【0160】
この分割画像PG4は、目的の疑似階調画像を4×4(例えば4ドット×4ドット)に分割した画像の1つであり、「0」〜「15」の16階調の階調値情報を有する階調画像のうち、「4」の階調値を有する一部(分割入力マトリクスIG4で表現された4ドット×4ドットの画像)を擬似的に2値の画像に変換した画像である。
【0161】
同様にして、「0」〜「15」の16階調の階調値情報を有する階調画像を表現した入力マトリクスのうち、全て「8」の階調値を有する一部を4×4のマトリクスで表現した分割入力マトリクスIG8に対して2値ディザ処理を行うと、同図に示すように、そのときの成立しきい値マトリクスAG8、分割出力マトリクスBG8、分割画像PG8のようになる。全て「0」の階調値を有する一部を4×4のマトリクスで表現した分割入力マトリクスIG0、全て「12」の階調値を有する一部を4×4のマトリクスで表現した分割入力マトリクスIG12、および、全て「15」の階調値を有する一部を4×4のマトリクスで表現した分割入力マトリクスIG15に対しても同様にして、成立しきい値マトリクスAG0、AG12およびAG15、分割出力マトリクスBG0、BG12およびBG15、分割画像PG0、PG12およびPG15が得られる。
【0162】
上述の場合、4×4のマトリクスで示された階調値が全て同一の階調値であったが、4×4のマトリクスで示された階調値に種々の階調値が含まれていても、成立しきい値マトリクスが得られるので、同様に処理できる。また、多値ディザ処理では、画像変換(圧縮)後の画像、すなわち疑似階調画像が、2値のマトリクスで表現された画像(2値画像)ではなく、3値以上の多階調値のマトリクスで表現された画像(多値画像)とするが、2値ディザ処理と同様に処理できる。
【0163】
例えば、0〜63の64階調の階調画像(を表現した入力マトリクス)に多値ディザ処理を行ってその結果として多値の疑似階調画像(を表現した出力マトリクス)を得るためには、図7(a)および(b)に示すように、上記のディザマトリクスDD16と同様のものを階調値の範囲によって複数個(ここでは4個)用意しておき、それぞれ、▲1▼0〜16の階調値に対してディザマトリクスDD64(1)、▲2▼16〜32の階調値に対してディザマトリクスDD64(2)、▲3▼32〜48の階調値に対してディザマトリクスDD64(3)、▲4▼48〜63の階調値に対してディザマトリクスDD64(4)を適用する。また、上記▲1▼の結果の2値を、条件不成立(階調値<しきい値)のときには0、および条件成立(階調値≧しきい値)のときには1とし、同様に▲2▼の結果の2値を1(不成立)および2(成立)、▲3▼の結果の2値を2(不成立)および3(成立)、▲4▼の結果の2値を3(不成立)および4(成立)と規定する。
【0164】
ここで、同図(d)に示す分割入力マトリクスIGrを考える。この場合、分割入力マトリクスIGrの左下の4つのマトリクス要素(同図(c)のマトリクスIGr(1)参照)が示す階調値は▲1▼0〜16の階調値の範囲なので、ディザマトリクスDD64(1)を適用して、階調値「7」としきい値「4」(≧:成立:結果「1」)、階調値「9」としきい値「11」(<:不成立:結果「0」)、階調値「10」としきい値「13」(<:不成立:結果「0」)、階調値「8」としきい値「7」(≧:成立:結果「1」)のそれぞれの比較を行うことにより、その比較結果として、同図(d)に示す分割出力マトリクスEGrの左下の4つのマトリクス要素の値を得られる。
【0165】
同様に、分割入力マトリクスIGrの右上の4つのマトリクス要素(同図(c)のマトリクスIGr(2)参照)が示す階調値は▲2▼16〜32の階調値の範囲なので、ディザマトリクスDD64(2)を適用して、階調値「26」としきい値「19」(≧:成立:結果「2」)、階調値「24」としきい値「30」(<:不成立:結果「1」)、階調値「23」としきい値「28」(<:不成立:結果「1」)、階調値「25」としきい値「23」(≧:成立:結果「2」)のそれぞれの比較を行うことにより、その比較結果として、分割出力マトリクスEGrの右上の4つのマトリクス要素の値が得られる。なお、階調値が「16」のときは、上記のディザマトリクスDD64(1)およびディザマトリクスDD64(2)のいずれを適用しても結果は同じ(「1」)になる。
【0166】
同様に、分割入力マトリクスIGrの右下の4つのマトリクス要素(同図(c)のマトリクスIGr(3)参照)が示す階調値は▲3▼32〜48の階調値の範囲なので、ディザマトリクスDD64(3)を適用し、分割入力マトリクスIGrの左上の4つのマトリクス要素(同図(c)のマトリクスIGr(4)参照)が示す階調値は▲4▼48〜63の階調値の範囲なので、ディザマトリクスDD64(4)を適用して、それぞれの比較を行うことにより、その比較結果として、分割出力マトリクスEGrの右下の4つおよび左上の4つのマトリクス要素の値が得られる。なお、階調値が「32」のときは、上記のディザマトリクスDD64(2)およびディザマトリクスDD64(3)のいずれを適用しても結果は同じ(「2」)になり、階調値が「48」のときは、上記のディザマトリクスDD64(3)およびディザマトリクスDD64(4)のいずれを適用しても結果は同じ(「3」)になる。
【0167】
上述の分割出力マトリクスEGrは、多値(ここでは5値)ディザ処理により作成する疑似階調画像を表現する出力マトリクスを4×4のサイズに分割したマトリクスのうちの1つに相当し、分割入力マトリクスIGrに対する多値ディザ処理結果のマトリクスである。すなわち、0〜63の64階調の階調画像(を表現した入力マトリクス)に多値ディザ処理を行った結果の多値の疑似階調画像(を表現した出力マトリクス)の一部である。なお、多値(例えば5値)の疑似階調画像に対しさらに2値ディザ法を用いて、最終的に2値の疑似階調画像を得ることもできる。すなわち、上述の分割出力マトリクスEGrのように多値(5値)で表現されたマトリクスに対して、さらに2値ディザ処理を行えばよい。
【0168】
この場合、同図(e)に示すように、例えば2×2のディザマトリクスDD5を用意し、例えば分割出力マトリクスEGrをディザマトリクスDD5と同一サイズの2×2のマトリクスに分割し、2×2の対応する各マトリクス要素同士を比較して、条件が成立(階調値≧しきい値)するか不成立(階調値<しきい値)かを判別し、成立したときを1、不成立のときを0とすることにより、比較結果として、同図(d)の2値の分割出力マトリクスBGrが得られる。また、この場合の対応する分割画像は、同図の分割画像PGrのようになる。
【0169】
また、上述の場合、64階調の階調画像を多値(5値)の疑似階調画像に変換し、さらにそれを2値の疑似階調画像に変換したが、0〜63の64値でしきい値を規定して例えば8×8のマトリクス要素として配列したディザマトリクスを用意して、64階調から直接2階調にすることもできる。すなわち、「64階調→5階調→2階調」のディザ処理の代わりに「64階調→2階調」のディザ処理を行うこともできる。
【0170】
また同様に、0〜255の256階調の階調画像を対象として、例えば▲1▼0〜64、▲2▼64〜128、▲3▼128〜192、および、▲4▼192〜255の4段階に分割し、各段階に対するディザマトリクスを用意し、例えば上記▲1▼の結果の2値を0および1、▲2▼の結果の2値を1および2、▲3▼の結果の2値を2および3、▲4▼の結果の2値を3および4と規定して、各段階に対して2値ディザ処理を行えば(各段階に対して組織的ディザ法を適用すれば)、結果として0〜4の5値の疑似階調画像を作成できる。もちろん、この多値(例えば5値)の疑似階調画像に対しさらに2値ディザ法を用いて、最終的に2値の疑似階調画像を得ることもできる。
【0171】
上述のディザ処理は、モノクロ画像(濃淡の階調値を有する階調画像)ばかりでなく、カラー画像に対しても適用できる。すなわち、カラー3原色等の基本色の各階調値に関するディザ処理(カラーディザ処理)を行えば良い。例えば疑似階調画像をディスプレイ等に出力する表示画像として作成する場合には、R(レッド)、G(グリーン)およびB(ブルー)の3原色のRGB各色の階調値に関するディザ処理を行い、印刷のための印刷画像として作成する場合には、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の3原色のCMY各色の階調値に関するディザ処理、またはさらにK(ブラック)を加えたCMYKの4基本色の階調値に関するディザ処理を行えば良い。
【0172】
例えばパソコン等で作成した多階調(例えば256階調)の階調画像を、カラーではあっても各色2階調の画像しか扱えない印刷装置(プリンタ等)に出力する場合、3原色のCMY各色の階調値に関するディザ処理、またはさらにK(ブラック)を加えたCMYKの4基本色の階調値に関するディザ処理を行うことになる。サーマル方式等においても同様であるが、ここではテープ印刷装置1に合わせていわゆるインクジェット方式のプリンタを想定すると、この場合の処理は、例えば図31に示すようになる。
【0173】
同図に示すように、従来のこの種の画像作成・印刷処理(S90)では、まず、パソコン上で画像(階調画像)を作成し(S91)、印刷キー等により印刷を指定すると(S92)、次に、その作成された階調画像(を表現する入力マトリクス)をCMY各色に分解した階調画像(を表現する入力マトリクス)を抽出して(S93)、各色別に作業領域内に保存し(S94)、ディザマトリクスとの比較演算によるディザ処理を行ってから(S95)、3色の同一ポイント抽出によりK(黒:ブラック)データを作成し(S96)、色別にインクを出力して(S97)、処理(S90)を終了する(S98)。なお、パソコンに接続されたディスプレイ等の表示装置に出力する場合、例えば上記の処理(S90)において、CMYをRGBに変更して(S93、S94)、印刷指定(S92)、Kデータ作成(S96)およびインク出力(S97)を省略した処理となる。
【0174】
ところで、例えばワープロ等において、文字、数字、記号、図形等を含むキャラクタ等(以下、「文字」で代表する)を入力し、各文字を要素とする文字列等を表示したり印刷したりする場合、色指定等の最小単位は文字である。また、反転文字の場合や背景色を設定可能な場合等では、文字の背景側への色指定等もできる。また、この場合、表示画像や印刷画像として作成される文字列の画像を全体画像とすると、その文字列に含まれる各文字の画像はその全体画像の要素画像となる。
【0175】
この場合、各要素画像について、要素画像の本体となる文字の形状の画像を要素本体画像、その背景の画像を要素背景画像とすると、表示画像や印刷画像上、各要素画像の画素のうちの要素本体画像の画素とその背景になる要素背景画像の画素とは、視認により判別可能であり、これに対応して、データ処理上も、要素画像を表現するマトリクスのマトリクス要素のうち、要素本体画像の画素に対応するマトリクス要素と、要素背景画像の画素に対応するマトリクス要素とは、区分可能である。また、この場合、要素本体画像と要素背景画像には個別の階調値が設定され、要素本体画像の全画素は同一階調値となり、それとは別の階調値で要素背景画像の全画素も同一階調値となる。なお、上述の反転文字等の場合、文字の背景側を要素本体画像、文字側を要素背景画像と見ることもできる。
【0176】
また、いわゆる文字入力装置としてのワープロ等ばかりでなく、任意の線図や絵柄等を描画入力できる描画入力装置(描画(デザイン)ソフトを搭載したパソコン等を含む)でも同様の画像が作成される。すなわち、例えば全体画像のうちの任意の1の線図や絵柄にその濃淡や色を指定した場合も、その任意の1の線図や絵柄の画像は要素画像であり、その本体となる線図や絵柄の形状の画像は要素本体画像に相当し、その背景になる要素背景画像とは区分可能であり、少なくとも要素本体画像の全画素が同一階調値となる。また、いかに複雑な描画画像も、少なくとも要素本体画像の全画素が同一階調値の要素画像を合成した合成画像(全体画像)と見て、各要素画像に分解でき、各要素画像を見れば、その要素画像の要素本体画像とそれ以外の要素背景画像に分解でき、要素本体画像と要素背景画像とは区分可能であり、少なくとも要素本体画像の全画素が同一階調値となる。なお、感覚的には背景側と見られる画像も、見方を変えれば、本体側となる。
【0177】
そこで、要素画像の本体となる要素本体画像の画素とその背景になる要素背景画像の画素とが区分可能で、かつ少なくとも要素本体画像の全画素が同一階調値の要素画像を、少なくとも1つ有する全体画像を対象として、ディザ処理を行う場合について、以下に説明する。まず、上述したディザ処理(2値ディザ処理や多値ディザ処理)をそのまま適用した場合について説明する。
【0178】
例えば、要素本体画像の全画素が0〜63の64階調のうちの階調値「55」で同一階調値の場合に、要素画像を表現した入力マトリクスを4×4のマトリクスに分割した分割入力マトリクスの1つとして、そのうちの要素本体画像の輪郭内に対応する分割入力マトリクスを考える。この場合、図8(a)に示すように、階調値が全て「55」の4×4の分割入力マトリクスIG55のようになる。これに対して、図7で前述の多値(5値)ディザ処理を行うと、図8(a)の多値の分割出力マトリクスEG55が得られ、さらに図7(e)のディザマトリクスDD5に基づいて2値ディザ処理を行うと、2値の分割出力マトリクスBG55が得られ、対応する分割画像PG55が得られる。
【0179】
同様に、要素本体画像の全画素が同一階調値「35」の場合の要素本体画像の輪郭内の4×4の分割入力マトリクスを考えると、図9(a)に示すように、階調値が全て「35」の4×4の分割入力マトリクスIG35のようになり、多値(5値)ディザ処理を行うと、多値の分割出力マトリクスEG35が得られ、さらに2値ディザ処理を行うと、2値の分割出力マトリクスBG35が得られ、対応する分割画像PG35が得られる。
【0180】
一方、要素本体画像の全画素が同一階調値「35」の場合の要素本体画像の輪郭線Lの一部を含む4×4の分割入力マトリクスを考えると、図10(a)に示すように、階調値が全て「35」の要素本体画像の輪郭線L内のマトリクス要素と、輪郭線L外、すなわち階調値x(ここでは理解しやすいようにx=0とする)の要素背景画像のマトリクス要素を含む4×4の分割入力マトリクスIG35Sのようになり、図7で前述の多値(5値)ディザ処理を行うと、輪郭線Lの一部を含む多値の分割出力マトリクスEG35Sが得られ、さらに図7(e)のディザマトリクスDD5に基づいて2値ディザ処理を行うと、2値の分割出力マトリクスBG35Sが得られ、対応する分割画像PG35Sが得られる。
【0181】
しかしながら、上述のディザ処理では、3値以上のn値(上述の例では64値)の階調値をマトリクス要素とするマトリクスで表現された階調画像、すなわち、各画素毎にn値(この場合n=64)の階調値情報を有する階調画像を、画像処理の対象とするので、大きなメモリ容量を必要とする。もちろん、前述の256階調の場合にはなおさらである。また、多値ディザ処理では、ディザ処理結果としても多値(例えば5値)の疑似階調画像のためのメモリ容量を必要とする。また、ディザマトリクスとの比較演算を基本的な処理とするので、膨大な処理時間を必要とする。特にカラーディザ処理では、各基本色毎に処理されるので、メモリ容量や処理時間の問題が顕著となる。
【0182】
そこで、テープ印刷装置1では、要素画像の本体となる要素本体画像の画素とその背景になる要素背景画像の画素とが区分可能でかつ少なくとも要素本体画像の全画素が同一階調値の要素画像を、少なくとも1つ有する全体画像を対象として、メモリ容量の節約と処理時間の短縮を図りつつ、ディザ処理を行うことができる画像処理方法を採用している。以下、この点について詳述する。
【0183】
具体的には、テープ印刷装置1では、全体画像の要素画像のうち、本体となる要素本体画像の画素とその背景になる要素背景画像の画素とを区分可能な少なくとも1つの要素画像について、要素本体画像の全画素に、所定の2値のうちの有効を示す値を割り付け、要素背景画像の全画素に、所定の2値のうちの無効を示す値を割り付けることにより、所定の2値のマトリクスで表現された要素形状画像を作成する。すなわち、要素本体画像に有効を示す値(例えば1)、要素背景画像に無効を示す値(例えば0)を割り付けた2値マトリクスで表現された要素形状画像を作成する。
【0184】
