JP3595434B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子写真プロセスを行なうことにより画像を形成する静電複写機,レーザプリンタ等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、静電複写機,レーザプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置には、スコロトロン等のコロナ帯電装置や、帯電部材を被帯電体となる感光体に直接接触させて帯電を行なう接触帯電装置がある。
前者のコロナ帯電装置は、発生するオゾンの量が多く、印加電圧も例えば5〜7kVと大きいなどの欠点があった。後者の接触帯電装置は、コロナ帯電装置の上述した欠点を改善することができるため、近年では低速,中速の電子写真方式の画像形成装置の帯電装置に広く用いられるようになってきている。
【0003】
その接触帯電装置の一例を図7に示す。この接触帯電装置は、被帯電体である感光体51にローラ状の帯電部材52を接触させた状態で、感光体51を矢示A方向に回転させ、その感光体51に連れ回りで帯電部材52が矢示B方向に回転するようにし、その状態で帯電部材52に電源53から電圧を印加することによって感光体51の表面を帯電する。
その印加電圧は、例えば直流で−1.0〜−1.5kVである。
【0004】
帯電部材52は、例えば直径が5〜20mmで、軸線方向の長さが約300mmに形成されたローラであり、導体部52aの表面に弾性層52bを形成している。その弾性層52bは、抵抗率が10〜10Ωcmの材料で形成されている。そして、その弾性層52bの表面には、膜厚が10〜20μmm程度の表面保護層が形成されているものもある。
また、感光体51は、直径が30〜80mm、長さが約300mmのドラム状に形成されており、導体51aの表面に感光層51bが形成してある。
【0005】
このように構成される接触帯電装置は、コロナ帯電装置に比べると前述したような利点があるが、帯電部材(帯電ローラ)が感光体に接触する構成であるため、次に掲げるような欠点があった。
1.感光体の表面に付着したトナー等の付着物が帯電部材の表面に転移することによって生じる帯電性能の低下がある。
2.帯電部材を構成している物質がその表面に滲み出てそれが感光体の表面に付
着することによって感光体を汚すことがある。
3.長期間帯電部材が感光体の表面に接触した状態のまま放置されたときに帯電
部材の弾性層が永久変形をする。
【0006】
そこで、このような問題点を解決するため、帯電部材を感光体に接触させずにそれを近接させた位置に配置するようにした近接帯電装置が考えられている(例えば特公平6−90568号公報,特開平7−301973号公報参照)。
このような近接帯電装置は、帯電部材が感光体に最も接近する位置で、その間の距離を0.005〜0.30mmにして対向させ、その状態で帯電部材に電圧を印加することにより感光体を帯電するようにしている。
【0007】
この近接帯電装置では、帯電部材を感光体に接触させないため、接触帯電装置の場合のように、上述したような「帯電部材を構成している物質の感光体への付着」や「長期間放置されたときの帯電部材の弾性層の永久変形」の問題を解決することができる。
また、感光体の表面に付着したトナー等の付着物の帯電部材への転移も、その量が少なくなるので、それによって生じる帯電性能の低下はほとんどなくなる。
【0008】
図8に、従来の近接帯電装置の一例を示す。
この近接帯電装置は、ローラ状の帯電部材62の外径を5〜20mmとし、その軸線方向の長さを約300mmとしている。この帯電部材62は、導体部62aの表面に抵抗層62bを形成している。その抵抗層62bは、抵抗率が10〜10Ωcm の材料で形成されている。
また、感光体61は、直径が30〜80mm、長さが約300mmのドラム状に形成されており、導体61aの表面には感光層61bが形成されている。
【0009】
