JP3754014B2 - 共重合体樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水酸基およびカルボキシル基またはイオン交換カルボキシル基を有する単糖類あるいは多糖類を1原料成分とするポリエステル樹脂組成物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
20世紀は石油資源を採掘し、プラスチックやエネルギーとして限りなく使用してきた。しかし、この石油資源にも限りがあることや、プラスチックの使用後に燃焼することにより大量の二酸化炭素を発生し、地球温暖化をはじめとする環境問題のひとつとなっている。また、その廃棄物は、自然界の分解力では回復できないほどの汚染をもたらしてきている。
【0003】
そこで、廃棄物として自然界に放置されても、微生物などにより自然分解され、無害化されるような材料の開発が進められている。
すなわち、セルロース誘導体などの多糖類と、ヒドロキシカルボン酸、脂肪族高アルコール、脂肪族多塩基酸などとを重縮合して製造したポリエステルは生分解性を有し、環境汚染を引き起こさない成形材料として用いることが知られている(特開平9−143253号公報)。しかしながら、この材料は、生分解性を有していることから使用済みの材料は自然界に放置しても分解して環境汚染を引き起こさないという特徴を有しているものの、このポリエステル材料を再利用するものではなく使用後は廃棄されるため、経済性に問題があった。
【0004】
一方、これまで廃プラスチック材料を再生利用しようとする各種試みとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)で成形された成型物を回収し、再溶融し各種成型物に再生することが行われている。しかし、新たに合成されたプラスチックと比較して、このように回収資源から再生したプラスチックは、一般的に強度が小さく、耐熱性が低く成形性が悪い。そのため、その用途も、特性が劣っていても実用上問題の生じない限られた用途に限定されるため、必ずしも十分プラスチックの再利用が進んでいない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来のプラスチック材料の問題点を改善するためになされたもので、自然界由来の材料を主原料とし、たとえ廃棄されても環境に負荷を与えないばかりでなく、成形性が良好で再利用可能な樹脂組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、分子内にカルボキシル基と水酸基を同時に有する高分子の単糖類あるいは多糖類と、乳酸のようなヒドロキシカルボン酸類や脂肪族多塩基酸と脂肪族多価アルコールを、直接脱水重縮合することによって、強度及び分解性が顕著に優れた高分子量のポリエステル側鎖を有する共重合体樹脂を得ることができることを見出し、本発明を完成したものである。
【0007】
すなわち、第1の本発明は、マンヌロン酸、グルロン酸、アルギン酸、および、アルギン酸のイオン交換体から選ばれた少なくとも1種(A)と、(b1)ヒドロキシカルボン酸、(b2)ポリヒドロキシカルボン酸、(b3)脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸の混合物、および、(b4)脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸との反応生成物である脂肪族ポリエステルからなる群から選ばれた少なくとも1種(B)とを、脱水重縮合反応することにより得られる共重合体を少なくとも含むことを特徴とする共重合体樹脂組成物である。なお本発明において、アルギン酸のイオン交換体とは、前記化合物のカルボキシル基の水素を金属イオンで交換した基をいい、この金属イオンとしては、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属が好ましい。
【0010】
また、前記第1の本発明において、前記ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸が好ましい。また、前記ポリヒドロキシカルボン酸としては、ポリ乳酸が好ましい。また、前記脂肪族多価アルコールと前記脂肪族多塩基酸としては、それぞれ、エチレングリコールまたは1,4−ブタンジオール、および、コハク酸またはアジピン酸が好ましい。さらに、前記脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸との反応生成物である脂肪族ポリエステルとしては、ポリエチレンサクシネートまたはポリブチレンサクシネートであることが好ましい。
【0011】
さらに、前記第1の本発明において、前記ヒドロキシカルボン酸が、乳酸であり、前記ポリヒドロキシカルボン酸が、ポリ乳酸であり、前記脂肪族多価アルコールと前記脂肪族多塩基酸が、それぞれ、エチレングリコールまたは1,4−ブタンジオール、および、コハク酸またはアジピン酸であり、前記脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸との反応生成物である脂肪族ポリエステルが、ポリエチレンサクシネートまたはポリブチレンサクシネートであることが好ましい。
【0012】
第2の本発明は、マンヌロン酸、グルロン酸、アルギン酸、および、アルギン酸のイオン交換体から選ばれた少なくとも1種(A)と、(b1)ヒドロキシカルボン酸、(b2)ポリヒドロキシカルボン酸、(b3)脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸の混合物、および、(b4)脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸との反応生成物である脂肪族ポリエステルからなる群から選ばれた少なくとも1種(B)とを、触媒の存在下で、実質的に水が存在しない有機溶媒中において脱水重縮合反応することを特徴とする共重合体樹脂組成物の製造方法である。
【0013】
前記第2の本発明において、前記有機溶媒の少なくとも一部を分取し、分取した前記有機溶媒に含まれる水分量よりも少ないかもしくは等しい水分量を持った他の有機溶媒を前記反応系に注入することにより前記有機溶媒の水分量を制御しながら脱水重縮合することが好ましい。その際に、前記分取した有機溶媒を、反応系内の前記有機溶媒中の水分量よりも実質的に低い水分量となるように処理し、その処理した有機溶媒を反応系内に注入することができる。また、前記分取した有機溶媒の処理を、乾燥剤と接触させることにより行うことができる。この乾燥剤としては、イオン交換樹脂、モレキュラーシーブ類、五酸化二リンまたは金属水素化物などを用いることができる。
【0014】
前記第2の本発明において、水酸基およびカルボキシル基またはイオン交換カルボキシル基を有する単糖類および多糖類としては、アルギン酸類およびペクチン類が好ましい。このアルギン酸類としては、アルギン酸またはそのイオン交換体のいずれかを用いることが好ましい。前記アルギン酸のイオン交換体としては、アルギン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を用いることができる。また、前記ペクチン類としては、ペクチンまたはそのイオン交換体のいずれかを用いることができる。前記ペクチン類のイオン交換体としては、ペクチンのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を用いることができる。
【0015】
さらに、前記第2の本発明において、前記ヒドロキシカルボン酸が、乳酸であり、前記ポリヒドロキシカルボン酸が、ポリ乳酸であり、前記脂肪族多価アルコールと前記脂肪族多塩基酸が、それぞれ、エチレングリコールまたは1,4−ブタンジオール、および、コハク酸またはアジピン酸であり、前記脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸との反応生成物である脂肪族ポリエステルが、ポリエチレンサクシネートまたはポリブチレンサクシネートであることが好ましい。
【0016】
上記発明において、ヒドロキシカルボン酸、脂肪族多価アルコールまたは脂肪族多塩基酸をモノマーといい、ポリヒドロキシカルボン酸または脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸の脂肪族ポリエステルをポリマーという。本発明により、多糖類であるアルギン酸類の側鎖に高分子量のヒドロキシカルボン酸単位をもつ共重合体、多糖類の側鎖に高分子量の脂肪族多価アルコール単位と脂肪族多塩基酸単位をもつ共重合体、または多糖類であるアルギン酸の側鎖に高分子量のヒドロキシカルボン酸単位と高分子量の脂肪族多価アルコール単位および脂肪族多塩基酸単位をもつ共重合体を、効率良く短時間で得ることができる。
【0017】
本発明の製造方法によって得られる共重合体は、高い分子量と高い融点を有し、強靱であるため、射出成形、押出成形、カレンダー成形、ブロー成形、バルーン成形、中空成形、真空成形、発泡等の成形に好適な材料である。特に、本発明の製造方法により得られる共重合体は、ポリヒドロキシカルボン酸や脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸との脂肪族ポリエステルのようなホモポリマーと比較して、非常に高い溶融張力を有し、ブロー成形や発泡体の製造に特に有効である。得られた共重合体は、本来ポリ乳酸が有する優れた強靱性、透明性と耐熱性に加えて、高い溶融張力を有し、発泡体やブローボトル等の成形加工品に好適に成型加工することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明で用いられる原料化合物、溶媒、触媒などの副原料、及び製造工程について順次説明する。