例えば図8(a)の分割入力マトリクスIG55や図9(a)の分割入力マトリクスIG35は、前述のように、要素本体画像の輪郭内、すなわち要素本体画像の画素を表現するマトリクス要素のみで構成されているので、要素形状画像を表現するマトリクス(以下「要素形状画像マトリクス」)のうちの分割入力マトリクスIG55、IG35に対応するマトリクス(以下「分割要素形状画像マトリクス」)IS55、IS35は、各図(b)に示すように、全て有効を示す値の「1」を割り付けられたマトリクス要素のみで構成される。
【0185】
また、図10(a)の分割入力マトリクスIG35Sは、前述のように、要素本体画像の輪郭線Lの一部を含み、階調値が全て「35」の要素本体画像の輪郭線L内のマトリクス要素と、輪郭線L外の階調値xの要素背景画像のマトリクス要素を含んで構成されているので、対応する分割要素形状画像マトリクスIS35Sでは、同図(b)に示すように、要素本体画像の画素に相当するマトリクス要素に有効を示す「1」が割り付けられ、要素背景画像の画素に相当するマトリクス要素に無効を示す「0」が割り付けられている。
【0186】
また、上述の図8〜図10の例の場合、要素形状画像を作成する一方で、各図(c)に示すように、要素本体画像の全画素に同一の指定階調値として、n値(ここではn=64)のうちの1つの階調値を記憶する。すなわち、図8の例では指定階調値KP55=階調値「55」、図9および図10の例では指定階調値KP35=階調値「35」を記憶する。これらの場合、指定階調値を各画素の情報と別に記憶しても、各画素の情報としては2値のいずれかを有すれば(記憶すれば)よいので、各画素単位で(各画素毎に)n値(n≧3:ここではn=64)の階調値情報を有するよりメモリ容量は少なくて済む。
【0187】
例えば0〜63の値、すなわち64階調のうちの1つを表現するためには、6ビットが必要なので、上記の4×4のマトリクスのマトリクス要素毎に6ビットの情報を有するだけでも、単純に最低限6ビット×16=96ビットのメモリ容量を必要とする。これに対して、64階調のうちの1つの指定階調値をそのまま1つの数値として記憶するのであれば、単純に4×4+6=22ビットで良い。また、前者の場合、要素画像が例えば8×8のマトリクスで表現されるだけでも4倍(6ビット×64)、16×16のマトリクスならさらにその4倍(6ビット×256)のメモリ容量が必要となるが、後者の場合、同一階調値の要素本体画像の指定階調値である限り、要素本体画像のサイズに拘わらず、指定階調値は1つだけ(上記の場合単純に6ビット)記憶しておけば良いので、サイズが大きくなるほど、その差は顕著になる。
【0188】
なお、この場合、各画素毎にn値(上記の場合n=64)の階調値情報を有する画像(階調画像)に基づいて、上記の要素形状画像を作成しつつ指定階調値を抽出しても良いし、最初から要素形状画像の作成と指定階調値の指定とを個別に行っても良い。前述のパソコン等で作成された階調画像に基づく場合などには、前者に該当する方法を採用し、ワープロ等において、文字等をテキスト入力して、その文字毎に階調値を指定(濃淡指定、色指定等)して要素画像とする場合などには、後者に該当する方法を採用すれば良い。
【0189】
また、このテープ印刷装置1では、ディザマトリクスと同一サイズの所定の2値のマトリクスで表現されたディザマスクを記憶する。すなわち、ディザマトリクスの各しきい値のうちの指定階調値が条件を満たすしきい値に対応するマトリクス要素に、所定の2値のうちの有効を示す値を割り付け、条件を満たさないしきい値に対応するマトリクス要素に、所定の2値のうちの無効を示す値を割り付けたマトリクスをディザマスクとして記憶する。
【0190】
この場合のディザマスクは、ディザマトリクスと同一サイズの所定の階調画像に上述のディザマトリクスに基づく2値ディザ処理を行った結果の疑似階調画像(のマトリクス)と一致する。すなわち、ディザマトリクスと同一サイズの階調画像が各画素毎にn値の階調値情報を有し、かつ、その全画素の階調値情報が上記の指定階調値を示しているときに、その階調画像の各画素の階調値を上記のディザマトリクスの各しきい値と比較して比較結果を2値化した場合の、演算結果のマトリクスと一致する。
【0191】
例えば図8の例の場合、指定階調値KP55=階調値「55」なので、図7(a)に示すディザマトリクスDD64(4)を適用して多値(5値)ディザ処理を行い、さらに同図(e)のディザマトリクスDD5を適用して2値ディザ処理を行えば、図8(a)の2値の分割出力マトリクスBG55となるが、ここでは、この分割出力マトリクスBG55と同一の値のマトリクスをディザマスクDD64(55)として記憶する。図9の例でも同様であり、指定階調値KP35=階調値「35」なので、図7(a)に示すディザマトリクスDD64(3)を適用して多値(5値)ディザ処理を行い、さらに同図(e)のディザマトリクスDD5を適用して2値ディザ処理を行えば、図9(a)の2値の分割出力マトリクスBG35となるが、ここでは、この分割出力マトリクスBG35と同一の値のマトリクスをディザマスクDD64(35)として記憶する。
【0192】
なお、この場合、考え得る指定階調値のそれぞれについてのディザマスクを予め記憶しておいても良いし、指定階調値が判明した後に、ディザマトリクスとの比較演算により新たに作成して記憶しても良い。前者の場合、例えば指定階調値として有り得るのは、0〜63の64通りなので、例えばディザマスクDM64(0)〜DM64(63)のように、各指定階調値0〜63に対するディザマスクとして記憶しておけば、使用するときに読み出せば良いだけなので、演算時間が省略でき、画像処理全体の処理時間短縮が図れる。
【0193】
一方、後者の場合、例えば図8の場合に、指定階調値「55」が判明した後に、それに適用される図7(a)のディザマトリクスDD64(4)や同図(e)のディザマトリクスDD5を適用し、図8(a)の分割出力マトリクスBG35と同様に、比較演算により新たにディザマトリクスDD64(55)として作成して記憶することになる。しかし、この場合、上述のディザマスクDM64(0)〜DM64(63)のように、考え得る指定階調値0〜63の64通りについて記憶する必要がないので、ディザマスク記憶用のメモリ容量を節約でき、また、ディザマトリクスのサイズの比較演算なので、その処理時間も比較的短くて済む。
【0194】
また、このテープ印刷装置1では、要素形状画像のディザマスクと同一サイズのマトリクス毎に、各マトリクスとディザマスクとの対応するマトリクス要素同士を対象として、双方が有効を示す値のときのみ有効を示す値とする論理積演算を行うことにより、その論理積演算の結果として、要素形状画像と同一サイズの所定の2値のマトリクスで表現された要素ディザ画像を作成する。
【0195】
図8〜図10で上述の例の場合、要素形状画像を表現するマトリクス(以下「要素形状画像マトリクス」)のうち、ディザマスクと同一サイズのマトリクス、すなわち4×4の分割マトリクス(以下「分割要素形状画像マトリクス」)IS55、IS35、IS35Sについてのみ、説明しているので、「ディザマスクと同一サイズのマトリクス毎に」については後述するものとし、ここでは、論理積演算についてのみ説明する。
【0196】
図8および図9の例では、前述のように、分割要素形状画像マトリクスIS55、IS35が、各図(b)に示すように、全て有効を示す値の「1」を割り付けられたマトリクス要素のみで構成されているので、ディザマスクDD64(55)やDD64(35)と論理積演算を行っても、ディザマスクDD64(55)やDD64(35)と同一の値の演算結果のマトリクスとなる。すなわち、演算結果の要素ディザ画像を表現する出力マトリクス(以下「要素ディザ画像マトリクス」)のうちの分割要素形状画像マトリクスIS55、IS35に対応する分割出力マトリクス(以下「分割要素ディザ画像マトリクス」)は、図8および図9に示すように、ディザマスクDD64(55)、DD64(35)と同一のマトリクスとなる。
【0197】
一方、図10の例の場合、前述のように、分割要素形状画像マトリクスIS35Sでは、同図(b)に示すように、要素本体画像の画素に相当するマトリクス要素に有効を示す「1」が割り付けられ、要素背景画像の画素に相当するマトリクス要素に無効を示す「0」が割り付けられているが、同図(b)に示すように、指定階調値KP35=階調値「35」に対応するディザマスクDD64(35)との論理積演算(図示では「.AND.」で示す)、すなわち対応するマトリクス要素同士を対象として、双方が有効を示す値(ここでは「1」)のときのみ有効を示す値(「1」)とする論理積演算を行うだけで、同図(a)で前述の多値ディザ処理と2値ディザ処理における比較演算によって得られた結果と同じ2値の分割出力マトリクス(分割要素ディザ画像マトリクス)BG35Sが得られる。
【0198】
すなわち、従来なら、要素画像のディザマトリクスと同一サイズのマトリクス毎に、各マトリクスの各画素の階調値とそれに対応するディザマトリクスのしきい値とを比較して疑似階調画像を得るが、テープ印刷装置1では、単に論理積演算でよいので、処理速度の向上(処理時間の短縮)が図れる。また、その論理積演算の入力(ディザマスク、要素形状画像マトリクス)も出力(演算結果の要素ディザ画像)も2値マトリクスで表現されるので、メモリ容量を節約できる。もちろん、全体画像の一部の要素画像ばかりでなく、全体画像に対しても同様の処理が可能な場合、すなわち全要素画像について要素本体画像と要素背景画像とが区分可能な場合、全体画像に適用することにより、さらにメモリ容量の節約および処理時間の短縮が図れる。以下、この要素画像全体および全体画像に適用する場合について説明する。
【0199】
なお、以下の説明では、図示およびその説明の都合上(説明の効率上)、理解しやすいように、0〜4の5階調の階調値を例にし(n=5)、ディザマトリクスとして2×2のサイズのマトリクスを使用して説明する。もちろん、上述した64階調や前述の256階調のときにも、同様の原理で処理でき、また、ディザマトリクスとしても上述の4×4のサイズや前述の8×8のサイズを利用することもできる。また、同様の理由から、以下では、2×2のサイズのディザマトリクスとして、上述の説明で利用したディザマトリクスDD5(図7(e)、図11(a)および図12(c)参照:全て同じディザマトリクス)を利用する。なお、このような場合、通常、上述の0〜63の64階調や0〜255の256階調などのように、2進数としての情報の効率上、0〜(2k −1)の2k (kは2以上の自然数)の階調値とするが、以下では、説明の効率を優先して0〜4の5階調とする。また、以下では、まず、モノクロ(通常、白と黒:黒の濃淡)画像の場合について説明するが、その後にカラー画像について説明するので、図面としては、後述のY(イエロー)の階調値の例を用いて説明する。
【0200】
まず、図11に示すように、同図(a)のディザマトリクスDD5が予め定められ、0〜4の5階調で表現される同図(b)のような階調画像(を表現した入力マトリクス)IMGを対象として、従来の方法により2値ディザ処理を行う場合について説明する。
【0201】
同図に示すように、ここでは、数字の「1」の文字画像の階調値が「4」、数字の「2」の文字画像の階調値が「1」、数字の「3」の文字画像の階調値が「2」となっていて、全体として文字列(数字列)「123」の文字列画像が構成されている。この場合、文字列「123」の文字列画像が全体画像に相当し、(横)24×(縦)17の入力マトリクスIMGにより表現されている。また、この全体画像を構成する要素画像の1つが文字「1」の文字画像であり、(横)8×(縦)17のマトリクスで表現され、同様にそれぞれ要素画像の1つとして、文字「2」の文字画像および文字「3」の文字画像があり、それぞれ(横)8×(縦)17のマトリクスで表現されている(図12(a)参照)。
【0202】
この入力マトリクスIMGに対して、ディザマトリクスDD5に基づいて従来の2値ディザ処理を行う場合、原画像の階調画像を表現した入力マトリクスIMGをディザマトリクスDD5のサイズ(2×2)のマトリクス(例えば図示の点網掛け部分のマトリクス等)に分割し、分割した各マトリクス毎にそのマトリクス要素の階調値とそれに対応するディザマトリクスDD5のしきい値とを比較演算して、しきい値が示す条件を満たすか否かを判別し、その判別結果に従って2値のうちのいずれかを割り付けることにより、2値のマトリクスで表現された疑似階調画像を作成する。
【0203】
理解しやすいように、ディザマトリクスDD5のしきい値の条件を満たした(階調値≧しきい値の)マトリクス要素を元の階調値で表現し、条件を満たさない(階調値<しきい値の)マトリクス要素を「0」で表現して図示したものが同図(c)のマトリクスAMGである。この場合、この条件を満たしたマトリクス要素に有効を示す値「1」を割り付け、条件を満たさないマトリクス要素に無効を示す値「0」を割り付けたものが、処理結果の2値マトリクス、すなわち目的の2値の疑似階調画像を表現する出力マトリクス(図13(a)の出力マトリクスDGYと同じ)となり、この出力マトリクスで表現された画像が目的の疑似階調画像(例えば「1」を黒、「0」を白としたときに、図13(b)の疑似階調画像PGY、すなわち後述の印刷画像PGYと同じ)となる。
【0204】
これに対し、テープ印刷装置1で採用している画像処理方法では、全体画像の要素画像のうち、本体となる要素本体画像の画素とその背景になる要素背景画像の画素とを区分可能な少なくとも1つの要素画像について、要素本体画像の全画素に、所定の2値のうちの有効を示す値を割り付け、要素背景画像の全画素に、所定の2値のうちの無効を示す値を割り付けることにより、所定の2値のマトリクスで表現された要素形状画像を作成する。すなわち、要素本体画像に有効を示す値、要素背景画像に無効を示す値を割り付けた2値マトリクスで表現された要素形状画像を作成する。また、その一方で、要素本体画像の全画素に同一の指定階調値として、n値のうちの1つの階調値を記憶する。
【0205】
具体的には、まず、図12(a)に示すように、全体画像である文字列「123」の文字列画像の要素画像(ここでは、文字「1」の文字画像、文字「2」の文字画像および文字「3」の文字画像、の各要素画像)のうち、本体となる要素本体画像の画素とその背景になる要素背景画像の画素とを区分可能な少なくとも1つの要素画像(ここでは全て区分可能な要素画像なので、全要素画像のそれぞれ)について、要素本体画像に有効を示す値「1」、要素背景画像に無効を示す値「0」を割り付けた要素形状画像マトリクスSG1、SG2およびSG3で表現された要素形状画像を作成する。また、その一方で、同図(b)に示すように(ここでは、Y色の値を参照)、要素本体画像の全画素に同一の指定階調値として、それぞれn値(5値)のうちの1つの階調値(すなわち文字「1」の文字画像の要素本体画像には階調値「4」、文字「2」の文字画像の要素本体画像には階調値「1」、文字「3」の文字画像の要素本体画像には階調値「2」)を記憶する。
【0206】
この場合、指定階調値を各画素の情報と別に記憶しても、各画素の情報としては2値のいずれかを有すれば(記憶すれば)よいので、各画素単位で(各画素毎に)n値(ここではn=5)の階調値情報を有するよりメモリ容量は少なくて済む。なお、前述のように、この場合、パソコン等で作成された例えば図11(b)の階調画像がすでに存在する場合などには、その画像(の入力マトリクス)に基づいて、上記の要素形状画像を作成しつつ指定階調値を抽出しても良いし、ワープロ等において、文字等をテキスト入力して、その文字毎に階調値を指定(濃淡指定、色指定等)して要素画像とする場合などには、最初から要素形状画像の作成と指定階調値の指定とを個別に行っても良いが、前述のように、テープ印刷装置1では、キーボード3により文字等をテキスト入力できるので、後者を採用している。
【0207】
また、テープ印刷装置1では、前述のように、ディザマトリクスと同一サイズの所定の2値のマトリクスで表現されたディザマスクを記憶する。すなわち、ディザマトリクスの各しきい値のうちの指定階調値が条件を満たすしきい値に対応するマトリクス要素に、所定の2値のうちの有効を示す値を割り付け、条件を満たさないしきい値に対応するマトリクス要素に、所定の2値のうちの無効を示す値を割り付けたマトリクスをディザマスクとして記憶する。
【0208】
具体的に、上述の図12の例では、同図(d)に示すように、5つのディザマスクDM5(0)〜DM5(4)を予め作成して記憶している。この場合のディザマスクDM5(0)〜DM5(4)は、それぞれ、ディザマトリクスDD5と同一サイズ(ここでは2×2のサイズ)の所定の階調画像にディザマトリクスDD5に基づく2値ディザ処理を行った結果の疑似階調画像のマトリクスと一致する(これらの場合の疑似階調画像は、「1」を黒、「0」を白としたときに、各ディザマスクDM5(0)〜DM5(4)の下の括弧内にそれぞれ図示のようになる)。なお、この場合のディザマスクDM5(h)の添え字h(=0〜4)は、対応する指定階調値と一致し、そのディザマスクの種類を表しているので、以下「マスク番号」という。
