JP3760185B2 - 光ディスク基板の複屈折の測定法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は光ディスク基板の複屈折の測定法、とくにインラインでの面内及び垂直方向の複屈折測定法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
記録可能な光ディスクとして穴あけ型記録媒体が登場して以来、10年以上の年月が経過した。
この間、記録消去が可能な光磁気記録媒体、1ビームオーバーライトが可能な相変化記録媒体なども実用化されている。
【0003】
極く初期を除き、記録再生用光源としては、半導体レーザーが用いられており、使用レーザー波長は、初期は830nm前後、最近では780nm前後が主流である。
集束光ビームのスポット径は、波長が短ければ小さくすることができるため、短波長化が望まれているが、現在、信頼性のある実用的な半導体レーザーの波長は780nmまでである。このような光記録媒体は、コスト、量産性の観点から透明な樹脂基板上に記録層、保護層等を形成してなる。
【0004】
基板としては、現在主として、ポリカーボネート樹脂等が用いられている。樹脂基板、特にポリカーボネート樹脂基板では、基板の光学的異方性、すなわち複屈折が問題となる。
とくに光磁気記録媒体では、0.5度程度の小さなKerr回転角を検出するため、複屈折の影響が大きい。
【0005】
しかしながら、、樹脂の分子量等の最適化、成形技術の改良により、面内複屈折は20×10-6未満に抑えられ、実用上問題ないレベルとなっている。
一方、垂直複屈折は特にポリカーボネート樹脂基板で大きく、500×10-6にも達するが、作動光学ヘッドの開発により、やはり実用上問題ないレベルまでその影響は低減されている。
しかしながら、光ディスクは一層の高密度化が求められており、680nm前後の半導体レーザーが実用化され、近い将来に安価で高出力なものが提供される見通しが出てきた。
【0006】
また、800〜1000nm前後の高出力半導体レーザーと非線形素子を組み合わせて500nm程度の波長を得る技術も進歩し、レーザーと非線形光学素子を組み合わせたヘッドも小型化されつつある。
さらには、波長500nm程度の半導体レーザーも実験室レベルでは開発に成功したという報告が相次でいる。
このように、短波長化半導体レーザーを用いた高密度光ディスクは、まず波長680nm前後を始めとして、近い将来に量産化される状況が整ってきている。
この際、780nm程度ではいったんは解決されたと思われた樹脂基板の光学的異方性の問題が再び深刻な問題になることが懸念される。
【0007】
すなわち、樹脂基板の光学異方性(複屈折)にかかわる問題点としては、以下の2点があげられる(I.Prikryl,Applied Optics,31(1992),p1853、戸田他、光メモリシンポジウム予稿集(1986)、p19、吉沢他、光メモリシンポジウム予稿集(1986)、p33)。
1)基板を光ビームが通過する際に生じる位相差。
光磁気媒体のように光の偏向とその方位の回転を利用して情報の記録再生を行う媒体では、特定方向の直線偏向の回転とともに、楕円化が生じ、これがキャリアレベルの低下、作動ヘッドにおけるコモンモードノイズの増加をもたらす。
【0008】
位相差は、光線の入射方向によって決まる基板の複屈折を△n、基板厚をd、波長をλとすると、
【0009】
【数1】
△n・d/λ
で決まるから、記録再生に用いる波長が短くなれば、実質的に位相差は増加する。従って、短波長化、特に700nm未満で使用する光磁気媒体では基板の複屈折による位相差の問題が深刻になる。
【0010】
2)複屈折による非点収差の問題。
集束光ビームで基板に対して垂直ではなく斜めに光線が基板に入射する際、屈折が生じるが、光学的異方性を有する基板では、入射光線の方位によって屈折率が異なる(吉沢、光学、15(1986)、p414)。
このため、本来、基板の記録層側の面で直径1μm程度の面内に集束すべきビームに非点収差が生じる。
【0011】
非点収差が生じた場合、焦点面をどこで合わせるかという光学ヘッドの機差により、記録再生特性にばらつきが生じる。
また、ビームがトラック横断方向に長軸をもつ楕円ビームとなった場合、隣接トラックからのクロストークが問題となる。
短波長光源を用いた高密度光ディスクでは、トラックピッチも狭くなるから、クロストークの問題はより一層厳しくなる。
【0012】
