JP3759545B2 - 自動水栓装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般には物体検知装置に関わり、特に、光等の伝播波の反射波を利用して物体の接近又は離脱を検知する物体検知装置に関する。本明細書においては、物体の一例としての人体を例にとり説明する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動給水装置や温水洗浄装置や自動水栓装置において、物体検知装置として反射型の非接触アクティブセンサを用いた装置が知られている。中でも特に、自動水栓装置では、洗面台等に設置した物体検知装置が洗面台のスパウト(噴出口)下方に手等の物体を検出すると、自動的に水栓を開いてスパウトから吐水させる構成の装置が周知である。この装置では、物体検知装置が光や超音波等の伝播波をスパウト下方に向けて発射し、その反射レベルを測定してこのレベルと閾値との比較結果からスパウト下方に存在する物体を検知するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自動給水装置や温水洗浄装置の場合、検知対象物体から反射した伝播波以外に、周囲の壁に反射した伝播波が物体検知装置に戻ってくるため、反射波のレベル補正や閾値の更新等を行なわないと検知対象物体の存否を確認できないという問題がある。また、自動水栓装置の場合にも、上記と同様に検知対象物体から反射した伝播波以外に、洗面台のボウル内底面に反射した伝播波が物体検知装置に戻ってくる不具合があるのに加えて、スパウトからの吐出水や、上記ボウルの汚れや、上記ボウルの経時変化等が外乱として物体検知に悪影響を及ぼす。そのため、やはり反射波のレベル補正や閾値の更新等を行なわないと検知対象物体の存否を確認できないという問題があった。
【0004】
そこで、上記問題に対処するための手段として、物体検知装置に戻ってくる反射波のレベルを統計的に処理して検知対象物体の存否を判定する方式が出願されている(特願平5―第336916号)。
【0005】
この方式によると、例えば洗面器上に静止物が置かれたことにより誤って吐水が行われたときでも、洗面器の未使用時の反射光レベルを、静止物が置かれた状態での反射光レベルによって更新することにより、速やかに止水させることができる。
【0006】
しかし、上記の未使用時の反射光レベルを更新する方式には、以下のような問題がある。例えば、上記方式を採用した自動水栓装置において、洗面器に水溜めをしようとする場合に、ユーザがセンサ面の近くに手等を翳してセンサにより手を感知させ、必要とする量の水が溜まるまで連続的に吐水を行わせようとすることがある。しかし、水溜めを目的として手を翳す場合、通常、手の動きは極めて少ないために反射光レベルの変化量が小さい状態が継続することとなるので、この状態のまま未使用時の反射光レベルが更新されてしまう。そのため、手を翳していても、装置のコントロール部が検知対象物体なしと誤判断して止水してしまうという不具合が生じる。
【0007】
そこで、このような不具合に対処するための手段として、吐水中は上述した未使用時の反射光レベルの更新を行わないようにする方式も検討されたが、この方式では、洗面器上に静止物が置かれた場合に水が出放しになったり、或いは、予め装置に設定されている吐水制限時間になるまで止水しないという不具合が生じる。
【0008】
従って本発明の目的は、洗面器に静止物が置かれたときには確実に止水でき、且つ、洗面器に水溜めをすべく、ユーザが手を差し出したときにはユーザが要求する間吐水を継続できるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の側面に従う物体検知装置は、送信した伝播波の反射波を受信し、その反射波の値により物体の存在の有無を判定するもので、反射波のレベルから物体の有無を検知する検知手段と、検知手段が物体を検知しているときに、その反射波のレベル変動値と所定の閾値とを比較することにより、物体が人体か否かを判断する判断手段とを備え、閾値は、人が人体を静止させているときに生じる反射波のレベルの変動より小さく設定されている。
【0010】
この構成によれば、検知手段が物体を検知しているときに、その反射波のレベル変動値と、人が人体を静止させているときに生じる反射波のレベルの変動より小さく設定されている閾値とを比較することにより、判断手段が物体が人体か否かを判断することとした。人間が手を静止させた状態で翳していても、現実には僅かながら揺れている。
【0011】
よって、このときの反射波のレベルの変動より小さく設定されている閾値を用いて物体が人体か否かを判断手段が判断するのであるから、誤判断することはなく、誤判断に起因して装置が誤動作する虞はない。