【0209】
例えば2×2のサイズの階調画像が各画素毎にn値(ここではn=5)の階調値情報を有し、かつ、その全画素の階調値情報が例えば指定階調値「0」を示しているときに、その階調画像の各画素の階調値「0」をディザマトリクスDD5の各しきい値と比較すると、全て条件不成立(階調値<しきい値)となるので、2×2のマトリクス要素の値が全て「0」となる。すなわち、図示のディザマスクDM5(0)は、このときの演算結果のマトリクスと一致する。同様に、全画素の指定階調値が全て「1」の2×2のサイズの階調画像に対して、ディザマトリクスDD5に基づく2値ディザ処理を行うと、処理結果のマトリクスのマトリクス要素のうち、条件が成立する(階調値≧しきい値の)マトリクス要素、すなわち「1」となるマトリクス要素は左下の1つのみなので、図示のディザマスクDM5(1)は、このときの演算結果のマトリクスと一致する。同様に、ディザマスクDM5(2)は、全画素の指定階調値が全て「2」の2×2のサイズの階調画像に対して、ディザマスクDM5(3)は、全画素の指定階調値が全て「3」の2×2のサイズの階調画像に対して、ディザマスクDM5(4)は、全画素の指定階調値が全て「4」の2×2のサイズの階調画像に対して、それぞれディザマトリクスDD5に基づく2値ディザ処理を行った結果の、それぞれのマトリクスと一致する。
【0210】
上述の場合、考え得る指定階調値0〜4のそれぞれについてのディザマスクDM5(0)〜DM5(4)を予め記憶しているので、使用するときに読み出すだけで済み、演算時間が省略できるので、画像処理全体の処理時間短縮が図れる。もちろん、前述のように、指定階調値が判明した後に、ディザマトリクスDD5との比較演算により新たに作成して記憶しても良く、その場合、ディザマスク記憶用のメモリ容量を節約でき、また、ディザマトリクスDD5のサイズ(ここでは2×2のサイズ)の比較演算なので、その処理時間も比較的短くて済む。
【0211】
また、テープ印刷装置1では、前述のように、要素形状画像のディザマスクと同一サイズのマトリクス毎に、各マトリクスとディザマスクとの対応するマトリクス要素同士を対象として、双方が有効を示す値のときのみ有効を示す値とする論理積演算を行うことにより、その論理積演算の結果として、要素形状画像と同一サイズの所定の2値のマトリクスで表現された要素ディザ画像を作成する。
【0212】
例えば上述の例の場合、要素形状画像マトリクスSG1で表現された要素形状画像の2×2のサイズのマトリクス毎に、指定階調値「4」の場合のディザマスクDM5(4)と、対応するマトリクス要素同士の論理積演算を行うと、演算結果の要素ディザ画像を表現する要素ディザ画像マトリクスは、全体画像である文字列「123」の文字列画像(全体画像)のディザ画像(以下「全体ディザ画像」)を表現する出力マトリクス(以下「全体ディザ画像マトリクス」)のうちの、すなわち図13(a)の(横)24×(縦)17の全体ディザ画像マトリクスDGYのうちの、左側(文字「1」)の(横)8×(縦)17のマトリクスとなる。
【0213】
同様に、要素形状画像マトリクスSG2で表現された要素形状画像の2×2のサイズのマトリクス毎に、指定階調値「1」のディザマスクDM5(1)との論理積演算を行うと、図13(a)の(横)24×(縦)17のうちの中央(文字「2」)の(横)8×(縦)17の要素ディザ画像マトリクスとなり、要素形状画像マトリクスSG3で表現された要素形状画像の2×2のサイズのマトリクス毎に、指定階調値「2」のディザマスクDM5(2)との論理積演算を行うと、図13(a)の(横)24×(縦)17のうちの右側(文字「3」)の(横)8×(縦)17の要素ディザ画像マトリクスとなる。
【0214】
従来なら、要素画像のディザマトリクスと同一サイズのマトリクス毎に、各マトリクスの各画素の階調値とそれに対応するディザマトリクスのしきい値とを比較して疑似階調画像を得るが、上述のように、テープ印刷装置1では、単に論理積演算でよいので、処理速度の向上(処理時間の短縮)が図れる。また、その論理積演算の入力(ディザマスク、要素形状画像マトリクス)も出力(要素ディザ画像)も2値マトリクスなので、メモリ容量を節約できる。また、全体画像の一部の要素画像ばかりでなく、上述の例のように全体画像に対しても同様の処理が可能な場合、すなわち全要素画像について要素本体画像と要素背景画像とが区分可能な場合、全体画像に適用することにより、さらにメモリ容量の節約および処理時間の短縮が図れる。
【0215】
また、従来の場合、元のn値の指定階調値を各画素の階調値情報として有するため、多値(例えば前述の5値)の疑似階調画像にしたとしても、n値の指定階調値の情報を失ってしまい、さらに2値化すると、疑似階調画像の多値の情報さえも失ってしまう。最初から2値ディザ処理を行う場合も同様であり、2値化によりn値の情報を失ってしまう。すなわち、設定(指定)した階調値を表示画面等で再確認するためには、元の階調画像を記憶しておく必要があり、余分なメモリ容量が必要となる。また、要素本体画像の画素に同一の階調値が指定されていても、それを一括で確認することはできず、階調画像の全画素の階調値を表示または印刷して、各画素毎に視認する必要がある。これに対し、テープ印刷装置1では、要素本体画像の画素に同一の階調値が指定されている場合、要素本体画像に対する指定階調値を各画素の情報とは別に記憶しているので、メモリ容量を節約しつつ、そのまま数値(階調値)により(例えば表示または印刷して)一括で確認できる。
【0216】
したがって、このテープ印刷装置1では、要素画像の本体となる要素本体画像の画素とその背景になる要素背景画像の画素とが区分可能でかつ少なくとも要素本体画像の全画素が同一階調値の要素画像を、少なくとも1つ有する全体画像を対象として、メモリ容量の節約と処理時間の短縮を図りつつ、ディザ処理を行うことができる。
【0217】
なお、上述の文字をテキスト入力して、その文字毎に階調値を指定(濃淡指定、色指定等)して要素画像とする場合などの他、文字の背景側の階調値を指定(濃淡指定、色指定等)できる場合には、文字の背景側を要素本体画像として扱うことにより、文字の背景側の要素ディザ画像を作成できる。これは反転文字等の場合に適している他、その応用として、文字側を要素本体画像としたときの要素ディザ画像と文字の背景側を要素本体画像としたときの要素ディザ画像とを組み合わせて(重ね合わせて)、双方にディザ処理を行った要素ディザ画像を得ることもできる。
【0218】
また、いかに複雑な描画画像も、少なくとも要素本体画像の全画素が同一階調値の要素画像を合成した合成画像(全体画像)と見て、各要素画像に分解でき、各要素画像の要素本体画像とそれ以外の要素背景画像に分解でき、要素本体画像と要素背景画像とは区分可能なので、各要素画像に対応する要素ディザ画像を作成して、それらを組み合わせる(対応するマトリクス要素を重ね合わせる)ことにより、複雑な描画画像にディザ処理を行った要素ディザ画像をも得ることができる。
【0219】
また、テープ印刷装置1では、所定の2値が1および0なので、2進数1桁の1ビットで各画素を表現でき、メモリ容量が少なくて済む他、上述した論理積演算が1画素当たり1つのAND素子またはそれに相当するプログラムによるAND演算処理で済み、ディザマスク相当のサイズのマトリクスやそれを複数配置したさらに大きなマトリクスを対象として、マトリクス単位での演算も容易なので、さらに処理時間の短縮が図れる。また、上述の例のように、要素画像がモノクロ画像である場合、その濃淡を示す階調値を指定階調値として記憶するので、モノクロの要素画像の濃淡に関するディザ処理に適用できる。
【0220】
なお、テープ印刷装置1では、要素画像や全体画像としてモノクロ画像ばかりでなく、カラー画像を扱うこともでき、上述の画像処理方法は、カラー画像の場合にも適用できるので、以下、カラー画像に適用する場合、すなわちカラーディザ処理を行う場合について説明する。この場合、例えばRGBまたはCMYのカラー3原色の各色の階調値、あるいは後者にKを加えたCMYKの4色の各色の階調値のそれぞれについて、上述の処理により各要素ディザ画像を求めて組み合わせれば良い。また、この場合、例えばCMY各色の要素ディザ画像を求めてから、それらの各要素ディザ画像の全てに共通して有効を示す値の画素(マトリクス要素)を抽出することにより、K色の要素ディザ画像を得ることもできる。
【0221】
以下、具体的に、特に印刷のためのカラーディザ処理の場合、すなわち、カラーディザ処理により、印刷のための印刷画像として要素ディザ画像または全体ディザ画像を作成する場合について、図12〜図20を参照して説明する。なお、前述のように、テープ印刷装置1は、インクジェット方式の印刷装置なので、印刷画像として作成された要素ディザ画像の有効を示す値「1」のマトリクス要素は、テープT(特に印刷テープT1:印刷対象物)に対して印刷ヘッド(インクジェットヘッド)7からインクを吐出すべき画素に対応している。また、カラー3原色は、C(シアン)、M(マゼンタ)およびY(イエロー)の3色であり、各種のXYプロッタやプリンタ等における印刷などの反射光によってカラー表現する場合に適した、いわゆる減法混色により色(カラー)を表現している。また、CMYの3原色の混合色(混色)であるK(ブラック)を含むCMYKの4色を基本色とする。
【0222】
図16は、テープ印刷装置1における典型的な画像作成・印刷処理を示すフローチャートである。この処理(S10)では、同図に示すように、まず、文字等をテキスト入力する(S11)。より具体的には、ディスプレイ4により確認しながら、キーボード3により、まず、例えば文字列「123」のように文字を入力し(S111)、次に、文字等のサイズや装飾を指定し(S112)、色指定等を行う(S113)。
【0223】
なお、この場合、サイズや装飾はフォームキー322により選択画面を表示させて、カーソルキー330により選択肢を反転表示させ、選択キー323により確定することにより選択して指定する。また、色指定は、ディスプレイ4の表示画面41上で、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の階調値を、例えば図20に示す色変換テーブルに規定された色情報(以下「色パレット情報」)に基づいて色指定キー324により指定し、文字やその背景を色設定キー325により指示して設定する。文字側のみ色指定した場合、後述の処理(要素形状画像作成等)では、文字側の画像を要素本体画像とし、背景側を要素背景画像として処理する。また、背景側のみ色指定した場合、逆に背景側の画像を要素本体画像とし、文字側を要素背景画像として処理する。双方が指定された場合には、双方を処理して各要素ディザ画像を作成後に重ね合わせる。ただし、以下の説明では、理解しやすいように、文字側のみ指定する例について説明する。
【0224】
例えば図12(b)に示すように(図20も参照)、文字「1」の文字画像(要素本体画像)に黒色を指定する(図20のNo.1)。すなわちCMY各色の階調値を全て「4」としたことになる。また、文字「2」の文字画像(要素本体画像)には薄い赤紫を指定する(No.19)。すなわち、CMY3原色の指定階調値(以下「原色階調値」)として、C色の原色階調値「0」、M色の原色階調値「2」、Y色の原色階調値「1」を指定したことになる。同様に、文字「3」の文字画像(要素本体画像)には薄いイエローを指定する(No.17)。すなわちC色の原色階調値「0」、M色の原色階調値「0」、Y色の原色階調値「2」を指定したことになる。これらの色パレット情報のデータ(色パレットデータ)CP1、CP2およびCP3は、文字「1」、「2」および「3」の文字画像(要素本体画像)の指定階調値としてRAM240内の色パレットデータ領域247に記憶される。
【0225】
図16に示すように、文字列「123」のテキスト入力(S11)が終了し、印刷キー321により印刷が指定されると(S12)、CG−ROM230内のアウトラインフォントに基づいて、文字列「123」の各文字を画像展開して、図12(a)に示す要素形状画像マトリクスSG1、SG2、SG3で表現された各文字(各要素画像)の要素形状画像を作成する(S13)。もちろん、アウトラインフォントに基づく以外にも、例えばドットマップフォントに基づく文字や、外字登録や描画登録によりドットマップで登録済みの文字(キャラクタの意味)も利用できる。これらは文字展開バッファ(フォント色バッファ)に展開される。
【0226】
図16に示すように、各文字(各要素画像)の要素形状画像を作成して入力文字展開が終了すると(S13)、次に、基本色別のディザマスクを選択する(S14)。例えば、文字「1」の文字画像(要素形状画像)に着目すると、CMY各色の原色階調値が全て「4」なので、マスク番号「4」のディザマスクDM5(4)があれば、次のマスク処理(S15)に移行できる。なお、テープ印刷装置1では、前述のように、考え得る指定階調値(ここでは原色階調値)の全てを予め作成して記憶しているが、仮にこの文字「1」の文字画像(要素形状画像)だけを処理するのであれば、ディザマスクとしては、ディザマスクDM5(4)だけ記憶すればよい。
【0227】
同様に、文字「2」の文字画像(要素形状画像)に着目すると、C色の原色階調値「0」、M色の原色階調値「2」、Y色の原色階調値「1」なので、マスク番号「0」、「2」、「1」のディザマスクDM5(0)、DM5(2)、DM5(1)が準備されれば、次のマスク処理(S15)に移行できる。同様に、文字「3」の文字画像(要素形状画像)に着目すると、C色の原色階調値「0」、M色の原色階調値「0」、Y色の原色階調値「2」なので、マスク番号「0」、「2」のディザマスクDM5(0)、DM5(2)が準備されれば、次のマスク処理(S15)に移行できる。
【0228】
図16に示すように、基本色別ディザマスクの選択(S14)が終了すると、次に、基本色別にマスク処理を行う(S15)。すなわち、要素形状画像の(要素形状画像マトリクスを分割したときの)ディザマスクと同一サイズのマトリクス毎に、各マトリクスとディザマスクとの対応するマトリクス要素同士を対象として、双方が有効を示す値のときのみ有効を示す値とする論理積演算を行うことにより、その論理積演算の結果として、要素形状画像(を表現する要素形状画像マトリクス)と同一サイズの所定の2値のマトリクス(要素ディザ画像マトリクス)で表現された要素ディザ画像を作成する。
【0229】
例えば、文字「1」の文字画像(要素形状画像)に着目すると、CMY各色の原色階調値が全て「4」なので、要素形状画像マトリクスSG1で表現された要素形状画像の2×2のサイズのマトリクス毎に、原色階調値(指定階調値)「4」の場合のディザマスクDM5(4)と、対応するマトリクス要素同士の論理積演算を行うと、演算結果の要素ディザ画像を表現する要素ディザ画像マトリクスは、全体画像である文字列「123」の文字列画像の全体ディザ画像を表現する全体ディザ画像マトリクス(原色に対するものを以下「原色全体ディザ画像マトリクス」という)のうちの、すなわち図13(a)、図14(a)および図15(a)の(横)24×(縦)17の原色全体ディザ画像マトリクスDGY、DGCおよびDGMのうちの、それぞれの左側(文字「1」)の(横)8×(縦)17の要素ディザ画像マトリクス(原色に対するものを以下「原色要素ディザ画像マトリクス」という)となる。
【0230】
同様に、文字「2」の文字画像(要素形状画像)に着目すると、要素形状画像マトリクスSG2で表現された要素形状画像の2×2のサイズのマトリクス毎に、Y色の原色階調値(指定階調値)「1」のディザマスクDM5(1)との論理積演算を行うと、図13(a)の(横)24×(縦)17の原色全体ディザ画像マトリクスDGYのうちの、中央(文字「2」)の(横)8×(縦)17の原色要素ディザ画像マトリクスとなり、C色の原色階調値(指定階調値)「0」のディザマスクDM5(0)との論理積演算を行うと、図14(a)の(横)24×(縦)17の原色全体ディザ画像マトリクスDGCのうちの、中央(文字「2」)の(横)8×(縦)17の原色要素ディザ画像マトリクスとなり、M色の原色階調値(指定階調値)「2」のディザマスクDM5(2)との論理積演算を行うと、図15(a)の(横)24×(縦)17の原色全体ディザ画像マトリクスDGCのうちの、中央(文字「2」)の(横)8×(縦)17の原色要素ディザ画像マトリクスとなる。
【0231】
