JP3754159B2 - ウオッシャポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ウオッシャタンクに貯蔵した洗浄液を吸い込んでノズルから噴射させるウオッシャポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
ウオッシャタンクに貯蔵した洗浄液を吸い込んでノズルから噴射させるウオッシャポンプとしては、アーマチュアに電流を供給すると、このアーマチュアに結合したインペラがポンプ室内で回転し、ポンプ室の一方側に連通接続されたウオッシャタンクからポンプ室内に洗浄液を吸い込み、ポンプ室の他方側に連通接続されたノズルに洗浄液を加圧送給して、ノズルから洗浄面に対し洗浄液を噴射して洗浄するものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記したウオッシャポンプでは、アーマチュアとともにインペラが回転する際に、インペラとポンプ室の底壁とのあいだに空気が入り込んでいることがあり、その場合、インペラがポンプ室の底壁に対して直接摺接されることになって、インペラがポンプ室の底壁に溶着する可能性があった。そして、インペラがポンプ室の底壁に固着すると、インペラが正常に回転しなくなって作動不良になるという問題点があり、この問題点を解決することが課題になっていた。
【0004】
【発明の目的】
この発明に係わるウオッシャポンプは、インペラがポンプ室に固着しないようにすることによって、作動不良になることがないウオッシャポンプを提供することを目的としている。
【0005】
【発明の構成】
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係わるウオッシャポンプでは、モータケースと、モータケースの内側に配置されたマグネットと、マグネットの内側に配置され、電流の供給により回転するアーマチュアシャフトを有するアーマチュアと、モータケースの端部に固定されたポンプカバーと、モータケースの端部とポンプカバーとの間の内部に形成され、流体が導入されるポンプ室と、ポンプ室に連通して配置された流体吸入口および流体吐出口と、ポンプ室内に配置されているとともに、アーマチュアに有するアーマチュアシャフトに結合され、該アーマチュアシャフトとともに回転することにより、流体吸入口からポンプ室内に流体を吸引して、流体吐出口より流体を吐出するインペラとを備え、インペラは、円錐台形に形成された筒部と、この筒部の外周から外方に向け放射状に突出形成された複数の羽根部とを有し、更に、インペラには、円錐台形に形成された筒部におけるポンプ室の底壁側の端部から複数の羽根部における該ポンプ室の底壁側の端部までのあいだに形成され、該ポンプ室内に吸引された流体を保持する流体溜とを備えている構成としたことを特徴としている。
【0007】
この発明の請求項2に係わるウオッシャポンプでは、モータケースと、モータケースの内側に配置されたマグネットと、マグネットの内側に配置され、電流の供給により回転するアーマチュアシャフトを有するアーマチュアと、モータケースの端部に固定されたポンプカバーと、モータケースの端部とポンプカバーとの間の内部に形成され、流体が導入されるポンプ室と、ポンプ室に連通して配置された流体吸入口および流体吐出口と、ポンプ室内に配置されているとともに、アーマチュアに有するアーマチュアシャフトに結合され、該アーマチュアシャフトとともに回転することにより、流体吸入口からポンプ室内に流体を吸引して、流体吐出口より流体を吐出するインペラとを備え、インペラは、円錐台形に形成された筒部と、この筒部の外周から外方に向け放射状に突出形成された複数の羽根部とを有し、更に、ポンプ室の底壁に円形の凹状に形成され、その内径寸法が上記羽根部の外径寸法よりも小さく且つ上記インペラの円錐台形に形成された筒部の外径寸法よりもわずかに大きく形成され、該ポンプ室内に吸引された流体を保持する流体溜とを備えている構成としたことを特徴としている。
