JP3751652B2 - 工業的流体系の水処理剤インシステム濃度の調節方法 - Google Patents

工業的流体系の水処理剤インシステム濃度の調節方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、系の中の水処理剤の濃度の調節及び/又は系の操作に関係し、特には、冷却水系、ボイラー水系、水の再生/浄化系、生産プロセスの水系等のような工業的な水系において、水処理剤及び/又はそれを使用する系の運転の効率を高めるように、系の中の標的種、具体的にはスケーリングイオンと汚染物の分析によって、系の中の水処理剤の濃度を調節する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
工業的水系の中の水処理剤のインシステム(in-system) 濃度は、簡便には、標的種の濃度及び/又は系の水の中の水処理剤の濃度の間欠的な測定、又は非選択性測定(例、導電率)に基づいて制御される。殆どの水処理プログラムの制御目標は、系の水の中の水処理剤と標的種(例、スケーリングイオン、汚染物等)の所定の又は最適な比を維持することである。水処理剤のインシステム濃度は、この比を達成又は維持するために調節され、又は標的種が特定の値に合致するように調節される。例えば、ボイラー系に入る硬質イオンの濃度が増すと、水処理剤と標的種の比の目標を維持するために、水処理剤のインシステム濃度の増加が必要になることがある。系の水の中の標的種濃度及び/又は水処理剤濃度の測定は、1回のシフト(1回のシフトは通常約8〜12時間の系の運転時間に及ぶ)あたり例えば1又は2回、又は数日間に1回の時折の採取サンプルに基づくのが通常である。工業的水系の中の水処理剤及び/又は標的種の濃度測定は、従来旧式(化学的湿式法)の分析方法、導電率、及び/又は水流量計の読み等の水計器の読みに基づくのが一般的であった。
【0003】
水系の中の標的種と水処理剤の濃度を測定するための旧来の分析方法は、一般に、若干煩雑及び/又は時間がかかり、及び/又は単なる推定値である結果を提供し、及び/又は変動する(例、個人の実験技術による)。一般に、系の運転の変化と処理剤投与量の対応する変化の間に長い時間の遅れがある。例えば、ホスフェート濃度は、分光光度(比色)試験によって測定される。ホスフェートと有機リン化合物の濃度は、温浸(戻り)過程を含む同じ分光光度試験を用いて測定される。滴定法は、水系の水中のカルシウムやマグネシウムのような硬質イオンの濃度、カーボネート、重炭酸塩の濃度を測定するために日常的に使用されている。このような分析方法は妨害(例、濁り)を受けやすく、及び/又は主観的である(色の変化の肉眼観察)。これらの値(その比であることも多い)は、スケール防止剤や中和用アミンのような処理薬品をインシステムの目標濃度に運転者が設定するために使用される。
【0004】
通常の、人による(採取サンプルの)分析法をより正確にしようとすると、その方法や対応時間が長引くことがある。フィードバック情報は、場合により、サンプルから数日後のことさえあり、応答する投与量の調節のために提供するデータを殆ど決められないこともある。水系における水処理剤の消費量は、サンプルの採取から分析結果までの経過時間で変化することが多い。
【0005】
系に供給した水処理剤の重量又は体積の正確な表示、及び水処理剤の正確を残存濃度が入手できる場合でも、残存濃度の測定が局所採取又は間欠的なサンプルに基づいていれば、そこからの水処理剤の系への要求量及び/又は系の消費量の外挿値はあいまいなデータと遅れた情報に基づくことになる。系の消費量の変化は、水処理剤の消費量や系の性能に有意な影響を有するまで検出されないことがある。系の消費量の変化の検出が遅れた場合、水処理剤のインシステム濃度の応答した調節や系の運転の応答は常に遅れ、系の性能は低下するであろう。インシステム濃度の応答した調節が遅い場合、系の水処理剤の消費量が変化した時間と水処理剤のインシステム濃度及び/又は系の運転パラメーター(アルカリ度の調節)を調節する時間までの間に、水処理剤の或る程度の供給過剰又は供給不足が頻繁に生じるであろう。
【0006】
工業的な水系プラントにおいて、全ての推定の、バラツキのある、間欠の、不確かな、又は遅れたデータは、水処理剤のインシステム濃度の全ての応答すべき要求量の調節の感度を厳しく悪化させ、及び/又は水処理剤のインシステム濃度の適切な保証を伴う系の水処理剤の要求量又は系の消費量の変化に追従する能力を低下させる。
【0007】
水処理剤のインシステム濃度を調節するための通常の方法は、この他の運転パラメーターの不正確な評価によってさらに複雑になる。工業的水系に供給されている及び/又は工業的水系から除去されている水処理剤の速度、及び/又は水処理のインシステム濃度に影響を有する他の運転パラメーターは、不活性トレーサー又は分離感度のよい分析法を使用しなければ、正確に測定されることができない。供給とブローダウン装置及び/又はラインの読み及び/又は設定は問題なく信頼できることは殆どなく、多数のブローダウン源や、これら水サンプルの組成の変化や補給によって複雑にされることが多い。標的種と水処理剤の濃度の変動は、例えば他の物質が系に供給されたときの希釈、蒸発その他による濃縮、系からの流体の予想外の損失等のような系のいろいろな条件に由来することがあり、そのパラメーターのいくつかは正確に知ることができない。一般に、全ての水源の出入り、全ての水処理剤源の出入りは、不活性トレーサーと分離感度のよい分析法を使用しなければ正確且つ連続的に知ることができない。
【0008】
水処理剤のインシステム濃度の要求に応答した感度のよい選択的で迅速な調節は、殆ど全ての工業的水処理系をより効率的にするであろう。水処理剤の過剰供給は不必要に費用がかかり、場合により、系から放出される排水のリサイクルの可能性を減らすことがあり、また、場合により、系の運転状態を悪くすることもある。水処理剤の供給不足は殆ど不可避的に系の運転状態を悪くし、供給不足の水処理剤と標的種の間のアンバランスは、水処理によって対応すべき大きな有害な影響に結びつく。いくつかの水処理系において、水処理剤のインシステム濃度と系の水状態及び/又は標的種とのアンバランスは、系の効率を大きく減らすことがある。例えば、熱交換やスチーム発生のような系の濃度調節性能の効率が低下することがあるが、この低下は、それが助けとなるプロセスの性能を低下することがある。
【0009】
水処理剤のインシステム濃度を、リアルタイムの系の状態に応答して調節することを可能にする、インシステム濃度の要求に応答した感度のよい選択的で迅速な水処理剤の調節は、従来の方法では行うことができない。
本発明の目的は、それによって1以上の水処理剤のインシステム(in-system) 濃度の敏感な調節及び/又は系の運転パラメーター(例、アルカリ度等)の敏感な調節を可能にする、水系の中の標的種(複数でもよい)の濃度を監視する方法の提供である。本発明の目的は、非常に短時間にその場で行うことができる方法の提供である。本発明の目的は、少なくとも1種の水処理剤のインシステム濃度の調節及び/又はそのインシステム濃度に応答した工業的水系の運転パラメーターの調節をさらに含む方法の提供である。本発明の目的は、好ましくは連続的に非常に短時間にその場で行うことができる方法の提供である。本発明の目的は、工業的水系において、好ましくは連続的に非常に短時間にその場で1以上の標的種を監視する方法を提供することである。本発明のこれら及びこの他の目的を以降で詳細に説明する。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