【0019】
[水酸基およびカルボキシル基またはイオン交換カルボキシル基を有する単糖類および多糖類]
本発明に用いられる水酸基およびカルボキシル基またはその塩を有する単糖類としては、マンヌロン酸、グルロン酸のほか、イドピラヌロン酸、ガラクトピラヌロン酸、グルクロン酸などのウロン酸類が挙げられる。またこれらが開環したものであるイズロン酸、ガラクツロン酸、グルコピラヌロン酸、グロピラヌロン酸、マンノピラヌロン酸であってもよい。また、水酸基およびカルボキシル基またはイオン交換カルボキシル基を有する多糖類としては、アルギン酸類、およびペクチン、ジェランガム、ランサンガム、ウエランガムおよびその塩類があげられる。これらの内で、特にアルギン酸類が、樹脂成形体の機械的強度、分解性など、本発明の目的とする特性において優れており、また入手が容易であることから、好ましい。
【0020】
[アルギン酸類]
本発明に用いられる多糖類であるアルギン酸類としては、アルギン酸、アルギン酸の誘導体等またはイオン交換体があげられ、これらは単独でまたは組合せて使用することができる。また、多糖類の調製方法は、天然物からの抽出法であっても、合成法であっても、半合成法であってもかまわない。多糖類の供給源である天然物は、いずれの生物や微生物であってもかまわない。
アルギン酸のイオン交換体としては、アルギン酸の有するカルボキシル基と、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属で構成される塩が用いることができる。
本発明において、実用的強度をもつ共重合体樹脂組成物を短時間で製造するために、アルギン酸類の分子量は、3,000以上が好ましい。
【0021】
[ヒドロキシカルボン酸]
本発明に用いられるヒドロキシカルボン酸は、分子内にヒドロキシ基を有する脂肪族カルボン酸類であり、例えば、乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシブチリックアシッド、4−ヒドロキシブチリックアシッド、3−ヒドロキシバレリックアッシド、5−ヒドロキシバレリックアッシド、6−ヒドロキシカプロン酸等があげられる。分子内に不斉炭素を有する場合はD体、L体、それぞれ単独であっても良いし、D体とL体の混合物すなわちラセミ体であってもよいが、L体単独であることがより好ましい。その理由は、L体を単独で使用した場合には、得られる重合体の重合度が高く、成形性に優れるからである。また、例えば乳酸とグリコール酸とを混合使用して、乳酸とグリコール酸のコポリマーを製造するように、一つのヒドロキシカルボン酸に他のヒドロキシカルボン酸を混合して用いても良い。
【0022】
[ポリヒドロキシカルボン酸]
本発明に使用するポリヒドロキシカルボン酸は、上記ヒドロキシカルボン酸を脱水重縮合して得られるものでもよいし、ラクタイド、グリコライドのようなヒドロキシカルボン酸の環状2量体またはε−カプロラクトンのようなヒドロキシカルボン酸の環状体を開環重合して得られたものでもよい。もちろん、本発明に使用するポリヒドロキシカルボン酸は、一つのヒドロキシカルボン酸に他のヒドロキシカルボン酸を重縮合して得られるコポリマーでもよい。本発明に使用するポリヒドロキシカルボン酸の分子量に制限はない。従って、重合度が数10程度以下の、いわゆるオリゴマーも用いることができる。
【0023】
原料としての入手の容易さおよび価格と得られる共重合体の物性を考慮して、ヒドロキシカルボン酸が乳酸であり、ポリヒドロキシカルボン酸がポリ乳酸であることが好ましい。
【0024】
[脂肪族多価アルコール]
本発明に用いられる脂肪族多価アルコールは、分子内に少なくとも二つの水酸基を有する化合物を包含し、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等があげられ、これらは単独でまたは組み合わせて使用することができる。
分子内に不斉炭素を有する場合、脂肪族多価アルコールは、D体、L体、それぞれ単独であっても良いし、D体とL体の混合物すなわちラセミ体であってもよい。
【0025】
[脂肪族多塩基酸]
本発明に用いられる脂肪族多塩基酸は、分子内に少なくとも二つのカルボキシル基を有する化合物を包含し、例えば、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等があげられ、これらは単独でまたは組み合わせて使用することができる。分子内に不斉炭素を有する場合、脂肪族多塩基酸は、D体、L体、それぞれ単独であっても良いし、D体とL体の混合物すなわちラセミ体であってもよい。
【0026】
本発明によって得られる共重合体が柔軟なものであるために、脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸の組み合わせは、脂肪族多価アルコールがエチレングリコール、1,4−ブタンジオールであり、脂肪族多塩基酸がアジピン酸、コハク酸であることが好ましい。
【0027】
[脂肪族ポリエステル]
本発明に用いられる脂肪族ポリエステルは、上記脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸またはそれらの反応性誘導体から得られる脂肪族ポリエステルを包含し、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート等があげられる。
ポリヒドロキシカルボン酸側鎖と脂肪族ポリエステル側鎖を有する本発明の共重合体中の脂肪族ポリエステルの量は、3.0〜51重量%の範囲が好ましく、5.0〜40重量%の範囲がさらに好ましく、この範囲においては、可撓性と透明性に特に優れた共重合体が得られる。あまり少ないと、十分な軟らかさ、延性若しくは塑性、または可撓性が充分ではなくなる傾向がみられ、多すぎると、透明性が低くなる傾向がみられる。本発明に使用する脂肪族ポリエステルの分子量に制限はない。従って、重合度が数10程度以下の、いわゆるオリゴマーも用いることができる。
【0028】
[重縮合反応]
本発明の重縮合反応は、無溶媒でも可能である。例えば、水酸基およびカルボキシル基もしくはイオン交換カルボキシル基を有する単糖類あるいは多糖類(以下、水酸基およびカルボキシル基もしくはイオン交換カルボキシル基を有する単糖類あるいは多糖類を総称してアルギン酸類等という)と、脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸とは、均一系で、効率よく反応させることができる。
本発明において、ポリマーとアルギン酸類等を反応させる場合、アルギン酸類等はポリマーと相溶性の良いものが好ましい。ポリマーとの相溶性の低いアルギン酸類等を用いる場合、脱水重縮合する際に、反応が不均一になりやすく、ポリマー中に、ゲル状の溶媒に不溶な成分が生成することがある。この観点から、本発明においてアルギン酸類は、イオン交換のされていないアルギン酸が好ましい。
【0029】
[有機溶媒]
本発明において使用することができる有機溶媒は原料化合物を溶解することができ、脱水中縮合反応を阻害しない溶媒を使用することができる。具体例としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン等の炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、ジクロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、p−クロロトルエン等のハロゲン系溶媒、3−ヘキサノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等のケトン系溶媒、ジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、o−ジメトキシベンゼン、p−ジメトキシベンゼン、3−メトキシトルエン、ジベンジルエーテル、ベンジルフェニルエーテル、メトキシナフタレン等のエーテル系溶媒、フェニルスルフィド、チオアニソール等のチオエーテル溶媒、安息香酸メチル、フタル酸メチル、フタル酸エチル等のエステル系溶媒、ジフェニルエーテル、または4−メチルフェニルエーテル、3−メチルフェニルエーテル、3−フェノキシトルエン等のアルキル置換ジフェニルエーテル、または、4−ブロモフェニルエーテル、4−クロロフェニルエーテル、4−ブロモジフェニルエーテル、4−メチル−4’−ブロモジフェニルエーテル等のハロゲン置換ジフェニルエーテル、または、4−メトキシジフェニルエーテル、4−メトキシフェニルエーテル、3−メトキシフェニルエーテル、4−メチル−4’−メトキシジフェニルエーテル等のアルコキシ置換ジフェニルエーテル、または、ジベンゾフラン、キサンテン等の環状ジフェニルエーテル等のジフェニルエーテル系溶媒があげられ、これらは、単独でまたは混合して用いることができる。
【0030】
本発明の製造方法は、脱水反応であり、後に述べる理由から、本発明において使用する有機溶媒は、実質的に、何らかの手法により脱水することが可能であれば、水と共沸するものでもしないものでもよく、水と分液するものでもしないものでもよい。しかしながら、本発明に用いる有機溶媒は、分液や蒸留等の分離手段により、水を容易に分離することができる溶媒が好ましい。本発明において用いる有機溶媒の沸点は、100℃以上であることが好ましく、135℃以上であることがより好ましい。反応を、低温、高真空度で行なうことにより、好ましくない副反応を伴うことなく、効率的に脱水反応を進行することができる。
【0031】
