JP3759341B2 - ラインサーマルプリンタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多部紙に対して印字可能なラインサーマルプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、サーマルヘッドを用いて感熱発色紙に印字を行う場合、1枚の感熱発色紙に対して印字動作を行うのが一般的である。つまり、サーマルヘッドを用いたサーマルプリンタは、インパクトドットヘッドを用いて行われるような重ね合わせた複数枚の用紙に印字を行う重ね複写印字には適さないものと考えられていた。
【0003】
これに対し、サーマルプリンタは、インパクトドットヘッドを用いたインパクトドットプリンタに比べ、低騒音で装置の小型化が容易である等の優れた特質を持っている。そこで、近年、このようなサーマルプリンタの特質に着目し、サーマルプリンタを用いた重ね複写印字が要望されるようになってきている。これは、近年における情報機器の発展・多様化を背景として、例えば、その用途上、重ね複写印字ができれば便利であるようなモバイル機器等が実用化されいるからである。つまり、モバイル機器には小型・軽量であるという特性が求められるのに対し、このような小型・軽量であることが求められるモバイル機器で重ね複写印字を行おうとすると、勢い、低騒音で装置の小型化が容易であるという特質を持つサーマルプリンタに対する注目度が高まるわけである。
【0004】
このようなことを背景として、近年、複数枚の感熱発色紙を重ね合わせたいわゆる多部紙に対し、サーマルヘッドを用いて印字を行うようにする技術が研究されるようになってきている。そのような研究の成果の一例としては、多部紙における工夫がある。つまり、多部紙において、各感熱発色紙の間に熱伝導性に優れた層、例えばワックス層を設けるような発明がなされている。こうして、各感熱発色紙の間にワックス層を設けることで、サーマルヘッドの発熱素子からの熱が各感熱発色紙に良好に伝達され、例えば3枚以上の感熱発色紙に対する重ね複写印字が可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
多部紙は、通常、その一辺においてのみ各用紙が離れないように糊付け等によって止められているのが一般的である。その理由の一例としては、例えば多部紙を伝票印字に適用することを想定すると、印字発行後の伝票は速やかに分離されなければならないことがあるので、このような分離作業の容易化を鑑みての措置である。そこで、このような多部紙に対して印字を行う場合、各用紙間にずれが生じないように留意する必要がある。
【0006】
ところが、サーマルプリンタを用いて多部紙に印字を行うと、各感熱発色紙間に用紙間ずれが生じやすいという問題がある。特に、プラテンとサーマルヘッドとの間のニップ部を通過した多部紙をプラテンの回転による搬送力だけに依存して搬送するような構成のものでは、各感熱発色紙間に生ずる用紙間ずれが顕著である。
【0007】
その理由としては、各感熱発色紙間における摩擦抵抗の関係が理想的な関係になりにくいことが考えられる。つまり、
サーマルヘッドと感熱発色紙との間の抵抗:F1
各感熱発色紙間の抵抗:F2
プラテンと感熱発色紙との間の抵抗:F3
とした場合、F1<F2<F3の関係にあれば、理論上は用紙間ずれが生じないはずである。ところが、前述したように、サーマルプリンタに用いる多部紙は、各感熱発色紙間にワックス層が設けられているので、その構造上、F1<F2の関係が成立しにくい。つまり、F2<F1<F3という関係になりやすいのである。これが、各感熱発色紙間に用紙間ずれが発生しやすい理由の一つである。
【0008】
もっとも、F2<F1<F3という関係になったとしても、F2<F1の程度によっては必ずしも用紙間ずれが発生するものではないと考えられる。ところが、図5に例示するように、プラテン101とライン型のサーマルヘッド102との間のニップ部103を通過する図示しない多部紙の進行経路104は、サーマルヘッド102の側に反った状態となってしまう。これは、サーマルヘッド102の図示しない発熱体の発熱による熱の影響や、プラテン101の側の感熱発色紙とサーマルヘッド102の側の感熱発色紙との間の僅かなずれの影響で、多部紙がサーマルヘッド102の側にカールし易い状態になってしまうからである。そして、このように多部紙がサーマルヘッド102の側にカールしてしまうと、上述したように各感熱発色紙間にワックス層が設けられている多部紙では、各感熱発色紙同士がより滑りやすくなってしまう。その理由を、多部紙がサーマルヘッド102の側にカールせずに真っ直ぐに進行する場合と、多部紙がサーマルヘッド102の側にカールして進行する場合との比較において考えてみる。