この問題を解決するには、根本的に垂直方向の複屈折を低減するしかないが、通常使われるポリカーボネート基板では、500×10-6程度であり、小さくとも300×10-6程度の複屈折が存在するため、直線偏向ビームを用いる限り、非点収差を無くすことはほとんど不可能である。
以上述べたような問題点に鑑み、基板の複屈折を製造工程において制御することが重要となるが、その為には、まず正確かつ迅速に基板の複屈折を測定し製造条件に反映させることが必要となる。
【0013】
従来、光ディスクの透明樹脂基板の面内及び垂直方向の複屈折測定法については、斜め入射光による位相差測定法が用いられている。
図2及び3は従来の斜め入射測定法における、ディスクに対する入射光ビームの位置関係を模式的に示したものであり、Aは測定用平行ビーム光の発光部、Bは受光部である。
【0014】
図2は透過法、図3は反射法での測定である。
基板内の1点Oにおける屈折率楕円体の各軸の大きさ、すなわち複屈折を決定するためには、通常の透過法では、入射光ビームの入射角θと入射面の方位角φを何点か変化させて、基板通過により透過光に生じた位相差を測定するが、少なくともθを2点変化させることが必要であった(吉沢、光学、15(1986)、p414−421、戸田他、光メモリシンポジウム予稿集、p19)。
【0015】
透過法では、測定光ビームを基板に垂直に入射させて位相差を測定することにより、面内複屈折を直接求めることができる。
基板に垂直な方向の複屈折は、基板真横から光ビームを入射させることはできないから、斜め入射光ビームを用いて垂直複屈折と面内複屈折の両方の影響をうけた位相差を測定し、面内複屈折の寄与を上記垂直入射によって求めた面内複屈折値を用いて補正することで求める。
【0016】
しかしながら、この場合、基板を傾けて入射角を変える必要がありインライン測定に適用するには煩雑である。
一方、樹脂の複屈折は樹脂に加わる応力により変化することが知られているが、基板に加わる応力は基板成形後の光ディスク製造プロセスによっても変化する。
【0017】
例えば、記録層や記録層の保護に用いられる誘電体層、基板の保護に用いられるハードコート層等の内部応力により変化し得る。
従って、複屈折はこれらの成膜工程等においても2次的ではあるが変化し得るので、光ディスク製造の最終工程で再度、測定することが望ましい。
一般に光ディスクの記録層は反射性であるから、基板の記録層とは反対側の面から測定光ビームを入射させ、反射法により測定する必要がある。
【0018】
その1方法として、エリプソメーターを用いて、反射光の位相差を測定する方法が提案されている(A.Skumanich, Proceedings of Magneto-Optical Recording International Symposium '92, pp237-240)。
一般に反射法の測定においては、基板面への垂直入射・反射光の測定は、発光部と受光部を同一線上に置くことができないため不可能である。
【0019】
従って面内複屈折を直接測定することは不可能で、数点の角度から斜め入射させカーブフィッティングにより、面内及び垂直複屈折を求めている。
この方法は原理的には何ら問題ないが、入射角度を変えるには、発光部と受光部の角度を両方とも設定し直す必要があるため、一般に装置が複雑になり、また測定時間も長くなるため製造プロセスでのインライン測定には適さない。
【0020】
さらにこの方法では、主軸の方向と入射ビームを含む入射面の方向とを一致させなければ、正しい複屈折値は得られない。
さらに、上記透過法・反射法いずれにおいても、基板に垂直な方向から傾いた光学的主軸を有する場合には、入射角度、入射面のいずれも変化させ複数点で測定しなければ正確な測定値は得られない。
【0021】
また、煩雑で到底インラインでの測定に、さらには抜き取り検査にさえ、適用できるものではない。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
上述のとおり、正確で迅速で簡便に光ディスク基板の面内および垂直複屈折を測定でき、かつインラインでも適用できるような方法が望まれる。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は、成形後の光ディスク透明樹脂基板に、平行光ビームを基板に対し斜め方向から入射させ、その透過光に生じた位相差を測定して基板の複屈折を測定する方法であって、ある1点の測定点に対して、基板面に対する入射光の入射角θを一定としたまま、入射光ビームを含む入射面の方向を少なくとも直交する2方向にとってそれぞれの位相差を測定し、得られた各位相差から該1点の複屈折を測定することを特徴とする光ディスク基板の複屈折の測定法である。