帯電部材62は、それを回転させるようにしてもよいし、回転させないようにしてもよい。そして、その帯電部材62が感光体61に最も接近する位置で、その間の距離が0.005〜0.30mmになるように対向させ、その状態で帯電部材62に電源63により、直流で−1.5〜−2.0kVの電圧を印加して感光体61を帯電するようにしている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の近接帯電装置では、帯電部材と感光体との距離が大きくなるにしたがって、帯電むらが発生するという問題があった。この帯電むらとは、感光体の表面の帯電が均一にされなくなる状態のことであり、感光体の表面電位が場所によって高くなったり、低くなったりする。
近接帯電装置で現れるこの帯電ムラは、ピッチ(空間周期)が0.1〜1.0mm程度と小さいため、通常の空間分解能が5mm程度の表面電位計ではこのような小さな帯電ムラは平均化されてしまうため、それを検出することができない。
【0011】
しかしながら、実際にその帯電された面に画像を形成すると、その画像上には斑点状の帯電ムラが現れる。また、反転現像(ネガポジ)を行った場合には、白地部にトナーが付着したり、黒地部でトナーの付着が少ない箇所ができたりする。このような近接帯電装置においても、感光体上のピンホールによって起こるいわゆるリークを防止するため、帯電部材はその材料を、接触帯電装置の場合と同様に外側の層は抵抗率が10〜10Ωcmの範囲内にあるような中抵抗のものを使用することが好ましい。
【0012】
このように、10〜10Ωcmの抵抗率のものを作成するためには、樹脂やゴム等の高分子の材料に、例えばイオン性化合物を添加(イオン性導電化の材料)する方法や、上記高分子の材料にカーボンを分散(電子性導電化の材料)させる方法等がある。
【0013】
しかしながら、このようなイオン性導電化の材料や電子性導電化の材料を近接帯電装置の帯電部材に使用したときには、次に説明するような問題があった。
すなわち、帯電部材と感光体との間の距離を大きくしたときに、表面電位計では検出することができない細かな帯電ムラが発生しやすくなる。そのため、帯電部材が感光体に最も接近する部分で距離が0.1mm 以上になると、帯電ムラが画像上にはっきりと現れるようになる。
【0014】
したがって、帯電部材をイオン性導電化の材料で形成した場合には、帯電部材が感光体に最も接近する部分で、その間の距離を0.1mm 以上にすることができないため、近接帯電装置としての利点が少なくなってしまうという問題点があった。
そのため、帯電部材や感光体に機械的な振動が加わると、その帯電部材と感光体とが接触してしまうので、それによって帯電部材の表面に感光体側のトナーが付着して汚れやすくなる。
【0015】
この発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、近接帯電装置が持つ利点を生かしながら、機械的な振動が加わっても帯電部材が感光体に接触しにくいようにし、さらに帯電部材に電圧を印加した直後に発生しやすい帯電むらを少なくすることを目的する。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記の目的を達成するため、静電潜像担持体と、その静電潜像担持体を帯電する帯電部材と、その帯電部材に電圧を印加する電圧印加手段と、その電圧印加手段により帯電部材に電圧が印加されることにより帯電された静電潜像担持体に静電潜像を形成する露光手段と、その静電潜像を現像して顕像化する現像手段と、その顕像を転写体上に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、
上記帯電部材を、静電潜像担持体に対して最も接近した位置で0.1mm 以上離して配置し、
上記電圧印加手段による帯電部材への印加電圧を、静電潜像担持体上の顕像が形成される部分に対応して印加する第1の電圧と、その第1の電圧に対して絶対値で小さな第2の電圧と、第1の電圧に対して絶対値で大きな第3の電圧とに切り換え可能であり、電圧印加手段が帯電部材へ印加する電圧を第2の電圧から静電潜像担持体上の顕像が形成される部分の直前の非画像形成部分で第3の電圧へ変化させた後に上記顕像が形成される部分になるところで第1の電圧へ切り換える印加電圧切換手段を設けたものである。
【0017】
そして、上記第3の電圧は、静電潜像担持体上の顕像が形成される部分の直前の非画像形成部分に対応して印加される電圧であるようにするとよい。
