JP3759835B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、静電複写機,レーザプリンタ等の電子写真プロセスを用いた画像形成装置に関し、特に像担持体の表面に接触して、その表面の残留トナーを除去すると共にその表面を帯電するためのクリーニング・帯電兼用ブレードと、そのクリーニング・帯電兼用ブレードに帯電用の電圧を印加する電源とを有するクリーニング・帯電兼用装置を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10は、電子写真プロセスを用いた画像形成装置の概略構成図である。
感光体ドラム(像担持体)101は、導体101bの表面に感光体101aを有しており、同図の矢印方向に回転する。この感光体ドラム101の周囲には、帯電手段(帯電装置)102,露光手段103,現像手段104,転写手段105,クリーニング手段106が配設されており、各手段は次のように作動する。
【0003】
すなわち、帯電手段102は、感光体101aの表面を所要の電位に帯電する。続いて、露光手段103が感光体101aの表面を露光して、所望の画像に対応した静電潜像を感光体101aの表面に形成する。現像手段104は、露光手段103によって形成された静電潜像をトナーによって現像し、感光体101aの表面にトナー像を形成する。
【0004】
その後、転写手段105が、図示しない搬送手段によって送られてくる用紙等の転写媒体P上に、感光体101aの表面に形成されたトナー像を転写する。転写手段105によりトナー像が転写された転写媒体Pは、図示しない定着手段へと搬送され、そこで加熱によるトナー像の定着を施された後、装置外に排出されていく。
【0005】
一方、クリーニング手段106は、転写後の感光体101aの表面に残留するトナーを欠き落とし(除去し)、感光体101aの表面を清掃する。
さて、従来の画像形成装置では、上記のとおりクリーニング手段106と帯電手段102とを別個に備えていた。
【0006】
図11は、従来の画像形成装置に用いられているクリーニング手段の一例を示す概略構成図である。
クリーニング手段106は、クリーニングブレード106aを主体として構成されている。クリーニングブレード106aはウレタンゴムからなり、例えば厚さ2〔mm〕,長さ300〔mm〕に形成され、支持部材106bにより支持されている。クリーニングブレード106aの先端部は支持部材106bの先端から突き出しており、その突き出し量aは、例えば8〔mm〕になるように調整してある。
【0007】
また、クリーニングブレード106aの支持角θ(感光体ドラムの接線方向に対するブレードの傾斜角度)は20°、感光体101a上の残留トナーへの食い込み量bは略 1.0〔mm〕になるように調整してある。
このような構成のクリーニングブレード106aは、エッジ部分が感光体101aに付着している残留トナーに食い込んで、感光体101aから欠き落とす。
【0008】
一方、帯電手段102としては、従来からのスコロトロンなどのコロナ帯電装置のほかに、いわゆる接触帯電装置が広く用いられている。接触帯電装置は、感光体101aの表面に帯電部材を接触させ、この帯電部材に電圧を印加することによって感光体101aの表面を帯電する。
【0009】
図12は、接触帯電装置の一例を示す概略構成図である。
この接触帯電装置は、ローラ形状の帯電部材107を備えている。
帯電部材107は、導体107bの周面に弾性体層107aを有し、例えば直径5〜20〔mm〕,長さ約300〔mm〕に形成されている。
なお、感光体ドラム101は、例えば直径30〜80〔mm〕,長さ約300〔mm〕に形成されている。
【0010】
帯電部材107は、回転する感光体ドラム101の表面に接触して従動回転する。帯電部材107の弾性体層107aは、抵抗率が107〜109〔Ωcm〕程度の導電性材料で構成してある。また、帯電部材107の表面(弾性体層107aの表面)には、膜厚が10〜20〔μm〕程度の表面保護層が形成されている場合もある。
【0011】
帯電部材107には電源108により帯電用の電圧が印加され、感光体101aの表面が帯電される。その印加電圧は、−1.0〜−1.5〔kV〕程度の直流電圧である。
上述したようにクリーニング手段106と帯電手段102とを別個に備えた従来の画像形成装置では、次のような問題がある。
【0012】
(1)感光体ドラム101の周囲にクリーニングスペースと帯電スペースの両方が必要であるため、装置全体を小型化するうえでネックとなっている。
