JP3756929B2 - 電子楽器システムとそのシステムに用いる装置およびプログラム - Google Patents

電子楽器システムとそのシステムに用いる装置およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、電子楽器システムとそのシステムに用いる装置及びプログラムに関し、特に、仮想の打楽器を演奏する電子楽器システムとそのシステムに用いる装置およびプログラムに関するものである。
近年、CPUやその他の半導体などを利用した電子鍵盤楽器が普及しているが、仮想の打楽器を演奏するための電子楽器装置も次第に商品化され、高い性能の製品も開発されている。また、仮想の打楽器を演奏するための技術も多く提案されている。
ある提案の電子楽器においては、ドラムのスティックに圧電ジャイロセンサ又はマイクロ加速度センサを設け、この角速度センサから結線した回路により角速度を検出して、この角速度を制御信号に変換し、この制御信号により音量および音質を設定するシンセサイザを備えた構成になっている。この構成により、スティックを振るだけで打楽器の音を発生できる。(特許文献1参照)
また、ある提案の電子打楽器においては、中空状のスティック本体内に、発光素子および受光素子を有する光センサと、スティック本体の振り動作に応じて受光素子に入射する光量(反射光量、透過光量)を変化させる振動子を設けた構成になっている。この構成により、スティックを振ると、その振りに応じて振動子が振動し、この振動子の振動に応じて発光素子からの光の反射状態又は透過状態が変化し、この変化に応じた光量を受光素子が受光するため、スティック本体の振り操作を振動子の振動状態の波形として検出することができ、スティック本体の微妙な振動を精度よく検出することができ、しかも非接触方式であるから耐久性にも優れ、信頼性の高いものを得ることができる。(特許文献2参照)
また、ある提案の電子ドラムにおいては、電子ドラムのパッドの外周であるパッド枠の少なくとも一箇所を透明若しくは半透明とした導光板で形成し、その導光板に複数色の光源からの光を導光し発光させる構成とともに、所望の条件に従う点灯信号発生手段からの信号により点滅と発光色の切換とを行う構成になっている。この構成により、パッドに割り付けられた打楽器の種類など、演奏者が所望する情報を発光色、発光数などにより告知できる。(特許文献3参照)
また、ある提案の入力装置およびこれを用いた電子楽器においては、2本のワイヤが1点で固定されたスタンドと、それぞれのワイヤに固定された2本のスティックと、ワイヤに張力が生じたことを検知し、ワイヤが張った状態でこのワイヤが交わる線上での位置を検知するセンサと、位置を表す信号に応じた音色の信号を発生し得る音源装置と、センサが張力を検知したときに音源装置からの信号を出力する出力手段とを備えた構成になっている。この構成により、ワイヤが充分に伸びた瞬間のタイミングとその時の打点位置を電気信号として検出でき、それを用いて電子音源装置を操作することにより電子ドラムシステムの演奏が可能になる。(特許文献4参照)
また、ある提案の仮想楽器演奏装置においては、大型TV画面の表示装置およびその両脇にビデオカメラが設置された構成になっている。そして、画面に映っている演奏者の手が画面の上部の6つのボタンのいずれかに画面上で接触すると、発音を開始するようになっている。(特許文献5参照)
また、ある提案の運動特定装置、電子楽器、および入力デバイスにおいては、ユーザが紙などに描かれた木琴の絵を打鍵することで、スピーカから木琴の楽音が出力されるようになっている。(特許文献6参照)
また、ある提案の楽音生成装置、楽音生成プログラムおよび楽音生成方法においては、コンピュータの画面を縦方向に複数の区画に分割し、各区画に対して楽器を割り当てている。ドラムの区画においては、カメラで撮像した演奏者の手の画像が縦方向に動くと、その表示位置に応じてドラムの音色を変える構成になっている。(特許文献7参照)
特開平6−75571号公報 特開平10−55175号公報 特開平11−30983号公報 特開2000−163049号公報 特開2002−041038号公報 特開2004−185565号公報 特開2004−205738号公報
しかしながら、上記各特許文献においては、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができないという課題、又は、擬似ドラムを設置するだけの広いスペースが必要になるという課題があった。
例えば、特許文献1の構成においては、スティックだけではドラムの種類や位置を判別できないので、ドラム演奏の臨場感を得ることができず、結局は、図4に示されるように、摸擬ドラムのメンブレム部やスネア部に角速度センサを取り付けることになる。したがって、擬似ドラムを設置するためのスペースが必要になる。また、ステックと装置(この場合は、プロセッサの回路部)とを接続するための信号線が必要となり、スティックの操作が制限されてしまうことになる。
また、特許文献2の構成においては、特許文献1の場合と同様に、スティックだけではドラムの種類や位置を判別できないので、ドラム演奏の臨場感を得ることができない上、スティックと楽音発生装置とを接続するための信号線が必要となり、スティックの操作が制限されてしまうことになる。さらに、スティックの振りが激しい場合には、スティック内のセンサ部が破損するおそれもある。
また、特許文献3の構成においては、擬似ドラムとしてのパッドを設置しなければならず、擬似ドラムを設置するだけの広いスペースが必要になるので、狭い家屋では設置することが困難である。
また、特許文献4の構成においては、図1からも明らかなように、スツール付きの大きなスタンドを設置しなければならず、自宅で手軽に演奏することができない。さらに、スティックとスタンドとを結ぶワイヤによって、スティックの操作が制限されてしまうことになる。さらにまた、図4および図6に示されているように、スティック操作を検出するセンサの機構が複雑であるので、製造コストやメンテナンスコストが高くなってしまう。
また、特許文献5の構成においては、表示装置の構成によって演奏者の動作が大きく左右されてしまう。例えば、画面に映る演奏者の大きさが等身大でない場合には、演奏者の手の移動距離と手の画像の移動距離とが異なるので、自由な演奏ができない。また、液晶のような平面タイプの表示装置は早い動きをスムーズに表示できず、ブラウン管を用いた表示装置を設置することが必要になり、広い場所を必要とする。さらに、表示装置にあらかじめ表示されている特定の画像位置に、カメラで撮像された演奏者の手の画像位置を合わせる動作は、空間で手を動かす場合のように自由な動作にはならず、仮想のドラム演奏には適していない。
また、特許文献6の構成を仮想のドラム演奏に取り入れたとすると、平面に置かれた紙などに、ハイハット、バスドラム、フロアタム、スネアドラム、タムタム、トップシンバルなどの各打楽器の絵を描いて、それにスティックなどを打ち当てることになる。しかし、各打楽器は高さが異なるので、実際のドラムと同じように演奏することはできない。
また、特許文献7の構成においては、特許文献5の場合と同様に、画面に映る演奏者の大きさが等身大でない場合には、演奏者の手の移動距離と手の画像の移動距離とが異なるので、自由な演奏ができない。また、図1に示されている液晶のような平面タイプの表示装置のコンピュータでは早い動きをスムーズに表示できず、ブラウン管を用いたコンピュータが必要になり、広い場所を必要とする。さらに、コンピュータの画面にあらかじめ表示されている特定の画像位置に、カメラで撮像された演奏者の手の画像位置を合わせる動作は、空間で手を動かす場合のように自由な動作にはならず、仮想のドラム演奏には適していない。
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたもので、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができるとともに、狭い場所でも演奏できるようにすることを目的とする。
本発明の電子楽器システムは、電子カメラ装置(実施形態においては、図31のレンズ55を含む内部のカメラ部、携帯電話装置5、図32のデジタルカメラ7、ビデオカメラ8、又はウェブカメラ9に相当する)とコンピュータ(実施形態においては、図31、図32のノートパソコン52に相当する)との間で通信を行って楽音信号を発生する電子楽器システムであって、
電子カメラ装置は、
所定の角度以上の画角を有する光学部材と、赤、緑、および青からなる原色系のカラーフィルタ、又は、シアン、マゼンタ、黄、および緑からなる補色系のカラーフィルタを有するとともに、コンピュータから受信したテスト演奏指令および演奏開始指令に応じて、光学部材から入射する略球形の形状で原色系又は補色系の色彩からなる1種類以上の物体の映像を光電変換してカラーの画像信号を出力する撮像素子と、撮像素子に対して読出信号を繰り返し与えて、各読出信号ごとに撮像素子から出力される画像信号に基づいて物体の色彩および当該物体の略中心位置を検出し、検出した色彩によって種類を識別した当該物体の識別情報およびその略中心位置の移動軌跡を示す位置情報をコンピュータに対して順次出力する演算処理回路と、を備え、
コンピュータは、
操作に応じて複数種類の指令を入力するキーボードと、キーボードから入力された打楽器演奏の指令に応じて、表示部に複数種類の打楽器のリストを表示する表示制御機能と、キーボードから入力された打楽器選択の指令に応じて、その選択に係る1種類以上の打楽器をメモリに記憶して設定する楽器設定機能と、キーボードから入力された曲選択の指令に応じて、その選択に係る曲をメモリに記憶して設定する曲設定機能と、楽器設定機能によって打楽器が設定された後に、キーボードから入力されたテスト演奏の指令に応じて、楽器設定機能によって設定された打楽器を1つの打楽器から順に指定して、指定された打楽器のテスト演奏を促す旨の音声信号をオーディオ装置(実施形態においては、図31、図32のスピーカ56Rおよび56Lに相当する)に送出して発音させるとともに、当該指定された打楽器のテスト演奏指令を電子カメラ装置に対して送信するテスト演奏機能と、指定された打楽器のテスト演奏指令を電子カメラ装置に対して送信した後に、電子カメラ装置から物体の識別情報および移動軌跡を示す位置情報を受信したときは、当該物体の識別情報および移動軌跡を当該指定された打楽器の基準演奏パターンに対応するものとしてメモリに設定する演奏設定機能と、楽器設定機能によって設定された全ての打楽器の基準演奏パターンが演奏設定機能によってメモリに設定された後に、電子カメラ装置に送信した演奏開始指令に応じて、電子カメラ装置から受信した物体の識別情報および移動軌跡を示す位置情報がメモリに設定されているいずれかの打楽器の基準演奏パターンに対応するか否かを分析する画像分析機能と、演奏開始指令に応じてメモリに設定された曲のメロディ音の第1の楽音信号を発生するとともに、画像分析機能によって物体の識別情報および移動軌跡の位置情報がメモリに設定されているいずれかの打楽器の基準演奏パターンと対応することが分析されたときは、当該物体の移動位置が当該基準演奏パターンにおける所定の位置に達したタイミングでその対応する打楽器の音色の第2の楽音信号を発生して、当該第1および第2の楽音信号をオーディオ装置に送出して発音させる信号発生機能と、を備えている。
