JP3755980B2 - 動力舵取装置の油圧制御弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、操舵補助力の発生源として油圧アクチュエータを用いた油圧式の動力舵取装置において、該油圧アクチュエータへの送給油圧を舵輪操作に応じて制御する油圧制御弁に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
舵取りのための舵輪(ステアリングホイール)の操作を舵取り機構中に配した油圧アクチュエータの力により補助する油圧式の動力舵取装置は、上記油圧アクチュエータとこれの動作油圧を発生する油圧ポンプとの間に油圧制御弁を配し、舵輪操作に応じた油圧制御弁の動作により、上記油圧アクチュエータへの送給油圧を制御して、舵輪に加わる操舵トルクの方向および大きさに応じた操舵補助力を得るものである。
【0003】
一般に、油圧制御弁では、トーションバーを介して入力軸および出力軸を互いに連結しており、出力軸に係合したバルブスリーブを入力軸の端部に一体的に形成したバルブロータに外嵌している。
バルブスリーブと出力軸との係合は、出力軸に設けられた係合ピンをバルブスリーブの一側端面から軸長方向に延設された係合溝に嵌め入れることにより、両者を回転方向に関して一体としている。また、バルブスリーブの外周面に周方向に形成された凹溝にサークリップを嵌め入れ、このサークリップによって、係合ピンが係合溝から抜け出すことを防止している。
【0004】
ところが、係合ピンが係合溝内で入出力軸の回転方向にがたつき、このがたつきに伴う油圧変動が舵輪操作時に振動として体感され、操作者に不快感を与えるという問題がある。
そこで、上記の係合溝の溝幅が溝底側にいくにしたがって狭まるようにし、上記凹溝に嵌められるサークリップによって、係合ピンを係合溝の溝底側へ付勢するようにした油圧制御弁が提供されている(例えば実開平6−022155号公報)。
【0005】
この場合、舵輪操作時の振動がかなり軽減されるが、まだ振動を生ずる場合があった。すなわち、係合ピンを係合溝の溝底側へ付勢するためのサークリップの幅は、これを収容する凹溝の幅よりも狭いため、サークリップ自体が凹溝の幅方向にがたつき、これに伴って係合ピンががたついて舵輪操作時に振動を生ずるおそれがある。
【0006】
一方、出力軸に連結されたバルブスリーブと、バルブロータが一体に形成された入力軸との間に、バルブスリーブを軸方向出力軸側へ付勢するウェーブワッシャ等を設けた機構が提供されている(例えば実開平2−99069号公報参照)。
ところが、もともと入力軸とバルブスリーブとは、所定量の相対回転を生ずるように用いられるものであり、この相対回転に伴って、上記のウェーブワッシャがこれに接するスラストワッシャやリテーナ等との間で摩擦を生じる結果、操舵補助力に関してヒステリシスが大きくなるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は舵輪操作時の振動の発生を確実に防止することのできると共に操舵補助力に関するヒステリシスが小さい動力舵取装置の油圧制御弁を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための課題解決手段として、請求項1記載の発明の態様は、トーションバーを介して互いに連結される第1および第2の軸と、この第2の軸に設けられた係合ピンを嵌め合わせると共に溝底側にいくにしたがって幅が狭められた係合溝を形成し、且つこの係合溝の溝底側へ係合ピンを付勢するための環状の弾性部材を収容する凹溝を上記係合溝と交差して形成したバルブスリーブとを備えた動力舵取装置の油圧制御弁において、上記弾性部材は、当該弾性部材が凹溝の幅方向にがたつくことを規制するように凹溝の幅方向に起伏する起伏部を有しており、起伏部は係合ピンに当接する山部を含み、起伏部の山部によって係合ピンが係合溝の溝底側に付勢されていることを特徴とするものである。
【0009】
