JP3757495B2 - レンズ鏡筒及びカメラ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学系を保持し光軸方向に移動する移動枠によりフォーカシングやズーミングを行うレンズ鏡筒及びカメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のレンズ鏡筒は、固定筒と、この固定筒の外周部に回転自在に取り付けられ、合焦のために操作される合焦操作環と、合焦レンズ群が取り付けられ、固定筒の内周部を光軸方向に摺動可能な合焦レンズ群移動枠と、合焦操作環の回転により、合焦レンズ群移動枠を光軸方向に移動させるカム機構部と、合焦レンズ群移動枠の先端部に設けられ、例えば、フィルタなどの付属品を取り付けるための付属品取付ねじ部などを備えていた。このような構造のレンズ鏡筒は、合焦レンズ群移動枠を固定筒の内周部において移動可能とするために、光軸方向に長くする必要があった。このために、光軸方向の長さが短く、コンパクトなレンズ鏡筒が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図3は、合焦操作により全長が変化するレンズ鏡筒を比較例として示す断面図である。図4は、図3のレンズ鏡筒の移動枠を繰り出した状態を示す断面図である。
図3及び図4に示すように、このレンズ鏡筒は、直進溝1cが形成された内側固定筒1aと外側固定筒1bとからなる固定筒1と、内側固定筒1aの内周部に摺動自在に設けられ、光軸方向に移動自在である合焦レンズ群移動枠40と、合焦レンズ群移動枠40の内周部に取り付けられた合焦レンズ群10,11と、内側固定筒1aの外周部に回転自在に設けられ、カム溝3aが形成されたカム筒3と、このカム筒3の外周部に回転自在に支持された合焦操作環2などから構成されている。合焦レンズ群移動枠4の外周部には、ピン40aが取り付けられており、このピン40aは、直進溝1c及びカム溝3a内を移動可能なように嵌め込まれている。
【0004】
合焦操作環2は、取付ねじ7によりカム筒3に取り付けられているために、合焦操作環2を撮影者が回転すると、カム筒3は、合焦操作環2と一体となって回転する。カム筒3が回転すると、カム筒3のカム溝3aがピン40aを押し出し、このピン40aは、直進溝1cにより案内される。付属品取付ねじ部41aが形成された合焦レンズ群移動枠40の先端部は、レンズ鏡筒の先端部を構成しており、図4に示すように、この先端部は、合焦操作により光軸方向に突出し、レンズ鏡筒の全長が変化する。図3及び図4に示すような構造のレンズ鏡筒を設計した場合には、合焦操作により全長が変化するために、近接(接写)撮影のときには、被写体との距離が短くなってしまう。このために、合焦レンズ群移動枠40の先端部が被写体と接触し、操作性が悪くなる可能性がある。
【0005】
図5は、合焦操作により全長が変化しないレンズ鏡筒を比較例として示す断面図である。
図5に示すように、このレンズ鏡筒の合焦レンズ群移動枠4は、図3及び図4に示すレンズ鏡筒の合焦レンズ群移動枠40よりも光軸方向の長さが短く、合焦レンズ群移動枠4が繰り出されても、図中一点鎖線にて示した位置より先に突出しない。このために、合焦レンズ群移動枠4の先端部には、図3及び図4に示すような付属品取付ねじ部41aが形成されておらず、内側固定筒1aの先端に取り付けられた付属品取付環6に付属品取付ねじ部6aが形成されている。
【0006】
図5に示すような構造のレンズ鏡筒を設計した場合には、合焦操作により全長が変化しないために、合焦レンズ群移動枠4の先端部は、被写体と接触することがなく、操作性を向上させることができる。
しかし、図5に示すように、合焦レンズ群移動枠4が図中左方向に後退したときには、この合焦レンズ群移動枠4を移動するためのカム機構部の直進溝1c及びカム溝3aの一部が内側固定筒1aの内周部側に露出してしまう。このために、露出した直進溝1c及びカム溝3aにゴミなどの異物が侵入したり、合焦レンズ群10,11の光路外からの光が、この直進溝1c及びカム溝3aを介して侵入する可能性がある。また、直進溝1c及びカム溝3aの一部が露出するために、レンズ鏡筒の美観が損なわれてしまう。
【0007】