【0012】
本発明の第1の側面に係る好適な実施形態では、検知手段は、所定のレベル閾値を持っていて、このレベル閾値と反射波のレベルとの比較により物体の有無を判断し、更に、判断手段が人体以外のものだと判断したとき、そのときのレベルにレベル閾値を更新するレベル閾値更新手段を備える。
【0013】
この実施形態では、判断手段が、検知手段が検知した物体が人体であると判断したとき、所定の機能を実行する機能実行手段を備えることができる。
【0014】
更に、機能実行手段による機能が所定時間継続して実行された場合には、機能の実行を停止させる実行停止手段を備えることもできる。
【0015】
本発明の第2の側面に従う水制御装置は、送信した伝播波の反射波を受信し、その反射波の値による物体の存在の有無の判定結果に応じて水供給を制御するもので、反射波のレベルから物体の有無を検知する検知手段と、検知手段が物体を検知しているときに、その反射波のレベル変動値と所定の閾値とを比較することにより、物体が人体か否かを判断する判断手段とを備え、閾値は、人が人体を静止させているときに生じる反射波のレベルの変動より小さく設定されている。
【0016】
この構成によれば、検知手段が物体を検知しているときに、その反射波のレベル変動値と、人が人体を静止させているときに生じる反射波のレベルの変動より小さく設定されている閾値とを比較することにより、判断手段が物体が人体か否かを判断することとした。人間が手を静止させた状態で翳していても、現実には僅かながら揺れている。よって、このときの反射波のレベルの変動より小さく設定されている閾値を用いて物体が人体か否かを判断手段が判断するのであるから、従来のように手を翳しているにも拘らず、止水されるような不具合は生じない。そのため、洗面器に静止物が置かれたときには確実に止水でき、且つ、洗面器に水溜めをすべく、ユーザが手を差し出したときにはユーザが要求する間吐水を継続できる。
【0017】
本発明の第2の側面に係る好適な実施形態では、検知手段は、所定のレベル閾値を持っていて、このレベル閾値と反射波のレベルとの比較により物体の有無を判断し、更に、判断手段が人体以外のものだと判断したとき、そのときのレベルに前記レベル閾値を更新するレベル閾値更新手段を備える。
【0018】
この実施形態では、判断手段が、検知手段が検知した物体が人体であると判断したとき、所定の機能を実行する機能実行手段を備えることもできる。
【0019】
更に、機能実行手段による機能が所定時間継続して実行された場合には、機能の実行を停止させる実行停止手段をも備えることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面により詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る水制御装置の回路構成を示す。
【0022】
この水制御装置は、例えば、洗面台やトイレ室内の手洗用シンクのような水廻り設備に設置されるものである。
【0023】
上記装置は、図示のように、人体の一部である手等を検出するためのセンサ部1と、自動水栓(図示しない)を開/閉するバルブ(図示しない)を駆動するバルブ駆動部3と、センサ部1やバルブ駆動部3を制御する信号処理部5と、上記各部へ給電するための直流電源7とを備える。
【0024】
センサ部1は、投光素子9と、受光素子11と、センサ回路13と、トランジスタ15とを備える。
【0025】
投光素子9は、発光ダイオードから成っており、センサ回路13が駆動状態におかれているとき、トランジスタ15及びセンサ回路13を通じた直流電源7からの給電を受けて駆動し、例えば赤外線や可視光等の所定の光を所定の角度で投光する。
【0026】
受光素子11は、例えばフォトダイオードから成っており、センサ回路13が駆動状態におかれているとき、トランジスタ15及びセンサ回路13を通じた直流電源7からの給電を受けて駆動し、受光した光量に応じた大きさの電流(光電流)を出力する。
【0027】
センサ回路13は、トランジスタ15がオン動作し、且つ、後述するマイクロコンピュータ(マイコン)29から指令信号が出力されたとき起動して、投光素子9及び受光素子11を駆動する。そして、受光素子11が受光した反射光のレベルを検知して所定の信号処理を施すことにより、反射光のレベルに応じた電圧信号(アナログ信号)を生成して出力する。
【0028】
トランジスタ15は、マイコン29からの制御信号に基づいてスイッチング動作し、直流電源7からセンサ回路13への駆動電源の給電を断/続する。
【0029】