上記態様では、凹溝の幅方向に起伏する弾性部材は凹溝内で幅方向にがたつくことがないので、弾性部材が係合ピンを係合溝の溝底側へ確実に付勢しておくことができる結果、バルブスリーブの振動を確実に抑制することができる。また、係合ピンによって互いの相対回転を阻止される第2の軸とバルブスリーブとの間に弾性部材を介在させるので、弾性部材とこれに接する部材、例えば係合ピンや凹溝の内面との間に相対回転を生ずることがない結果、摩擦に起因して操舵補助力にヒステリシスが生ずることがない。
【0010】
なお、弾性部材としては、弾性部材自身が止め輪を兼用するものであっても良いし、止め輪と弾性部材を別体としても良い。前者の場合には、止め輪を兼用する弾性部材が直接係合ピンを付勢する。一方、後者の場合には、例えばC型の止め輪を介して係合ピンを付勢する皿ばねやウェーブワッシャ等により弾性部材を構成することになる。
【0011】
請求項2記載の発明の態様は、請求項1において、上記起伏部の山部の頂部に、係合ピンに当接する平坦部を設け、この平坦部によって、係合ピンを係合溝の溝底側に付勢していることを特徴とするものである。
請求項3記載の発明の態様は、請求項1において、上記弾性部材は、係合ピンに当接するC形止め輪を介して、係合ピンを付勢する板ばねを含むことを特徴とするものである。 請求項4記載の発明の態様は、トーションバーを介して互いに連結される第1および第2の軸と、この第2の軸に設けられた係合ピンを嵌め合わせると共に溝底側にいくにしたがって幅が狭められた係合溝を形成し、且つこの係合溝の溝底側へ係合ピンを付勢するための環状の弾性部材を収容する凹溝を上記係合溝と交差して形成したバルブスリーブとを備えた動力舵取装置の油圧制御弁において、上記弾性部材は、当該弾性部材が凹溝の幅方向にがたつくことを規制するように、係合ピンを係合溝の溝底側に付勢する板状の弾性部材を含み、この板状の弾性部材は、一対の鉄製のC形止め輪間に挟持された合成樹脂またはゴムを含むことを特徴とするものである。
上記態様では、板状の弾性部材が凹溝内で幅方向にがたつくことを確実に防止することができる。
【0012】
請求項5記載の発明の態様は、トーションバーを介して互いに連結される第1の軸および第2の軸と、この第2の軸に設けられた係合ピンを嵌め合わせると共に溝底側にいくにしたがって幅が狭められた係合溝を形成し、且つこの係合溝の溝底側へ係合ピンを付勢するための弾性部材を収容する凹溝を上記係合溝と交差して形成したバルブスリーブとを備えた動力舵取装置の油圧制御弁において、上記弾性部材は外径側が幅広となった断面楔形形状をしていることを特徴とするものである。
【0013】
上記態様では、断面楔形形状の環状をなす弾性部材が自身の弾性によって凹溝の溝底側へ入り込んで縮径することによって、係合ピンを確実に係合溝の溝底側へ付勢することができる。また、係合ピンによって互いの相対回転を阻止される第2の軸とバルブスリーブとの間に弾性部材を介在させるので、弾性部材とこれに接する部材、例えば係合ピンや凹溝の内面との間に相対回転を生ずることがない結果、摩擦に起因して操舵補助力にヒステリシスが生ずることがない。
【0014】
請求項6記載の発明の態様は、トーションバーを介して互いに連結される第1の軸および第2の軸と、この第2の軸に設けられた係合ピンを嵌め合わせると共に溝底側にいくにしたがって幅が狭められた係合溝を形成し、且つこの係合溝の溝底側へ係合ピンを付勢するための環状の弾性部材を収容する凹溝を上記係合溝と交差して形成したバルブスリーブとを備えた動力舵取装置の油圧制御弁において、上記凹溝は溝底側にいくにしたがって幅狭となるように断面楔形形状をしていることを特徴とするものである。
【0015】
上記態様では、弾性部材が自身の弾性によって断面楔形形状の凹溝の溝底側へ入り込んで縮径することによって、係合ピンを確実に係合溝の溝底側へ付勢することができる。また、係合ピンによって互いの相対回転を阻止される第2の軸とバルブスリーブとの間に弾性部材を介在させるので、弾性部材とこれに接する部材、例えば係合ピンや凹溝の内面との間に相対回転を生ずることがない結果、摩擦に起因して操舵補助力にヒステリシスが生ずることがない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の一実施の形態の油圧制御弁を備えた動力舵取装置の全体構成を示す模式的断面図である。