特開平2−44306号公報には、漏光を防止する構造のズームレンズ鏡筒が開示されている。このズームレンズ鏡筒は、内側固定筒及び外側固定筒からなる固定筒と、この内側固定筒の外周部に回転自在に設けられたカム筒と、このカム筒の外周部に回転自在に設けられた遮光筒と、内側固定筒,カム筒及び遮光筒の外側に設けられ、第1レンズ群を保持して光軸方向に移動する第1レンズ群移動枠と、内側固定筒,カム筒及び遮光筒の内側に設けられ、第2レンズ群を保持する第2レンズ群移動枠などを備えている。このズームレンズ鏡筒の先端部から第1レンズ群移動枠がズーミング動作時に突出すると、内側固定筒及びカム筒のカム溝を介して、第1レンズ群移動枠と外側固定筒との間から光が侵入する。遮光筒は、この侵入した光による漏光を防止している。
しかし、特開平2−44306号公報に記載されたズームレンズ鏡筒は、内側固定筒及びカム筒の全周を覆うように遮光筒を設けているために、ズームレンズ鏡筒の半径方向の長さが大きくなってしまうという問題があった。
【0008】
本発明の課題は、レンズ鏡筒の全長を変化させず、光路外の光やゴミなどが侵入したり、レンズ鏡筒の美観を損なうことのないコンパクトなレンズ鏡筒及びカメラを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、被写体側からの光束が入射する光学系を保持し、光軸方向に移動する移動枠と、前記移動枠を内側で移動自在に支持する固定筒と、前記移動枠を移動させるカム機構部と、前記カム機構に設けられ、前記移動枠の移動に伴って前記光束の入射方向に向かって露出する溝部と、前記固定筒と前記移動枠との間に配置され、前記移動枠の移動に伴って移動して前記被写体側からの光束の一部が前記溝部へ侵入することを防止する露出防止移動筒と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載のレンズ鏡筒において、前記カム機構部は、前記固定筒に設けられ、前記移動枠の移動を案内する案内用溝部と、前記固定筒に回転自在に設けられ、前記移動枠に駆動力を付与する駆動用カム溝部とを含み、前記案内用溝部及び前記駆動用カム溝部には、前記移動枠に設けられた移動部材が移動自在に係合し、前記露出防止移動筒は、被写体側の先端位置から像側に前記移動枠が後退したときに露出する前記案内用溝部及び/又は前記駆動用カム溝部を隠すように移動すること、を特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2に記載のレンズ鏡筒において、前記案内用溝部及び駆動用カム溝部は、鏡筒先端部から突出しない範囲内で前記移動枠を移動すること、を特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、前記カム機構部は、前記露出防止移動筒の移動を制御するカム部を含むこと、を特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、前記露出防止移動筒は、前記カム機構部に入射する光線を遮断する光遮断部を備えること、を特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、前記露出防止移動筒は、前記移動枠が移動するときに、この移動枠と前記固定筒との間に挟まれて、この移動枠が光軸に対して傾斜するのを防止する傾斜防止部を備えること、を特徴とするレンズ鏡筒である。
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、前記光学系は、前記被写体に最も近い光学系であること、を特徴とする。
請求項8の発明は、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、前記溝部は、前記光軸方向に延在しており、前記露出防止移動筒は、前記移動枠よりも前記被写体側の前記溝部の露出を防止すること、を特徴とする。
