JP3757040B2 - 半導体装置のデータ出力回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体メモリ装置などのデータ出力回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、データを速く外部へ送り出す役割を担うメモリのデータ出力回路は瞬間的な過度電流を流すことになるため、電源電圧線及び接地線の電圧にノイズを発生させる。そこで、データ出力回路の出力端回路(出力ドライバ)用の電源電圧線及び接地線は、周辺にあるその他回路から電気的に分離させて配置することにより、ノイズの影響を防いでいる。このような技術は、たとえば特開昭62−169464号に開示されている。図1には、その接地線分離形式について示してある。
【0003】
電源電圧線Vccと第1の接地線VSS1Pとの間にPMOSトランジスタ3とNMOSトランジスタ5が直列接続されて、入力信号DOD1bを反転するCMOSインバータがバッファとして構成されている。そして、電源電圧線Vccと第2の接地線VSS1IOとの間にPMOSトランジスタ7とNMOSトランジスタ9が直列接続されて、インバータ3,5による反転入力信号DOD1及び入力信号DOU1bに従い出力データI/O1を発生する出力ドライバが構成されている。
【0004】
第1の接地線VSS1Pと第2の接地線VSS1IOとの間には、インピーダンスZ1が設けられている。このインピーダンスZ1は、上述のようにノイズを抑制するために、そのインピーダンス成分ができる限り大きくされる。つまり、出力ドライバ7,9の接地線VSS1IOとその他回路3,5の接地線VSS1PとがインピーダンスZ1によって互いに分離された形式である。
【0005】
メモリの入出力端子や電源・接地端子を通じて外部の静電容量体から過度な静電気が装置内部に印加されると、主に酸化化合物の薄膜で絶縁体を形成しているMOSトランジスタなどが静電放電(Electro-Static Discharge:ESD)によって絶縁破壊を起こすことがある。このようなESD現象は、静電気発生元の容量体の種類や印加状態などによっていろいろ分けられるが、ここで主に言及するモデルは充電装置モデル(Charged Device Model:CDM)に係り、これは、強く充電したメモリデバイスが不特定の入出力ピンから急激に放電して絶縁破壊を起こすESDの1モデルである。
【0006】
図1のような回路で、充電装置モデルのESD現象として半導体メモリ装置全体が強く充電されている状態で出力ピンに負(Negative)又は接地の電位が提供されるとき、絶縁破壊の起こる可能性は非常に大きくなる。これは、2つの接地線VSS1IO,VSS1Pがそれぞれ強く充電されているところへ出力端子I/O1に負や接地の電位が入った場合に、NMOSトランジスタ5,9がNPNバイポーラの動作を行うことに起因する。
【0007】
すなわち、ソースがコレクタ、ドレインがエミッタ、そしてバルク基板がベースの役目を果たし、NMOSトランジスタ9は共通エミッタ回路になって接地線VSS1IOから出力端子I/O1へ少電流を流す。一方このとき、NMOSトランジスタ5もNPNバイポーラの動作を行って接地線VSS1PからノードDOD1へ電流を流すが、この電流は出口がないため、ノードDOD1の電位を接地線VSS1Pと同じレベルにすることとなる。すると、ノードDOD1と出力端子I/O1との間には高い電位差が発生し、高インピーダンスZ1があってVSS1PからVSS1IOへは電流が流れ難いために長時間、その高い電位差は保持される。これが、ノードDOD1と出力端子I/O1との間にある絶縁体を破壊するESDストレスとして働く。
【0008】
このようなESDストレスに対する効果的解決策は、2つの接地線VSS1IO,VSS1Pの間に存在するインピーダンスZ1を小さくすることであるが、前述のノイズ対策から、それはできない。
【0009】
図2の回路は、図1におけるノードDOD1に相当するノードDOD2に、抵抗R及びキャパシタCのRC回路を設けて電位差を減少させるようにしたものである。この場合確かに、図1のものに比べてノードDOD2と出力端子I/O2との間の電位差を減らすことはできるが、ある程度の限界があり、充電がいっそう強いと問題が再現される可能性が残っている。また、RC回路はローパスフィルタの特性をもっているのでノードDOD2の信号伝達能力が低下し、出力ドライバ7,9の特性低下につながってくる。