バルブ駆動部3は、上述したバルブ(図示しない)を駆動するためのラッチングソレノイド17と、各々がマイコン29からの指令信号に基づいてスイッチング動作する4個のトランジスタ19〜25とを備えたHブリッジ回路27によって構成されている。
【0030】
このHブリッジ回路27は、例えばトランジスタ21、23が共にオン動作することにより直流電源7からトランジスタ21、ソレノイド17、トランジスタ23を経て直流電源7に至る閉ループを形成したとき、ソレノイド17がバルブ(図示しない)を開方向に駆動する。上記とは逆に、トランジスタ19、25が共にオン動作することにより直流電源7からトランジスタ19、ソレノイド17、トランジスタ25を経て直流電源7に至る閉ループを形成したとき、ソレノイド17がバルブ(図示しない)を閉方向に駆動するようになっている。
【0031】
信号処理部5は、マイコン29と、発振子31とから成っている。
【0032】
発振子31は、マイコン29が動作するのに必要なクロックパルスを生成して、これをマイコン29に出力する。
【0033】
マイコン29は、センサ回路13と、トランジスタ15と、Hブリッジ回路27を構成するトランジスタ19〜25とを制御するもので、これら各部を制御するための演算処理動作を行なうCPUを始め、制御プログラムを格納し、必要データを記憶するメモリや、入出力部(いずれも図示しない)等を備える。
【0034】
マイコン29は、トランジスタ15をオンさせる制御信号を出力すると共に、センサ回路13に所定の指令信号を出力することによりセンサ回路13を起動し、センサ部1による吐水条件を設定するのに必要な演算処理を行なう。この演算処理は、センサ回路13から出力される電圧信号の2値化の過程と、この2値化データ(最新データ)によるメモリ内の最も古いデータの更新の過程と、各データの平均値を求める過程と、この平均値を、水栓の未使用時の反射光のレベル(未使用値)として用いるに際しての処理過程とから成っている。この演算処理については、後に詳述する。
【0035】
マイコン29は、上記未使用値と平均値の差分と所定の閾値(本実施形態では20)との間の比較結果から吐水を要するか否かを判定し、要すると判定したときのみ吐水要求フラグをセットする処理を実行する。この演算処理についても後に詳述する。
【0036】
次に、マイコン29による水制御装置各部の制御動作を、図2のフローチャートを参照しながら説明する。
【0037】
まず、図2に示すメインルーチンの時間(例えば、125msec)を管理するためのタイマー(図示しない)をリセット(初期化)し(ステップS101)、次に、センサ部1の検知動作によって吐水条件を設定するためのサブルーチンである図3に示した処理動作を実行する(ステップS102)。以下、図3を参照してこのサブルーチンを説明する。
【0038】
図3において、まず、トランジスタ15をオンすることによりセンサ回路13に駆動電源を給電すると共に(ステップS112)、センサ回路13に指令信号を出力することによりセンサ回路13を起動する。これによって投光素子9及び受光素子11は駆動状態となる(ステップS113)。ここでセンサ回路13は、指令信号を受けてから、投光素子9を駆動し受光素子11の反射光の受光レベルに応じた電圧信号を生成して出力するまで1msecを要するものとする。そのため、センサ回路13に指令信号を出力した後、1msec待って(ステップS114)、この電圧信号を読込んで2値化(A/D変換)する(ステップS115)。そして、トランジスタ15をオフすることによりセンサ回路13への駆動電源の給電を停止し(ステップS116)、この2値化した最新データにより、メモリ内の最も古いデータ(=最古データ)を更新する(ステップS117)。
【0039】
次に、メモリ内の反射光レベルの全データの平均値を演算し(ステップS118)、吐水中であるか否かチェックし(ステップS119)、吐水中であれば最新の反射レベルデータが閾値100以上であるか否かをチェックする(ステップS120)。このチェックの結果、閾値100以上であればそのままリターンし、図2のメインルーチンに復帰する。一方、吐水中でない(=止水中)とき(ステップS119)、又は、最新の反射レベルデータが閾値100より小さいとき(ステップS120)には、最新の反射レベルの変化量(=最新の反射レベルデータと平均値との差分)が閾値10以下であるか否かをチェックする(ステップS121)。このチェックは、マイコン29内のカウンタA(図示しない)をインクリメントするか、或いはリセットするために行なわれるものである。上記チェックの結果、閾値10以下であればカウンタAをインクリメントし(ステップS122)、大きければリセットする(ステップS123)。ここで、上記カウンタAは、上記最新の反射レベルデータと平均値との差分が閾値10より小さい状態が何回継続したかをカウントするためのカウンタである。次に、カウンタAのカウント値が40以上か否かをチェックする(ステップS124)。