以上の点から、特に重量平均分子量の高い共重合体を得るためには、ハロゲン系溶媒、エーテル系溶媒、アルキル−アリールエーテル系溶媒およびジフェニルエーテル系溶媒がより好ましく、ハロゲン系溶媒、アルキル−アリールエーテル系溶媒およびジフェニルエーテル系溶媒がさらに好ましい。本発明において用いる有機溶媒の使用量は、実質的に、反応の進行を維持できれば特に制限されないが、一般的には、得られるポリマーの濃度に換算すると、5〜95%の範囲であることが好ましいが、工業的見地から、反応速度、反応生成物の純度、容積効率や溶媒回収等を勘案して設定する。
本発明の反応は、脱水反応であり、反応の進行にともない、水が生成する。この生成した水が、脱水重縮合して生成する共重合体の加水分解をうながし、高分子量の共重合体の生成を妨げる。反応系内の水の量が多くなりすぎると反応が進まなくなる。また、脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸のようなモノマーを反応に用いる場合、反応のある段階で、これらモノマーが残存していると、脱水重縮合反応が進みにくくなる。従って、反応速度を高め、より高い分子量の共重合体を得るためには、反応系内の水および/またはモノマーを除去する必要がある。
【0032】
また、本発明における反応系の有機溶媒の脱水および/または脱モノマー処理の態様には、過剰の有機溶媒を予め装入しておき、単に有機溶媒を抜き出すのみで脱水する方法、反応系の有機溶媒を他の有機溶媒を用いて処理する方法等も含まれる。反応系から一部取り出された溶媒を、系外で乾燥剤または吸着剤で処理するために用いられる乾燥剤または吸着剤は、特に制限されない。乾燥剤または吸着剤は、反応の進行を維持できる程度まで、充分に高い重合度の高分子量生成物を生成できる程度まで、あるいは、生成物の可逆的分解を抑制できる程度まで、反応系の有機溶媒中の水分および/またはモノマーを除去することができるものであればよい。
【0033】
[乾燥剤/水分吸着剤]
本発明において使用することができる乾燥剤または水分吸着剤としては、従来公知の乾燥剤および水分吸着剤を用いることができるが、具体例としては、例えば、モレキュラーシーブ3A、モレキュラーシーブ4A、モレキュラーシーブ5A、モレキュラーシーブ13X等のモレキュラーシーブ類、アルミナ、シリカゲル、塩化カルシム、硫酸カルシウム、五酸化二リン、濃硫酸、過塩素酸マグネシウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、あるいは水素化カルシウム、水素化ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム等の金属水素化物、または、ナトリウム等のアルカリ金属等、イオン交換樹脂があげられる。これらは、単独でまたは混合または組み合わせて用いることができる。中でも、取扱いおよび再生の容易さから、モレキュラーシーブ類およびイオン交換樹脂(特に陽イオン交換樹脂)が好ましい。本発明において反応速度を促進し、高分子量の共重合体を得るために触媒を使用することが好ましい。
【0034】
[触媒]
本発明において使用する触媒としては、一般に脱水重縮合反応用触媒として公知の触媒を用いることができるが、その具体例としては、例えば、周期表II、III、IV、V族の金属、その酸化物あるいはその塩等があげられる。より具体的には、亜鉛末、錫末、アルミニウム、マグネシウム等の金属、酸化錫、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ゲルマニウム等の金属酸化物、塩化第一錫、塩化第二錫、臭化第一錫、臭化第二錫、フッ化アンチモン、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等の金属ハロゲン化物、硫酸錫、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の炭酸塩、酢酸錫、オクタン酸錫、乳酸錫、酢酸亜鉛、酢酸アルミニウム等の有機カルボン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸錫、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、メタンスルホン酸錫、p−トルエンスルホン酸錫等の有機スルホン酸塩があげられる。これらは、単独でまたは混合、組み合わせて用いることができる。特に錫系触媒は重合の反応性から、もっとも好ましい。
【0035】
その他の例としては、ジブチルチンオキサイド等の上記金属の有機金属酸化物、または、チタニウムイソプロポキサイド等の上記金属の金属アルコキサイド、または、ジエチル亜鉛等の上記金属のアルキル金属等があげられる。これらもまた、単独でまたは混合、組み合わせて用いることができる。本発明において使用する触媒の使用量は、実質的に、反応速度を促進する程度のものであれば、特に制限されない。
触媒の使用量は、一般的には、使用するモノマーおよび/またはポリマーの0.0001〜5重量%の範囲が好ましく、経済性を考慮すると、0.001〜1重量%の範囲がより好ましい。
【0036】
本発明において、反応に有機溶媒が関与する場合は、反応温度は、実質的に、反応系に存在する有機溶媒の液相状態を維持することができ、反応の進行を維持できれば特に制限されない。また、溶媒が水と共沸するために、沸点が低下したとしても、所定の温度で、実質的に、反応の進行を維持できれば問題はない。本発明において、反応に有機溶媒が関与する場合、一般的には、反応温度は、生成ポリマーの生成速度と熱分解速度を考慮して、80〜200℃であり、100〜200℃の範囲が好ましく、110〜180℃の範囲がより好ましい。反応は、通常、常圧下で使用する有機溶媒の留出温度で行われる。反応温度を好ましい範囲にするために、高沸点の有機溶媒を用いる場合には、減圧下で行ってもよい。
【0037】
本発明の共重合体を製造するには、系外から水分が入らないように、および系内で発生した水分を除去しながら、真空または窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気で行なうことが好ましく、不活性ガスで置換しながら、または不活性ガスでバブリングしながら行ってもよい。本発明の共重合体を製造する反応は、連続操作でも回分操作でも行なうことができる。また、溶媒の脱水、溶媒の装入も、連続操作でも回分操作でも行なうことができる。
【0038】
[反応工程]
本発明において、脂肪族多塩基酸と脂肪族多価アルコールとアルギン酸類等を反応させる場合、および、ヒドロキシカルボン酸またはポリヒドロキシカルボン酸および脂肪族ポリエステルとアルギン酸類等を反応させる場合、その反応順序は、モノマーやポリマーの種類により適宜選択できるが、反応順序の好ましい態様は以下のとおりである。
【0039】
1)アルギン酸類等及び脂肪族多塩基酸と脂肪族多価アルコールを反応させる好ましい態様
i)第1工程:低分子量ポリエステルの生成工程
脂肪族多塩基酸に対して、当量かそれ以上の量の脂肪族多価アルコールを、無溶媒で、触媒の存在下、脂肪族多価アルコールが揮発しない温度および圧力で脱水重縮合する。この反応で得られる脂肪族ポリエステルの分子量は、重量平均分子量500〜1,000程度あり、5,000程度にすることもできる。
【0040】
ii)第2工程:高分子量ポリエステルの生成工程
第1工程終了後の反応系を減圧下に加熱し、過剰の多価アルコールを除去したのち、溶媒を加え、減圧下に加熱し、脱水反応により生成する水とさらに残留する脂肪族多価アルコールを、溶媒とともに分取して、脂肪族ポリエステルの分子量をさらにあげる。分取した溶媒は、水分離器により水を分離して反応系に戻す。反応系に戻す溶媒中の水の量は、500ppm以下が好ましい。有機溶媒の使用量は、実質的に、反応の進行を維持できれば特に制限されない。有機溶媒の使用量は、例えば、得られるポリマーの濃度に換算して、約25%が好ましい。この状態で数時間反応させると、溶媒の種類にもよるが、重量平均分子量15,000〜50,000程度の脂肪族ポリエステルが得られる。
【0041】
iii)アルギン酸類等と脂肪族ポリエステルの反応
第2工程終了後の反応系にアルギン酸類等を加えて、減圧下に加熱して、脱水縮合反応を行う。この反応において、第2工程で用いた水分離器をはずし、代わりに乾燥剤または水分吸着剤を充填した管を反応器に接続し、留出する溶媒を乾燥剤または吸着剤の層を通して、留出する溶媒中の水の濃度を50ppm以下にして反応系に戻す。留出した溶媒を、乾燥剤または吸着剤を入れた別の反応器で処理して反応系に戻すようにするか、または新たな水分含量の低い溶媒を反応器に装入してもよい。このとき、微量留出する多価アルコールも乾燥剤または吸着剤に吸着し、得られる共重合体の分子量向上に役立つ。この状態で、10〜60時間反応することにより、重量平均分子量50,000〜500,000の共重合体が得られる。
【0042】
2)アルギン酸類等とヒドロキシカルボン酸またはポリヒドロキシカルボン酸および脂肪族ポリエステルを反応させる順序
アルギン酸類等が他のポリマーあるいは、溶媒に対し、溶解性が高いことから、色々な順序で反応させることができる。例えば、触媒の存在下、ポリヒドロキシカルボン酸とアルギン酸を反応させた後、脂肪族ポリエステルを反応させるかまたは、ポリヒドロキシカルボン酸と脂肪族ポリエステルを反応させた後アルギン酸を反応させる等の方法で反応させることによりゲル化や不溶物の発生の問題もなく、均一な反応生成物を得ることができる。また、触媒の存在下、ポリヒドロキシカルボン酸と脂肪族ポリエステルとアルギン酸を一度に有機溶媒に溶解し、反応させても同様である。
【0043】
次に、各モノマーまたは各ポリマーと多糖類との種々の反応について、好ましい反応態様を以下に示す。
[第1の実施の形態]
1)アルギン酸類等と乳酸との反応
