JP3760611B2 - イオン整水器用カルシウム供給装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道水の原水を電気分解して飲用や医療用などに利用されるアルカリイオン水、化粧水や殺菌洗浄水などに利用される酸性イオン水を製造するイオン整水器用カルシウム供給装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年のアルカリイオン整水器の普及に伴い、連続電解方式のイオン水生成器として、使い勝手やキッチン回りの有効活用を追求した、いわゆるビルトインタイプのアルカリイオン整水器が広く使用されている。
【０００３】
このビルトインアルカリイオン整水器は、電解槽内で水道水を電気分解して陽極側に酸性イオン水を、陰極側にアルカリイオン水をそれぞれ生成するもので、流し台の下やシステムキッチンの内部に備え付けられている。
【０００４】
アルカリイオン整水器で生成されるアルカリイオン水は人体への有用性が確認されており、主として飲用・調理等に使用されている。また、酸性イオン水は美容効果（アストリゼント）が確認されており、洗顔等に使用される場合もあるものの、飲用に適していない為、排水として流し台に排出されている。
【０００５】
ここで、従来の連続電解方式のアルカリイオン整水器について説明する。
図４は従来のアルカリイオン整水器の構成を示す概略図、図５は図４のアルカリイオン整水器に取り付けられたカルシウム供給装置を示す断面図、図６は図５のカルシウム供給装置におけるカルシウム剤補充要領を示す説明図、図７は従来の他のアルカリイオン整水器の構成を示す概略図である。
【０００６】
図４に示すように、アルカリイオン水および酸性イオン水を生成するイオン整水器３には原水管１が接続されている。そして、原水管１には、活性炭と中空糸膜とを備えた浄水部４が接続されている。
【０００７】
浄水部４の下流側には原水を電気分解する電解槽６が接続されており、浄水部４と電解槽６との間には、カルシウムイオンを付与するカルシウム供給装置１００、配管内の原水の流量を測定して制御手段１６に送る流量センサ５が順次設置されている。
【０００８】
電解槽６には内部を２つの電解室６ａ、６ｂに区画する隔膜７が設けられ、各電解室６ａにはマイナス電圧が印加される電極板８が、電解室６ｂにはプラス電圧が印加される電極板９が配設されている。電解室６ａには通水管１０が取り付けられ、この通水管１０にはアルカリイオン水吐水管１２が接続されている。また、電解室６ｂには通水管１１が取り付けられ、この通水管１１には酸性イオン水吐水管１３が接続されている。
【０００９】
イオン整水器３には、このイオン整水器３の動作を制御する制御手段１６が設けられている。制御手段１６は電源投入用プラグ１４から電源部１５で変換された直流電流により動作される。また、整水器の動作状態を表示するとともに所定のコマンドを入力する操作表示パネル１７が設けられている。
【００１０】
次に、以上のように構成されたイオン整水器３において、イオン水を生成する動作について説明する。
【００１１】
原水管１から通水された水道水は、浄水部４で浄化され、カルシウム供給装置１００においてカルシウムイオンが付与された後、電解槽６に導入される。
【００１２】
そして、電解槽６では、水の電気分解により電解室６ａにアルカリイオン水が、電解室６ｂに酸性イオン水が生成され、アルカリイオン水吐水管１２よりアルカリイオン水が、酸性イオン水吐水管１３より酸性イオン水が吐水される。
【００１３】
次に、図５に基づいて従来のイオン整水器に取り付けられたカルシウム供給装置１００について説明する。
【００１４】
カルシウム供給装置１００の容器本体１０１には、浄水部４からの原水が流入する流入口１０１ａと、電解槽６へ向かう原水が流出する流出口１０１ｂが形成されている。そして、このような容器本体１０１は、その上部に形成された開口部が容器蓋１０２によって閉塞されている。容器本体１０１の内部には、グリセロリン酸カルシウムや乳酸カルシウム等の粒状のカルシウム剤１０６を収容する為のホルダ１０３が位置している。このホルダ１０３は、その内部を原水の通水路とする為に多数の細孔が形成されている。そして、カルシウム剤１０６は、容器蓋１０２を開けて補充される。
【００１５】
容器本体１０１と容器蓋１０２との間、容器蓋１０２とホルダ１０３との間には、これら２つの部材の隙間をシールするシール材１０７、１０８が設けられて水漏れが防止されている。
【００１６】
そして、このようなカルシウム供給装置１００により、浄水部４で濾過された原水はホルダ１０３内のカルシウム剤１０６によりカルシウムイオンが付与されて導電率が高められ、電解槽６における水の電気分解が促進される。
【００１７】
図６に示す場合においては、カルシウム剤１０６を補充するために容器蓋１０２を開けた状態が示されている。図示するように、カルシウム剤１０６の補充手順は、容器蓋１０２を開けて容器本体１０１からホルダ１０３を取り外し、次に袋１０９を開封してホルダ１０３内にカルシウム剤１０６を補充するというプロセスによる。