【0040】
このチェックは、図2で示したメインルーチンの周期が125msecであるため、仮にカウント値が40であれば125msec×40=5secとなるので、上記差分が10より小さい状態(=自動水栓が未使用で反射光レベルが比較的安定している状態)が5秒以上継続したことを示している。上記チェックの結果、5秒以上継続していれば、自動水栓は未使用状態で受光素子11が受光する反射光のレベルは安定していると判断し、ステップS118で求めた平均値を、自動水栓の未使用値としてメモリに記憶させ(ステップS125)、図2のメインルーチンに復帰する。一方、カウンタAがステップS124でリセットされたり、或いは、カウンタAのカウント値が40に満たないことにより5秒以上継続していないと判断したときは、そのままメインルーチンへ復帰する。
【0041】
再び、図2のメインルーチンに戻って、センサ部1の検知動作における吐水条件である未使用値と、上記平均値との差分が閾値20よりも大きいか否かチェックする(ステップS103)。この結果、大きいときは吐水要求フラグをセットした後(ステップS105)、ステップS106に移行し、小さいときは吐水要求フラグをリセットした後(ステップS104)、ステップS106に移行する。
【0042】
次に、吐水要求フラグがセットされているか否かをチェックする(ステップS106)。上述したように、センサ部1の検知動作における吐水条件(即ち、|未使用値−平均値|≧20)が成立していれば(ステップS103)、吐水要求フラグがセットされている(ステップS106)。この場合、吐水中であるか否かチェックし(ステップS109)、吐水中であればそのままステップS111に移行する。吐水中でなければ吐水要求フラグがセットされているため、バルブ(図示しない)を閉方向に駆動するようソレノイド17を制御し(ステップS110)、ステップS111に移行する。一方、吐水要求フラグがセットされていないときには(ステップS106)、止水中であればそのままステップS111に移行し、止水中でなければ吐水要求フラグがセットされていないため、バルブ(図示しない)を閉方向に駆動するようソレノイド17を制御し(ステップS110)、ステップS111に移行する。
【0043】
最後に、ステップS101でタイマーをリセット(初期化)してから125msec経過したか否かチェックし、125msec経過した時点でメインルーチンのスタートに戻る(ステップS111)。これによりメインルーチンの処理が一定周期で実行されることになる。
【0044】
図4及び図5は、図2及び図3においてフローチャートで示した水制御装置各部の制御動作を、タイミングチャートによって示したものである。
【0045】
図4は、洗面器上に静止物を置いた場合の水制御装置各部の制御動作を示す。
【0046】
図4において、マイコン29を始め、水制御装置各部が駆動状態となった時刻t0では、スパウト下方に手が伸びていたり、洗面器上に静止物が載置されてはいないため、図4(a)においてセンサ部1が受光する反射光レベルの未使用値を示す破線▲1▼と、反射光レベルの平均値を示す実線▲2▼(この場合は、洗面器からの反射光レベル)とは一致している。このように、反射光レベルの未使用値▲1▼と平均値▲2▼とが一致しているため、図4(b)に示すようにバルブも止水状態にある。
【0047】
次に、時刻t1でスパウト下方に手が差し出されると、平均値▲2▼は急激に上昇し閾値20のレベルを超えるため、図4(b)に示すように、バルブは吐水を開始する。この吐水は、スパウト下方に差し出されていた手が引込められることにより、図4(b)に示すように、平均値▲2▼が急激に低下して閾値20のレベル以下になる時刻t2で停止される。
【0048】
この止水の後、時刻t3で洗面器上に静止物を置くと、それによって平均値▲2▼と未使用値▲1▼との差分が閾値20を超えることになるので、図4(b)に示すように、再び吐水を開始する。洗面器上に静止物が置かれた状態では、反射光レベルが比較的安定している(=上記差分が10より小さい)ために、上記状態が5秒以上継続した時刻t4において、時刻t3で上昇した平均値▲2▼を自動水栓の未使用値▲1▼としてメモリの記憶内容を更新する。その結果、上記差分は0になる(=閾値20より小さくなる)ので、図4(b)に示すように、この時刻t4で止水が行われる。よって、洗面器上に静止物が置かれた場合でも、5秒という比較的短時間で止水が行われるので、水が流れ放しになるのを防止できる。
【0049】
図5は、洗面器に水溜めを行う場合の水制御装置各部の制御動作を示す。
【0050】
