JP3753843B2 - 転がり軸受 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空または高温の環境で使用される転がり軸受に関し、より詳しくは、例えば半導体製造装置や宇宙機器等のために使用される転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、真空や高温などの環境で使用される転がり軸受では、軸受の潤滑剤に油やグリースを使用できないため、金等の軟質金属や二硫化モリブデン等の固体潤滑剤を使用している。この転がり軸受では、転動体の表面に固体潤滑剤をコーティングしてコーティング層を形成して、転動体と内輪や外輪との間の摩擦を低減している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の転がり軸受では、上記転動体の表面の固体潤滑剤のコーティング層を薄くすると、固体潤滑剤の転着によって固体潤滑剤のコーティング層が減少して、消滅し易く、潤滑作用がなくなって早期に軸受寿命に至るという問題が生じる。
【0004】
これとは逆に、潤滑寿命を延ばすために、転動体の表面の固体潤滑剤のコーティング層を厚くすると、転動体が回転する時に大きな異音が発生するという問題がある。
【0005】
なお、固体潤滑剤は、グリースのような流動性が無いために、固体潤滑剤を軸受内部に充填することができない。また、真空中では固体潤滑剤は補給することができない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、転動体の固体潤滑剤のコーティング層を薄くした状態を保ちつつ、軸受の寿命が長くなるような転がり軸受を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の転がり軸受は、内輪と、外輪と、上記内輪と上記外輪との間に配置された複数の転動体と、上記転動体の表面にコーティングされた均一な固体潤滑剤からなるコーティング層とを備えた転がり軸受において、上記複数の転動体は、全て荷重を支持すると共に、少なくとも一つの小径の転動体と大径の転動体とからなり、上記小径の転動体のコーティング層の厚さは、上記大径の転動体のコーティング層の厚さよりも厚く、上記小径の転動体のコーティング層の外径は、上記大径の転動体のコーティング層の外径よりも小さいことを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の転がり軸受によれば、上記複数の転動体は全て荷重を支持する。したがって、この転がり軸受は大きな許容荷重を有する。また、上記少なくとも一つある小径の転動体のコーティング層の厚さは、上記大径の転動体のコーティング層の厚さよりも厚く、上記小径の転動体のコーティング層の外径は、上記大径の転動体のコーティング層の外径よりも小さい。したがって、上記小径の転動体のコーティング層の固体潤滑剤は、その両側の転動体、内輪、外輪の軌道面へ転着する。このため、従来の同一径の転動体と同一厚さのコーティング層を用いる場合に比べて、転がり軸受の寿命は長くなる。また、上記小径の転動体に、厚いコーティング層を設けているから、固体潤滑剤の量が、同一の薄いコーティング層のみを設ける場合に比べて、大幅に増え、この点からも、軸受寿命が飛躍的に向上する。
【0009】
さらに、均一な固体潤滑剤の薄いコーティング層を持つ大径の転動体と、厚い均一な固体潤滑剤のコーティング層を持つ小径の転動体とが混在しているので、全て厚いコーティング層の小径の転動体からなる場合に比して、異音が発生しない。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0011】
図1に示すように、転がり軸受1は、内輪10と、外輪11と、この内輪10と外輪11との間に配置された転動体としての複数の大径のボール20と小径の一つのボール30を備えている。
【0012】
図2に示すように、上記大径のボール20および小径のボール30の表面には、それぞれ、金や鉛等の軟質金属や二硫化モリブデン等からなる固体潤滑剤を均一に被覆して、コーティング層21,31を形成している。上記大径のボール20のコーティング層21の厚さAは1μm以下である。一方、上記小径のボール30のコーティング層31の厚さBは数μm〜数十μmである。また、上記コーティング層21の外径と上記コーティング層31の外径との差Cは、数μmである。
【0013】
上記構成によれば、上記転がり軸受1に荷重がかかると、内輪10と外輪11と大径のボール20が変形して、図2に示すコーティング層21と外輪11との数μmの隙間Cは消滅する。したがって、荷重がかかったときには、大径のボール20のみならず小径のボール30も荷重を支持するようになっている。したがって、この転がり軸受1は大きな許容荷重を有する。