請求項9の発明は、カメラボディと該カメラボディに係合した請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載したレンズ鏡筒を備えたことを特徴とするカメラである。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態についてさらに詳しく説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るレンズ鏡筒の断面図である。図2は、本発明の実施形態に係るレンズ鏡筒を繰り出した状態を示す断面図である。なお、以下の説明において、図3から図5に示すレンズ鏡筒と同一の部材は、同一の番号をして説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態に係るレンズ鏡筒は、後述する固定筒1と、合焦操作環2と、カム筒3と、合焦レンズ群移動枠4と、露出防止移動筒5と、付属品取付環6と、合焦レンズ群10,11と、固定レンズ群12などを備えている。
【0016】
固定筒1は、内側固定筒1aと外側固定筒1bとからなる筒である。内側固定筒1aには、この内側固定筒1aを貫通し光軸と平行に直線溝1cが形成されている。内側固定筒1aの内周部には、図中右方向(以下、像側という)の端部に固定レンズ群12を保持するレンズ取付部材12aが取り付けられている。内側固定筒1aの外周部には、後述する付属品取付環6が図中左方向(以下、被写体側という)の端部に取り付けられており、図示しないカメラボディと着脱自在に係合するマウント部1dが像側の端部に形成されている。内側固定筒1aの内周部には、露出防止移動筒5と、合焦レンズ群移動枠4とが光軸方向に移動自在に嵌め込まれている。内側固定筒1aの外周部には、カム筒3と、合焦操作環2の支持部2aとが回転自在に支持されている。内側固定筒1aと外側固定筒1bとは、図示しない取付部材により連結されている。
【0017】
合焦操作環2は、図示しない結像面に被写体の像を結ぶ焦点調整をするときに操作し、回転により操作力を与える部材である。合焦操作環2の内周部には、内側固定筒1aの外周部と摺動自在に接触する支持部2aが形成されている。合焦操作環2の外周部には、外側固定筒1aの先端部と回転自在に係合する係合部2bが形成されている。合焦操作環2は、取付ねじ7によりカム筒3と一体となって回転するように、カム筒3の外周部に取り付けられている。合焦操作環2の先端部2cは、光軸回りの回転が許容され、光軸方向の移動が規制されるように、付属品取付環6の係合部6bと当接している。
【0018】
カム筒3は、直進溝1cに沿って駆動する駆動力を後述するピン4a,5aに付与するための部材である。カム筒3には、このカム筒3を貫通し、光軸方向に傾斜して形成されたカム溝3aと、光軸方向に傾斜して形成されたカム溝3bとが形成されており、このカム溝3a,3bには、それぞれピン4a,5aの先端部が移動自在に嵌め込まれている。カム筒3の内周部には、内側固定筒1aの外周部が嵌め込まれており、カム筒3は、内側固定筒1aの外周部において、光軸回りに回転自在に支持されている。
【0019】
合焦レンズ群移動枠4は、合焦レンズ群10,11を保持するとともに、光軸方向に移動して合焦を行うための枠である。合焦レンズ群移動枠4の内周部には、合焦レンズ群10,11をそれぞれ保持するためのレンズ取付部材41,42が取り付けられている。レンズ取付部材41の内周部には、合焦レンズ群10の被写体側を押さえるための押さえ環43aが取り付けられており、レンズ取付部材41の外周部には、合焦レンズ群10の像側を押さえるための押さえ環43bが取り付けられている。合焦レンズ群移動枠4の外周部には、図2に示すように、この合焦レンズ群移動枠4が繰り出されたときに、後述する露出防止移動筒5が嵌まり込める程度の移動筒収納部4aが形成されている。また、合焦レンズ群移動枠4の外周部には、内側固定筒1aの直進溝1cを貫通し、カム筒3のカム溝3aに嵌め込まれたピン4aが取り付けられている。合焦レンズ群移動枠4は、その外周部に形成された支持部4cにより、内側固定筒1aの内周部において、光軸方向に移動自在に支持されている。
【0020】
