JP3759078B2 - エアゾール缶の処理装置及び処理方法 - Google Patents

エアゾール缶の処理装置及び処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スプレー缶などのエアゾール缶を破砕し、破砕片及びエアゾール缶内容物を分別する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば化粧品や殺虫剤などに利用されるエアゾール缶には、目的成分とそれを溶かすための溶剤と噴射剤とが封入されている。代表的な噴射剤としてはLPガスやジメチルエーテルなどの可燃性ガスが使用されており、また、噴射剤に不燃性ガスを使用している場合でも溶剤として可燃性のものが使用されていることがある。したがって、エアゾール缶を廃棄処理する際には、この可燃性物質が爆発することを防止するために、空気を遮断した雰囲気中で破砕処理を行なうことが必要になる。
【0003】
そのための装置として、特願昭51−86628号公報にあるように、水封装置によって空気を遮断した系内でエアゾール缶を破砕し、破砕片と可燃性ガスとを分離する方法が提案されている。図3はかかる公報に記載されたエアゾール缶の処理装置の概要を示す模式的な構成図である。
図3に示すように、従来のエアゾール缶の処理装置は、破砕処理を行なう場となるチャンバ4を備えており、チャンバ4には、エアゾール缶を投入する投入口1と、エアゾール缶を破砕した破砕片を排出する破砕片排出口2と、チャンバ4内の気体を排出するガス排気口3とが形成され、チャンバ4内には、エアゾール缶を破砕する破砕機5が設置されている。投入口1及び破砕片排出口2は、いずれもチャンバ4の内外を連絡するように形成されているが、投入口1及び破砕片排出口2のそれぞれに形成された水槽6a,7a内の水によって水封されており、投入口1及び破砕片排出口2においてチャンバ4内の気密性が確保されている。また、ガス排気口3は配管8及び圧力制御弁9を介してガスホルダ10に連結しているが、外気とは直接連通していない。このためチャンバ4内は外気から遮断されて、内部に空気が浸入できないようになっている。
【0004】
投入口1には、エアゾール缶をチャンバ4内の破砕機5に供給するコンベア11が設置されていて、このコンベア11は途中水槽6a内の水中を潜るように配設され、いわゆる水封処理がなされている。また、破砕機5の下部には破砕機5で破砕され落下するエアゾール缶の破砕片を、破砕片排出口2からチャンバ4外へ排出するコンベア12が設置されていて、このコンベア12も途中水槽7a内の水中を潜るように配設され、いわゆる水封処理がなされている。
【0005】
破砕機5下部のコンベア12よりさらに下方にはエアゾール缶に内蔵されていたオイルを溜めるオイル槽13が形成されており、オイル槽13内には蒸気コイル14が設置されている。このオイル槽13内のオイルは蒸気コイル14で加熱された上で、ポンプ15により破砕機5の破砕部に供給され、再びオイル槽13に戻るという経路で循環するようになっている。
【0006】
さらに、破砕片排出口2側の水槽7a内の水は図示しないデカンタに循環するようになっており、破砕片に付着しているオイルはこのデカンタで分離されて除去される。また、コンベア12でチャンバー外に排出された破砕片は回収庫16で回収される。
このような構成によれば、投入口1から投入されたエアゾール缶は破砕機5によって破砕される。このとき、チャンバ4内の空気を窒素で置換しておくと、水封により空気を遮断された雰囲気内でエアゾール缶を破砕するため、爆発を防止することができる。さらに、オイル槽13内でオイルを加熱して破砕機5付近に循環させるため、破砕機5周辺を加熱することができ、これによりエアゾール缶に内蔵されていたガス成分の気化を促進することができ、それに加えて、破砕機5の過冷却による脆化を防ぐことができる。破砕されたエアゾール缶の破砕片は、コンベア12により破砕片排出口2から排出される。また、エアゾール缶に内蔵されていたガス成分はガス排気口3から配管を通ってガスホルダ10に送られ、ガスホルダ10に貯蔵されて、別途焼却処理される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の処理技術では、エアゾール缶の処理を必ずしも適正に行なうことができないという課題がある。
つまり、破砕後の破砕片は金属素材物質(金属片)と高分子素材物質(プラスチック片)とが混合した状態のままであり、別途分別して処理する必要が生じてしまう。
