JP3760500B2 - 略八角形状の胴部を有する紙製容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、海産物や油脂等の固形物、又は液体を充填した内袋を入れる業務用の紙製容器で、詳しくは、金属製の一斗缶の代替或いはバックインボックスとして、丈夫な略八角形状の胴部を有する紙製容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、海産物、食品、油脂等の固形物や粘稠物を樹脂フィルム製の内袋に入れて、保管、収納、輸送用容器として金属製の一斗缶(通常、一斗缶或いは石油缶と呼称されている容器、以下一斗缶と記す)が丈夫で、しかも再使用することも可能な業務用の容器として広く知られている。
また、液体用としては、ポリプロピレン等の内袋に注出用口栓を取りつけ、醤油等の調味料、ジュース等の飲料を充填し、段ボール等の外箱に収納したバックインボックスも業務用として広く使用されている。この調味料等の液体の注出は、外箱の胴部の一面或いは天蓋部に予め形成しておいた口栓取出口を切り取り、この所に内袋に取りつけた口栓のフランジ部を係止し動かないようにして口栓から液体を注出するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した金属製の一斗缶は、塩分や水分等により腐食が発生したり、また廃棄する場合処理が難しく、さらに保管する際もそのまま倉庫等に保管する必要があるため保管スペースの効率に問題があった。
一方、段ボール製の外箱によるバックインボックスにおいても、外箱の強度に問題があり、落下等の衝撃が加わると外箱が歪んだり傷つき、内袋が破れる等の危険を含んでいた。さらにダンボール製の外箱においても、湿気や水分等を吸収し易いので形状保持が難しく、またこの様な状態では輸送もできず、内袋も破袋する危険性があった。
【0004】
そこで本発明は、上記の課題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、一斗缶の代替として耐水性の厚紙を用いて略八角形状の胴部により、容器胴部の座屈強度を得るとともに、廃棄処分も容易で、かつ未使用時の保管スペースの効率にも優れる略八角形状の胴部を有する紙製容器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の略八角形状の胴部を有する紙製容器は、表裏面に樹脂ラミネートを施し耐水性とした厚紙で形成してなる、胴部21と天地蓋部材20,20の3部材で構成され、液体を収容した内袋を入れる紙製容器であって、蓋板11の上下辺に両端に係止片f,f,f,fを有する側面板12,12と貼着片13,13とを連設し、蓋板11の左右辺には係止孔e,e,e,eと外側板15,15と突起t,t,t,tを有する内側板14,14を連設してなるブランク板を形成し、前記側面板12,12に貼着片13,13を合わせるように貼着し係止片f,f,f,fを内側に折り込み、この係止片を包むように内側板14,14を内側に折り曲げ、突起t,t,t,tを係止孔e,e,e,eに差し込むことで天地の蓋部材20,20を形成し、一方、胴板16,16,16,16と角板18,18,18,18を交互に連設し胴板16の端部に接着片dを設けた胴部21のブランク板を形成し、折線に沿って折り曲げて接着片dと端部の角板18とを貼着することで略八角形状筒型の胴部21を形成し、この胴部21の各胴板16と前記天地蓋部材20,20の各側面の内側を当接させて閉蓋することを要旨とする。
【0006】
また、本発明の略八角形状の胴部を有する紙製容器は、前記胴板の一面に略凸形状の切り抜き部sをミシン目で設けたことを要旨とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に基づき本発明を説明する。
図1は、本発明の一実施例における紙製容器の蓋部材のブランク板を示す展開図であり、図2は、上記の胴部のブランク板を示す展開図である。また図3は、紙製容器の構成部材を示す斜視図であり、図4は、完成した紙製容器の一使用例を示す説明図であり、図5は、紙製容器を液体用の外箱として使用した一例を示す説明図である。図6は、他の実施例における蓋部材のブランク板を示す展開図である。
【0008】