(2)クリーニング手段106と帯電手段102とが、別個の構成部材となっているため、部品点数が多く、コストアップとなる。
そこで、このような問題を解消するために、例えば特開平7−92767号公報に見られるように、クリーニング手段と帯電手段の両方の機能を兼用させたクリーニング・帯電兼用装置を備えた画像形成装置も提案されている。
【0013】
図13は、クリーニング・帯電兼用装置の一例を示す概略構成図である。
このクリーニング・帯電兼用装置は、クリーニング・帯電兼用ブレード(以下単に「ブレード」ともいう)110を備えている。
ブレード110は、導電性の弾性体によって形成されており、支持部材111により支持され、先端が感光体ドラム101の表面に接触(当接)している。
【0014】
このブレード110の形状,当接条件などは、次の通りである。
すなわち、ブレード110は、例えば厚さ2〔mm〕,長さ300〔mm〕に形成され、先端部が支持部材111の先端から突き出しており、その突き出し量aは、例えば8〔mm〕になるように調整してある。
【0015】
また、ブレード110の支持角θ(感光体ドラムの接線方向に対するブレードの傾斜角度)は20°、感光体101a上の残留トナーへの食い込み量bは略1.2〔mm〕になるように調整してある。
このような構成のブレード110は、エッジ部分が感光体101aに付着している残留トナーに食い込んで、感光体101aから欠き落とす。
【0016】
このブレード110は、ウレタンゴムをベースにカーボンやイオン導電材を分散させて、抵抗率を106〜109〔Ωcm〕程度に調整してある。そして、このブレード110は、既述の帯電部材107と同様に、電源112によって帯電用の電圧が印加され、感光体101aの表面を帯電する。その印加電圧は、直流電圧−0.5〜−0.9〔kV〕に交流電圧1.2〜2.5〔kV〕(ピーク間電圧),0.5〜1.5〔kHz〕を重畳した電圧である。
【0017】
ところで、このようなクリーニング・帯電兼用装置では、ブレードへの印加電圧としては、直流電圧に放電(帯電)開始電圧の2倍以上のピーク間電圧を有する交流電圧を重畳した電圧を用いることが一般的である。
【0018】
クリーニング・帯電兼用装置では、ブレードへの印加電圧を直流電圧のみとした場合には、帯電均一性を維持することが困難である。
これは、ブレードと感光体との密着性を感光体の軸方向で完全に均一にすることが困難であること、ブレードと感光体との当接部近傍に存在するトナーによってブレードと感光体との間での放電が均一でなくなることが原因で生じる。
【0019】
通常、ブレードに直流電圧のみを印加して帯電を行なった場合には、画像形成枚数(例えばコピー枚数)にして数枚から10枚程度で、画像上問題となるような帯電ムラが発生するようになる。
このため、帯電均一性を維持する観点から、クリーニング・帯電兼用装置では通常、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧をブレードに印加する。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような電圧の印加によっても、クリーニング・帯電兼用装置を長時間使用した場合には、ブレードのエッジ部分にトナーが付着・固着し、帯電の均一性,クリーニング性が満足されなくなる。具体的には、ブレードのエッジのトナーが付着・固着した部分においては、トナーの付着・固着が少ない段階では感光体が過剰に帯電され、更にトナーの付着・固着の量が多くなると感光体の帯電がなされなくなり、画像上に筋状の未帯電部分が発生する。
【0021】
このような現象は、画像形成枚数にして約2000枚程度の画像だしを行なった場合に、帯電ムラとして観察され、問題となる。
そこで、このクリーニング・帯電兼用装置を長時間使用した時に、ブレードのエッジ部分へのトナーの付着・固着が原因で発生する、帯電ムラの解消方法として、次のようなものも提案されている。
【0022】
例えば、特開平5−134521号公報に記載された画像形成装置では、非画像形成時にブレードに印加する電圧を、いわゆる放電(帯電)開始電圧の2倍より小さいピーク間電圧を有する振動電圧(交流電圧)と直流電圧との重畳電圧としている。このようにした理由は、ブレードに振動電圧と直流電圧との重畳電圧を印加した場合に比べて、直流電圧のみを印加した場合の方が、ブレードのエッジ部分に付着・固着するトナーが少なくなるためである。
【0023】