露出防止移動筒5は、合焦レンズ群移動枠4の移動動作と連動して移動し、カム溝3a,3b及び直進溝1cが、内側固定筒2aの内周部側に露出するのを防止する部材である。また、露出防止移動筒5は、カム溝3a,3b及び直進溝1cに入射する光線を遮断するための部材である。露出防止移動筒5の外周部には、内側固定筒1aの直進溝1cを貫通し、カム筒3のカム溝3bに嵌め込まれたピン5aが取り付けられている。露出防止移動筒5は、内側固定筒1aの内周部に、光軸方向に移動自在に嵌め込まれている。また、露出防止移動筒5の内周部には、合焦レンズ群移動枠4の先端部が移動自在に嵌まり込むことができ、露出防止移動筒5は、合焦レンズ群移動枠4の先端部が被写体側に移動するときに、この合焦レンズ群移動枠4の移動筒収納部4bに像側の端部が収納されながら被写体側に移動する。
【0021】
付属品取付環6は、例えば、フィルタなどの付属品を取り付けるための部材である。付属品取付環6の内周部には、図示しないフィルタなどに形成されたねじ部と噛み合う付属品取付ねじ部6aが形成されている。付属品取付環6の外周部には、合焦操作環2の先端部2cを回転自在に支持する係合部6bが形成されている。付属品取付環6は、内側固定筒1aの先端部に取り付けられている。
【0022】
次に、本発明の実施形態に係るレンズ鏡筒の動作について説明する。
図1に示すように、合焦レンズ群移動枠4は、被写体側の先端位置から像側に後退した位置にあり、露出防止移動筒5が設けられていないときには、カム溝3a,3b及び直進溝1cの一部が内側固定筒1aの内周部側に露出している。この状態において、合焦操作環2を撮影者が操作すると、この合焦操作環2とカム筒3は、一体となって光軸回りに回転する。カム筒3が回転すると、このカム筒3に形成されたカム溝3a,3bの側面部は、このカム溝3a,3bに嵌め込まれたピン4a,5aをそれぞれ被写体側に押し出す。ピン4a,5aは、合焦操作環2の回転による操作力を、カム筒3を介して光軸方向の駆動力として受け取る。
【0023】
ピン4a,5aは、それぞれカム溝3a,3bと直進溝1cとの交点(重複部)に位置づけられ、内側固定筒2aに形成された直進溝1cにより光軸方向に案内されながら移動する。このために、図1に示す状態から、合焦レンズ群移動枠4は、その支持部4cの外周部が内側固定筒1aの内周部と摺動しつつ、光軸方向に沿って被写体側に移動する。また、露出防止移動筒5は、合焦レンズ群移動枠4の移動筒収納部4bの外周部と内側固定筒1aの内周部との間に挟まれながら、合焦レンズ群移動枠4の移動と連動して、光軸方向に沿って被写体側に摺動する。露出防止移動筒5は、内側固定筒1aの内周部側に露出したカム溝3a,3b及び直進溝1cの一部を隠しながら移動する。
【0024】
合焦レンズ群移動枠4の先端部には、移動筒収納部4bが形成されているために、合焦レンズ群移動枠4が移動するときに、露出防止移動筒5の像側の端部は、この移動筒収納部4bに収納される。このために、合焦レンズ群移動枠4と露出防止移動筒5とは、相互に干渉することなく移動する。カム溝3a,3b及び直進溝1cは、合焦レンズ群移動枠4及び露出防止移動筒5が、レンズ鏡筒の被写体側の先端部から突出しない範囲内で形成されている。このために、合焦レンズ群移動枠4及び露出防止移動筒5は、図2に示すように、付属品取付ねじ部6aの像側の端面まで移動し、その位置で停止する。合焦レンズ群移動枠4及び露出防止移動筒5は、付属品取付ねじ部6aに取り付けられたフィルタなどと干渉することがない。
なお、図2に示す状態から合焦操作環2を逆方向に回転したときには、上述した動作とは逆の動作により、図1に示すように、合焦レンズ群移動枠4は、被写体側の先端位置から像側の後退した位置まで移動する。
【0025】
本発明の第1実施形態では、カム溝3a,3b及び直進溝1cの一部が内側固定筒1aの内周部に露出するのを、光軸方向に移動する露出防止移動筒5により防止している。このために、図5に示すレンズ鏡筒のように、被写体側の先端位置から像側に後退した位置に、合焦レンズ群移動枠4が位置づけられていても、カム溝3a,3b及び直進溝1cの一部が内側固定筒1aの内周部に露出することがない。したがって、カム溝3a,3b及び直進溝1c内にゴミなどの異物が侵入するのを防止することができる。また、合焦レンズ群10,11を通過する光以外の光がカム溝3a及び直進溝1cから侵入することがないために、漏光によるゴーストやフレアなどの発生を防止することができる。さらに、カム溝3a,3b及び直進溝1cの一部が内側固定筒1aの内周部に露出しないために、レンズ鏡筒の美観を損ねることもない。