【００１８】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように構成されたビルトインタイプのアルカリイオン整水器においては、原水の水質により差はあるものの、通常は２００Ｌ〜３００Ｌ使用毎にカルシウム剤１０６を補充する必要がある。その際、前述のようにホルダ１０３とともに容器蓋１０２を取り外す為、配管内や電解槽６内の滞留水が逆流し、容器本体１０１からあふれて水漏れするという問題があった。
【００１９】
このような問題を解決するアルカリイオン整水器として、図７に示すようなものが一部において使用されている。
【００２０】
このアルカリイオン整水器では、カルシウム供給装置１００の前後の配管上に電磁弁等の弁装置１８、１９を設けておき、カルシウム剤１０６の補充の際にはこの弁装置１８、１９を閉位置として滞留水の逆流を防止するものである。
【００２１】
しかしながら、図７に示すアルカリイオン整水器の場合、弁装置１８、１９が設置され、また弁開閉のために制御手段が複雑となるので、装置が高価なものになる。
【００２２】
そこで、本発明は、簡単且つ安価な機構によりカルシウム剤の補充時における水漏れを防止することのできるイオン整水器用カルシウム供給装置を提供することを目的とする。
【００２３】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明のイオン整水器用カルシウム供給装置は、原水を浄化する浄水部から原水を電気分解してアルカリイオン水および酸性イオン水を生成する電解槽に至る配管上に設置されたもので、浄水部からの原水が流入する流入口および電解槽へ向かう原水が流出する流出口が形成されるとともに排水管が接続された排水口を有する容器本体と、原水が貫通する多数の細孔を有し、原水にカルシウムイオンを与えるカルシウム剤が収容されて容器本体内に位置するホルダと、装着時には流入口からホルダ内を通って流出口へと流出する原水の流路を確保しつつ排水口からの原水の排出を阻止するようにして容器本体の上部に形成された開口部を閉塞するとともに、取り外し時には容器本体の内部と排出口とを連通する容器蓋とを備えた構成になっているものである。
【００２４】
これにより、カルシウム剤を補充するために容器蓋を開けると容器本体の内部と排出口とが連通されて容器本体内の原水が排水口から排出されるので、簡単且つ安価な機構によりカルシウム剤の補充時における水漏れを防止することが可能になる。
【００２５】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項１に記載の発明は、原水を浄化する浄水部から原水を電気分解してアルカリイオン水および酸性イオン水を生成する電解槽に至る配管上に設置されたイオン整水器用カルシウム供給装置であって、浄水部からの原水が流入する流入口および電解槽へ向かう原水が流出する流出口が形成されるとともに排水管が接続された排水口を有する容器本体と、原水が貫通する多数の細孔を有し、原水にカルシウムイオンを与えるカルシウム剤が収容されて容器本体内に位置するホルダと、装着時には流入口からホルダ内を通って流出口へと流出する原水の流路を確保しつつ排水口からの原水の排出を阻止するようにして容器本体の上部に形成された開口部を閉塞するとともに、取り外し時には容器本体の内部と排出口とを連通する容器蓋とを備えたものであり、カルシウム剤を補充するために容器蓋を開けると容器本体の内部と排出口とが連通されて容器本体内の原水が排水口から排出されるので、簡単且つ安価な機構によりカルシウム剤の補充時における水漏れを防止することが可能になるという作用を有する。
【００２６】
本発明の請求項２に記載の発明は、請求項１に記載の発明において、容器本体と容器蓋との間には、排水口の下方に位置して容器本体と容器蓋との隙間をシールするシール材が設けられているイオン整水器用カルシウム供給装置であり、カルシウム剤を補充するために容器蓋を開けると容器本体の内部と排出口とが連通されて容器本体内の原水が排水口から排出されるので、簡単且つ安価な機構によりカルシウム剤の補充時における水漏れを防止することが可能になるという作用を有する。
【００２７】
以下、本発明の実施の形態について、図１から図３を用いて説明する。なお、これらの図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。
【００２８】
図１は本発明の一実施の形態であるイオン整水器の構成を示す概略図、図２は図１のイオン整水器に取り付けられたカルシウム供給装置を示す断面図、図３は図２のカルシウム供給装置において容器蓋を取り外した状態を示す断面図である。
【００２９】