本発明は、水処理剤のインシステム濃度の要求に敏感な管理(調節又は制御)及び/又は系の運転パラメーターの要求に敏感な管理、例えば、好ましくは蛍光分析による標的種指示剤(target-specie indicator) の値の監視による水処理剤供給量の調節を提供する。本発明は、その水処理剤に関する少なくとも1種の標的種の値及び/又は運転パラメーターの値に基づいて、少なくとも1種の水処理剤のインシステム濃度及び/又は系の運転パラメーターを調節するための方法を提供し、そのものが標的種(target-specie) であるか又は初期試薬と標的種の組み合わせである少なくとも1種の標的種指示剤の蛍光特性を監視することを含む。標的種は、例えば、化学種、スケール原因物質(scalants)、腐食生成物、腐食原因物質、汚れ原因物質(foulants)であり、或いは例えばpHのような水処理剤によって標的にされ得る水の状態、即ち、系の要求及び/又は水処理剤の系の消費の表示、又はスケーリング/堆積の生成、汚れの表示、腐食状態であることができる。より詳しくは、標的種は、他の化学種、又は腐食生成物のように水の状態によって生成された化学種であることができる。標的種は、系の要求(demand)状態及び/又は系の消費状態であることができ、例えば系のpHである。標的種は、それ自身が又は適切な薬剤と組み合わせた、水処理剤についての系の消費の他のタイプの表示であることができ、標的種指示剤は、標的種の値に関係することができる蛍光特性を有する。蛍光特性は、少なくとも1種の蛍光分析法によって、好ましくは連続的に監視し、その監視の結果は、好ましくは、その水処理剤のインシステム濃度及び/又は系の運転パラメーターの調節に関連させる。本発明の他の好ましい態様にしたがうと、標的種の監視は他の電気的手段、例えば吸光度、化学ルミネッセンス、イオン選択性電極(限定されない)によって監視する。
【0011】
また、本発明は、標的種についての系の要求に基づいて、水処理剤のインシステム濃度の要求に敏感な管理(調節又は制御)を提供する。好ましい態様において、本発明は不活性トレーサーの監視をさらに含み、標的種指示剤の監視と併せて標的種の系の要求を測定するために使用され、これについては後記に詳細に説明する。
【0012】
より好ましい態様において、標的種のインシステム濃度に対する標的種の敏感な調節の効果は、好ましくは、不活性トレーサーの連続的監視と併せた標的種指示剤の連続的監視によって得られ、これについては後記に詳細に説明する。
関係の不活性トレーサーに対して既知の比率で系に添加した任意の種(従属(subject) の種)についての系の消費は、次の式から求めることができる。
【0013】
式: C1 −C2 =SC
ここで、C1 は関係の不活性トレーサー(従属の種に対して既知の濃度で添加)の濃度との相関で求めた問題の種の理論的濃度、C2 は系の中の従属(subject) の種の実際の濃度であり、SCは従属の種の系の消費であり、言い換えると、トレーサーのインシステム濃度に影響を及ぼさない従属の種のインシステム濃度の選択的衝撃(impact)である。
【0014】
標的種による敏感で迅速な水処理剤のインシステム濃度の応答制御は、水系の中の標的種指示剤の値のオンライン連続監視によって提供される。標的種指示剤、例えば標的種(複数でもよい)濃度の値のオンライン連続監視は、正確で迅速な結果を提供し、それに応答して水処理剤のインシステム濃度及び/又は運転パラメーターを調節することを可能にする。1つの水処理剤のインシステム濃度又は複数の水処理剤のインシステム濃度は、系への薬剤の供給速度又は注入速度の調節、注入速度とブローダウンによる排出速度との比の調節、及び/又は水処理剤のインシステム濃度に影響する任意の手段の調節によって調整することができる。
【0015】
本発明は、工業的水系の中の標的種の値の監視を含む。用語「標的種(target specie) の監視」は、特に明記がなければ、水系のサンプル中の標的種指示剤の少なくとも1種の蛍光特性の測定、及び水系の中のスケーリングイオンのような標的種の比率又は割合を示す値とその特性との相関づけ、又は水のpHの測定を言う。次にその値は水処理剤の特定の投与量又は系の消費に関連づけることができる。用語「調節」は、特に明記がなければ、例えば水系への水処理剤の供給速度のような、水処理剤のインシステム濃度の少なくとも一部を決める系の制御手段の設定及び/又は調整を意味する。このような監視及び/又は調節は、単独の、間欠的な、半連続又は連続ベースで行うことができ、好ましくは少なくとも監視は、より好ましくは監視と調節の両方は、その場で(工業的水系プラントの場所で)実質的に連続ベースで行う。
【0016】
用語「インシステム(in-system) 濃度」は、特に明記がなければ、問題の水系の水相の中の一般に溶質である従属の種の濃度である。例えば、水処理剤又は標的種のインシステム濃度は、スケール堆積物や他の固体相物質が系の境界の内側に存在していたとしても、それらの中に含まれる量は対象にしない。
本発明は、標的種指示剤の監視によって提供される情報を用い、水処理剤の系での消費に基づき、少なくとも1種の水処理剤のインシステム濃度を調節することを含む。水処理剤のインシステム濃度及び/又は運転パラメーターは,推定、断片的、又は過去のデータではなく、工業的水系の中の標的種の存在値に基づく本発明の方法によって調節される。本発明は標的種指示剤(標的種そのもの、又は標的種に関連する)を直接監視するため、例えば、補給水又は他の添加物質と一緒の系への標的種の導入、多数の流れの混合、汚染、系の間の漏れ、系からの漏れ、希釈や濃縮、既知又は未知の源から水の中への標的種の放出、既知又は未知のメカニズムによる水からの標的種のロスのような、水処理剤の系の要求及び/又は系の消費への多数の影響を追跡及び/又は定量することを不要にする。
【0017】
標的種の値は、水処理剤のインシステム濃度と別個に、系の変化によって変わることがある。言い換えると、所与の水処理剤のインシステム濃度は、或る時間については標的種の要求に完全に合致することができ、次いでその標的種の値は、系の他の因子に応答して急速に変化することがある。そのような例における標的種の増加は、初期の水処理剤のインシステム濃度で適当でなかったとの表示ではなく、その水系が、水処理剤の高いインシステム濃度を新たに要求している信号である。標的種の減少は、同様に、初期の水処理剤インシステム濃度の継続が供給過剰になっている信号であることがあり、以降で記すように水処理剤のインシステム濃度が低過ぎるとの信号であることがある。
【0018】
種々の運転条件によって系の消費(consumption) の変化が生じることがある。工業的水系において、標的種が入る及び/又は出る及び/又は発生する速度は、予報又は制御することが全くできない。一般に工業的水系は、物質の取り入れ及び/又はロス及び/又は化学変化について未知の源を有する。このような標的種(複数でもよい)及び/又は運転パラメーター(複数でもよい)の最適な監視は、他のパラメーターに基づいてその濃度や割合の変化を見積ろうとすることよりも、水系の中のそれらの濃度又は比率を定量することである。本発明の方法は、1種以上の蛍光分析法を用い、1以上の標的種の濃度、又は標的種に関係する標的種指示剤の値から他の標的種の値を測定することができる。