また、チャンバ4の機密性は十分に確保するが、例えば機器類の異常漏洩等により、上記チャンバ4内に万一空気が浸入することがあると、エアゾール缶に内蔵されていたガス成分の爆発を招く恐れがあるので、このような事態を回避できるようにしたい。
【0008】
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、エアゾール缶の破砕,分別等の処理を行なう場合に、処理室内への外気の浸入を確実に防止することや、破砕片を効率よく分別することができるようにして、エアゾール缶の処理を適正に行なうことができるようにした、エアゾール缶の処理装置及び処理方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため請求項1記載の本発明のエアゾール缶の処理装置は、内部のガスが外部に漏出しないように密閉された室と、水封装置を介して上記室の密閉状態を保つようにしながら上記室の外部から内部にエアゾール缶を供給する供給装置と、上記室内に設置され、上記供給装置により供給された上記エアゾール缶を破砕する破砕機と、上記破砕機により破砕された破砕片を、水封装置を介して上記室の密閉状態を保つようにしながら上記室の外部に排出する排出装置と、上記破砕機による破砕で上記エアゾール缶から吐出したガス成分を上記室の内部から外部に排出する排気装置とを備えたエアゾール缶の処理装置において、上記排出装置に、上記破砕片を、上記水封装置の液中に放出して比重に応じて分別する比重式分別装置が設置されている。これにより、水槽内の液体よりも比重が重い物質と軽い物質とを容易に分別することができる。
【0010】
また、請求項2記載の本発明のエアゾール缶破砕処理装置は、内部のガスが外部に漏出しないように密閉された室と、水封装置を介して上記室の密閉状態を保つようにしながら上記室の外部から内部にエアゾール缶を供給する供給装置と、上記室内に設置され、上記供給装置により供給された上記エアゾール缶を破砕する破砕機と、上記破砕機により破砕された破砕片を、水封装置を介して上記室の密閉状態を保つようにしながら上記室の外部に排出する排出装置と、上記破砕機による破砕で上記エアゾール缶から吐出したガス成分を上記室の内部から外部に排出する排気装置とを備えたエアゾール缶の処理装置において、上記排気装置に、上記室内の圧力を常に上記室外の圧力よりも高く保つ圧力制御機構が設置されている。このため、万一機器類に異常漏洩等が発生しても、室内への空気の混入を防止することができ、ガス成分の爆発を招く恐れを回避することができる。
【0011】
また、請求項3記載の本発明のエアゾール缶の処理装置は、内部のガスが外部に漏出しないように密閉された室と、水封装置を介して上記室の密閉状態を保つようにしながら上記室の外部から内部にエアゾール缶を供給する供給装置と、上記室内に設置され、上記供給装置により供給された上記エアゾール缶を破砕する破砕機と、上記破砕機により破砕された破砕片を、水封装置を介して上記室の密閉状態を保つようにしながら上記室の外部に排出する排出装置と、上記破砕機による破砕で上記エアゾール缶から吐出したガス成分を上記室の内部から外部に排出する排気装置とを備えたエアゾール缶の処理装置において、上記排出装置に、上記破砕片を、上記水封装置の液中に放出して比重に応じて分別する比重式分別装置が設置されているとともに、上記排気装置に、上記室内の圧力を常に上記室外の圧力よりも高く保つ圧力制御機構が設置されている。このため、水槽内の液体よりも比重が重い物質と軽い物質とを容易に分別することができ、且つ、万一機器類に異常漏洩等が発生して上記室内に空気が浸入しても、ガス成分の爆発を招く恐れを回避することができる。
【0012】
上記比重別分別装置を、上記破砕片を上記水封装置の上記室の外側に放出するように構成することで、確実に水槽内の液体よりも比重が軽い物質を上記室の外側に排出することができる(請求項4)。
また、上記比重式分別装置に、上記破砕片を上記水封装置の上記室内側の液中に導入し、上記破砕片のうちの上記液中で浮上する小比重片を上記室外側の液面上に浮上しうる位置まで案内して放出する破砕片案内部を設けることができる(請求項4)。
【0013】
また、上記排出装置側の水槽の該室外側部分に、上記水槽の液面近傍の液を上記水槽外に排出する排水案内構造を形成し、上記排出装置側の水槽に液を供給する給水装置を設置することで、破砕片のうち上記水槽内の液中で浮上する小比重片を上記液とともに水槽から流出させて、容易に取り出すことができる(請求項4)。なお、このときの給水装置は一定範囲内で断続的に給水を行ってもよいが、連続的に給水することでより安定的にエアゾール缶の処理をすることができる。