本発明は、耐水性の厚紙によって略八角形で筒状の胴部21と、天地の蓋部材20,20の3部材により構成された紙製容器10であり、この略八角形で筒状に形成された胴部21の天地に同形状に形成された蓋部材20,20を被せることにより、座屈強度(圧縮強さ)の高い固形物等を収納する紙製容器として、またこの胴部21の胴板16の一面に、液体等を充填した内袋に注出口栓30を取り出すためのミシン目による切り抜き部sを設けることにより、段ボール等によるバックインボックスの代替として、丈夫な液体用の外箱が得られる。
【0009】
本発明の紙製容器に用いる厚紙基材としては、例えば坪量1200Kg/m2 程度で厚みが約1.5〜1.8mmとした厚紙の表裏面に、ポリエチレン樹脂をエクストルージョンラミネートやポリプロピレンフィルムをラミネートして耐水性としたものを使用した。なお、用紙の厚さ及びラミネートするフィルムは本発明に限定されるものではなく、耐水性及び座屈強度が得られ材料であれば、適宜選択することが可能である。
【0010】
また、天地の蓋部材20,20は、図1に示す形態により2枚のブランク板を作製して、天地の蓋部材として共用するものである。この蓋部材の形態は図1に示する形態に限らず、トレー状となり胴部に被せることができれば良い。
【0011】
この紙製容器をそのまま使用する際は、図4に示すように、天地にPPバンド等によって固定、密封することにより、従来の金属製の一斗缶と同様に使用することができると共に、略八角形状の胴部21によりこれらの容器を積み重ねることも可能となる。また、この紙製容器の大きさは、一斗缶と同じ大きさに限定されるものではなく、それぞれの用途に応じて寸法を替えることも可能で、それによって利用範囲も広がり、かつ胴部が短くなれば一層の座屈強度が得られる。
【0012】
また、注出口栓30を取りつけたポリプロピレンフィルム等による内袋を構成部材とすることにより、液体用の紙製容器となり得る。すなわち、この胴部21の胴板16の一面に、内袋の注出口栓30と同位置にミシン目により必要時に切り取り可能な切り抜き部sを設けておくと、そのままで従来の一斗缶と同様に使用することができ、口栓を使用する時は、図5に示すように、切り抜き部sを破り内袋の口栓のフランジを胴板16に係止して、切り抜いた板材を逆にして口栓のフランジの間に差し込むことで口栓が固定され、充填された液体を紙製容器から直接注出することができる。なお、この注出口栓用の切り抜き部の形状は本発明に限定されるものではなく、また、切り抜き部sは天部の蓋部材に設けることも可能で、適宜選択することができる。
【0013】
【作用】
本発明の略八角形状の胴部を有する紙製容器は、耐水性の厚紙からなる紙製の容器により、焼却などによる廃棄処分が可能で、しかも環境破壊などの影響が少なく容易に行うことができる。
また、従来に見られるように、方形状の胴部でなく、略八角形状の胴部21とすることで、座屈強度が著しく向上するので繰り返し使用できることが可能である。さらに使用する前は胴部21、天地の蓋部材20,20が共に折り畳まれているので、保管、輸送効率が良い。
【0014】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、坪量1200Kg/m2 で厚みが1.7mmの厚紙の表裏面に、ポリエチレン樹脂をエクストルージョンラミネートして耐水性としてなる基材を用いて、紙製容器を構成する胴部21と天地の蓋部材20,20の3部材により構成した紙製容器である。
先ず、蓋板11の上下辺に、両端側に係止片f,f,f,fを有する側面板12,12と折線a,aを介して貼着片13,13を連設して、さらに蓋板11の左右辺には係止孔e,e,e,eを設けて、この外側に外側板15,15と折線a,aを介して突起t,t,t,tを有する内側板14,14を連設して蓋部材20,20のブランク板を形成した。この組立ては前記側面板12,12に貼着片13,13を合わせるように折り重ねて貼着すると共に折り立てて、係止片f,f,f,fを折線から内側に折り込み、この係止片f,f,f,fを包むように内側板14,14を折線a,aから内側に折り曲げ、突起t,t,t,tを係止孔e,e,e,eに差し込むことで蓋部材とした。この蓋部材のブランク板を2枚作製して天部の蓋部材と底部の蓋部材としたものである。
【0015】
この蓋部材20,20としては、先に述べたように、図1に限定されるものではなく、例えば、図6の展開図に示すようなブランク板を、側面板12,12に貼着片13,13を合わせるように折り重ねて貼着すると共に折り立てて、係止片f,f,f,fを折線から内側に折り込み、この係止片f,f,f,fを包むように内側板14,14を折線a,aから内側に折り曲げ、突起t,t,t,tを係止孔e,e,e,eに差し込むことで蓋部材としたもので、トレー状で胴部に被せることができて、蓋部材の四方の各側面の内側が胴部の四辺の胴板に当接して嵌め込まれる形状のものであれば良い。