【0019】
本発明は、水処理剤の残存レベルの測定値に左右されず、水処理剤の残存レベルの測定に必要な分析を実施しながら、標的種に応じた水処理剤インシステム濃度の調節を提供する。広い態様において、存在する標的種に応答するインシステム濃度の調節は、不活性トレーサーの使用及び/又は水処理剤の供給にも依存しない。
【0020】
水処理剤インシステム濃度は、標的種指示剤の蛍光特性及び/又はサンプリング箇所(複数でもよい)の運転パラメーター(複数でもよい)に応答するように調節され、これらの値は標的種の値に関係し、水処理剤に対する系の要求及び/又は系の消費に比例又は反比例する。標的種は、水処理剤の系の消費(又はその必要な投与量)に比例/反比例、又は換算できる値となるものが選択される。本発明の目的に関して、適切な標的種(複数でもよい)、又は所与の水処理剤についての他の標的種は、その水処理剤の系の消費(又はその必要な投与量)に関係づけることができるものである。例えば、処理剤が清缶剤としての例えば分散剤である場合、カルシウム及び/又は鉄のような種が適当な標的種であろう。系のカルシウム及び/又は鉄の濃度は、スケーリングの発生し易さ又は系の水中の水処理剤のロスに関係し、カルシウム又は鉄の濃度のいずれか一方、又はこれらの両方はスケール防止処理剤の系の消費の有用な必然的な結果である。
【0021】
本発明の1つの態様にしたがうと、標的種の監視は、好ましくはその標的種についての系の消費を測定するためにも使用する。例えば、水系に導入している補給水の中のカルシウムイオンの濃度を測定する。例えば補給水と共に不活性トレーサーを添加することにより、カルシウムイオンに比例して水系に不活性トレーサーを添加することは、水系のカルシウムイオンのゼロ消費濃度を容易に求めるための手段である。系に供給又は系から排出されている水の中のカルシウムイオンの実際の濃度は、その標的種指示剤の分析によって容易に求めることができる。特に関連の不活性トレーサーの監視と組み合わせて、カルシウムイオンのインシステム濃度を測定するためにカルシウムイオン指示剤の監視をすることは、系の水からのカルシウムイオンの選択的なロスを表すことができる。系の実際のカルシウムイオン濃度は、不活性トレーサー濃度によって示されたゼロ消費濃度値よりも低い。カルシウムイオンのこのような系の消費はスケールの生成に由来することがあり、又はスケールの溶解によって過度のカルシウムイオンになることがある。
【0022】
標的種のこのような系における消費の存在は極めて不都合なことがあり、その検出は、スケール生成の予防手段を高める警戒を運転者に用意させるであろう。他方で、場合により、標的種についてのそのような系の消費の存在が好都合なことがあり、例えば、特定の系における沈殿、凝集、粒子生成による標的種のインシステム濃度の低下が目的の場合である。いずれの場合も、処理剤のインシステム濃度の任意の応答性の調節の効果は、標的種の広範囲な監視を継続することによって追跡することができる。スケールの堆積物を溶解する及び/又はスケールの生成を抑制する処理の有効性は、カルシウムイオンのインシステム濃度の増加及び/又はカルシウムイオンの系の消費の低下として把握することができよう。沈殿、凝集、又は粒子生成を促進する処理の有効性は、カルシウムイオンのインシステム濃度の減少及び/又はカルシウムイオンの系の消費の増加として把握することができよう。
【0023】
もう1つのタイプの標的種は、分解、錯形成、沈殿等の現象による破壊的な処理剤の消費に関係する。硫化水素のような系の汚染物は、水処理剤の性能に悪影響を及ぼすことがあり、水処理剤の系の消費(又はその必要な投与量)に関係することがある。したがって、硫化水素や他の破壊的な処理剤及び/又は水の状態は、いくつかの系において、監視する標的種の役割の適当な候補であることができる。
【0024】
蛍光特性を呈する物質は発蛍光団と称される。発蛍光団は一般に芳香族有機化合物及び/又は錯体である。ランタノイドのような重い元素の無機イオンのいくつかは蛍光特性を有し、本発明の有用な発蛍光団として役立つことがある。ここで、簡単な無機イオンの殆どはそれ自身では蛍光特性を有しない。しかしながら、適当な発蛍光団又は発蛍光団前駆体と組み合わせると、非蛍光性の無機イオン濃度を蛍光分析法によって測定することができる。この例における非蛍光性の無機イオンは標的種であり、一方で、有効な又は最終的な蛍光剤は、標的種と初期又は最初の薬剤との組み合わせによって生成した標的種指示剤である。
【0025】
初期試薬(incipient reagent) はそれ自身が蛍光性であってもなくてもよい。標的種指示剤はそれ自身が蛍光性であってもなくてもよい。初期試薬及び標的種指示剤の両方は蛍光性であり、蛍光分析法が使用され、場合により何らかの残存する初期試薬と標的種指示剤の間の妨害を避ける又は少なくとも抑えるため、励起及び/又は発光波長を選択する。標的種と初期薬剤の種々の組み合わせの例、及び得られる標的種指示剤の適当な蛍光分析法の選択の例を以降でより詳しく説明する。
【0026】
標的種は、選択の蛍光分析法に適切な標的種指示剤を生成する試薬(初期又は最初の試薬)とのペアであることができ、又は標的種指示剤の適性に基づいて蛍光分析法を選択することができる。
一般的な例として、冷却水や他の工業的水系に通常見られ、適当な標的種指示剤の生成によって少なくとも1種の蛍光分析法により定量を受けることができる化学種及び/又は水の条件には、限定されるものではないが、オルト燐酸塩、硬質イオン(カルシウム及び/又はマグネシウムイオン)、鉄、フッ素、マンガン、特定の腐食生成物、アルカリ度、硫化水素のようなサルファイド、シリカ、銅、クロリド、有機物、スルホネート等がある。温度やpHでさえ蛍光法によって測定可能である。
【0027】
一般的な例として、冷却水や他の工業的水系に通常見られ、本発明による適当な標的種指示剤の生成によって少なくとも1種の蛍光分析法により定量を受けることができる化学種及び/又は水の条件には、限定されるものではないが、硬質イオン(カルシウム及び/又はマグネシウムイオン)、アルカリ度、鉄、銅、ナトリウム、クロリド、スルフェート、pH、酸素、アンモニア、シリカ、二酸化炭素、有機酸、その他である。
【0028】
上記の標的種の多くは無機イオン又は系の汚染物である。スケーリングイオンや系の汚染物の濃度を測定するための従来の分析法は、通常は妨害を受けやすい。例えば、オルト燐酸塩の比色分析は上記のものについて通常使用される分析法であるが、濁りの妨害と化学的妨害を受けやすい。カルシウムイオンについてのイオン選択性電極分析は一般に使用される方法であるが、イオン強度の変化、温度の制約、汚れによる妨害を受けやすい。
【0029】
本発明の方法は、水処理剤についての系の要求又は系の消費における全ての変化の程度を正確に測定し、又は任意の供給速度の補償又は他のインシステム濃度の調節の作用が行われることを可能にする。この情報は、より正確で効率的な応答性のインシステム濃度の調節を可能にするだけでなく、水処理剤の消費速度の異常な変化のきっかけとなることがある水処理剤の混乱に対する警戒もまた提供する。水処理剤の標的種指示剤の監視によって提供されるこの情報は、このような水処理剤に関係する全ての運転パラメーターにとって非常に重要である。 本発明を適用することができる工業的な水処理系は、少なくとも1種の水処理剤を使用する任意の工業の水系であり、限定されるものではないが、温度調節用水系(熱/エネルギー交換媒体として水が使用される)、原水の流れ及び/又は補給水を浄化する水系、廃棄物及び/又は排水を浄化する水系、固体(懸濁及び/又は溶質)を液体から分離する水系(例、膜分離プロセスの水系)、化学工業の製造プロセスのような製造プロセスの水系であり、例えば限定されるものではないがパルプ製紙工業の水系、製鉄工業、金属加工業、食品加工業、採鉱業、自動車工業、繊維工業、ユーティリティ、化学プロセス業、製作業、塗装業、アルミネートの精錬のような精錬工業、その他がある。