しかし、この画像形成装置でも、画像形成時には、放電開始電圧の2倍より大きいピーク間電圧を有する振動電圧と直流電圧との重畳電圧をブレードに印加するため、装置を長期間使用した場合には、やはり数千枚の画像形成枚数において上述の帯電ムラが発生してしまい、長期間の使用による耐久性の面では、まだ十分とはいえない。
【0024】
この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、クリーニング・帯電兼用装置を長期間使用した場合でも、そのブレードのエッジ部分へのトナーの付着・固着による帯電ムラが発生しないようにすることを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
この発明は、像担持体の表面にエッジ部分が接触して、その表面の残留トナーを除去すると共にその表面を帯電するための導電性弾性体からなるクリーニング・帯電兼用ブレードと、該クリーニング・帯電兼用ブレードに帯電用の電圧を印加する電源とを有するクリーニング・帯電兼用装置を備えた画像形成装置において、上記の目的を達成するため、次のようにしたことを特徴とする。
【0028】
請求項1の発明は、電源がクリーニング・帯電兼用ブレードに印加する電圧を、直流電圧に放電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧を有する交流電圧を重畳した電圧とし、且つ像担持体の回動速度をV、電源が帯電時におけるクリーニング・帯電兼用ブレードに放電開始電圧より小さい電圧を連続して印加する時間をTとしたとき、電源がクリーニング・帯電兼用ブレードに印加する電圧の波形を、V・T>0.05〔mm〕 の関係を満たす波形としたものである。
【0029】
請求項2の発明は、電源がクリーニング・帯電兼用ブレードに印加する電圧を、直流電圧に放電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧を有する交流電圧を重畳した電圧とし、且つ像担持体の回動速度をV、電源が帯電時におけるクリーニング・帯電兼用ブレードへの電圧の印加を連続して停止する時間をTとしたとき、電源がクリーニング・帯電兼用ブレードに印加する電圧の波形を、V・T>0.05〔mm〕 の関係を満たす波形としたものである。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態をその参考例と共に図面を参照して具体的に説明する。
まず、この発明の参考例について説明する。
図1は、この発明の基礎となる画像形成装置の概要を示す構成図である。
同図に示すように、画像形成装置は、感光体ドラム(像担持体)1の周囲に、クリーニング・帯電兼用装置2,露光装置5,現像装置6,及び転写装置10を備えている。
【0031】
感光体ドラム1は、導体1bの表面に感光体1aを塗布することにより形成され、図中の矢印方向に回転する。感光体ドラム1は、例えば115〔mm/sec〕 の周速で回転する。
クリーニング・帯電兼用装置2は、導電性の弾性体から形成されるクリーニング・帯電兼用ブレード3及び電源4を備えている。ブレード3はエッジ部分が感光体1aに接触している。このブレード3には、電源4によって帯電用の電圧(所定の電圧)が印加される。
【0032】
露光装置5は、クリーニング・帯電兼用装置2によって均一に帯電された感光体1aの表面に、目的の画像に対応した光を照射することにより静電潜像を形成する。露光装置5の光源としては、例えばレーザダイオードが用いられ、そこから射出されるレーザビームをポリゴンミラーによって偏向し、感光体1aの表面に照射しながら走査していく。
【0033】
現像装置6は、現像ローラ7,現像剤貯蔵室8,及び電源9を備えている。この現像装置6は、現像ローラ7に所定の電圧(例えば −0.6〔kV〕)を印加することにより、感光体1aの表面の露光装置5によって露光された部分(静電潜像)が現像され、その部分にトナー像が形成される(反転現像)。現像剤としては、キャリアとトナーとによって形成される2成分現像剤や、トナーのみの1成分現像剤などを用いる。
【0034】
転写装置10は、現像装置6によって感光体1aの表面に形成されたトナー像を、図示しない給紙部から送られてくる転写媒体13上に転写する。この転写装置10は、転写ローラ11と電源12とを備え、電源12によって転写ローラ11に所定の電圧を印加する。印加する電圧は、定電流(例えば20〔μA〕)制御とする。
トナー像が転写された転写媒体は、図示しない定着手段に搬送されてトナー像が定着される。