あるいは、本発明の電子楽器システムは、携帯電話装置(実施形態においては、図1の携帯電話装置5に相当する)とその携帯電話装置から送信される楽音信号に応じて発音するオーディオ装置(実施形態においては、図1のヘッドホン装置6又はミニコンポなどに相当する)とで構成される電子楽器システムであって、
携帯電話装置は、
操作に応じて複数種類の指令を入力するスイッチ部と、所定の角度以上の画角を有する光学部材と、赤、緑、および青からなる原色系のカラーフィルタ、又は、シアン、マゼンタ、黄、および緑からなる補色系のカラーフィルタを有するとともに、スイッチ部からのテスト演奏指令および演奏開始指令並びに入力される駆動信号に応じて、光学部材から入射する略球形の形状で原色系又は補色系の色彩からなる1種類以上の物体の映像を光電変換してカラーの画像信号を出力する撮像素子と、撮像素子に対して読出信号を繰り返し与えて、各読出信号ごとに撮像素子から出力される画像信号に基づいて物体の色彩および当該物体の略中心位置を検出し、検出した色彩によって種類を識別した当該物体の識別情報およびその略中心位置の移動軌跡を示す位置情報を順次出力する演算処理回路と、スイッチ部から入力された打楽器演奏の指令に応じて、表示部に複数種類の打楽器のリストを表示する表示制御機能と、スイッチ部から入力された打楽器選択の指令に応じて、その選択に係る1種類以上の打楽器をメモリに記憶して設定する楽器設定機能と、スイッチ部から入力された曲選択の指令に応じて、その選択に係る曲をメモリに記憶して設定する曲設定機能と、楽器設定機能によって打楽器が設定された後に、スイッチ部から入力されたテスト演奏の指令に応じて、楽器設定機能によって設定された打楽器を1つの打楽器から順に指定して、その指定された打楽器のテスト演奏を促す旨の音声信号をオーディオ装置に送信して発音させるとともに、当該指定された打楽器のテスト演奏指令を撮像素子に入力するテスト演奏機能と、指定された打楽器のテスト演奏指令を撮像素子に入力した後に、演算処理回路から物体の識別情報および移動軌跡を示す位置情報を取得したときは、当該物体の識別情報および移動軌跡を当該指定された打楽器の基準演奏パターンに対応するものとしてメモリに設定する演奏設定機能と、楽器設定機能によって設定された全ての打楽器の基準演奏パターンが演奏設定機能によって設定された後に、撮像素子に入力した演奏開始指令に応じて、演算処理回路から取得した物体の識別情報および移動軌跡を示す位置情報がメモリに設定されているいずれかの打楽器の基準演奏パターンに対応するか否かを分析する画像分析定機能と、演奏開始指令に応じてメモリに設定された曲のメロディ音の第1の楽音信号を発生するとともに、画像分析機能によって物体の識別情報および移動軌跡の位置情報がメモリに設定されているいずれかの打楽器の基準演奏パターンに対応することが分析されたときは、当該物体の移動位置が当該基準演奏パターンにおける所定の位置に達したタイミングでその対応する打楽器の音色の第2の楽音信号を発生して、当該第1および第2の楽音信号をオーディオ装置に送信して発音させる信号発生機能と、を備えている。
本発明の電子楽器システムに用いるプログラムは、所定の角度以上の画角を有する光学部材と、赤、緑、および青からなる原色系のカラーフィルタ、又は、シアン、マゼンタ、黄、および緑からなる補色系のカラーフィルタを有するとともに、光学部材から入射する略球形の形状で原色系又は補色系の色彩からなる1種類以上の物体の映像を光電変換してカラーの画像信号を出力する撮像素子と、撮像素子に対して読出信号を繰り返し与えて、各読出信号ごとに撮像素子から出力される画像信号に基づいて物体の色彩および当該物体の略中心位置を検出し、検出した色彩によって種類を識別した当該物体の識別情報およびその略中心位置の移動軌跡を示す位置情報を順次出力する演算処理回路と、を備えた電子カメラ装置(実施形態においては、図31のレンズ55を含む内部のカメラ部、携帯電話装置5、図32のデジタルカメラ7、ビデオカメラ8、又はウェブカメラ9に相当する)と、コンピュータ(実施形態においては、図31、図32のノートパソコン52に相当する)との間で通信を行って楽音信号を発生する電子楽器システムに用いるプログラムであって、そのプログラムは、
キーボードの操作に応じて複数種類の指令を入力するステップAと、ステップAによって入力された打楽器演奏の指令に応じて、表示部に複数種類の打楽器のリストを表示するステップBと、ステップAによって入力された打楽器選択の指令に応じて、その選択に係る1種類以上の打楽器をメモリに記憶して設定するステップCと、ステップAによって入力された曲選択の指令に応じて、その選択に係る曲をメモリに記憶して設定するステップDと、ステップCによって打楽器が設定された後に、ステップAによって入力されたテスト演奏の指令に応じて、ステップCによって設定された打楽器を1つの打楽器から順に指定して、その指定された打楽器のテスト演奏を促す旨の音声信号をオーディオ装置(実施形態においては、図31、図32のスピーカ56Rおよび56Lに相当する)に送出して発音させるとともに、当該指定された打楽器のテスト演奏指令を電子カメラ装置に対して送信するステップEと、指定された打楽器のテスト演奏指令を電子カメラ装置に対して送信した後に、電子カメラ装置から物体の識別情報および移動軌跡を示す位置情報を受信したときは、当該物体の識別情報および移動軌跡を当該指定された打楽器の基準演奏パターンに対応するものとしてメモリに設定するステップFと、ステップCによって設定された全ての打楽器の基準演奏パターンがステップFによって設定された後に、電子カメラ装置に送信した演奏開始指令に応じて、電子カメラ装置から受信した物体の識別情報および移動軌跡を示す位置情報がメモリに設定されているいずれかの打楽器の基準演奏パターンに対応するか否かを分析するステップGと、演奏開始指令に応じてメモリに設定された曲のメロディ音の第1の楽音信号を発生するとともに、ステップGによって物体の識別情報および移動軌跡の位置情報がメモリに設定されているいずれかの打楽器の基準演奏パターンに対応することが分析されたときは、当該物体の移動位置が当該基準演奏パターンにおける所定の位置に達したタイミングでその対応する打楽器の音色の第2の楽音信号を発生して、当該第1および第2の楽音信号をオーディオ装置に送出して発音させるステップHと、をコンピュータに実行させる。
本発明の電子楽器システムおよびそのシステムに用いるプログラムによれば、実際のドラムと同じような感覚で仮想のドラム演奏することができるとともに、狭い場所でも仮想のドラム演奏することができるという効果が得られる。
以下、本発明による電子楽器システムの第1実施形態ないし第6実施形態、およびいくつかの変形例について、図を参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1実施形態における電子楽器システムを演奏者が使用する状態を示す図である。この図において、演奏者100の右手101および左手102のそれぞれには、略球形の形状で赤および青に着色されている先端部(以下、「赤球1」および「青球2」という)を持つスティック1aおよび2aが握られている。また、演奏者100の右脚103および左脚104には、略球形の形状で緑に着色された物体3および4(以下、「緑球3」および「緑球4」という)が、それぞれ帯状の保持部材3aおよび4aによって固定されている。また、演奏者100の前面の机105の上面には、携帯電話装置5が置かれている。また、演奏者100の頭部106には、ステレオ用のヘッドホン装置6(オーディオ装置)が装着されている。このヘッドホン装置6には、音量調整用のボリューム6aが設けられている。なお、携帯電話装置5とヘッドホン装置6とは近距離無線通信であるブルートゥース(Bluetooth)無線通信によってデータの送受信を行う。あるいは、携帯電話装置5とヘッドホン装置6とは、同じく近距離無線通信である赤外線無線通信によってデータの送受信を行う。
図2は、図1に示した携帯電話装置5の構造を示す図である。携帯電話装置5は、上部本体5aと下部本体bとがヒンジ部5cによって開閉可能な構造になっている。図2(1)に示すように、上部本体5aには、表示部の画面5dと、演奏者の姿を撮影できるようなレンズ5e(光学部材)が設けられている。下部本体5bには、複数のスイッチ5fが設けられている。図2(2)に示すように、レンズ5eは、略110度の広い視野角であり、上部本体5aの角度調整によって垂直方向の画角調整(チルト調整)をすることができる。
図3は、携帯電話装置5の内部構成を示すブロック図である。この図において、CPU11は、システムバスを介して、ROM12、RAM13(メモリ)、無線送受信部14、スイッチ部15、表示部16、カメラ部(アウト)17a、カメラ部(イン)17b、フラッシュメモリ18、音源部19、およびブルートゥース通信部20に接続され、これら各部との間で指令およびデータの授受を行って、この装置全体を制御する。なお、カメラ部17bは、図2に示したレンズ5eから入射する被写体の映像を撮像するインカメラである。一方、カメラ部17aは、カメラ部17bと反対側の面に設けられているレンズ(図示せず)から入射する被写体の映像を撮像するアウトカメラである。
ROM12は、CPU11によって実行されるプログラムや初期データなどを記憶している。RAM13は、CPU11のワークエリアであり、ドラム演奏に際して設定された各種のデータ、その他処理する各種のデータを一時的に記憶するバッファエリア、各種のレジスタ、フラグ、変数のためのエリアが用意されている。無線送受信部14は、外部の携帯電話装置との間で電話、メール、画像の送受信を行なうとともに、インターネットなどのネットワークを介して配信される曲をダウンロードすることができる。スイッチ部15は、テンキースイッチ、オフフックスイッチ、オンフックスイッチ、発信スイッチ、メニュースイッチ、カーソルスイッチなどで構成されている。表示部16は、図2に示した画面5dに画像を表示するLCD(液晶表示デバイス)で構成されている。
フラッシュメモリ18は、電源がオフされた後もデータを保持する書き換え可能な不揮発性メモリであり、電話やメールの着信履歴および発信履歴、アドレス帳として電話番号やメールアドレスのデータ、インターネットなどからダウンロードした曲のデータ、スイッチ部15の操作によって録音された楽音データを記憶する。音源部19は、バスドラム、スネアドラム、フロアタム、シンバル、タムタム、ハイハットなどの複数種類からなる打楽器の音色のPCM波形データを記憶し、CPU11によって判定された仮想楽器としての打楽器に応じて、その打楽器の音色のリズム音信号(第2の楽音信号)を発生する。ブルートゥース通信部20は、音源部19によって発生されたリズム音信号やフラッシュメモリ18に記憶された曲の楽音信号(第1の楽音信号)を近距離通信方式のブルートゥース無線通信によってヘッドホン装置6やミニコンポなどの通常のオーディオ装置(図示せず)に対して送信する。通常のオーディオ装置に送信する場合には、携帯電話装置5のヘッドホン出力端子とオーディオ装置の外部入力端子とを接続する。