【0014】
また、上記排出装置側の水封装置に、上記破砕片案内部から上記排水案内構造へ流れる水流を形成する水流形成装置を設置することで、上記破砕片案内部から放出される小比重片を上記排水案内構造へ確実に移送することができる(請求項4)。
また、破砕片のうち、該水封装置の液中で沈下する大比重片を、該水槽の該室外部に移送する移送装置を設けることで、水槽内の大比重片を容易に取り出すことができる(請求項4)。
【0015】
また、上記圧力制御機構を、上記排気装置に設けられた圧力制御弁を備えて構成することで、上記室内の圧力を制御することができる(請求項5)。
また、上記圧力制御機構が、上記室の内部に不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置を備えることで、上記室内の圧力が上記室外の圧力よりも低圧にならないように不活性ガスを供給し、上記室内の圧力制御をより確実に行なうことができ、さらに、上記室内から上記排気装置に向かう気体の流れを作ることで、速やかに上記ガス成分を排気装置に送ることができる(請求項5)。
【0016】
また、上記室に容積部を接続することで、上記ガス成分が上記エアゾール缶から吐出されること等による急激な圧力変動を緩和することができる(請求項5)。
また、このとき上記ガス成分を加熱する加熱装置を設置することで、上記ガス成分の気化を促進することができる(請求項5)。
【0017】
また、エアゾール缶の供給量を制御する供給量制御装置を備えることで、一定時間あたりに上記室内に放出される上記ガス成分の量を安定させ、上記室内の圧力を安定させることができる(請求項5)。
また、上記破砕片を磁力により分別する磁力式分別装置を設けることで、磁性の有る破砕片と無い破砕片とを分別することができる(請求項6)。
【0018】
また、上述の装置の上記室内の上記破砕機の下流に、上記破砕片に付着している液体を上記破砕片から分離させる液体分離装置を設置することができる(請求項7)。
さらに、上記エアゾール缶の処理装置を用いてエアゾール缶の処理を行なう際、あらかじめエアゾール缶の表面を覆うフィルムを取り除いておくことで、上記破砕機の目詰まりを防止することができる(請求項8)。
【0019】
なお、ここにおいて表記を水封装置、水槽、排水案内構造、給水装置、水流と表記し、室を密閉する液体が水であるように記載してあるものの、これは装置名称として一般的な名称を用いただけのものであり、室を密閉する液体は水に限定されるものではない。
さらに、上記記載のガス成分は、上記エアゾール缶が破砕されて直ちに気化してガスとなるものだけでなく、加熱装置や温水により気化してガスとなるものも含む。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明の第1実施形態としてのエアゾール缶の処理装置を、図1の模式的な構成図を参照して説明する。なお、図1において、図3の従来例と実質同一部位は従来例と同一符号を付けて説明する。
【0021】
図1に示すように、このエアゾール缶の処理装置は、図3の従来例と同様に、エアゾール缶を投入する投入口1と、エアゾール缶を破砕した破砕片を排出する破砕片排出口2と、チャンバ内のガスを排出するガス排気口3とを形成されたチャンバ4内に、エアゾール缶を破砕する破砕機5が設置されている。投入口1及び破砕片排出口2には、それぞれ水封装置6,7を構成する水槽6a,7aが備えられており、投入口1及び破砕片排出口2は水槽6a,7a内の水によってそれぞれ水封されている。また、ガス排気口3は配管8及びバッファタンク17並びにファン18を介して焼却炉19に連結しており、このためチャンバ4内は外気から遮断されて、内部に空気が浸入できなくなっている。
【0022】
なお、水封装置6,7は、水槽6a,7aと水槽6a,7a上面のみをチャンバ4の内外に区画する部分隔壁6b,7bとから構成され、チャンバ4の内部と外部との間の物の移動は、水槽6a,7a内の水中を経由してのみ行なわれるようになっている。これにより、チャンバ4内の気体は外気と確実にシールされるようになっている。
【0023】
投入口1からチャンバ4内にかけて、エアゾール缶を破砕機5に供給する、供給装置としてのコンベア11が設置されていて、このコンベア11は途中水槽6内の水中を潜るように構成されている。
本発明の場合、このコンベア11にはエアゾール缶の供給量制御装置としてのインバータ41が設置されていて、このインバータ41がコンベア11の駆動速度を制御することで、エアゾール缶の供給量が制御されている。