【0035】
図2は、図1に示したクリーニング・帯電兼用装置2を更に詳しく説明するための構成図である。
ブレード3は、例えば厚さ2〔mm〕,長さ300〔mm〕,幅13〔mm〕に形成され、支持部材3aにより支持されている。このブレード3の先端部は支持部材3aの先端から突き出しており、その突き出し量は、例えば8〔mm〕になるように調整してある。
【0036】
また、ブレード3の支持角(感光体ドラムの接線方向に対するブレードの傾斜角度)を20°、感光体1a上の残留トナーへの食い込み量を略1.0〔mm〕に調整してある。
このような構成のブレード3は、エッジ部分が感光体1aに付着している残留トナーに食い込んで、感光体1aから欠き落とす。
【0037】
このブレード3は、導電性弾性体によって構成される。導電性弾性体を形成するベース材料としては、ウレタンゴム,EPDM,エピクロルヒドリンゴム,シリコンゴム,フッ素ゴムのようなものが挙げられる。また、この他の材料であっても、感光体1aとブレード3との当接が確保できるような弾性を持つものであれば、どのようなものであっても構わない。例えば、熱可塑性エラストマや発泡構造の樹脂などのゴム以外のものであっても構わない。
【0038】
これらのベース材料に、ケッチェンブラック,酸化チタンなどの導電性材料を分散させて、導電性を付与する。
このようにして形成される導電性弾性体の抵抗率は、放電の安定性,感光体1a上のピンホール対策の点から、106〜109〔Ωcm〕の抵抗率を持つことが要求される。
【0039】
電源4がブレード3に印加する電圧は、直流電圧に放電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧を有する交流電圧を重畳した電圧である。さらに、感光体ドラム1の周速(回動速度)をV、後述する上流側放電可能長をL、電源4が帯電時におけるブレード3への電圧の印加を連続して停止する時間(ブレード3に放電開始電圧より小さい電圧を連続して印加する時間でもよい)をTとしたとき、電源4がブレード3に印加する電圧の波形はV・T>Lの関係を満たす波形となる。
【0040】
ここで、上流側放電可能長Lとは、例えば図3に示すように、ブレード3と感光体1aとの当接部より感光体1aの移動方向(回動方向)に対して上流側での、ブレード3と感光体1aとの間で放電可能な感光体1a上の領域の長さのことである。
【0041】
上流側放電可能長Lは、ブレード3に印加する電圧の最大値(絶対値)が大きくなるに従って、大きくなる。但し、図1に示したブレード3で感光体1aの表面を帯電する場合、そのブレード3に印加する電圧の最大値は、帯電均一性の観点から、−1.5〜−2.0〔KV〕にする。
この場合の上流側放電可能長Lは、いわゆる「パッシェン(Paschen)の法則」で近似を行なえば、理論的には0.05〜0.1〔mm〕程度になる。
【0042】
しかし、ブレード3と感光体1aとの間の空隙にかかる電圧は、印加電圧に比べて小さくなっていることが予想され、更にブレード3と感光体1aとの間の空隙は並行ではないため、上流側放電可能長Lは上記の理論値よりもかなり小さい値になっていることが予想される。実際に、実験的に上流側放電可能長Lを測定したところ、0.03〜0.05〔mm〕程度であった。
【0043】
実験は、感光体1aを静止させた状態でブレード3に交流電圧(ピーク間電圧を1.5,2.0,2.5,3.0〔kV〕)を5時間印加すると、感光体1aが放電によって変色する。この変色している領域の長さを顕微鏡で測定した結果、表1に示すようになった。
【0044】
【表1】
【0045】
電源4がブレード3に印加する電圧は、具体的には図4に示すように、直流成分−1.0〔kV〕に交流成分2.0〔kV〕(ピーク間電圧,デューティ比20%,周波数1〔kHz〕)を重畳した電圧にする。したがって、この波形の場合、T=0.0008〔sec〕であり、またV=115〔mm/sec〕であることから、V・T=0.092〔mm〕 となり、上述の関係を満足する。
この波形の電圧をブレード3に印加して感光体1aの表面の帯電を行なったところ、その表面を略−0.8〔kV〕 に均一に帯電することができた。
【0046】
なお、ブレード3に印加する電圧は、この他のものであっても構わない。帯電時におけるブレード3への電圧の印加を連続して停止する時間あるいはブレード3に絶対値が放電開始電圧(通常0.5〔kV〕)以下の電圧を連続して印加する時間が上記の関係を満足するものであれば、図5に示すような三角波,図6に示すようなSIN波,図示しないパルス波,矩形波,あるいはこれらを組み合わせた波形であっても構わない。
