JP3753396B2 - 高温焼成マグクロ質れんが - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温焼成マグクロ質れんがに関し、溶融金属保持炉,精錬炉,真空脱ガス炉,セメント焼成炉などに好適な高温焼成マグクロ質れんがに関する。
【0002】
【従来の技術】
高温焼成マグクロ質れんがは、耐スラグ性や耐熱間摩耗性に優れた特徴があり、溶融金属保持炉,精錬炉,真空脱ガス炉,セメント焼成炉など様々な窯炉で広く使用されている。
この高温焼成マグクロ質れんがは、通常、マグネシアクリンカ−を主原料の1つとして用いられており、そして、このマグネシアクリンカ−は、出発原料として、天然マグネサイト鉱石や、海水,塩水から生成されるマグネシアのいずれかが使用されている。
【0003】
このうち、海水から生成されるマグネシアクリンカ−には、製造時に海水中のホウ素が吸着されており、B2O3としてクリンカ−中に混入している。
このB2O3は、粒界のシリケ−トと低融点のガラス相をつくるため、クリンカ−およびそれを用いた耐火れんがの熱間強度を高めるためには、クリンカ−中のB2O3を少なくする必要があり、このことは、従来から広く知られている。例えば、特開平8-133749号公報には、高マグネシア質れんがにおいて、粒界に生成するシリケ−ト化合物の融点を高めるため、れんが中のB2O3量を0.015重量%以下に制限することが記載されている。
【0004】
一方、B2O3により生じるガラス相は、ペリクレ−ス結晶との濡れ性が良いため、十分な皮膜効果が生じ、耐水和性を高める効果があることも知られている。また、このガラス相は、高温で液相となるが、この液相を通じて煉瓦がクリ−プ変形可能なため、熱間で機械的応力を緩和できるという性質も有している。
そのため、用途によっては、耐水和性やクリ−プ性に効果のあるB2O3含有マグネシアクリンカ−を活用したマグネシア質れんがも使用されている。
【0005】
ところで、高温焼成マグクロ質れんがの場合、高温でのスラグ侵食や摩耗の厳しい部位で使用されることが多いため、一般に、主原料として使用されるマグネシアクリンカ−には、B2O3の少ない高純度品が望ましいとされている。
しかし、実際には、マグクロ質れんがの優れた特性は、少量のB2O3を含んでいても完全には損なわれないので、用途によっては、ある程度のB2O3を含有していても使用可能である。
【0006】
例えば、特開昭52-94310号公報には、マグネシア・酸化クロム質系のマグクロ質れんがにおいて、B2O3は、高温強度を低下させたり耐スラグ性を劣化させるので好ましくはないが、焼結を促進するため若干量は必要であると記載されている。
また、特開昭52-80315号公報には、マグネシアクリンカ−とクロム鉱とを主体としたダイレクトボンド質のマグクロ質れんがにおいて、使用するマグネシアクリンカ−はB2O3量を最大0.3重量%まで含有可能であると記述している。(該公報に記載の発明品では、マグネシアクリンカ−を40〜75重量%使用するため、れんが全体としては、最大0.225重量%のB2O3が含有可能である。)
【0007】
一方、熱間強度などの熱間特性に優れたマグクロ質れんがを製造するには、電融または焼結マグクロクリンカ−を原料として用いることが知られている。
この場合、れんがの焼成時に再結合(リボンド)と呼ばれる強固な結合が生じ、熱間強度の向上がみられる。
【0008】
なお、電融または焼結マグクロクリンカ−のみから製造された場合を“リボンドれんが”と呼び、電融または焼結マグクロクリンカ−にクロム鉱やマグネシアクリンカ−を組み合わせた場合を“セミリボンドれんが”と呼ぶこともあるが、両者は、マグクロクリンカ−の再結合を特徴とする点では同じであり、通常、この両者を含めて“リボンド質れんが”と総称されている。
また、電融または焼結マグクロクリンカ−を使用せず、マグネシアクリンカ−とクロム鉱を主体とした高温焼成マグクロ質れんがは、“ダイレクトボンド質れんが”と呼ばれている。
【0009】
リボンド質れんがの特徴については、例えば特開昭60-29666号公報に、「電融もしくは焼結マグクロクリンカ−を原料として1700℃以上の高温度で焼成されているため、緻密でかつ高熱間強度であり、しかも高耐食性を有する」と記述されている。
このように高温焼成マグクロ質れんがにおいて、高価な原料である電融または焼結マグクロクリンカ−を用いてリボンド質とする目的は、マグクロクリンカ−の再結合によって熱間強度を高くし、熱間での耐スラグ性や耐摩耗性を高める点にあった。