【0026】
本発明の第1実施形態では、露出防止移動筒5は、合焦レンズ群移動枠4の移動筒収納部4bの外周部と内側固定筒1aの内周部との間に挟まれながら、合焦レンズ群移動枠4の移動と連動して光軸方向に摺動する。合焦レンズ群移動枠4は、像側の支持部4cの外周部が内側固定筒1aの内周部に支持され、被写体側の端部は、移動筒収納部4bに収納された露出防止移動筒5の像側の端部に支持されている。合焦レンズ群移動枠4は、像側の端部が内側固定筒1aに支持され、被写体側の端部が露出防止移動筒5を介して内側固定筒1aに支持されるために、光軸方向のいかなる位置においても、光軸に対して傾くことがない。
【0027】
本発明の第1実施形態では、図1に示す状態から図2に示す状態まで、合焦レンズ群移動枠4及び露出防止移動筒5を移動している。合焦レンズ群移動枠4及び露出防止移動筒5を図2に示す位置まで繰り出すときには、合焦レンズ群移動枠4を露出防止移動筒5よりも速く繰り出す必要がある。また、合焦レンズ群移動枠4が移動するときには、露出防止移動筒5は、内側固定筒1aの内周部に露出したカム溝3a,3b及び直進溝1cを隠すように移動する必要がある。本発明の第1実施形態では、露出防止移動筒5の移動量、移動速度、移動のタイミングなどの移動動作や合焦レンズ群移動枠4の移動動作との連動をカム溝3bの形状や光軸に対する傾斜角度などにより調整することができる。また、本発明の第1実施形態では、合焦レンズ群移動枠4及び露出防止移動筒5の先端部は、被写体側に繰り出されたときに、付属品取付環6の付属品取付ねじ部6aより先には突出しない。したがって、レンズ鏡筒の全長が合焦操作時に変化しないために使い勝手がよく、レンズ群移動枠4及び露出防止移動筒5の先端部が合焦操作時にフィルタなどの付属品と接触することがない。
【0028】
(他の実施形態)
以上説明した実施形態に限定されることはなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
本発明の実施形態では、被写体側の合焦レンズ群移動枠4を移動させているが、第1合焦レンズ群10と第2合焦レンズ群11とを第1合焦レンズ群移動枠と第2レンズ群移動枠とによりそれぞれ移動する構造のレンズ鏡筒についても適用することができる。例えば、第2レンズ群移動枠の内周部で第1合焦レンズ群移動枠を移動させる構造のときには、第1合焦レンズ群移動枠の移動用カム溝と案内用直進溝とが、第2レンズ群移動枠の内周部に露出する。この場合には、第1合焦レンズ群移動枠の外周部と第2レンズ群移動枠の内周部との間に、露出防止移動筒5と同一構造の移動筒を設けることにより、移動用カム溝及び案内用直進溝の露出を防止することができる。また、本発明の実施形態では、合焦レンズ群移動枠4を移動させてフォーカシングを行う構造のレンズ鏡筒について説明しているが、複数のレンズ移動枠を移動させてズーミングを行う構造のレンズ鏡筒についても適用することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、本発明によれば、以下のような効果がある。
(1)光学系を保持する移動枠が光軸方向に移動するときに、この移動枠と固定筒との間を移動する露出防止移動筒を備えているので、移動枠を移動するカム機構部の溝部が固定筒の内周部の少なくとも一部に露出するのを露出防止移動筒により確実に防止することができる。
【0030】
(2)被写体側の先端位置から像側に移動枠が後退したときに、固定筒の内周部に露出する案内用溝部及び/又は駆動用溝部を露出防止移動筒により隠すことができる。
【0031】
(3)案内用溝部及び/又は駆動用溝部により、レンズ鏡筒の先端部から突出しない範囲内で移動枠が移動するので、レンズ鏡筒の全長が変化することがなく、操作性を向上することができる。
【0032】
(4)露出防止移動筒は、カム機構部のカム部により移動が制御されるので、露出防止移動筒の移動量や速度をこのカム部により確実に制御することができる。
【0033】
(5)露出防止移動筒は、カム機構部に入射する光線を遮断する光遮断部を備えているので、カム機構部を介して侵入する光による漏光を確実に防止することができる。