【0024】
また、破砕機5の下部には、破砕機5で破砕されたエアゾール缶の破砕片を運搬し、かつ破砕片に付着した液体を振り落とすように振動する、液体分離装置としての振動コンベア20が設置されていて、振動コンベア20の運搬方向下流側の端部には、出口部21bを水槽7aの水中に形成された破砕片案内部としてのパイプ21の入口部21aが設置されている。
【0025】
これにより、コンベア20により搬送された破砕片は、パイプ21の入口部21aに落下または移載され、パイプ21内を下流側(出口部21bの側)へと自重で押し出されて、水槽7a内の水中に放出されるようになっている。放出された破砕片のうち、水よりも比重の小さいもの(小比重片)は、水槽7a内で浮上し、水よりも比重の大きいもの(大比重片)は、水槽7a内に沈下するようになっている。なお、パイプ21の入口部21aは、破砕物を確実に受けるように上端を漏斗状に拡径されている。また、パイプ21の出口21bは、小比重片が隔壁7bよりも外気側の水面に浮上するように、隔壁7bよりもチャンバ4外方まで延びるように設置されている。
【0026】
なお、ここで、小比重片とは具体的にはプラスチック類であり、大比重片とは具体的には金属類である。
水槽7a内には、水槽7aの底部から回収庫16にかけて、移送装置としてのコンベア22が設置されていて、このコンベア22は途中設置された磁力式分別装置としての磁石23の磁界を通るように構成されている。また、水槽7aの隔壁7bよりも外気側の水面付近には、排水案内構造としての排水溝24が形成されている。水槽7aの水面の水は常にこの排水溝24を通って水槽7aから排水されるようになっており、この排水される水とともにプラスチック片も回収籠25に収容されるようにされている。さらに、回収籠25でプラスチック片を濾した後の水は、配管38及びポンプ39を経て、パイプ21の水面付近に形成された給水口40から放出され、パイプ21の出口21bから破砕片とともに水槽7a内に放出される。これにより、水槽7a内の水の量は一定に保たれている。また、給水口40から供給される水がパイプ21の出口21bから排水溝24にかけて水流を形成するようになされており、この水流によりプラスチック片は確実に排水溝24に案内される。つまり、配管38及びポンプ39並びに給水口40は、給水装置27としての機能を持ち、且つ、水流形成装置44としての機能も持っている。
【0027】
したがって、従来例と同様に、投入口1から供給されたエアゾール缶は投入口1→コンベア11→破砕機5の順で破砕機5に供給され、破砕されるが、この後は、上述の本装置特有の構成として、破砕された破砕片は振動コンベア20→パイプ21→水槽7aの順で水槽7aのチャンバ4の外側の水中に放出されるようになっているのである。このとき、水に沈むものはコンベア22により水槽7a→磁石23の磁界→回収庫16の順でチャンバ4外に排出されるが、水に浮くものは排水溝24から水とともに排出され、回収籠25に収容されるようになっている。したがって、振動コンベア20,パイプ21,コンベア22,磁石23が排出装置33を構成することなり、また、パイプ21及び水槽7aが比重式分別装置34を構成することとなる。
【0028】
また、ガス排気口3から排気されたガス成分は、途中に容積部としてのバッファタンク17と圧力制御弁42とファン18とが設置された、排装置としての配管8を通って焼却炉19に送られ、焼却炉19で焼却処理されるようになっている。なお、ファン18は、チャンバ4内のガスを燃焼炉19側に案内する機能を持っている。
【0029】
また、チャンバ4外には、不活性ガスとしての窒素を充填された、窒素タンク28が設置されており、これらの窒素タンク28,配管29,制御弁30からチャンバ4内の不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置35が構成されている。チャンバ4内の圧力は、圧力制御弁42及び不活性ガス供給装置35で構成される圧力制御機構43によって常に外気圧よりも高圧に保たれている。その仕組みは、チャンバ4内の圧力が上限圧力程度まで上昇した場合には、圧力制御弁42を開放するとともに不活性ガス供給装置35からなされる窒素ガスの供給を停止してチャンバ4内の圧力を下げ、逆にチャンバ4内の圧力が下限圧力程度まで低下した場合には、圧力制御弁42を閉塞するとともに不活性ガス供給装置35から窒素ガスを供給してチャンバ4内の圧力を高めている。この操作により、チャンバ4内の圧力は常に該気圧よりも、所定の圧力差(例えば100mm水柱程度)高圧に保たれている。
【0030】