アルギン酸類等と乳酸を、触媒の存在下有機溶媒中で反応させる方法について以下に詳述する。本発明の共重合体は、乳酸とアルギン酸類等を、触媒の存在下有機溶媒中で反応を行なうことにより得られる。この反応中に、さらにポリマー分子量を上げる場合には、有機溶媒の少なくとも一部を分取し、分取した有機溶媒に溶解する水分量以下の水分量を有する有機溶媒を、追加溶媒として反応系に注入しながら反応することができる。原料のアルギン酸類等の重量平均分子量は、3,000以上であることが好ましい。
本発明の共重合体中のアルギン酸類等の量は、0.1〜10重量%の範囲が好ましく、0.5〜5重量%の範囲がさらに好ましく、この範囲においては、溶融張力が高く、透明性に優れたが共重合体が得られる。少なすぎると、溶融張力が充分ではなくなる傾向がみられ、多すぎると反応において均一性が得られなくなる傾向がみられる。触媒の使用量は、一般的には、使用する乳酸とアルギン酸類等の0.0001〜5重量%の範囲が好ましく、経済性を考慮すると、0.001〜1重量%の範囲がより好ましい。
【0044】
本実施の形態の具体的な反応方法は以下のとおりである。
反応器に、溶媒、L−乳酸、アルギン酸類等および触媒をそれぞれ所定量装入し、装入後、反応器を加熱し、系外に水を留去しながらオリゴマー化を行う。この後、モレキュラーシーブ等の乾燥剤を充填し溶媒を入れた管を反応器にとりつけ、留出する溶媒がこの管を通って還流するようにする。留出した溶媒を、乾燥剤を入れた別の反応器で処理して反応器に戻すようにするか、または新たな水分含量の低い溶媒を反応器に装入してもよい。このような方法により、溶媒に溶解する水の量を、50ppm以下に維持しながら、数十時間反応し続けることにより、重量平均分子量50,000〜500,000の範囲のL−乳酸とアルギン酸類等の共重合体を得ることができる。
得られた共重合体の重量平均分子量は、溶媒の種類、触媒の種類および量、反応温度、反応時間、共沸により留出した溶媒の処理方法等の反応条件を変えることにより、種々のものが得られるが、約70,000〜200,000の範囲のものが好ましい。共重合体の重量平均分子量が50,000より低いものでは、高いものと比較して、フィルム等に加工した場合には、引張強度および伸び率が相対的に低い。また、この共重合体は、透明で、高い溶融張力を有し、フィルム、フィラメント、成形物等に加工した場合に、優れた強度と強靭性を有する。さらに、得られた共重合体は、ポリ乳酸の10倍以上の溶融張力を持つため、発泡体やブロー成形品に加工し易い。
【0045】
[第2の実施の形態]
2)アルギン酸類等と1,4−ブタンジオール及びコハク酸との反応
水分離器(例えばDean Stark trap)を備えた反応器に、溶媒および所定量の1,4−ブタンジオールとコハク酸およびアルギン酸類と所定量の触媒を装入し、反応器を加熱し、共沸により溶媒と水を留出させ水分離器に導く。溶媒の溶解度以上の水を水分離器で分離して系外に除去し、溶解度分の水を含んだ溶媒は、反応系に戻す。この段階で1,4−ブタンジオールとコハク酸とアルギン酸類がオリゴマー化する。この段階における生成物の重量平均分子量は、通常、500〜1,000程度であるが、5,000程度とすることもできる。この間の反応時間は、約0.5時間から数時間である。
このオリゴマー化の反応は、あらかじめ別の反応器で、無溶媒、無触媒、減圧下で行なっていてもよいし、無触媒で溶媒を用いて行なってもよい。このまま溶媒の留出温度で、反応が進むにつれて生成する水を除去し、水で飽和した溶媒を反応系に戻しながら反応を続けてよい。さらに数時間反応させると、溶媒の種類にも依存するが、重量平均分子量5,000〜50,000程度のものが得られる。
【0046】
さらに高分子量のポリマーを得るために、以下のような操作を行うことができる。
i)反応系中の水を水分離器によりほぼ完全に留出させた後、水分離器をはずし、留出する溶媒を乾燥剤または吸着剤を充填した管を通過するように還流して、さらに脱水する。
ii)反応系中の水を水分離器によりほぼ完全に留出させた後、水分離器をはずし、留出する溶媒を乾燥剤または吸着剤を入れた別の反応器で処理して反応器に戻るように還流させることにより、さらに脱水する。
iii)反応系中の水を水分離器によりほぼ完全に留出させた後、水分離器をはずし、新たな水分含量の低い溶媒を反応器に装入する。
これらの方法により、溶媒に溶解する水の量を50ppm以下にし、このまま数10時間反応を続けることにより、溶媒の種類にも依存するが、重量平均分子量50,000〜500,000の共重合体を得ることができる。得られた共重合体は、高い溶融張力と優れた柔軟性を有する。
【0047】
[第3の実施の形態]
3)アルギン酸類等及び乳酸とポリブチレンサクシネートの反応
触媒の存在下、乳酸をあらかじめ脱水重縮合し、重量平均分子量3,000以上にした後、アルギン酸類等を添加して反応させ、ついで、ポリブチレンサクシネートを加えて、さらに加熱脱水重縮合反応をさせる。この反応中に、さらにコポリマーの分子量を上げる場合には、有機溶媒の少なくとも一部を除去し、除去した有機溶媒に溶解する水分量以下の水分量を有する有機溶媒を、追加溶媒として反応系に装入しながら反応することができる。そのために、留出する溶媒を乾燥剤を充填した管を通過するように還流して、脱水してもよい。原料のアルギン酸類等の重量平均分子量は、3,000以上であることが望ましい。
【0048】
本発明の共重合体中のアルギン酸類等の単位の量は、0.1〜10重量%の範囲が好ましく、0.5〜5重量%の範囲がさらに好ましく、この範囲においては、可撓性、透明性および溶融張力に特に優れた共重合体が得られる。少なすぎると、溶融張力が充分ではなくなる傾向がみられ、多すぎると、反応の均一性がなくなったり、得られた共重合体が脆くなったりする傾向がみられる。原料のポリブチレンサクシネートの重量平均分子量は、10,000以上であることが望ましい。
本発明の共重合体中のポリブチレンサクシネートの量は、3.0〜51重量%の範囲が好ましく、5.0〜40重量%の範囲がさらに好ましく、この範囲においては、可撓性と透明性に特に優れた共重合体が得られる。あまり少ないと、十分な軟らかさ、延性若しくは塑性、または可撓性が充分ではなくなる傾向がみられ、多すぎると、透明性が低くなる傾向がみられる。触媒の使用量は、一般的には、使用する乳酸とアルギン酸の0.0001〜5重量%の範囲が好ましく、経済性を考慮すると、0.001〜1重量%の範囲がより好ましい。
【0049】
具体的な反応方法は以下のとおりである。反応器に、溶媒、L−乳酸および触媒をそれぞれ所定量装入し、装入後、反応器を加熱し、系外に水を留去しながらオリゴマー化を行なう。ついで、アルギン酸およびポリブチレンサクシネートを添加し、さらにモレキュラーシーブ等の乾燥剤を充填し溶媒を入れた管を反応器にとりつけ、留出する溶媒がこの管を通って還流するようにするか、留出した溶媒を、乾燥剤を入れた別の反応器で処理して反応器に戻すようにするか、または新たな水分含量の低い溶媒を反応器に装入する。このような方法により、溶媒に溶解する水の量を、50ppm以下に維持しながら、数十時間反応し続けることにより、重量平均分子量50,000〜500,000の範囲のL−乳酸とアルギン酸およびポリブチレンサクシネートの共重合体を得ることができる。
【0050】
[重縮合後の処理工程]
上述した本発明によって製造した共重合体を反応液から単離する方法は、公知・公用のいずれの方法によってもよく、実質的に、反応生成物を所望の純度で回収できるものであれば、特に制限されない。反応液から共重合体を単離する方法の具体例としては、反応終了後に、適当な温度において、反応生成物が溶解している反応液に、過剰の貧溶媒(例えば、イソプロピルアルコール等)を加え、析出した反応生成物の結晶を、デカンテーションまたは濾過等により単離し、該結晶を溶解しない貧溶媒で充分に洗浄後、乾燥する方法等があげられる。
【0051】
本発明に係る反応において、縮合反応を触媒の存在下で行なった場合には、得られた共重合体中に触媒が残存する。得られた共重合体中に触媒が残存すると、得られた共重合体の熱安定性および耐候性に好ましくない影響を及ぼす虞があるので、得られた共重合体中の触媒を除くことが好ましい。触媒除去方法の好ましい態様としては、例えば、重縮合反応液を冷却して得られる粉末固体状共重合体を、攪拌状態または非攪拌状態で、親水性有機溶媒の存在下、酸性物質と接触させる方法があげられる。
【0052】
この方法に使用される親水性有機溶媒の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルターシャリーブチルエーテル等のエーテル類、酢酸、酪酸等のカルボン酸類、アセトニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセチアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド類等があげられ、これらは単独でまたは組合せて使用することができる。これらの中では、一般的には、安価であり、かつ、共重合体を溶解しないアルコール類が好適に使用される。
酸性物質の具体例としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸等があげられ、これらは単独でまたは組合せて使用することができる。これらの中では、一般的には、安価な塩酸、硫酸、硝酸等が好適に使用される。
【0053】
脱触媒処理に供する固形共重合体の形状は、特に制限されない。脱触媒処理に供する固形共重合体の形状の具体例としては、例えば、粉末状、顆粒状、粒状、フレーク状、ブロック状、リオフィライズ状等をあげることができる。脱触媒処理に供する固形共重合体の嵩密度は、特に制限されない。