【0010】
そのため、リボンド質れんがにおいては、液相を生じて熱間強度を低下させる性質のあるB2O3含有マグネシアクリンカ−は使用されず、高純度マグネシアクリンカ−が使用されていた。
例えば、特開昭58-185476号公報には、焼結マグクロクリンカ−を用いたリボンド質れんがにおいて、高いB2O3量は、耐火性に悪影響を及ぼすため、B2O3を0.06重量%以上含有するマグネシアクリンカ−は使用に適さない、ことが記載されている。
【0011】
したがって、従来から製造されている高温焼成マグクロ質れんがは、B2O3量とれんが特性の観点から、次の3種に大別される。
(1) B2O3含有マグネシアクリンカ−を用いたダイレクトボンド品であって、熱間強度は劣るが、耐水和性やクリ−プ性に優れているもの。
(2) B2O3の少ない高純度マグネシアクリンカ−を用いたダイレクトボンド品であって、熱間強度が高く、耐スラグ性や耐摩耗性に優れているが、耐水和性およびクリ−プ性に劣るもの。
(3) 電融または焼結マグクロクリンカ−を用い、B2O3含有マグネシアクリンカ−を含有しないリボンド質れんがであって、熱間強度が高く、耐スラグ性や耐摩耗性に優れているが、耐水和性およびクリ−プ性に劣るもの。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、従来の高温焼成マグクロれんがでは、耐スラグ性や耐摩耗性と関係した“高い熱間強度”と“耐水和性,クリ−プ性”とを兼ね備えたものは製造されていなかった。
【0013】
ところで、使用条件によっては、高い熱間強度と共に耐水和性やクリープ性が要求される場合がある。例えば、RHなどの真空脱ガス槽の浸漬管は、溶鋼やスラグの通過により摩耗や溶損が生じるため、耐スラグ性や耐摩耗性の点では、熱間強度の高いものが適している。
【0014】
しかし、高温焼成マグクロれんがの施工時には、キャスタブル等の含水系の不定形耐火物と一緒に施工して乾燥させるものであり、そして、この乾燥後に使用されるため、該乾燥時の水和対策が求められる。
また、使用時には、炉体の変形により機械的な応力を受けるため、高温でのクリープ性は破壊防止に効果的である。
【0015】
本発明は、特に、上記“乾燥時の水和対策”および“高温でのクリープ性”に着目して成されたものであって、その目的とするところは、高い熱間強度,耐水和性,クリ−プ性を兼ね備えた高温焼成マグクロれんがを提供することにあり、溶融金属保持炉,精錬炉,真空脱ガス炉,セメント焼成炉などに好適な高温焼成マグクロ質れんがを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る高温焼成マグクロれんがは、電融または焼結マグクロクリンカ−を使用し、または、これとB2O3含有マグネシアクリンカ−とを併用し、そして、れんが中のB2O3量を適正範囲とすることで、電融または焼結マグクロクリンカ−の再結合と、B2O3含有ガラス結合とを兼ね備えた組織を実現し、再結合により十分な熱間強度を保持しながら、B2O3含有ガラスが生じる液相の効果によってクリ−プ性を示し、さらにガラス被膜により耐水和性を高めた点に特徴を有するものである。
【0017】
すなわち、本発明は、第1に、
「電融または焼結マグクロクリンカ−を使用した高温焼成マグクロ質れんがにおいて、該れんが中にB2O3を0.05〜0.25重量%含有してなることを特徴とする高温焼成マグクロ質れんが。」(請求項1)
を要旨とし、そして、この高温焼成マグクロ質れんがにおいて、電融または焼結マグクロクリンカ−とB2O3含有マグネシアクリンカ−とを併用することを特徴とする(請求項2)。
【0018】
また、本発明は、第2に、
「・電融または焼結マグクロクリンカ−10〜60重量%、
・MgOが95重量%以上でB2O3が0.1〜0.8重量%含有したマグネシアクリンカ−20〜70重量%、
・残部が低B2O3マグネシアクリンカ−,クロム鉱石,酸化クロム粉末,れんが屑の1種以上、
からなり、1700℃以上で焼成してなるマグクロ質れんがであって、
・該れんが中のB2O3量が0.05〜0.25重量%であり、MgO量が50〜80重量%である、
ことを特徴とする高温焼成マグクロ質れんが。」(請求項3)