【0024】
本発明のより簡単な実施方法として、基板の面内複屈折の主軸方向が分かっており、その方向がほぼ安定しておれば、上記直交する2方向を、基板の面内における光学軸の方向とすることで面内及び垂直複屈折に関する必要かつ十分な情報を得ることができる。
【0025】
さらに、本発明の方法により、基板面内各位置における面内及び垂直複屈折の分布を自動で測定するための手段として、上記直交する2方向に移動可能な直線移動機構と、直線移動機構上に設置され、該直線軸上の各点を中心として回転可能でその上に水平にディスクを設置する回転ステージと、被測定ディスク面に斜めに光ビームを入射させて位相差を測定する発光部及び受光部から構成された光ディスク用複屈折測定装置を使用して測定する上記光ディスク基板の複屈折の測定法を提案するものである。
【0026】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。本発明においては、入射角θは適度に傾けた斜め入射1点で十分であり、例えば30から70度程度とするのが望ましい。
30度未満では垂直複屈折の寄与が少なく、70度より大では面内複屈折による寄与が小さいため、両方の位相差を同時に求めようとすると誤差が大きくなるので好ましくない。
【0027】
本発明では、入射角を固定したまま、基板のみを水平面内で移動させることで、入射面の方位角φを変化させる。
ディスクの位置を相対的にずらすだけで、発光部、受光部及びディスクの傾きを変化させる必要がないため、測定治具、手順の簡便化が可能であり、従って安価にもなる。また、測定時間も短縮できる。
【0028】
本発明では、上記のように入射面の方位角φを少なくとも4点変化させて、位相差を測定し、理論的に求めた位相差のφ依存性カーブとフィッティングを行うことにより、面内及び垂直複屈折を求める。さらには、光学的な主軸の方向を求めることも可能である。
図4に主軸の方位を(x’,y’,z’)軸方向にとり、基板表面に垂直な方向をz軸,基板面内をx,y軸にとった場合の位置関係を示す。
【0029】
座標軸(x,y,z)に対する、主軸の方位(x’,y’,z’)のオイラー角を(α、β、γ)とし、(x’,y’,z’)各軸に対応する屈折率をそれぞれ(nx,ny,nz)とする。
ここで、αは主軸z’軸とz軸のなす角度、βはz軸とz’軸がなす面P1(斜線部)とy軸がなす角、γは面P1とy’oz’面のなす角である。
【0030】
(α、β、γ)、(nx、ny、nz)及び入射角度θ、基板内で許される2つの伝搬方向に対する屈折率n’、n”及び屈折角θ’、θ”入射面の方位角φ、基板の厚みdのときの透過法による位相差Rは次式で与えられるような関係式で表される。
【0031】
【数2】
R=d・(n’cosθ’−n”cosθ”)
ただし、sinθ=n’sinθ’=n”sinθ”
位相差の複数のφ及びθ依存性の理論値と複数の測定の測定点における実測値を用いてカーブフィッティングを行い、屈折率楕円体を決定する6個のパラメーター(α、β、γ)、(nx、ny、nz)を求めることになる。
【0032】
しかしながら、実用上広く用いられている射出成形による樹脂基板では、その対称性から、基板面内の主軸はほぼ半径、円周方向にあり、これがnx、nyに対応する。
さらに、基板面にほぼ垂直方向に主軸がありこれがnzに対応する。従って、上記屈折率楕円体を定義するための6つのパラメーターのうち、γは0と見なしてよい。
【0033】
また、複屈折δL=nx−nz、δV=ny−nzはnzそのものに比較して数桁小さい値となるので、位相差は実際上δL、δVで決まる。nzを各屈折率のおおむね平均値にあるとしても問題ない。
例えば、光ディスク基板としてよく使われるポリカーボネート樹脂では、nzを1.58とおいてδLとδVを求めればよい。すなわち、実際上未知のパラメータは4個である。
【0034】
斜め入射時の位相差の方位角φ依存性が、4個のパラメーター(δL、δV、α、β)によってどのように変化するかを、解析したのが図5から図8である。
図5は位相差の垂直複屈折依存性、図6は位相差の複屈折(δL、δV)依存性、図7は位相差の主軸方位(α、β)依存性、図8は位相差の主軸方位(α、β)依存性を示す図である。
【0035】
入射角は各分図aが30度、分図bが60度であり、nz=1.58とし、面内複屈折δLについては、0〜20×10-6、垂直複屈折δVについては0〜600×10-6、αは0〜10度、βは0〜360度の範囲について示したが、位相差のφ依存性には、面内主軸方向に関して対称性が見られる。
