JP3753922B2 - 長尺軸の撓み防止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、切断機における被切断物の切断及び所謂ハーフカットと称される重層されるシート等の被加工物の表面から所定の深さの切り込みを行う切断装置の主軸の撓み防止装置に関する。
【0002】
【従来技術及び発明の背景】
従来、切断機における被切断物の切断及びハーフカットと称される重層されたシート等の被切断物の表面から所定の深さに切り込みを入れるための装置として、本出願人は切断刃の下死点微動調節装置(特許第3004602号発明)を発明した。上記の特許発明をその特許公報に記載されるところに基づいて概略を説明すると、図2〜9において、101 は切断刄102 を上下動させるクランク103 ,103 が装着された主軸であり、該主軸101 は、クランク103 ,103 が装着された外側の両端においてフレーム104 に遊嵌された軸受ケーシング105 ,105 に装着された軸受106 , 106 に支持されている。そして、前記の軸受106 すなわち主軸101 の中心106 a は、軸受ケーシング105 の中心105 a に対して微少量e だけ偏心して装着されている。
【0003】
上記した切断刃102 は、切断刃固定ボルト102 a によって刃物保持具116 に固定され、該刃物保持具116 は刃物調整体118 に固定され、該刃物調整体118 は上部より調整用ノブ119 によって上下動可能に刃物保持体110 に固定され、該刃物保持体110 は前記したクランク103 , 103 のアーム103 a に取着され断面コ字状をなす案内具120 内を上下摺動し被加工物を切断あるいは所定の切断深さまで切りこむようにしている。
【0004】
前記した軸受ケーシング105 ,105 の外周にはウオームと噛合するウオームホイールとなる歯105 b が刻設され、前記の軸受ケーシング105 ,105 はウオームホイールとして機能し、該軸受ケーシング105 , 105 のウオームホイールに噛合するウオーム107 , 107 が両端に刻設されるウオーム軸108 , 109 は、該ウオーム軸108 , 109 の端部に固設の傘歯車を介して調整用軸113 の傘歯車と噛合し、調整用軸113の回転によって前記の傘歯車を介してウオーム軸108 及びウオーム軸109 を回転させる。
【0005】
前記した調整用軸113 の端部は機枠104 の外側に突出されてその端部には外周に目盛りを付したハンドル117 が軸止されている。したがって前記のハンドル117 を回転させればウオーム軸108 , 109 は回転し、該ウオーム軸108 , 109 に刻設のウオーム107 , 107 が回転し、その回転はウオームホイールが形成される軸受ケーシング105 , 105 に伝達され、該軸受ケーシング105 , 105 が回動し、
該軸受ケーシング105 , 105 に偏心して装着される軸受106 , 106 をサイン曲線にしたがう略弧状をなしてe だけ移動し、この移動により軸受106 , 106 に支持される主軸101 も軸受106 , 106 と同様に△a 移動をする(図6参照、この場合は下方の移動を示す)。
【0006】
この移動について前記のハンドル117 の外周に付した目盛を例えば一周を1 0 等分した場合に一目盛りを4 /1 , 0 0 0 とするとハンドル一回転で4 /1 0 0 だけ移動するようにしておくことにより所望の軸受106 , 106 の移動量を前記のハンドル117 により操作することができるものである。
【0007】
上記の装置によると、切断刄を上下動させる主軸の両端部を支承する軸受の中心を該軸受が装着される軸受ケーシングの中心に対して微小量偏心せしめて設け、前記各軸受ケーシングの外周を各別のウオームと噛合するウオームホイールに形成し、前記の各別のウオームを回転させてウオームホイールである軸受ケーシングを回動させると、該ケーシングの回動によって軸受の中心は微小量だけサイン曲線にしたがって弧状に上下方向に移動し、この移動に伴って軸受に支持される主軸を微小量移動させることができるので、該主軸ににより作動される刃物の下死点の微小調節が可能となるものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記した特開平10ー26408号公報で開示された装置によりシートのハーフカット行ったとき必要とする切断深さを得ることができるものであるが、近来、厚さ0.1mmのシートに対して0.04mm〜0.05mmまでの切込を与えるような切断機が要求されるといったきわめて精度の高い要求があり、この場合、上記の装置であってもその要求に応えることができるが、シート幅が大となり、切断刃を上下動せしめるクランクが装着される主軸が前記のシート幅に対応して長尺になったとき、軸が長尺になるしたがって撓みを生じることがあり、この撓みが生じたとき前記した要求に応じることが困難となることがある。そこで、本発明は、主軸が長軸であっても充分に前記の要求に応じられるように長尺軸の撓み防止装置の提供を目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る長尺軸の撓み防止装置は、前記の目的を達成するために、切断刃を上下動せしめるクランクの主軸の両端部を第一軸受で支承し、被加工物のシート材が載せられる加工台の底面に表面にくさびを構成する勾配を形成したくさび体を固設し、前記した主軸の両端に設けられた第一軸受のそれぞれの内側に先端に前記したくさび体に摺接する円弧面を形成した支持杆を突接した第二軸受を装着し、該支持杆を前記くさび体に常時付勢する付勢手段を備えていることをその特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施に形態を図に基づいて説明する。1は切断刄2 を上下動させるクランク3 , 3 が装着される長尺の主軸であり、該主軸1 はクランク3 , 3 が装着された外側の両端においてフレーム4 に遊嵌された軸受ケーシング5 , 5 に装着された第一軸受6 , 6 に支持されている。そして、前記の第一軸受6 すなわち主軸1 の中心は、軸受ケーシング5 の中心 に対して微少量偏心して装着されている。
【0011】
上記した切断刃2 は、前記発明の背景で説明した切断刃の下死点微動調整装置と同様に切断刃固定ボルトによって刃物保持具に固定され、該刃物保持具は刃物調整体に固定されている。前記した刃物調整体は上部より調整用ノブによって上下動可能に刃物保持体に固定されるように構成され、刃物保持体は前記したクランク3 , 3 のアーム3 a に取着され断面コ字状をなす案内具2 0 内を上下摺動し被加工物を切断あるいは所定の切断深さまで切りこむようにされる。なお、図1 において30 はシート状の被加工物,31 は前記シート状加工物30を切断あるいはハーフカットするときにシート状加工物30が載せられる加工台,32 はモータ,33 はモータ軸に固定のプーリ,34 は主軸1 に固設のプーリであり、前記プーリ33 , 34 間にベルトをかけ渡し主軸1 を回転せしめる。
【0012】
前記した被被加工物であるシート30が載せられる加工台31の下面に、表面に勾配23が形成されたくさび体22が固設されている。また、前記した第一軸受6 ,6 のそれぞれの内側に、先端部に前記くさび体22の勾配23に摺接する円弧面24が形成された支持杆25が突設された第二軸受26,26が主軸1に装着されている。そして、前記の支持杆25には前記のくさび体22のくさび効果が生じる方向に引き付ける力を与えるエアシリンダ27のピストン杆28が連結されている。
【0013】
前記した支持杆25の先端の円弧面24の形成は、くさび体22の表面に形成の勾配23の中央部に該勾配22に対して直角の垂線を降ろしその線上に中心点cを有する円を描いたときに得る円弧とするのがよい。そして、前記の円弧面24とくさび体22の勾配23の摺接は、正摩擦係数以内の勾配によるものであり、前記円弧面24の先端部がくさび体22の勾配23の略中心に接するようにするのがよく、このようにすることにより長尺の主軸1が撓んだとき、くさび体22が固設される加工台31の位置は変わることがないので、支持杆25はくさび体22の勾配23に沿って逃げ易くなり、また、元の位置に復帰も容易となる。
【0014】