同様に、文字「3」の文字画像(要素形状画像)に着目すると、要素形状画像マトリクスSG2で表現された要素形状画像の2×2のサイズのマトリクス毎に、Y色の原色階調値(指定階調値)「2」のディザマスクDM5(2)との論理積演算を行うと、図13(a)の(横)24×(縦)17の原色全体ディザ画像マトリクスDGYのうちの、右側(文字「3」)の(横)8×(縦)17の原色要素ディザ画像マトリクスとなり、C色およびM色の原色階調値(指定階調値)「0」のディザマスクDM5(0)との論理積演算を行うと、図14(a)および図15(a)の(横)24×(縦)17の原色全体ディザ画像マトリクスDGCおよびDGMのうちの、それぞれの右側(文字「3」)の(横)8×(縦)17の原色要素ディザ画像マトリクスとなる。
【0232】
図13〜図15の上述の原色全体ディザ画像マトリクスDGY、DGCおよびDGMは、それぞれY色、C色およびM色の基本色別配置バッファに、各文字の原色要素ディザ画像マトリクスを配置することにより作成される。なお、図16に示すように、基本色別マスク処理(S15)が終了すると、次に、K(黒)データ作成(S16)を行うが、この処理(S16)を省略して、色別にインク出力(S17)を行うことにより、CMY3原色による印刷を行うこともできる。この場合の印刷画像(すなわち疑似階調画像)は、図13〜図15の各図(b)に示すように、Y色、C色およびM色について、それぞれ、印刷画像(疑似階調画像)PGY、PGCおよびPGMのようになる。ただし、図示の文字「2」や「3」の輪郭線は理解しやすいように付したもので、印刷はされない。
【0233】
上述の場合、文字「1」については、ディザマスクDM5(4)に基づく原色要素ディザ画像(マトリクス)を作業領域に1個作成して、それを3個の基本色別配置バッファに重複してコピーしても良い。同様に、文字「3」については、ディザマスクDM5(2)に基づく原色要素ディザ画像(マトリクス)とディザマスクDM5(0)に基づく原色要素ディザ画像(マトリクス)との2個を作成して、後者をC色およびM色の基本色別配置バッファに重複してコピーしても良い。
【0234】
上述のように、テープ印刷装置1では、要素画像がカラー画像である場合、カラー3原色の各色についての原色階調値を、それぞれ指定階調値の1種として記憶し、原色階調値のうちの少なくとも相互に値が異なるものに対応する原色ディザマスクを、それぞれディザマスクの1種として記憶し、原色ディザマスクに対応する原色要素ディザ画像を、それぞれ要素ディザ画像の1種として作成する。すなわち、3原色の原色階調値の全てが同一の値のときには、少なくとも1個、2原色について同一の値のときには、少なくとも2個、それぞれ別のときには、少なくとも3個の原色要素ディザ画像を作成する。この場合、3原色について同一のときに1個の原色要素ディザ画像を3原色用に重複利用し、2原色について同一のときにその2原色について重複利用することも含め、3原色についての原色要素ディザ画像が得られる。
【0235】
なお、この場合、考え得る原色階調値のそれぞれについての原色ディザマスクを予めディザマスクとして記憶しておいても良いし、原色階調値が判明した後に、ディザマトリクスとの比較演算により新たに作成して記憶しても良い。また、考え得る指定階調値に対応するディザマスクが予め記憶されている場合には、原色階調値が判明した後に、それらから選択して改めて原色ディザマスクとして記憶しても良い。上述の例の場合には、考え得る5つの指定階調値0〜4に対応する5つのディザマスクDM5(0)〜DM5(4)を記憶していて、それらをそのまま原色階調値についての原色ディザマスクとして利用しているので、考え得る原色階調値のそれぞれについての原色ディザマスクを予めディザマスクとして記憶している場合に相当する。
【0236】
図16に示すように、基本色別マスク処理(S15)が終了すると、次に、K(黒)データ作成(3色同一ポイント抽出)を行う(S16)。テープ印刷装置1では、このKデータ作成処理(S16)において、まず、混色要素ディザ画像を、要素ディザ画像の新たな1種として作成する。すなわち、テープ印刷装置1では、要素画像がカラー画像である場合、作成された原色要素ディザ画像の全てに共通して有効を示す値のマトリクス要素を抽出し、抽出したマトリクス要素のみに有効を示す値を割り付けた混色要素ディザ画像を、要素ディザ画像の新たな1種として作成する。この場合、3原色についての原色要素ディザ画像に加え、それらの混色についての混色要素ディザ画像を得ることができる。この混色要素ディザ画像は、例えば、作成された原色要素ディザ画像の対応するマトリクス要素同士を対象として、全てが有効を示す値のときのみ有効を示す値とする論理積演算の結果として作成される。すなわち、この場合、比較的単純な論理積演算を行うだけで、混色要素ディザ画像を作成できる。
【0237】
上述の例の場合、図12(b)に示す色パレットデータCP2およびCP3から明らかなように、文字「2」および文字「3」については、原色階調値(ここではマスク番号に相当)に「0」が含まれているので、同図(d)のDM5(0)との論理積(AND)演算により、マトリクス要素が全て無効を示す値「0」の原色要素ディザ画像マトリクスが存在することになり(図14の文字「2」および「3」の部分、図25の文字「2」の部分)、原色要素ディザ画像の全てに共通して有効を示す値「1」のマトリクス要素は存在しない。
【0238】
これに対し、黒指定の文字「1」は、図12(b)の色パレットデータCP1および図13〜図15の原色要素ディザ画像から明らかなように、CMY各色の原色要素ディザ画像マトリクスの要素本体画像に相当する部分のマトリクス要素が全て有効を示す値「1」である。このため、原色要素ディザ画像の全てに共通して有効を示す値「1」のマトリクス要素を抽出した混色要素ディザ画像は、要素形状画像と一致する。すなわち、図12(a)の要素形状画像マトリクスSG1と同じ値を持つ要素ディザ画像マトリクス(以下、混色に対するものを「混色要素ディザ画像マトリクス」という)により表現された混色要素ディザ画像が得られる。
【0239】
また、原色要素ディザ画像マトリクスを配置して原色全体ディザ画像マトリクスを作成するのと同様に、K色の基本色別配置バッファに、各文字の混色要素ディザ画像マトリクスを配置することにより、混色(ここではK色)についての全体ディザ画像マトリクス(混色に対するものを以下「混色全体ディザ画像マトリクス」という)により表現された混色全体ディザ画像が得られる。上述の例の場合、混色全体ディザ画像マトリクスDGKおよびそれをそのまま印刷したときの印刷画像(疑似階調画像)PGKは、それぞれ、図14で前述のC色の原色全体ディザ画像マトリクスDGCおよび印刷画像PGCと同じになる。
【0240】
なお、上述の例の場合、黒色、すなわちK色そのものが指定色だが、図20に示すように、黒(No.1のK欄参照)だけでなく、無彩色の灰色系(No.3〜5のK欄参照)や有彩色の明度を変化させたもの(No.24〜25のK欄参照)であっても、作成された原色要素ディザ画像の全てに共通して有効を示す値「1」のマトリクス要素を抽出でき、抽出したマトリクス要素のみに有効を示す値「1」を割り付けることにより、混色要素ディザ画像が得られ、それを全体画像に対して適用することにより、混色全体ディザ画像が得られる。
【0241】
上述の例においては、黒が指定されたので、文字「1」の混色要素ディザ画像マトリクスは、マスク番号「4」の場合の要素ディザ画像マトリクスと同じ(すなわち要素形状画像マトリクスSG1と同じ値を持つ)ことになったが(No.1のK欄参照)、例えば灰色(No.4のK欄参照:マスク番号「2」)が指定されれば、原色要素ディザ画像の全てに共通して有効を示す値「1」のマトリクス要素は、要素形状画像マトリクスSG1で表現された要素形状画像の2×2のサイズのマトリクス毎に、マスク番号「2」の場合のディザマスクDM5(2)と論理積演算を行った結果の有効を示す値「1」のマトリクス要素と一致する。すなわち、この場合の混色要素ディザ画像は、要素形状画像とマスク番号「2」のディザマスクDM5(2)に基づいて得られる要素ディザ画像に一致する。
【0242】
図16のKデータ作成処理(S16)において、上述の混色要素ディザ画像の作成を行った後には、下記の混色有効マトリクス要素削除処理を行う。そして、このK(黒)データ作成処理(S16)が終了すると、次に、各基本色別配置バッファの各全体ディザ画像(のマトリクス)を印刷バッファに転送し、色別にインクを出力することにより、疑似階調画像として作成された印刷画像を印刷して(S17)、画像作成・印刷処理(S10)を終了する。なお、上述の説明では、理解しやすいように、一旦、各色別の基本色別配置バッファに各全体ディザ画像を配置して作成し、その後印刷バッファに転送したが、印刷バッファ内の各色別の領域に直接配置するようにしても良い。
【0243】
上述のように、テープ印刷装置1では、図16のKデータ作成処理(S16)において、混色有効マトリクス要素削除処理を行う。すなわち、作成された原色要素ディザ画像の有効を示す値「1」のマトリクス要素のうち、混色要素ディザ画像の有効を示す値「1」のマトリクス要素に対応するマトリクス要素の値を、無効を示す値「0」に変換するための混色有効マトリクス要素削除処理を行う。これにより、3原色についての原色要素ディザ画像の有効を示す値「1」のマトリクス要素のうち、混色要素ディザ画像の有効を示す値「1」と重複して有効を示すマトリクス要素の有効をキャンセルできる。
【0244】
3原色についての原色要素ディザ画像およびそれらの混色についての混色要素ディザ画像を組み合わせた(重ね合わせた)場合、混色要素ディザ画像の有効を示す値のマトリクス要素に対応するマトリクス要素は、3原色と混色の4個の要素ディザ画像について有効を示す値が重複することになり、3原色についての原色要素ディザ画像による混色と、混色要素ディザ画像の混色とが重複するが、テープ印刷装置1では、上記のキャンセルによりこの重複を回避できる。また、例えば上記のCMYKの4色の場合、一般に、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)を実際に混色したK(ブラック)より、K(ブラック)を単独で印刷等した方がきれいなブラックが得られるので、上記のように、3原色についての原色要素ディザ画像側の有効を示す値の方をキャンセルすることにより、4色によるきれいな画像が得られる。
【0245】
この場合、混色有効マトリクス要素削除処理としては、例えば、混色要素ディザ画像を対象として、有効を示す値と無効を示す値とを反転させる論理反転演算を行うことにより、混色反転要素ディザ画像を作成し、原色要素ディザ画像の各原色要素ディザ画像と混色反転要素ディザ画像との対応するマトリクス要素同士を対象として、双方が有効を示す値のときのみ有効を示す値とする論理積演算の結果として作成された要素ディザ画像を、新たな各原色要素ディザ画像とする。すなわち、この場合、比較的単純な論理反転演算や論理積演算を行うだけで、3原色についての原色要素ディザ画像の有効を示す値のマトリクス要素のうち、混色要素ディザ画像の有効を示す値と重複して有効を示すマトリクス要素の有効をキャンセルできる。
【0246】
図12〜図15で前述の例の場合について、原色要素ディザ画像や混色要素ディザ画像を配置した原色全体ディザ画像や混色全体ディザ画像としてまとめて、上記のキャンセルについて以下に説明する。図13のY色の原色全体ディザ画像マトリクスDGY、図14のC色の原色全体ディザ画像マトリクスDGC、および、図15のM色の原色全体ディザ画像マトリクスDGMから、対応するマトリクス要素の全てが共通して有効を示す値「1」のマトリクス要素を抽出することにより、図14のC色の原色全体ディザ画像DGCと同じ値のK色(混色)の混色全体ディザ画像マトリクスDGKが得られる。
【0247】
そして、図13〜図15の各原色全体ディザ画像マトリクスDGY、DGCおよびDGMのマトリクス要素のうち、混色全体ディザ画像マトリクスDGKと重複して有効を示す値「1」を示すマトリクス要素に無効を示す値「0」を割り付けると、すなわち、有効を示す値「1」の重複部分をキャンセルすると、各原色全体ディザ画像マトリクスDGY、DGCおよびDGMの文字「1」の原色要素ディザ画像マトリクスの有効を示す値「1」が全て無効を示す値「0」となり、それぞれ、図17〜図19に示す各原色全体ディザ画像マトリクスDGY2、DGC2およびDGM2のようになる。
【0248】
この結果、図16で前述の色別にインク出力処理(S17)のとき、すなわち印刷する際には、図14のK色(混色)の混色全体ディザ画像マトリクスDGKに基づいてK色の印刷が為され、図17のY色の原色全体ディザ画像マトリクスDGY2に基づいてY色の印刷が為され、図18のC色の原色全体ディザ画像マトリクスDGC2に基づいてC色の印刷が為され、および、図19のM色の原色全体ディザ画像マトリクスDGM2に基づいてM色の印刷が為されることにより、全体としてCMYKの4色を基本色としてカラーディザ処理されたカラー画像が印刷される。
【0249】
なお、上述の例では、すなわち図16の処理(S10)の例では、基本色別マスク処理(S15)において、各原色要素ディザ画像およびそれを配置した各原色全体要素ディザ画像を作成してから、Kデータ作成処理(S16)において、混色要素ディザ画像およびそれを配置した混色全体要素ディザ画像を作成した後、各原色要素ディザ画像や各原色全体要素ディザ画像にその分の修正を加えた。しかし、基本色別マスク処理(S15)の前に、CMY3原色のそれぞれに対するディザマスク(以下「原色ディザマスク」)ばかりでなく、K色(混色)に対するディザマスク(以下「混色ディザマスク」)を準備して、CMYKの4色を基本色としてそれぞれに対する基本色別マスク処理(S15)を行うことにより、Kデータ作成処理(S16)を省略することもできる。以下、この場合について、第2実施形態として説明する。
【0250】
この第2実施形態におけるテープ印刷装置1では、要素画像がカラー画像である場合、原色階調値のうちの少なくとも相互に値が異なるものに対応する仮原色ディザマスクを、それぞれディザマスクの一種として記憶し、仮原色ディザマスクの全てに共通して有効を示す値のマトリクス要素のみに有効を示す値を割り付けた混色ディザマスクを記憶し、仮原色ディザマスクのそれぞれについて、各仮原色ディザマスクの有効を示す値のマトリクス要素のうち、混色ディザマスクの有効を示す値のマトリクス要素に対応するマトリクス要素の値を、無効を示す値に変換して、各原色ディザマスクとして記憶し、混色ディザマスクおよび各原色ディザマスクを使用した論理積演算を行うことにより、混色ディザマスクおよび各原色ディザマスクに対応する混色要素ディザ画像および各原色要素ディザ画像を、それぞれ要素ディザ画像の1種として作成する。
【0251】
図16で前述のように、各文字(各要素画像)の要素形状画像を作成して入力文字展開が終了すると(S13)、次に、基本色別のディザマスクを選択する(S14)。図12で前述の例において、例えば、文字「1」の文字画像(要素形状画像)に着目すると、CMY各色の原色階調値が全て「4」なので、原色階調値のうちの少なくとも相互に値が異なるものといっても、マスク番号「4」のディザマスクDM5(4)があればよいので、これを文字「1」の文字画像(要素形状画像)のCMY各色に共通する原色階調値「4」に対応する仮原色ディザマスクとしてディザマスク領域246に記憶する。
【0252】
同様に、文字「2」の文字画像(要素形状画像)に着目すると、C色の原色階調値「0」、M色の原色階調値「2」、Y色の原色階調値「1」なので、マスク番号「0」、「2」、「1」のディザマスクDM5(0)、DM5(2)、DM5(1)を、それぞれ、文字「2」の文字画像(要素形状画像)のC色の原色階調値「0」、M色の原色階調値「2」、Y色の原色階調値「1」に対応する仮原色ディザマスクとしてディザマスク領域246に記憶する。同様に、文字「3」の文字画像(要素形状画像)に着目すると、C色の原色階調値「0」、M色の原色階調値「0」、Y色の原色階調値「2」なので、マスク番号「0」のディザマスクDM5(0)を、文字「3」の文字画像(要素形状画像)のC色およびM色の原色階調値「0」に対応する仮原色ディザマスクとして、マスク番号「2」のディザマスクDM5(2)を、Y色の原色階調値「2」に対応する仮原色ディザマスクとして、それぞれディザマスク領域246に記憶する。
【0253】