【0047】
したがって、この発明の参考例の画像形成装置によれば、クリーニング手段と帯電手段を別々に配置した画像形成装置で生じていた以下の(1)(2)に示すような問題を解消することができる。
【0048】
(1)感光体の周囲にクリーニングスペースと帯電スペースの両方が必要であるため、装置全体を小型化するうえでネックとなっている。
(2)クリーニング手段と帯電手段とが、別個の構成部材となっているため、部品点数が多く、コストアップとなる。
【0049】
また、直流電圧に放電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧を有する交流電圧を重畳した電圧を印加する従来のクリーニング・帯電兼用装置を備えた画像形成装置で生じていた以下の(3)に示すような問題も解消することができる。
(3)長期間使用した場合(例えば画像形成枚数が2000枚以上になった場合)に、トナーがブレードのエッジ部分に付着・固着することにより、帯電ムラが発生する。
【0050】
ここで、この発明の参考例におけるクリーニング・帯電兼用装置において、前述したような従来の問題(特にブレードの感光体との接触部にトナーが付着・固着する問題)が発生しない理由を記述する。
【0051】
従来の技術の項で指摘したように、従来のクリーニング・帯電兼用装置では、ブレードに印加する電圧を直流電圧に交流電圧を重畳した電圧とした場合、画像形成枚数にして2000枚程度でブレードのエッジ部分にトナーが付着・固着してしまう。この結果、感光体の帯電均一性が確保されなくなる。
【0052】
発明者らは、この直流電圧に交流電圧を重畳した場合に特有に発生する、ブレードのエッジ部分へのトナーの付着・固着の原因を見つけるための実験を行なった。この結果、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧をブレードに印加した場合には、ブレードと感光体との間に進入してブレードと感光体との間の摩擦力を小さくする役目を果たすトナーが、著しく少なくなることを見いだした。
【0053】
図7〜図9は、ブレードと感光体との摩擦力を、感光体ドラムの回転時のトルクを測定することによって表わしたものである。
ブレードに電圧を印加しない場合、感光体ドラムの回転トルクは2〜3〔kg・cm〕 の範囲内でほとんど変化しなかった(図7)。
【0054】
しかし、直流電圧(−0.9〔kV〕)に交流電圧(SIN波,ピーク間電圧:2.0 〔kV〕,周波数:1〔kHz〕)を重畳した電圧をブレードに印加した直後では、回転トルクが6〔kg・cm〕以上で測定不能となり、その後3〔kg・cm〕程度まで低下する(図8)。このとき、回転トルクが大きくなった時点で、ブレードのエッジ部分にかかる力が大きくなり、ブレードのエッジ部分が破損したと考えられる。
【0055】
この直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加したブレードに再度直流電圧のみを印加して、ブレードのクリーニング性を確認する実験を行なった。
ブレード通過後の感光体上のトナー量の測定では、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加する前に比べて、印加した後では、クリーニング性が悪くなっていることが明らかになった。
【0056】
但し、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加した後のブレードでも、画像上に問題が現われるほどクリーニング性は悪化していなかった。
また、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加する前と、印加した後とでの、ブレードのエッジ部分を顕微鏡で観察したが、顕著なブレードの欠けや変形などは見られなかった。
【0057】
このため、画像形成枚数にして2000枚程度のブレードのエッジ部分にトナーが付着・固着してしまう現象は次のようにして発生すると考えられる。
直流電圧に交流電圧を重畳した電圧をブレードに印加した場合、ブレードと感光体との間に存在して、ブレードと感光体との摩擦力を小さくしているトナーが存在しなくなってしまう。
【0058】