図4は、ヘッドホン装置6の内部構成を示すブロック図である。この図において、ブルートゥース通信部61は、ブルートゥース無線通信によって携帯電話装置5のブルートゥース通信部20から送信されるリズム音信号や曲の楽音信号を受信する。信号処理部62は、ブルートゥース通信部61から得られるリズム音信号や楽音信号をデジタルからアナログに変換して、LチャンネルとRチャンネルとに分離するステレオ信号処理やフィルタ処理、増幅処理などその他の信号処理を施して出力する。アンプ63は、信号処理部62から出力されるステレオ信号を、ボリューム7aの調整に応じた音量で左右のスピーカ64Lおよび64Rから発音する。
次に、携帯電話装置5の動作について、CPU11によって実行されるフローチャートおよび表示部16の画面、RAM13のバッファエリア、レジスタ、フラグ、変数などに記憶されるデータに基づいて説明する。
図5および図6は、メインルーチンのフローチャートである。図5において、RAM13の初期化などの所定のイニシャライズ(ステップSA1)の後、待受画面を表示する(ステップSA2)。そして、オフフックスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSA3)。このスイッチがオンされたときは、番号入力画面を表示して(ステップSA4)、テンキースイッチによって入力された番号又はアドレス帳から呼び出された特定の番号を入力する番号入力処理を行ない(ステップSA5)、発信スイッチのオンによってその番号を無線通信網に発信して(ステップSA6)、スピーカによって呼出報知を行う(ステップSA7)。そして、相手側との回線接続が確立したか否かを判別し(ステップSA8)、回線接続が確立したときは、通話処理に遷移する(ステップSA9)。通話処理中においては、オンフックスイッチがオンされたか否かを判別し(ステップSA10)、このスイッチがオンされたときは、回線切断などの終話処理を行って(ステップSA11)、ステップSA2に移行して待受画面を表示する。
ステップSA3において、オフフックスイッチがオンでない場合には、図6において、メニュースイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSA12)。このスイッチがオンされたときは、メニュー画面を表示して(ステップSA13)、1つのメニューにフォーカスする(ステップSA14)。例えば、最初のメニューや前回選択されたメニューを強調して表示する。次に、カーソルスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSA15)。このスイッチがオンされたときは、フォーカス位置を移動する(ステップSA16)。そして、選択スイッチがオンされたか否かを判別し(ステップSA17)、このスイッチがオンでない場合には、戻るスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSA18)。戻るスイッチがオンでない場合には、ステップSA15においてカーソルスイッチのオンを判別し、戻るスイッチがオンされたときは、図5のステップSA2に移行して待受画面を表示する。
図7(A)は、メニュー画面を示す図であり、図7(B)は、スイッチ部15においてメニュー画面および後述するその他の画面に表示されたアイコンに対応するカーソルスイッチ151、決定、スタート/ストップの操作を行う選択スイッチ152、および戻るスイッチ153を示す図である。メニュー画面には、複数のメニューが表示されるとともに、「選択」アイコンおよび「戻る」アイコンが表示される。カーソルスイッチ151の操作に応じて、強調表示されるメニューのフォーカス位置が変化する。図7(A)の画面では、ドラム演奏のメニューにフォーカスが表示されている。
図6のステップSA17において、選択スイッチがオンされたときは、そのときのフォーカス位置のメニューを実行する。フォーカス位置がドラム演奏であるか否かを判別し(ステップSA19)、ドラム演奏である場合には、ドラム設定処理を実行する(ステップSA20)。フォーカス位置がドラム演奏でない場合には、フォーカス位置が再生であるか否かを判別する(ステップSA21)。再生である場合には、フラッシュメモリ18に録音したドラム演奏のデータやダウンロードした曲のデータを再生する再生処理を行う(ステップSA22)。フォーカス位置がドラム演奏でも再生でもない場合には、フォーカス位置に対応する処理を行う(ステップSA23)。ドラム設定処理、再生処理、又はその他のフォーカス位置に対応する処理の後は、ステップSA13のメニュー画面に戻る。
一方、ステップSA12において、メニュースイッチがオンでない場合には、他のスイッチがオンされたか否かを判別し(ステップSA24)、いずれかのスイッチがオンされたときは、そのスイッチに対応する処理を行って(ステップSA25)、図5のステップSA2に移行して待受画面を表示するが、いずれのスイッチもオンでない場合には、図5のステップSA3に移行して、各スイッチがオンを判別する。
図8および図9は、ドラム設定処理のフローチャートである。図8において、まず、設定画面を表示する(ステップSB1)。そして、所定のフォーカス表示を行う(ステップSB2)。図10は、ドラム設定処理における設定画面の内容を示す図である。この図に示すように、設定画面には、「前回設定」、「今回設定」、「デフォルト」、「メロディ」の有無、「録音」の有無の選択メニューが表示され、「選択」アイコン、「戻る」アイコンが表示される。この図では、前回設定、メロディ無し、および録音無しにフォーカスが表示されている。
図8においてフォーカス表示をした後は、カーソルスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSB3)。このスイッチがオンされたときは、フォーカス位置を移動する(ステップSB4)。次に、選択スイッチがオンされたか否かを判別し(ステップSB5)、このスイッチがオンでない場合には、戻るスイッチがオンされたか否かを判別し(ステップSB6)、このスイッチがオンされたときは、図6のメインルーチンに戻る。戻るスイッチがオンでない場合には、カーソルスイッチのオンを判別する。ステップSB5において、選択スイッチがオンされたときは、フォーカスされている設定内容を実行する。前回設定がフォーカスされているか否かを判別し(ステップSB7)、前回設定にフォーカスされている場合には、前回設定のデータをフラッシュメモリ18から読み出す(ステップSB8)。フォーカスされているのが前回設定でない場合には、デフォルトにフォーカスされているか否かを判別し(ステップSB9)、デフォルトにフォーカスされている場合には、デフォルトのデータをフラッシュメモリ18から読み出す(ステップSB10)。
フォーカスされているのが前回設定でもなくデフォルトでもない場合には、図9において、今回設定にフォーカスされているか否かを判別する(ステップSB11)。今回設定にフォーカスされている場合には、設定画面を表示する(ステップSB12)。そして、所定の設定項目にフォーカスを表示する(ステップSB13)。また、所定の仮想楽器にラジオボタンを表示する(ステップSB14)。フォーカスを表示する設定項目の内容、および、ラジオボタンを表示する仮想楽器については、例えば、前回設定の内容に従う。図11は、ドラム演奏の設定画面を示す図である。この図では、「右足」演奏に対応する「バス」、「左足」演奏に対応する「ハイハット」がフォーカスされ、右手演奏に対応する仮想楽器として「タムタム」、「フロアタム」、および「トップシンバル」、左手演奏に対応する仮想楽器として「スネア」および「ハイハット」のラジオボタンが有効(黒丸)に設定されている。この画面にも、スイッチ部15のスイッチに対応して、「選択」アイコンおよび「戻る」アイコンが表示される。
次に、カーソルスイッチがオンされたか否かを判別し(ステップSB15)、このスイッチがオンされたときは、フォーカス位置を移動する(ステップSB16)。また、カーソルスイッチによってラジオボタンが指定されたか否かを判別し(ステップSB17)、ラジオボタンが指定されたときは、その指定されたラジオボタンを無効から有効に又は有効から無効に反転する(ステップSB18)。次に、選択スイッチがオンされたか否かを判別し(ステップSB19)、このスイッチがオンでない場合には、戻るスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSB20)。このスイッチがオンされたときは、図8のステップSB1に移行して設定画面を表示するが、戻るスイッチがオンでない場合には、ステップSB15においてカーソルスイッチのオンを判別する。
一方、ステップSB11において、フォーカス位置が今回設定でない場合には、メロディがフォーカスされているか否かを判別し(ステップSB21)、メロディがフォーカスされている場合には、曲選択処理を実行する(ステップSB22)。曲選択処理においては、フラッシュメモリ18に記憶されている1つ以上の曲を画面に表示して、ドラム演奏とともに発音させるメロディの曲データをカーソルスイッチおよび選択スイッチの操作に応じて設定する。フラッシュメモリ18に記憶されている曲としては、いわゆる「着メロ」や「着うた」の曲データでもよいし、ドラム演奏用に作成又は編集されたリズムパートだけを除いた「マイナスワン」の曲データでもよい。曲選択処理の後は、フラグMFを「1(メロディオン)」にセットする(ステップSB23)。ステップSB21において、フォーカス位置がメロディでない場合には、録音がフォーカスされているか否かを判別し(ステップSB24)、録音がフォーカスされている場合には、フラグRFを「1(録音)」にセットする(ステップSB25)。RFが「1」の場合には、ドラム演奏のデータがフラッシュメモリ18に記憶される。
ステップSB19において選択スイッチがオンされたとき、又は、ステップSB23にいてMFを「1」にセットした後、若しくは、ステップSB25においてRFを「1」にセットした後は、決定画面を表示する(ステップSB26)。図12は、ドラム演奏の決定画面の例を示す図である。この画面には、図10および図11の画面において設定された内容が表示されるとともに、「スタート/ストップ」アイコンおよび「戻る」アイコンが表示される。そして、「スタート/ストップ」アイコンに対応するスイッチ部15の選択スイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSB27)。このスイッチがオンでない場合には、戻るスイッチがオンされたか否かを判別する(ステップSB28)。このスイッチがオンされたときは図8のステップSB1に移行して設定画面を表示するが、戻るスイッチがオンでない場合には、ステップSB27において選択スイッチのオンを判別する。選択スイッチがオンされたときは、ドラム処理を実行する(ステップSB29)。ドラム処理が終了したときは、図6のメインルーチンに戻る。