図１に示すように、水道水や井戸水等の原水を電気分解して、飲用、医療用として利用されるアルカリイオン水、および洗浄用等に利用される酸性イオン水を生成するイオン整水器３には、水道水等の原水を導入するための原水管１が接続されている。このイオン整水器３には、内部に原水中の残留塩素を吸収する活性炭及び一般細菌や不純物を取り除く中空糸膜を備えた浄水部４が原水管１に接続されて設けられている。
【００３０】
浄水部４の下流側には通水された原水を電気分解する電解槽６が接続されており、浄水部４と電解槽６との間には、グリセロリン酸カルシウムや乳酸カルシウム等のカルシウムイオンを原水中に付与して導電率を高めるカルシウム供給装置２００、配管内の原水の流量を測定して通水を確認し、これを後述の制御手段１６に電送する流量センサ５が順次設置されている。また、カルシウム供給装置２００には排水管２０が接続されている。
【００３１】
電解槽６には内部を２つの電解室６ａ、６ｂに区画する隔膜７が設けられ、各電解室６ａ、６ｂには相互に反対の極性を有する電圧が印加される電極板８、９がそれぞれ配設されている。そして、電解槽６内に導入された原水は電極板８、９への電圧印加により電気分解されて、たとえば陰極である電極板８の配設された電解室６ａにはアルカリイオン水が、陽極である電極板９の配設された電解室６ｂには酸性イオン水がそれぞれ生成される。なお、以下において、電極板８を陰極、電極板９を陽極とした場合で説明を進めるが、電極板８を陽極、電極板９を陰極としてもよい。
【００３２】
電解室６ａには通水管１０が取り付けられ、この通水管１０にはアルカリイオン水吐水管１２が接続されている。したがって、生成されたアルカリイオン水は通水管１０を通ってアルカリイオン水吐水管１２から吐水される。
【００３３】
また、電解室６ｂには通水管１１が取り付けられ、この通水管１１には酸性イオン水吐水管１３が接続されている。したがって、生成された酸性イオン水は通水管１１を通って酸性イオン水吐水管１３から吐水される。
【００３４】
このような構造を有するイオン整水器３には、このイオン整水器３の動作を制御する制御手段１６が設けられている。そして、制御手段１６は、電源投入用プラグ１４から取り入れられて電源部１５において交流電流から変換された直流電流により動作される。
【００３５】
そして、制御手段１６による整水器の動作状態を表示し整水器に所望の操作を行わせるための操作表示パネル１７が、この制御手段１６と電気的に接続して設けられている。
【００３６】
次に、以上のように構成されたイオン整水器３において、イオン水を生成する動作について説明する。
【００３７】
原水管１から通水された水道水は、イオン整水器３内の浄水部４で活性炭・中空糸膜等により残留塩素の臭いや一般細菌等の不純物が取り除かれて浄水となり、カルシウム供給装置２００に入る。カルシウム供給装置２００においては、グリセロリン酸カルシウムや乳酸カルシウムなどのカルシウムイオンが付与されて導電率の高い電解容易な原水とされ、流量センサ５を経由して電解槽６に導入される。
【００３８】
一方、電源投入用プラグ１４よりたとえばＡＣ１００Ｖの電力が供給され、電源部１５で電気分解に必要な直流電圧が生成される。この直流電圧は電解槽６内の電極板８、９に給電される。相対的にプラス電圧が印加される電極板９を陽極、マイナス電圧が印加される電極板８を陰極とすると、これにより、電解槽６に隔膜７で仕切られた陽極の電解室６ｂと陰極の電解室６ａとが形成される。
【００３９】
通水後、流量センサ５の信号が制御手段１６に読み取られ、流量レベルが一定レベルを越えるとこの状態が通水中と判断される。
【００４０】
そして、制御手段１６により流量センサ５で検知した流量に応じた直流電圧が電極板８・９に印加され、水の電気分解により電解室６ａにアルカリイオン水が、電解室６ｂに酸性イオン水が生成され、それぞれ通水管１０・１１を経由して、アルカリイオン水吐水管１２よりアルカリイオン水が、酸性イオン水吐水管１３より酸性イオン水が吐水される。
【００４１】
次に、図２に基づいてイオン整水器に取り付けられたカルシウム供給装置２００について説明する。
【００４２】
カルシウム供給装置２００の容器本体２０１には、浄水部４からの原水が流入する流入口２０１ａと、電解槽６へ向かう原水が流出する流出口２０１ｂが形成されている。さらに、前述した排水管２０が接続された排出口２０１ｃが形成されている。
【００４３】
容器本体２０１は、その上部に形成された開口部が容器蓋１０２によって閉塞されている。容器本体２０１の内部には、グリセロリン酸カルシウムや乳酸カルシウム等の粒状のカルシウム剤１０６を収容する為のホルダ１０３が位置している。このホルダ１０３は、その内部を原水の通水路とする為に多数の細孔が形成されている。
【００４４】
そして、このようなカルシウム供給装置２００により、浄水部４で濾過された原水はホルダ１０３内のカルシウム剤１０６によりカルシウムイオンが付与されて導電率が高められ、電解槽６における水の電気分解が促進される。なお、カルシウム剤１０６は、容器蓋１０２を開けて補充される。