さらに、従来例と同様、振動コンベア20下部にはタンク26から水を供給される温水槽31が形成されており、温水槽31内には加熱装置としての蒸気コイル14が設置されている。この温水槽31内の水は蒸気コイル14で加熱され、ポンプ15及び配管36からなる循環装置37により破砕機5の破砕部に供給され、再び温水槽31に戻るように循環する。また、この温水層31内の温水は、循環装置37から一部が抜き出される。
【0031】
本発明の第1実施形態としてのエアゾール缶の処理装置は上述のように構成されているので、以下のような手順(本実施形態にかかる処理方法)でエアゾール缶で処理される。まず、エアゾール処理前には、あらかじめチャンバ4内の雰囲気を窒素タンク28を用いて窒素に置換しておく。これにより、チャンバ4内は酸素が全く無い状態となり、エアゾール缶の破砕により可燃性ガスが発生しても、爆発をすることはない。
【0032】
そして、投入口1からの投入にあたって、エアゾール缶の外表面を覆うフィルム類を予め除去する。この後はエアゾール缶を投入口1から投入する。
投入口1から投入されたエアゾール缶はコンベア11によって破砕機5に供給され、破砕機5で破砕される。このとき、エアゾール缶の容器は破砕片となって振動コンベア20に落ち、噴出剤及び溶剤はガスとなってチャンバ4内に吐出される。また、溶剤の一部は噴出剤の気化により熱を奪われて、ただちに気化せず液体のまま破砕片とともに振動コンベア20に落ちる。
【0033】
まず、この後の破砕片の処理について説明する。振動コンベア20に落ちた破砕片は、振動コンベア20の振動により、付着している溶剤を除かれる。溶剤は振動コンベア20の下方の温水槽31に落ち、そこで加熱されて気化し、噴射剤とともにガスとして処理される。溶剤に溶けていた目的成分などの気化しないエアゾール缶内容物は、温水槽内の温水が循環装置37によって循環される際、温水の一部とともに循環装置37から抜き出され、回収される。溶剤を除いた破砕片は、パイプ21を通って水槽7aのチャンバ4より外側の水中に放出される。
【0034】
このとき、仮に破砕片が水より軽いものであっても、パイプ21内で破砕片が積み重なることで、その重みによって水中に放出されことになる。放出された破砕片のうち、プラスチックなどの水よりも密度の低い物質は水面上に浮き、排水溝24から流出する水と共に水槽7aの外に流れ出て、金属等の水よりも密度の高い物質と分別されて回収籠25に回収される。この際、水流形成装置44が、水槽7aの隔壁7bよりもチャンバ4側から排水溝24に流れる水流を作るので、この水流によりプラスチック片は確実に排水溝24から水槽7a外に移送されることになる。
【0035】
一方、水よりも密度の高い物質は、水槽7aの底部に沈み、コンベア22上に落下し、このコンベア22によって水槽7aの外に排出され、回収庫16まで運搬される。水槽7aから回収庫16に運搬される途中、磁石23の磁界を通過する際、鉄等の磁性を持つ物質は磁石23に引き付けられ、磁性を持たない物質とは分別されて回収される。したがって、回収庫16にはアルミニウムなどの磁性を持たず、水よりも密度の高い物質だけが回収されることとなる。
【0036】
続いて、チャンバ4内に放出された溶剤及び噴射剤のガス成分の処理について説明する。エアゾール缶の破砕処理は、ファン18によりチャンバ4内の気体を吸引し、さらに、圧力制御弁42及び不活性ガス供給装置35によって、チャンバ4内の圧力を外気よりも高圧かつ一定圧力にして行なう。
このように、破砕処理によってチャンバ4内に放出されるガス成分はファン18によって吸引されているために、配管8を通って確実に焼却炉19に送られる。
【0037】
また、万一機器類の異常漏洩等によってチャンバ4の内外が連通しても、チャンバ4内が外気よりも高圧に保たれているため、チャンバ4内に空気が混入することはなく、チャンバ4内のガス成分の爆発を招く恐れを回避することができる。
さらに、供給される窒素が常に焼却炉19に向かう流れを作り出すため、破砕によって放出されるガス成分は逆流することなく、効率よく焼却炉19に送られる。
【0038】
また、エアゾール缶を破砕する際、急激な気体の発生によってチャンバ4内の圧力は高まるが、バッファタンク17によってチャンバ4内の容積を大きくしているため、圧力が大きく上がりすぎることはない。したがって、水槽6a,7aの水があふれて、チャンバ4内のガス成分が外部に漏出したり、外部の空気がチャンバ4内に浸入したりすることが確実に防止されるのである。このように、チャンバ4内の圧力を常にほぼ一定にすることができるため、安全に破砕処理を行なうことができる。