図1を参照して、本油圧制御弁1では、ステアリングホイールに連なる中空の第1の軸としての入力軸40と、舵取機構に連なる第2の軸としての出力軸41とが、入力軸40の内側に挿通されたトーションバー42を介して同軸的に連結されている。両軸40,41はハウジング43の内部に回動自在に支持されている。
【0017】
出力軸41の連結端には、上記ハウジング43の内部に保持された筒形のバルブスリーブ44が係合され、このバルブスリーブ44の内側に、バルブロータ45が相対回転自在に嵌め合わされている。このバルブロータ45は入力軸40の外周に一体的に形成されている。
入力軸40の上端部は、ハウジング43の上部に所定量突出しており、この突出した上端部は、図示しないステアリングホイールに連結されている。
【0018】
ハウジング43の下部にはラックハウジング46が交差状に連結されており、このラックハウジング46の内部にラック軸47が軸方向にスライド自在に支持されている。このラック軸47は、出力軸41の下端部に形成されたピニオン48と噛み合わされている。
ステアリングホイールが回動操作された場合、この回動が、入力軸40及びトーションバー42を介して出力軸41に伝達され、この出力軸41のピニオン48と噛合するラック軸47の軸長方向の摺動に変換されて舵取りが行われる。このとき、入力軸40と出力軸41との間には、トーションバー42の捩じれを伴ってステアリングホイールに加わる操舵トルクに応じた相対角変位が生じる。
【0019】
入力軸40と出力軸41を連絡するトーションバー42は、所望の捩じれ特性を得るべく外径及び長さを所定量に定められた本体部49を有している。また、トーションバー42は、上記本体部49の両側に、本体部49よりやや大径の連結部50,51を有している。これら連結部50,51によってトーションバー42の対向端部が構成されている。
【0020】
一方の連結部50は、出力軸41の上端面に穿設された連結孔52に嵌め合わされ、連結部50と連結孔52の互いの嵌合面にそれぞれ形成されたセレーション同士の噛み合せにより、連結部50の出力軸41に対する軸回りの回転が拘束されている。
他方の連結部51は、ハウジング43外に突出した中空の入力軸40の端部に嵌め合わされている。入力軸40の端部および上記他方の連結部51を径方向に貫通するノックピン53によって、連結部51の入力軸40に対する軸回りの回転及び軸方向の移動が拘束されている。
【0021】
入力軸40の下端部は、出力軸41の上端部に設けられた円筒部54の内側に支持されている。バルブスリーブ44の下端面に形成された例えば切欠き溝からなる係合溝55には、上記円筒部54に打ち込まれた例えばダウエルピンからなる係合ピン56が係合されており、これにより、バルブスリーブ44は周方向に拘束されている。また、上記の係合ピン56は後に詳述する機構によって係合溝55の溝底側へ弾力的に付勢されるようになっている。
【0022】
また、バルブホディー44の上端面が、入力軸40の外周溝に嵌め入れられた止め輪57に当接されることにより、バルブスリーブ44は軸方向に拘束されている。これにより、バルブスリーブ44は、バルブロータ45に対する軸方向位置を保ちつつ出力軸41とー体回転するようになっている。
バルブスリーブ44の内周面およびバルブロータ45の外周面のそれぞれには、軸方向に延びる複数の油溝が、周方向に略等配をなして設けられている。バルブスリーブ44の油溝とバルブロータ45の油溝とは、周方向に交互に配置されており、相隣接する油溝間には、入出力軸間の相対角変位に応じて絞り面積を変える複数の絞り部が形成されている。
【0023】