【００４５】
容器本体２０１と容器蓋１０２との間、容器蓋１０２とホルダ１０３との間には、これら２つの部材の隙間をシールして水漏れを防止するシール材１０７、１０８が設けられている。そして、図示するように、シール材１０７は、排水口２０１ｃの下方で、且つ流入口２０１ａおよび流出口２０１ｂの上方に位置している。したがって、容器蓋１０２を閉めると、流入口２０１ａからホルダ１０３内を通って流出口２０１ｂへと流出する原水の流路が確保されるとともに、排水口２０１ｃからの原水の流出が阻止される。また、容器蓋１０２を開けると、容器本体２０１の内部と排出口２０１ｃとが連通される。
【００４６】
なお、本実施の形態においては、シール材１０７により排水口２０１ｃからの流出を阻止しているが、容器本体２０１と容器蓋１０２とをシール材なしで密着させるようにして流出を阻止するようにしてもよい。また、本実施の形態において、排出口２０１ｃが流入口２０１ａおよび流出口２０１ｂよりも高い位置に形成されているが、たとえば排出口２０１ｃに位置する箇所の容器蓋１０２の側部を下方に長く形成するなどすれば、排出口２０１ｃは流入口２０１ａや流出口２０１ｂよりも低い位置に形成することができる。ここで、流出口２０１ｂが必ずしも底面に形成されていなくてもよいことは言うまでもない。
【００４７】
このような構造のカルシウム供給装置２００によれば、容器本体２０１に容器蓋１０２が取り付けられているときは、前述のように、流入口２０１ａからホルダ１０３内を通って流出口２０１ｂへと流出する原水の流路が確保されるとともに、排水口２０１ｃからの原水の流出が阻止される。
【００４８】
ここで、カルシウム剤１０６を補充するために容器蓋１０２を取り外すと、配管内や電解槽６の滞留水が逆流して、これらの滞留水が容器本体２０１内へ流入する。しかしながら、図３に示すように、本実施の形態のカルシウム供給装置２００では、容器蓋１０２を取り外すと容器本体２０１の内部と排出口２０１ｃとが連通されるので、逆流した滞留水は排水口２０１ｃから排水管２０へと自重により排水されて行く。したがって、カルシウム剤を補充するために容器蓋１０２を開けても滞留水が容器本体２０１からあふれることがなく、逆流した滞留水による水漏れは発生しない。
【００４９】
このように、本実施の形態によれば、容器蓋１０２を開けると容器本体２０１の内部と排出口２０１ｃとが連通されて容器本体２０１内の原水が排水口から排出されるので、カルシウム剤の補充時における水漏れが防止される。
【００５０】
また、弁装置を用いる必要がないので、簡単且つ安価な機構により水漏れを防止することが可能になる。
【００５１】
なお、本明細書において、「イオン整水器」および「アルカリイオン整水器」なる用語が必要に応じて使い分けられているが、アルカリイオン水を製造すればこれと対になって酸性イオン水が製造されることから、両者は同義である。
【００５２】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、カルシウム剤を補充するために容器蓋を開けると容器本体の内部と排出口とが連通されて容器本体内の原水が排水口から排出されるので、簡単且つ安価な機構によりカルシウム剤の補充時における水漏れを防止することが可能になるという有効な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施の形態であるイオン整水器の構成を示す概略図
【図２】図１のイオン整水器に取り付けられたカルシウム供給装置を示す断面図
【図３】図２のカルシウム供給装置において容器蓋を取り外した状態を示す断面図
【図４】従来のアルカリイオン整水器の構成を示す概略図
【図５】図４のアルカリイオン整水器に取り付けられたカルシウム供給装置を示す断面図
【図６】図５のカルシウム供給装置におけるカルシウム剤補充要領を示す説明図
【図７】従来の他のアルカリイオン整水器の構成を示す概略図
【符号の説明】
４ 浄水部
６ 電解槽
２０ 排水管
１０２ 容器蓋
１０３ ホルダ
１０６ カルシウム剤
１０７ シール材
２００ カルシウム供給装置
２０１ 容器本体
２０１ａ 流入口
２０１ｂ 流出口
２０１ｃ 排出口
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道水の原水を電気分解して飲用や医療用などに利用されるアルカリイオン水、化粧水や殺菌洗浄水などに利用される酸性イオン水を製造するイオン整水器用カルシウム供給装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年のアルカリイオン整水器の普及に伴い、連続電解方式のイオン水生成器として、使い勝手やキッチン回りの有効活用を追求した、いわゆるビルトインタイプのアルカリイオン整水器が広く使用されている。
【０００３】