従ってφについて少なくとも直交する4点において位相差を測定すれば、φ依存性カーブの特徴を抽出でき、θを変化させなくても、精度のよいカーブフィッティングを行えることが分かる。
【0036】
本発明において、位相差の測定そのものは、通常の方法、すなわち入射光として直線偏向または円偏向ビームを用い、基板通過にともなって生じた位相差による楕円偏向化を検出する。
【0037】
楕円の主軸間の位相差は回転検光子法、位相差板を用いる方法等公知の手法を適用すればよい(”結晶光学”、応用物理学会光学懇談会編)。
反射法においては光路長が2倍になること、記録層面での反射により約180度の位相差が加わることを除き、全く同様に測定できる。
本発明においては入射角θは固定でありながら透過法/反射法の如何によらず、屈折率楕円体をその主軸方向も含めて簡単に決定できるという利点がある。
【0038】
さらに、主軸の方向(α、β)がほぼ確定している場合には、本法はより簡素化できる。
すなわち、通常の射出成形による光ディスク基板では、樹脂の流れの対称性からnx、ny軸はそれぞれ半径方向、円周方向を向いており、そのずれは高々5度である。また、nz軸は基板に垂直で高々1〜2度のずれしか生じない。
【0039】
この場合、正確な主軸からのずれの影響は極めて小さく無視できる。そして、入射方位を半径方向(φ=0または180度の一方だけ)と円周方向(φ=90または270度の一方だけ)の2方向、2点だけとして位相差を測定すればよい。位相差RとδL、δVの関係は下式(1)で表される。
尚、以下ではδL=nx−ny、δV=n0−nz、n0=(nx+ny)/2と定義した。
δVをこのように定義するか、δV=ny−nz又はδV=nx−nzとするかは任意性があるが、通常nx≒nyであるから大差ない。
【0040】
【数3】
Rr=d×{√(ny 2−sin2θ)+nx/nz×√(nz 2−sin2θ)}・・(1)
d:基板厚さ
【0041】
【数4】
Rφ=d×{√(nx 2−sin2θ)+ny/nz×√(nz 2−sin2θ)}・・(2)
d:基板厚さ
【0042】
さらに、δL/nx、δV/nx<<1であることから、上式(1)及び(2)を、δL/nx及びδV/nxについて展開すると
【0043】
【数5】
Rr=d×{-(n0 2-sin2θ)δL/2-sin2θ・δV}/{n0√(n0 2-sin2θ)}・・・(3)
【0044】
【数6】
Rφ=d×{+(n0 2-sin2θ)δL/2−sin2θ・δV}/{n0√(n0 2−sin2θ)}・・・(4)
【0045】
したがって、式(3)、式(4)の辺々を加減することにより
【0046】
【数7】
δV={(Rr+Rφ)n0√(n0 2−sin2θ)}/(2dsin2θ)・・・(5)
【0047】
【数8】
δL={(Rφ-Rr)n0√(n0 2−sin2θ)}/{d×(2n0 2−sin2θ)}・・・(6)
【0048】
を得る。
すなわち、特定の入射角θにおいてRrとRφの2つの値を測定することで式(5)、式(6)より簡単にδLとδVが求まる。
本発明の方法によれば、測定は2点で済み、かつ、簡単な計算で面内及び垂直複屈折の両方の値が求まる。測定時間を大幅に短縮できるため、工程中のインライン測定が可能になる。
【0049】
本法を用いれば、δL、δVのディスク面内分布を容易に求めることができる。すなわち、従来法では、入射角度を各点において変化させて位相差の入射角依存性を求める必要があったが、本法では、入射角は固定で、ディスクを水平面内で移動させればよいだけである。
【0050】
図1に反射法による本発明の面内分布測定装置の概念図を示す。図1ではディスク1をのせたステージ2が直交する2方向に移動な直線移動機構3、4上に回転可能に設けられ、該直線移動機構3、4上の各点を中心として回転可能な機構5を有している。
【0051】
位相差そのものの測定は、通常のエリプソメーターを用いれば良い。発光部A、受光部Bの角度は可変である必要はない。
通常の射出成形ディスクでは、円周方向の屈折率分布は小さいので半径方向分布だけ測定すれば、工程管理としては十分である。
この2方向の移動は図1のような機構がなくても、広い水平ステージの上で手動でディスクをずらせるだけでもかまわない。
【0052】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いてさらに詳細に説明する。