また、上記顕像が形成される部分の直前の非画像形成部分が上記顕像が形成される部分と同じ現像ポテンシャルが保たれるように現像手段の現像バイアスを制御するようにするとよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1はこの発明の第1の実施形態例である画像形成装置の作像部周辺を示す概略図、図2は同じくその作像部に設けられている感光体と帯電系を示す概略図である。
図1に作像部周辺を示す画像形成装置は、ドラム状の静電潜像担持体である感光体1を非接触状態で帯電するローラ状の帯電部材2を備えた近接帯電装置により、その帯電部材2の導体部2aに電圧印加手段である電源3から電圧を印加することによって感光体1の被帯電面となる表面を所定の電位に一様に帯電する。
【0019】
その感光体1は、図2に示すようにドラム状に形成された導体1aの表面に感光部材1bを塗布することによって形成されており、同図で矢示C方向に周速180mm/sec で回転する。
その感光体1の回りには、図1に示すように帯電部材2の他に露光装置9と、感光体1上の静電潜像を現像して顕像化する現像装置6と、転写装置7と、クリーニングユニット8がそれぞれ配設されている。
【0020】
露光装置9は、帯電部材2で均一に帯電された感光体1の表面上に、レーザーダイオードからのレーザービームをポリゴンミラーにより目的の画像に対応して走査していき、そこに静電潜像を形成する。
現像装置6は、ローラ状の現像ローラ6aと現像剤6bと電源10とによって構成されている。そして、この実施の形態では、現像ローラ6aに電圧を−0.6kVを印加することによって露光装置9により露光された部分を現像して、感光体1上に顕像となるトナー像を形成する(いわゆる反転現像)。
なお、この実施の形態で使用する現像剤6bは、キャリアとトナーとによって形成される2成分現像剤であるが、それに1成分現像剤を使用するようにしてもよい。
【0021】
転写装置7は、転写ローラ7aと電源11とからなり、その電源11から転写ローラ7aに電圧を印加することによって、現像装置6で現像されたトナー像を図示しない給紙手段から搬送される転写紙P上に転写する。なお、電源11が転写ローラ7aに印加する電圧は定電流制御とし、例えば20μAである。
この画像形成装置は、露光装置9からのレーザービームが感光体1の表面に入射して、帯電部材2によって一様に帯電された感光体1の表面が露光されてそこに静電潜像が形成され、それが現像装置6の現像ローラ6aによって供給されるトナーにより現像されてトナー像(可視像)となる。
【0022】
一方、給紙カセット(図示せず)内に収納されている転写紙Pが、所定のタイミングで回転する給紙ローラにより1枚ずつ送り出され、それがレジストローラ13とそれに圧接回転する加圧ローラ14との間で一旦停止されてタイミング調整された後に、感光体1上のトナー像と一致する正確なタイミングで転写ローラ7aが設けられている転写部に向けて搬送される。
【0023】
その転写紙Pは、図1で上面側にトナー像が転写され、それが感光体1から分離されて図示しない定着装置へ搬送され、そこでトナーが定着された後に装置外部の排紙トレイ等へ排出される。
そして、その転写終了後に感光体1上に残った残留トナー及び紙粉等の異物は、クリーニングユニット8に設けられたクリーニングブレード8aにより取り除かれ、その感光体1上に残った残留電位は図示しない除電ランプにより取り除かれて、次の帯電部材2による帯電に備える。
【0024】
帯電部材2は、図2に明示するように例えばステンレス(SUS)で形成した軸部となる導体部(導電性芯金)2aの外側に、中抵抗の導電層2bを一体に装着したものである。そして、その導電層2bの厚さを、3mmとしている。
このローラ状の帯電部材2は、その外径(直径)を例えば14mmとし、その軸線方向の長さを約300mmとしている。
【0025】
導電層2bは、各種のゴム,樹脂等の高分子材料にハロゲン化物,アルカリ金属塩などのイオン性化合物を添加することによって導電性を与えるようにした、いわゆるイオン性導電化材料によって形成してある。
なお、この実施の形態では、帯電部材2の内部を均一の材料によって単層に構成しているが、その内部を複数の層で構成するようにしてもよい。
【0026】