このビルトインアルカリイオン整水器は、電解槽内で水道水を電気分解して陽極側に酸性イオン水を、陰極側にアルカリイオン水をそれぞれ生成するもので、流し台の下やシステムキッチンの内部に備え付けられている。
【０００４】
アルカリイオン整水器で生成されるアルカリイオン水は人体への有用性が確認されており、主として飲用・調理等に使用されている。また、酸性イオン水は美容効果（アストリゼント）が確認されており、洗顔等に使用される場合もあるものの、飲用に適していない為、排水として流し台に排出されている。
【０００５】
ここで、従来の連続電解方式のアルカリイオン整水器について説明する。
図４は従来のアルカリイオン整水器の構成を示す概略図、図５は図４のアルカリイオン整水器に取り付けられたカルシウム供給装置を示す断面図、図６は図５のカルシウム供給装置におけるカルシウム剤補充要領を示す説明図、図７は従来の他のアルカリイオン整水器の構成を示す概略図である。
【０００６】
図４に示すように、アルカリイオン水および酸性イオン水を生成するイオン整水器３には原水管１が接続されている。そして、原水管１には、活性炭と中空糸膜とを備えた浄水部４が接続されている。
【０００７】
浄水部４の下流側には原水を電気分解する電解槽６が接続されており、浄水部４と電解槽６との間には、カルシウムイオンを付与するカルシウム供給装置１００、配管内の原水の流量を測定して制御手段１６に送る流量センサ５が順次設置されている。
【０００８】
電解槽６には内部を２つの電解室６ａ、６ｂに区画する隔膜７が設けられ、各電解室６ａにはマイナス電圧が印加される電極板８が、電解室６ｂにはプラス電圧が印加される電極板９が配設されている。電解室６ａには通水管１０が取り付けられ、この通水管１０にはアルカリイオン水吐水管１２が接続されている。また、電解室６ｂには通水管１１が取り付けられ、この通水管１１には酸性イオン水吐水管１３が接続されている。
【０００９】
イオン整水器３には、このイオン整水器３の動作を制御する制御手段１６が設けられている。制御手段１６は電源投入用プラグ１４から電源部１５で変換された直流電流により動作される。また、整水器の動作状態を表示するとともに所定のコマンドを入力する操作表示パネル１７が設けられている。
【００１０】
次に、以上のように構成されたイオン整水器３において、イオン水を生成する動作について説明する。
【００１１】
原水管１から通水された水道水は、浄水部４で浄化され、カルシウム供給装置１００においてカルシウムイオンが付与された後、電解槽６に導入される。
【００１２】
そして、電解槽６では、水の電気分解により電解室６ａにアルカリイオン水が、電解室６ｂに酸性イオン水が生成され、アルカリイオン水吐水管１２よりアルカリイオン水が、酸性イオン水吐水管１３より酸性イオン水が吐水される。
【００１３】
次に、図５に基づいて従来のイオン整水器に取り付けられたカルシウム供給装置１００について説明する。
【００１４】
カルシウム供給装置１００の容器本体１０１には、浄水部４からの原水が流入する流入口１０１ａと、電解槽６へ向かう原水が流出する流出口１０１ｂが形成されている。そして、このような容器本体１０１は、その上部に形成された開口部が容器蓋１０２によって閉塞されている。容器本体１０１の内部には、グリセロリン酸カルシウムや乳酸カルシウム等の粒状のカルシウム剤１０６を収容する為のホルダ１０３が位置している。このホルダ１０３は、その内部を原水の通水路とする為に多数の細孔が形成されている。そして、カルシウム剤１０６は、容器蓋１０２を開けて補充される。
【００１５】
容器本体１０１と容器蓋１０２との間、容器蓋１０２とホルダ１０３との間には、これら２つの部材の隙間をシールするシール材１０７、１０８が設けられて水漏れが防止されている。
【００１６】
そして、このようなカルシウム供給装置１００により、浄水部４で濾過された原水はホルダ１０３内のカルシウム剤１０６によりカルシウムイオンが付与されて導電率が高められ、電解槽６における水の電気分解が促進される。
【００１７】
図６に示す場合においては、カルシウム剤１０６を補充するために容器蓋１０２を開けた状態が示されている。図示するように、カルシウム剤１０６の補充手順は、容器蓋１０２を開けて容器本体１０１からホルダ１０３を取り外し、次に袋１０９を開封してホルダ１０３内にカルシウム剤１０６を補充するというプロセスによる。
【００１８】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように構成されたビルトインタイプのアルカリイオン整水器においては、原水の水質により差はあるものの、通常は２００Ｌ〜３００Ｌ使用毎にカルシウム剤１０６を補充する必要がある。その際、前述のようにホルダ１０３とともに容器蓋１０２を取り外す為、配管内や電解槽６内の滞留水が逆流し、容器本体１０１からあふれて水漏れするという問題があった。
【００１９】
このような問題を解決するアルカリイオン整水器として、図７に示すようなものが一部において使用されている。
【００２０】