実施例1
市販の5.25インチサイズの光磁気ディスクをカートリッジから取り出し、半径方向と円周方向の2方向(φ=0、180度と90、270度)の4点で入射角60度にて反射法にて位相差測定を行った。
【0053】
基板の材質はポリカーボネートである。半径方向分布のみの測定を行った。前述の式(5)、式(6)に基づき、面内複屈折δL及び垂直複屈折δVを求めた。
この場合、θ=60度、nx=1.58、d=1.2mmとおいて、
【0054】
【数9】
δV=1.160×103×(Rr+Rφ)
δL=4.101×102×(Rφ−Rr)
となり、係数をかけるだけでδL、δVが求まり、カーブフィッティングは不要である。
位相差の測定は市販のエリプソメータ(ガートナー社製、波長633nm)を用いた。
【0055】
1回の測定は20秒程度で、特定の半径における測定時間は1分以内である。
複屈折の計算結果を表1に示す。半径方向の2点、90、180度で位相差の測定値に優位差はなく、また、円周方向の2点、90、270度でやはり位相差に差はない。
したがって、主軸は半径、円周、及び基板に垂直方向を向いているとして良い。すなわち(α、β、γ)=(0、0、0)である。
【0056】
この場合φ=0、90度の2点のみの測定でよく、さらに簡単にできる。
実施例2及び3
成形後の透明基板(ポリカーボネート)を透過法により測定した。
入射角θ=30度で固定、方位角φを0、90、180、270度の4点とした。
【0057】
位相差測定値を表2に示す。実施例2では半径方向の2点、円周方向の2点でそれぞれ位相差の測定値に差はなく、主軸は傾いていない。
一方、実施例3ではこの対称性が失われ、主軸が傾いているのが分かる。主軸方位、複屈折値を求めた結果をやはり表2に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、正確で迅速で簡便に光ディスク基板の面内および垂直複屈折を測定でき、かつインラインでの適用もできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 反射法による本発明の面内分布測定装置の概念図
【図2】 従来の斜め入射測定法における、ディスクに対する入射光ビームの位置関係を模式的に示した図
【図3】 従来の斜め入射測定法における、ディスクに対する入射光ビームの位置関係を模式的に示した図
【図4】 主軸の方位を(x’,y’,z’)軸方向にとり、基板表面に垂直な方向をz軸,基板面内をx,y軸にとった場合の位置関係を示す図
【図5】 斜め入射時の位相差の方位角φ依存性が、4個のパラメーター(δL、δV、α、β)によってどのように変化するかを示した、位相差の垂直複屈折依存性の図
【図6】 斜め入射時の位相差の方位角φ依存性が、4個のパラメーター(δL、δV、α、β)によってどのように変化するかを示した、位相差の複屈折(δL、δV)依存性の図
【図7】 斜め入射時の位相差の方位角φ依存性が、4個のパラメーター(δL、δV、α、β)によってどのように変化するかを示した、位相差の主軸方位(α、β)依存性の図
【図8】 斜め入射時の位相差の方位角φ依存性が、4個のパラメーター(δL、δV、α、β)によってどのように変化するかを示した、位相差の主軸方位(α、β)依存性の図
【符号の説明】
1 ディスク
2 ステージ
3 直線移動機構
4 直線移動機構
5 回転機構
A 測定用平行ビーム光の発光部
B 受光部
Claims (3)
- 成形後の光ディスク透明樹脂基板に、平行光ビームを基板に対し斜め方向から入射させ、その透過光に生じた位相差を測定して基板の複屈折を測定する方法であって、ある1点の測定点に対して、基板面に対する入射光の入射角θを一定としたまま、入射光ビームを含む入射面の方向を少なくとも直交する2方向にとってそれぞれの位相差を測定し、得られた各位相差から該1点の複屈折を測定することを特徴とする光ディスク基板の複屈折の測定法。
- 上記直交する2方向が基板の面内主軸の方向と一致することを特徴とする請求項1に記載の測定法。
- 直交する2方向に水平移動可能な直線移動機構と、直線移動機構上に設置され、該直線軸上の各点を中心として回転可能でその上に水平にディスクを設置する回転ステージと、被測定ディスク面に斜めに光ビームを入射させて位相差を測定する発光部及び受光部から構成された複屈折測定装置を使用して測定する請求項1又は2に記載の測定法。
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