なお、選択スイッチがオンされたときは、図12の設定内容に対応して、RAM13には、図13に示すような配列ARのデータが記憶される。この図において、縦の行であるmの値(1〜4)は、右足(1)、左足(2)、右手(3)、左手(4)すなわち演奏者の身体の部位を表し、横の列であるnの値(1〜6)は、仮想楽器の種類即ちドラムの種類であるバス(1)、ハイハット(2)、タムタム(3)、フロアタム(4)、トップシンバル(5)、スネア(6)を表している。mの行とnの列とが交わった部分のデータ(1又は0)によって、演奏する部位と演奏するドラムとの関係を表している。すなわち、図13には図12において選択された設定内容が示されている。例えば、右足(1)はバス(1)を演奏し、左足(2)はハイハット(1)を演奏する。足で演奏できないドラムは「/(非選択マーク)」で区別されている。同様に、右手(3)はタムタム(3)、フロアタム(4)、トップシンバル(5)を演奏し、左手(4)はハイハット(2)、スネア(6)を演奏する。
図14は、図9におけるステップSB29のドラム処理のフローチャートである。図14において、図12の画面でスタート/ストップに対応する選択スイッチがオンされたか否かを判別し(ステップSC1)、このスイッチがオンされたときはスタートフラグSTFを反転する(ステップSC2)。STFを反転した後、又は、ステップSC1においてスタート/ストップスイッチがオンでない場合には、STFが「1」であるか否かを判別する(ステップSC3)。STFが「1」である場合には、後述する演算処理回路をアクティブにするENが「0」であるか否かを判別し(ステップSC4)、ENが「0」である場合にはこれを「1」にセットする(ステップSC5)。ENが「1」である場合又はENを「1」にセットした後は、音声処理(ステップSC6)、画像処理(ステップSC7)、その他の処理(ステップSC8)を行い、ステップSC1に移行して、スタート/ストップスイッチがオンされたか否かを判別する。したがって、STFが「1」になってドラム処理が開始した後は、スタート/ストップスイッチがオンされない限り、ステップSC6からステップSC8までのドラム処理を続行する。ドラム処理中において、スタート/ストップスイッチがオンされて、ステップSC3においてSTFが「0」と判別されたときは、ENを0にリセットして(ステップSC9)、メインフローに戻る。なお、ステップSC8のその他の処理は、電源の低下やその他の異常を検出する処理などである。
図15は、ステップSC6における音声処理のフローチャートである。まず、ドラム演奏中であるかドラム演奏停止中であるかを表すフラグLFが「0(演奏停止中)」又は「1(演奏中)」であるかを判別する(ステップSD1)。LFが「1」である場合には、図14の画像処理に移行するが、LFが「0」である場合には、ドラム演奏に先立つテストの実施を表すフラグSBFが「0」であるか又は「1」であるかを判別する(ステップSD2)。LFが「0」で且つSBFが「0」である場合には、ドラム演奏に先立つテストがまだ実施されていない場合である。この場合には、SBFを「1」にセットして(ステップSD3)、ブルートゥース通信部20を介して、ヘッドホン装置6に対してテスト開始の音声メッセージを出力する(ステップSD4)。例えば、「各ドラムの音出しテストを行います」のような音声メッセージを出力する。
次に、演奏する部位を示す変数mおよび演奏対象のドラムを示す変数nを共に「1」にセットして(ステップSD5)、mおよびnの値をインクリメントしながら、以下のループを実行する。図13に示した配列ARにおいて、AR(m,n)が「1」であるか否かを判別する(ステップSD6)。すなわち、mで指定する身体の部位がnで指定するドラムD(n)を演奏するように設定されているか否かを判別する。AR(m,n)が「1」である場合には、mの部位でD(n)を演奏する旨の音声メッセージをヘッドホン装置6に出力する(ステップSD7)。例えば、「右手でタムタムを叩いて下さい」のような音声メッセージを出力する。そして、フラグDF(m,n)を「1」にセットし(ステップSD8)、タイマレジスタに所定値Tの値をセットする(ステップSD9)。すなわち、mの部位によるD(n)の音出しテストの状態をセットする。また、タイマインタラプトを許可する。Tの値としては、例えば、数分ないし十数分が適当である。
タイマをセットした後、又は、ステップSD2において、SBFが「1」である場合すなわちドラム演奏に先立つテストが実施中である場合には、フラグDF(m,n)が「0」にリセットされたか否かを判別する(ステップSD10)。このフラグが「1」でまだmの部位によるD(n)の音出しテスト中である場合には、タイマの値が「0」に達したか否かを判別する(ステップSD11)。すなわち、mの部位によるD(n)の音出しテストの音声メッセージの指示にもかかわらず、その指示に従ったテスト演奏がされない時間が5分を経過したか否かを判別する。5分が経過していない場合には、図14の画像処理に移行する。そして、再び図15のフローチャートにおいて、ステップSD2、ステップSD3を経て、フラグDF(m,n)が「0」にリセットされたか否かを判別するが(ステップSD10)、このフラグが「1」である場合には、タイマの値が「0」に達したか否かを判別する(ステップSD11)。タイマの値が「0」に達したとき、すなわち、5分が経過した場合には、何らかの事情で演奏者がドラム演奏を中断したと判断して、STFを「0」にリセットして(ステップSD12)、図14のフローチャートに戻る。したがって、図14のステップSC3の判別によって、ステップSC8でENを0にリセットして、メインルーチンに戻る。
図15のステップSD10において、フラグDF(m,n)が「0」にリセットされた場合、又は、ステップSD6においてAR(m,n)が「0」である場合には、nの値をインクリメントする(ステップSD13)。そして、nの値が最大値MAXを超えたか否かを判別する(ステップSD14)。最大値は、図13に示したようにmの番号に対応する部位ごとに異なる。最大値を超えていない場合には、ステップSD6に移行して、ステップSD14までのループを繰り返す。ステップSD14において、nの値が最大値MAXを超えたときは、mの値をインクリメントするとともに、nの値を「1」にセットする(ステップSD15)。このとき、mの値が「4」を超えたか否かを判別し(ステップSD16)、「4」を超えていない場合には、ステップSD6に移行して、ステップSD15までのループを繰り返す。
ステップSD15において、mの値が「4」を超えたとき、すなわち、演奏者の身体において設定しているすべての部位のテスト演奏が終了したときは、フラグSBFを「0」にリセットして(ステップSD17)、フラグLFを「1」にセットし(ステップSD18)、図14の画像処理に移行する。
図16は、携帯電話装置5のカメラ部17bの回路を示す図である。MOS撮像素子31は、図2に示したレンズ5eから入射する映像を光電変換して画像信号を出力する。MOS撮像素子31は、任意の画素の読み出しが可能ないわゆるX−Yアドレス型の撮像素子である。図17は、MOS撮像素子31の内部構成を示す図である。水平シフトレジスタ41は、水平方向(X方向)の画素を駆動する水平パルス信号を出力する。垂直シフトレジスタ42は、垂直方向(Y方向)の画素を駆動する垂直パルス信号を出力する。FETスイッチ群43は、水平シフトレジスタ41からの水平パルス信号に応じて、垂直方向に配列された画素列の中から特定の画素列を選択する。この実施形態のMOS撮像素子31の画素は、図17では一部しか示していないが、水平方向に480個、垂直方向に640個の約30万画素で構成されている。各画素は、赤(R)、緑(G)、および青(B)の原色系のカラーフィルタ、フォトダイオード、FETスイッチで構成されている。そして、例えば画素44に示すように、青のカラーフィルタBを透過した特定の波長の光がフォトダイオードによって光電変換され、ゲートに印加される垂直パルス信号によってオンになるFETスイッチを通って、水平パルス信号によってオンとなったFETスイッチ43を介して読み出される。この実施形態においては、FETスイッチ群43は、赤系統の画像信号(Rout)、緑系統の画像信号(Gout)、および青系統の画像信号(Bout)を独立して出力する構成になっている。
図16において、MOS撮像素子31から出力される赤系統の画像信号、緑系統の画像信号、および青系統の画像信号は、利得制御および相関二重サンプリングを行う3系統のAGC/CDS回路32R、32G、32Bを経て、A/D変換回路33R、33G、33Bによってアナログからデジタルに変換されて、マルチプレクサ回路34に入力される。これら3系統の画像信号は、マルチプレクサ回路34によって合成されて、例えば、NTSCの複合画像信号として画像処理回路35に入力される。画像処理回路35においては、NTSCの複合画像信号は、図3の携帯電話装置5の画面5dに表示できるように1画面のビットマップの画像信号に変換される。
一方、A/D変換回路33R、33G、33Bから出力される3系統の画像信号は、演算処理回路36に入力される。演算処理回路36は、図14のステップSC4において、CPU11によって1(ハイレベル)によってアクティブにされ、CPU11からのクロック信号CLK、プリセットデータkr、kb、kgに応じて、3系統の画像信号を処理して、演算処理回路36およびCPU11の両方からアクセスできるダブルポートメモリ38に記憶して演算処理を行う。赤系統の画像信号、緑系統の画像信号、および青系統の画像信号の中には、各系統の色を全て含む白系統の画像信号が含まれている。このため、図1に示した赤球1、青球2、緑球3、および緑球4の各系統の画像信号だけを抽出する必要がある。
図18は、各系統の画像信号を抽出する回路であり、図19は、その抽出処理を模式的に示した図である。演算処理回路36に入力される赤系統の画像信号Rin、緑系統の画像信号Gin、および青系統の画像信号Binは、図19に示すように、それぞれ白系統の画像信号Wを共通に含んでいる。したがって、図18のAND回路361によって3系統の画像信号の積を演算して、白系統の画像信号Wを抽出する。次に、3つの減算回路362、363、364のプラス端子に各系統の画像信号を入力し、全ての減算回路のマイナス端子にAND回路361からの出力である白系統の画像信号Wを入力すると、それぞれの減算回路からは、図19に示すように、赤系統だけの画像信号Rout、緑系統だけの画像信号Gout、および青系統だけの画像信号Boutが出力される。
図20は、ダブルポートメモリ38の構成を示す図である。ダブルポートメモリ38は、図20(A)に示すような、赤系統だけの画像信号、緑系統だけの画像信号、および青系統だけの画像信号をそれぞれ1フレーム記憶する複数のフレームメモリ381、382、383を有するとともに、図20(B)に示すような、座標データを記憶するエリア384を有する。例えば、赤球1の画像は、図20(C)に示すように、赤球1の画像の検出位置Pd(r,n)がフレームメモリ381に記憶される。ここで、rは赤球1を表し、nは初期位置のフレームから移動したn番目のフレームを表している。Pd(r,n)のx座標はx(r,n)であり、y座標はy(r,n)である。そして、赤球1、青球2、緑球3、および緑球4の現在位置のx座標およびy座標が、図20(B)に示すエリア384に記憶される。