このようにして形成した帯電部材2を、図2に示すように感光体1に最も接近する位置(最近接部)で、その間の距離Lを0.1mm以上になるようにして、導体部2aに電源3により電圧を印加可能にする。
そして、この画像形成装置は、図1に示した電源3による帯電部材2への印加電圧を、感光体1上の顕像(トナー像)が形成される部分に対応して印加する第1の電圧V1=−1.8kVと、その第1の電圧V1 に対して絶対値で小さな第2の電圧V2 =0Vと、第1の電圧に対して絶対値で大きな第3の電圧V3=−2.3kVとに切り換え可能であり、電源3が帯電部材2へ印加する電圧を第2の電圧V2 から前記第3の電圧V3 へ変化させた後に第1の電圧V1 へ切り換える制御を行なう印加電圧切換手段として機能する制御装置30を設けている。
【0027】
その制御装置30は、各種判断及び処理機能を有する中央処理装置(CPU)と、各処理プログラム及び固定データを格納したROMと、処理データを格納するデータメモリであるRAMと、入出力回路(I/O)とからなるマイクロコンピュータを備えている。
そして、この制御装置30は、この画像形成装置全体の駆動系等を所定のタイミングで駆動制御すると共に、各電源3,10及び11の印加電圧をそれぞれ制御する。
【0028】
なお、帯電部材2は、この実施の形態では回転させないようにしているが、導体部2aの両端の軸部を軸受で回転可能に支持し、それをモータ等により回転させながら帯電を行なうようにしてもよい。
また、帯電部材はローラ形状でなくてもよく、例えばそれを板状にしてもよい。
【0029】
次に、図3を参照して、この画像形成装置の動作シーケンス例を説明する。なお、この図3は、2枚連続のプリントの場合を示している。
図3に示す区間1の部分で、図示しないコピースタートキーが押されてコピー開始信号が出力されると、それまでスタンバイ状態にあった画像形成装置の感光体1が回転を開始(ドラム回転on)する。
【0030】
次に、区間2の部分において、感光体1上の顕像が形成される部分の直前の非画像形成部分で帯電部材2に印加する電圧を、前述した第2の電圧V2 =0Vから第3の電圧V3 =−2.3kVへ切り換える。
なお、この第3の電圧V3 が印加されている区間は非画像形成部であり、その第3の電圧V3 が印加される時間は、この例では0.05sec である。
【0031】
また、その第3の電圧V3 が印加されている部分では、露光装置9による静電潜像の形成は行なわれない。そして、このとき現像ローラ6aには電圧0Vが印加されているので、現像装置6によるトナー像の形成は行なわれない。
その後、区間3の画像形成の部分で、帯電部材2に印加する電圧が、第3の電圧V3=−2.3kVから第1の電圧V1=−1.8kVへ切り換えられる。
【0032】
したがって、感光体1の表面が−0.8kV に帯電される。また、その感光体1の表面に、露光装置9によって目的の画像に対応する静電潜像が形成される。
そして、現像装置6が、現像ローラ6aに電圧−0.6kV を印加することによって、感光体1上の静電潜像を現像してトナー像(顕像)にする。
【0033】
次の区間4の部分は、1枚目の転写紙への画像形成が終了し、2枚目の転写紙への画像形成が始まるまでのいわゆる紙間であり、この部分は非画像形成部分である。そして、この区間4の部分では、帯電部材2に印加する電圧は第1の電圧V1=−1.8kVであるが、ここでは露光装置9は静電潜像の形成を行なわず(off)、現像装置6も現像ローラ6aに印加する電圧を0V(off)とするため、トナー像の形成は行なわれない。
【0034】
次の区間5の部分では、続いて2枚目の転写紙に画像形成を行なうが、この部分では帯電部材2に印加する電圧は第1の電圧V1=−1.8kVのままであり、感光体1の表面は−0.8kV に帯電される。また、その感光体1の表面に、露光装置9によって目的の画像に対応する静電潜像が形成される。さらに、現像装置6が、現像ローラ6aに再び電圧−0.6kV を印加するため、感光体1上の静電潜像が現像されてトナー像(顕像)となる。
【0035】
このようにして、複数枚の転写紙に画像形成を行なう場合には、その各区間に応じで帯電部材2等に印加される電圧が変更され、3枚以上の転写紙に画像を形成する場合には、上記区間4,5の動作が繰り返し行なわれる。