図5において、時刻t1で吐水を行い、時刻t2で止水を行った後、洗面器に水溜めを行うべく時刻t3でユーザが手をセンサ部1のセンサ面近くに差し出すと、平均値▲2▼と未使用値▲1▼との差分が閾値20よりも大きくなるので吐水を行う。しかも、上記のように手をセンサ面近くに差し出しているために、反射光レベルは閾値100を超える大きな値になっている。この場合、ユーザは、手洗い目的で手を差し出しているのではないから、手の動きは少なく、そのため反射光レベルも比較的安定した状態が続く。このように、反射光レベルが閾値100を超えている場合には、未使用レベル(=未使用値▲1▼)の更新は行わないため、平均値▲2▼と未使用値▲1▼との差分は閾値20よりも大きいままの状態で推移し、止水は行われない。
【0051】
よって、洗面器に水を溜める目的でセンサ面の近くに手を差し出した場合に、その差し出した手の動きが極めて小さいときでも、マイコン29はその状態が未使用環境であると誤認識することがなく、手が差し出されていると正しく判断することができる。そのため、水溜めの途中で止水するような不具合が生じることがない。
【0052】
従って、図6に示すように、時刻t3から5秒経過した後の時刻t4で、時刻t3で上昇した平均値▲2▼を自動水栓の未使用値▲1▼としてメモリの記憶内容を更新されることがないので、時刻t4で止水が行われることがないため、ユーザが欲する水量まで洗面器に水溜めを行うことができないというような従来から問題になっていた不具合は生じない。
【0053】
図7は、本発明の一実施形態の第1変形例に係る吐水条件を設定するためのサブルーチンを示すフローチャートである。このフローチャートは、図1のセンサ部1の検知動作により吐水条件を設定するための水制御装置各部の処理動作を示している。
【0054】
本変形例に係る処理動作では、図7に示すように、メモリ内の反射光レベルの全データの平均値を演算した後(ステップS138)、最新の反射レベルの変化量が閾値10より小さいか否かをチェックする(ステップS139)。そして、閾値10より小さいときには、カウンタAをインクリメントして吐水中か否かのチェックに移行し(ステップ142)、大きいか等しいときには、カウンタAをリセットした後、ステップ142に移行する。次に、吐水中と判断したとき、最新の反射レベルが閾値100以上の状態が30秒継続したか否かのチェックを、カウンタAが240より大きいか否かをチェックすることにより行う。ここで、カウンタAのカウント値が240であれば、図2のメインルーチンの周期が125msecであるから、125msec×240=30secになるからである(ステップ143、S144)。そして、このチェックの結果、30秒継続したと判断したときに、ステップS138で演算した平均値を未使用値としてメモリに記憶する(ステップS146)。一方、ステップ142で吐水中でなかった場合、或いは、ステップS143で最新の反射レベルが閾値100より小さかった場合に、カウンタAのカウント値が40より大きいか等しければ、やはり上記平均値を未使用値としてメモリに記憶する(ステップS146)。そして、図2のメインルーチンへ復帰する。ステップ144でカウンタAのカウント値が240より小さい場合や、ステップ145でカウンタAのカウント値が40より小さい場合には、ステップS146の処理を行うことなく、図2のメインルーチンへ復帰する。
【0055】
即ち、本変形例に係る処理動作は、上記変化量が閾値10以下か否かのチェックを、吐水中か否かのチェックに先立って行う点、吐水中に最新の反射レベルが100以上か否かのチェックを行う点、及び最新の反射レベルの変化量が閾値10以下の状態が30秒継続したか否かのチェックを行う点を主な特徴とする。そして、上記変化量が閾値10以下の状態が30秒継続したときに、演算したメモリ内の反射光レベルの全データの平均値を、未使用値としてメモリに記憶し図2のメインルーチンへ復帰するものである。
【0056】
なお、図7において、ステップS132〜S138は、図3のステップS112〜S118と、ステップS139〜S141は、図3のステップS121〜S123と、夫々同様の処理動作を行う。また、ステップS142は、図3のステップS119と、夫々同様の処理動作を行う。
【0057】
図8は、図7においてフローチャートで示した水制御装置各部の制御動作を、タイミングチャートによって示したものである。
【0058】