共重合体を酸性物質で脱触媒処理する際の、親水性有機溶媒と共重合体の重量比率は、一般的には、親水性有機溶媒と共重合体の合計重量に対して、共重合体が3〜40重量%程度となるようにすることが好ましい。共重合体を酸性物質で脱触媒処理する温度は、一般的には、0〜100℃が好ましく、0〜60℃がより好ましい。共重合体を酸性物質で脱触媒処理する時間は、一般的には、0.1時間〜24時間程度が好ましく、0.5〜8時間程度がより好ましい。
【0054】
[共重合体樹脂組成物]
以上の工程によって得られた共重合体は、主に、アルギン酸類等の少なくと1つのカルボン酸と乳酸の水酸基、およびアルギン酸類等の水酸基と乳酸のカルボン酸が反応してエステル結合で結合した共重合体である。その重量平均分子量は、溶媒の種類、触媒の種類および量、反応温度、反応時間、共沸により留出した溶媒の処理方法等の反応条件を変えることにより、種々のものが得られるが、約50,000〜300,000の範囲のものが好ましい。得られた共重合体は、フィルム、フィラメント、成形物等に加工した場合に、優れた強度、強靭性、透明性および柔軟性を有する。さらに、得られた共重合体は、メルトフローインデックスが10g/10分のとき、0.7g以上の大きな溶融張力をもつため、発泡体やブロー成形品に加工し易い。
【0055】
本発明により得られる共重合体の重量平均分子量および分子量分布は、溶媒の有無または種類、触媒の有無または種類および量、反応温度、反応時間、共沸により留出した溶媒の処理方法、反応系の溶媒の脱水の程度等の反応条件を適宜選択することにより、所望のものに制御することができる。本発明により、重量平均分子量5万以上の共重合体が得られ、その共重合体は、後述するフィルム、ブローボトル、発泡体等の成形物に加工する場合、優れた加工性を示す。
本発明の方法により、通常のポリヒドロキシカルボン酸と比較して、高い溶融張力を有する共重合体が得られる。この共重合体は、溶融ポリマーの張力が高いために、例えば、Tダイ押出フィルムを製造する際に、通常問題となる溶融フィルムの垂れやネックインによるフィルム幅の低下が小さくなり、フィルムの成形が容易になる。また、通常のポリヒドロキシカルボン酸に比べて高い発泡倍率の発泡体が容易に得られるという利点がある。さらに、ブロー成形の際には、ダイレクトブローが容易になり、またシート類から真空成形する際にも加熱シートの垂れが少なく、成形が行ない易いという特徴がある。本発明の方法で、ヒドロキシカルボン酸またはポリヒドロキシカルボン酸と多糖類を反応させ、さらに脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールから得られる脂肪族ポリエステルを反応させることにより、柔軟で透明性を持ち、さらに溶融張力の高い共重合体を得ることができる。
【0056】
本発明において、アルギン酸類等としてイオン交換されたアルギン酸類等を用いた場合には、ポリヒドロキシカルボン酸がポリL−乳酸のように、本来結晶性を持っている場合でも、その結晶化の速度が著しく低下した共重合体が得られる。このような共重合体は、透明性を重視する成形物のように非晶の状態で用いられる用途において、高温、高湿度の条件で成形物が結晶化して透明性を失ってしまうという欠点を改善することができる。また、二軸延伸フィルムを製造する際に、一方向に延伸すると、フィルムの結晶化温度が低下して、別方向にさらに延伸することが難しくなるという問題も改善することができる。本発明により得られる共重合体は、射出成形、押出成形、カレンダー成形、ブロー成形、バルーン成形、中空成形、真空成形、発泡等の成形に好適な材料である。特に、本発明により得られる共重合体は、ブロー成形、発泡成形、押出成形等の溶融したポリマーの強度を要する加工に適している。例えば、押出成形によるシートの場合に、溶融張力が高いため、溶融されたシートの垂れ下がりやネックインによるシート巾の減少が少ないという特徴がある。
【0057】
[用途]
以下に、本発明によって得られる共重合体の用途を詳細に述べる。本発明によって得られる共重合体は、適当な成形加工法により、例えば、ボールペン・シャープペン・鉛筆等の筆記用具の部材、ステーショナリーの部材、ゴルフ用ティー、始球式用発煙ゴルフボール用部材、経口医薬品用カプセル、肛門・膣用座薬用担体、皮膚・粘膜用貼付剤用担体、農薬用カプセル、肥料用カプセル、種苗用カプセル、コンポストバッグ、釣り糸用糸巻き、釣り用浮き、漁業用擬餌、ルアー、漁業用ブイ、狩猟用デコイ、狩猟用散弾カプセル、食器等のキャンプ用品、釘、杭、結束材、ぬかるみ・雪道用滑り止め材、ブロック等としても好適に使用することができる。
本発明によって得られる共重合体は、適当な成形加工法により、例えば、弁当箱、食器、コンビニエンスストアで販売されるような弁当や惣菜の容器、箸、割り箸、フォーク、スプーン、串、つまようじ、カップラーメンのカップ、飲料の自動販売機で使用されるようなカップ、鮮魚・精肉・青果・豆腐・惣菜等の食料品用の容器やトレイ、鮮魚市場で使用されるようなトロバコ、牛乳・ヨーグルト・乳酸菌飲料等の乳製品用のボトルや缶、炭酸飲料・清涼飲料等のソフトドリンク用のボトルや缶、ビール・ウィスキー等の酒類ドリンク用のボトルや缶、シャンプーや液状石鹸用のポンプ付きまたはポンプなしのボトル、歯磨き粉用チューブ、化粧品容器、洗剤容器、漂白剤容器、保冷箱、植木鉢、浄水器カートリッジのケーシング、人工腎臓や人工肝臓等のケーシング、注射筒の部材、テレビやステレオ等の家庭電化製品の輸送時に使用するための緩衝材、コンピューター・プリンター・時計等の精密機械の輸送時に使用するための緩衝材、カメラ・眼鏡・顕微鏡・望遠鏡等の光学機械の輸送時に使用するための緩衝材、ガラス・陶磁器等の窯業製品の輸送時に使用するための緩衝材としても好適に使用することができる。
【0058】
本発明によって得られる共重合体は、フィルムやシートの製造に好適な材料である。本発明によって得られる共重合体を含むフィルムやシートは、公知・公用の押出法、共押出法、カレンダー法、ホットプレス法、溶媒キャスティング法、インフレーション法、バルーン法、テンター法等の技術により製造できる。本発明によって得られる共重合体を、フィルムやシートに加工する場合、押出法の場合、Tダイ、インフレーションダイ(円形ダイ)、フラットダイ、フィードブロック/シングルマニホールドダイやいくつかのフィードブロックを組み合わせたシングルマニホールドダイ等の公知・公用のダイを用いることができる。また、共押出法を用いることもでき、この場合においては、性質の異なる複数の該ポリマーおよびまたは他種ポリマーを用いて、多層フィルムを製造することができる。
【0059】
インフレーション法またはバルーン法を採用すると、二軸同時延伸ができるために、低伸び率・高弾性率・高強靭性を有する丈夫な製品を、高い生産性で、相対的に安価に製造することができ、かつ、形状が袋状(シームレス状)であるため、スーパーマーケット用持ち帰りバッグ、冷凍食品や精肉等の低温の食品パックに結露する水が周囲を濡らすことを防ぐための袋、コンポストバッグ、等の袋やバッグの生産に好適である。共押出法と組み合わせることにより、性質の異なる複数の本発明の分解性共重合体およびまたは他種ポリマーを用いて多層フィルムを、高い生産性で製造することができる。インフレーション法またはバルーン法と共押出法と組み合わせることもできる。
【0060】
本発明によって得られる共重合体を含むフィルムまたはシートは、さらに、延伸加工、ブロー加工、真空成形等の二次元的または三次元的な形状を賦与する二次的な加工にも好適な材料である。本発明によって得られる共重合体を含むフィルムまたはシートは、ショッピングバッグ、ゴミ袋、コンポストバッグ、セメント袋、肥料袋、食品・菓子包装用フィルム、食品用ラップフィルム、農業用・園芸用フィルム、温室用フィルム、ビデオやオーディオ等の磁気テープカセット製品包装用フィルム、フレキシブルディスク包装用フィルム、フェンス、海洋用・河川用・湖沼用オイルフェンス、粘着テープ、テープ、結束材、防水シート、かさ、テント、土嚢用袋、セメント袋、肥料用袋等として好適に使用することができる。
【0061】
また、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン等の無機物を含むポリマーを押し出して作成したフィルムを、さらに延伸加工することにより、通気性を持った多孔性フィルムを得ることもでき、オムツカバーや特殊な包装材料等に使用することができる。円形ダイによる押し出しにより、本発明によって得られる共重合体を含むシームレスパイプを製造することができる。共押出法と組み合わせることにより、性質の異なる複数の本発明の分解性共重合体およびまたは他種ポリマーを用いて、多層シームレスパイプを製造することもできる。ダイによる押し出しにより、本発明によって得られる共重合体を含む角材や丸材を製造することができる。共押出法と組み合わせることにより、性質の異なる複数の本発明の分解性共重合体およびまたは他種ポリマーを用いて、多層構造断面を有する角材や丸材を製造することもできる。このような共押出法との組み合わせにより、例えば、金太郎飴、鳴門巻、伊達巻のような、特定の断面層構造と断面輪郭を有する角材や丸材を製造することもできる。
【0062】
本発明によって得られる共重合体を、フィルムやシートに加工する場合、添加剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線安定剤、滑剤、充填剤、付着防止剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、滑り防止剤、顔料等)、押出条件、延伸条件等を目的に応じて、適宜、選択することにより、所望の物性、ガスバリア性、光学特性、透過光波長スペクトル、遮光性、耐油性等の特性を有する、本発明の分解性共重合体を含むフィルムやシートを製造することができる。本発明によって得られる共重合体を、フィルムやシートに加工する場合、後処理工程または仕上げ工程においては、ウェルディング、ヒートシール、ミシン目付与、プライマー塗布、粘着剤塗布、薬剤塗布、パーカライジング、蒸着、スパッタリング、CVD、コーティング、エッチング、噴き付け、染色、塗装、静電塗装、エアブラッシング、ラミネート、サンドイッチ、エンボス賦与、立体模様賦与、型押し、波付け、印刷、転写、サンディング、サンドプラスト、シャーリング、パンチング、打ち抜き、ハニカム構造化、段ボール構造化、積層体形成等の後処理や仕上げの加工を行なうこともできる。