【0039】
また、温水槽31の水が破砕機5の破砕部に供給されているために、破砕機5が噴射剤の蒸発により冷やされて脆化することが防止されている。
ところで、エアゾール缶には一般に、包装用のフィルムが巻かれていることが多いが、上述のようにこのフィルムは投入口に投入する前に取り除いておくので、破砕機5が目詰まりを起こして、破砕が妨げられることを防止することができる。
【0040】
さらに、エアゾール缶から放出されるガス成分の量はエアゾール缶の大きさや重量ごとに異なるが、インバータ41によってこのガス成分の量を制御しながら、エアゾール缶の供給を行なうため、チャンバ4内の圧力が予想外に変動することを防止することができる。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態としてのエアゾール缶の処理装置を、図2の模式的な構成図を参照して説明する。なお、図2において、図3の従来例及び図1の本発明の第1実施形態と実質同一部位は、図1,3と同一符号を付けて説明する。
本実施形態としてのエアゾール缶の処理装置は、ガスの処理装置として、焼却炉19の代わりに回収装置32を設置し、その他の箇所は本発明の第1実施形態としてのエアゾール缶の処理装置と同一である。
本発明の第2実施形態としてのエアゾール缶の処理装置は上述のように構成されているので、回収装置32により溶剤や噴射剤を回収して、再利用することができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、パイプの出口を隔壁よりもチャンバ内方として、小比重片を水流によって隔壁よりも外気側に移送するように構成してもよい。
【0043】
また、上記実施形態では圧力制御弁42の開閉と不活性ガス供給装置35による窒素ガスの供給の有無とによりチャンバ4内の圧力調整を行なっていたが、この圧力調整を不活性ガスの供給量調整を用いて、あるいはこの調整のみで行ってもよく、さらに、圧力制御弁の開度調整によって行ってもよい。
また、チャンバ内に供給するガスは窒素のほか、ヘリウムやネオンなど、燃焼したり溶剤や噴射剤と反応したりしない気体を使用することができる。
【0044】
また、水封装置に用いる液体は、水のほか、塩水やエタノールなど比重に応じて他の様様な液体を使用することができる。
また、チャンバ内を循環させる液体は水のほか、オイル等他の液体でもよい。
【0045】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1,3記載の本発明のエアゾール缶の処理装置によれば、エアゾール缶を破砕し、分別処理を行なう場合に、破砕片を効率よく分別することができる。
また、請求項2,3記載の本発明のエアゾール缶の処理装置によれば、エアゾール缶を空気を遮断された室内で破砕処理する場合に、破砕を行なう室の圧力を一定に保ち、破砕により吐出するガス成分を確実に処理もしくは回収することができる。
【0046】
また、請求項8記載の本発明のエアゾール缶の処理方法によれば、フィルムが破砕機に噛み込むことで破砕機に目詰まりが生じることを防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としてのエアゾール缶破砕処理装置の概要を示す模式的な構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態としてのエアゾール缶破砕処理装置の概要を示す模式的な構成図である。
【図3】従来例としてのエアゾール缶破砕処理装置の概要を示す模式的な構成図である。
【符号の説明】
1 投入口
2 破砕片排出口
3 ガス排気口
4 チャンバ
5 破砕機
6,7水封装置
6a,7a 水槽
6b,7b 部分区画
8,29,36 配管
9 圧力制御弁
10 ガスホルダ
11,12 コンベア
13 オイル槽
14 蒸気コイル
15 ポンプ
16 回収庫
17 バッファタンク
18 ファン
19 焼却炉
20 振動コンベア
21 パイプ
21a パイプの入口
21b パイプの出口
22 コンベア(移送装置)
23 磁石
24 排水溝
25 回収籠
26 タンク
27 給水装置
28 窒素タンク
30 制御弁
31 温水槽
32 回収装置
33 排出装置
34 比重式分別装置
35 不活性ガス供給装置
37 循環装置
38 配管
39 ポンプ
40 給水口
41 インバータ
42 圧力制御弁
43 圧力制御機構
44 水流形成装置

Claims (8)

  1. 内部のガスが外部に漏出しないように密閉された室と、