このアルカリイオン整水器では、カルシウム供給装置１００の前後の配管上に電磁弁等の弁装置１８、１９を設けておき、カルシウム剤１０６の補充の際にはこの弁装置１８、１９を閉位置として滞留水の逆流を防止するものである。
【００２１】
しかしながら、図７に示すアルカリイオン整水器の場合、弁装置１８、１９が設置され、また弁開閉のために制御手段が複雑となるので、装置が高価なものになる。
【００２２】
そこで、本発明は、簡単且つ安価な機構によりカルシウム剤の補充時における水漏れを防止することのできるイオン整水器用カルシウム供給装置を提供することを目的とする。
【００２３】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明のイオン整水器用カルシウム供給装置は、原水を浄化する浄水部から原水を電気分解してアルカリイオン水および酸性イオン水を生成する電解槽に至る配管上に設置されたもので、浄水部からの原水が流入する流入口および電解槽へ向かう原水が流出する流出口が形成されるとともに排水管が接続された排水口を有する容器本体と、原水が貫通する多数の細孔を有し、原水にカルシウムイオンを与えるカルシウム剤が収容されて容器本体内に位置するホルダと、装着時には流入口からホルダ内を通って流出口へと流出する原水の流路を確保しつつ排水口からの原水の排出を阻止するようにして容器本体の上部に形成された開口部を閉塞するとともに、取り外し時には容器本体の内部と排出口とを連通する容器蓋とを備えた構成になっているものである。
【００２４】
これにより、カルシウム剤を補充するために容器蓋を開けると容器本体の内部と排出口とが連通されて容器本体内の原水が排水口から排出されるので、簡単且つ安価な機構によりカルシウム剤の補充時における水漏れを防止することが可能になる。
【００２５】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項１に記載の発明は、原水を浄化する浄水部から原水を電気分解してアルカリイオン水および酸性イオン水を生成する電解槽に至る配管上に設置されたイオン整水器用カルシウム供給装置であって、浄水部からの原水が流入する流入口および電解槽へ向かう原水が流出する流出口が形成されるとともに排水管が接続された排水口を有する容器本体と、原水が貫通する多数の細孔を有し、原水にカルシウムイオンを与えるカルシウム剤が収容されて容器本体内に位置するホルダと、装着時には流入口からホルダ内を通って流出口へと流出する原水の流路を確保しつつ排水口からの原水の排出を阻止するようにして容器本体の上部に形成された開口部を閉塞するとともに、取り外し時には容器本体の内部と排出口とを連通する容器蓋とを備えたものであり、カルシウム剤を補充するために容器蓋を開けると容器本体の内部と排出口とが連通されて容器本体内の原水が排水口から排出されるので、簡単且つ安価な機構によりカルシウム剤の補充時における水漏れを防止することが可能になるという作用を有する。
【００２６】
本発明の請求項２に記載の発明は、請求項１に記載の発明において、容器本体と容器蓋との間には、排水口の下方に位置して容器本体と容器蓋との隙間をシールするシール材が設けられているイオン整水器用カルシウム供給装置であり、カルシウム剤を補充するために容器蓋を開けると容器本体の内部と排出口とが連通されて容器本体内の原水が排水口から排出されるので、簡単且つ安価な機構によりカルシウム剤の補充時における水漏れを防止することが可能になるという作用を有する。
【００２７】
以下、本発明の実施の形態について、図１から図３を用いて説明する。なお、これらの図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。
【００２８】
図１は本発明の一実施の形態であるイオン整水器の構成を示す概略図、図２は図１のイオン整水器に取り付けられたカルシウム供給装置を示す断面図、図３は図２のカルシウム供給装置において容器蓋を取り外した状態を示す断面図である。
【００２９】
図１に示すように、水道水や井戸水等の原水を電気分解して、飲用、医療用として利用されるアルカリイオン水、および洗浄用等に利用される酸性イオン水を生成するイオン整水器３には、水道水等の原水を導入するための原水管１が接続されている。このイオン整水器３には、内部に原水中の残留塩素を吸収する活性炭及び一般細菌や不純物を取り除く中空糸膜を備えた浄水部４が原水管１に接続されて設けられている。
【００３０】
浄水部４の下流側には通水された原水を電気分解する電解槽６が接続されており、浄水部４と電解槽６との間には、グリセロリン酸カルシウムや乳酸カルシウム等のカルシウムイオンを原水中に付与して導電率を高めるカルシウム供給装置２００、配管内の原水の流量を測定して通水を確認し、これを後述の制御手段１６に電送する流量センサ５が順次設置されている。また、カルシウム供給装置２００には排水管２０が接続されている。
【００３１】