【0030】
工業的な水系は少なくとも約60重量%の水を含む流体系であることが多く、残りは固体(懸濁及び/又は溶解)及び/又は非水系の流体であり、流れているよりも留まっていることが普通である。好ましい態様において、本発明の工業的水系は少なくとも約65〜70重量%の水を含む工業的水系であり、残りは固体(懸濁及び/又は溶解)及び/又は非水系の流体であり、好ましくは留まっているよりも流れている。
【0031】
ここで、広い態様において、本発明は工業的水系に限定されず、非水系の流体にも適用可能である。実質的に非水系の流体系に水処理剤を使用する例がある。例えば、製油業におけるいくつかの炭化水素の流れの中に中和用アミンが使用される。本発明の目的、即ち処理剤の調節によって、そのような炭化水素の流れの中のクロリド、他のアニオン及び/又は他の不純物の濃度を監視することは非常に有益なことがある。本発明の方法は、流体の非水系部分から生じる蛍光分析の何らかの潜在的な障害を回避することができるならば、水系と同様な仕方で水系/非水系の混合流体系、非水系の流体系に使用することができる。本発明は水系に対して最も容易に一般に適用できると考えられるが、本発明を水系について説明しているのは簡便のためであって、限定するためではない。
【0032】
いくつかの水系は、個々の標的種の指示剤の監視が系の効率を改良することがあるため、複数の水処理剤を使用する。複数の標的種指示剤の監視によって、複数の水処理剤についての個々の標的種の値を測定することがあり、指示剤の各々は別な水処理剤に関係することができる。いくつかの例において、複数の水処理剤についての系の要求及び/又は系の消費は1つの標的種に関係することがあり、1つの標的種指示剤の監視が、全ての処理剤のインシステム濃度の調節に関係することがある。別な例において、複数の水処理剤を同じ箇所の水系に供給することができ、又は別な流れにそった複数の箇所に供給することもできる。
【0033】
1つの水処理剤は、系の消費に関わる複数の条件にしたがうことがある。或る系において、所与の水処理剤についての複数の標的種のうち、1つだけが極めて重要であり、極めて重要な標的種のみを監視する必要がある。別な系において、所与の水処理剤についての複数の標的種が重要であり、各々の標的種についての系の消費状態の測定が系の効率を改良することがある。さらに、1つの水処理剤についての系の複数の消費状態が、複数の標的種の定量によって求められることがあり、その各々が水処理剤の異なる系の消費状態に関係することがある。
【0034】
或る水系は複数のゾーンを有することがあり、その各々の中で1つの水処理剤が、異なる厳しさの他と全く別な系の消費条件に出くわすことがある。このようなゾーンは連続的に又は並行に配置されることができ、又は水系は、1つのゾーンに各々が一部の水処理剤を供給する、又は水処理剤の残存物の一部を1つのゾーンから運びだす複数の流れを有することができる。本発明は、何らかの介在する水処理剤消費ゾーンなしに、別々に処理剤の消費を測定する水系ゾーンを渡して標的種指示剤(複数でもよい)を監視するのであれば、これらの任意の状況又は状況の組み合わせに使用することができる。
【0035】
これらの水系の水の中の固体及び/又は溶質は、殆ど又は主として有機物、又は殆ど又は主として無機物、又は有機物と無機物の混合物である。本発明の方法は、例えば40%以上の固体含有量といった高い固体含有量を有する水系には適さないであろう。
水系は或る種の溶解した固体又は溶解したガスを含むことができ、又はスラリー(希薄又は濃厚)であることができ、又は溶解した固体及び/又はガスを含むスラリーであることもできる。また、水系は水以外の特定の液体を含むこともでき、この液体は水に混和性又は不混和性のいずれでもよい。
【0036】
冷却水系とボイラー水系の普通の標的種は前記の通りである。冷却水系とボイラー水系は本発明が適する水系である。本発明によって提供される利益を必要とする水系は高度に動的な水系である。ここで、本発明は前記のように各種の工業的水系に適用可能である。これらの水系の特性のいくつかを次により詳しく説明するが、この説明は例示であって限定するものではない。
【0037】
冷却水系において、水はその高い熱容量により、ユーティリティを含む各種の装置の生成物又はプロセスを冷却する熱交換媒体に適する。基本的な冷却装置の設計は1回通過式、閉鎖再循環式(蒸発なし)、及び開放再循環式(蒸発あり)である。最近の冷却タワーは水を再循環し、蒸発による放熱によって水を冷却することが多く、それによって水の抜き出しと排出の量を減らしている。このような最近の冷却装置は環境保護の面に有利なように設計されるが、このことは、腐食、スケーリング、汚れ、その他の堆積の可能性が高くなることによる冷却系内の水の化学的問題を生じさせている。
【0038】
冷却水は通常は熱源には直接接触しない。冷却水と冷却される物/プロセスは普通は両方とも流体であり、通常は金属又は合金の優れた熱導体であるバリヤによって隔てられる。バリヤは熱交換面と称され、収納容器の中のバリヤのアセンブリーは熱交換機と称される。
冷却水系とそれ以外の殆どの工業的水系において、腐食は金属の早過ぎる損傷を生じることがある。腐食生成物の堆積は、熱交換と流速の両方を減じ、熱交換面と系の装置の保全性を減じる。スケールは、炭酸カルシウムのように高温で不溶性になる化合物の沈殿によって生じる。スケールの堆積は熱交換の障害となり、流れを減らす。汚れは、懸濁した固体の付着、腐食生成物の付着、微生物の成長によって生じる。汚れは熱交換と流体の流れの障害となるだけでなく、堆積物の下の厳しい腐食を促進する。
【0039】
ボイラー水系において、ボイラーは一般に連続的に水に熱を供給し、水をスチームに蒸発させる容器である。発生したスチームは、直接又は間接の熱交換媒体及び/又は発電用動力として使用されることが殆どである。高圧及び/又は高容量のボイラーは一般に水管ボイラーであり、水が管の中を循環し、供給熱(火炎又は高温燃焼ガスのような燃焼物)は管の外側から伝わる。これらの水管の一部は、熱を発生する燃焼が行われる炉の壁を構成する。
【0040】
ボイラー水系には、例えばパルプ製紙業に使用される回収ボイラー、化学工業のボイラー、高圧下で高い放射能汚染物質を含有することがある流体を含む原子力工業の水系がある。
ボイラーの中の不純物濃度の最大値を制限するボイラー運転管理値は、ボイラーとタービンの製作業者、水処理業者、ボイラーを使用する工業プラントによって設定される。通常は補給水と再循環凝縮水からなるボイラー給水は、その水がボイラーに供給される前に処理されているにしても或る程度の不純物を含む。スチームが発生すると、実質的に純粋な水蒸気がボイラーから送りだされ、後に不純物が残り、ボイラー中でその濃度が高くなる。放出スチームが汚染物含有の給水に置換されることになる。ボイラー水中で、溶解又は懸濁した固体の濃度が次第に増加していくと、堆積物の生成、腐食、フォーミングとキャリーオーバー、熱交換効率の低下、水管の破損や吸蔵、等の非常に重大な問題が不可避的に生じることがある。ボイラー水の不純物濃度(ボイラー水の固形分濃度)は、標準的なブローダウンと、溶解又は懸濁した固形分の濃度が低い補給水によってブローダウンを置換することによって相殺される。しかしながら、標準的なブローダウンの熱エネルギーはボイラーの熱効率を下げる大きな要因であり、このため固形分濃度を抑えるに必要なよりも過剰にブローダウンを行うことは定常的には採用されない。また、過剰なブローダウン率は水のコススを不必要に高くする。