を要旨とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を含めて、本発明に係る高温焼成マグクロ質れんがについて詳細に説明するが、それに先立って“高温焼成マグクロ質れんがの特性”について説明する。
【0020】
高温焼成マグクロ質れんがの特性は、その結合組織と密接な関係があり、まずこの点について説明する。
マグクロ質れんがの焼成においては、原料に不可避に存在するSiO2,CaOの不純物により、比較的低温で液相結合が生じる。
【0021】
そして、1700℃以上の高温に達すると、マグネシアクリンカ−とクロム鉱の直接結合(ダイレクトボンド)や、電融または焼結マグクロクリンカ−同士の再結合(リボンド)が生じる。
このうち、熱間で最も強固な結合は再結合(リボンド)であり、次いで直接結合(ダイレクトボンド)である。なお、液相結合は、常温ではシリケ−ト結合またはガラス結合として観察される。
【0022】
電融または焼結マグクロクリンカ−を使用しないダイレクトボンド質れんがでは、液相結合による熱間での強度低下を直接結合で補っている。
しかし、液相中にB2O3が含まれると、この液相の低粘性化が著しいため、直接結合(ダイレクトボンド)では、れんがの強度を十分に保持できず、熱間強度や耐摩耗性が低下する。
【0023】
これに対して、リボンド質れんがにおいては、再結合(リボンド)が強固な結合であるため、少量のB2O3が液相中に含まれていても、熱間強度や耐摩耗性はあまり低下しないことが判った。
また、液相自体は低粘性化しているため、長時間のゆっくりとした荷重に対しては、一定の強度を保持したままクリ−プ変形を示す。即ち、リボンド質れんがにおいては、適正量のB2O3を含有させることにより、熱間において、高い強度や耐摩耗性といった弾性体としての性質と、長時間の荷重に対するクリ−プ性という塑性体としての性質を兼ね備えることができる。
【0024】
本発明は、上記した点、すなわち、リボンド質れんがにおいて、
・少量のB2O3が液相中に含まれていても、熱間強度や耐摩耗性はあまり低下しない、
・適正量のB2O3を含有させることにより、高熱間強度,耐摩耗性およびクリ−プ性が兼ね備えることができる、
という点に着目して成されたものである。
【0025】
なお、高塩基度スラグが生じる精錬炉やセメントクリンカ−の焼成炉では、スラグやセメントが構成鉱物の2CaO・SiO2の相転移により“ダスチング”と呼ばれる粉化現象が生じる場合がある。そのため、これらの窯炉に用いられた高温焼成マグクロれんがは、該れんが内に浸潤したスラグやセメントのダスチングにより、剥離損傷する場合がある。
これに対して、れんがに含まれているB2O3は、2CaO・SiO2相を安定化させてダスチングを防止する効果があるため、本発明に係る高温焼成マグクロれんがは、後に詳述するように、ダスチングによる剥離対策としても有効である。
【0026】
本発明に係る高温焼成マグクロれんがは、第1に、電融または焼結マグクロクリンカ−を使用した高温焼成マグクロ質れんがにおいて、該れんが中にB2O3を0.05〜0.25重量%含有してなることを特徴とする。
れんが中のB2O3量が0.25重量%を超えると、熱間強度の低下が大きくなり、また、0.05重量%未満では、クリ−プ性が不十分であるので、いずれも好ましくない。
【0027】
また、本発明に係る高温焼成マグクロれんがは、第2に、
・電融または焼結マグクロクリンカ−10〜60重量%、
・MgOが95重量%以上でB2O3が0.1〜0.8重量%含有したマグネシアクリンカ−20〜70重量%、
・残部が低B2O3マグネシアクリンカ−,クロム鉱石,酸化クロム粉末,れんが屑の1種以上、
からなり、1700℃以上で焼成してなるマグクロ質れんがであって、
・該れんが中のB2O3量が0.05〜0.25重量%であり、MgO量が50〜80重量%である、
ことを特徴とする。
【0028】
本発明において、電融または焼結マグクロクリンカ−の配合量は、上記したとおり10〜60重量%が好ましく、より好ましくは20〜40重量%である。
この配合量が60重量%を超えると、クリ−プ性が不十分であり、逆に10重量%未満では、熱間強度の低下が大きくなり、いずれも好ましくない。
【0029】
また、電融または焼結マグクロクリンカ−と併用するB2O3含有マグネシアクリンカ−としては、その組成として、MgOが95重量%以上で且つB2O3が0.1〜0.8重量%含有したものが好ましく、より好ましくはB2O3が0.3〜0.6重量%である。