本発明の実施の形態は上記のように構成されるので、長尺の主軸1が撓んで該主軸1が上動したとき、被加工物であるシート状物30が載せられている加工台31の底面に固設されたくさび体22の表面にはくさび効果を有する勾配23が設けられているので、前記の勾配と摺接する第二軸受26、26の外輪に突設される支持杆25の先端部の円弧状面24は、主軸1の撓みによる上動に対して前記のくさび体22の勾配23において撓みを許す方向に逃げるが、前記の支持杆25は常時くさび方向にエアシリンダ27によって付勢されているので、支持杆25はくさび方向に引き寄せれ元の状態に復帰することになり、撓みによる主軸の変動を防止することができるものである。
【0015】
なお、エアシリンダ27による支持杆25に対する付勢は該支持杆25を引き寄せる方向でも押圧する方向でもよく、また、エアシリンダに限定されることなくその他支持杆を付勢できるものであればどのような手段であってもよい。
また、本発明の実施の形態においては長尺軸の撓み防止として支持杆を突設した軸受及び加工台の底面に固設したくさび体の構成について説明したが、切断刃の下死点調整については、先に発明の背景として説明した特許発明の装置と同様であり、本実施の態様で説明した主軸の撓み防止装置により、更に高精度の切断機の提供が可能となったものである。
【0016】
本発明の実施の形態は上記のように構成されるので、シート材料等の被加工物に対する切断あるいはハーフカットにおいて刃物の下死点位置を微小量調節する切断装置における、前記の調節が可能であってもシート等の被加工物の幅が広くなり、それに伴って切断刃を作動せしめる主軸も長尺となったとき、長尺となった主軸が撓むことがあり、そのために所望のハーフカット等ができなくなる恐れがあるが、本発明の実施の形態によると、前記した長尺の主軸は両端で第一軸受に支承され、更に、該両端の第一軸受のそれぞれの内方に加工台に固設したくさび体に摺接する支持杆を突設した第二軸受の前記の支持杆により主軸の撓みを防止するようにしたので0.4 mmの厚さを有するシート材料に対して0.04mm〜0.06 mmの切り込みを入れるような場合においても長尺の主軸は撓むことがないので上記のハーフカットは可能となるものである。
【0017】
【発明の効果】
反発明に係る長尺軸の撓み防止装置は、切断刃を上下動せしめるクランクの主軸は両端を第一軸受に支承され、更に、該両端の第一軸受のそれぞれの内方に、加工台に固設したくさび体に摺接する支持杆を突設した第二軸受により主軸を支承したので、軸の撓みにしたがって前記の第二軸受に突設された支持杆の先端の円弧面はくさび体の勾配にしたがって摺動するが前記の支持杆は常時くさび効果を奏する方向に付勢されているので直ちに元の状態に復帰し撓みによる主軸の変動を防止で切るものであり、これによって、設定された切断刃の切り込み深さ等が主軸の撓みによって変化することが防止されるとする格別の効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の撓み防止装置の説明図
【図2】くさび体と軸受に突設された支持杆との摺接状態の説明図
【図3】従来の切断機の下死点微動調整装置の説明図
【図4】クランク部の説明図
【図5】切断刃の取付け説明図
【図6】ケーシングが回動して軸が移動したときの説明図
【図7】軸受ケーシングとウオームの関係を示す正面図
【図8】図7の断面図
【符号の説明】
1 主軸 2 切断刃
3 クランク 5,5 軸受ケーシング
6 軸受 22 くさび体
23 勾配 24 円弧面
25 支持杆 26 軸受
27 エアシリンダ 30 シート材
Claims (2)
- 切断刃を上下動せしめるクランクの主軸の両端部を第一軸受で支承し、被加工物のシート材が載せられる加工台の底面に表面にくさびを構成する勾配を形成したくさび体を固設し、前記した主軸の両端に設けられた第一軸受のそれぞれの内側に、先端に前記したくさび体に摺接する円弧面を形成した支持杆を突接した第二軸受を装着し、該支持杆を前記くさび体に常時付勢する付勢手段を備えていることを特徴とする長尺軸の撓み防止装置。
- 第二軸受に突設した支持杆先端に形成する円弧は、くさび体の勾配の略中央部より直角の垂線を降ろした線上にその中心点を有する円によって形成されていることを特徴とする請求項1記載の長尺軸の撓み防止装置。
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