電解槽６には内部を２つの電解室６ａ、６ｂに区画する隔膜７が設けられ、各電解室６ａ、６ｂには相互に反対の極性を有する電圧が印加される電極板８、９がそれぞれ配設されている。そして、電解槽６内に導入された原水は電極板８、９への電圧印加により電気分解されて、たとえば陰極である電極板８の配設された電解室６ａにはアルカリイオン水が、陽極である電極板９の配設された電解室６ｂには酸性イオン水がそれぞれ生成される。なお、以下において、電極板８を陰極、電極板９を陽極とした場合で説明を進めるが、電極板８を陽極、電極板９を陰極としてもよい。
【００３２】
電解室６ａには通水管１０が取り付けられ、この通水管１０にはアルカリイオン水吐水管１２が接続されている。したがって、生成されたアルカリイオン水は通水管１０を通ってアルカリイオン水吐水管１２から吐水される。
【００３３】
また、電解室６ｂには通水管１１が取り付けられ、この通水管１１には酸性イオン水吐水管１３が接続されている。したがって、生成された酸性イオン水は通水管１１を通って酸性イオン水吐水管１３から吐水される。
【００３４】
このような構造を有するイオン整水器３には、このイオン整水器３の動作を制御する制御手段１６が設けられている。そして、制御手段１６は、電源投入用プラグ１４から取り入れられて電源部１５において交流電流から変換された直流電流により動作される。
【００３５】
そして、制御手段１６による整水器の動作状態を表示し整水器に所望の操作を行わせるための操作表示パネル１７が、この制御手段１６と電気的に接続して設けられている。
【００３６】
次に、以上のように構成されたイオン整水器３において、イオン水を生成する動作について説明する。
【００３７】
原水管１から通水された水道水は、イオン整水器３内の浄水部４で活性炭・中空糸膜等により残留塩素の臭いや一般細菌等の不純物が取り除かれて浄水となり、カルシウム供給装置２００に入る。カルシウム供給装置２００においては、グリセロリン酸カルシウムや乳酸カルシウムなどのカルシウムイオンが付与されて導電率の高い電解容易な原水とされ、流量センサ５を経由して電解槽６に導入される。
【００３８】
一方、電源投入用プラグ１４よりたとえばＡＣ１００Ｖの電力が供給され、電源部１５で電気分解に必要な直流電圧が生成される。この直流電圧は電解槽６内の電極板８、９に給電される。相対的にプラス電圧が印加される電極板９を陽極、マイナス電圧が印加される電極板８を陰極とすると、これにより、電解槽６に隔膜７で仕切られた陽極の電解室６ｂと陰極の電解室６ａとが形成される。
【００３９】
通水後、流量センサ５の信号が制御手段１６に読み取られ、流量レベルが一定レベルを越えるとこの状態が通水中と判断される。
【００４０】
そして、制御手段１６により流量センサ５で検知した流量に応じた直流電圧が電極板８・９に印加され、水の電気分解により電解室６ａにアルカリイオン水が、電解室６ｂに酸性イオン水が生成され、それぞれ通水管１０・１１を経由して、アルカリイオン水吐水管１２よりアルカリイオン水が、酸性イオン水吐水管１３より酸性イオン水が吐水される。
【００４１】
次に、図２に基づいてイオン整水器に取り付けられたカルシウム供給装置２００について説明する。
【００４２】
カルシウム供給装置２００の容器本体２０１には、浄水部４からの原水が流入する流入口２０１ａと、電解槽６へ向かう原水が流出する流出口２０１ｂが形成されている。さらに、前述した排水管２０が接続された排出口２０１ｃが形成されている。
【００４３】
容器本体２０１は、その上部に形成された開口部が容器蓋１０２によって閉塞されている。容器本体２０１の内部には、グリセロリン酸カルシウムや乳酸カルシウム等の粒状のカルシウム剤１０６を収容する為のホルダ１０３が位置している。このホルダ１０３は、その内部を原水の通水路とする為に多数の細孔が形成されている。
【００４４】
そして、このようなカルシウム供給装置２００により、浄水部４で濾過された原水はホルダ１０３内のカルシウム剤１０６によりカルシウムイオンが付与されて導電率が高められ、電解槽６における水の電気分解が促進される。なお、カルシウム剤１０６は、容器蓋１０２を開けて補充される。
【００４５】
容器本体２０１と容器蓋１０２との間、容器蓋１０２とホルダ１０３との間には、これら２つの部材の隙間をシールして水漏れを防止するシール材１０７、１０８が設けられている。そして、図示するように、シール材１０７は、排水口２０１ｃの下方で、且つ流入口２０１ａおよび流出口２０１ｂの上方に位置している。したがって、容器蓋１０２を閉めると、流入口２０１ａからホルダ１０３内を通って流出口２０１ｂへと流出する原水の流路が確保されるとともに、排水口２０１ｃからの原水の流出が阻止される。また、容器蓋１０２を開けると、容器本体２０１の内部と排出口２０１ｃとが連通される。
【００４６】