【0041】
中高圧ボイラーは、100,000But/ft2 ・h(2,500cal/m2 ・h)以上の熱交換速度を有し、ボイラーに非常に薄い堆積層が存在しても、水管金属の温度をかなり高めることがある。給水の純度は非常に高く、給水が導入する不純物の許容濃度は非常に低い。これらは一般に、殆ど一定のスチーム発生必要量を有するサイクル数の大きいボイラーである。ボイラーの濃度サイクルの制約とボイラー水処理プログラムの両者は、他に適当な給水清浄化プログラムがあったとしても、問題のあるスケール生成/堆積を避けるために概して必要である。
【0042】
排水系において、一般的な排水系で生成した最終的な部分は、廃棄物を生成する水系にリサイクルされるか、別な系にリサイクルされるか、投棄されるかである。排水処理プラントの「生成物」が,廃棄物を生成する水系のコストと同等なコストを有することは殆どない。このため、一般的な排水処理プラントは、必要な水処理剤のコストに大きく左右され、平均的なプロセスプラントと異なり、その影響は非常に変化し、水処理剤や他のインシステム濃度の調節手段は、一般的なプロセスプラントよりも非常に感度が低い。本発明の方法は、プラントが水処理剤インシステム濃度の調節に従順であるようにすることができ、標的種の異常な測定値は、運転者をして流入水の質の混乱の警告を与えることができる。本発明の対象とする排水及び/又は系は、冷却水系、ボイラー系、既存技術の装置から排出される殆どの水である。
【0043】
本発明の対象とする原水の流れ及び/又は系は、冷却水系やボイラー水系の付加する又は使用するために調製される水であり、限定されるものではないが、井戸水、河川の水、他の地表水の供給がある。
一般的な原水系の水は、次の物理的及び/又は化学的特性の範囲で特徴づけることができる(本発明はこのような範囲の中にある水系に限定されるものではない)。
【0044】
・約2〜約12のpH
・約5℃(41°F)〜約245℃(500°F)の温度
・約1ppm〜約1000ppmの不溶性固形分濃度
・約100ppm〜約100000ppmの全固形分濃度
膜で濾過する水系において、半透膜の使用は、工業水の清浄化に比較的最近に加わってきた。膜分離において、駆動力によって流入水が膜を通過し、その元の不純物の或る部分が濃縮物として残る。膜による濾過は、懸濁粒子だけでなく、以降で詳しく説明するように、コロイドや溶質を給水から除去する膜分離プロセスである。
これまでに、膜による分離の工業的応用の障害となっていた問題には、膜のスケーリング、膜の汚れ、膜の劣化がある。従来、これらの問題は、膜による分離コストを高く維持し、その用途を特殊な場合、例えば除去した不純物自身が商業的に価値があるような場合に限定させてきた。膜とその応用技術の進歩は、現状では、工業的水系の原水の清浄化、工業プロセスの流出液の処理、排水処理、塩水や海水の脱塩、非水系流体、水系と非水系流体の混合物等の処理のようなより商業的な実施技術に、膜による分離を適用可能にしてきた。また、膜の性能、例えば膜の汚れの検出及び/又は定量化を測定する装置の改良や、膜濾過用薬剤の投与及び/又は性能の改良によって、膜による分離の、特に原水と排水の清浄化のような工業的用途への実用性が増してきた。膜による分離は、診断装置がさらに改良されることにより、さらに実用的・工業的な用途が増すであろう。
【0045】
膜による濾過装置の診断的監視は、効率的な運転と膜の有効寿命の短縮を防ぐために極めて重要である。診断的情報は、現在では理解が広がり、装置の工業的操作に基本的であると認識されているため、これらの診断的監視は、工業的な膜による濾過装置において同じ仕方で日常的に行われる。膜濾過プロセスの性能を向上する処理薬剤、膜の堆積物を除去する殺生剤や洗浄剤のような、膜のスケール堆積を遅らせる/防ぐスケール防止剤、膜の汚れを遅らせる/防ぐ汚れ防止剤、微生物分散剤、微生物増殖抑制剤のような膜濾過用の薬剤(限定されるものではない)の監視、或いは標的種の実際の系の消費の測定、処理剤の性能、プログラムの測定は、系の運転効率を大きく向上させ、膜を保護するだあろうが、利用できる技術は感度に乏しいか非常に時間がかかり、迅速な応答が常に可能ということが極めて困難である。さらに、これらの複数の監視は、複数の分析技術の採用を定常的に必要とし、このことは状態を複雑にし、診断プログラムに不可欠な費用を高くする。
【0046】
多くの原油、ガス、及び地熱の井戸は、金属表面と接触する規模の大きい水系を使用する。このような金属表面、特に下の穴に位置する部分は、腐食やスケーリング(限定されない)の潜在的問題のような、水に関する厳しい化学的問題の可能性がある。これらの問題に対処するために採用される水処理プログラムは、そこで使用される標的種や水処理剤のリアルタイムの系の消費を監視する感度の高い方法によって大きく改良されるであろう。本発明で対象とする系は、当然ながら、熱交換や水清浄化の水系や、原油やガス井戸工業の腐食生成物のための下穴の腐食防止剤やその標的種の系の消費を監視することに限定されるものではない。本発明は、鉱物富化水系に使用する水処理剤又はその標的種、化学的精製水系、又は他の工業的水系の監視にも適用することができる。
【0047】
本発明の重要な長所は、標的種指示剤を監視することにより、本発明の態様をいろいろな水処理剤を採用する種々の工業の種々の水系に使用可能なことである。スケーリングや腐食等を抑制するための水処理剤は、業種によって異なることが多い。本発明の態様は、水処理剤そのものに束縛される意図はないが、標的種が同じ場合は複数の非類似の業種に使用することができる。各種の業種間に、同じ水処理剤の採用よりも、同じ標的種の広い分布がある。
【0048】
好ましい態様において、水処理剤及び/又は標的種の少なくとも1種の消費についての最小限又は特定の制限を監視し、より好ましくは、例えば水処理剤及び/又は標的種に対して既知の比率で不活性トレーサーを添加した補給水、又は処理剤生成物のような「痕跡の処理剤(traced treatment agent)」及び/又は「痕跡の標的種(traced target specie)」を用いて、蛍光分析によって監視する。系の中のこのようなトレーサーと標的種及び/又は水処理剤のレベルの監視は、系の中の水処理剤及び/又は標的種の消費濃度の最小限又は特定の制限を決める。水処理剤及び/又は標的種に比例して系に添加する不活性トレーサーの濃度は、全ての水処理剤及び/又は標的種の濃度への選択的な影響が存在しない場合の、水処理剤及び/又は標的種の理論濃度に比例する。不活性トレーサーのインシステム濃度は、(選択的な)消費における最小限の又は特定の制限に関係する運転条件下での、インシステム処理剤及び/又は標的種濃度に関係することができる。殆どの水処理剤及び/又は標的種は、それに選択的な系の中の或るタイプの消費(系の消費)、即ち、水処理剤及び/又は標的種の濃度を変化させるが不活性トレーサーの濃度には実体ある衝撃を有しないメカニズムによって、消費を受けるであろう。好ましくは、不活性トレーサー濃度は10以下まで減少する。使用中の任意の箇所での水系の中の水処理剤及び/又は標的種の実際の濃度は、時間あたりに添加する量と、時間あたりに選択的及び非選択的に消費(消失)される量の関数である。