【0008】
この発明の請求項3に係わるウオッシャポンプでは、モータケースと、モータケースの内側に配置されたマグネットと、マグネットの内側に配置され、電流の供給により回転するアーマチュアシャフトを有するアーマチュアと、モータケースの端部に固定されたポンプカバーと、モータケースの端部とポンプカバーとの間の内部に形成され、流体が導入されるポンプ室と、ポンプ室に連通して配置された流体吸入口および流体吐出口と、ポンプ室内に配置されているとともに、アーマチュアに有するアーマチュアシャフトに結合され、該アーマチュアシャフトとともに回転することにより、流体吸入口からポンプ室内に流体を吸引して、流体吐出口より流体を吐出するインペラとを備え、インペラは、アーマチュアシャフトの軸方向に移動可能にして該アーマチュアシャフトの回転方向に一体的に結合され円錐台形に形成された筒部と、この筒部の外周から外方に向け放射状に突出形成された複数の羽根部とを有し、更に、インペラの羽根部には、該羽根部の回転方向の前方側の側面の上端から下端にかけて回転方向の後方側に所定角度傾斜して形成され、ポンプ室内に吸引された流体を該ポンプ室の底壁側に押圧して該インペラを浮上させる揚力発生部とを備えている構成としたことを特徴としている。
【0009】
この発明の請求項4に係わるウオッシャポンプでは、揚力発生部は、複数個の羽根部のうち、少なくとも対向配置された2個に形成されている構成としたことを特徴としている。
【0010】
【発明の作用】
この発明の請求項1に係わるウオッシャポンプにおいて、インペラとポンプ室の底壁とのあいだに空気が入り込んでいたとしても、インペラが回転するとポンプ室内に吸引された洗浄液がインペラの筒部に形成した流体溜に流れ込むことによって空気を弾き飛ばし、流体溜に流れ込んだ洗浄液によってインペラの各羽根部の底面がポンプ室の底壁に直接摺接することがない。
【0011】
この発明の請求項2に係わるウオッシャポンプにおいて、インペラとポンプ室の底壁とのあいだに空気が入り込んでいたとしても、インペラが回転するとポンプ室内に吸引された洗浄液がポンプ室の底壁に形成した流体溜に流れ込むことによって空気を弾き飛ばし、流体溜に流れ込んだ洗浄液によってインペラの各羽根部の底面がポンプ室の底壁に直接摺接することがない。
【0012】
この発明の請求項3に係わるウオッシャポンプにおいて、インペラとポンプ室の底壁とのあいだに空気が入り込んでいたとしても、インペラが回転するとポンプ室内に吸引された洗浄液を、インペラの羽根部に形成した揚力発生部がポンプ室の底壁側に押圧することによって強制的に移動させて、底壁側に移動した洗浄液をインペラと底壁とのあいだに強制的に流し込む。それ故、インペラはポンプ室10内で浮上し、インペラの各羽根部の底面がポンプ室の底壁に直接摺接することがない。
【0013】
この発明の請求項4に係わるウオッシャポンプにおいて、揚力発生部は、インペラに有する複数個の羽根部のうちの少なくとも対向配置された2個に形成される。それ故、請求項3の作用に加え、インペラが成形される際の金型にわずかな加工を施すだけで形成される。
【0014】
【実施例】
図1ないし図4にはこの発明に係わるウオッシャポンプの第1実施例が示されている。
【0015】
図示するウオッシャポンプ1は、主として、モータケース2、ポンプカバー3、ヨーク4、マグネット5、アーマチュア7、第1のブラシ8、第2のブラシ9、ポンプ室10、インペラ11、流体流入手段12から構成されている。
【0016】
モータケース2には、筒状に形成されたモータケース本体2aと、モータケース本体2aの一端部に取付けられたエンドカバー2bと、モータケース本体2aの他端部に一体に配置された逆凹状の隔板2cとが備えられている。
【0017】
モータケース本体2aの内側には、円筒形状のヨーク4が固定されており、このヨーク4の内周部に、マグネット5が固定されている。