図8において、時刻t1で吐水を、時刻t2で止水を行った後、時刻t3でユーザが手をセンサ部1のセンサ面近くに差し出すと、反射光レベルは閾値100を超えた値(=平均値▲2▼と未使用値▲1▼との差分が閾値20よりも大きい状態)になる。しかも、ユーザの手の動きは少ないために、反射光レベルの変化量が閾値10以下の安定した状態が続くことになる。しかし、本変形例では反射光レベルの変化量が閾値10以下の状態が30秒継続すると、上記平均値▲2▼を未使用値▲1▼として記憶するようになっているため、図8(b)に示すように、時刻t3から30秒経過した時刻t5で止水される。但し、上記時刻T5が経過する以前に反射光レベルの変化量が閾値10を超えた場合には、上記平均値▲2▼を未使用値▲1▼として記憶する処理は行われないのは勿論である。
【0059】
上述した処理動作によれば、水溜めの目的でセンサ面の近くに手を差し出した場合に、手の動きが極めて小さくても30秒間は確実に吐水させることができる。また、平均値▲2▼を未使用値▲1▼として記憶する条件を厳格に設定したので、水溜め目的のために差し出した手を、未使用環境と誤認しにくくなる。よって、水溜めの途中で止水してしまうことが生じ難くなる。
【0060】
図9は、本発明の一実施形態の第2変形例に係る吐水条件を設定するためのサブルーチンを示すフローチャートである。このフローチャートも、図7で示したフローチャートと同様、図1のセンサ部1の検知動作により吐水条件を設定するための水制御装置各部の処理動作を示している。
【0061】
本変形例では、図9に示すように、ステップS152から吐水中か否かをチェックするためのステップS159までの処理は、図3のステップS112からステップS119までの処理と同様である。しかし、ステップS119以降の処理動作に本変形例の特徴がある。即ち、ステップS158で平均値を演算した後、吐水中であると判断すると(ステップS159)、最新の反射光レベルが閾値100より大きいか否かをチェックする(ステップS160)。このチェックの結果、大きければ、反射光レベルの変化量が閾値2より小さいか否かをチェックし(ステップS161)、小さければ前述のカウンタAをインクリメントして(ステップS162)、ステップ167に移行する。一方、大きければ、カウンタAをリセットした後(ステップ163)、ステップ167に移行する。次に、カウンタAのカウント値が40より大きいか等しければ(ステップ167)、上述した平均値を未使用値としてメモリに記憶する(ステップS168)。そして、図2のメインルーチンへ復帰する。ステップS159で吐水中でないと判断したとき、或いは、ステップS160で最新の反射光レベルが閾値100より小さいと判断したときは、最新の反射レベルの変化量が閾値10より小さいか否かをチェックする(ステップS164)。そして、閾値10より小さいときには、カウンタAをインクリメントして(ステップS165)、ステップ167に移行する。一方、大きければ、カウンタAをリセットした後(ステップ166)、ステップ167に移行する。以下の処理は、上記と同様である。
【0062】
図10は、図9においてフローチャートで示した水制御装置各部の制御動作を、タイミングチャートによって示したものである。
【0063】
図10において、時刻t1で吐水を、時刻t2で止水を行った後、時刻t3でユーザが手をセンサ部1のセンサ面近くに差し出すと、反射光レベルは閾値100を超えた値になる。この場合、反射光レベルの変化量が安定しているか否かを判断するための閾値が、上記図6の従来例における「10」よりも小さな値である「2」に設定されているので、時刻t3で上昇した平均値▲2▼によって未使用値▲1▼が更新されない。そのため、図10(b)に示すように、時刻t3以降は上記変化量が2を超えない限り吐水が継続されることになる。
【0064】
上述した処理動作によれば、上記平均値▲2▼を未使用値▲1▼として更新するための条件である、反射光レベルの安定度をチェックするための閾値を、従来用いられていた「10」から「2」に変更したので、反射レベルの変化量が閾値2より小さくならない限り未使用状態と判定されない。そのため、水溜めの目的でセンサ面の近くに手を差し出した場合に、手の動きが極めて小さくても水溜め目的のために差し出した手を、未使用環境と誤認しにくくなる。よって、水溜めの途中で止水してしまうことが生じ難くなる。
【0065】
図11は、本発明の一実施形態の第3変形例に係る吐水条件を設定するためのサブルーチンを示すフローチャートである。このフローチャートも、図7、図9で夫々示したフローチャートと同様、図1のセンサ部1の検知動作により吐水条件を設定するための水制御装置各部の処理動作を示している。
【0066】