給油源となる油圧ポンプ58は、ハウジング43を内外に貫通するポンプポート59とバルブスリーブ44を貫通する給油孔とを経て上記油溝のいずれか(給油溝)に連通させてある。この油溝の両側に相隣接する油溝(分配溝)は、バルブスリーブ44を貫通する各別の送油孔、及びハウジング43を内外に貫通する各別のシリンダポート60,61を介して送油先となるパワーシリンダの両シリンダ室62,63に夫々連通させてある。
【0024】
さらに、これらの分配溝の他側に相隣接する油溝(排油溝)は、入力軸40の中空部を経てバルブスリーブ44の一側に形成された排油室64に連通され、該排油室64の該当位置にてハウジング43を内外に貫通するタンクポート65を経て排油先となる油タンク66に連通させてある。
バルブスリーブ44とバルブロータ45との嵌合面の周上に並ぶ複数の絞り部は、トーションバー42に捩じれが生じていない中立状態において互いに等しい絞り面積を有するように初期調整(センタリング)されている。この中立状態で油圧ポンプ58からポンプポート59を経て給油溝に供給される圧油は、両側に相隣接する分配溝に均等に導入され、更にこれらの他側に相隣接する排油溝に導入されて、入力軸40の中空部、排油室64、及びタンクポート65を経て油タンク66に排出される。このとき、上記分配溝に夫々連通されたシリンダ室62,63間に圧力差は生じず、パワーシリンダは何らの力も発生しない。
【0025】
これに対し、ステアリングホイールに舵取りのための回転トルク(操舵トルク)が加えられたときには、入力軸40と出力軸41との間、即ち、バルブロータ45とバルブボディ44との間に、トーションバー42の捩じれを伴って上記操舵トルクの方向に相対角変位が生じ、両者の嵌合面の周上に並ぶ絞り部の絞り面積が変化する。
【0026】
このとき、前記給油溝に供給される圧油は、絞り面積を増した側の絞り部を経て一方の分配溝に主として導入されるようになり、各分配溝にシリンダポート60(又は61)を介して連通された一方のシリンダ室62(又は63)と、他方の分配溝にシリンダポート61(又は60)を介して連通された他方のシリンダ室63(又は62)との間に圧力差が生じ、パワーシリンダは、この圧力差に応じた油圧力を発生する。
【0027】
他方のシリンダ室63(又は62)から作動油が押し出され、対応するシリンダポート61(又は60)を経て他方の分配溝に還流し、該分配溝の一側にて絞り面積を増した絞り部を経て排油溝に導入されて、入力軸40の中空部、排油室64、及びタンクポート65を経て油タンク66に排出される。
上記パワーシリンダは、上記ラック軸47の中途部に構成され、該パワーシリンダが前述の如く発生する油圧力は、ピニオン48と噛合する上記ラック軸47に軸方向の摺動力として加えられ舵取りが補助される。このとき得られる補助力の方向は、トーションバー42の捩じれを伴って生じるバルブスリーブ44とバルブロータ45との相対角変位の方向に対応し、また、補助力の大きさは、上記相対角変位の大きさに対応する。
【0028】
次いで、係合ピン56を係合溝55の溝底側へ付勢する機構について説明する。図2(a)および(b)はそれぞれバルブスリーブ44の側面図およびその要部拡大図であり、図3は図2(a)のIII −III 線に沿う断面図である。
上記の係合溝55は、バルブスリーブ44の一端部である係合側端面2を起点とし、ここから他端部側に向けて形成されている。係合溝55の溝幅wは係合側端面2においてはw=w2であって係合ピン56の直径Dよりも大きく(w2>D)、溝底3ではw=w1であって係合ピン56の直径Dよりも小さくし(w1<D)、中間部での溝幅wは溝底3側に向かうにしたがって連続的に縮幅させてある。そして、バルブスリーブ44の上記一端部の外周面には、係合溝55と交差させて環状凹溝4が形成され、この環状凹溝4内に弾性部材としてサークリップ5が嵌合させてある。
【0029】