【0010】
図3の回路は、図1における2つの接地線VSS1IO,VSS1Pの間のインピーダンス成分を最小化させた例である。これによれば、2つの接地線VSS3IO,VSS3Pが互いに接続されており、NMOSトランジスタ9のNPNバイポーラ動作によって2つの接地線VSS3IO,VSS3Pから出力端子I/03へ電流を流すことができるので、ノードDOD3と出力端子I/O3との間における高電位差形成は避けることができる。しかし、出力ドライバ7,9から生じるノイズの問題が残る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上の従来技術に鑑みて本発明は、動作特性を損なうことなくESDストレス耐性を向上させたデータ出力回路の提供を目的とする。そして、ESD対策とノイズ対策を両立させたデータ出力回路を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この目的のために本発明によれば、出力ドライバと接地線を共有するその他回路をもつデータ出力回路において、出力ドライバの出力端子と接地線との間に、該接地線の電位が変化すると導通してこれら出力端子及び接地線を短絡させる放電スイッチを設けることを特徴とする。この場合、出力ドライバ及びその他回路用の接地線から高インピーダンスで分離した別の接地線を、出力ドライバ及びその他回路以外の回路に使用しておくとよい。放電スイッチは、ダイオード接続のMOSトランジスタから構成することができる。
【0014】
あるいはまた本発明によれば、出力ドライバ用の接地線とその他回路用の接地線とを高インピーダンスで分離してあるデータ出力回路において、出力ドライバの出力端子とその他回路用の接地線との間に、該その他回路用の接地線の電位が変化すると導通してこれら出力端子及び接地線を短絡させる放電スイッチを設けることを特徴とする。その放電スイッチは、ダイオード接続のMOSトランジスタから構成することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態につき添付図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図4に、本発明によるデータ出力回路の第1例を示す。
【0017】
図4を参照すると、出力ドライバ7,9用の接地線VSS4IOと周辺にあるその他回路200用の接地線VSS4PとがインピーダンスZ4により分離させて設けられている一方で、これら接地線VSS4IO,VSS4Pを接続するダイオード回路100が設けられている。このダイオード回路100は、接地線VSS4Pから接地線VSS4IOへ向けて順方向となるように設けられている。
【0018】
この回路によれば、接地線VSS4Pの電位と接地線VSS4IOの電位との差が、ダイオード回路100のビルトインポテンシャル(Built-in Potential :Vb) 以上になったときにはダイオード回路100を通じて電流が流れることになるので、インピーダンスZ4に比べ極めて低いインピーダンス成分で2つの接地線VSS4IO,VSS4Pがつながれる結果となる。これにより、ノードDOD4と出力端子I/O4との間の電位差はダイオード回路100のVb分しか発生しないことになり、ESDストレスを発生するには至らない。一方、接地線VSS4IOの電位が接地線VSS4Pの電位よりも高くなるときにはダイオード回路100が逆方向接続となるので、出力ドライバ7,9のノイズがその他回路へ伝わることは防止される。
【0019】
図5a,bは、ダイオード回路100の詳細である。図5aはNMOSトランジスタのゲートとドレインをつないで接地線VSSP(VSS4P)に接続し、ソースを接地線VSSIO(VSS4IO)へ接続した例で、この場合、そのNMOSトランジスタのしきい値電圧がダイオード回路100のVbとなる。また図5bは、多数のn個のダイオード形態NMOSトランジスタ100−1〜100−nを直列接続した例で、この場合のダイオード回路100のVbは、NMOSトランジスタ100−1〜100−nのしきい値電圧の合計(×n)ほどになる。この例では、トランジスタ数によりVbを調節することができる。