次に、赤球1、青球2、緑球3、および緑球4の現在位置のx座標およびy座標を演算する信号処理について、赤球1を例に採って説明する。図21は、演算処理回路36における現在位置の座標算出および次の座標を取得するためのスキャン範囲算出の回路を示し、図22は、スキャン範囲算出の例を示す図である。図21において、初期位置からn番目のフレームにおける現在位置Pd(r,n)=x(r,n),y(r,n)は、フリップフロップ回路365および減算回路366に入力される。減算回路366においては、Pd(r,n)から1フレーム前のPd(r,n−1)が減算され、その差分すなわち前回のフレームから現在のフレームまでの間に赤球1が移動した移動成分Δ(r,n)が算出される。Δ(r,n)は、符号を含むベクトルであり、Δ(r,n)=Δx(r,n)+Δy(r,n)として表される。
次に、加算回路367において、減算回路366からの移動成分Δ(r,n)と現在位置Pd(r,n)とが加算されて、次のフレームにおける予測位置Pt(r,n+1)が算出される。さらに、加算回路368においてPt(r,n+1)にプリセットデータkrが加算され、減算回路369においてPt(r,n+1)からkrが減算される。そして、減算回路369からは次のフレームで赤球1を検出するためのスキャン範囲の始点位置Ps(r,n+1)が算出され、加算回路368からはスキャン範囲の終点位置Pe(r,n+1)が算出される。この始点位置Ps(r,n+1)および終点位置Pe(r,n+1)は、パルス発生回路370に入力されて、クロック信号CLKに同期したスキャン信号Pc(r,n+1)が、図16のタイミングパルス発生回路37に入力される。タイミングパルス発生回路37からは、次のフレームにおいて赤球1を検出する範囲を指定する駆動信号がMOS撮像素子31に入力される。青球2、緑球3、および緑球4の場合も同様である。
図22において、赤球1の初期位置の画像をir0とする。赤球1が移動して次のフレームでの画像をir1とすると、点線で示す丸の位置を算出し、次のスキャン範囲ra2を設定する。次のフレームでの画像をir2とすると、点線で示す丸の位置を算出し、次のスキャン範囲ra3を設定する。このように、赤球1の移動に応じて次のスキャン範囲を設定しながら、赤球1の移動軌跡を追跡しながら、フレームごとの赤球1の検出位置の座標を順次、図20(B)のエリア384に記憶する。青球2、緑球3、および緑球4の場合も同様である。図20(A)に示したように、各色のフレームメモリは独立しているので、図22に示すように、赤球1の移動軌跡の画像irn(n=0,1,2,…)と青球2の移動軌跡の画像ibnとが交わるような場合でも、検出に不都合は生じない。緑球3、および緑球4の場合には、同じフレームメモリに緑色の球の画像が記憶されるが、図1に示したように、右足103と左足104とが交わることはなく、緑球3は画面の右側、緑球4は画面の左側に存在するので、検出に不都合は生じない。なお、初期位置の画像を検出したときは、次の移動位置を予測できないが、図20(C)に示すように、やや広い範囲のスキャン位置ar1を設定する。
CPU11から入力されるプリセットデータkr、kb、kg1、kg2は、あらかじめ設定された定数、例えば、各球の画像における直径の5倍ないし10倍又はそれ以上でもよいが、テスト演奏において各球の移動速度に応じてテンポラリに設定する値でもよい。図20(B)のエリア384に記憶された各球の現在位置の座標は、CPU11によって順次読み出されてRAM13に転送され、CPU11の画像処理によって赤球1、青球2、緑球3、および緑球4の移動軌跡が分析される。MOS撮像素子31は任意のスキャン範囲を設定して各球の位置を検出する。2005年5月現在において市販されているある携帯電話装置においては、204万画素のMOS撮像素子の読出速度は、最大30fps(フレーム/秒)であるので、30万画素のMOS撮像素子では204fpsとなる。図22に示したスキャン範囲ra2,ra3,…を画面全体の1/10とすると、4個の球の中で、2個の緑球3,4を検出するためのスキャン範囲は、画面全体の1/5になるので、その読出速度は約1msである。その後の演算処理の時間を考慮しても、4個の球の位置検出に要する予測時間は2msもあれば十分である。しかし、様々な仕様の携帯電話装置を想定して、実施形態においは大きく見積もって10msと仮定する。
図23は、図14におけるステップSC7の画像処理のフローチャートである。まず、STFが「1」であるか否かを判別し(ステップSE1a)、STFが「0」である場合には画像処理を行うことなく図14のフローチャートに戻るが、STFが「1」である場合には、CPU11は、ダブルポートメモリ38から各球の座標データを読み出し、RAM13に記憶する(ステップSE1b)。そして、変数mで指定された部位すなわち特定色の球の移動軌跡の判定が可能であるか否かを判別する(ステップSE2)。判定できない場合には図14のフローチャートに戻るが、判定できたときはフラグSBFが「1(音出しテスト中)」であるか否かを判別する(ステップSE3)。SBFが「1」である場合には、RAM13の画像エリアG(m)に登録する(ステップSE4)。次に、登録したG(m)の動画の移動軌跡すなわち動線を検出したか否かを判別する(ステップSE5)。G(m)の動線を検出したときは、レジスタRTの値(初期値は0)をインクリメントする(ステップSE6)。また、D(n)の音色で発音する(ステップSE7)。すなわち、mの部位でD(n)を演奏する音声メッセージに応じて、演奏者が仮想のD(n)を演奏したときは、音源部19によってD(n)に対応する音色の楽音信号を発生させて、ブルートゥース通信部20を介して、その楽音信号をヘッドホン装置6に出力して発音させる。
ステップSE7の発音処理の後は、RTの値が所定回数Nに達したか否かを判別する(ステップSE8)。例えば、mの部位でD(n)を演奏する音声メッセージの指示が、左手のスティックでハイハットを演奏する指示であるとすると、ハイハットの位置と演奏の動線とを確定するために、演奏者に仮想楽器であるハイハットを演奏する動作を何回かさせる必要がある。また、演奏者にとっても、ハイハットを演奏するイメージを把握する必要がある。このため、連続してN回(5回ないし10回程度)、ハイハットのテスト演奏を行う。Nの値はあらかじめ設定されているが、演奏者の設定によって任意の回数に変更できるものとする。
ステップSE8において、RTの値がNの値に達していない場合には、図14のフローチャートに戻るが、RTの値がNの値に達したときは、確定動線の演算処理を行う(ステップSE9)。図24は、右手(m=3)でトップシンバル(n=5)のテスト演奏をN回行ったときの、確定動線の演算処理を説明するための図である。この図において、E1(x,y)、E2(x,y)、…Ej(x,y)は、図1に示したスティック1aのテスト演奏において、10msごとの先端部の赤球1の画像の座標を包含する楕円の関数を表している。すなわち、10msごとの赤球1の画像の座標は、次第に面積が広がるE1(x,y)、E2(x,y)、…Ej(x,y)の楕円内に存在する。言い換えれば、N回のテスト演奏の動線が、2次元の楕円関数であるE1(x,y)、E2(x,y)、…Ej(x,y)の集合で表される3次元の立体的な楕円管の中に存在する。
なお、脚によるバスやハイハットの仮想演奏すなわち仮想のペダル演奏の場合には、10msごとの緑球3、4の変位量が小さいので、図24の各楕円関数の位置はかなり接近した関係になる。
例えば、右手でトップシンバルを叩く動作の時間を0.4秒すなわち400msと仮定する。この場合には、赤球1の画像の座標の検出回数は40回であり、10msごとの赤球1の画像の座標は、E1(x,y)、E2(x,y)、…E40(x,y)の40個の楕円内に存在することになる。この結果、右手でトップシンバルを叩く場合の確定動線C(3,5)が確定されるとともに、最後の楕円関数E40(x,y)がトップシンバルD(5)の空間位置DS(5)として確定される。ステップSE9の演算処理の後は、演算結果をRAM13のC(m,n)、DS(n)に登録する(ステップSE10)。次に、フラグDF(m,n)を「0」にリセットして(ステップSE11)、AR(m,n)の移動軌跡を登録する(ステップSE12)。そして、図14のフローチャートに戻る。なお、他のドラムのテスト演奏についても同様である。
DF(m,n)が「0」にリセットされると、図15の音声処理のフローチャートにおいて、ステップSD10からステップSD13に移行して、次のテスト演奏のドラムを指定することになる。
図23のステップSE3においてSBFが「0」である場合には、テスト演奏が終了して実際のドラム演奏に移行している。したがって、mで指定した部位の球の動線を検出したか否かを判別し(ステップSE13)、動線を検出したときは、その動線がRAM13に登録した動線C(m,n)のどれかと一致するか否かを判別する(ステップSE14)。検出した動線が登録した動線C(m,n)と一致した場合には、発音タイミングに達したか否かを判別する(ステップSE15)。この実施形態において、発音タイミングは、図24の楕円関数j−1(x,y)の位置に球の画像位置が達したタイミング、すなわち、楽器の打面として設定された楕円関数j(x,y)に球の画像位置が達する10ms前のタイミングとする。例えば、上記のように、ある球の動線すなわち移動軌跡がE1(x,y)、E2(x,y)、…E40(x,y)の40個の楕円内に存在する場合には、その球の画像位置がE39(x,y)に達したときを発音タイミングとする。発音タイミングに達したときは、10D(n)に応じた音色、各球の移動速度に応じた振幅でリズム音信号を音源部19によって発生して、ヘッドホン装置6に送信して発音させる(ステップSE16)。次に、フラグRFが「1」であるか否かを判別し(ステップSE17)、RFが「1」である場合には、発生した楽音信号をフラッシュメモリ18に録音する(ステップSE18)。録音が終了した後、又は、RFが「0」である場合、ステップSE15において発音タイミングに達していない場合、若しくは、ステップSE14において動線が登録した動線C(m,n)と一致しない場合には、図14のフローチャートに戻る。
図25は、図1に示した右手101に保持されたスティック1aの先端部の赤球1の画像ir、左手102に保持されたスティック2aの先端部の青球2の画像ib、右脚103および左脚104に取り付けた緑球3および緑球4の画像ig1,ig2のそれぞれの動線を示した図である。画像irはトップシンバルD(5)を演奏する動線を示し、画像ibはスネアD(6)を演奏する動線を示し、画像ig1は、変位量が小さいので途中を省略しているが、バスD(1)の仮想ペダルを踏む動線を示し、画像ig2は静止状態を示している。したがって、CPU11は、トップシンバルの音色、スネアの音色、バスの音色で、音源部19に対してリズム音信号を発生する指示を与える。
次に、第1実施形態の変形例について説明する。図1に示した状態で、演奏者が携帯電話装置5の画面に自分の姿を表示して演奏する位置を調整する場合には、図2に示す画面5dの中央位置とレンズ5eの位置とが若干ずれているので、画面5dに表示された自分の目線がやや下方を向くことになるので、ユーザによっては違和感を抱く場合もある。これを解消するために、表示部の画面5dを保護する透明な樹脂板又はガラス板に微小なハーフミラーを形成する。