【0018】
エンドカバー2bには、中央に第1の軸受13が取付けられており、この第1の軸受13に、後述するアーマチュア7に備えたアーマチュアシャフト14の一端側が回転自在に挿入されている。
【0019】
また、エンドカバー2bには、コネクタ部2b1が突出形成されており、このコネクタ部2b1内に第1の外部端子15、第2の外部端子16がそれぞれ固定されている。第1、第2の外部端子15、16は後述する第1、第2のブラシ8、9にそれぞれ電気的に接続されている。
【0020】
隔板2cには、モータケース本体2aの内側に突出する円筒部2c1が形成されており、この円筒部2c1内に第2の軸受17が取付けられており、この第2の軸受17に、アーマチュア7に備えたアーマチュアシャフト14の中央部が回転自在に挿通されている。
【0021】
また、隔板2cの円筒部2c1内には、ウオータシール18が装着されている。ウオータシール18には、アーマチュアシャフト14の他端側が挿通されており、このウオータシール18によって、モータケース本体2aの内側が後述するポンプ室10内に対して水密を保持されている。
【0022】
そして、隔板2cには、丸孔形で貫通して形成された流体導入部2dが形成されている。この流体導入部2dは、一方が円筒部2c1内を介して後述する流体吸入口2e内に連通されているとともに、他方が同じく後述するポンプ室10内に連通接続されている。
【0023】
流体吸入口2eは、隔板2cの円筒部2c1の側部からにモータケース本体2aの径方向に円筒形状をなして突出形成されている。流体吸入口2eは、図示しないウオッシャタンク内に連通接続される。
【0024】
そしてまた、逆凹状の隔板2cは、その下面2fの形状が中心に向かうにつれ該隔板2cの板厚が小となる傾斜面に形成されている。
【0025】
一方、マグネット5の内周側には、アーマチュア7が配置されている。アーマチュア7には、アーマチュアシャフト14、アーマチュアコア19、コンミュテータ20、アーマチュアコイル21が備えられている。
【0026】
アーマチュアシャフト14は、前述したように、一端側が第1の軸受13に回転自在に挿通され、中央部が第2の軸受17に回転自在に挿通されていて、ウオータシール18内を挿通した他端部が後述するポンプカバー3内に突出している。そして、アーマチュアシャフト14の他端部寄りには、D字形の軸状に切除された係止部14aが形成されている。係止部14aには、後述するインペラ11が噛合されている。
【0027】
アーマチュアシャフト14には、中央部にアーマチュアコア19が固定されているとともに、エンドカバー2b側にコンミュテータ20が固定されている。コンミュテータ20の外周には、複数個のコンミュテータ片20aがそれぞれ絶縁して配置されている。そして、アーマチュア7には、予め定められたスロット数でもってアーマチュアコア19に設けられた巻回部19aに巻回されるとともにコンミュテータ片20aのそれぞれに電気的に接続されたアーマチュアコイル21が備えられている。
【0028】
コンミュテータ20の外側には、第1、第2のブラシ8、9が配置されている。第1のブラシ8は、図示しない第1のブラシばねによってそれぞれのコンミュテータ片20aに電気的に接続可能に圧接されてエンドカバー2bに保持されている。第2のブラシ9は、図示しない第2のブラシばねによって第1のブラシ8の対向位置においてコンミュテータ片20aに電気的に接続可能に圧接されてエンドカバー2bに保持されている。
【0029】
第1のブラシ8は、コネクタ部2b1内で固定された第1の外部端子15に電気的に接続され、第2のブラシ9は、同じくコネクタ部2b1内で固定された第2の外部端子16に電気的に接続されている。第1、第2の外部端子15、16は、図示しないワイパ装置に内蔵されたウオッシャ回路に電気的に接続される。
【0030】