それによって、ブレードのエッジ部分に過大な力がかかり、ブレードのエッジ部分がわずかではあるが塑性変形を起こし、クリーニング性能が悪くなる。この結果、わずかずつブレードを通過したトナーが、ブレードの出口側に少しずつ積層するようになり、2000枚程度の通紙後にトナーの付着・固着を引き起こし、帯電ムラが発生すると考えられる。
【0059】
また、直流電圧に交流電圧を重畳した場合に、ブレードと感光体との間にトナーが存在しなくなる理由については、次のように考えることができる。
ブレード入口側でのブレードと感光体との間での放電によって、感光体上のトナーが帯電極性側(通常マイナス)に帯電する。
【0060】
このため、感光体上のトナーは、帯電された感光体やブレードと反発し合うようになる。
さらに、交流電圧を重畳したことによるブレードと感光体が振動する効果が加わり、ブレードと感光体との両方から斥力を受ける結果、ブレードと感光体との間にトナーが存在しなくなると考えられる。
【0061】
これに対して、この発明の参考例の画像形成装置では、このような直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を図2の電源4がブレード3に印加する場合、ブレード3のエッジ部分にかかる大きな力を防止するために、感光体ドラム1の周速をV、上流側放電可能長をL、電源4が帯電時におけるブレード3への電圧の印加を連続して停止する時間(ブレード3に放電開始電圧より小さい電圧を連続して印加する時間でもよい)をTとしたとき、電源4がブレード3に印加する電圧の波形はV・T>Lの関係を満たす。
【0062】
ブレード3に印加する電圧の波形をこのようにすることにより、感光体1a上のトナーの一部がブレード3との放電によって帯電しなくなる(ブレード3の入口側でブレード3との放電がなされないまま当接部に進入してくる区間が感光体1a上にできるようになる)。この結果、ブレード3と感光体1aとの当接部にトナーが進入することが可能になり、ブレード3と感光体1aとの間の摩擦力が大きくなることがない。
【0063】
実際に、この発明の参考例で説明した条件(感光体の周速:115〔mm/sec〕、印加電圧:矩形波,最大値−2.0〔kV〕,最小値0〔kV〕,周波数1.0〔kHz〕,デューティ比20〔%〕)で、電圧印加時の感光体ドラム1の回転トルクを測定した結果、図9に示すようになった。図9から、通常のSIN波のような電圧印加直後での、回転トルクの急激な増加は見られない。
【0064】
以上のような理由によって、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧をブレード3に印加した場合でも、ブレード3のエッジ部分が破損することがなくなる。
このため、これに引き続いて起こる(画像形成枚数にして2000枚程度の画像だしを行なったときに現われる)、ブレード3のエッジ部分へのトナーの付着・固着が発生しなくなる。さらに、これに伴う画像上の帯電ムラも発生しなくなる。
【0065】
次に、この発明の実施形態について説明する。なお、ハード構成は、前述した図1及び図2に示した画像形成装置と同様である。
この実施形態の画像形成装置の効果を確認するために、次のような実験を行なった。
【0066】
実験では、感光体ドラムの直径が30〔mm〕,感光体ドラムの周速Vが115〔mm/sec〕の実験機を使用した。ここでは、その実験機を図1及び図2に示した画像形成装置であるものと仮定する。
ブレード3としては、ウレタンゴムにケッチェンブラックを分散させ、抵抗率を106 〔Ωcm〕に調整し、厚み2〔mm〕,幅13〔mm〕,長さ300〔mm〕の形状に加工したものを使用した。
【0067】
また、ブレード3の当接条件は、突き出し量8〔mm〕,当接角(支持角)20〔度〕,食い込み量1.0 〔mm〕とした。
このブレード3に、周波数1〔kHz〕,最大値−2〔kV〕,最小値0〔kV〕の矩形波の電圧を印加した。
そして、矩形波のデューティ比を変化させ、テスト画像の連続通紙試験を行ない、画像上に帯電ムラがわずかに観察された時の画像形成枚数を耐久性として記録した(表2参照)。
【0068】
その結果、デューティ(duty)比が60%以上では、耐久性は従来のクリーニング・帯電兼用装置と変わらず、画像形成枚数にして2000枚程度であった。
しかし、デューティ比を50%以下にすることによって、耐久性を向上させることができた。デューティ比を20%以下にした場合には、耐久性が画像形成枚数にして10000枚を越えるという結果になった。
【0069】