図26は、第1実施形態の変形例における携帯電話装置5を示す図であり、図27は、図26の携帯電話装置5における透明樹脂板の断面を示す概念図である。図26において、表示部の画面5dのほぼ中央部分に対応する透明樹脂板の範囲5gには、図27の断面図に示すように、表示部の画面を保護する透明樹脂板161に、画面に対して略45度の傾斜を持つ微小なハーフミラーの集合からなるハーフミラー162が形成されている。表示部からの表示画像の光L1は、ハーフミラー162を透過して、通常の画像表示が行われる。一方、画面に対抗する被写体であるユーザの映像の光L2は、ハーフミラー162によってほぼ直角に反射されて、透明樹脂板161の内部を上方向に透過する。透明樹脂板161を透過した後の光L2は、同様に画面に対して略45度の傾斜を持つ微小なミラーの集合を有するミラー163によってほぼ直角に反射されて、レンズ164、165によってMOS撮像素子31に結像される。すなわち、内部に薄型のハーフミラー162が形成された透明樹脂板161は、言うならばフレネルレンズの反射版である。
図28は、図27のハーフミラー162およびミラー163における光反射の状態をさらに詳細に示す図である。図28(A)に示すように、ハーフミラー162の微小なハーフミラーの集合によって反射された光L2は、ミラー163によって再び反射されてカメラに向かう。この場合において、図28(B)に示すように、透明樹脂板161とハーフミラー162との角度θは、透明樹脂板161の厚さtとハーフミラー162の範囲、図では縦方向の長さhとによって決定される。すなわち、θ=arctan(t/h)で表される。ハーフミラー162の範囲が広いほどカメラの出射瞳が大きくなる。
図29は、透明樹脂板161の厚さを1ミリ、ハーフミラーの範囲を10ミリ×10ミリにした場合のハーフミラー162の構造、および、ミラー163の構造を示す図である。この場合には、透明樹脂板161とハーフミラー162との角度θは、θ=arctan(0.1)である。透明樹脂板161の厚さを2ミリにすると、θ=arctan(0.2)となる。透明樹脂板161の厚さを2ミリ、ハーフミラーの範囲を20ミリ×20ミリにすると、θ=arctan(0.1)となる。
なお、ハーフミラー162およびミラー163によって映像にひずみが発生する場合を考慮すると、カメラ部17b内に画像補正回路を設けて、光学系で発生する全てのひずみを補正するようにしてもよい。
なお、電子楽器システムに用いるためだけに携帯電話装置の透明樹脂板にハーフミラーを形成することは、コストパフォーマンスの観点からは好ましくはないが、画面を見るユーザの視線とカメラの光路とを一致させる構成は、携帯電話装置を単独で使用する場合にも有効である。携帯電話装置によってテレビ電話を行う場合に、従来の携帯電話装置では相手の目線と自分の目線とがずれているので、相手の顔を見ながら会話していても視線のずれのために違和感が生じることになる。しかし、上記第1実施形態の変形例のようなハーフミラーを形成すれば、相手の目線と自分の目線とを一致できる。したがって、汎用としての携帯電話装置にハーフミラーを形成した場合でも優れた効果が得られるので、量産化によってコストパフォーマンスを向上できる。
以上のように、この第1実施形態の電子楽器システムによれば、携帯電話装置5は、操作に応じて複数種類の指令を入力するスイッチ部15と、約110度の画角を有するレンズ5eと、赤、緑、および青からなる原色系のカラーフィルタを有するとともに、スイッチ部15からのテスト演奏指令および演奏開始指令並びに入力される駆動信号に応じて、レンズ5eから入射する略球形の形状で原色系の色彩からなる1種類以上の物体の映像を光電変換してカラーの画像信号を出力するMOS撮像素子31と、MOS撮像素子31に対して読出信号を繰り返し与えて、各読出信号ごとにMOS撮像素子31から出力される画像信号に基づいて物体の略中心位置の位置情報を検出し、前回検出した位置情報と今回検出した位置情報に基づいて撮像素子が次に光電変換する範囲を指定する駆動信号を発生してMOS撮像素子31に入力するとともに、その物体の移動軌跡を示す位置情報を順次出力する。
携帯電話装置5は、スイッチ部15から入力された打楽器演奏の指令に応じて、表示部16に複数種類の打楽器のリストを表示し、スイッチ部15から入力された打楽器選択の指令に応じて、その選択に係る1種類以上の打楽器をRAM13に記憶して設定し、スイッチ15から入力された曲選択の指令に応じて、その選択に係る曲をRAM13に記憶して設定する。
携帯電話装置5は、打楽器が設定された後に、スイッチ15から入力されたテスト演奏の指令に応じて、設定された打楽器を1つの打楽器から順に指定して、その指定した打楽器のテスト演奏を促す旨の音声信号をヘッドホン装置6に送信して発音させるとともに、MOS撮像素子31にテスト演奏指令を与えた後に、物体の移動軌跡を示す位置情報を取得したときは、その移動軌跡をその指定された打楽器の基準演奏パターンとしてRAM13に設定する。
携帯電話装置5は、設定された全ての打楽器の基準演奏パターンが設定された後に、MOS撮像素子31に入力した演奏開始指令に応じて、物体の移動軌跡の位置情報がRAM13に設定されているいずれかの打楽器の基準演奏パターンと一致するか否かを分析して、演奏開始指令に応じてRAM13に設定された曲のメロディ音の第1の楽音信号を発生するとともに、物体の移動軌跡の位置情報がRAM13に設定されているいずれかの打楽器の基準演奏パターンと一致することを分析したときは、その一致する打楽器の音色の第2の楽音信号を発生して、その第1および第2の楽音信号をヘッドホン装置6に送信して発音させる。
したがって、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができるとともに、狭い場所でも演奏することができる。
また、第1実施形態の変形例によれば、携帯電話装置5は、表示部16の画面を保護する透明樹脂板161と、その透明樹脂板161に形成されて表示部16の表示画像の光を透過するハーフミラー162と、そのハーフミラー162によって反射された被写体の映像をレンズに導くミラー163と、を有する。このハーフミラー162は、透明樹脂板161において表示部16の画面の略中央位置に対応する所定範囲に形成された微小ハーフミラーの集合であり、各微小ハーフミラーが画面に対して略45度の傾斜を有する。さらに、レンズから入射する光が光電変換されて出力された画像信号に対して、信号処理を施して画像のひずみを補正する画像補正回路をさらに有する構成にしてもよい。
図30は、第1実施形態の変形例において、携帯電話装置5の透明樹脂板161全体に微小ハーフミラーを形成した図である。この場合には、透明樹脂板161の厚みが厚くはなるが、透明樹脂板161の微小ハーフミラー(図示せず)によって反射された光を凸レンズ166によって収束させた後に、ミラー163で反射させてカメラ17bのレンズに導くような構成が可能である。
したがって、電子楽器システムに利用する場合だけでなく、テレビ電話をする場合でも、相手の視線と自分の視線とを一致させることができる。
なお、ハーフミラー162によって被写体の映像を画面の上方向に反射する構成にしたが、カメラの位置によっては下方向や横方向に反射する構成でもよい。
また、上記第1実施形態においては、MOS撮像素子31には赤(R)、緑(G)、および青(B)からなる原色系のカラーフィルタを設けた構成にしたが、シアン(Cy)、マゼンタ(Mg)、黄(Ye)、および緑からなる補色系のカラーフィルタを設ける構成にしてもよい。この場合には、2本のスティックの先端部および演奏者の脚の球の色もシアン、マゼンタ、黄、および緑で構成することが望ましいが、下記の関係式(1)ように、補色系の各色は原色系の色で表される。したがって、原色系の各色も関係式(2)のように表されるので、第1実施形態と同じく赤球、青球、および緑球でもよい。
Cy=B+G、Mg=B+R、Ye=G+R (1)
R=Ye−G、B=Cy−G (2)
また、上記第1実施形態においては、各球の位置検出を速くするためにカメラ部17bの撮像素子にMOS撮像素子を用いたが、CCD撮像素子を用いてカメラ部17bを構成することも可能である。2005年の5月現在において市販されている携帯電話装置の中には、204万画素のCCD撮像素子で1秒間に表示できる動画像のコマ数が15fps(フレーム/秒)のものがある。したがって、上記第1実施形態の30万画素のMOS撮像素子の代わりに、30万画素のCCD撮像素子を用いると102fpsが可能であり、約10msごとにフレーム画像を読み出すことができる。この場合にも、図16に示したダブルポートメモリ38には、図20に示した3種類のフレームメモリ381、382、および383を設ける。したがって、CPU11は、CCD撮像素子から1フレームの画像信号を全て読み出してフレームメモリに記憶する必要があるが、記憶した1フレームの全ての画像信号を検索する必要はない。前回検出した位置情報と今回検出した位置情報に基づいて、その1フレームの中の範囲を決定して次の位置情報を検出することができる。この結果、CCD撮像素子を用いた場合には、MOS撮像素子を用いた第1実施形態よりも遅くなるが、十分に速い速度で4種類の球の移動軌跡を検出することが可能である。
また、上記第1実施形態においては、カメラ部17bのレンズの視野角を110度としたが、図1の状態よりも携帯電話装置5との距離を長くして演奏できるスペースがあるならば、90度以上の視野角でも十分である。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図31は、第2実施形態の電子楽器システムの構成を示す図である。図31において、机51の上にノート型のパーソナルコンピュータ(以下、「ノートパソコン」という)52が置かれている。ノートパソコン52は、表示部53およびキーボード54を有するとともに、左右のスピーカ56L、56Rに接続されている。また、ノートパソコン52の横には、第1実施形態と同じような構造の携帯電話装置5が置かれている。ノートパソコン52と携帯電話装置5とはブルートゥース通信(又は、赤外線通信)によって指令およびデータの送受信を行うことが可能である。この場合において、携帯電話装置5からノートパソコン52に送信するデータは画像データではなく数値データである。例えば、赤球1、青球2、緑球3、および緑球4をそれぞれ「00」、「01」、「10」、「11」で表した場合には、30万画素のx座標およびy座標はそれぞれ10ビットで十分に表されるので、22ビットによって各球の座標を表すことができる。したがって、ブルートゥース通信(又は、赤外線通信)によって高速のデータ送信が可能である。