次に、仮原色ディザマスクの全てに共通して有効を示す値のマトリクス要素のみに有効を示す値を割り付けた混色ディザマスクを記憶する。この場合、例えば、仮原色ディザマスクの対応するマトリクス要素同士を対象として、全てが有効を示す値のときのみ有効を示す値とする論理積演算を行うことにより、仮原色ディザマスクの全てに共通して有効を示す値のマトリクス要素を直接求めて、混色ディザマスクとすることができる。そして、この場合、仮原色ディザマスクが、相互に異なるディザマトリクスに基づくか同一のディザマトリクスに基づくかに拘わらずに、混色ディザマスクを得ることができる。一方、図12の例において上述のように、仮原色ディザマスクが、同一のディザマトリクス(この例ではディザマトリクスDD5)に基づく場合、上記のような論理積演算をしなくても、混色ディザマスクを得られる。以下では、後者の方法により混色ディザマスクを得る方法について説明する。
【0254】
すなわち、仮原色ディザマスクのうちの有効を示す値「1」のマトリクス要素が最も少ない仮原色ディザマスクを、混色ディザマスクとして記憶する。ここで、仮原色ディザマスクの全てが同一のディザマトリクスに基づくものである場合、有効を示す値のマトリクス要素が最も少ない仮原色ディザマスクの有効を示す値のマトリクス要素に対応するのは、他の仮原色ディザマスクにおいても有効を示す値のマトリクス要素である。この場合、仮原色ディザマスクが3原色に対応して何種類(1〜3種)あっても、有効を示す値のマトリクス要素が最も少ない仮原色ディザマスクの有効を示す値のマトリクス要素が、仮原色ディザマスクの全てに共通して有効を示す値のマトリクス要素となる。このため、この有効を示す値のマトリクス要素が最も少ない仮原色ディザマスクは、3原色の混色についての混色ディザマスクとして使用できる。
【0255】
また、この場合、混色ディザマスクは、カラー3原色の各原色階調値のうち、条件を満たすディザマトリクスのしきい値の数が最も少ない原色階調値を選択することにより、選択された原色階調値に対応する仮原色ディザマスクと同様にして得ることができる。すなわち、原色階調値を選択することにより、仮原色ディザマスクのうちの有効を示す値のマトリクス要素が最も少ない仮原色ディザマスクを選択でき、これにより、混色ディザマスクを容易に得られる。
【0256】
さらに図12等の例のように、各原色階調値がディザマトリクスの各しきい値以上(原色階調値≧しきい値)のときにそのしきい値の条件を満たし、そのしきい値に対応するディザマスクのマトリクス要素が有効を示す値となる場合、最小値の原色階調値を選択するだけで、有効を示す値のマトリクス要素が最も少ない仮原色ディザマスクを選択でき、これにより、混色ディザマスクを容易に得られる。なお、もちろん、例えば各原色階調値がディザマトリクスの各しきい値を超える(原色階調値>しきい値)ときにそのしきい値の条件を満たす場合にも、最大値の原色階調値を選択すれば良く、逆に例えば各原色階調値がディザマトリクスの各しきい値以下(原色階調値≦しきい値)または各しきい値未満(原色階調値<しきい値)のときにそのしきい値の条件を満たす場合には、最大値の原色階調値を選択することにより、同様に、混色ディザマスクを容易に得られる。
【0257】
より具体的には、例えば図12等の例の場合、文字「1」の文字画像(要素形状画像)についての仮原色ディザマスクとして記憶されているのは、マスク番号「4」のディザマスクDM5(4)だけなので、これを文字「1」の文字画像(要素形状画像)に対する混色ディザマスクとして記憶する。また、文字「2」の文字画像(要素形状画像)の仮原色ディザマスクは、マスク番号「0」、「2」、「1」のディザマスクDM5(0)、DM5(2)、DM5(1)なので、このうちの有効を示す値「1」のマトリクス要素が最も少ない仮原色ディザマスク、すなわちマスク番号「0」のディザマスクDM5(0)を、文字「2」の文字画像(要素形状画像)に対する混色ディザマスクとして記憶する。同様に、文字「3」の文字画像(要素形状画像)の仮原色ディザマスクは、マスク番号「0」、「2」のディザマスクDM5(0)、DM5(2)なので、このうちの有効を示す値「1」のマトリクス要素が最も少ないマスク番号「0」のディザマスクDM5(0)を、文字「3」の文字画像(要素形状画像)に対する混色ディザマスクとして記憶する。
【0258】
次に、仮原色ディザマスクのそれぞれについて、各仮原色ディザマスクの有効を示す値「1」のマトリクス要素のうち、混色ディザマスクの有効を示す値「1」のマトリクス要素に対応するマトリクス要素の値を、無効を示す値「1」に変換して、各原色ディザマスクとして記憶する。上述の例の場合、文字「1」の文字画像(要素形状画像)についての仮原色ディザマスクとして記憶されているのは、マスク番号「4」のディザマスクDM5(4)だけであり、混色ディザマスクもディザマスクDM5(4)なので、仮原色ディザマスクの有効を示す値「1」のマトリクス要素のうち、混色ディザマスクの有効を示す値「1」のマトリクス要素に対応するマトリクス要素の値を、無効を示す値「1」に変換すれば、全ての有効を示す値「1」のマトリクス要素が無効を示す値「1」に変換される。すなわち、文字「1」の文字画像(要素形状画像)についてのCMY各色についての各原色ディザマスクは、全て無効を示す値「0」のマトリクス要素から成るディザマスクDM5(0)と同じになる。
【0259】
一方、文字「2」の文字画像(要素形状画像)についての仮原色ディザマスクとして記憶されているのは、マスク番号「0」、「2」、「1」のディザマスクDM5(0)、DM5(2)、DM5(1)ではあるが、混色ディザマスクがマスク番号「0」のディザマスクDM5(0)であり、有効を示す値「1」のマトリクス要素がないので、仮原色ディザマスクの有効を示す値「1」のマトリクス要素のうち、混色ディザマスクの有効を示す値「1」のマトリクス要素に対応するマトリクス要素の値を、無効を示す値「1」に変換するにしても、変換されるマトリクス要素が無く、仮原色ディザマスクがそのまま原色ディザマスクとなる。同様に、文字「3」の文字画像(要素形状画像)についても、混色ディザマスクがマスク番号「0」のディザマスクDM5(0)であり、有効を示す値「1」のマトリクス要素がないので、仮原色ディザマスクがそのまま原色ディザマスクとなる。
【0260】
以上により、文字「1」の文字画像(要素形状画像)については、混色ディザマスクがディザマスクDM5(4)と同じになり、CMY各色についての各原色ディザマスクが全てディザマスクDM5(0)と同じになる。また、文字「2」の文字画像(要素形状画像)については、混色ディザマスクがディザマスクDM5(0)と同じになり、CMY各色についての各原色ディザマスクが、それぞれ各仮原色ディザマスクと同じ、すなわちディザマスクDM5(0)、DM5(2)、DM5(1)と同じになる。また、文字「3」の文字画像(要素形状画像)については、混色ディザマスクがディザマスクDM5(0)と同じになり、CMY各色についての各原色ディザマスクが、各仮原色ディザマスクのそれぞれディザマスクDM5(0)、DM5(0)、DM5(2)と同じになる。
【0261】
次に、混色ディザマスクおよび各原色ディザマスクを使用した論理積演算を行うことにより、混色ディザマスクおよび各原色ディザマスクに対応する混色要素ディザ画像および各原色要素ディザ画像を、それぞれ要素ディザ画像の1種として作成する。すなわち、CMYKの4色を基本色としてそれぞれに対する基本色別マスク処理(S15)を行うことにより、Kデータ作成処理(S16)を省略できる。
【0262】
例えば、文字「1」の文字画像(要素形状画像)に着目すると、図12の要素形状画像マトリクスSG1で表現された要素形状画像の2×2のサイズのマトリクス毎に、K色(混色)の混色ディザマスクであるディザマスクDM5(4)との論理積演算を行うと、図14(a)の(横)24×(縦)17の原色全体ディザ画像マトリクスDGKのうちの、左側(文字「1」)の(横)8×(縦)17の原色要素ディザ画像マトリクスとなり、Y色、C色およびM色の原色ディザマスクであるディザマスクDM5(0)との論理積演算を行うと、それぞれ図17〜図19の(横)24×(縦)17の原色全体ディザ画像マトリクスDGY2、DGC2およびDGM2のうちの、左側(文字「1」)の(横)8×(縦)17の(すなわち全て無効を示す値「0」の)原色要素ディザ画像マトリクスとなる。文字「2」および「3」の文字画像(要素形状画像)については、K色(混色)の混色ディザマスクがディザマスクDM5(0)であり、CMY各色の原色ディザマスクは、図13〜図15で前述のディザマスクと同じであり、図17〜図19でも変わらないので、説明は省略する。
【0263】
すなわち、この場合、CMYKの4色を基本色としてそれぞれに対する基本色別マスク処理(S15)を行うことにより、図14の混色全体ディザ画像マトリクスDGK、図17のY色の原色全体ディザ画像マトリクスDGY2、図18のC色の原色全体ディザ画像マトリクスDGC2、および、図19のM色の原色全体ディザ画像マトリクスDGM2が得られるので、Kデータ作成処理(S16)を省略できる。
【0264】
上述のように、この第2実施形態におけるテープ印刷装置1では、要素画像がカラー画像である場合、前述の実施形態(第1実施形態)におけるテープ印刷装置1と同様に、3原色の原色階調値の全てが同一の値のときには、少なくとも1個、2原色について同一の値のときには、少なくとも2個、それぞれ別のときには、少なくとも3個の原色要素ディザ画像を作成する。
【0265】
例えば、上述の文字「1」の文字画像(要素形状画像)については、原色ディザマスクであるディザマスクDM5(0)に基づく少なくとも1個の原色要素ディザ画像を作成する。また、上述の文字「2」の文字画像(要素形状画像)については、原色ディザマスクであるディザマスクDM5(0)、DM5(2)およびDM5(1)に基づく少なくとも3個の原色要素ディザ画像を作成する。また、文字「3」の文字画像(要素形状画像)については、原色ディザマスクであるディザマスクDM5(0)およびDM5(2)に基づく少なくとも2個の原色要素ディザ画像を作成する。
【0266】
すなわち、重複利用することも含め、3原色についての原色要素ディザ画像が得られるので、カラーの要素画像の3原色の原色階調値に関するディザ処理に適用できる。なお、この場合も、考え得る原色階調値のそれぞれについての仮原色ディザマスクを予めディザマスクとして記憶しておいても良いし、原色階調値が判明した後に、ディザマトリクスとの比較演算により新たに作成して記憶しても良いし、考え得る指定階調値に対応するディザマスクが予め記憶されている場合には、原色階調値が判明した後に、それらから選択して改めて原色ディザマスクとして記憶しても良い。上述の場合には、考え得る5つの指定階調値0〜4に対する5つのディザマスクDM5(0)〜DM5(4)を記憶していて、それらのいずれかを選択して改めて原色ディザマスクとして記憶する場合に相当する。
【0267】
また、この第2実施形態におけるテープ印刷装置1では、仮原色ディザマスクの全てに共通して有効を示す値のマトリクス要素のみに有効を示す値を割り付けた混色ディザマスクを使用して論理積演算を行うことにより、混色ディザマスクに対応する混色要素ディザ画像を作成するので、上記の3原色についての原色要素ディザ画像に加え、3原色の混色についての混色要素ディザ画像を得ることができる。すなわち、混色に関するディザ処理も為される。
【0268】
また、この場合、原色ディザマスクは、仮原色ディザマスクの有効を示す値のマトリクス要素のうち、混色ディザマスクの有効を示す値のマトリクス要素に対応するマトリクス要素の値を、無効を示す値に変換したもの、すなわち、混色ディザマスクの有効を示す値と重複して有効を示すマトリクス要素の有効をキャンセルしたものとなっている。このため、各原色ディザマスクを使用して作成された各原色要素ディザ画像は、前述の第1実施形態におけるテープ印刷装置1と同様に、混色要素ディザ画像の有効を示す値と重複して有効を示すマトリクス要素の有効をキャンセルしたものとなり、例えばCMYK等の4色を基本色とする場合にも、きれいな画像が得られる画像処理を行うことができる。
【0269】
なお、上述の図12の例は、K色(混色)ディザマスクがディザマスクDM5(0)(すなわち無効を示す値「0」のみのディザマスク)であるか(文字「2」「3」)、K色(混色)ディザマスクがディザマスクDM5(0)以外ではあるが、そのかわりに各原色ディザマスクがディザマスクDM5(0)の例となっている。このような場合、仮原色ディザマスクの有効を示す値のマトリクス要素のうち、混色ディザマスクの有効を示す値のマトリクス要素に対応するマトリクス要素の値を、無効を示す値に変換して、混色ディザマスクの有効を示す値と重複して有効を示すマトリクス要素の有効をキャンセルするにしても、単に混色ディザマスクがディザマスクDM5(0)なら、各仮原色ディザマスクをそのまま各原色ディザマスクとし、それ以外なら、各原色ディザマスクをディザマスクDM5(0)とすれば良い。
【0270】
例えば、図20は、図12の例と同じディザマトリクスDD5およびマスク番号0〜4のディザマスクDM5(0)〜DM(4)を使用した場合の色変換テーブルの一例を示している。同図に示すように、色呼称の欄の各名称で示される各指定色に対して、C色、Y色およびM色の各原色階調値、すなわち各仮原色ディザマスクのマスク番号は、それぞれC欄、M欄およびY欄の各数値となる。また、同図では、K欄の各数値がそれに対応するK色(混色)の階調値、すなわち混色ディザマスクのマスク番号を示し、C2欄、M2欄およびY2欄の各数値が、それぞれC色、Y色およびM色の各原色ディザマスクのマスク番号を示している。
【0271】
ここで、同図から明らかなように、No.1〜No.23の指定色に対しては、上述の原色ディザマスクの決定方法、すなわち、単に混色ディザマスクがディザマスクDM5(0)なら、各仮原色ディザマスクをそのまま各原色ディザマスクとし、それ以外なら、各原色ディザマスクをディザマスクDM5(0)とすれば良い。これらの場合には、結果的に、仮原色ディザマスクの有効を示す値のマトリクス要素のうち、混色ディザマスクの有効を示す値のマトリクス要素に対応するマトリクス要素の値を、無効を示す値に変換して、混色ディザマスクの有効を示す値と重複して有効を示すマトリクス要素の有効をキャンセルしたことになる。
【0272】
しかし、同図のNo.24やNo.25等のように、すなわち指定色が「暗い赤」や「暗い橙」などの有彩色の明度を変化させたもの等のように、ディザマスクDM5(0)(すなわち無効を示す値「0」のみのディザマスク)でもなく、かつ仮原色ディザマスクとも異なる原色ディザマスクが必要になる場合がある。
【0273】
そこで、このテープ印刷装置1では、各原色ディザマスクは、混色ディザマスクを対象として有効を示す値と無効を示す値とを反転させる論理反転演算の結果として作成される混色反転ディザマスクと、各仮原色ディザマスクとの対応するマトリクス要素同士を対象として、双方が有効を示す値のときのみ有効を示す値とする論理積演算の結果として作成する。
【0274】
例えば前述の黒指定(図20のNo.1参照)の場合、混色ディザマスク(K欄参照)であるディザマスクDM5(4)を対象として有効を示す値「1」と無効を示す値「0」とを反転させる論理反転演算を行うと、ディザマスクDM5(0)と同じになる。すなわち混色反転ディザマスクはディザマスクDM5(0)と同じになるので、各仮原色ディザマスク(C欄、M欄およびY欄参照)の構成に拘わらず、論理積演算により、各原色ディザマスク(C2欄、M2欄およびY2欄参照)はディザマスクDM5(0)と同じになる。
【0275】
また、例えば濃い灰色(図20のNo.3参照)を指定した場合、混色ディザマスク(K欄参照)であるディザマスクDM5(3)を対象として有効を示す値「1」と無効を示す値「0」とを反転させる論理反転演算(以下「NOT.」で表現)を行うと、ディザマスクDM5(3)は、右下のマトリクス要素のみ「0」で他は「1」のマトリクスなので(図12(d)参照)、混色反転ディザマスクは、右下のマトリクス要素のみ「1」で他は「0」のマトリクスとなる(例えばディザマスクDM5(3)を反転したものを以下「ディザマスクDM5N(3)」のように表現する。すなわち、DM5N(3)=NOT.DM5(3)となる。他のマスク番号についても同じ)。この場合、各仮原色ディザマスク(C欄、M欄およびY欄参照)は、全てディザマスクDM5(3)と同じなので、ディザマスクDM5N(3)とディザマスクDM5(3)との論理積演算(以下「.AND.」で表現)を行うと、各原色ディザマスク(C2欄、M2欄およびY2欄参照)はディザマスクDM5(0)と同じになる(すなわち、DM5N(3).AND.DM5(3)=DM5(0)となる)。