サークリップ5は、図4(a)に示すように弾性を備えた断面丸形の線材を両端部5a,5bが所定の間隔を隔てて対向する略円形に成形し、その一端部5aは径方向内方へ折り曲げて係合突起5cを形成して構成してある。サークリップ5は、その係合突起5cを上記環状凹部4の溝底の一部に形成された係合孔(図示せず)に係合させた状態で、全体を環状凹溝4内に嵌め込まれており、環状凹溝4内で周方向に回転ずれを起こすことがないようにされている。
【0030】
図4(b)はサークリップ5の起伏の態様を図4(a)の展開形状として示したものである。図4(a)のa1,a2,b1,b2,c1,c2,d1,d2で示す位置が図4(b)の同符号にそれぞれ対応している。これらの図を参照して、サークリップ5は係合突起5cの反対側にある略半分の領域として、d1−d2間領域を、略波形に起伏させている。すなわち、上記d1−d2間領域には、環状凹溝4の溝幅方向Xに起伏する複数の起伏部としての山部6,7,8を設けており、また、山部6と山部7との間に起伏部としての谷部9を設け、山部7と山部8との間に起伏部としての谷部10を設けている。山部6の頂部はc1に対応し、山部7の頂部はa1−a2間領域に対応し、山部8の頂部はc2に対応している。谷部9および10はb1およびb2にそれぞれ対応している。
【0031】
山部7は、その頂部となるa1−a2領域において平坦部7aを有しており、この平坦部7aは、上記の係合突起5cに対して周方向に関して所定の位置関係(例えば対称位置)に設定され、係合ピン56に係合されるようになっている。これにより、山部7の平坦部7aによって係合ピン56を係合溝55の溝底3側へ弾性付勢するようにしてある。また、他の山部6,8と谷部9,10については、環状凹溝4内の対向する両側の内壁面をそれぞれ弾性的に押圧する態様にて、サークリップ5が環状凹溝4内で溝幅方向Xにがたつくことがないようになっている。
【0032】
これによって、係合溝55内に挿入された係合ピン56はサークリップ5にて溝底3側に確実に付勢され、係合溝55の両側壁と常に接触状態に保持されることとなる結果、バルブスリーブ44の振動を確実に抑制することができる。
また、互いの相対回転を阻止される出力軸41とバルブスリーブ44との間にサークリップ5を介在させるので、サークリップ5が係合ピン56や環状凹溝4の内面との間に相対回転を生ずることがない結果、これらの間に生ずる摩擦に起因して操舵補助力にヒステリシスが生ずることがない。さらに、係合ピン56とサークリップ5とは略点接触状態であるため、出力軸41に対してバルブスリーブ44を傾斜させる向きの力が殆ど作用せず、この観点からも相互の間の摩擦力を増大させることがない。
【0033】
次いで、図5(a)、図5(b)は本発明の他の実施の形態の油圧制御弁の要部の断面図であり、同図を参照して、本実施の形態が図3の実施の形態と異なるのは、図3の実施の形態では、係合ピンを付勢するための弾性部材として屈曲するサークリップ5を用いたが、本実施の形態では、一対のC型止め輪11,12間に挟持される板状の弾性部材13を用いたことである。C型止め輪11,12は仮に係合ピン56との間に摩擦が生じたとしても、摩耗することがないように、鉄製とされている。また、弾性部材13としては、図5(a)に示すように、皿ばねやウェーブワッシャ等の板ばねであっても良いし、図5(b)に示すように、例えばポリアセタール等の合成樹脂やゴムからなる板状の弾性体であっても良い。なお、弾性部材13は環状凹溝4に嵌め入れることができれば、環状であってもC型であっても良い。
【0034】
本実施の形態では、図1の実施の形態と同様にして、バルブスリーブ44の振動を確実に抑制でき、また摩擦に起因した操舵補助力のヒステリシスの発生を防止できる。加えて、弾性部材13が板ばね或いは板状の弾性体からなるので、環状凹溝4内で溝幅方向Xにがたつくことを確実に防止できる結果、バルブスリーブ44の振動をより確実に防止できる。
【0035】
次いで、図6は本発明のさらに他の実施の形態の油圧制御弁の要部の断面図であり、同図を参照して、本実施の形態では、断面楔形形状をなす弾性部材14を用いてある。弾性部材14が断面楔形形状をなす態様としては、外径側が幅広となっていれば良く、例えば断面において、外径部15、内径部16を上底、下底とする台形であっても良い。外径部15の幅は環状凹溝4の溝幅よりも広くされている。なお、環状凹溝4の断面は矩形である。