ウオッシャ回路には、ウオッシャスイッチが備えられており、このウオッシャスイッチがオン切換えされることによって第1の外部端子15、第2の外部端子16に正方向に電源を接続するように構成されている。
【0031】
アーマチュア7は、ウオッシャ回路のウオッシャスイッチがオン切換されることによって、第1の外部端子15にハイレベルが与えられるとともに第2の外部端子16がローレベルになると、第1のブラシ8、この第1のブラシ8に電気的に接続している一方のコンミュテータ片20a、この一方のコンミュテータ片20aに電気的に接続されたスロットにおいてのアーマチュアコイル21、このアーマチュアコイル21に電気的に接続された他方のコンミュテータ片20a、この他方のコンミュテータ片20aに電気的に接続している第2のブラシ9、接地を通る回路に正方向の電流が流れて、アーマチュアコイル21より磁力が発生し、アーマチュアコイル21が発生している磁力と、マグネット5より発生している磁力とによる電磁誘導作用によってアーマチュアシャフト14が正回転を始める。
【0032】
他方、ポンプカバー3は、有底円筒形状に形成され、円筒形状のポンプカバー本体3aと、ポンプカバー本体3aの一端部に平板状にして設けられた底板3bとを有する。ポンプカバー3は、底板3bがモータケース2の隔板2cに対向するように、ポンプカバー本体3aの他端部が該モータケース2の隔板2cに固定されている。
【0033】
ポンプカバー本体3aには、流体吐出口3cが形成されている。流体吐出口3cは、図2に示されるように、モータケース本体2aの外周縁の接線方向に突出形成されている。流体吐出口3cは、一方が流体導入部2dに連通されており、他方が図示しないウオッシャノズルに連通管路を通じて連通接続される。
【0034】
そして、ポンプカバー本体3aに有する内壁3a1と、底板3bの底壁3b1と、隔板2cの下面2fとにより囲まれた空間がポンプ室10となる。ポンプ室10は、一方が流体導入部2dを通じて流体吸入口2e内に連通され、他方が流体吐出口3c内に連通されている。ポンプ室10内にはインペラ11が配置されている。尚、底壁3b1は、ポンプ室10の底壁となる。
【0035】
インペラ11には、図3に示されるように、筒部11aと羽根部11bとが一体に備えられている。筒部11aは、円錐台形に形成されており、この筒部11aの中央には、図1、図4に示されるように、軸方向にD字状をなすシャフト挿入用孔11a1が形成されている。このシャフト挿入用孔11a1は、前述したアーマチュアシャフト14に形成したD字形の軸状に切除された係止部14aの外形よりもわずかに大きいため、このシャフト挿入用孔11a1にアーマチュアシャフト14の係止部14aが挿入されることによって、筒部11aがアーマチュアシャフト14に係止されてインペラ11はアーマチュアシャフト14とともに回転する。
【0036】
羽根部11bは、例えば6枚からなり、筒部11aの外周から外方に向け等間隔で放射状に突出形成されている。羽根部11bは、外径寸法が前述したポンプカバー本体3aの内壁3a1の内径寸法よりも小さく、高さ寸法が隔板2cにおいて傾斜面に形成した下面2fから底板3bの底壁3b1までであるポンプ室10の高さ寸法よりも小さく形成されている。つまり、傾斜面に形成した下面2fに対応して、各羽根部11bは中間部から先端部に向かうにつれ高さ寸法が小となるように形成されている。
【0037】
そして、このインペラ11には、ポンプ室10内に吸引された流体を常時保持する流体溜12が形成されている。流体溜12は、該インペラ11の円錐台形に形成された筒部11aにおけるポンプ室10の底壁3b1側の端部から各羽根部11bにおける該ポンプ室10の底壁3b1側の端部までのあいだに、底板3bに向けて開口した空間状に形成されている。この流体溜12は、筒部11aの下部から各羽根部11bの下部までのわずかな高さ寸法を有するものとして形成されている。
【0038】