【0276】
白(図20のNo.2参照)、灰色(図20のNo.4参照)、薄い灰色(図20のNo.5参照)を指定した場合も同様であり、それぞれの混色ディザマスク(K欄参照)に対して論理反転演算(DM5N(0)=NOT.DM5(0)=DM5(4)、DM5N(2)=NOT.DM5(2)、DM5N(1)=NOT.DM5(1))を行って、混色反転ディザマスクを求め、各仮原色ディザマスク(C欄、M欄およびY欄参照)との論理積演算(DM5N(0).AND.DM5(0)=DM5(0)、DM5N(2).AND.DM5(2)=DM5(0)、DM5N(1).AND.DM5(1)=DM5(0))を行うことにより、各原色ディザマスク(C2欄、M2欄およびY2欄参照:全てマスク番号「0」)を得ることができる。
【0277】
また、例えば赤(図20のNo.6参照)を指定した場合、混色ディザマスク(K欄参照)に対して論理反転演算(DM5N(0)=NOT.DM5(0)=DM5(4))を行うと、混色反転ディザマスクは、全て有効を示す値「1」のディザマスクDM5(4)と同じになるので、各仮原色ディザマスク(C欄、M欄およびY欄参照)との論理積演算(DM5N(0).AND.DM5(0)=DM5(4).AND.DM5(0)=DM5(0)、DM5N(0).AND.DM5(4)=DM5(4).AND.DM5(4)=DM5(4)、DM5N(0).AND.DM5(4)=DM5(4).AND.DM5(4)=DM5(4))を行うと、各原色ディザマスク(C2欄、M2欄およびY2欄参照)は、各仮原色ディザマスク(C欄、M欄およびY欄参照)と同じになる。
【0278】
No.7〜No.23の色を指定した場合も同様であり、混色ディザマスク(K欄参照)に対して論理反転演算(DM5N(0)=NOT.DM5(0)=DM5(4))を行うと、混色反転ディザマスクは、全て有効を示す値「1」のディザマスクDM5(4)と同じになるので、各仮原色ディザマスク(C欄、M欄およびY欄参照)との論理積演算を行うと、各仮原色ディザマスク(C欄、M欄およびY欄参照)と同じ各原色ディザマスク(C2欄、M2欄およびY2欄参照)が得られる。
【0279】
次に、暗い赤(図20のNo.24参照)を指定した場合、仮原色ディザマスク(C欄、M欄およびY欄参照)は、それぞれディザマスクDM5(2)、DM5(4)、DM5(4)となるので、仮原色ディザマスクの全てに共通して有効を示す値「1」のみに有効を示す値「1」を割り付けた混色ディザマスク(K欄参照)は、ディザマスクDM5(2)と同じになる(図12(b)参照)。
【0280】
この場合、例えばC色の仮原色ディザマスク(C欄参照)であるディザマスクDM5(2)のマトリクス要素のうち、混色ディザマスクであるディザマスクDM5(2)の有効を示す値「1」のマトリクス要素に対応するマトリクス要素の値を無効を示す値「0」に変換して、すなわち混色ディザマスクと重複して有効を示す値「1」を示すマトリクス要素に無効を示す値「0」を割り付けて、有効を示す値「1」の重複部分をキャンセルすると、C色の原色ディザマスク(C2欄参照)は、ディザマスクDM5(0)となる。このC色の原色ディザマスクは、混色ディザマスクであるディザマスクDM5(2)に対する論理反転演算(DM5N(2)=NOT.DM5(2))の結果として作成される混色反転ディザマスクと、C色の仮原色ディザマスクであるディザマスクDM5(2)と、の対応するマトリクス要素同士の論理積演算(DM5N(2).AND.DM5(2)=DM5(0))の結果として作成できる。
【0281】
また、例えばM色やY色の仮原色ディザマスク(M欄およびY欄参照)であるディザマスクDM5(4)のマトリクス要素のうち、混色ディザマスクであるディザマスクDM5(2)の有効を示す値「1」のマトリクス要素に対応するマトリクス要素の値を無効を示す値「0」に変換して、すなわち混色ディザマスクと重複して有効を示す値「1」を示すマトリクス要素に無効を示す値「0」を割り付けて、有効を示す値「1」の重複部分をキャンセルすると、図21(a)に示すように、ディザマスクDM5(42)になる。このディザマスクDM5(42)は、図示のように、ディザマスクDM5(4)からディザマスクDM5(2)を減算した(以下「DM5(4)−DM5(2)」のように表現する)イメージとなるので、図20には、M色やY色の原色ディザマスク(M2欄およびY2欄参照)のマスク番号として、「4−2」のように示している(後述の「2−1」や「3−1」も同様)。そして、この場合も、このM色やY色の原色ディザマスクは、混色ディザマスクであるディザマスクDM5(2)に対する論理反転演算(DM5N(2)=NOT.DM5(2))の結果として作成される混色反転ディザマスクと、M色やY色の仮原色ディザマスクであるディザマスクDM5(4)と、の対応するマトリクス要素同士の論理積演算(DM5N(2).AND.DM5(4)=DM5(42))の結果として作成できる(図21(a)参照)。
【0282】
次に、暗い橙(図20のNo.25参照)を指定した場合、仮原色ディザマスク(C欄、M欄およびY欄参照)は、それぞれディザマスクDM5(1)、DM5(2)、DM5(3)となるので、仮原色ディザマスクの全てに共通して有効を示す値「1」のみに有効を示す値「1」を割り付けた混色ディザマスク(K欄参照)は、ディザマスクDM5(1)と同じになる(図12(b)参照)。
【0283】
この場合、例えばC色の仮原色ディザマスク(C欄参照)であるディザマスクDM5(2)の混色ディザマスクと重複して有効を示す値「1」を示すマトリクス要素の有効をキャンセルすると、C色の原色ディザマスク(C2欄参照)は、ディザマスクDM5(0)となる。この場合のC色の原色ディザマスクは、混色ディザマスクであるディザマスクDM5(1)に対する論理反転演算(DM5N(2)=NOT.DM5(2))の結果として作成される混色反転ディザマスクと、C色の仮原色ディザマスクであるディザマスクDM5(1)と、の対応するマトリクス要素同士の論理積演算(DM5N(1).AND.DM5(1)=DM5(0))の結果として作成できる。
【0284】
また、M色の仮原色ディザマスク(M欄参照)であるディザマスクDM5(2)の混色ディザマスクと重複して有効を示す値「1」を示すマトリクス要素の有効をキャンセルすると、図21(c)に示すように、ディザマスクDM5(21)になる(DM5(21)=DM5(2)−DM(1))。そして、この場合も、このM色の原色ディザマスクは、混色ディザマスクであるディザマスクDM5(1)に対する論理反転演算(DM5N(1)=NOT.DM5(1))の結果として作成される混色反転ディザマスクと、M色の仮原色ディザマスクであるディザマスクDM5(2)と、の対応するマトリクス要素同士の論理積演算(DM5(2).AND.DM5N(1)=DM5(21))の結果として作成できる。同様に、Y色の仮原色ディザマスク(Y欄参照)であるディザマスクDM5(3)の混色ディザマスクと重複して有効を示す値「1」を示すマトリクス要素の有効をキャンセルすると、図21(b)に示すように、ディザマスクDM5(31)になり、これは混色ディザマスクに対する論理反転演算の結果として作成される混色反転ディザマスクと、Y色の仮原色ディザマスクと、の対応するマトリクス要素同士の論理積演算の結果として作成できる(DM5(31)=DM5(3)−DM(1)=DM5(3).AND.DM5N(1))。
【0285】
上述のように、このテープ印刷装置1では、各原色ディザマスクは、混色ディザマスクを対象として有効を示す値と無効を示す値とを反転させる論理反転演算の結果として作成される混色反転ディザマスクと、各仮原色ディザマスクとの対応するマトリクス要素同士を対象として、双方が有効を示す値のときのみ有効を示す値とする論理積演算の結果として作成される。すなわち、この場合、比較的単純な論理反転演算や論理積演算を行うだけで、仮原色ディザマスクの有効を示す値のマトリクス要素のうち、混色ディザマスクの有効を示す値と重複して有効を示すマトリクス要素の有効をキャンセルした原色ディザマスクを作成できる。
【0286】
なお、上述の第1実施形態および第2実施形態におけるテープ印刷装置1では、文字の例について説明したので、以下、少し図形に関して説明しておく。テープ印刷装置1では、前述のように、外字登録や描画登録によりドットマップで図形等を登録することができる。このうち、いわゆる外字は上述の文字等と同様に扱え、また、図形でも簡易なものであれば、フォントとしてまたは外字として用意して文字同様に扱えるので、以下では、通常、1文字と同様には扱えない描画登録による図形について説明する。
【0287】
例えばフォームキー322により選択画面を表示させて描画登録画面に遷移させ、その描画登録画面上で、いわゆる外字登録と同様に、例えばシフトキー327を押しながらカーソルキー330を操作することにより、カーソルの軌跡上の画素(ドット)の値(有効を示す「1」と無効を示す「0」など)を反転させたり、あるいは例えばシフトキー327を押しながら選択キー323により始点と終点を指定してその間を対角線とする長方形内の画素の値を変更したりしながら、ドットイメージで図形を描き、それをRAM240の描画登録画像データ領域245に登録(登録番号等を付して記憶)する。
【0288】
ここで、登録直後のまたは以前に登録しておいて改めて読み出した図形が、例えば図22(a)に示す「禁煙マーク」の図形だったとして説明する。この「禁煙マーク」の図形は、例えば同図(b)のような要素画像に分解できる。また、これらは、例えば図示の点網掛けの部分を要素本体画像、およびそれ以外を要素背景画像と見れば、各要素画像の要素本体画像と要素背景画像に分解でき、(マトリクス)データ上もそれらを区分できる。すなわち、各要素画像の要素本体画像の画素(ドット)を有効を示す値「1」とし、要素背景画像の画素に無効を示す値「0」を割り付けることにより、要素形状画像マトリクスで表現された要素形状画像とすることができる。
【0289】
前述の文字に対する色指定と同様に、同図(b)の要素形状画像マトリクスSG4で表現された要素形状画像の要素本体画像(点網掛けの部分)に、例えば赤色、すなわちC色の原色階調値「0」、M色の原色階調値「4」、Y色の原色階調値「4」を指定する(図20のNo.6参照)。また、要素形状画像マトリクスSG5で表現された要素形状画像の要素本体画像(点網掛けの部分)に、例えば少し薄い青色、すなわちC色の原色階調値「3」、M色の原色階調値「3」、Y色の原色階調値「0」を指定する(図20のNo.7およびNo.13参照:これらの中間となる)。また、要素形状画像マトリクスSG6で表現された要素形状画像の要素本体画像(点網掛けの部分)に、例えば薄い灰色、すなわちC色、M色およびY色の原色階調値が全て「1」を指定する(図20のNo.5参照)。図22(c)に示すこれらの色パレットデータCP4、CP5およびCP6は、それぞれの要素本体画像の指定階調値(各原色階調値)としてRAM240内の色パレットデータ領域247に記憶される。
【0290】
上述の色指定までの処理は、図16のテキスト入力(S11)に対応する処理であり、第1実施形態において図16のテキスト入力(S11)が終了した時点で前述の文字「1」、「2」および「3」の文字画像に対して用意されたデータと同様のデータ、すなわち各要素形状画像マトリクスおよび色パレットデータは、上記の処理で既に揃っているので、図16のテキスト入力(S11)以降の処理(S12〜)は同様に処理できる。また、第2実施形態において説明した処理も、上記の図16のテキスト入力(S11)は第1実施形態と同じなので、同様に適用できる。
【0291】
なお、図22で上述の図形は、紙面の都合(図示や説明の効率)上、「禁煙マーク」のような比較的簡単な図形としたが、前述のように、いかに複雑な描画画像も、少なくとも要素本体画像の全画素が同一階調値の要素画像を合成した合成画像(全体画像)と見て、各要素画像に分解でき、各要素画像の要素本体画像とそれ以外の要素背景画像に分解でき、要素本体画像と要素背景画像とは区分可能なので、各要素画像に対応する要素ディザ画像を作成して、それらを組み合わせる(対応するマトリクス要素を重ね合わせる)ことにより、複雑な描画画像にディザ処理を行った要素ディザ画像をも得ることができる。
【0292】
次に、要素本体画像と要素背景画像の階調値の差について考える。すなわち、単一の要素画像について、上述のように要素本体画像と要素背景画像とが区分可能であっても、要素本体画像と要素背景画像の階調値の差(濃度差(濃淡差)等)が小さい場合、例えば要素背景画像の濃度を基準とした要素背景画像の濃度が低い場合には、表示するにしても印刷するにしても、その間の境界(輪郭線等)が不明瞭になり、いわゆるかすれ等が生じる。かといって、例えば要素本体画像の階調値を、元の(指定の)階調値に拘わらずに一律に濃度が高くなるように補正したのでは、もともと最大濃度に近い階調値を指定する場合と差異が無くなり、ユーザの意図が反映されない。特にカラー画像に対してこのような補正をしたのでは、3色または4色の基本色相互間のバランスが崩れてしまい、異なる色合いに成ってしまう。
【0293】
また、全体的に一律に濃度差等を大きく(例えば要素本体画像の濃度を高く)すると、いわゆるつぶれ等が生じる。全体画像についても同様であり、ユーザの意図に反して要素画像相互間のバランスが崩れたり相互間干渉によるつぶれ等の原因となる。特に印刷装置に画像を出力する場合、すなわちディザ処理により印刷画像を作成する場合、印刷装置には印刷対象物の単位面積に吸い込めるインク量等の制限値(以下「打込量制限値」)があるため、一律に濃度を高くするような補正をすると、その打込量制限値を超えてしまうなどの問題を生じる。
【0294】
そこで、以下では、メモリ容量の節約や処理時間の短縮が図れるばかりでなく、さらに、ユーザの意図を反映しつつかすれやつぶれ等を防止可能とするディザ処理、すなわち、上述のような問題が発生する可能性がある場合の画像処理(ディザ処理)方法について、第3実施形態として説明する。
【0295】
この第3実施形態におけるテープ印刷装置1では、前述の第1実施形態や第2実施形態と同様に、まず、要素本体画像の画素とその背景になる要素背景画像の画素とを区分可能な少なくとも1つの要素画像について、要素本体画像に有効を示す値、要素背景画像に無効を示す値を割り付けた2値マトリクスで表現された要素形状画像を作成し、その一方で、要素本体画像の全画素に同一の指定階調値として、n値のうちの1つの階調値を記憶する。
【0296】
具体的には、図16等で前述の場合と同様に、例えば図26に示すように、まず、文字等がテキスト入力された後、すなわち図12で前述の例では、文字列「123」のように文字が入力され、文字等のサイズや装飾が指定され、色指定等が終了した後(S21:前述のS11と同じ)、印刷キー321により印刷が指定されると(S22:S12と同じ)、文字列「123」の各文字を画像展開して、図12(a)に示す要素形状画像マトリクスSG1、SG2、SG3で表現された各文字(各要素画像)の要素形状画像を作成し(S23:S13と同じ)、その一方で、各文字「1」、「2」および「3」の文字画像(要素本体画像)の指定階調値として、色パレットデータCP1、CP2およびCP3をRAM240内の色パレットデータ領域247に記憶する。
【0297】
ここで、この第3実施形態のテープ印刷装置1では、次に、指定階調値(カラーの場合、原色階調値)に基づいて補正階調値(原色補正階調値)を決定し、その補正階調値に対応するディザマスクを使用して要素ディザ画像(原色要素ディザ画像)を作成する。この場合、指定階調値にはユーザの意図が反映されているため、それに基づく補正階調値にもユーザの意図を反映させることができ、この補正階調値に対応するディザマスクを使用して要素ディザ画像を作成するので、要素ディザ画像にもユーザの意図を反映させることができる。その反面、このときのディザマスクは、指定階調値と直接対応するものではなく補正階調値を介して対応するものなので、指定階調値と補正階調値との対応を工夫することにより、指定階調値に応じた種々の補正が可能となる。このため、メモリ容量の節約や処理時間の短縮が図れるばかりでなく、ユーザの意図を反映しつつ階調値に関する補正ができ、これにより、かすれやつぶれ等を防止可能になる。
【0298】