【0020】
図6は、データ出力回路の第2例である。
【0021】
この例では、その他回路であるインバータの出力バッファ200が出力ドライバ7,8用の接地線VSS4IOを共用している。つまり、インピーダンスZ4で分離された他方の接地線VSS4Pは、出力ドライバ7,9及び出力バッファ200以外の回路300のために使用されている。この構成によれば、NMOSトランジスタ9のバイポーラ動作によって接地線VSS4IOから出力端子I/O4へ電流が流れていくので、ノードDOD4に高い電位は発生せず、ESD対策が図られている。また、NMOSトランジスタ9のソース側の接地線ノードN3とドレイン側の出力端子ノードN4との間に、ゲートをノードN3に接続したNMOSトランジスタの放電スイッチ11を追加してあるので、それによる短絡で接地線VSS4IOが急速放電される。
【0022】
放電トランジスタ11は、接地線VSS4IOにノイズがのった場合にもオンして短絡経路を形成しノードN4へ逃がすので、出力ドライバ7,9のノイズ対策も同時に図られている。
【0023】
図7は、データ出力回路の第3例を示す。
【0024】
この例では、その他回路である出力バッファ200の接地線VSS5Pと出力ドライバ7,9の接地線VSS5IOとが、インピーダンスZ5で分離されている。そして、NMOSトランジスタ5のソース側のノードN1と出力端子I/O5のノードN2との間に設けられ、ゲートがノードN1へ接続されたNMOSの放電トランジスタ11を有している。
【0025】
放電トランジスタ11は、接地線VSS5Pが充電された場合にオンしてノードN2へ逃がし、ノードDOD5の高電位化を防止する。これにより、ESD対策が図られている。また一方、接地線VSS5Pと接地線VSS5IOとの間はインピーダンスZ5が設けられて分離されており、ノイズ対策も万全である。
【0026】
【発明の効果】
本発明のデータ出力回路によれば、出力ドライバのノイズ対策とESD対策とを両立させ、しかも、データ出力回路の特性低下は招かずにすむという優れた効果があり、データ出力回路の信頼性向上に大きく貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】データ出力回路の従来例を示した回路図。
【図2】データ出力回路の従来例を示した回路図。
【図3】データ出力回路の従来例を示した回路図。
【図4】本発明によるデータ出力回路の第1例を示した回路図。
【図5】図4中のダイオード回路の構成例を示した回路図。
【図6】本発明によるデータ出力回路の第2例を示した回路図。
【図7】本発明によるデータ出力回路の第3例を示した回路図。
【符号の説明】
7,9 出力ドライバ
Z4,Z5 インピーダンス
VSS4P,VSS4IO,VSS5P,VSS5IO 接地線

Claims (5)

  1. 出力ドライバと接地線を共有するその他回路をもつデータ出力回路において、
    出力ドライバの出力端子と接地線との間に、該接地線の電位が変化すると導通してこれら出力端子及び接地線を短絡させる放電スイッチを設けたことを特徴とするデータ出力回路。
  2. 出力ドライバ及びその他回路用の接地線とは高インピーダンスで分離した別の接地線を、前記出力ドライバ及びその他回路以外の回路に使用する請求項記載のデータ出力回路。
  3. 放電スイッチは、ダイオード接続のMOSトランジスタからなる請求項又は請求項記載のデータ出力回路。
  4. 出力ドライバ用の接地線とその他回路用の接地線とを高インピーダンスで分離してあるデータ出力回路において、
    出力ドライバの出力端子とその他回路用の接地線との間に、該その他回路用の接地線の電位が変化すると導通してこれら出力端子及び接地線を短絡させる放電スイッチを設けたことを特徴とするデータ出力回路。
  5. 放電スイッチは、ダイオード接続のMOSトランジスタからなる請求項記載のデータ出力回路。
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