【0009】
まず、多部紙がサーマルヘッド102の側にカールせずに真っ直ぐに進行する場合には、プラテン101の側の感熱発色紙に腰の強さが生じ、このような腰が強い感熱発色紙と先端側で糊付け等によって固定されている他の感熱発色紙がプラテン101の側の感熱発色紙に追従して進行し易い。これに対し、多部紙がサーマルヘッド102の側にカールして進行する場合には、プラテン101の側の感熱発色紙自体がカールしてしまうためその感熱発色紙に腰の強さが生じず、これにより、各感熱発色紙の先端部分が糊付け等によって固定されていたとしてもプラテン101の側の感熱発色紙が他の感熱発色紙に対して追従力を生じさせ得ない。このため、ワックス層の影響で滑りが生じ易くなっている各感熱発色紙間に滑りが生じ、プラテン101の側の感熱発色紙が他の感熱発色紙よりも先に進行し易くなってしまう。このような作用が徐々に加算されることにより、用紙間ずれが発生してしまうものと推定される。
【0010】
なお、本発明の発明者等による実験の結果、図5に例示したようなサーマルプリンタでB6サイズの多部紙に印字を行った場合、最大で1mm以上の用紙間ずれが生ずることが確認された。
【0011】
本発明の目的は、サーマルヘッドを用いて多部紙に印字を行う場合に生じやすい用紙間ずれを防止することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のラインサーマルプリンタの発明は、回転駆動されるシリンダ形状のプラテンと、前記プラテンに対して用紙経路を介して当接し、前記プラテンの回転によって前記用紙経路を案内搬送される多部紙に対してライン方式の印字動作を実行するライン型のサーマルヘッドと、前記プラテンと前記サーマルヘッドとの間のニップ部よりも前記用紙経路の下流側近傍に位置させて、前記プラテンと前記サーマルヘッドとの間の前記ニップ部を通過する前記多部紙が規制なく搬送される仮想の進行経路に対してこの進行経路よりも前記サーマルヘッドの側から干渉し、前記多部紙の進行経路を前記プラテンの側に屈曲させる弾性部材からなる規制部材と、を備える。
【0013】
したがって、プラテンとサーマルヘッドとの間のニップ部を通過した多部紙は、弾性部材からなる規制部材によって弾力性を持った進行方向の規制を受け、規制部材の干渉によってその進行方向がプラテンの側に屈曲され、こうして屈曲された方向に進行する。このため、プラテンの側の感熱発色紙がサーマルヘッドの側の感熱発色紙よりも先に進みやすくなるような現象が回避され、多部紙における用紙間ずれが防止される。ここで、請求項1記載の発明においては、規制部材が位置付けられる「前記プラテンと前記サーマルヘッドとの間のニップ部よりも前記用紙経路の下流側近傍」における「近傍」というのは、規制部材による多部紙の進行方向の規制によってプラテンの側の感熱発色紙がサーマルヘッドの側の感熱発色紙よりも先に進みやすくなるような現象を回避し得る程度に近傍であることを意味する。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のラインサーマルプリンタにおいて、前記プラテン及び前記サーマルヘッドを収納保持し、前記プラテンと前記サーマルヘッドとの間のニップ部を通過した前記多部紙を排出する排紙口を有するハウジングを備え、前記規制部材は前記排紙口に設けられている。
【0015】
したがって、サーマルヘッドによる印字後の多部紙は、排紙口から排出されるに際してその進行方向が規制部材に規制され、プラテンの側に屈曲した方向に進行する。このような請求項2記載の発明は、サーマルヘッドによる印字後の多部紙がすぐに排紙口から排出されるような小型で薄型のラインサーマルプリンタに特に適し、このような小型で薄型のラインサーマルプリンタであっても、規制部材が排紙口に設けられていることから、印字後の多部紙の進行方向が確実に規制される。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のラインサーマルプリンタにおいて、前記規制部材は、シート状である。
【0017】
したがって、サーマルヘッドによる印字後の多部紙は、弾性部材によって弾力性を持った進行方向の規制を受ける。
【0020】
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載のラインサーマルプリンタにおいて、前記規制部材は、前記サーマルヘッドによる印字領域を外れた位置に配置されている。
【0021】
したがって、例えば請求項2記載の発明の排紙口から排出される印字後の多部紙の印字内容の視認性を規制部材が妨げるようなことがない。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図1ないし図3に基づいて説明する。