階調値に関する補正としては、例えば全体画像の各要素画像に対する指定階調値がn値のうちの狭い範囲内に集中した微差と成っている場合に、指定階調値の微差を拡大して階調値を分散させた補正階調値とすることにより、ユーザの意図(差を付けていること)を強調して全体画像の要素画像相互間のコントラストを強くする補正が考えられる。また、各要素画像について、要素本体画像と要素背景画像の濃度差が小さい場合(例えば要素背景画像の濃度を基準とした要素背景画像の濃度が低い場合)にのみ、その濃度差を大きく(濃度を高く)し、濃度差が大きい場合には、指定階調値と同じ値の補正階調値とすることにより、かすれ等を防止しつつ補正によりつぶれ等が発生しないようにすることもできる。なお、これらの場合、指定階調値に応じて処理を分岐させて補正階調値を決定しても良いし、指定階調値と補正階調値の対応テーブル等を用意してそれを参照することにより決定しても良い。
【0299】
このため、以下では、指定階調値が所定の補正範囲内か否かを判別して、補正範囲内であるときに、指定階調値を補正して補正階調値とし、補正範囲外であるときに、指定階調値をそのまま補正階調値とする。すなわち、所定の補正範囲内か否かを判別することにより、補正の対象となる指定階調値をその補正範囲内に絞ることができ、これにより、一律に補正するのに比べて補正に伴う問題(例えばつぶれ等)の発生を低減できる。
【0300】
なお、この場合、ディザマスクは、前述のように、考え得る補正階調値のそれぞれについてのディザマスクを予め記憶しておいても良いし、補正階調値が判明した後に、ディザマトリクスとの比較演算により新たに作成して記憶しても良いが、前者の場合、補正階調値が決定してからそれに対応するディザマスクを選択しても良いし、指定階調値(補正範囲外であるときの補正階調値と同じ)により選択しておいて、その指定階調値が補正範囲内であることが判別されたときのみ、その補正階調値により選択し直す(変更する)ようにしても良い。そこで、以下では、指定階調値により選択しておいて、その指定階調値が補正範囲内であることが判別されたときのみ、その補正階調値により選択し直す(変更する)例について説明する。
【0301】
図26に示すように、各文字(各要素画像)の要素形状画像を作成して入力文字展開が終了すると(S23)、基本色別のディザマスクを選択する(S24:S14と同じ)。前述のように、図12の例では、例えば文字「1」の文字画像(要素形状画像)については、CMY各色の原色階調値が全て「4」なので、マスク番号「4」のディザマスクDM5(4)を選択し、文字「2」の文字画像(要素形状画像)については、C色の原色階調値「0」、M色の原色階調値「2」、Y色の原色階調値「1」なので、マスク番号「0」、「2」、「1」のディザマスクDM5(0)、DM5(2)、DM5(1)を選択し、同様に、文字「3」の文字画像(要素形状画像)については、C色の原色階調値「0」、M色の原色階調値「0」、Y色の原色階調値「2」なので、マスク番号「0」、「2」のディザマスクDM5(0)、DM5(2)を選択する。
【0302】
そして、このテープ印刷装置1では、図26に示すように、基本色別ディザマスクの選択(S24)が終了すると、次に、濃度(階調値)に対応してディザマスクを変更する(S25)。すなわち、例えば図示のように、まず、単色濃度(ここでは原色階調値)が最大濃度(図12の例では原色階調値が最大値「4」の場合に最大濃度)を100%としたときの30%以下(補正範囲内)であるか否かを判別し(S251)、30%以下(補正範囲内)であると判別されたときには(S251:Yes)、次に、10%濃い(前述の例では10%階調値が高い)階調値に補正してから、すなわち10%濃いディザマスクに変更してから(S252)、次の基本色別マスク処理(S26:S16と同じ)に移行する。この処理(S26)以降は前述の第1実施形態等と同様なので説明は省略する。
【0303】
図12で前述の場合、説明の都合上、階調値を0〜4の5階調としたので、最大値は「4」となり、その30%(1.2)以下の階調値は「1」以下の階調値であり、それを10%(0.4)濃くしたもの(1.6)も階調値「2」にならないので、例として適さないが、この場合、例えば補正範囲を階調値「1」以下とし、その場合には階調値を1だけ向上させる(すなわち階調値「2」)ように規定することもできる。
【0304】
なお、ここで、より好ましい例を示しておく。例えば図23(a)および図24に示す「濃」の印刷画像PGK1は、0〜255の256階調値の場合の30%以下、すなわち階調値「76」の例であり、図23(b)および図25に示す「濃」の印刷画像PGK1Uは、それより濃度(階調値)を10%高くした(40%の)階調値「102」の例を示していて、前者の図23(a)の印刷画像PGK1と後者の同図(b)の印刷画像PGK1Uとを比較すれば、あるいはそれらを小さいサイズで示した同図(c)の左側の(前者に相当する)印刷画像PGK1Sと右側の(後者に相当する)印刷画像PGK1USとを比較すれば、濃度(階調値)の補正によりかすれ等が防止されていることがわかる。
【0305】
すなわち、この場合、このテープ印刷装置1では、所定の補正範囲を所定基準以下の濃度に対応する範囲とすることにより、補正の対象となる指定階調値を所定基準以下の濃度に対応する範囲内に絞ることができ、これにより、高濃度(所定基準を超える濃度)に対応する指定階調値を補正の対象から除くことができ、この結果、例えばかすれ等を防止しつつ補正によりつぶれ等が発生しないような補正が容易にできる。特に印刷装置に画像を出力する場合、すなわちディザ処理により印刷画像のための要素ディザ画像を作成する場合、高濃度に対応する指定階調値に基づいてさらに濃度を高くした補正階調値とするのでは、前述のように打込量制限値を超えるなどの問題が生じる可能性があるが、上記の場合、所定の補正範囲が所定基準以下の濃度に対応する範囲なので、この補正範囲内を対象に一律に濃度を高くするなどの比較的ラフな補正を行っても問題は生じにくく、補正処理を簡易にできる。
【0306】
また、上記の場合、所定の補正範囲が、指定階調値に対応する濃度の最大濃度に対する比率に基づいて規定されている。すなわち、例えば百分率等の最大濃度に対する比率に基づいて規定されているので、補正対象となる濃度の範囲のイメージを把握しやすい。また、イメージを把握し易いので、規定もし易く変更もし易い。また、上述の説明において、最大濃度を階調値「255」とし、30%以下の例を階調値「76」、40%(30%+10%)の例を階調値「102」としたように、所定の補正範囲を階調値の範囲として規定すれば、指定階調値の値から直接判別でき、判別しやすく、またその規定もし易くなる。
【0307】
また、所定の補正範囲を、指定階調値をそのまま補正調整値としたときのディザマスクの有効を示す値を割り付けられたマトリクス要素の数の範囲として規定することもできる。ディザマトリクスの規定の仕方によっては、濃度が階調値の変化と所定の関係(例えばリニア等)の関係にあるとは限らないので、そのような場合、濃度と所定の関係(リニア等)になるディザマスクの有効を示す値を割り付けられたマトリクス要素の数で規定した方が、所望の補正範囲を濃度と関連させて規定しやすくなる。この場合、ディザマスクの有効を示す値を割り付けられたマトリクス要素の数を直接カウントしても良いが、その数と指定階調値との対応テーブルおよびその数と補正階調値の対応テーブルを個別に用意して参照するか、指定階調値とその数(ディザマスクの有効を示す値を割り付けられたマトリクス要素の数)と補正階調値とを対応づけた対応テーブル等を用意して参照できるようにしておくと便利である。
【0308】
なお、文字、記号、外字登録した図形・記号など、文字の単位で扱えるいわゆるキャラクタの他、描画登録による図形についても同様に扱える点については、前述の第1実施形態や第2実施形態と同じであるが、前述の禁煙マーク等のような絵(図形)ではなく、より絵画的な絵柄(風景の絵など)の場合には、応用例として、逆に補正の対象から除く工夫もできる。すなわち、この種の描画画像(絵画的な絵柄)では、かすれ等が一種の風情や自然な感覚をかもしだすこともあるので、例えばこの種の描画画像を補正対象としない(指定階調値=補正階調値)で1つの要素画像とし、これと対比させてキャラクタ等の要素画像を(補正対象として)すっきりと明確に表現して組み合わせるなど、より趣向を凝らした全体画像を作成することもできる。
【0309】
その他の点については、指定階調値(原色階調値)の代わりにその補正階調値(原色補正階調値)とすることにより、前述の第1実施形態や第2実施形態と同様の各種の利点を有することは明らかなので、説明は省略する。
【0310】
次に、要素本体画像の明瞭さについて考える。すなわち、単一の要素画像について、前述のように要素本体画像と要素背景画像とが区分可能であっても、ディザ処理によりいわゆる間引きが行われると、微視的(ミクロ的)に見れば、それらの間の境界(例えば要素本体画像の輪郭線等)に凸凹が生じるので、その境界(輪郭線等)が不明瞭になる。特に要素本体画像のサイズが小さかったり線幅の狭い部分等があると、その部分に凹が割り付けられたとき(間引きされたとき)に、輪郭線等にいわゆるかすれや切れが生じて不明瞭になる。また、ディザ処理により印刷画像を作成してその画像を印刷装置に出力する場合、印刷の際のインク等のにじみ等がその不明瞭さに拍車を掛ける。
【0311】
そこで、以下では、メモリ容量の節約や処理時間の短縮が図れるばかりでなく、さらに、要素本体画像のかすれや切れ等を防止可能とするディザ処理、すなわち、上述のような問題が発生する可能性がある場合の画像処理(ディザ処理)方法について、第4実施形態として説明する。
【0312】
この第4実施形態におけるテープ印刷装置1では、前述の第1実施形態ないし第3実施形態と同様に、要素本体画像の画素とその背景になる要素背景画像の画素とを区分可能な少なくとも1つの要素画像について、要素本体画像に有効を示す値、要素背景画像に無効を示す値を割り付けた2値マトリクスで表現された要素形状画像を作成し、その一方で、要素本体画像の全画素に同一の指定階調値として、n値のうちの1つの階調値を記憶する。
【0313】
具体的には、図16等で前述の場合と同様に、例えば図30に示すように、まず、文字等がテキスト入力された後、すなわち図12で前述の例では、文字列「123」のように文字が入力され、文字等のサイズや装飾が指定され、色指定等が終了した後(S31:前述のS11と同じ)、印刷キー321により印刷が指定されると(S32:S12と同じ)、CG−ROM230内のアウトラインフォントに基づいて、文字列「123」の各文字を画像展開して、図12(a)に示す要素形状画像マトリクスSG1、SG2、SG3で表現された各文字(各要素画像)の要素形状画像を作成し(S33:S13と同じ)、その一方で、各文字「1」、「2」および「3」の文字画像(要素本体画像)の指定階調値として、色パレットデータCP1、CP2およびCP3をRAM240内の色パレットデータ領域247に記憶する。
【0314】
もちろん、この場合も、アウトラインフォントに基づく以外に、例えばドットマップフォントに基づく文字や、外字登録や描画登録によりドットマップで登録済みの文字(キャラクタの意味)も利用できるが、第4実施形態では、後述のように輪郭線の再描画を行うので、アウトラインフォントに基づく場合に特に便利である。そこで、以下では、特にアウトラインフォントに基づく例について説明する。
【0315】
すなわち、このテープ印刷装置1では、図30に示すように、上記の入力文字展開処理(S33)において、まず、所定のアウトラインフォントに基づいて、要素本体画像の輪郭線を構成するマトリクス要素にのみ所定の2値(ここでは「1」および「0」)のうちの有効を示す値(「1」)を割り付け、他のマトリクス要素に、所定の2値のうちの無効を示す値(「0」)を割り付けることにより、所定の2値のマトリクス(以下「要素本体輪郭画像マトリクス」)で表現された文字(要素本体)輪郭画像を作成し(S331)、文字(要素本体)輪郭画像の無効を示す値「0」を割り付けられたマトリクス要素のうち、文字(要素本体)画像の輪郭線を構成するマトリクス要素に囲まれたマトリクス要素に、有効を示す値「1」を割り付けることにより、要素形状画像マトリクスで表現される要素形状画像を作成する(S332)。
【0316】
アウトラインフォントは、輪郭線の座標や属性等で定義されているため、アウトラインフォントに基づく画像の展開処理(S33)は、一般に、輪郭線の描画処理(アウトライン展開処理:輪郭線を構成するマトリクス要素に有効を示す値を割り付ける処理:S331)とその描画された輪郭線内のいわゆる塗り潰し処理(アウトライン内塗り潰し処理:輪郭線内のマトリクス要素の全てに有効を示す値を割り付ける処理:S332)により行われる。すなわち、上記の場合、アウトラインフォントに基づく一般的な画像展開方法により、要素形状画像を容易に作成できる。
【0317】
図30に示すように、各文字(各要素画像)の要素形状画像を作成して入力文字展開が終了すると(S33)、基本色別のディザマスクを選択する(S34:S14と同じ)。この処理(S34)はすでに第1実施形態等で前述しているので、詳細な説明は省略する。そして、このテープ印刷装置1では、図30に示すように、基本色別ディザマスクの選択(S24)が終了すると、次に、基本色別にマスク処理を行う(S35)。
【0318】
この基本色別マスク処理(S35)において、この第4実施形態のテープ印刷装置1では、要素本体画像の輪郭線に基づいて要素ディザ画像を補正した要素ディザ補正画像を作成する。
【0319】
例えば前述の要素形状画像では、要素本体画像の画素を表現するマトリクス要素には有効を示す値「1」が割り付けられ、要素背景画像の画素を表現するマトリクス要素には無効を示す値「0」が割り付けられているので、それらの境界線(要素本体画像の輪郭線等)は明瞭である。しかし、要素ディザ画像における要素本体画像の画素に対応するマトリクス要素には、論理積演算の結果、有効を示す値「1」と無効を示す値「0」とが混在するので、例えば要素本体画像の輪郭線に対応するマトリクス要素にも、有効を示す値「1」と無効を示す値「0」とが混在してしまうことがあり、その場合、要素背景画像との境界、すなわち要素本体画像の輪郭線に対応する部分が不明瞭になる。そこで、このような場合に、要素本体画像に基づいて要素ディザ画像を補正することにより、例えば要素ディザ画像の要素本体画像の輪郭線に対応する部分を明瞭にすることができ、この補正結果の要素ディザ補正画像では、上述した要素ディザ画像の利点に加え、要素本体画像のかすれや切れ等を防止することが可能になる。
【0320】
具体的には、図30に示すように、基本色別マスク処理(S35)において、文字展開バッファ内で、第1実施形態等と同様のマスク処理により各色の原色要素ディザ画像を作成し(S351)、輪郭再描画を行って、補正後の原色要素ディザ画像(以下「原色要素ディザ補正画像」)を作成した後(S352)、各基本色別配置バッファに各原色要素ディザ補正画像を配置し(S353)、これにより、図13〜図15および図17〜図19で前述のような各基本色の全体ディザ画像を作成する。すなわち、輪郭再描画(S352)以外は、第1実施形態等と同様なので、それらの説明は省略し、以下では、この輪郭再描画(S352)について説明する。
【0321】
まず、このテープ印刷装置1における要素ディザ画像(ここでは原色要素ディザ画像)の補正は、各要素ディザ画像のマトリクス要素のうち、要素本体画像の輪郭線に対応するマトリクス要素に、所定の2値「1」および「0」のうちの有効を示す値「1」を割り付けることにより行われ、これにより、要素ディザ画像の要素本体画像の輪郭線に対応する部分を明瞭にすることができ、補正結果の要素ディザ補正画像では、要素本体画像のかすれや切れ等を防止できる。
【0322】
例えば図27(a)および図28に示す「輪」の印刷画像(要素ディザ画像)PGK2に対して、輪郭線を強化する補正をすると、図27(b)および図29に示す「輪」の印刷画像(要素ディザ補正画像)PGK2Lのようになる。これらを比較すれば、あるいはそれらを小さいサイズで示した図27(c)の左側の印刷画像(要素ディザ画像)PGK2Sと右側の印刷画像(要素ディザ補正画像)PGK2LSとを比較すれば、輪郭線の補正によりかすれや切れ等が防止されていることがわかる。
【0323】
すなわち、このテープ印刷装置1では、例えばディザ処理により印刷画像を作成してその画像を印刷装置に出力する場合、印刷の際のインク等のにじみ等が発生してもその輪郭線を強化することにより不明瞭さを抑止できる。また、印刷装置には前述のように印刷対象物に応じた打込量制限値があるため、一律に濃度を高くするような補正をすると、その打込量制限値を超えてしまうなどの問題を生じることがあるが、ここでは輪郭線を強化するだけであり、輪郭線の外側はインク等のない(無効を示す値が割り付けられた)領域なので、この種の問題は生じない。
【0324】