流体溜12は、インペラ11の下方に向けて開放されているため、ポンプ室10内に吸引された流体を常時保持する。その際、インペラ11とポンプ室10の底壁3b1とのあいだに空気が入り込んでいたとしても、インペラ11がアーマチュアシャフト14とともに回転する際に、ポンプ室10内に吸引された洗浄液が流体溜12に流れ込むことによって空気を弾き飛ばし、流体溜12に流れ込んだ洗浄液によってインペラ11の各羽根部11bの底面がポンプ室10の底壁3b1に直接摺接しないようにする機能を有する。従ってインペラ11がポンプ室10に固着せず作動不良になることがない。また、流体溜12は、インペラ11の各羽根部11bとポンプ室10の底壁3b1との間に発生した熱を冷却することによって熱の発生を防止する機能を有する。流体溜12により、インペラ11がアーマチュアシャフト14とともに回転する際に、ポンプ室10内においてキャビテーション(cavitation)等が容易に発生することはない。流体溜12は、インペラ11の筒部11aにおけるポンプ室10の底壁3b1側の端部から各羽根部11bにおける該ポンプ室10の底壁3b1側の端部までのあいだに形成されているため、流体溜12を形成するに際し、インペラ11を成形する際の金型にわずかな加工を施すだけでよい。
【0039】
このような構造を有するウォッシャポンプ1は、第1、第2の外部端子15、16がワイパ装置に内蔵されたウオッシャ回路に電気的に接続され、流体吐出口3cが連通管路を通じてウオッシャノズルに連通接続され、流体吸入口2eがウオッシャタンク内に連通接続されて、このウオッシャタンクの側部に取付けられる。
【0040】
ウオッシャ回路のウオッシャスイッチがオン切換されると、第1の外部端子15にハイレベルが与えられるとともに第2の外部端子16がローレベルになるため、アーマチュア7がアーマチュアシャフト14とともに正回転を始める。
【0041】
アーマチュアシャフト14が正回転を始めることによって、インペラ11もアーマチュアシャフト14とともに正回転するため、流体導入部2dに負圧が生じ、流体導入部2dに生じた負圧によってウオッシャタンクに貯蔵された洗浄液が流体吸入口2eからポンプ室10内に吸引され、洗浄液が流体吐出口3cから連通管路を通じてウオッシャノズルに送給されて、ウオッシャノズルから洗浄面に向けて噴射される。
【0042】
洗浄液をウオッシャノズルから洗浄面に向けて噴射している間にアーマチュア7が回転するウオッシャポンプ1は、インペラ11が流体溜12に流れ込んだ洗浄液によってポンプ室10の底壁3b1に直接摺接しないで回転するものとなる。
【0043】
図5には、この発明に係わるウオッシャポンプの第2実施例が示されている。
【0044】
この場合のウオッシャポンプ1では、流体溜12aがインペラ11に設けられておらず、ポンプカバー3に有する底板3bの底壁3b1、即ち、ポンプ室10の底壁3b1に形成されており、他の部位は第1実施例と同一になっている。
【0045】
この場合の流体溜12aは、ポンプ室10の底壁3b1のほぼ中央に円形の凹状に形成されている。流体溜12aは、内径寸法がインペラ11に有する羽根部11bの外径寸法よりも小さく、円錐台形に形成された筒部11aの外周端部11cまでの外径寸法よりもわずかに大きく形成され、且つ、深さ寸法が底板3bの板厚寸法のほぼ三分の一になっている。
【0046】
そして、この場合の流体溜12aは、ポンプ室10内に吸引された流体を常時保持する。その際、インペラ11と底板3bの底壁3b1とのあいだに空気が入り込んでいたとしても、インペラ11がアーマチュアシャフト14とともに回転する際に、ポンプ室10内に吸引された洗浄液が流体溜12aに流れ込むことによって空気を弾き飛ばし、流体溜12aに流れ込んだ洗浄液によってインペラ11の各羽根部11bの底面がポンプ室10の底壁3b1に直接摺接しないようにする機能を有する。従ってインペラ11がポンプ室10に固着せず作動不良になることがない。また、流体溜12aは、インペラ11の各羽根部11bとポンプ室10の底壁3b1との間に発生した熱を冷却することによって熱の発生を防止する機能を有する。