そして、区間6に示すように、最終枚目の転写紙に対する画像形成が終了すると感光体1は後回転区間に入り、画像形成部分(区間5の部分)で形成されたトナー像が全て転写紙上に転写されたときに感光体1の回転が停止し、次のコピー開始信号が入力されるまではスタンバイ状態に入る。
【0036】
このように、この実施の形態による画像形成装置は、電源3による帯電部材2への印加電圧を、第2の電圧V2 から第3の電圧V3 へ変化させた後に第1の電圧V1 へ切り換える制御を行なうので、従来の近接帯電装置では帯電部材に電圧を印加した直後(電圧の立ち上がり部分)で帯電むらが発生することがあったが、それを防止することができる。
すなわち、実験結果によれば、従来の近接帯電装置では、帯電部材に電圧を印加した直後の画像先端部分で、約20mm程度(感光体周速180[mm/sec]時)の帯電むらが発生していた。
【0037】
これに対し、上述したように帯電部材2への印加電圧を3つの値に変化させた場合には、帯電部材2に電圧を印加した直後の帯電むらが発生した部分は約5mm程度に減少した。
このように、帯電むらが発生する領域が減少するのは、次の理由によるものであると考えられる。
【0038】
従来の近接帯電装置では、帯電部材に電圧を印加した直後の帯電部材の表面の電位は、その帯電部材に印加した電位(例えば−1.8kV)に等しい。この場合には、帯電部材の表面と感光体との間の電位差もこれに略等しい(−1.8kV)と考えられる。
このため、帯電部材と感光体との間で放電が起こると、その放電に伴って移動する電荷量が大きくなる。その結果、放電の跡が帯電むらとして観察されるものと考えられる。
【0039】
そして、帯電部材に電圧が印加されてからしばらくすると、その帯電部材の表面には電荷が蓄積されるようになるため、帯電部材の表面と感光体との間の電位差が実質的には、帯電部材に印加した電位に比べて小さくなる。このため、この場合には放電に伴って移動する電荷量は大きくならないので、帯電むらが発生しない。つまり、帯電部材に電圧を印加してからしばらくした後は、帯電むらが発生しにくくなる。
【0040】
これに対し、この発明による画像形成装置では、帯電部材2に印加する電圧を、顕像が形成される画像形成部分に対応して印加する第1の電圧V1 にする前に、その第1の電圧V1 に対して絶対値で大きい第3の電圧V3 にする。
そのため、その第3の電圧V3 を印加している間に、従来の近接帯電装置に比べて、短い時間で帯電部材2の表面に電荷が蓄積されるようになる。それによって、帯電部材2に印加する電圧を第1の電圧V1 にしたときには、帯電部材2の表面と感光体1との間の電位差が実質的に、帯電部材2に印加した電位に比べて小さくなるので、帯電むらが発生しにくくなる。
【0041】
つまり、この実施の形態による画像形成装置では、画像を形成する際には帯電部材2の表面に電荷を短時間で蓄積させることができるので、帯電部材2に顕像が形成される画像形成部分に対応して印加する電圧V1 を印加した直後の帯電むらが発生する領域を小さくすることができる。
【0042】
このように、この画像形成装置は、帯電部材2に対して印加する電圧を、顕像が形成される画像形成部分に対応して印加する第1の電圧V1 にする前に、その第1の電圧V1 に対して絶対値で大きい第3の電圧V3 を印加することによって、電圧を印加した直後の帯電むらが発生する領域を小さくすることができるので、帯電部材2と感光体1との距離を0.1mm以上に離しても、従来の近接帯電装置において問題となっていた帯電部材に電圧を印加した直後に発生する帯電むらの発生を少なくすることができる。
【0043】
したがって、その帯電部材2を感光体1から離すことができる分だけ帯電部材2が感光体1に接触しにくくなるので、仮りにこの画像形成装置に機械的な振動が加わったとしても帯電部材が感光体に接触しない。
なお、この画像形成装置は、帯電部材2が感光体1に対して非接触であるので、接触帯電装置において一般的に問題となっている下記の不具合も発生しない。
【0044】
すなわち、従来技術の項で説明したように、
1.感光体の表面に付着したトナー等の付着物が帯電部材の表面に転移することによって生じる帯電性能の低下。
2.帯電部材を構成している物質がその表面に滲み出てそれが感光体の表面に付着することによる感光体の汚れ。