【0049】
また、水処理剤及び/又は標的種に比例して系に添加する不活性トレーサーの濃度は、特に複数の調節を同時に行った場合の、水処理剤のインシステム濃度を調節するための系の制御の全ての調節の影響力の尺度である。例えば、目標が、水処理剤濃度の20%の低下であり、系における選択のコントロール調節が新しい水の置換を伴う系からのブローダウンの一時的な増加である場合、不活性トレーサーの監視は、目標が合致したときに、当然ながら時間間隔の際の濃度への全ての水処理剤の選択的影響力ではなくて、希釈メカニズムについて明らかにするであろう。インシステム濃度への非選択的又は分岐した影響の複雑性が増すにつれ、これらの影響の正味の効果を追跡する不活性トレーサーの使用が有用になる。それにもかかわらず、不活性トレーサーの優れた監視は、比較的簡単なコントロール調節が行われた場合や、定量的なデータが測定されない場合でも非常に有益なことがある。例えば、標的種指示剤の監視が、水処理剤のインシステム濃度が必要ないとの指示をした場合、調節の前及び/又は後に水処理剤のインシステム濃度の定量をせずに、水処理剤のゼロ、低下、又は一定のインシステム消費濃度の上方のゼロ調節がなされたかを確認するために系のトレーサーの監視を使用することができる。
【0050】
痕跡の水処理生成物又は補給水の不活性トレーサーについての「供給速度」の監視は、場合により好ましい付加的な方法であり、例えば水処理生成物及び/又は補給水を系に入れる箇所の供給ラインの上流のトレーサー濃度を監視することにより行う。このような「供給速度」の監視は、トレーサーを供給ラインで監視するときに、系に添加している水処理剤及び/又は標的種の実際の値を正確に測定するために使用する。本発明におけるインシステム濃度の調節は、水系への供給ラインの上流又は下流のトレーサーを監視することによって得られた情報の少なくとも一部と、水処理剤及び/又は標的種の供給の中のトレーサー(複数でもよい)濃度に関する有用な情報の一部を組み合わせることができる。
【0051】
水処理剤インシステム濃度の調節は、1種以上の不活性トレーサーの監視に基づく任意の複数の測定値を含んでよく、これらの値は、相対値、定量値、およその定量値でよい。水系に供給されるときのトレーサー、活性な水処理剤及び/又は標的種の間の比率は、その比率が一定であれば知る必要はなく、或いは、所望の時間の範囲で監視に関する充分な情報が入手できれば、その比率が変化してもよい。
【0052】
標的種指示剤の蛍光特性を定量するため、各種の蛍光分析を単独で又は組み合わせて使用できる。このような蛍光分析法は、次の特性を測定及び/又は指示する方法を含む(限定されない)。
1.蛍光の出現又は消失
2.蛍光の励起波長及び/又は発光波長のシフト
3.蛍光消光(特定の物質による)又は消光の解除
4.特定の光吸収の変化に基づく蛍光の変化(増加又は減少)
5.蛍光の充分に定めた温度依存性
6.蛍光の充分に定めたpH依存性又は他の水条件依存性
7.前記1〜4の効果を高める又は把握するための温度依存性及び/又はpH
依存性の利用
蛍光発光分光分析による特定の物質の検出と定量は、発光した光の量と存在する蛍光物質の量との比例関係に基づいている。紫外線や可視光を含む光の形態のエネルギーがサンプルセルに入射すると、その中の蛍光物質がエネルギーを吸収することができ、そのエネルギーを、吸収した光より長い波長の光として放射する。蛍光分子は光子を吸収し、電子の基底状態から励起状態へのエネルギー増加が生じる。電子の励起状態が、高エネルギーの振動励起状態から最も低いエネルギーの振動励起状態に落ちると、エネルギーは熱の形態で失われる。電子が基底電子状態に落ちると、熱エネルギーのロスのため、吸収した光よりも低いエネルギー、即ち、吸収した光の波長よりも長い波長の光を放出する。放射光の量は光検出器で測定される。具体的には、光は光フィルターを通してサンプルセルに導かれ、このため透過光は、通常はナノメートル(nm)で表される励起波長と称される既知の波長を有する。サンプルセルは、選択の分析方法により、分析物の蛍光の応答を最適化するように設計される。同様に発光はフィルターを通してスクリーンに供され、発光の量は、発光波長と称されて一般にナノメートルで表される既知の波長又はスペクトルで測定される。本発明の方法の場合に多くあるように、特定の物質又は分類の物質の低濃度における蛍光強度の測定が望まれる又は必要とされる場合、フィルターは、低いレベルの測定に実質的に最適なように選択された励起波長と発光波長の特定の組み合わせに設定される。
【0053】
一般に、標的種指示剤又は蛍光トレーサーの濃度は、同じ励起波長/発光波長の組み合わせについて、サンプルの発光強度と、所与の標的種指示剤又はトレーサー濃度に対する発光の検量線を対比して求めることができる。このような検出した発光を等価な濃度に変換する対比による濃度測定法は、好ましくは、線形の応答発光が得られる濃度範囲の中での標的種指示剤又はトレーサーの濃度を測定するために使用され、この濃度範囲を本願では「線形応答発光濃度範囲」と称する。線形応答発光濃度範囲は、標的種指示剤又はトレーサー、及び採用する励起波長/発光波長に或る程度依存する。所与の蛍光標的種指示剤又はトレーサーの線形応答発光濃度範囲より高い標的種指示剤又はトレーサー濃度においては、理想(線形)挙動からの負の偏りがあり、所与の濃度における発光の程度は、線形の外挿からの予想値よりも低い。このような場合、その中の蛍光標的種指示剤又はトレーサーの濃度が線形応答発光濃度範囲に入るまで既知の係数でサンプルを希釈することができる。濃度が線形応答発光濃度範囲より高い場合、この他の2つの修正法が利用できる。線形応答発光濃度範囲は、採用する励起波長/発光波長の組み合わせに或る程度依存するため、別な励起波長/発光波長の組み合わせを採用することができる。また、励起/発光の光の短い路長を備えたサンプルセルの使用は、この問題を修正又は軽減することができる。蛍光標的種指示剤又はトレーサーがサンプル中に例外的に低い濃度のみで存在する場合、その濃度が線形応答発光濃度範囲に入るまで既知の係数によって標的種指示剤又は指示剤を濃縮する方法があり、或いは例えば液体−液体抽出によって迅速に測定する方法もある。そうであっても、所与の標的種指示剤又はトレーサーを使用する前に、線形応答発光濃度範囲にわたって検量線を調製又は作成することが好ましい。好ましくは、標的種指示剤又はトレーサーを、線形応答発光濃度範囲の中にサンプル中の標的種指示剤又はトレーサーの濃度を得るに充分な量で、水処理剤の供給に標的種指示剤又はトレーサーのそれぞれを添加する。概して、蛍光標的種指示剤又はトレーサーの線形応答発光濃度範囲は、本発明の目的に満足できる標的種指示剤又はトレーサーの量を容易に測定するに充分ひろい。未改質サンプルと典型的な標準的装置においての線形応答発光濃度範囲は、「m」の濃度から少なくとも2000mの濃度まで拡がることが殆どである。「枠外の(extended)」運転法を使用した場合、例えばサンプル希釈、最適な別の励起波長/発光波長の組み合わせの使用、及び/又は最適なサンプルセルの短い路長の使用により、線形応答発光濃度範囲をmから10000000m以上まで拡げることができる。
【0054】