【0047】
流体溜12aは、底板3bの中央でわずかな深さ寸法を有し、インペラ11の羽根部11bの外径寸法よりも小さい内径寸法を有するものであるため、容積が小さくなっており、それによって、インペラ11がアーマチュアシャフト14とともに回転する際に、キャビテーション(cavitation)等が容易に発生することはない。流体溜12aは、ポンプカバー3の底板3bの底壁3b1に形成されているため、流体溜12aを形成するに際し、ポンプカバー3を成形する際の金型にわずかな加工を施すだけでよい。
【0048】
この場合のウオッシャポンプ1は、アーマチュアシャフト14が正回転を始めると、インペラ11もアーマチュアシャフト14とともに正回転するため、流体導入部2dに負圧が生じ、流体導入部2dに生じた負圧によって、洗浄液が流体吸入口2eからポンプ室10内に吸引され、流体吐出口3cから連通管路を通じてウオッシャノズルに洗浄液が送給されて、ウオッシャノズルから洗浄面に向けて噴射される。
【0049】
そして、洗浄液をウオッシャノズルから洗浄面に向けて噴射している間にアーマチュア7が回転するウオッシャポンプ1は、インペラ11が流体溜12aに流れ込んだ洗浄液によってポンプ室10の底壁3b1に直接摺接しないで回転する。
【0050】
図6および図7には、この発明に係わるウオッシャポンプの第3実施例が示されている。
【0051】
この場合のウオッシャポンプ1では、インペラ11の羽根部11bに揚力発生部12bを形成している。また、インペラ11はアーマチュアシャフト14に対して軸方向には移動可能であるが、該アーマチュアシャフト14の回転方向には一体的に結合されている。他の部位は第1実施例と同一になっている。
【0052】
揚力発生部12bは、図7に示されるように、インペラ11に有する6枚の羽根部11bにおいて、回転方向の前方側の側面の上端から下端にかけて回転方向の後方側に所定角度(ほぼ5度)傾斜して形成されている。揚力発生部12bは、6枚の羽根部11bの全部にそれぞれ形成されているが、全部に限らず、少なくとも対向配置された2個に形成されるのが望ましい。
【0053】
そして、揚力発生部12bは、インペラ11がアーマチュアシャフト14とともに回転する際に、ポンプ室10内に吸引され、インペラ11の羽根部11bに衝突した洗浄液を底板3bの底壁3b1側、即ち、ポンプ室10の底壁3b1側に押圧することによって強制的に移動させて、底壁3b1側に移動した洗浄液をインペラ11と底板3bの底壁3b1とのあいだに強制的に流し込むことによって、インペラ11をポンプ室10内で浮上させる機能を有する。それによって、インペラ11とポンプ室10の底壁3b1とのあいだに空気が入り込んでいたとしても、インペラ11がポンプ室10の底壁3b1に直接摺接することがなく、従ってインペラ11がポンプ室10に固着せず作動不良になることがない。また、揚力発生部12bは、インペラ11とポンプ室10の底壁3b1との間に発生した熱を冷却することによって熱の発生を防止する機能を有する。揚力発生部12bは、インペラ11の羽根部11bに形成されているため、揚力発生部12bを形成するに際し、インペラ11を成形する際の金型にわずかな加工を施すだけでよい。
【0054】
この場合のウオッシャポンプ1は、アーマチュアシャフト14が正回転を始めると、インペラ11もアーマチュアシャフト14とともに正回転するため、流体導入部2dに負圧が生じ、流体導入部2dに生じた負圧によって流体吸入口2eからポンプ室10内に洗浄液が吸引され、流体吐出口3cから連通管路を通じてウオッシャノズルに洗浄液が送給され、ウオッシャノズルから洗浄面に向けて噴射される。
【0055】