3.長期間帯電部材が感光体の表面に接触した状態のまま放置されたときに発生しやすい帯電部材の弾性層の永久変形。
等の問題は発生しない。
【0045】
図4はこの発明の第2の実施の形態を示す画像形成装置の動作シーケンスを示す図3と同様なタイミング図である。
この実施の形態による画像形成装置の構成は、図1及び図2で説明した画像形成装置と全て同様であり、制御系(図1の制御装置30と同様な構成のもの)が行なう動作シーケンスのみが異なるだけであるため、それら各部の形状を示す図示は省略し、必要に応じて図1及び図2を参照しながらそこに付した符号を使用して説明する。
【0046】
この画像形成装置では、図4に示すように全ての紙間(非画像形成部分となる区間4の部分を参照)で、帯電部材2に印加する電圧を、その都度0Vにする。
そして、区間4の部分に示しているように、再び帯電部材2に印加する電圧を、顕像が形成される部分である画像形成部分(区間5を参照)に印加する電圧に戻す場合には、画像形成部分の直前の非画像形成部分(いわゆる紙間)に、画像形成部分に印加する電圧第1の電圧V1 に対して絶対値で大きな第3の電圧V3 を印加するようにしている。
なお、その区間4の部分で第3の電圧V3 を印加する時間は、0.05secである(感光体の周速は180mm/sec)。
【0047】
このようにすれば、各紙間(非画像形成部分)ごとに帯電部材2に印加する電圧が、画像形成部分に対応して印加する電圧に比べて絶対値で小さくなるため、感光体1を不必要に帯電することがなくなる。したがって、図1及び図3で説明した実施の形態による画像形成装置の作用効果に加えて、感光体1の疲労や、その感光体1の劣化を必要最小限に留めることができる。
【0048】
図5はこの発明の第3の実施の形態を示す画像形成装置の動作シーケンスを示す図3と同様なタイミング図である。
この実施の形態による画像形成装置の構成は、図1及び図2で説明した画像形成装置と全て同様であり、制御系(図1の制御装置30と同様な構成のもの)が行なう動作シーケンスのみが異なるだけであるため、それら各部の形状を示す図示は省略し、必要に応じて図1及び図2を参照しながらそこに付した符号を使用して説明する。
【0049】
この画像形成装置は、画像形成部分(区間3を参照)で帯電部材2に対して印加する第1の電圧V1 =−1.8kVに比べて、絶対値で大きい第3の電圧V3 =−2.3kV(区間2の終端を参照)を印加する部分で、現像ローラ6aに印加する電圧を−1.1kVとして、現像ポテンシャル、すなわち「現像ポテンシャル=感光体表面電位−現像バイアス」が変わらないようにしている。
【0050】
このような現像バイアスにすれば、区間2の部分で帯電部材2に印加する電圧を、画像形成部分(区間3)で印加する第1の電圧V1 よりも絶対値で大きな第3の電圧V3 にしても、現像装置6において現像剤6bにかかる電圧は大きくならない。
そのため、現像剤6bが劣化するのを防ぐことができる。したがって、特に2成分現像剤においてはキャリアが感光体上に付着したときに生じる異常画像の原因となるキャリア付着を防止することができる。
【0051】
図6はこの発明の第4の実施の形態を示す画像形成装置の動作シーケンスを示す図3と同様なタイミング図である。
この実施の形態による画像形成装置の構成は、図1及び図2で説明した画像形成装置と全て同様であり、制御系(図1の制御装置30と同様な構成のもの)が行なう動作シーケンスのみが異なるだけであるため、それら各部の形状を示す図示は省略し、必要に応じて図1及び図2を参照しながら、そこに付した符号を使用して説明する。
【0052】
この画像形成装置は、紙間で帯電部材2に印加する電圧を、図4で説明した実施の形態と同様な動作シーケンスにしている。
すなわち、この実施の形態では、紙間(区間4を参照)ごとに、帯電部材2に対して電源3から印加する電圧を0Vにすると共に、画像形成部分の直前の非画像形成部分では、画像形成部分に印加する電圧に対して絶対値で大きい電圧(第3の電圧V3 )にしている。そして、これに対応して現像装置6も、現像ローラ6aに電源10から印加する電圧を、現像ポテンシャンが等しくなるように図示のように絶対値で大きくしている。
【0053】