本変形例では、図11に示すように、ステップS172からステップS184までは、図9のステップS152からステップS164までの処理と同様の処理が行われ、また、ステップS185からステップS189までは、図9のステップS164からステップS168までの処理と同様の処理が行われる。しかし、上述したカウンタAのカウント内容が240以上か否かをチェックする処理動作(ステップS184)を、ステップS182、S183とステップS189との間に介在させた点に本変形例の特徴がある。ここで、ステップS184の処理動作とは、前述したように、最新の反射光レベルが閾値100より大きく、且つ、反射光レベルの変化量が閾値2より小さい状態が30秒間継続したか否かのチェックである。
【0067】
即ち、カウンタAのカウント値が240より大きいか等しいときのみ、即ち、最新の反射光レベルが閾値100より大きく、且つ、反射光レベルの変化量が閾値2より小さい状態が30秒間継続しているときのみ、上述した平均値による未使用値の更新を行って、図2のメインルーチンに復帰する(ステップS184)。
【0068】
図12は、図11においてフローチャートで示した水制御装置各部の制御動作を、タイミングチャートによって示したものである。
【0069】
図12において、時刻t1で吐水を、時刻t2で止水を行った後、時刻t3でユーザが手をセンサ部1のセンサ面近くに差し出すと、反射光レベルは閾値100を超えた値になる。この場合、反射光レベルの変化量が安定しているか否かを判断するための閾値が、上記図10の第2の変形例におけると同様に「2」に設定されているので、上記変化量が閾値2より大きい状態が継続されている限りは時刻t3で上昇した平均値▲2▼によって未使用値▲1▼が更新されない。しかし、上記変化量が閾値2より小さい状態が連続して30秒継続すれば、上記更新が行われるため、止水される。なお、上記変化量が閾値2より小さい状態が連続して30秒継続する前に、1度でも上記変化量が閾値2を超えれば、カウンタAがリセットされるので吐水は継続されることとなる(図12(b)参照)。
【0070】
上述した処理動作によれば、反射光レベルが閾値100より大きく、且つ、反射光レベルの変化量が反射光レベルの安定度をチェックするための閾値「2」よりも大きいときには吐水が継続され、反射光レベルが閾値100より大きく、且つ、その変化量が閾値2よりも小さい状態が継続しても、30秒間は吐水が継続される。そのため、水溜めの目的でセンサ面の近くに手を差し出した場合に、手の動きが極めて小さくても水溜め目的のために差し出した手を、未使用環境と誤認しにくくなる。よって、水溜めの途中で止水してしまうことが生じ難くなる。
【0071】
なお、上述した内容は、あくまで本発明の一実施形態やその変形例に関するものであって、本発明が上記内容のみに限定されることを意味するものでないのは勿論である。例えば、手の乾燥装置等種々の装置に本発明は応用可能である。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、洗面器に静止物が置かれたときには確実に止水でき、且つ、洗面器に水溜めをすべく、ユーザが手を差し出したときにはユーザが要求する間吐水を継続できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る水制御装置の回路構成を示すブロック図。
【図2】図1に示した水制御装置各部の制御動作を示すフローチャート。
【図3】一実施形態に係る吐水条件設定のためのサブルーチンを示すフローチャート。
【図4】図2及び図3で示した水制御装置各部の制御動作を表わすタイミングチャート。
【図5】図2及び図3で示した水制御装置各部の制御動作を表わす別のタイミングチャート。
【図6】従来の水制御装置各部の制御動作を示すタイミングチャート。
【図7】一実施形態の第1変形例に係る吐水条件設定のためのサブルーチンを示すフローチャート。
【図8】図7で示した水制御装置各部の制御動作を表わすタイミングチャート。
【図9】一実施形態の第2変形例に係る吐水条件設定のためのサブルーチンを示すフローチャート。
【図10】図9で示した水制御装置各部の制御動作を表わすタイミングチャート。
【図11】一実施形態の第3変形例に係る吐水条件設定のためのサブルーチンを示すフローチャート。
【図12】図11で示した水制御装置各部の制御動作を表わすタイミングチャート。
【符号の説明】
1 センサ部
3 バルブ駆動部
5、6 信号処理部
7 直流電源
9 投光素子
11 受光素子
13 センサ回路
15、19、21、23、25 トランジスタ
17 ラッチングソレノイド
27 Hブリッジ回路
29 マイクロコンピュータ(マイコン)
31 発振子
Claims (4)
- 送信した伝播波の反射波を受信する自動水栓装置において、
前記受信した反射波レベルと所定のレベル閾値とを比較することにより、物体の有無を検知する検知手段と、
物体有りと判断された場合には吐水し、物体無しと判断された場合には吐水しない又は止水する手段と、