【0023】
図1は図示しないバッテリで駆動される携帯型の情報端末の平面図、図2は印字部を断面にして示すその側面図である。本実施の形態は、携帯型の情報端末1への適用例である。この情報端末1は、扁平筐体状のハウジング2の内部にラインサーマルプリンタ3を内蔵し(図2及び図3参照)、通常の一枚用紙に対する印字を行う他、例えば多部紙を用いた伝票の印字発行等を行う。
【0024】
図1に示すように、ハウジング2の上面には、電源スイッチ4、テンキー5、各種機能を持つキー6、タッチパネル7を上面に備える液晶ディスプレイ8等が配設されている。また、ハウジング2の上面両側には、操作者の把持位置に位置させて把持部9が配設されている。
【0025】
次いで、図1及び図2に示すように、ハウジング2の内部後方には、ラインサーマルプリンタ3が内蔵されている。つまり、ハウジング2の後部に位置する給紙口10からハウジング2の上面に位置する排紙口11に至る用紙経路12が設けられ、この用紙経路12中には印字部13が配置されている。用紙経路12は、印字部13の位置で大きく屈曲され、略U字形状となっている。印字部13は、回転自在に支持されて図示しないモータ等の駆動源に回転駆動されるシリンダ形状のプラテン14と、このプラテン14に用紙経路12を介して当接するライン型のサーマルヘッド15とを主要な構成要素としている。
【0026】
図3は、印字部13を拡大して示す縦断側面図である。サーマルヘッド15は、その底面の先端エッジ近傍に図示しない多数個の発熱素子が一列に列設された構造のものであり、発熱素子の部分が用紙経路12を介してプラテン14に押し付けられるようにプラテン14に向け付勢されて保持されている。サーマルヘッド15に付勢力を付与する構造としては、例えば、サーマルヘッド15の図示しない支軸に巻き付けられた図示しないコイルスプリングの捻り力を利用する構造、サーマルヘッド15の上面側に図示しない板バネの復元力を作用させる構造等が適用可能である。また、サーマルヘッド15としては、その底面の先端エッジ近傍に図示しない多数個の発熱素子が一列に列設された構造のものの他、先端面と底面とが交わるエッジ部分に多数個の発熱素子が列設されたいわゆるエッジ型サーマルヘッドやその多の構造のサーマルヘッドを用いることも可能である。
【0027】
本実施の形態のラインサーマルプリンタ3では、用紙経路12がプラテン14の部分で大きく屈曲する構造となっている。したがって、用紙経路12を案内される普通紙や多部紙は、プラテン14とサーマルヘッド15と間のニップ部16に至る上流側ではプラテン14に巻き付き、ニップ部16を通過した後は排紙口11の方向に向けて進行するように各部が構成されている。より詳細には、用紙経路12は、給紙口10から一直線上に配置されてプラテン14の下方に至り、この部分でプラテン14に当接するピンチローラ17とプラテン14との間を通りプラテン14に巻き付くように配置されてサーマルヘッド15とプラテン14との間のニップ部16に至り、このニップ部16からは直線状に排紙口11に至るように構成されている。
【0028】
ここで、ハウジング2は、それぞれ樹脂モールド一体成形品である下部ハウジング2aと上部ハウジング2bとから構成されている。給紙口10は下部ハウジング2aと上部ハウジング2bとの間に形成され、排紙口11は上部ハウジング2bに形成されている。そして、その排紙口11には、上部ハウジング2bと一体成形されたカッタ部18が設けられている。このカッタ部18は、排紙口11を形成する上部ハウジング2bの縁部に位置させて、プラテン14とサーマルヘッド15と間のニップ部16を通過した後の用紙経路12を基準としてサーマルヘッド15の側に配置されている。
【0029】
さらに、本実施の形態のラインサーマルプリンタ3には、排紙口11の両側方に位置させてシート状の弾性部材からなる規制部材19が設けられている。これらの規制部材19は、例えばPETフィルムを排紙口11の両側方に貼付したものである。貼付位置は、排紙口11におけるカッタ部18の形成側である。こうして設けられた規制部材19は、プラテン14とサーマルヘッド15との間のニップ部16よりも用紙経路12の下流側近傍に位置付けられることになり、プラテン14とサーマルヘッド15との間のニップ部16を通過する普通紙や多部紙が規制なく搬送される仮想の進行経路12vに対してこの仮想の進行経路12vよりもサーマルヘッド15の側から干渉し、普通紙や多部紙の実際の進行経路12aをプラテン14の側に屈曲させるように構成されている。ここで、仮想の進行経路12vは、図5に基づいて説明したように、普通紙や多部紙がサーマルヘッド15の発熱体の発熱による熱の影響でサーマルヘッド15の側にカールすることから、サーマルヘッド15の側に反った状態となっている。また、図1に示すように、規制部材19は、サーマルヘッド15による印字領域PAを外れた位置に配置されている。