デューティ比を感光体ドラム1の周速115〔mm/sec〕,電源4が帯電時におけるブレード3への電圧の印加を連続して停止する時間(0〔kV〕の時間)との積に換算した値(V・T)を表2に示す。
【0070】
【表2】
【0071】
この表2を見て分かるように、V・T>0.05〔mm〕の場合に、この実施形態におけるクリーニング・帯電兼用装置の耐久性が従来のクリーニング・帯電兼用装置に比べて向上する。
さらに、V・T=0.092〔mm〕にした場合には、耐久性が画像形成枚数にして10000枚を越えるという結果が得られた。
【0072】
なお、ブレード3としては、上述したウレタンゴムにケッチェンブラックを分散させ、抵抗率を106〔Ωcm〕にしたもの以外のものを使用してもよい(前述の参考例参照)。
また、ブレード3に放電開始電圧より小さい電圧を連続して印加する時間をTとしてもよい。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の画像形成装置によれば、クリーニング・帯電兼用装置を長期間使用した場合でも、そのブレードのエッジ部分へのトナーの付着・固着による帯電ムラが発生することがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の基礎となる画像形成装置の概要を示す構成図である。
【図2】図1に示したクリーニング・帯電兼用装置2を更に詳しく説明するための構成図である。
【図3】図2に示したクリーニング・帯電兼用装置2における上流側放電可能長Lを説明するための図である。
【図4】図2の電源4によるブレード3への印加電圧波形の一例を示す図である。
【図5】同じく他の例を示す図である。
【図6】同じくさらに他の例を示す図である。
【図7】図2に示したクリーニング・帯電兼用装置2を使用した場合の効果を説明するための感光体ドラムの回転トルクの一例を示す図である。
【図8】同じく他の例を示す図である。
【図9】同じくさらに他の例を示す図である。
【図10】電子写真プロセスを用いた画像形成装置の概略構成図である。
【図11】従来の画像形成装置に用いられているクリーニング手段の一例を示す概略構成図である。
【図12】従来の接触帯電装置の一例を示す概略構成図である。
【図13】従来のクリーニング・帯電兼用装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1:感光体ドラム(像担持体) 1a:感光体
2:クリーニング・帯電兼用装置
3:クリーニング・帯電兼用ブレード
3a:支持部材 4:電源
5:露光装置 6:現像装置
10:転写装置
Claims (2)
- 像担持体の表面にエッジ部分が接触して、その表面の残留トナーを除去すると共にその表面を帯電するための導電性弾性体からなるクリーニング・帯電兼用ブレードと、該クリーニング・帯電兼用ブレードに帯電用の電圧を印加する電源とを有するクリーニング・帯電兼用装置を備えた画像形成装置において、
前記電源が前記クリーニング・帯電兼用ブレードに印加する電圧は、直流電圧に放電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧を有する交流電圧を重畳した電圧であり、
且つ前記像担持体の回動速度をV、前記電源が帯電時における前記クリーニング・帯電兼用ブレードに放電開始電圧より小さい電圧を連続して印加する時間をTとしたとき、前記電源が前記クリーニング・帯電兼用ブレードに印加する電圧の波形は、V・T>0.05〔mm〕 の関係を満たす波形であることを特徴とする画像形成装置。 - 像担持体の表面にエッジ部分が接触して、その表面の残留トナーを除去すると共にその表面を帯電するための導電性弾性体からなるクリーニング・帯電兼用ブレードと、該クリーニング・帯電兼用ブレードに帯電用の電圧を印加する電源とを有するクリーニング・帯電兼用装置を備えた画像形成装置において、
前記電源が前記クリーニング・帯電兼用ブレードに印加する電圧は、直流電圧に放電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧を有する交流電圧を重畳した電圧であり、
且つ前記像担持体の回動速度をV、前記電源が帯電時における前記クリーニング・帯電兼用ブレードへの電圧の印加を連続して停止する時間をTとしたとき、前記電源が前記クリーニング・帯電兼用ブレードに印加する電圧の波形は、V・T>0.05〔mm〕 の関係を満たす波形であることを特徴とする画像形成装置。
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