【0036】
本実施の形態では、断面楔形形状の弾性部材14が自身の弾性によって環状凹溝4の溝底側へ入り込んで縮径することによって、係合ピン56を確実に係合溝55の溝底3側へ付勢することができる。その結果、バルブスリーブ44の振動を確実に防止できる。また、互いに相対回転を生じない出力軸41とバルブスリーブ44との間に弾性部材14を介在させてあるので、弾性部材14とこれに接する部材との間に摩擦が生じない結果、摩擦に起因した操舵補助力のヒステリシスの発生を防止できる。
【0037】
また、弾性部材14を環状凹溝4の周方向に位置決めする構造は不要であり、構造を簡素化することができる。
また、弾性部材14の楔の斜面17を係合ピン56に対して点当たりさせることもでき、この場合、出力軸41に対してバルブスリーブ44を傾斜させる向きの力が殆ど作用せず、相互の間の摩擦力を増大させることもなく、この観点からも、摩擦に起因して操舵補助力にヒステリシスが生ずることがない。
【0038】
次いで、図7は本発明のさらに他の実施の形態の油圧制御弁の要部の断面図であり、同図を参照して、本実施の形態では、断面楔形形状をなす環状凹溝4Aを形成し、この環状凹溝4Aに嵌め入れられる弾性部材としては通常の断面円形のサークリップ18を用いた。本実施の形態では、環状凹溝4Aの一対の内壁面のうち、サークリップ18を挟んで係合ピン56と対向する側の内壁面を斜面とすることが必要である。
【0039】
本実施の形態においても、図6の実施の形態と同様に、係合ピン56を確実に係合溝55の溝底3側へ付勢することができる。また、係合ピン56に対してサークリップ18を点当たりさせ、摩擦によるヒステリシスの増大を防止することができる。さらに、サークリップ18を環状凹溝4Aの周方向に位置決めする構造は不要であり、且つ弾性部材として汎用のサークリップを用いることができるので、製造コストを安くすることができる。
【0040】
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更を施すことができる。
【0041】
【発明の効果】
請求項1記載の発明では、起伏部を有する弾性部材が凹溝内で幅方向にがたつくことがないので、弾性部材が係合ピンを係合溝の溝底側へ確実に付勢できる結果、バルブスリーブの振動を確実に抑制できる。また、弾性部材とこれに接する部材との間に相対回転を生ずることがないので、摩擦に起因して操舵補助力にヒステリシスが生ずることがない。
【0042】
請求項2記載の発明のように、上記起伏部の山部の頂部に平坦部を設け、この平坦部によって、係合ピンを係合溝の溝底側に付勢していれば好ましい。
請求項3記載の発明のように、上記弾性部材はC形止め輪を介して係合ピンを付勢する板ばねを含んでいれば好ましい。
請求項4記載の発明では、一対のC形止め輪間に挟持された板状の弾性部材が、凹溝内で幅方向にがたつくことを確実に防止することができる。
請求項5記載の発明では、断面楔形形状の環状をなす弾性部材が自身の弾性によって凹溝の溝底側へ入り込んで縮径することによって、係合ピンを確実に係合溝の溝底側へ付勢できるので、バルブボディの振動を確実に抑制できる。また、弾性部材とこれに接する部材との間に相対回転を生ずることがないので、摩擦に起因して操舵補助力にヒステリシスが生ずることがない。
【0043】
請求項6記載の発明では、弾性部材が自身の弾性によって断面楔形形状の凹溝の溝底側へ入り込んで縮径することによって、係合ピンを確実に係合溝の溝底側へ付勢できるので、バルブボディの振動を確実に抑制できる。また、弾性部材とこれに接する部材との間に相対回転を生ずることがないので、摩擦に起因して操舵補助力にヒステリシスが生ずることがない。さらに、弾性部材として断面丸形の汎用のサークリップを用いることも可能となり、この場合、製造コストを安くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の油圧制御弁を含む動力舵取装置の全体構成を示す模式的断面図である。