MgOが95%未満では、クリンカ−自体の耐スラグ性が低下するので好ましくない。一方、B2O3が0.8重量%を超えると、クリンカ−自体が溶損されやすく、逆に0.1重量%未満では、れんがのクリ−プ性が不十分であるのでいずれも好ましくない。
【0030】
上記したB2O3含有マグネシアクリンカ−の配合量は、20〜70重量%が好ましく、より好ましくは30〜50重量%である。
20重量%未満では、れんがのクリ−プ性が不十分であり、70重量%を超えると、れんがの熱間強度が低下するので好ましくない。
【0031】
本発明において、焼成温度は1700℃以上が好ましい。1700℃未満では、結合組織の発達が不十分となるので好ましくない。
この温度で焼成すると、B2O3含有マグネシアクリンカ−中のB2O3は、その一部が揮発して消失するので、その配合量(B2O3含有マグネシアクリンカ−の配合量)から計算される量よりも、焼成後のれんがに含まれるB2O3の量が少なくなるが、本発明は、焼成後のれんが中にB2O3が0.05〜0.25重量%含まれていることを特徴とし、また、焼成後のれんが中にMgOが50〜80重量%含まれていることを特徴とする。
【0032】
焼成後のれんがに含有するB2O3量を規定する理由については、前記したところであるが、0.25重量%を超えると、熱間強度の低下が大きくなり、一方、0.05重量%未満では、クリ−プ性が不十分であるので好ましくない。
【0033】
また、焼成後のれんがに含有するMgO量については、前記したとおり50〜80重量%が好ましく、より好ましくは55〜70重量%である。
50重量%未満では、れんがの焼結が不十分となり、逆に80重量%を超えると、その特性が“マグネシア質れんが”に類似の性質となり、Cr2O3による耐スラグ性の効果が発揮されなくなるので好ましくない。
【0034】
本発明において、電融または焼結マグクロクリンカ−としては、後記実施例で使用したような「Cr2O3量:14〜22重量%のマグクロクリンカ−」を通常用いるが、本発明は、これに限定されるものではなく、MgOの比率を高めてCr2O3量を少なくしたものや、Cr2O3,Al2O3,Fe2O3などの成分を加えて組成を調整したものなど、様々な組成のマグクロクリンカ−を使用することができる。
また、合成ピクロクロマイト(MgO・Cr2O3)のような高純度な合成原料を使用することもできる。
【0035】
その他、電融または焼結マグクロクリンカ−を主に微粉で使用することもできるが、この場合には、再結合を有するリボンド質れんがでありながら、外見上ダイレクトボンド質れんがと類似しているため、“ダイレクトボンド品”という名称で市場に出される場合もある。なお、本発明では、リボンド質れんがに属するものであるが、その市場での名称については限定されるものではない。
【0036】
電融または焼結マグクロクリンカ−のうち、焼結マグクロクリンカ−を用いたものは、特にクリープ性に優れるという特徴があるので、本発明で限定するものではないが、焼結マグクロクリンカ−の使用が好ましい。
【0037】
本発明において、B2O3含有マグネシアクリンカ−としては、その製造時にB2O3が混入する海水マグネシアクリンカ−を用いるのが好ましいが、天然マグネサイト鉱石や塩水を出発原料とし、B2O3原料を添加することで製造したものを用いることもできる。
また、B2O3は、高温では揮発しやすいため、焼結クリンカ−または仮焼マグネシアとして用いるのが一般的であるが、B2O3が揮発されずに残存しているのであれば、電融クリンカ−を用いてもよい。
【0038】
さらに、れんが中のB2O3をマグネシアクリンカ−から供給するだけでなく、その一部をB2O3として、あるいは、3CaO・B2O3のようなB2O3化合物として、れんが製造時に少量添加することもでき、これらも本発明に包含されるものである。
【0039】
本発明に係る高温焼成マグクロれんがは、上記した電融または焼結マグクロクリンカ−およびB2O3含有マグネシアクリンカ−以外に、他の原料として、従来のマグクロ質れんがと同様、低B2O3マグネシアクリンカ−,クロム鉱石,酸化クロム粉末,れんが屑の1種以上を使用することができる。
【0040】
本発明において、B2O3含有マグネシアクリンカ−以外に、さらにB2O3を殆ど含まないマグネシアクリンカ−(低B2O3マグネシアクリンカ−:B2O3含有量→0.8重量%以下)を用いる場合には、目的に応じてその使用粒度を使い分けることもできる。