具体的には、例えば図30に示すように、輪郭再描画(S352)では、まず、要素本体画像が所定の特性を有しているか否か、ここでは「文字サイズが64ドット以下」および「線幅が4ドット以下」のいずれかに該当するか否か、を判別し(S3521)、その所定の特性を有していると判別したときに(S3521:Yes)、文字輪郭再描画を行う(S3522)。
【0325】
この文字輪郭再描画(S3522)は、前述の入力文字展開(S33)のアウトライン展開(S331)と同様の処理である。すなわち、このテープ印刷装置1では、入力文字展開(要素形状画像作成:S33)の際の輪郭線の描画処理(アウトライン展開処理:S331)と同様の処理を要素ディザ画像に対して行う(すなわち輪郭線を再描画する文字(要素本体)輪郭再描画を行う:S3522)ので、特に新たな機能を付加することなく、要素ディザ画像の要素本体画像の輪郭線に対応するマトリクス要素に、有効を示す値を容易に割り付けることができる。
【0326】
なお、入力文字展開(S33)の際に、アウトライン展開(S331)で作成した要素本体輪郭画像を、次のアウトライン内塗り潰し(S332)で使用するのと並行してそのまま記憶しておき、上記の文字(要素本体)輪郭再描画(S3522)において利用することもできる。この場合、要素ディザ画像マトリクスと要素本体輪郭画像マトリクスとの対応するマトリクス要素同士を対象として、双方のいずれかが有効を示す値「1」のときに結果のマトリクス要素を有効を示す値「1」とする論理和演算を行う。すなわち、文字(要素本体)輪郭画像マトリクスは、文字(要素本体)画像の輪郭線を構成するマトリクス要素にのみ有効を示す値「1」を割り付けたものなので、要素ディザ画像マトリクスと論理和演算するだけで、要素ディザ画像マトリクスの要素本体画像の輪郭線に対応するマトリクス要素に、有効を示す値「1」を容易に割り付けることができ、また、単に論理和演算を行えばよいので、処理時間も短くて済む。
【0327】
また、このテープ印刷装置1では、上述の輪郭再描画(要素ディザ補正画像作成:S352)において、要素本体画像が所定の特性を有するか否かを判別し(S3521)、所定の特性を有していると判別したときに(S3521:Yes)、要素ディザ画像を補正して要素ディザ補正画像とし(文字輪郭再描画:S3522)、有していないと判別したときに(S3521:No)、要素ディザ画像をそのまま要素ディザ補正画像とする。すなわち、所定の特性を有するか否かを判別することにより、補正対象の要素ディザ画像を絞ることができ、要素画像を複数有するような場合に、一律に補正するのに比べて全体として処理時間を短縮できる。
【0328】
また、上記の場合、所定の特性に、要素本体画像のサイズに関する特性が含まれる。ディザ処理の結果の明瞭さ、特にいわゆる間引き処理による結果の明瞭さは、種々のサイズにより多様なので、これにより、種々のサイズのうちの処理結果の明瞭さに影響し易いサイズに着目して、補正の対象を絞ることができ、効率のよい補正が可能になる。また、上記の場合、一般的なドットサイズに基づいて判別するので、処理しやすい。
【0329】
具体的には、上述のように、所定の特性に、要素本体画像の形状全体が所定サイズ(ここでは64ドット)より小さいことが含まれる。すなわち、要素本体画像の形状全体のサイズが小さい場合に、いわゆる間引き処理により例えば輪郭線等の各部に凸凹が生じると、全体を見たときに、全体が小さい分だけその凸凹が目立つことになり、要素本体画像の元々の形状が把握しにくくなる。このため、要素本体画像の形状全体が所定サイズ(64ドット)より小さい場合に、作成された要素ディザ画像を補正対象とすることにより、画像の明瞭さを向上させ、かすれ等を防止することができる。
【0330】
また、この場合、例えば同一サイズの文字画像でもその書体により線幅が異なるように、上述の要素本体画像の形状全体のサイズのみによっては判別できないことがある。また、全体的な形状は把握できても、その一部に線幅が狭い部分があると、そこに切れ等が生じることがある。このため、上記の場合、所定の特性には、要素本体画像の線幅が所定サイズ(ここでは4ドット)より小さいことが含まれる。すなわち、要素本体画像の線幅が所定サイズ(4ドット)より小さい場合に、作成された要素ディザ画像を補正対象とすることにより、画像の明瞭さを向上させ、切れ等を防止することができる。なお、要素本体画像あるいはその一部として、例えば文字に対するアンダーライン、取消線、罫線枠、外枠等が含まれる場合、これらも線幅が狭い等によりかすれや切れ等が生じる可能性があるので、上記の所定の特性の判別では、これらも判別の対象とし、また、輪郭再描画による補正対象とすることが好ましい。
【0331】
上述以外の点については、前述の第1実施形態ないし第3実施形態と同様であり、同様の各種利点を有することは明らかなので、説明は省略する。
【0332】
なお、上述の実施形態では、テープ印刷装置1における印刷のため、すなわち印刷画像作成のための画像処理を例に挙げたが、当然ながら、ディスプレイ4に表示する表示画像作成のための画像処理にも適用できる。前述の印刷の場合にはカラー3原色をCMYとし、それにKを加えたCMYKの4色を基本色としたが、表示のためには、カラー3原色は、R(レッド)、G(グリーン)およびB(ブルー)の3色として、その3原色を基本色とした画像処理(ディザ処理)を行うのが好ましい。この場合、いわゆる加法混色により色(カラー)を表現できるので、CRT、プラズマ、液晶等のディスプレイのように、それ自体が発光によってカラー表現する場合に適している。また、この場合、RGBの3色の混合色(混色)は白となる。
【0333】
また、上述の実施形態では、インクジェット方式の例を挙げたが、サーマル方式、レーザ方式等にも適用できる。また、要素画像の本体となる要素本体画像の画素とその背景になる要素背景画像の画素とが区分可能でかつ少なくとも要素本体画像の全画素が同一階調値の要素画像を、少なくとも1つ有する全体画像を対象とするものであれば、例えば一般的な印刷装置や表示装置その他のどのような装置あるいはどのような目的で作成する画像処理にも適用できる。もちろん、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【0334】
【発明の効果】
上述のように、本発明の画像処理方法およびその装置によれば、要素画像の本体となる要素本体画像の画素とその背景になる要素背景画像の画素とが区分可能でかつ少なくとも要素本体画像の全画素が同一階調値の要素画像を、少なくとも1つ有する全体画像を対象として、メモリ容量の節約や処理時間の短縮が図れ、かつ要素本体画像のかすれや切れ等を防止可能なディザ処理を行うことができる、などの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像処理方法およびその装置を適用したテープ印刷装置1の外観斜視図である。
【図2】図1のテープ印刷装置の制御系のブロック図である。
【図3】図1のテープ印刷装置の装置本体の断面図である。
【図4】図1のテープ印刷装置に装着するテープカートリッジの一例の裁断断面図である。
【図5】図1のテープ印刷装置の制御全体の概念的処理を示すフローチャートである。
【図6】2値ディザ処理の一例を示す原理説明図である。
【図7】多値ディザ処理の一例を示す原理説明図である。
【図8】同一階調値の要素本体画像の輪郭線内の一部を表現する分割入力マトリクスの一例に対するディザ処理を、従来と対比して説明するための原理説明図である。
【図9】別の一例に対する図8と同様の原理説明図である。
【図10】同一階調値の要素本体画像の輪郭線内および輪郭線外を含むさらに別の一例に対する図8と同様の原理説明図である。
【図11】要素画像全体および全体画像に対して従来のディザ処理を行う一例を説明するための原理説明図である。
【図12】図11に対応して、本発明の実施形態におけるディザ処理を行う一例を説明するための原理説明図である。
【図13】モノクロ画像の場合およびカラー画像のY色についての全体ディザ画像マトリクスおよびそれに対応する印刷画像の一例を示す説明図である。
【図14】カラー画像のC色およびK色についての全体ディザ画像マトリクスおよびそれに対応する印刷画像の一例を示す説明図である。
【図15】カラー画像のM色についての全体ディザ画像マトリクスおよびそれに対応する印刷画像の一例を示す説明図である。
【図16】第1実施形態における画像作成・印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【図17】図13のカラー画像のY色について図14のK色の分をキャンセルしたときの全体ディザ画像マトリクスおよびそれに対応する印刷画像の一例を示す説明図である。
【図18】図14のカラー画像のC色について図14のK色の分をキャンセルしたときの全体ディザ画像マトリクスおよびそれに対応する印刷画像の一例を示す説明図である。
【図19】図15のカラー画像のM色について図14のK色の分をキャンセルしたときの全体ディザ画像マトリクスおよびそれに対応する印刷画像の一例を示す説明図である。
【図20】色変換テーブルの一例を示す説明図である。
【図21】第2実施形態において仮原色ディザマスクと混色ディザマスクから原色ディザマスクを求める一例を示す原理説明図である。
【図22】図形に関するディザ処理の一例を示す原理説明図である。
【図23】第3実施形態の指定階調値の補正を適用しない場合と適用した場合を対比して説明するための印刷画像の一例を示す説明図である。
【図24】図23の指定階調値の補正を適用しない場合の印刷画像を拡大して示す説明図である。
【図25】図23の指定階調値の補正を適用した場合の印刷画像を拡大して示す説明図である。
【図26】第3実施形態における画像作成・印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【図27】第4実施形態の要素ディザ画像の補正を適用しない場合と適用した場合を対比して説明するための印刷画像の一例を示す説明図である。
【図28】図27の要素ディザ画像の補正を適用しない場合の印刷画像を拡大して示す説明図である。
【図29】図27の要素ディザ画像の補正を適用した場合の印刷画像を拡大して示す説明図である。
【図30】第4実施形態における画像作成・印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【図31】従来の画像作成・印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 テープ印刷装置
3 キーボード
4 ディスプレイ
5 テープカートリッジ
7 印刷ヘッド
11 操作部
12 印刷部
13 切断部
14 検出部
41 表示画面
200 制御部
210 CPU
220 ROM
230 キャラクタジェネレータROM(CG−ROM)
240 RAM
241 各種レジスタ群
242 テキストデータ領域
243 表示画像データ領域
244 印刷画像データ領域
245 描画登録画像データ領域
246 ディザマスクデータ領域
247 色パレットデータ領域
248 各種バッファ領域
250 周辺制御回路(P−CON)
260 内部バス
270 駆動部
290 電源部
CP1〜CP6 …… 色パレットデータ
DD5、DD16、DD64(1〜4) …… ディザマトリクス
DGC、DGC2、DGM、DGM2、DGY、DGY2、DGK
…… 全体ディザ画像マトリクス
DM5(0〜4)、DM64(35、55) …… ディザマスク
KP35、KP55 …… 指定階調値
SG1〜SG6 …… 要素形状画像マトリクス
T テープ
T1 印刷テープ
T2 ラミネートテープ
Claims (2)
- 画素のn値(nは3以上の整数)の階調値のしきい値をm値(mはn≧m≧2となる整数)で規定してマトリクス要素として配列したディザマトリクスに基づいて、ディザ処理を行う画像処理方法であって、
全体画像が有する要素画像のうち、要素画像の本体となる要素本体画像の画素とその背景になる要素背景画像の画素とを区分可能な少なくとも1つの要素画像について、前記要素本体画像の全画素に、所定の2値のうちの有効を示す値を割り付け、前記要素背景画像の全画素に、前記2値のうちの無効を示す値を割り付けることにより、前記2値のマトリクスで表現された要素形状画像を作成して記憶する要素形状画像作成工程と、
前記要素画像について、前記要素本体画像の全画素に同一の指定階調値として、前記n値のうちの1つの階調値を記憶する指定階調値記憶工程と、
前記ディザマトリクスと同一サイズの前記2値のマトリクスで表現され、前記ディザマトリクスの各しきい値のうちの前記指定階調値が条件を満たすしきい値に対応するマトリクス要素に、前記2値のうちの有効を示す値を割り付け、条件を満たさないしきい値に対応するマトリクス要素に、前記2値のうちの無効を示す値を割り付けたディザマスクを記憶するディザマスク記憶工程と、
前記要素形状画像の前記ディザマスクと同一サイズのマトリクス毎に、各マトリクスと前記ディザマスクとの対応するマトリクス要素同士を対象として、双方が有効を示す値のときのみ有効を示す値とする論理積演算を行うことにより、その論理積演算の結果として、前記要素形状画像と同一サイズの前記2値のマトリクスで表現された要素ディザ画像を作成する要素ディザ画像作成工程と、
前記要素ディザ画像のマトリクス要素のうち、前記要素本体画像の輪郭線に対応するマトリクス要素に、前記所定の2値のうちの有効を示す値を割り付けることにより、前記要素ディザ画像を補正した要素ディザ補正画像を作成する要素ディザ補正画像作成工程と、
前記要素本体画像が所定の特性を有するか否かを、前記要素本体画像のドットサイズに基づいて判別する要素本体特性判別工程と、を備え、
前記要素ディザ補正画像作成工程は、
前記要素本体特性判別工程において前記要素本体画像が前記所定の特性を有していると判別した場合、前記要素ディザ画像を補正して前記要素ディザ補正画像を作成し、前記所定の特性を有していないと判別した場合、前記要素ディザ画像をそのまま前記要素ディザ補正画像とすることを特徴とする画像処理方法。 - 画素のn値(nは3以上の整数)の階調値のしきい値をm値(mはn≧m≧2となる整数)で規定してマトリクス要素として配列したディザマトリクスに基づいて、ディザ処理を行う画像処理装置であって、
全体画像が有する要素画像のうち、要素画像の本体となる要素本体画像の画素とその背景になる要素背景画像の画素とを区分可能な少なくとも1つの要素画像について、前記要素本体画像の全画素に、所定の2値のうちの有効を示す値を割り付け、前記要素背景画像の全画素に、前記2値のうちの無効を示す値を割り付けることにより、前記2値のマトリクスで表現された要素形状画像を作成して記憶する要素形状画像作成手段と、
前記要素画像について、前記要素本体画像の全画素に同一の指定階調値として、前記n値のうちの1つの階調値を記憶する指定階調値記憶手段と、
前記ディザマトリクスと同一サイズの前記2値のマトリクスで表現され、前記ディザマトリクスの各しきい値のうちの前記指定階調値が条件を満たすしきい値に対応するマトリクス要素に、前記2値のうちの有効を示す値を割り付け、条件を満たさないしきい値に対応するマトリクス要素に、前記2値のうちの無効を示す値を割り付けたディザマスクを記憶するディザマスク記憶手段と、
前記要素形状画像の前記ディザマスクと同一サイズのマトリクス毎に、各マトリクスと前記ディザマスクとの対応するマトリクス要素同士を対象として、双方が有効を示す値のときのみ有効を示す値とする論理積演算を行うことにより、その論理積演算の結果として、前記要素形状画像と同一サイズの前記2値のマトリクスで表現された要素ディザ画像を作成する要素ディザ画像作成手段と、
前記要素ディザ画像のマトリクス要素のうち、前記要素本体画像の輪郭線に対応するマトリクス要素に、前記所定の2値のうちの有効を示す値を割り付けることにより、前記要素ディザ画像を補正した要素ディザ補正画像を作成する要素ディザ補正画像作成手段と、
前記要素本体画像が所定の特性を有するか否かを、前記要素本体画像のドットサイズに基づいて判別する要素本体特性判別手段と、を備え、
前記要素ディザ補正画像作成手段は、
前記要素本体特性判別手段によって前記要素本体画像が前記所定の特性を有すると判別された場合、前記要素ディザ画像を補正して前記要素ディザ補正画像を作成し、前記所定の特性を有していないと判別された場合、前記要素ディザ画像をそのまま前記要素ディザ補正画像とすることを特徴とする画像処理装置。
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