【0030】
なお、本実施の形態の情報端末1は、ハウジング2の内部にバッテリ、制御基板、モータ等を内蔵しており(何れも図示せず)、バッテリからの電力供給によって制御基板に搭載されたマイクロコンピュータがその制御プログラムに従い各種処理を実行する。これにより、例えばモータによるプラテン14の回転駆動が実行されたり、タッチパネル7等からの情報入力が許容される。例えば、本実施の形態のラインサーマルプリンタ3では、用紙経路12中の給紙口10の近傍に位置させて給紙口10に挿入された普通紙や多部紙を検出する反射型センサ20が配置されており、この反射型センサ20は制御基板に搭載されたマイクロコンピュータに検出信号を送信出力する。そこで、マイクロコンピュータは、反射型センサ20が普通紙や多部紙を検出したことを示す信号を受信すると、モータを起動して用紙セットし得る程度の所定時間継続動作させる。これにより、プラテン14が回転駆動され、給紙口10に挿入された普通紙や多部紙が自動ローディングされてその先端部がニップ部16においてプラテン14とサーマルヘッド15との間に挟持されて保持される。この状態で、印字実行の指定が割り付けられたキー6が押されることで、再びモータが駆動されてプラテン14が回転駆動され、これと同期させてサーマルヘッド15が駆動制御され、例えば制御基板に搭載された図示しないメモリ内に保存された印字データに基づく印字動作が実行される。
【0031】
このような構成において、印字動作の実行中、普通紙や多部紙はプラテン14による搬送力を受けて用紙経路12を案内搬送される。その過程で、プラテン14とサーマルヘッド15との間のニップ部16を通過した普通紙や多部紙は、規制部材19の干渉によってその進行方向がプラテン14の側に屈曲され、こうして屈曲された方向に進行する。つまり、ニップ部16を通過した普通紙や多部紙に対しては、これらの普通紙や多部紙が規制なく搬送される仮想の進行経路12vに対してこの仮想の進行経路12vよりもサーマルヘッド15の側から規制部材19が干渉し、これにより、普通紙や多部紙は図3に示す実際の進行経路12aを進行することになる。このため、多部紙においては、プラテン14の側の感熱発色紙がサーマルヘッド15の側の感熱発色紙よりも先に進みやすくなるような現象が回避され、多部紙における用紙間ずれが防止される。以下、その理由を詳しく説明する。
【0032】
サーマルヘッド15を用いて印字を行った場合に多部紙に用紙間ずれが生ずる原因は、前述した通りである。つまり、サーマルヘッド15の図示しない発熱体の発熱による熱の影響や、プラテン14の側の感熱発色紙とサーマルヘッド15の側の感熱発色紙との間の僅かなずれの影響で、多部紙はサーマルヘッド15の側にカールし易くなってしまう。そこで、規制部材19の規制なく搬送された多部紙は、仮想の進行経路12vを進行することになる。すると、プラテン14の側の感熱発色紙自体がカールしてしまうためにその感熱発色紙に腰の強さが生じず、これにより、各感熱発色紙の先端部分が糊付け等によって固定されていたとしても、プラテン14の側の感熱発色紙が他の感熱発色紙に対して追従力を生じさせ得ない。このため、各感熱発色紙間にワックス層が設けられて各感熱発色紙が上述したF2<F1<F3という関係にある多部紙では、ワックス層の影響で各感熱発色紙間に滑りが生じ易くなっていることから、各感熱発色紙間に滑りが生じ、プラテン14の側の感熱発色紙が他の感熱発色紙よりも先に進行し易くなってしまう。このような作用が徐々に加算されることにより、用紙間ずれが発生してしまうものと推定される。なお、F1、F2、F3は、それぞれ、
F1:サーマルヘッドと感熱発色紙との間の抵抗
F2:各感熱発色紙間の抵抗
F3:プラテンと感熱発色紙との間の抵抗
である。
【0033】
これに対し、本実施の形態のラインサーマルプリンタ3では、規制部材19の規制作用によって、多部紙は図3に示す実際の進行経路12aを進行することになる。この実際の進行経路12aは、プラテン14の側に多部紙が僅かに屈曲するような経路である。このため、多部紙においては、プラテン14の側の感熱発色紙に対してサーマルヘッド15の側や中間に位置する感熱発色紙が覆い被さるようになり、これによって、プラテン14の側の感熱発色紙と先端部が糊付け等によって固定されている他の感熱発色紙がプラテン14の側の感熱発色紙に追従して進行する。このような作用の下、プラテン14の側の感熱発色紙がサーマルヘッド15の側や中間部に位置する感熱発色紙よりも先に進みやすくなる現象が生じなくなり、多部紙における用紙間ずれが防止される。