系の中の標的種指示剤又はトレーサー濃度の測定は、水系の中の標的種指示剤又はトレーサー濃度が数ppm、数ppb(parts per billion) 、又は場合により数ppt(parts per trillion)のように低いときでも行うことができる。好ましい態様において、水処理剤供給に添加する蛍光トレーサーの量は、水系サンプル中に約50ppt〜約10ppmのトレーサー濃度を提供するに充分であるべきである。非常に低いレベルの測定能力は非常に大きな長所である。このような蛍光分析(水系サンプルに透過した光に応答して発光した光の測定)は、その場で行うことができ、好ましくは殆ど瞬間的に連続的に、簡単なポータブルの装置を用いておこなう。
【0055】
前記のように、場合により、複数の蛍光標的種指示剤又はトレーサーを監視することが望ましいことがある。例えば、1以上の水処理剤の各々について1以上の標的種、又は標的種指示剤とトレーサーを、或いは1以上の水処理剤について別個な標的種指示剤を監視することが望ましいことがある。いくつかの場合において、例えば標的種指示剤又はトレーサーが選択的なロスを全く受けていないことを確認するため、1つだけの水処理剤について複数の標的種指示剤及び/又はトレーサーを使用することが望ましいことがある。このような別個の又は別々の標的種指示剤又はトレーサーは、全てが蛍光物質であっても、それらの発光波長が互いに干渉しなければ、1つの水系のサンプルで全て検出・定量が可能である。このように、適切なスペクトル特性を有する標的種指示剤又はトレーサーの選択によって、多数の標的種指示剤又はトレーサーの同時分析が可能である。好ましくは、標的種指示剤又はトレーサーの各々を励起するために別な波長の光を使用し、別な発光波長でそれらの蛍光発光を観測・測定すべきである。各々の標的種指示剤又はトレーサーについて、別な濃度検量線を調製又は作成することができる。言い換えると、1種以上の標的種指示剤又はトレーサーを使用することができ、水系の中のこのような標的種指示剤又はトレーサーの各々の存在及び/又は濃度は、このような標的種指示剤又はトレーサーの各々に有効な分析パラメーター(特に、励起/発光波長)を用いて測定することができ、その分析パラメーターは、好ましくは測定値を区別するに充分相違する。複数の標的種指示剤又はトレーサーを別々に同時に監視するために、本発明は、この目的以外の付加的な1種以上の標的種指示剤又はトレーサーの使用を排除するものではなく、また、本発明の目的と何らかの他の目的のための標的種指示剤又はトレーサーの同時の使用を排除するものではない。
【0056】
少なくとも所定の時間範囲での実質的に連続的な蛍光発光分光分析は、本発明の方法にとって好ましい分析方法の1種である。この方法は、水処理剤を調節するために系の中の標的種指示剤又はトレーサーの濃度を定量測定するに好ましい分析方法の1つであり、固有の長所を有する分析方法である。
オンライン及び/又は連続的蛍光調節のため、間欠ベースで蛍光分析を行うために二重のモノクロメーター分光光度計を使用することができる。適切な励起と発光のフィルターと石英の透過セルを備えたポータブルでコンパクトな光度計が例えばTurner Designs(Sunnyvale, California) より市販されている。
【0057】
概して、妥当な実用性を有する殆どの蛍光発光分光分析法について、標的種指示剤又はトレーサーをいかなる方法であっても単離せずに分析を行うことが好ましい。即ち、蛍光分析を行う水系には或る程度のバックグラウンド蛍光が存在することがあり、そのバックグラウンド蛍光は、本発明に関係ない水系中の化合物から発生することがある。バックグラウンド蛍光が低い場合、バックグラウンドに対する標的種指示剤又はトレーサーの蛍光の相対強度(標準濃度の標準蛍光化合物について測定し、例えば100を基準とした相対強度で表す)は、標的種指示剤又はトレーサー濃度が低くても、特定の励起と発光の波長を組み合わせると例えば100/10〜100/2と非常に高い値であることができ、その比は、それぞれ10と50の相対性能(その条件下で)を表す。好ましい態様において、励起/発光波長及び/又は標的種指示剤又はトレーサーは、所与のバックグラウンド蛍光について、少なくとも約5〜10の相対蛍光が期待されるように選択する。
【0058】
例えば、殆どの水系バックグラウンドについて、妥当な濃度において少なくとも約5の相対性能を有する化合物は標的種指示剤又はトレーサーとして非常に適切である。バックグラウンドの中に相当に高い蛍光の特定の化学種が存在している又は存在の可能性がある場合、標的種指示剤又はトレーサー及び/又は励起及び/又は発光波長は、そのような化学種の存在によって生じるトレーサーの測定値の何らかの影響を無効にする又は最小限にするように選択できることが多い。
【0059】
蛍光発光分光分析又は他の分析法によって、化合物を流れの中で連続的に監視するための1つの方法が米国特許第4992380号に開示されており、この開示事項は本願でも取り入れられている。
高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)と、標的種指示剤又はトレーサーの蛍光分析との組み合わせは、非常に低レベルの標的種指示剤又はトレーサーを使用した場合や、発生したバックグラウンド蛍光が蛍光分析の効能を妨害するような場合に特に有力な装置である。高圧液体クロマトグラフィー−蛍光分析法は、流体マトリックスから標的種指示剤又はトレーサー化合物を分離することを可能にし、次いで標的種指示剤又はトレーサー濃度を測定することができる。高圧液体クロマトグラフィーと蛍光分析法の組み合わせは、非常に汚染された流体中で僅かなレベルの標的種指示剤又はトレーサーを測定するに特に有効である。
【0060】
標的種指示剤が非蛍光性であり、初期試薬(incipient reagent) が蛍光性の場合、上記のような蛍光分析法を初期試薬の蛍光に注力することができる。標的種の測定は、その蛍光強度及び/又は励起/発光波長の特性の変化で明らかなような、標的種指示剤の生成で消費される初期試薬の損失であることができる。同様に、標的種指示剤と初期試薬は異なる蛍光特性を有するが、両方が蛍光性で、例えば異なる最大発光波長を有する場合、蛍光分析法は、初期試薬の最大発光波長での発光の低下に焦点を合わせればよく、或いは、初期試薬と標的種の間の相互作用からの標的種指示剤の生成の関数として、標的種指示剤の最大発光波長での発光の増加に焦点を合わせればよい。
【0061】
化学的トレーサーを検出及び/又は定量するために比色、化学ルミネッセンス、又は分光側光(統計的分析を含む又は含まない)を採用することができる。比色法は、紫外線又は可視光を吸収する化学種の性質による化学種の測定である。比色分析法の1つは、ブランク又は標準溶液(既知濃度のトレーサー種を含む)と、監視している流体サンプルとの比較である。もう1つの比色分析法は分光側光であり、光電池又は光電子増倍管のような検出器を用い、所定の波長で測定した入射光と透過光のビームの強度の比を測定する。Brinkman PC-80プローブ(570nmフィルター)のような比色プローブのファイバーの光(二重)プローブを用い、プローブを浸したフローセルにサンプル溶液を入れる。1つの光ファイバーケーブルは、液体サンプルを通して入射光をセルの内側の鏡に照らし、反射光は、液体サンプルを通ってもう1つの光ファイバーケーブルに戻り、比色計を含む比色分析装置に入る。比色計は、トレーサー濃度の比反射特性を電気的アナログ信号に変える変換器を有する。変換器から発した電圧は、ダイヤルゲージと連続ラインの記録装置を作動する。整定値の電圧モニターを、比色計によって発したアナログ電圧を定常的に検知又は監視するために使用することができ、トレーサーの信号を検出した後、水処理剤の供給ラインに供給速度を変える又は供給を始めるための応答信号を送ることができる。このような比色分析法とそれを使用した装置は米国特許第4992380号に開示されており、本願でも取り入れられている。比色法ついて使用するに適切な化学トレーサーには、発色剤と反応して系の流体中に存在する他の種から識別可能な光吸収を形成する、又は系の流体中に存在する他の種と識別可能な光吸収を示す遷移金属と物質がある。