このようにすることによって、図4の実施の形態と同様に感光体1を不必要に帯電することがなくなる。したがって、前述した実施の形態による画像形成装置の作用効果に加えて、感光体1の疲労や、その感光体1の劣化を必要最小限に留めることができる。
また、図5の実施の形態と同様に現像剤の劣化も防止することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、帯電部材は静電潜像担持体に対して非接触であるため、静電潜像担持体の表面に付着したトナー等の付着物が帯電部材の表面に転移したり、帯電部材を構成している物質がその表面に滲み出てそれが静電潜像担持体の表面に付着したり、さらには長期間帯電部材が静電潜像担持体の表面に接触した状態のまま放置されたときに発生しやすい帯電部材の弾性層の永久変形等が原因で生じる種々の問題の発生を防止することができる。
【0055】
また、帯電部材に印加する電圧を変化させることによって、帯電部材を静電潜像担持体から0.1mm以上離しても電圧の印加直後に発生する帯電むらを少なくすることができるので、この画像形成装置に機械的な振動が加わったとしても帯電部材が静電潜像担持体に接触したりしない。したがって、帯電部材が静電潜像担持体に接触することによって生じる静電潜像担持体から帯電部材へのトナー等の付着物の転移を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態例である画像形成装置の作像部周辺を示す概略図である。
【図2】同じくその作像部に設けられている感光体と帯電系を示す概略図である。
【図3】図1の画像形成装置の動作シーケンスを示すタイミング図である。
【図4】この発明の第2の実施の形態を示す画像形成装置の動作シーケンスを示す図3と同様なタイミング図である。
【図5】この発明の第3の実施の形態を示す画像形成装置の動作シーケンスを示す図3と同様なタイミング図である。
【図6】この発明の第4の実施の形態を示す画像形成装置の動作シーケンスを示す図3と同様なタイミング図である。
【図7】従来の接触帯電装置の一例を示す概略構成図である。
【図8】従来の近接帯電装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1:感光体(静電潜像担持体) 2:帯電部材
3,10,11:電源(電圧印加手段)
6:現像装置 7:転写装置
9:露光装置 30:制御装置

Claims (3)

  1. 静電潜像担持体と、その静電潜像担持体を帯電する帯電部材と、該帯電部材に電圧を印加する電圧印加手段と、該電圧印加手段により前記帯電部材に電圧が印加されることにより帯電された前記静電潜像担持体に静電潜像を形成する露光手段と、その静電潜像を現像して顕像化する現像手段と、その顕像を転写体上に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、
    前記帯電部材を、前記静電潜像担持体に対して最も接近した位置で0.1mm 以上離して配置し、
    前記電圧印加手段による前記帯電部材への印加電圧を、前記静電潜像担持体上の前記顕像が形成される部分に対応して印加する第1の電圧と、その第1の電圧に対して絶対値で小さな第2の電圧と、前記第1の電圧に対して絶対値で大きな第3の電圧とに切り換え可能であり、前記電圧印加手段が前記帯電部材へ印加する電圧を前記第2の電圧から前記静電潜像担持体上の顕像が形成される部分の直前の非画像形成部分で前記第3の電圧へ変化させた後に前記顕像が形成される部分になるところで前記第1の電圧へ切り換える印加電圧切換手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記第3の電圧は前記静電潜像担持体上の前記顕像が形成される部分の直前の非画像形成部分に対応して印加される電圧であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記顕像が形成される部分の直前の非画像形成部分が前記顕像が形成される部分と同じ現像ポテンシャルが保たれるように前記現像手段の現像バイアスを制御するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
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