【0063】
後処理工程または仕上げ工程には、目的に応じ、カレンダー法、押し出し法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、凸版法、凹版法、ドクターブレード法、浸漬法、スプレー法、エアブラシ法、静電塗装法等の公知・公用の方法を採用することができる。本発明によって得られる共重合体を含むフィルムまたはシートは、紙や他のポリマー等の他の材質のシートと、ラミネートや貼り合わせ等により、多層構造の積層体とすることもできる。
【0064】
既に述べたように、本発明によって得られる共重合体は、溶融張力が大きいため、発泡体の製造に有効である。本発明において発泡体は、樹脂の内部に多くの空隙(気泡、ボイド、マイクロボイド、キャビティーを含む)が存在する、見かけ密度の小さい、樹脂の連続相中に、空隙相(空隙は連続のものも、独立のものも含む)が混在した、二相構造または多相構造を有する樹脂構造体を包含し、例えば、細胞構造を有する高分子、発泡高分子、膨張高分子、高分子発泡体、高分子フォーム等の構造体と認識されるもの一般をも包含し、軟質のものも硬質のものも包含する。
【0065】
本発明によって得られる共重合体を含む発泡体は、ガス注入発泡、ビーズ発泡等の公知・公用の方法により製造することができる。発泡体の空隙(気泡、ボイド、マイクロボイド、キャビティーを含む)の、連続性、独立性、大きさ、形状、分布、大きさの均一性等の特性は、目的に応じ、適宜、発泡条件を設定することにより制御することができる。発泡体を製造するための発泡剤には、不活性ガス、分解すると不活性ガスを発生する化学的発泡剤、炭素数3〜5である炭化水素または塩素化炭化水素、フルオロカーボン類、フロン類、水、窒素、LPG、LNG、低沸点有機液体、炭酸ガス、不活性ガス、アンモニア等を包含する。化学的発泡剤の例としては、炭酸水素ナトリウム、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、スルホニルヒドラジド、アゾジカルボンアミド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、5−フェニルテトラゾール、ジイソプロピルヒドラゾジカルボキシラーゼ、5−フェニル−3,6−ジヒロドロ−1,3,4−オキサジアジン−2−オン、水酸化ホウ素ナトリウム等があげられる。
【0066】
物理的発泡剤の例としては、n−ペンタン、2,2−ジメチルプロパン、1−ペンテン等のペンタン類、n−ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、シクロヘキサン等のヘキサン類、n−ヘプタン、2,2−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3−エチルペンタン、1−ヘプテン等のヘプタン類、トルエン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、トリクロロフルオロメタン、メタノール、2−プロパノール、イソプロピルエーテル、メチルエチルケトン等があげられる。フルオロカーボン類の例としては、CFC−11、CFC−12、CFC−113、CFC−114等のCFCシリーズのフロンがあげられる。クロロフルオロカーボン(CFC)代替物として、HCFC−141a、HCFC−142b、HFC−134a、HCFC−141b、HCFC−22、CFC−1113、HFC−32、HFC−125、HCFC−124、HFC−125、HFC−152a、HCFC−123、HFC−4310等があげられる。
【0067】
本発明によって得られる共重合体を含む発泡体は、例えば、弁当箱、食器、コンビニエンスストアで販売されるような弁当や惣菜の容器、カップラーメンのカップ、飲料の自動販売機で使用されるようなカップ、鮮魚・精肉・青果・豆腐・納豆・惣菜等の食料品用の容器やトレイ、鮮魚市場で使用されるようなトロバコ、牛乳・ヨーグルト・乳酸菌飲料等の乳製品用の容器、炭酸飲料・清涼飲料等の容器、ビール・ウィスキー等の酒類ドリンク用の容器、化粧品容器、洗剤容器、漂白剤容器、保冷箱、植木鉢、テープ、テレビやステレオ等の家庭電化製品の輸送時に使用するための緩衝材、コンピューター・プリンター・時計等の精密機械の輸送時に使用するための緩衝材、カメラ・眼鏡・顕微鏡・望遠鏡等の光学機械の輸送時に使用するための緩衝材、ガラス・陶磁器等の窯業製品の輸送時に使用するための緩衝材、遮光材、断熱材、防音材等としても好適に使用することができる。
本発明によって得られる共重合体を含む発泡体は、医療用または衛生用に好適に用いることができる。例えば、包帯、皮膚・粘膜用貼付剤用担体、三角巾、絆創膏、タオル、使い捨てタオル、使い捨て濡れタオル、おしぼり、雑巾、ティッシュー、清浄用・消毒用ぬれティッシュー、あかちゃんのおしりふき用ぬれティッシュー、使い捨ておむつ、生理用・おりもの用ナプキン、生理用タンポン、手術用・出産用血液吸収用タンポン、衛生用カバーストック材、滅菌バッグ等に好適に用いることができる。
【0068】
これら医療用または衛生用の製品は、加熱や蒸気による滅菌、エチレンオキサイドガスによる滅菌、過酸化水素水やオゾンによる滅菌、紫外線や電磁波の照射による滅菌、ガンマー線等の放射線の照射による滅菌、エタノールや塩化ベンザルコニウム等の殺菌剤等を用いた公知・公用の方法により滅菌、殺菌または消毒のうえ、無菌包装をすることができる。また、HEPAフィルターにより超清浄空気を層流で供給できるクリーンベンチやクリーンルームの中に、工程を設置することにより、無菌状態およびまたはエンドトキシン・フリーの状態で製品を製造、包装することもできる。
【0069】
本発明によって得られる共重合体を含む発泡体は、農業、漁業、林業、工業、建設土木業、運輸交通業を包含する一般産業用途およびレジャー、スポーツを包含するリクレーション用途に好適に用いることができる。例えば、農業用寒冷紗、オイル吸収材、軟弱地盤補強材、人工皮革、フレキシブルディスクの裏地、土嚢用袋、断熱材、防音材、クッション材、ベッド・椅子等の家具用クッション材、床用クッション材、包装材、結束材、ぬかるみ・雪道用滑り止め材等として好適に用いることができる。
【0070】
【実施例】
(実施例1)
90%L−乳酸89.3g、重量平均分子量7,800のアルギン酸1.9g、ジフェニルエーテル300g、錫末0.37gを130℃/50mmHgで3時間、さらに130℃/30mmHgで3時間、系外に水を留去しながら加熱攪拌しオリゴマー化を行った。この後、Dean Stark trapを取りつけ、140℃/24mmHgで8時間共沸脱水反応を行い、水分を除去した。つづいて、Dean Stark trapをはずし、モレキュラーシーブ3A50gと、水分が10ppm以下であるジフェニルエーテル73.0gが入った管を取り付け、還流により留出する溶媒がモレキュラーシーブ層を通って再び系内に戻るようにして、130℃/13mmHgで9時間、系内に水を混入させないようにしながら加熱攪拌し、反応した。なお、モレキュラーシーブ通過後の溶媒中の水分量は、2ppmであった。この反応液に、0.7%塩酸/イソプロピルアルコール溶液800mlを加え、1時間攪拌した後、吸引濾過する操作を2回行い、錫末を除去した。濾塊にイソプロピルアルコール600mlを加えて攪拌した後、吸引濾過する操作を濾液が中性になるまで行い、続いてヘキサン洗浄を行った後、熱風乾燥して得られた共重合体の重量平均分子量は、100,000であった。この共重合体を示差熱分析したところ、ガラス転移温度は58.1℃、融点は156.4℃の値を示した。
【0071】
(実施例2)
90%L−乳酸178.6g、重量平均分子量7,800のアルギン酸1.3g、錫末0.74gを130℃/50mmHgで3時間、さらに130℃/30mmHgで2時間、系外に水を留去しながら加熱攪拌しオリゴマー化を行った。その後、水分が10ppm以下であるo−ジクロロベンゼン300gを加え、モレキュラーシーブ3A70gと、水分が10ppm以下であるo−ジクロロベンゼン96.5gが入った管を取り付け、還流により留出する溶媒がモレキュラーシーブ層を通って再び系内に戻るようにして、140℃/250mmHgで10時間、系内に水を混入させないようにしながら加熱攪拌し、反応した。なお、モレキュラーシーブ通過後の溶媒中の水分量は、2ppmであった。この反応液に、0.7%塩酸/イソプロピルアルコール溶液800mlを加え、1時間攪拌した後、吸引濾過する操作を2回行い、錫末を除去した。濾塊にイソプロピルアルコール600mlを加えて攪拌した後、吸引濾過する操作を濾液が中性になるまで行い、続いてヘキサン洗浄を行った。その後、60℃で熱風乾燥し得られた共重合体の重量平均分子量は、100,000であった。この共重合体を示差熱分析したところ、ガラス転移温度は57.5℃、融点は159.1℃であった。
【0072】
(実施例3)