【0014】
また、上記転がり軸受1が回転しているときには、上記小径のボール30のコーティング層31の固体潤滑剤は、内輪と外輪に転着し、さらにこの軌道面を介して小径のボール30の両側にある大径のボール20に転着する。したがって、この転がり軸受1の寿命が長くなる。さらに、上記小径のボール30のコーティング層31の厚さB(数μm〜数十μm)は、上記大径のボール20のコーティング層21の厚さA(1μm以下)よりも厚い。このように、上記小径のボール30に、厚いコーティング層31を設けているから、従来の同一径のボールに同一厚さのコーティング層を用いる場合に比べて、固体潤滑剤全体の量が大幅に増える。この点からも、潤滑寿命が延びて、軸受の寿命は飛躍的に向上する。
【0015】
さらに、固体潤滑剤の薄い層を持つ大径のボールと、厚い固体潤滑剤の層を持つ小径のボールとが混在しているので、全て厚いコーティング層の小径のボールからなる場合に比して、異音が発生しない。
【0016】
なお、上記実施の形態では小径のボールを1つとしたが、小径のボールを複数にしてもよい。
【0017】
また、上記実施の形態では転動体としてボールを用いたが、ころを用いてもよい。
【0018】
また、上記実施の形態では軸受は保持器がなかったが、保持器付きの軸受であってもよい。
【0019】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1の転がり軸受は、表面にコーティングされた均一な固体潤滑剤からなるコーティング層を備えた複数の転動体全てに荷重を支持させるので、この転がり軸受は大きな許容荷重を有することができる。
【0020】
また、請求項1の転がり軸受は、大径の転動体と少なくとも1つの小径の転動体とを有し、上記小径の転動体の均一な固体潤滑剤からなるコーティング層の厚さは、上記大径の転動体の均一な固体潤滑剤からなるコーティング層の厚さよりも厚いので、上記小径の転動体のコーティング層の固体潤滑剤は、その両側の転動体、内輪、外輪の軌道面へ転着し、このため、従来の同一径の転動体と同一厚さのコーティング層を用いる場合に比べて、転がり軸受の寿命を長くすることができる。また、上記小径の転動体に、厚いコーティング層を設けているから、固体潤滑剤の量が、同一の薄いコーティング層のみを設ける場合に比べて、大幅に増え、この点からも、軸受寿命を飛躍的に向上させることができる。
【0021】
さらに、請求項1の転がり軸受は、均一な固体潤滑剤の薄いコーティング層を持つ大径の転動体と、厚い均一な固体潤滑剤のコーティング層を持つ小径の転動体とが混在しているので、全て厚いコーティング層の小径の転動体からなる場合に比して、異音の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る転がり軸受の平面図である。
【図2】 図1の転がり軸受のボールの拡大図である。
【符号の説明】
1…転がり軸受、 10…内輪、 11…外輪、
20…大径のボール、
30…小径のボール、
21…大径のボールのコーティング層、
31…小径のボールのコーティング層、
A…大径のボールのコーティング層の厚さ、
B…小径のボールのコーティング層の厚さ、
C…大径のボールのコーティング層の外径と小径のボールのコーティング層の外径との差。
Claims (1)
- 内輪と、外輪と、上記内輪と上記外輪との間に配置された複数の転動体と、上記転動体の表面にコーティングされた均一な固体潤滑剤からなるコーティング層とを備えた転がり軸受において、
上記複数の転動体は、全て荷重を支持すると共に、少なくとも一つの小径の転動体と大径の転動体とからなり、上記小径の転動体のコーティング層の厚さは、上記大径の転動体のコーティング層の厚さよりも厚く、上記小径の転動体のコーティング層の外径は、上記大径の転動体のコーティング層の外径よりも小さいことを特徴とする転がり軸受。
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JP25030697A JP3753843B2 (ja) | 1997-09-16 | 1997-09-16 | 転がり軸受 |
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1997
- 1997-09-16 JP JP25030697A patent/JP3753843B2/ja not_active Expired - Fee Related
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