例えば、B2O3含有マグネシアクリンカ−を微粉側で、低B2O3マグネシアクリンカ−を粗粒側で使用する場合には、れんがのマトリックスにB2O3が分布するため、耐消化性の点で効果が大きいものが得られる利点を有する。逆に、B2O3含有マグネシアクリンカ−を粗粒側で、低B2O3マグネシアクリンカ−を微粉側で使用する場合には、粗粒骨材の粒界クリ−プによりクリ−プ性の点で効果的である。
【0041】
低B2O3マグネシアクリンカ−としては、焼結クリンカ−,電融クリンカ−のいずれを用いてもよく、また、両者を併用することもできる。
さらに、MgO量が98重量%以上の高純度品以外に、CaOや酸化鉄を含有する純度90〜98重量%のものや、純度は98重量%未満であるが、電融して結晶径を大きくしたものなども使用可能である。
【0042】
クロム鉱としては、日本クロム鉱,マシンロッククロム鉱,トルコクロム鉱,パキスタンクロム鉱,イランクロム鉱,トランスバールクロム鉱など、産地を問わず使用することができ、不純物の少ないものを使用することが望ましい。
酸化クロム粉末についても、粒度や成分を特に限定するものではないが、95重量%以上の高純度のものを使用するのが望ましい。また、マグクロ質れんがを粉砕したれんが屑を有効に活用することも可能である。
【0043】
また、以上の配合物以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、従来の高温焼成マグクロ質れんがの場合と同様、アルミナ,酸化鉄,酸化チタン,ジルコン,ジルコニア,稀元素酸化物,金属粉,炭化物,ほう化物,窒化物,その他を適量添加することもでき、これらの添加も本発明に包含されるものである。
【0044】
本発明に係る高温焼成マグクロ質れんがは、上記の配合物を混練,成形,乾燥,焼成して製造され、また、結合剤を配合する点を含めて、通常の高温焼成マグクロ質れんがの製造法の場合と同様である。
結合剤としては、水,リグニンスルホン酸,糖密,フェノール樹脂,硫酸マグネシウムなど様々なものが使用可能であり、また、成形は、フリクションプレス,オイルプレス,ラバープレスなど様々な製造設備が使用可能である。焼成温度は1700℃以上とし、未焼成部分が残らないように十分な時間を保持することが望ましい。
【0045】
【実施例】
次に、本発明に係るマグクロ質れんがの実施例を比較例と共に挙げ、本発明を具体的に説明する。
ここで、本実施例および比較例で使用する各原料について、それらの化学組成をまとめて表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
(実施例1〜5,比較例1〜4)
上記表1に示した各原料を用い、表2に示す割合で配合し、この配合物に結合剤(バインダ−)としてフェノ−ル樹脂を外掛けで2重量%添加し、混練した。
次いで、この混練物をオイルプレスで成形し、乾燥後トンネルキルンで1800℃で焼成してマグクロ質れんが(試料No.1〜9)を作製した。
【0048】
得られたれんがの化学組成を表2に示す。なお、れんが中のB2O3量は、焼成時にその一部が揮発するため、配合から計算した値(計算値)と実測した値(実測値)とを表2に併記した。
また、得られたれんがの「熱間曲げ強度」「水和試験結果」「クリ−プ量」「侵食試験結果」を同じく表2に表示した。
【0049】
なお、表2の各試験は、次の方法による。
「熱間曲げ強度」は、40×40×160mmのテスト試料を切り出し、電気炉中にて1400℃で保持した後、3点曲げ試験で測定した。「水和試験(耐水和性)」は、40×40×40mm形状に切り出したテスト試料を用い、底に水を張ったオ−トクレ−ブ中で所定の蒸気圧下(2気圧,4気圧)で3時間保持した後の外観の変化で評価した。
【0050】
「クリ−プ性」は、40mmφ×40mmの円柱状に切り出した試料を1400℃の電気炉中で1.0MPaの荷重を加えて5時間保持し、その変形量で評価した。「侵食試験」は、ア−ク加熱による回転ドラム方式で行った。そして、侵食剤としてCaO/SiO2重量比を2.0としたCaO-SiO2質合成スラグを用い、1700℃で5時間侵食させた後の損傷量を、試料No.3(実施例1)を100とした時の指数で表示した。
【0051】
【表2】
【0052】