なお、本実施の形態においては、シール材１０７により排水口２０１ｃからの流出を阻止しているが、容器本体２０１と容器蓋１０２とをシール材なしで密着させるようにして流出を阻止するようにしてもよい。また、本実施の形態において、排出口２０１ｃが流入口２０１ａおよび流出口２０１ｂよりも高い位置に形成されているが、たとえば排出口２０１ｃに位置する箇所の容器蓋１０２の側部を下方に長く形成するなどすれば、排出口２０１ｃは流入口２０１ａや流出口２０１ｂよりも低い位置に形成することができる。ここで、流出口２０１ｂが必ずしも底面に形成されていなくてもよいことは言うまでもない。
【００４７】
このような構造のカルシウム供給装置２００によれば、容器本体２０１に容器蓋１０２が取り付けられているときは、前述のように、流入口２０１ａからホルダ１０３内を通って流出口２０１ｂへと流出する原水の流路が確保されるとともに、排水口２０１ｃからの原水の流出が阻止される。
【００４８】
ここで、カルシウム剤１０６を補充するために容器蓋１０２を取り外すと、配管内や電解槽６の滞留水が逆流して、これらの滞留水が容器本体２０１内へ流入する。しかしながら、図３に示すように、本実施の形態のカルシウム供給装置２００では、容器蓋１０２を取り外すと容器本体２０１の内部と排出口２０１ｃとが連通されるので、逆流した滞留水は排水口２０１ｃから排水管２０へと自重により排水されて行く。したがって、カルシウム剤を補充するために容器蓋１０２を開けても滞留水が容器本体２０１からあふれることがなく、逆流した滞留水による水漏れは発生しない。
【００４９】
このように、本実施の形態によれば、容器蓋１０２を開けると容器本体２０１の内部と排出口２０１ｃとが連通されて容器本体２０１内の原水が排水口から排出されるので、カルシウム剤の補充時における水漏れが防止される。
【００５０】
また、弁装置を用いる必要がないので、簡単且つ安価な機構により水漏れを防止することが可能になる。
【００５１】
なお、本明細書において、「イオン整水器」および「アルカリイオン整水器」なる用語が必要に応じて使い分けられているが、アルカリイオン水を製造すればこれと対になって酸性イオン水が製造されることから、両者は同義である。
【００５２】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、カルシウム剤を補充するために容器蓋を開けると容器本体の内部と排出口とが連通されて容器本体内の原水が排水口から排出されるので、簡単且つ安価な機構によりカルシウム剤の補充時における水漏れを防止することが可能になるという有効な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施の形態であるイオン整水器の構成を示す概略図
【図２】図１のイオン整水器に取り付けられたカルシウム供給装置を示す断面図
【図３】図２のカルシウム供給装置において容器蓋を取り外した状態を示す断面図
【図４】従来のアルカリイオン整水器の構成を示す概略図
【図５】図４のアルカリイオン整水器に取り付けられたカルシウム供給装置を示す断面図
【図６】図５のカルシウム供給装置におけるカルシウム剤補充要領を示す説明図
【図７】従来の他のアルカリイオン整水器の構成を示す概略図
【符号の説明】
４ 浄水部
６ 電解槽
２０ 排水管
１０２ 容器蓋
１０３ ホルダ
１０６ カルシウム剤
１０７ シール材
２００ カルシウム供給装置
２０１ 容器本体
２０１ａ 流入口
２０１ｂ 流出口
２０１ｃ 排出口
Claims (2)
- 原水を浄化する浄水部から前記原水を電気分解してアルカリイオン水および酸性イオン水を生成する電解槽に至る配管上に設置されたイオン整水器用カルシウム供給装置であって、
前記浄水部からの原水が流入する流入口および前記電解槽へ向かう原水が流出する流出口が形成されるとともに排水管が接続された排水口を有する容器本体と、
前記原水が貫通する多数の細孔を有し、前記原水にカルシウムイオンを与えるカルシウム剤が収容されて前記容器本体内に位置するホルダと、
装着時には前記流入口から前記ホルダ内を通って前記流出口へと流出する前記原水の流路を確保しつつ前記排水口からの前記原水の排出を阻止するようにして前記容器本体の上部に形成された開口部を閉塞するとともに、取り外し時には前記容器本体の内部と前記排出口とを連通する容器蓋とを備えたことを特徴とするイオン整水器用カルシウム供給装置。 - 前記容器本体と前記容器蓋との間には、前記排水口の下方に位置して前記容器本体と前記容器蓋との隙間をシールするシール材が設けられていることを特徴とする請求項１記載のイオン整水器用カルシウム供給装置。
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- 1997-12-18 JP JP34896297A patent/JP3760611B2/ja not_active Expired - Fee Related
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