90%L−乳酸89.3g、ジフェニルエーテル300g、錫末0.37gを130℃/50mmHgで3時間、さらに130℃/30mmHgで3時間、系外に水を留去しながら加熱攪拌した。反応中のポリマーの重量平均分子量は5,000であった。重量平均分子量6,000のアルギン酸0.6gを添加し、Dean Stark trapを取りつけ、140℃/24mmHgで8時間共沸脱水反応を行い水分を除去した。Dean Stark trapをはずし、モレキュラーシーブ3A50gと、水分が10ppm以下であるジフェニルエーテル73.0gが入った管を取り付け、還流により留出する溶媒がモレキュラーシーブ層を通って再び系内に戻るようにして、130℃/15mmHgで20時間、系内に水を混入させないようにしながら加熱攪拌し、反応した。
なお、モレキュラーシーブ通過後の溶媒中の水分量は、2ppmであった。この反応液を30℃まで冷却し、0.7%塩酸/イソプロピルアルコール溶液800mlを加え、1時間攪拌した後、吸引濾過する操作を2回行い、錫末を除去した。濾塊にイソプロピルアルコール600mlを加えて攪拌した後、吸引濾過する操作を濾液が中性になるまで行い、続いてヘキサン洗浄を行った。その後、60℃で熱風乾燥し得られた共重合体の重量平均分子量は、120,000であった。この共重合体を示差熱分析したところ、ガラス転移温度は58.1℃、融点は156.4の値を示した。
【0073】
(実施例4)
90%L−乳酸89.3g、ジフェニルエーテル300g、錫末0.37gを130℃/50mmHgで3時間、さらに130℃/30mmHgで3時間、系外に水を留去しながら加熱攪拌した。反応マス中のポリマーの重量平均分子量は5,000であった。重量平均分子量10,000のアルギン酸ナトリウム1.9gを添加し、Dean Stark trapを取りつけ、140℃/24mmHgで8時間共沸脱水反応を行い水分を除去した。Dean Stark trapをはずし、モレキュラーシーブ3A50gと、水分が10ppm以下であるジフェニルエーテル73.0gが入った管を取り付け、還流により留出する溶媒がモレキュラーシーブ層を通って再び系内に戻るようにして、130℃/15mmHgで20時間、系内に水を混入させないようにしながら加熱攪拌し、反応した。
なお、モレキュラーシーブ通過後の溶媒中の水分量は、2ppmであった。この反応液を30℃まで冷却し、0.7%塩酸/イソプロピルアルコール溶液800mlを加え、1時間攪拌した後、吸引濾過する操作を2回行い、錫末を除去した。濾塊にイソプロピルアルコール600mlを加えて攪拌した後、吸引濾過する操作を濾液が中性になるまで行い、続いてヘキサン洗浄を行った。その後、60℃で熱風乾燥し、得られた共重合体の重量平均分子量は、120,000であった。この共重合体を示差熱分析したところ、ガラス転移温度は57.6℃、融点は156.0℃の値を示した。
【0074】
(実施例5)
90%L−乳酸89.3g、錫末0.37gを130℃/50mmHgで3時間、さらに130℃/30mmHgで2時間、系外に水を留去しながら加熱攪拌した。この後、o−ジクロロベンゼン300gを加えDean Stark trapを取り付け、140℃/250mmHgで8時間共沸脱水を行い、水分を除去した。共沸脱水後の反応中のポリマーの重量平均分子量は96,000であった。重量平均分子量10,000のアルギン酸ナトリウム0.6gを添加し、Dean Stark trapをはずし、モレキュラーシーブ3A50gと、水分が10ppm以下であるo−ジクロロベンゼン73.0gが入った管を取り付け、還流により留出する溶媒がモレキュラーシーブ層を通って再び戻るようにして、130℃/180mmHgで20時間、系内に水を混入させないようにしながら加熱攪拌し、反応した。
なお、モレキュラーシーブ通過後の溶媒中の水分量は、2ppmであった。この反応液を30℃まで冷却し、0.7%塩酸/イソプロピルアルコール溶液800mlを加え、1時間攪拌した後、吸引濾過する操作を2回行い、錫末を除去した。濾塊にイソプロピルアルコール600mlを加えて攪拌した後、吸引濾過する操作を濾液が中性になるまで行い、続いてヘキサン洗浄を行った。その後、60℃で熱風乾燥し得られた共重合体の重量平均分子量は、130,000であった。この共重合体を示差熱分析したところ、ガラス転移温度は58.0℃、融点は156.3℃の値を示した。
【0075】
(実施例6)
90%L−乳酸89.3g、錫末0.37gを130℃/50mmHgで3時間、さらに130℃/30mmHgで3時間、系外に水を留去しながら加熱攪拌しオリゴマー化を行った。この後、o−ジクロロベンゼン300gを加えDean Stark trapを取りつけ、140℃/250mmHgで8時間共沸脱水反応を行い水分を除去した。Dean Stark trapをはずし、モレキュラーシーブ3A50gと、水分が10ppm以下であるo−ジクロロベンゼン73.0gが入った管を取り付け、還流により留出する溶媒がモレキュラーシーブ層を通って再び系内に戻るようにして、130℃/180mmHgで、系内に水を混入させないようにしながら8時間反応した。ポリマーの重量平均分子量は3,000であった。重量平均分子量6,000のアルギン酸0.6gを添加し、130℃/180mmHgでさらに15時間反応を続けた。
なお、モレキュラーシーブ通過後の溶媒中の水分量は2ppmであった。この反応液を30℃まで冷却し、0.7%塩酸/イソプロピルアルコール溶液800mlを加え、1時間攪拌した後、吸引濾過する操作を2回行い、錫末を除去した。濾塊にイソプロピルアルコール600mlを加えて攪拌した後、吸引濾過する操作を濾液が中性になるまで行い、続いてヘキサン洗浄を行った。その後、60℃で熱風乾燥し得られた共重合体の重量平均分子量は150,000であった。この共重合体を示差熱分析したところ、ガラス転移温度は57.5℃、融点は157.0℃の値を示した。
【0076】
(実施例7)
反応器として、攪拌装置、真空ライン、温度管理のできるヒーター、モレキュラーシーブ5A充填管を接続できる溶媒還流ラインを備えたものを使用した。エチレングリコール22.9g、コハク酸35.4g、重量平均分子量6,500のアルギン酸0.427g、金属錫0.216gを反応器に挿入し、150℃、常圧で7時間、次いで、150℃/10mmHgで4時間、さらに、150℃/4mmHgで4時間、系外に水を留出しながら、重合反応を行なった。その後、反応系にさらに、ジフェニルエーテル129.7gを加え、モレキュラーシーブ5A20gを充填した管を反応器に接続し、留出した溶媒がモレキュラーシーブ層中を通過して、反応器に還流するようにした。その後、130℃/15mmHgで45時間反応を行なった。
反応終了後、その反応系内容物に、クロロホルム500mlを加えて溶解した。この混合溶液を、濾過して得た濾液に、アセトン5.5lに加えて再沈した。再沈した固形分を濾過により、濾過残渣として回収した。この濾過残渣に1%塩酸/イソプロピルアルコール溶液600mlを加えて、1時間攪拌した後、吸引濾過して溶出した錫を除去した。錫を除去した濾過残渣に、新鮮なイソプロピルアルコール600mlを加えて充分に攪拌した後吸引濾過する洗浄操作を、濾液が中性になるまで繰り返し行なった。洗浄終了後、60℃熱風乾燥して重合体を得た。得られた共重合体の重量平均分子量は80,000であった。この共重合体を示差熱分析したところ、ガラス転移温度は58.0℃、融点は157.0℃の値を示した。
【0077】
(実施例8)
実施例7と同じ反応器を使用した。1,4−ブタンジオール41.0g、コハク酸53.1g、酸化第一錫0.774gを反応器に装入し、150℃、常圧で2.5時間、次いで150℃/15mmHgで0.5時間、系外に水を留出しながら重合反応を行なった。さらに、反応系に、オルソジクロルベンゼン232gを装入し、モレキュラーシーブ5A20gを充填した管を反応器に接続し、留出した溶媒がモレキュラーシーブ層中を通過して反応器に還流するようにした。その後、110℃/100mmHgで7時間反応を行った。その後、反応器に重量平均分子量10,000のアルギン酸ナトリウム0.782gを添加し、110℃/100mmHgで15時間反応を行なった。
反応終了後、その反応系内容物に、オルソジクロルベンゼン465gを加え晶析した。晶析した固形分を濾過により、濾過残渣として回収した。濾過残渣に、1%塩酸/イソプロピルアルコール溶液600mlを加え、1時間攪拌した後、吸引濾過する操作を行い、錫を除去した。錫を除去した濾過残渣に、新鮮なイソプロピルアルコール600mlを加えて充分に攪拌した後吸引濾過する洗浄操作を、濾液が中性になるまで繰り返し行なった。洗浄終了後、60℃熱風乾燥し重合体を得た。この共重合体を示差熱分析したところ、ガラス転移温度は57.0℃、融点は156.5℃の値を示した。
【0078】
(参考例1)
90%L−乳酸89.3g、重量平均分子量3,000のペクチン1g、ジフェニルエーテル300g、錫末0.37gを130℃/50mmHgで3時間、さらに130℃/30mmHgで3時間、系外に水を留去しながら加熱攪拌しオリゴマー化を行った。この後、Dean Stark trapを取りつけ、140℃/24mmHgで8時間共沸脱水反応を行い、水分を除去した。つづいて、Dean Stark trapをはずし、モレキュラーシーブ3A50gと、水分が10ppm以下であるジフェニルエーテル73.0gが入った管を取り付け、還流により留出する溶媒がモレキュラーシーブ層を通って再び系内に戻るようにして、130℃/13mmHgで9時間、系内に水を混入させないようにしながら加熱攪拌し、反応した。なお、モレキュラーシーブ通過後の溶媒中の水分量は、2ppmであった。この反応液に、0.7%塩酸/イソプロピルアルコール溶液800mlを加え、1時間攪拌した後、吸引濾過する操作を2回行い、錫末を除去した。濾塊にイソプロピルアルコール600mlを加えて攪拌した後、吸引濾過する操作を濾液が中性になるまで行い、続いてヘキサン洗浄を行った後、熱風乾燥して共重合体を得た。この共重合体を示差熱分析したところ、ガラス転移温度は59.0℃、融点は158℃の値を示した。
【0079】
(実施例10)