【図2】図2(a)および(b)はそれぞれバルブスリーブ44の側面図およびその要部拡大図である。
【図3】図2(a)のIII −III 線に沿う断面図である。
【図4】図4(a)はサークリップの平面図であり、図4(b)はサークリップの展開図である。
【図5】 図5(a)、(b)は本発明の他の実施の形態の油圧制御弁の要部の断面図である。
【図6】本発明のさらに他の実施の形態の油圧制御弁の要部の断面図である。
【図7】本発明のさらに他の実施の形態の油圧制御弁の要部の断面図である。
【符号の説明】
1 油圧制御弁
3 溝底
4,4A 環状凹溝
5 サークリップ(弾性部材)
6,7,8 山部(起伏部)
9,10 谷部(起伏部)
11,12 C型止め輪
13,14 弾性部材
18 サークリップ(弾性部材)
40 入力軸(第1の軸)
41 出力軸(第2の軸)
42 トーションバー
44 バルブスリーブ
45 バルブロータ
55 係合溝
56 係合ピン
X 溝幅方向
Claims (6)
- トーションバーを介して互いに連結される第1および第2の軸と、
この第2の軸に設けられた係合ピンを嵌め合わせると共に溝底側にいくにしたがって幅が狭められた係合溝を形成し、且つこの係合溝の溝底側へ係合ピンを付勢するための環状の弾性部材を収容する凹溝を上記係合溝と交差して形成したバルブスリーブとを備えた動力舵取装置の油圧制御弁において、
上記弾性部材は、当該弾性部材が凹溝の幅方向にがたつくことを規制するように凹溝の幅方向に起伏する起伏部を有しており、
起伏部は係合ピンに当接する山部を含み、
起伏部の山部によって係合ピンが係合溝の溝底側に付勢されていることを特徴とする動力舵取装置の油圧制御弁。 - 上記起伏部の山部の頂部に、係合ピンに当接する平坦部を設け、この平坦部によって、係合ピンを係合溝の溝底側に付勢していることを特徴とする請求項1記載の動力舵取装置の油圧制御弁。
- 上記弾性部材は、係合ピンに当接するC形止め輪を介して、係合ピンを付勢する板ばねを含むことを特徴とする請求項1記載の動力舵取装置の油圧制御弁。
- トーションバーを介して互いに連結される第1および第2の軸と、
この第2の軸に設けられた係合ピンを嵌め合わせると共に溝底側にいくにしたがって幅が狭められた係合溝を形成し、且つこの係合溝の溝底側へ係合ピンを付勢するための環状の弾性部材を収容する凹溝を上記係合溝と交差して形成したバルブスリーブとを備えた動力舵取装置の油圧制御弁において、
上記弾性部材は、当該弾性部材が凹溝の幅方向にがたつくことを規制するように、係合ピンを係合溝の溝底側に付勢する板状の弾性部材を含み、
この板状の弾性部材は、一対の鉄製のC形止め輪間に挟持された合成樹脂またはゴムを含むことを特徴とする動力舵取装置の油圧制御弁。 - トーションバーを介して互いに連結される第1および第2の軸と、この第2の軸に設けられた係合ピンを嵌め合わせると共に溝底側にいくにしたがって幅が狭められた係合溝を形成し、且つこの係合溝の溝底側へ係合ピンを付勢するための弾性部材を収容する凹溝を上記係合溝と交差して形成したバルブスリーブとを備えた動力舵取装置の油圧制御弁において、上記弾性部材は外径側が幅広となった断面楔形形状をしていることを特徴とする動力舵取装置の油圧制御弁。
- トーションバーを介して互いに連結される第1および第2の軸と、この第2の軸に設けられた係合ピンを嵌め合わせると共に溝底側にいくにしたがって幅が狭められた係合溝を形成し、且つこの係合溝の溝底側へ係合ピンを付勢するための環状の弾性部材を収容する凹溝を上記係合溝と交差して形成したバルブスリーブとを備えた動力舵取装置の油圧制御弁において、上記凹溝は溝底側にいくにしたがって幅狭となるように断面楔形形状をしていることを特徴とする動力舵取装置の油圧制御弁。
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