【0034】
(6)移動枠が移動するときに、この移動枠と固定筒との間に露出防止移動筒が挟まれるので、光学系を保持する移動枠が光軸に対して傾斜するのをこの露出防止移動筒により確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るレンズ鏡筒の断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るレンズ鏡筒の移動枠を繰り出した状態を示す断面図である。
【図3】合焦操作により全長が変化するレンズ鏡筒を比較例として示す断面図である。
【図4】図3のレンズ鏡筒の移動枠を繰り出した状態を示す断面図である。
【図5】合焦操作により全長が変化しないレンズ鏡筒を比較例として示した断面図である。
【符号の説明】
1 固定筒
1a 内側固定筒
1b 外側固定筒
1c 直進溝
2 合焦操作環
3 カム筒
3a,3b カム溝
4 合焦レンズ群移動枠
4a ピン
4b 移動筒収納部
5 露出防止移動筒
5a ピン
6 付属品取付環
10,11 合焦レンズ群
12 固定レンズ群

Claims (9)

  1. 被写体側からの光束が入射する光学系を保持し、光軸方向に移動する移動枠と、
    前記移動枠を内側で移動自在に支持する固定筒と、
    前記移動枠を移動させるカム機構部と、
    前記カム機構に設けられ、前記移動枠の移動に伴って前記光束の入射方向に向かって露出する溝部と、
    前記固定筒と前記移動枠との間に配置され、前記移動枠の移動に伴って移動して前記被写体側からの光束の一部が前記溝部へ侵入することを防止する露出防止移動筒と、
    を備えることを特徴とするレンズ鏡筒。
  2. 請求項1に記載のレンズ鏡筒において、
    前記カム機構部は、
    前記固定筒に設けられ、前記移動枠の移動を案内する案内用溝部と、
    前記固定筒に回転自在に設けられ、前記移動枠に駆動力を付与する駆動用カム溝部とを含み、
    前記案内用溝部及び前記駆動用カム溝部には、前記移動枠に設けられた移動部材が移動自在に係合し、
    前記露出防止移動筒は、被写体側の先端位置から像側に前記移動枠が後退したときに露出する前記案内用溝部及び/又は前記駆動用カム溝部を隠すように移動すること
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  3. 請求項2に記載のレンズ鏡筒において、
    前記案内用溝部及び駆動用カム溝部は、鏡筒先端部から突出しない範囲内で前記移動枠を移動すること、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、
    前記カム機構部は、前記露出防止移動筒の移動を制御するカム部を含むこと、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、
    前記露出防止移動筒は、前記カム機構部に入射する光線を遮断する光遮断部を備えること、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、
    前記露出防止移動筒は、前記移動枠が移動するときに、この移動枠と前記固定筒との間に挟まれて、この移動枠が光軸に対して傾斜するのを防止する傾斜防止部を備えること、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、
    前記光学系は、前記被写体に最も近い光学系であること、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のレンズ鏡筒において、
    前記溝部は、前記光軸方向に延在しており、
    前記露出防止移動筒は、前記移動枠よりも前記被写体側の前記溝部の露出を防止すること、
    を特徴とするレンズ鏡筒。
  9. カメラボディと該カメラボディに係合した請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載したレンズ鏡筒を備えたことを特徴とするカメラ。
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