前記反射波のレベル変動値と所定の閾値とを比較することにより反射波レベルが安定しているか否かを判断する判断手段と、
前記反射波レベルが安定していると判断されたとき、そのときの反射波レベルに前記レベル閾値を更新する手段と
を備え、受信した最新の反射波レベルが、前記レベル閾値よりも大きな閾値以上の場合には、前記レベル閾値を更新しないことを特徴とする自動水栓装置。 - 送信した伝播波の反射波を受信する自動水栓装置において、
前記受信した反射波レベルと所定のレベル閾値とを比較することにより、物体の有無を検知する検知手段と、
物体有りと判断された場合には吐水し、物体無しと判断された場合には吐水しない又は止水する手段と、
前記反射波のレベル変動値と所定の閾値とを比較することにより反射波レベルが安定しているか否かを判断する判断手段と、
前記反射波レベルが安定しているとの判断が所定時間以上得られたとき、そのときの反射波レベルに前記レベル閾値を更新する手段と
を備え、受信した最新の反射波レベルが、前記レベル閾値よりも大きな閾値以上の場合には、前記所定時間をそれより長い時間とすることを特徴とする自動水栓装置。 - 送信した伝播波の反射波を受信する自動水栓装置において、
前記受信した反射波レベルと所定のレベル閾値とを比較することにより、物体の有無を検知する検知手段と、
物体有りと判断された場合には吐水し、物体無しと判断された場合には吐水しない又は止水する手段と、
前記反射波のレベル変動値と所定の閾値とを比較することにより反射波レベルが安定しているか否かを判断する判断手段と、
前記反射波レベルが安定していると判断されたとき、そのときの反射波レベルに前記レベル閾値を更新する手段と
を備え、受信した最新の反射波レベルが、前記レベル閾値よりも大きな閾値以上の場合には、前記所定の閾値をそれよりも小さい値にすることを特徴とする自動水栓装置。 - 送信した伝播波の反射波を受信する自動水栓装置において、
前記受信した反射波レベルと所定のレベル閾値とを比較することにより、物体の有無を検知する検知手段と、
物体有りと判断された場合には吐水し、物体無しと判断された場合には吐水しない又は止水する手段と、
前記反射波のレベル変動値と所定の閾値とを比較することにより反射波レベルが安定しているか否かを判断する判断手段と、
前記反射波レベルが安定しているとの判断が所定時間以上得られたとき、そのときの反射波レベルに前記レベル閾値を更新する手段と
を備え、受信した最新の反射波レベルが、前記レベル閾値よりも大きな閾値以上の場合には、前記所定時間をそれより長い時間とし、且つ、前記所定の閾値をそれよりも小さい値にすることを特徴とする自動水栓装置。
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JP33507396A JP3759545B2 (ja) | 1996-11-29 | 1996-11-29 | 自動水栓装置 |
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JP33507396A JP3759545B2 (ja) | 1996-11-29 | 1996-11-29 | 自動水栓装置 |
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JPH10160029A JPH10160029A (ja) | 1998-06-16 |
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Family Applications (1)
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JP33507396A Expired - Lifetime JP3759545B2 (ja) | 1996-11-29 | 1996-11-29 | 自動水栓装置 |
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JP (1) | JP3759545B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009155912A (ja) * | 2007-12-27 | 2009-07-16 | Toto Ltd | 水栓装置 |
-
1996
- 1996-11-29 JP JP33507396A patent/JP3759545B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH10160029A (ja) | 1998-06-16 |
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