そして、洗浄液をウオッシャノズルから洗浄面に向けて噴射している間にアーマチュア7が回転するウオッシャポンプ1は、インペラ11に形成された揚力発生部12bがインペラ11の羽根部11bに衝突した洗浄液をポンプ室10の底壁3b1側に押圧移動させ、底壁3b1側に移動した洗浄液をインペラ11とポンプ室10の底壁3b1とのあいだに強制的に流し込むことによって、インペラ11がポンプ室10内で浮上しながら回転するため、インペラ11とポンプ室10の底壁3b1とのあいだに強制的に流し込まれた洗浄液によって、該ポンプ室10の底壁3b1に直接摺接しないでインペラ11が回転するものとなる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明の請求項1に係わるウオッシャポンプによれば、インペラとポンプ室の底壁とのあいだに空気が入り込んでいたとしても、インペラが回転するとポンプ室内に吸引された洗浄液がインペラの筒部に形成した流体溜に流れ込むことによって空気を弾き飛ばし、流体溜に流れ込んだ洗浄液によってインペラの各羽根部の底面がポンプ室の底壁に直接摺接することがない。それ故、インペラがポンプ室に固着することがなく、作動不良になることがないという優れた効果を奏する。また、流体溜はインペラの筒部におけるポンプ室の底壁側の端部から各羽根部における該ポンプ室の底壁側の端部までのあいだに形成されているため、インペラを成形する際の金型にわずかな加工を施すだけで得られる。
【0057】
この発明の請求項2に係わるウオッシャポンプによれば、インペラとポンプ室の底壁とのあいだに空気が入り込んでいたとしても、インペラが回転するとポンプ室内に吸引された洗浄液がポンプ室底壁に形成した流体溜に流れ込むことによって空気を弾き飛ばし、流体溜に流れ込んだ洗浄液によってインペラの各羽根部の底面がポンプ室の底壁に直接摺接することがない。それ故、インペラがポンプ室に固着することがなく、作動不良になることがないという優れた効果を奏する。また、流体溜はポンプカバーの底板の底壁に形成されているため、ポンプカバーを成形する際の金型にわずかな加工を施すだけで得られる。
【0058】
この発明の請求項3に係わるウオッシャポンプによれば、インペラとポンプ室の底壁とのあいだに空気が入り込んでいたとしても、インペラが回転するとポンプ室内に吸引された洗浄液を、インペラの羽根部に形成した揚力発生部がポンプ室の底壁側に押圧することによって強制的に移動させて、底壁側に移動した洗浄液をインペラと底壁とのあいだに強制的に流し込む。それ故、インペラはポンプ室内で浮上し、インペラの各羽根部の底面がポンプ室の底壁に直接摺接することがなく、従ってインペラがポンプ室に固着せず、作動不良になることがないという優れた効果を奏する。
【0059】
この発明の請求項4に係わるウオッシャポンプによれば、揚力発生部は、複数個の羽根部のうちの少なくとも対向配置された2個に形成される。それ故、請求項3の効果に加え、インペラが成形される際の金型にわずかな加工を施すだけで形成されるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わるウオッシャポンプの第1実施例の縦断正面図である。
【図2】図1に示したウオッシャポンプの底面図である。
【図3】図1に示したウオッシャポンプにおいてのインペラの単体外観斜視図である。
【図4】図1に示したウオッシャポンプにおいてのインペラの底面図である。
【図5】この発明に係わるウオッシャポンプの第2実施例の縦断正面図である。
【図6】この発明に係わるウオッシャポンプの第3実施例の縦断正面図である。
【図7】図6に示したウオッシャポンプにおいてのインペラの単体外観斜視図である。
【符号の説明】
1 ウオッシャポンプ
2 モータケース
2e 流体吸入口
3 ポンプカバー
3b1 底壁
3c 流体吐出口
5 マグネット
7 アーマチュア
10 ポンプ室
11 インペラ
11a 筒部
11b 羽根部
12 流体溜
12a 流体溜
12b 揚力発生部
14 アーマチュアシャフト