第1実施形態においては、表示部16に表示した打楽器のメニューの中から、スイッチ部15の操作に応じて打楽器の種類や曲を設定して、カメラ部17bによって赤球1、青球2、緑球3、および緑球4の移動軌跡を検出し、その移動軌跡によって打楽器および曲の楽音信号を発生する構成にしたが、第2実施形態においては、ノートパソコン52の表示部53に表示した打楽器のメニューの中から、ノートパソコン52のキーボード54の操作に応じて打楽器の種類や曲を設定して、ブルートゥース通信によって携帯電話装置5にテスト演奏指令および演奏開始指令を送信する。携帯電話装置5は、テスト演奏指令および演奏開始指令を受信して、カメラ部17bによって赤球1、青球2、緑球3、および緑球4の移動軌跡を検出し、その移動軌跡のデータをブルートゥース通信によってノートパソコン52に送信する。ノートパソコン52は、移動軌跡のデータを受信して、打楽器および曲の楽音信号を発生し、スピーカ56L、56Rから発音する。また、演奏前においては、携帯電話装置5によって撮像された赤球1、青球2、緑球3、および緑球4の画像とともに演奏者の画像をノートパソコン52の表示部53に表示して、演奏前の位置合わせを行うことができる。
すなわち、第1実施形態では携帯電話装置5だけで各球の検出から楽音信号の発生までを行ったが、第2実施形態においては、赤球1、青球2、緑球3、および緑球4の移動軌跡を検出する処理を携帯電話装置5が分担し、打楽器の種類や曲を設定する処理、および、移動軌跡に応じて楽音信号を発生する処理はノートパソコン52が分担する構成になっている。したがって、ノートパソコン52の表示部53の大きい画面によって、容易に演奏前の位置合わせを行うことができる。さらに、演奏開始の後は、表示部53の大きい画面に曲のメロディパートおよびドラムパートを含む複数のパートの楽譜を表示して、曲の進行に応じて音符の表示色を順次変化させる構成が可能になるので、様々な曲のドラム練習に効果がある。また、ノートパソコン52にDTM(デスクトップミュージック)などのアプリケーションソフトをインストールすれば、インターネットなどのネットワークを介して配信されるMIDIデータを編集して、ドラムパートを除くいわゆるマイナスワンの曲を生成し、曲選択に応じて選択される候補としてハードディスク等に記憶できる。
したがって、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができるとともに、狭い場所でも演奏することができる。
また、図31のように携帯電話装置5を開いてカメラ部17bを使用しなくても、携帯電話装置5を閉じた状態でカメラ部17aによって赤球1、青球2、緑球3、および緑球4の移動軌跡を検出することも可能である。例えば、マジックテープ(登録商標)などで携帯電話装置5を鏡に固定すれば、演奏する姿を見ながら仮想のドラム演奏が可能になる。この場合においても、MOS撮像素子を用いた場合には、例えば、204万画素の中から任意のスキャン範囲を設定してその範囲の画素だけを読み出すことができるので、30万画素の場合と同様に、高速の検出処理が可能である。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態においては、カメラ付きノートパソコンによって電子楽器システムを構成する。図31を援用して第3実施形態を説明する。ノートパソコン52の表示部53の上側には広角のレンズ55(光学部材)が設けられ、図には示していないがレンズ55の奥にはMOS撮像素子又はCCD撮像素子が配置されている。すなわち、この第3実施形態においては、表示部53に表示した打楽器のメニューの中から、キーボード54の操作に応じて打楽器の種類や曲を設定して、レンズ55を含む内部のカメラ部によって赤球1、青球2、緑球3、および緑球4の移動軌跡を検出し、その移動軌跡によって打楽器および曲の楽音信号を発生して、スピーカ56L、56R(オーディオ装置)から発音する。
したがって、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができるとともに、狭い場所でも演奏することができる。
次に、第3実施形態の変形例について説明する。この変形例においては、第1実施形態の変形例と同様に、表示部53の画面を保護する透明樹脂板にハーフミラーを形成する。すなわち、図31において、表示部55の略中央位置に、各微小ハーフミラーが画面に対して略45度の傾斜を有するハーフミラー531を形成する。レンズは表示部53の上側、下側、又は横側の内部に設けられている。ハーフミラー531によって反射された被写体の映像はミラー(図示せず)によって反射され、レンズによって撮像素子に結像する。この場合にも、レンズから入射する光が光電変換されて出力された画像信号に対して、信号処理を施して画像のひずみを補正する画像補正回路をさらに有する構成にしてもよい。
したがって、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができるとともに、狭い場所でも演奏することができる。
なお、この構成によれば、電子楽器システムに利用する場合だけでなく、テレビ電話をする場合でも、相手の視線と自分の視線とを一致させることができる。
次に、本発明の第4実施形態ないし第6実施形態について、図32を参照して説明する。第4実施形態は、デジタルカメラ7およびノートパソコン52によって電子楽器システムを構成する。デジタルカメラ7とノートパソコン52とはUSBケーブルによって接続されている。ただし、デジタルカメラ7には、第1実施形態において示した携帯電話装置5のように演算処理回路が必要である。他の基本的な構成は第2実施形態と同じである。この場合にも、デジタルカメラ7からノートパソコン52に送信するデータは22ビットで構成されるので、USBケーブルによって高速のデータ送信が可能になる。
したがって、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができるとともに、狭い場所でも演奏することができる。
第5実施形態は、ビデオカメラ8およびノートパソコン52によって電子楽器システムを構成する。ビデオカメラ8とノートパソコン52とはUSBケーブルによって接続されている。ただし、ビデオカメラ8には、第1実施形態において示した携帯電話装置5のように演算処理回路が必要である。他の基本的な構成は第2実施形態と同じである。この場合にも、ビデオカメラ8からノートパソコン52に送信するデータは22ビットで構成されるので、USBケーブルによって高速のデータ送信が可能になる。
したがって、第2実施形態と同様の効果が得られる。
なお、2005年5月現在において販売されているビデオカメラ8の多くは、表示部を操作して撮影者自身を撮像することができるので、ビデオカメラ8に具備されている音声処理機能を使用すれば、第1実施形態の場合と同様に、ビデオカメラ8とオーディオ装置とによって電子楽器システムを構成することができる。
したがって、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができるとともに、狭い場所でも演奏することができる。
第6実施形態は、ウェブ(Web)カメラ9およびノートパソコン52によって電子楽器システムを構成する。ウェブカメラ9は、パソコンに接続してテレビ電話、ライブ配信、ビデオチャットに利用するために安価に販売されているモニタカメラである。図33は、ウェブカメラ9をノートパソコン52に装着した状態を示す図である。図33に示すように、ウェブカメラ9はカメラ部91とクリップ部92とを有し、ヒンジ部93によってカメラ部91の画角の方向を調整することができる。ウェブカメラ9とノートパソコン52とはUSBケーブル94によって接続されている。この場合にも、ウェブカメラ9には、第1実施形態において示した携帯電話装置5のように演算処理回路が必要である。他の基本的な構成は第2実施形態と同じである。この場合にも、ウェブカメラ9からノートパソコン52に送信するデータは22ビットで構成されるので、USBケーブルによって高速のデータ送信が可能になる。
したがって、実際のドラムと同じような感覚で演奏することができるとともに、狭い場所でも演奏することができる。
第1実施形態における電子楽器システムの構成を示す図である。 図1の携帯電話装置の構造を示す図である。 図1の携帯電話装置の内部構成を示すブロック図である。 図1のヘッドホン装置の内部構成を示すブロック図である。 第1実施形態におけるCPUのメインルーチンのフローチャートである。 図5に続くCPUのメインルーチンのフローチャートである。 (A)はメニュー画面を示す図、(B)はスイッチの構成を示す図である。 図6におけるドラム設定処理のフローチャートである。 図8に続くドラム設定処理のフローチャートである。 第1実施形態におけるドラム演奏の設定画面を示す図である。 第1実施形態におけるドラム演奏の設定画面を示す図である。 第1実施形態におけるドラム演奏の決定画面の例を示す図である。 図3のRAMに記憶された配列ARのデータを示す図である。 図9におけるドラム処理のフローチャートである。 図14における音声処理のフローチャートである。 図3のカメラ部の内部構成を示すブロック図である。 図16のMOS撮像素子の一部の回路図である。 図16の演算処理回路の一部の回路図である。 図18の演算処理回路の画像信号の抽出処理を模式的に示した図である。 図16のダブルポートメモリの構成を示す図である。 図16の演算処理回路におけるスキャン範囲算出の回路図である。 図21の回路におけるスキャン範囲算出の例を示す図である。 図14における画像処理のフローチャートである。 テスト演奏の確定動線の演算処理を説明するための図である。 赤球、青球、および2つの緑球の画像の動線を示す図である。 第1実施形態の変形例における携帯電話装置を示す図である。 図26の携帯電話装置における透明樹脂板の断面を示す概念図である。 図27のハーフミラーおよびミラーの光反射の状態を示す図である。 第1実施形態におけるハーフミラーおよびミラーの構造を示す図である。 携帯電話装置の透明樹脂板全体に微小ハーフミラーを形成した図である。 本発明の第2実施形態における電子楽器システムの構成を示す図である。 第4ないし第6実施形態の電子楽器システムの構成を示す図である。 図32におけるウェブカメラの構造を示す図である。
符号の説明
1 赤球
2 青球
3、4 緑球
5 携帯電話装置
6 ヘッドホン装置
7 デジタルカメラ
8 ビデオカメラ
9 ウェブカメラ
52 ノート型パーソナルコンピュータ

Claims (14)

  1. 電子カメラ装置とコンピュータとの間で通信を行って楽音信号を発生する電子楽器システムであって、
    前記電子カメラ装置は、
    所定の角度以上の画角を有する光学部材と、
    赤、緑、および青からなる原色系のカラーフィルタ、又は、シアン、マゼンタ、黄、および緑からなる補色系のカラーフィルタを有するとともに、前記コンピュータから受信したテスト演奏指令および演奏開始指令に応じて、前記光学部材から入射する略球形の形状で原色系又は補色系の色彩からなる1種類以上の物体の映像を光電変換してカラーの画像信号を出力する撮像素子と、
    前記撮像素子に対して読出信号を繰り返し与えて、各読出信号ごとに前記撮像素子から出力される画像信号に基づいて物体の色彩および当該物体の略中心位置を検出し、検出した色彩によって種類を識別した当該物体の識別情報およびその略中心位置の移動軌跡を示す位置情報を前記コンピュータに対して順次出力する演算処理回路と、を備え、
    前記コンピュータは、
    操作に応じて複数種類の指令を入力するキーボードと、