    水封装置を介して該室の密閉状態を保つようにしながら該室の外部から内部にエアゾール缶を供給する供給装置と、
    該室内に設置され、該供給装置により供給された該エアゾール缶を破砕する破砕機と、
    該破砕機により破砕された破砕片を、水封装置を介して該室の密閉状態を保つようにしながら該室の外部に排出する排出装置と、
    該破砕機による破砕で該エアゾール缶から吐出したガス成分を該室の内部から外部に排出する排気装置とを備えたエアゾール缶の処理装置において、
    該排出装置に、該破砕片を該水封装置の液中に放出して、比重に応じて分別する比重式分別装置が設置されている
    ことを特徴とする、エアゾール缶の処理装置。
  2. 内部のガスが外部に漏出しないように密閉された室と、
    水封装置を介して該室の密閉状態を保つようにしながら該室の外部から内部にエアゾール缶を供給する供給装置と、
    該室内に設置され、該供給装置により供給された該エアゾール缶を破砕する破砕機と、
    該破砕機により破砕された破砕片を、水封装置を介して該室の密閉状態を保つようにしながら該室の外部に排出する排出装置と、
    該破砕機による破砕で該エアゾール缶から吐出したガス成分を該室の内部から外部に排出する排気装置とを備えたエアゾール缶の処理装置において、
    該室内の圧力を常に該室外の圧力よりも高く保つ圧力制御機構が設けられている
    ことを特徴とする、エアゾール缶の処理装置。
  3. 内部のガスが外部に漏出しないように密閉された室と、
    水封装置を介して該室の密閉状態を保つようにしながら該室の外部から内部にエアゾール缶を供給する供給装置と、
    該室内に設置され、該供給装置により供給された該エアゾール缶を破砕する破砕機と、
    該破砕機により破砕された破砕片を、水封装置を介して該室の密閉状態を保つようにしながら該室の外部に排出する排出装置と、
    該破砕機による破砕で該エアゾール缶から吐出したガス成分を該室の内部から外部に排出する排気装置とを備えたエアゾール缶の処理装置において、
    該排出装置に、該破砕片を該水封装置の液中に放出して、比重に応じて分別する比重式分別装置が設けられるとともに、
    該室内の圧力を常に該室外の圧力よりも高く保つ圧力制御機構が設けられている
    ことを特徴とする、エアゾール缶の処理装置。
  4. 該比重式分別装置が、該破砕片を該水封装置の液中に導入し、該破砕片のうち該液中で浮上する小比重片を該室外側の液面上に浮上しうる位置まで案内して放出する破砕片案内部を有し、
    該排出装置側の水封装置の水槽の該室外側部分に、液面近傍の液を該水槽外に排出する排水案内構造が形成されるとともに、該排出装置側の水封装置に液を供給する給水装置が設置され、
    該排出装置側の水封装置に、該破砕片案内部から該排水案内構造へ流れる水流を形成する水流形成装置が設置され、
    破砕片のうち、該水封装置の液中で沈下する大比重片を、該水槽の該室外部に移送する移送装置が設けられている
    ことを特徴とする、請求項1又は3に記載のエアゾール缶の処理装置。
  5. 該圧力制御機構が、
    該排気装置に設けられた圧力制御弁と、
    該室の内部に不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置と
    を備えて構成され、
    該室に、容積部が接続され、
    該室内に、該ガス成分を加熱する加熱装置が設けられ、
    エアゾール缶の供給量を制御する供給量制御装置を備えている
    ことを特徴とする、請求項2又は3に記載のエアゾール缶の処理装置。
  6. 該排出装置に、該破砕片を磁力により分別する磁力式分別装置が設けられている
    ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエアゾール缶の処理装置。
  7. 該室内の該破砕機の下流に、該破砕片に付着している液体を該破砕片から分離させる液体分離装置が設けられている
    ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエアゾール缶の処理装置。
  8. 該エアゾール缶の表面を覆うフィルムをあらかじめ取り除いてから、請求項1〜7のいずれか1項に記載のエアゾール缶の処理装置を使用して該エアゾール缶を破砕処理する
    ことを特徴とする、エアゾール缶の処理方法。
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