B2O3含有マグネシアクリンカ−を配合していない比較例1(試料No.1)と配合量の少ない比較例2(試料No.2)では、れんがのB2O3量の実測値は、本発明で規定するB2O3量(0.05〜0.25重量%)の範囲外の0.04重量%以下であった。
この比較例1および2では、熱間強度が高いものの、水和試験では試料が体積膨張によって崩壊しており、耐水和性が不十分であった。また、クリ−プ量も小さく、機械的応力の厳しい部位には使用が適さないことがわかった。侵食試験においては、スラグ浸潤層がダスチングにより崩壊したため、損傷量が大きくなった。
【0053】
B2O3含有マグネシアクリンカ−を55重量%配合した比較例3(試料No.8)では、実測値で0.17重量%のB2O3(本発明で規定する範囲内)を含有しており、十分な耐水和性とクリ−プ変形を示した。
しかし、本発明で規定するマグクロクリンカ−が配合されていないため、熱間強度が低く、侵食試験でも損傷が大きかった。
【0054】
また、電融マグクロクリンカ−を15重量%配合した比較例4(試料No.9)では、再結合がかなり認められたものの、B2O3の含有量が0.28重量%と本発明の範囲より多いため、十分な熱間強度が得られなかった。
【0055】
これに対して、本発明の実施例1〜5(試料No.3〜7)では、いずれも本発明で規定する範囲内の適量のB2O3量と、マグクロクリンカ−の使用による適度な再結合(リボンド)を有するため、十分な熱間強度をもちながら、同時にクリ−プ性にも優れていた。水和試験では、「2気圧,3時間」の条件で原形を保持しており、実用上十分な耐水和性を示した。侵食試験では、ダスチングは生じず、損傷量も小さく、非常に良好であった。
【0056】
本実施例のうち“B2O3含有マグネシアクリンカ−を主に1mm以上の粗粒側で使用し、焼結マグクロクリンカ−と組み合わせた”実施例4,5(試料No.6,7)では、クリ−プ性が特に良好であった。
また、B2O3含有マグネシアクリンカ−を主に1mm以下の微粉側で使用した実施例1,3(試料No.3,5)では、「4気圧,3時間」という厳しい水和条件下においても耐水和性が良好であった。
【0057】
【発明の効果】
本発明は、以上詳記したとおり、電融または焼結マグクロクリンカ−を使用した、または、これとB2O3含有マグネシアクリンカ−とを併用した高温焼成マグクロ質れんがにおいて、該れんが中のB2O3量を0.05〜0.25重量%とすることを特徴とし、これにより、高い熱間強度と耐水和性及びクリ−プ性とを兼ね備え、且つスラグによるダスチングを生じにくい高温焼成マグクロ質れんがを提供することができる。
Claims (3)
- 電融または焼結マグクロクリンカ−を使用した高温焼成マグクロ質れんがにおいて、該れんが中にB2O3を0.05〜0.25重量%含有してなることを特徴とする高温焼成マグクロ質れんが。
- 請求項1に記載の高温焼成マグクロ質れんがにおいて、電融または焼結マグクロクリンカ−とB2O3含有マグネシアクリンカ−とを併用することを特徴とする高温焼成マグクロ質れんが。
- 電融または焼結マグクロクリンカ−10〜60重量%、MgOが95重量%以上でB2O3が0.1〜0.8重量%含有したマグネシアクリンカ−20〜70重量%、残部が低B2O3マグネシアクリンカ−,クロム鉱石,酸化クロム粉末,れんが屑の1種以上からなり、1700℃以上で焼成してなるマグクロ質れんがであって、該れんが中のB2O3量が0.05〜0.25重量%であり、MgO量が50〜80重量%であることを特徴とする高温焼成マグクロ質れんが。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP33946696A JP3753396B2 (ja) | 1996-12-19 | 1996-12-19 | 高温焼成マグクロ質れんが |
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JP33946696A JP3753396B2 (ja) | 1996-12-19 | 1996-12-19 | 高温焼成マグクロ質れんが |
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- 1996-12-19 JP JP33946696A patent/JP3753396B2/ja not_active Expired - Lifetime
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