【0034】
このような現象は、用紙を2枚重ねて一方向にカールさせた上で一方の用紙をずらしてみると容易に理解することができる。この場合、ずらす方の用紙がプラテン14の側の感熱発色紙に相当することになる。まず、仮想の進行経路12vを多部紙が進行する状況に対応する状態して、ずらす方の用紙をカールの外側となるように2枚の用紙をカールさせる。この状態でずらす方の用紙をずらしてみると、2枚の用紙が容易にずれることを実感することができる。これに対し、実際の進行経路12aを多部紙が進行する状況に対応する状態として、ずらす方の用紙をカールの内側となるように2枚の用紙をカールさせる。この状態でずらす方の用紙をずらしてみると、2枚の用紙が容易にはずれないことを実感することができる。
【0035】
また、本実施の形態のラインサーマルプリンタ3では、規制部材19がサーマルヘッド15による印字領域PAを外れた位置に配置されていることから、排紙口11から排出される印字後の普通紙や多部紙の印字内容の視認性が規制部材19によって妨げられるようなことがない。もっとも、実施に当たっては、規制部材19は、必ずしもサーマルヘッド15による印字領域PAを外れた位置に配置されている必要はなく、例えば、排紙口11に沿って全体的に設けられていても良い。
【0036】
さらに、本実施の形態のラインサーマルプリンタ3では、規制部材19はPETフィルム等のシート状の弾性部材によって形成されている。このため、規制部材19に両端部が重なり合う連続紙からなる普通紙をカッタ部18でカットする動作に対し、規制部材19がその動作を妨げることがない。
【0037】
なお、本実施の形態では、規制部材19が排紙口11に配置されている例を示したが、規制部材19の配置位置はこの位置に限らず、プラテン14とサーマルヘッド15との間のニップ部16よりも用紙経路12の下流側近傍であれば良い。この場合の「近傍」というのは、規制部材19による多部紙の進行方向の規制によってプラテン14の側の感熱発色紙がサーマルヘッド15の側の感熱発色紙よりも先に進みやすくなるような現象を回避し得る程度に近傍であれば良い。
【0038】
本発明の参考例を図4に基づいて説明する。図4は、印字部13を拡大して示す縦断側面図である。なお、本発明の上記実施の形態と同一部分は同一符号で示し説明も省略する。
【0039】
本参考例では、ラインサーマルプリンタ3において、排紙口11に位置させて上部ハウジング2bに一体的にモールド成形したリブによって規制部材31が形成されている。この場合、リブによる規制部材31は、排紙口11に沿って一定間隔で複数個形成されている構成であっても、第1の実施の形態の規制部材19と同様にサーマルヘッド15による印字領域PAを外れた排紙口11の両側にのみ配置されている構成であっても、何れでも良い。そして、こうして設けられたリブによる規制部材31も、プラテン14とサーマルヘッド15との間のニップ部16よりも用紙経路12の下流側近傍に位置付けられることになり、プラテン14とサーマルヘッド15との間のニップ部16を通過する普通紙や多部紙が規制なく搬送される仮想の進行経路12vに対してこの仮想の進行経路12vよりもサーマルヘッド15の側から干渉し、普通紙や多部紙の実際の進行経路12aをプラテン14の側に屈曲させるように構成されている。
【0040】
このような構成において、サーマルヘッド15による印字後の多部紙は、リブによる規制部材19によって進行方向が規制される。この場合、リブによる規制部材19は、上部ハウジング19bに対して一体的にモールド成形されているので、その成形性が極めて容易である。
【0041】
また、リブによる規制部材31がサーマルヘッド15による印字領域PAを外れた位置にのみ形成されている場合には、本発明の上記実施の形態と同様に、排紙口11から排出される印字後の普通紙や多部紙の印字内容の視認性が規制部材19によって妨げられるようなことがない。
【0042】
【発明の効果】
請求項1記載のラインサーマルプリンタの発明は、回転駆動されるシリンダ形状のプラテンと、前記プラテンに対して用紙経路を介して当接し、前記プラテンの回転によって前記用紙経路を案内搬送される多部紙に対してライン方式の印字動作を実行するライン型のサーマルヘッドと、前記プラテンと前記サーマルヘッドとの間のニップ部よりも前記用紙経路の下流側近傍に位置させて、前記プラテンと前記サーマルヘッドとの間の前記ニップ部を通過する前記多部紙が規制なく搬送される仮想の進行経路に対してこの進行経路よりも前記サーマルヘッドの側から干渉し、前記多部紙の進行経路を前記プラテンの側に屈曲させる弾性部材からなる規制部材と、を備えるので、プラテンとサーマルヘッドとの間のニップ部を通過した多部紙の進行方向を規制部材との間の干渉によってプラテンの側に屈曲することができ、したがって、プラテンの側の感熱発色紙がサーマルヘッドの側の感熱発色紙よりも先に進みやすくなるような現象の発生を阻止して多部紙における用紙間ずれを防止することができる。