90%L−乳酸89.3g、マンヌロン酸1.2g、ジフェニルエーテル300g、錫末0.37gを130℃/50mmHgで3時間、さらに130℃/30mmHgで3時間、系外に水を留去しながら加熱攪拌しオリゴマー化を行った。この後、Dean Stark trapを取りつけ、140℃/24mmHgで8時間共沸脱水反応を行い水分を除去した。つづいて、Dean Stark trapをはずし、モレキュラーシーブ3A50gと、水分が10ppm以下であるジフェニルエーテル73.0gが入った管を取り付け、還流により留出する溶媒がモレキュラーシーブ層を通って再び系内に戻るようにして、130℃/13mmHgで9時間、系内に水を混入させないようにしながら加熱攪拌し、反応した。なお、モレキュラーシーブ通過後の溶媒中の水分量は、2ppmであった。この反応液に、0.7%塩酸/イソプロピルアルコール溶液800mlを加え、1時間攪拌した後、吸引濾過する操作を2回行い、錫末を除去した。濾塊にイソプロピルアルコール600mlを加えて攪拌した後、吸引濾過する操作を濾液が中性になるまで行い、続いてヘキサン洗浄を行った後、熱風乾燥して得られた共重合体を示差熱分析したところ、ガラス転移温度は58.2℃、融点は158℃の値を示した。
【0080】
(実施例11)
90%グリコール酸89.3g、グルロン酸1g、ジフェニルエーテル300g、錫末0.37gを130℃/50mmHgで3時間、さらに130℃/30mmHgで3時間、系外に水を留去しながら加熱攪拌しオリゴマー化を行った。この後、Dean Stark trapを取りつけ、140℃/24mmHgで8時間共沸脱水反応を行い水分を除去した。つづいて、Dean Stark trapをはずし、モレキュラーシーブ3A50gと、水分が10ppm以下であるジフェニルエーテル73.0gが入った管を取り付け、還流により留出する溶媒がモレキュラーシーブ層を通って再び系内に戻るようにして、130℃/13mmHgで9時間、系内に水を混入させないようにしながら加熱攪拌し、反応した。なお、モレキュラーシーブ通過後の溶媒中の水分量は、2ppmであった。この反応液に、0.7%塩酸/イソプロピルアルコール溶液800mlを加え、1時間攪拌した後、吸引濾過する操作を2回行い、錫末を除去した。濾塊にイソプロピルアルコール600mlを加えて攪拌した後、吸引濾過する操作を濾液が中性になるまで行い、続いてヘキサン洗浄を行った後、熱風乾燥して得られた共重合体を示差熱分析したところ、ガラス転移温度は58℃、融点は157℃の値を示した。
【0081】
(参考例2)
反応器として、攪拌装置、真空ライン、温度管理のできるヒーター、モレキュラーシーブ5A充填管を接続できる溶媒還流ラインを備えたものを使用した。ジエチレングリコール22.9g、シュウ酸35.4g、重量平均分子量3,000のペクチン0.427g、金属錫0.216gを反応器に挿入し、150℃、常圧で7時間、次いで、150℃/10mmHgで4時間、さらに、150℃/4mmHgで4時間、系外に水を留出しながら、重合反応を行なった。その後、反応系にさらに、ジフェニルエーテル129.7gを加え、モレキュラーシーブ5A20gを充填した管を反応器に接続し、留出した溶媒がモレキュラーシーブ層中を通過して、反応器に還流するようにした。その後、130℃/15mmHgで45時間反応を行なった。
反応終了後、その反応系内容物に、クロロホルム500mlを加えて溶解した。この混合溶液を、濾過して得た濾液に、アセトン5.5lに加えて再沈した。再沈した固形分を濾過により、濾過残渣として回収した。この濾過残渣に1%塩酸/イソプロピルアルコール溶液600mlを加えて、1時間攪拌した後、吸引濾過して溶出した錫を除去した。錫を除去した濾過残渣に、新鮮なイソプロピルアルコール600mlを加えて充分に攪拌した後吸引濾過する洗浄操作を、濾液が中性になるまで繰り返し行なった。洗浄終了後、60℃熱風乾燥し得られた重合体の重量平均分子量は、90,000であった。
【0082】
(比較例1)
90%L−乳酸89.3g、重量平均分子量30,000、置換度1.5のアセチルセルロース1.9g、ジフェニルエーテル300g、錫末0.37gを130℃/50mmHgで3時間、さらに130℃/30mmHgで3時間、系外に水を留去しながら過熱攪拌し、オリゴマー化を行った。この後、Dean Stark trapをとりつけ、140℃/24mmHgで8時間共沸脱水反応を行い、水分を除去した。つづいて、Dean Stark trapをはずし、モレキュラーシーブ3Aを50gと、ジフェニルエーテル73gが入った管を取り付け、還流により流出する溶媒がモレキュラーシーブ層をとおって、再び系内に戻るようにして130℃/13mmHgで9時間、系内に水を混入させないようにしながら、過熱攪拌し反応を行った。この反応液に0.7%塩酸/イソプロピルアルコール溶液800mLを加え、1時間攪拌した後、吸引ろ過する操作を行い、錫末を除去した。ろ過した塊をヘキサンで洗浄し、中性になったところで風乾し、重合体を得た。
このとき得られた重合体は分子量600,000であった。
【0083】
(加水分解特性比較試験)
上記実施例1〜8及び比較例1で得られた樹脂組成物を用いて、下記条件で加水分解性を評価した。その結果を表1に示す。
加水分解条件:
試験管に固体の水酸化ナトリウム2gとメタノール6mLを採取し、この中に各実験で得られた重合体1gを加え、65℃の湯浴中ガラス棒で押し付けながら加熱し、水酸化ナトリウムと接触している部分を観察した。この条件において分解した重合体は○、未反応のものは×とした、
【0084】
【表1】
【0085】
【表1】
【0086】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物によれば、天然物由来の原料を用いながら、加水分解性に優れた樹脂組成物を得ることができるため、重合体をモノマーに分解して再度重縮合原料として用いることができる。すなわち、リサイクル性に優れた樹脂組成物が得られる。
Claims (9)
- マンヌロン酸、グルロン酸、アルギン酸、および、アルギン酸のイオン交換体から選ばれた少なくとも1種(A)と、(b1)ヒドロキシカルボン酸、(b2)ポリヒドロキシカルボン酸、(b3)脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸の混合物、および、(b4)脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸との反応生成物である脂肪族ポリエステルからなる群から選ばれた少なくとも1種(B)とを、脱水重縮合反応することにより得られる共重合体を少なくとも含むことを特徴とする共重合体樹脂組成物。
- 前記ヒドロキシカルボン酸が、乳酸であり、前記ポリヒドロキシカルボン酸が、ポリ乳酸であり、前記脂肪族多価アルコールと前記脂肪族多塩基酸が、それぞれ、エチレングリコールまたは1,4−ブタンジオール、および、コハク酸またはアジピン酸であり、前記脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸との反応生成物である脂肪族ポリエステルが、ポリエチレンサクシネートまたはポリブチレンサクシネートであることを特徴とする請求項1に記載の共重合体樹脂組成物。
- マンヌロン酸、グルロン酸、アルギン酸、および、アルギン酸のイオン交換体から選ばれた少なくとも1種(A)と、(b1)ヒドロキシカルボン酸、(b2)ポリヒドロキシカルボン酸、(b3)脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸の混合物、および、(b4)脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸との反応生成物である脂肪族ポリエステルからなる群から選ばれた少なくとも1種(B)とを、触媒の存在下で、実質的に水が存在しない有機溶媒中において脱水重縮合反応することを特徴とする共重合体樹脂組成物の製造方法。
- 前記有機溶媒の少なくとも一部を分取し、分取した前記有機溶媒に含まれる水分量よりも少ないかもしくは等しい水分量を持った他の有機溶媒を前記反応系に注入することにより前記有機溶媒の水分量を制御しながら脱水重縮合することを特徴とする請求項3記載の共重合体樹脂組成物の製造方法。
- 前記分取した有機溶媒を、反応系内の前記有機溶媒中の水分量よりも実質的に低い水分量となるように処理し、その処理した有機溶媒を反応系内に注入することを特徴とする請求項4記載の共重合体樹脂組成物の製造方法。
- 前記分取した有機溶媒の処理を、乾燥剤と接触させることにより行うことを特徴とする請求項5記載の共重合体樹脂組成物の製造方法。
- 前記乾燥剤が、イオン交換樹脂、モレキュラーシーブ類、五酸化二リンまたは金属水素化物であることを特徴とする請求項6記載の共重合体樹脂組成物の製造方法。
- 前記アルギン酸のイオン交換体が、アルギン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩であることを特徴とする請求項3記載の共重合体樹脂組成物の製造方法。
- 前記ヒドロキシカルボン酸が、乳酸であり、前記ポリヒドロキシカルボン酸が、ポリ乳酸であり、前記脂肪族多価アルコールと前記脂肪族多塩基酸が、それぞれ、エチレングリコールまたは1,4−ブタンジオール、および、コハク酸またはアジピン酸であり、前記脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸との反応生成物である脂肪族ポリエステルが、ポリエチレンサクシネートまたはポリブチレンサクシネートであることを特徴とする請求項3記載の共重合体樹脂組成物の製造方法。
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