Claims (4)

  1. モータケースと、上記モータケースの内側に配置されたマグネットと、上記マグネットの内側に配置され、電流の供給により回転するアーマチュアシャフトを有するアーマチュアと、上記モータケースの端部に固定されたポンプカバーと、上記モータケースの端部と上記ポンプカバーとの間の内部に形成され、流体が導入されるポンプ室と、上記ポンプ室に連通して配置された流体吸入口および流体吐出口と、上記ポンプ室内に配置されているとともに、上記アーマチュアに有するアーマチュアシャフトに結合され、該アーマチュアシャフトとともに回転することにより、上記流体吸入口からポンプ室内に流体を吸引して、流体吐出口より流体を吐出するインペラとを備え、上記インペラは、円錐台形に形成された筒部と、この筒部の外周から外方に向け放射状に突出形成された複数の羽根部とを有し、更に、上記インペラには、上記円錐台形に形成された筒部における上記ポンプ室の底壁側の端部から上記複数の羽根部における該ポンプ室の底壁側の端部までのあいだに形成され、該ポンプ室内に吸引された流体を保持する流体溜とを備えていることを特徴とするウオッシャポンプ。
  2. モータケースと、上記モータケースの内側に配置されたマグネットと、上記マグネットの内側に配置され、電流の供給により回転するアーマチュアシャフトを有するアーマチュアと、上記モータケースの端部に固定されたポンプカバーと、上記モータケースの端部と上記ポンプカバーとの間の内部に形成され、流体が導入されるポンプ室と、上記ポンプ室に連通して配置された流体吸入口および流体吐出口と、上記ポンプ室内に配置されているとともに、上記アーマチュアに有するアーマチュアシャフトに結合され、該アーマチュアシャフトとともに回転することにより、上記流体吸入口からポンプ室内に流体を吸引して、流体吐出口より流体を吐出するインペラとを備え、上記インペラは、円錐台形に形成された筒部と、この筒部の外周から外方に向け放射状に突出形成された複数の羽根部とを有し、更に、上記ポンプ室の底壁に円形の凹状に形成され、その内径寸法が上記羽根部の外径寸法よりも小さく且つ上記インペラの円錐台形に形成された筒部の外径寸法よりもわずかに大きく形成され、該ポンプ室内に吸引された流体を保持する流体溜とを備えていることを特徴とするウオッシャポンプ。
  3. モータケースと、上記モータケースの内側に配置されたマグネットと、上記マグネットの内側に配置され、電流の供給により回転するアーマチュアシャフトを有するアーマチュアと、上記モータケースの端部に固定されたポンプカバーと、上記モータケースの端部と上記ポンプカバーとの間の内部に形成され、流体が導入されるポンプ室と、上記ポンプ室に連通して配置された流体吸入口および流体吐出口と、上記ポンプ室内に配置されているとともに、上記アーマチュアに有するアーマチュアシャフトに結合され、該アーマチュアシャフトとともに回転することにより、上記流体吸入口からポンプ室内に流体を吸引して、流体吐出口より流体を吐出するインペラとを備え、上記インペラは、上記アーマチュアシャフトの軸方向に移動可能にして該アーマチュアシャフトの回転方向に一体的に結合され円錐台形に形成された筒部と、この筒部の外周から外方に向け放射状に突出形成された複数の羽根部とを有し、更に、上記インペラの羽根部には、該羽根部の回転方向の前方側の側面の上端から下端にかけて回転方向の後方側に所定角度傾斜して形成され、上記ポンプ室内に吸引された流体を該ポンプ室の底壁側に押圧して該インペラを浮上させる揚力発生部とを備えていることを特徴とするウオッシャポンプ。
  4. 上記揚力発生部は、複数個の羽根部のうち、少なくとも対向配置された2個に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のウオッシャポンプ。
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