    前記キーボードから入力された打楽器演奏の指令に応じて、表示部に複数種類の打楽器のリストを表示する表示制御機能と、
    前記キーボードから入力された打楽器選択の指令に応じて、その選択に係る1種類以上の打楽器をメモリに記憶して設定する楽器設定機能と、
    前記キーボードから入力された曲選択の指令に応じて、その選択に係る曲を前記メモリに記憶して設定する曲設定機能と、
    前記楽器設定機能によって打楽器が設定された後に、前記キーボードから入力されたテスト演奏の指令に応じて、前記楽器設定機能によって設定された打楽器を1つの打楽器から順に指定して、指定された打楽器のテスト演奏を促す旨の音声信号をオーディオ装置に送出して発音させるとともに、当該指定された打楽器のテスト演奏指令を前記電子カメラ装置に対して送信するテスト演奏機能と、
    指定された打楽器のテスト演奏指令を前記電子カメラ装置に対して送信した後に、前記電子カメラ装置から物体の識別情報および移動軌跡を示す位置情報を受信したときは、当該物体の識別情報および移動軌跡を当該指定された打楽器の基準演奏パターンに対応するものとして前記メモリに設定する演奏設定機能と、
    前記楽器設定機能によって設定された全ての打楽器の基準演奏パターンが前記演奏設定機能によって前記メモリに設定された後に、前記電子カメラ装置に送信した演奏開始指令に応じて、前記電子カメラ装置から受信した物体の識別情報および移動軌跡を示す位置情報が前記メモリに設定されているいずれかの打楽器の基準演奏パターンに対応するか否かを分析する画像分析機能と、
    演奏開始指令に応じて前記メモリに設定された曲のメロディ音の第1の楽音信号を発生するとともに、前記画像分析機能によって物体の識別情報および移動軌跡の位置情報が前記メモリに設定されているいずれかの打楽器の基準演奏パターンと対応することが分析されたときは、当該物体の移動位置が当該基準演奏パターンにおける所定の位置に達したタイミングでその対応する打楽器の音色の第2の楽音信号を発生して、当該第1および第2の楽音信号を前記オーディオ装置に送出して発音させる信号発生機能と、を備えている。
  2. 前記電子カメラ装置は、物体の色彩を表す2ビットのデータを物体の識別情報として、並びに、前記撮像素子における物体の中心位置に対応する画素の主走査線方向および副走査線方向の位置を表すビット数のデータを物体の移動軌跡を示す位置情報として、前記コンピュータに送信することを特徴とする請求項1に記載の電子楽器システム。
  3. 前記電子カメラ装置の撮像素子は、CCDによって光電変換を行う固体撮像素子であり、前記演算処理回路は、前記撮像素子から出力される複数のフレームの画像信号をフレームメモリに記憶し、前回検出した位置情報と今回検出した位置情報に基づいてそのフレームメモリの中の範囲を決定して次の位置情報を検出することを特徴とする請求項1に記載の電子楽器システム。
  4. 前記電子カメラ装置の撮像素子は、MOS型半導体によって光電変換を行う固体撮像素子であり、前記演算処理回路は、前回検出した位置情報と今回検出した位置情報に基づいて前記撮像素子が次に光電変換する範囲を指定する駆動信号を発生して前記撮像素子に入力することを特徴とする請求項1に記載の電子楽器システム。
  5. 前記撮像素子は、前記カラーフィルタの各色に対応した複数系統の画像信号を出力し、前記演算処理回路は、その複数系統の画像信号に基づいて色彩の異なる複数の物体を識別して各色彩の物体の位置を検出することを特徴とする請求項4に記載の電子楽器システム。
  6. 前記電子カメラ装置は、デジタルカメラ装置であることを特徴とする請求項1に記載の電子楽器システム。
  7. 前記電子カメラ装置は、ビデオカメラ装置であることを特徴とする請求項1に記載の電子楽器システム。
  8. 前記電子カメラ装置は、前記コンピュータの表示部に着脱自在に装着されるモニタカメラ装置であることを特徴とする請求項1に記載の電子楽器システム。
  9. 前記電子カメラ装置は、前記コンピュータに組み込まれていることを特徴とする請求項1に記載の電子楽器システム。
  10. 前記電子カメラ装置は、前記コンピュータとブルートゥース無線通信又は赤外線無線通信を行う携帯電話装置であることを特徴とする請求項1に記載の電子楽器システム。
  11. 前記コンピュータは、所定のネットワークを介して配信されるメロディパートおよびドラムパートを含む曲をダウンロードする機能を有し、そのダウンロードした曲からドラムパートを除いたマイナスワンの曲を生成し、曲選択の指令に応じて選択される曲の候補として不揮発性のフラッシュメモリに記憶することを特徴とする請求項1に記載の電子楽器システム。
  12. 前記コンピュータは、曲選択指令に応じて選択された曲に対する演奏開始指令に応じてメロディパートおよびドラムパートを含む複数のパートの楽譜を前記表示部に表示することを特徴とする請求項11に記載の電子楽器システム。
  13. 携帯電話装置とその携帯電話装置から送信される楽音信号に応じて発音するオーディオ装置とで構成される電子楽器システムであって、
    前記携帯電話装置は、
    操作に応じて複数種類の指令を入力するスイッチ部と、
    所定の角度以上の画角を有する光学部材と、
    赤、緑、および青からなる原色系のカラーフィルタ、又は、シアン、マゼンタ、黄、および緑からなる補色系のカラーフィルタを有するとともに、前記スイッチ部からのテスト演奏指令および演奏開始指令並びに入力される駆動信号に応じて、前記光学部材から入射する略球形の形状で原色系又は補色系の色彩からなる1種類以上の物体の映像を光電変換してカラーの画像信号を出力する撮像素子と、
    前記撮像素子に対して読出信号を繰り返し与えて、各読出信号ごとに前記撮像素子から出力される画像信号に基づいて物体の色彩および当該物体の略中心位置を検出し、検出した色彩によって種類を識別した当該物体の識別情報およびその略中心位置の移動軌跡を示す位置情報を順次出力する演算処理回路と、
    前記スイッチ部から入力された打楽器演奏の指令に応じて、表示部に複数種類の打楽器のリストを表示する表示制御機能と、
    前記スイッチ部から入力された打楽器選択の指令に応じて、その選択に係る1種類以上の打楽器をメモリに記憶して設定する楽器設定機能と、
    前記スイッチ部から入力された曲選択の指令に応じて、その選択に係る曲を前記メモリに記憶して設定する曲設定機能と、
    前記楽器設定機能によって打楽器が設定された後に、前記スイッチ部から入力されたテスト演奏の指令に応じて、前記楽器設定機能によって設定された打楽器を1つの打楽器から順に指定して、その指定された打楽器のテスト演奏を促す旨の音声信号を前記オーディオ装置に送信して発音させるとともに、当該指定された打楽器のテスト演奏指令を前記撮像素子に入力するテスト演奏機能と、
    指定された打楽器のテスト演奏指令を前記撮像素子に入力した後に、前記演算処理回路から物体の識別情報および移動軌跡を示す位置情報を取得したときは、当該物体の識別情報および移動軌跡を当該指定された打楽器の基準演奏パターンに対応するものとして前記メモリに設定する演奏設定機能と、
    前記楽器設定機能によって設定された全ての打楽器の基準演奏パターンが前記演奏設定機能によって設定された後に、前記撮像素子に入力した演奏開始指令に応じて、前記演算処理回路から取得した物体の識別情報および移動軌跡を示す位置情報が前記メモリに設定されているいずれかの打楽器の基準演奏パターンに対応するか否かを分析する画像分析定機能と、
    演奏開始指令に応じて前記メモリに設定された曲のメロディ音の第1の楽音信号を発生するとともに、前記画像分析機能によって物体の識別情報および移動軌跡の位置情報が前記メモリに設定されているいずれかの打楽器の基準演奏パターンに対応することが分析されたときは、当該物体の移動位置が当該基準演奏パターンにおける所定の位置に達したタイミングでその対応する打楽器の音色の第2の楽音信号を発生して、当該第1および第2の楽音信号を前記オーディオ装置に送信して発音させる信号発生機能と、を備えている。
  14. 所定の角度以上の画角を有する光学部材と、赤、緑、および青からなる原色系のカラーフィルタ、又は、シアン、マゼンタ、黄、および緑からなる補色系のカラーフィルタを有するとともに、前記光学部材から入射する略球形の形状で原色系又は補色系の色彩からなる1種類以上の物体の映像を光電変換してカラーの画像信号を出力する撮像素子と、前記撮像素子に対して読出信号を繰り返し与えて、各読出信号ごとに前記撮像素子から出力される画像信号に基づいて物体の色彩および当該物体の略中心位置を検出し、検出した色彩によって種類を識別した当該物体の識別情報およびその略中心位置の移動軌跡を示す位置情報を順次出力する演算処理回路と、を備えた電子カメラ装置と、コンピュータとの間で通信を行って楽音信号を発生する電子楽器システムに用いるプログラムであって、そのプログラムは、
    キーボードの操作に応じて複数種類の指令を入力するステップAと、
    前記ステップAによって入力された打楽器演奏の指令に応じて、表示部に複数種類の打楽器のリストを表示するステップBと、
    前記ステップAによって入力された打楽器選択の指令に応じて、その選択に係る1種類以上の打楽器をメモリに記憶して設定するステップCと、
    前記ステップAによって入力された曲選択の指令に応じて、その選択に係る曲を前記メモリに記憶して設定するステップDと、
    前記ステップCによって打楽器が設定された後に、前記ステップAによって入力されたテスト演奏の指令に応じて、前記ステップCによって設定された打楽器を1つの打楽器から順に指定して、その指定された打楽器のテスト演奏を促す旨の音声信号をオーディオ装置に送出して発音させるとともに、当該指定された打楽器のテスト演奏指令を前記電子カメラ装置に対して送信するステップEと、
    指定された打楽器のテスト演奏指令を前記電子カメラ装置に対して送信した後に、前記電子カメラ装置から物体の識別情報および移動軌跡を示す位置情報を受信したときは、当該物体の識別情報および移動軌跡を当該指定された打楽器の基準演奏パターンに対応するものとして前記メモリに設定するステップFと、
    前記ステップCによって設定された全ての打楽器の基準演奏パターンが前記ステップFによって設定された後に、前記電子カメラ装置に送信した演奏開始指令に応じて、前記電子カメラ装置から受信した物体の識別情報および移動軌跡を示す位置情報が前記メモリに設定されているいずれかの打楽器の基準演奏パターンに対応するか否かを分析するステップGと、
    演奏開始指令に応じて前記メモリに設定された曲のメロディ音の第1の楽音信号を発生するとともに、前記ステップGによって物体の識別情報および移動軌跡の位置情報が前記メモリに設定されているいずれかの打楽器の基準演奏パターンに対応することが分析されたときは、当該物体の移動位置が当該基準演奏パターンにおける所定の位置に達したタイミングでその対応する打楽器の音色の第2の楽音信号を発生して、当該第1および第2の楽音信号を前記オーディオ装置に送出して発音させるステップHと、
    を前記コンピュータに実行させる。
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