【0016】
一方、紙製容器の胴部21は、図2に示すように、胴板16,16,16,16に折線a,aを介して角板18,18,18,18を交互に連設したもので、各折線a,aから各角板18を折り曲げ、接着片dと端部の角板18とを貼着することで略八角形状で筒状の胴部21を形成した。
この胴部21の天地に蓋部材20,20を被せることで紙製容器が得られる。この際、蓋部材の各側面の内側に、胴部の胴板先端外側面が当接することにより密封状態に閉蓋される。
【0017】
また、図2に示すように、胴部21の胴板16の一面に、ミシン目による切り抜き部sを設けたもので、この紙製容器に、ジュース等の液体を充填した口栓付のポリプロピレン製内袋を収納することにより、液体用の外箱(バックインボックス)として使用することができる。すなわち、切り抜き部sを破ることにより収納された内袋の口栓30の取出口となる。すなわち図5に示すように、口栓30を取り出し、胴板16の切り抜き部sに口栓30のフランジを係止し切り抜いた板材により固定できるので、液体用の紙製容器として使用することができる。従って、固形物を収納した場合は、切り抜き部sを破ることなく、紙製容器としてそのまま使用することができる。
【0018】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
すなわち、耐水性の厚紙からなる紙製の容器により、焼却などによる廃棄処分が可能で、しかも環境破壊などの影響が少なく容易に行うことができる。
また、従来に見られるように、方形状の胴部でなく、略八角形状の胴部とすることで、座屈強度が著しく向上するので、丈夫で繰り返し使用が可能となる。
さらに紙製容器の大きさは用途に応じて自由に替えることができ、しかも強度は小さくすれば一層強くなる。また使用する前は胴部、天蓋、底蓋共に折り畳まれているので、保管、輸送効率が良く、かつ使用前に簡単に組み立てることができる。
この紙製容器は、樹脂フィルム製の内袋を追加して4部材の構成とすることで、液体用の紙製容器(バックインボックス)となり得る。すなわち、胴部又は天部の蓋板に内袋の口栓と同位置に切り抜き部を設けることにより、そのままバックインボックスとして使用することができる等、優れた種々の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における紙製容器の蓋材のブランク板を示す展開図である。
【図2】本発明の実施例における紙製容器の胴部のブランク板を示す展開図である。
【図3】本発明の紙製容器の構成部材を示す斜視図である。
【図4】本発明の紙製容器の一使用例を示す説明図である。
【図5】本発明の紙製容器の他の使用例を示す説明図である。
【図6】本発明の他の実施例における蓋部材のブランク板を示す展開図である。
【符号の説明】
10…紙製容器
11…蓋板
12…側面板
13…貼着片
14…内側板
15…外側板
16…胴板
18…角板
20…蓋部材
21…胴部
30…口栓
a …折線
d …胴部の接着片
e …係止孔
f …係止片
s …切り抜き部
t …突起
Claims (2)
- 表裏面に樹脂ラミネートを施し耐水性とした厚紙で形成してなる、胴部と天地蓋部材の3部材で構成され、液体を収容した内袋を入れる紙製容器であって、
蓋板の上下辺に両端に係止片を有する側面板と貼着片とを連設し、蓋板の左右辺には係止孔と外側板と突起を有する内側板を連設してなるブランク板を形成し、前記側面板に貼着片を合わせるように貼着し係止片を内側に折り込み、この係止片を包むように内側板を内側に折り曲げ、突起を係止孔に差し込むことで天地の蓋部材を形成し、一方、胴板と角板を交互に連設し胴板の端部に接着片を設けた胴部のブランク板を形成し、折線に沿って折り曲げて接着片と端部の角板とを貼着することで略八角形状筒型の胴部を形成し、この胴部の各胴板と前記天地蓋部材の各側面の内側を当接させて閉蓋することを特徴とする略八角形状の胴部を有する紙製容器 - 前記胴板の一面に略凸形状の切り抜き部をミシン目で設けたことを特徴とする請求項1に記載の略八角形状の胴部を有する紙製容器。
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