【0043】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のラインサーマルプリンタにおいて、前記プラテン及び前記サーマルヘッドを収納保持し、前記プラテンと前記サーマルヘッドとの間のニップ部を通過した前記多部紙を排出する排紙口を有するハウジングを備え、前記規制部材は前記排紙口に設けられているので、印字後の多部紙が排紙口から排出されるに際して多部紙の進行方向を規制部材によって規制することができ、したがって、サーマルヘッドによる印字後の多部紙がすぐに排紙口から排出されるような小型で薄型のラインサーマルプリンタに適用した場合であっても、印字後の多部紙の進行方向を確実に規制することができ、適用するラインサーマルプリンタの構造の自由度を高めることができる。
【0044】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のラインサーマルプリンタにおいて、前記規制部材は、シート状の弾性部材であるので、印字後の多部紙の進行方向をシート状の弾性部材によって弾力的に規制することができる。
【0046】
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載のラインサーマルプリンタにおいて、前記規制部材は、前記サーマルヘッドによる印字領域を外れた位置に配置されているので、例えば請求項2記載の発明の排紙口から排出される印字後の多部紙の印字内容の視認性が規制部材によって妨げられるようなことを防止することができ、したがって、請求項4記載の発明を適用するラインサーマルプリンタの使い勝手を良好な状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を示す携帯型の情報端末の平面図である。
【図2】 印字部を断面にして示すその側面図である。
【図3】 印字部を拡大して示す縦断側面図である。
【図4】 本発明の参考例として、印字部を拡大して示す縦断側面図である。
【図5】 ラインサーマルプリンタの従来の一例を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
2 ハウジング
11 排紙口
12 用紙経路
12a 進行経路
12v 仮想の進行経路
14 プラテン
15 サーマルヘッド
16 ニップ部
19 規制部材(シート状の弾性部材)
31 規制部材(リブ)
PA 印字領域
Claims (4)
- 回転駆動されるシリンダ形状のプラテンと、
前記プラテンに対して用紙経路を介して当接し、前記プラテンの回転によって前記用紙経路を案内搬送される多部紙に対してライン方式の印字動作を実行するライン型のサーマルヘッドと、
前記プラテンと前記サーマルヘッドとの間のニップ部よりも前記用紙経路の下流側近傍に位置させて、前記プラテンと前記サーマルヘッドとの間の前記ニップ部を通過する前記多部紙が規制なく搬送される仮想の進行経路に対してこの進行経路よりも前記サーマルヘッドの側から干渉し、前記多部紙の進行経路を前記プラテンの側に屈曲させる弾性部材からなる規制部材と、
を備えるラインサーマルプリンタ。 - 前記プラテン及び前記サーマルヘッドを収納保持し、前記プラテンと前記サーマルヘッドとの間の前記ニップ部を通過した前記多部紙を排出する排紙口を有するハウジングを備え、前記規制部材は前記排紙口に設けられている請求項1記載のラインサーマルプリンタ。
- 前記規制部材は、シート状である請求項1又は2記載のラインサーマルプリンタ。
- 前記規制部材は、前記サーマルヘッドによる印字領域を外れた位置に配置されている請求項1、2又は3記載のラインサーマルプリンタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20515799A JP3759341B2 (ja) | 1999-07-19 | 1999-07-19 | ラインサーマルプリンタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20515799A JP3759341B2 (ja) | 1999-07-19 | 1999-07-19 | ラインサーマルプリンタ |
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