【0062】
イオン選択性電極は、水系の中の特定のイオントレーサーの直接の電位差測定により、不活性化学トレーサーの濃度測定に使用することができる。これらの電極は、液体中に溶解したガス又は選択的イオン性物質にのみ応答するため、このようなトレーサーは、それらが測定される環境中でイオン化(溶解したガス)しなければならない。イオン選択性電極はpH電極と同様に作動し、イオン伝導性薄膜の各々の側で測定するイオン(又はガス)の濃度差によって薄膜を横切って生成した電位に依存する。電極内の濃度は固定され、電位はイオン(又はガス)の濃度ともに変化する。検量線(濃度に対する電位又は電流)の作成により、サンプル電極でのイオン(又はガス)の濃度は、トレーサーイオンに不感受性の参照又は標準電極に対して指数化することができる。トレーサーの連続的監視を行うため、流体の1つの流れの中に電極を直接浸すことができ(フローセルを集合的に構成)、又は監視している流体が、イオン選択性電極又は参照電極を浸している外部のフローセルを通過してもよい。イオン選択性電極の監視法とその装置が米国特許第4992380号に開示されており、本願においても参考にして含まれる。
【0063】
遷移金属化合物(遷移金属イオン、オキシアニオン、カチオン、関連の錯体)は、1種以上の既知の方法で定量的に測定することができる。好ましい方法は前記の比色法である。もう1つの方法は分子吸収である。紫外線と可視光領域の分子吸収は、分子の電子構造に依存する。吸収したエネルギーは、電子を低エネルギー状態の軌道から高エネルギー状態の軌道に上げる。或る分子は、分子において特定の状態のみが可能であるため、特定の周波数のみを吸収することができ、基底状態と励起状態の間のエネルギー差は、付加したエネルギーに等しくなければならない。分子によって吸収された周波数において、入射エネルギーの強度は吐出エネルギーの強度よりも大きく、したがって吸収度が測定される。監視している流体のサンプルは、既知濃度の遷移金属(又は他の適切なトレーサー種)を含む標準溶液から調製した検量線(吸収度に対する濃度)に対比し、トレーサー濃度を検出・測定することができる。遷移金属トレーサーの分子吸収法は米国特許第4992380号に開示されており、本願でも参考にして含まれる。
【0064】
上記の説明に示すように、不活性トレーサーを監視しているときは、不活性蛍光トレーサーの蛍光分析は好ましい方法であるが、他の不活性トレーサーの監視のために他の方法をも採用でき、本発明に広い態様においては、他の不活性トレーサーの使用やそのための適切な分析法を排除するものではない。さらに、本発明の広い態様において、特に標的種指示剤が標的種そのものの場合、特に別な方法が不都合な妨害なしに行うことができる場合、また標的種の系の消費の測定が充分に迅速に行える場合は、標的種指示剤の他の監視法の使用を排除するものではない。
【0065】
単離なしに化学種の存在及び/又は濃度を定量する分析技術は未だ進歩している技術であり、本発明の目的において標的種指示剤又はトレーサーの監視に使用する上記の分析法の総説はそれが全てではなく、将来、本発明の目的に適する上記と同等が技術が開発されであろう。
上記のように、好ましい態様において、標的種指示剤又はトレーサーとして選択の化合物(複数でもよい)は、それが生成する又はそれを添加する水サンプル又は系の中で可溶又は分散性であるべきであり、特に標的種指示剤又はトレーサーの或る量の存在を検出するだけでなく、それらの濃度を測定し、それらの値を系の要求及び/又は標的種の系の消費に関連付け、それに基づいて水処理剤のインシステム濃度を調節するため、標的種指示剤又はトレーサーに期待される有効寿命の間はその環境中で安定であるか又は劣化、分解、錯体化、又はその他の現象による水系からのロスが予想できるか補償できるべきである。好ましい態様において、標的種指示剤又はトレーサーとして選択した化合物と、その標的種指示剤又はトレーサーの存在を測定するために選択した分析方法の組み合わせは、標的種指示剤又はトレーサーの単離なしにその測定を可能にすべきであり、より好ましくは、その測定を実質的に連続及び/又はオンラインベースで行うことを可能にすべきである。
【0066】
サルファイド、カルシウム、鉄、(二)炭酸塩、マンガン、アルカリ性度、ホスフェート、シリケート、スルフェート、フルオリド、マグネシウム、その他のスケーリング及び/又は堆積生成イオンのような化学種のイオンは全て標的種であることができる。工業水系中でのこれらの濃度は、堆積の生成に抗するために使用するスケーリング防止剤又は他の水処理剤の系の消費の尺度として利用することができる。水系からのそれらの選択的なロスは、概してスケーリング生成の兆候でてあろう。これらのイオンは蛍光特性を有しない。それにもかかわらず、いずれも標的種指示剤を生成する初期試薬との反応/相互作用によって、蛍光分析によるインシステム濃度の定量が可能である。標的種の系の要求に関連させるべき値は、定常的には、このようなイオンの少なくとも1種のインシステム濃度、又はその濃度に等価又は比例する値であろう。スケーリング生成による水系からのこのようなイオンの減少は、前記のように不活性トレーサーとの組み合わせで測定することができる。本発明は、標的種が1種以上のスケーリングや堆積物生成イオンの場合に特に有益である。本発明の利益は、水処理剤と標的種の両方の系の消費の情報を提供する本発明の多角性から生じるだけでなく、ここで得られる情報と通常の方法で得られる情報との格差からも生じる。
本発明の初期試薬はそのものが蛍光性であることができ、標的種指示剤を生成する、複数の標的種の間で生成した付加物、錯体、又は他の相互作用若しくは反応生成物であることができる。標的種と初期試薬の相互作用は、初期試薬の蛍光特性を増やす、減らす、又は変えることがある。生成した標的種指示剤の蛍光の測定は、水系の中の標的種の濃度に関連づけることができる値を提供する。
【0067】
標的種指示剤の生成及び/又は標的種指示剤の蛍光分析のためのメジウム(medium)は、実質的に水系のメジウム、水系/非水系の混合メジウム、又は実質的に非水系のメジウムでよいが、水系メジウムで満足できれば、本発明の分析には水系メジウムを使用することが殆どの場合好ましい。水系サンプルを水系サンプル以外に実質的に変えるための適切な方法が化学分析分野で知られており、液体/液体抽出、非水系溶媒の添加、固体への吸収等のような通常の方法がある。
【0068】
標的種指示剤の生成及び/又は標的種指示剤の蛍光分析のためのメジウムは、標的種指示剤の生成及び/又は標的種指示剤の蛍光分析を向上させる又は促進する1種以上の化学種を含むことができる。
蛍光分析法のいくつかは、その中で標的種指示剤の蛍光分析を行うメジウムのpH、温度、又はその他の条件に対する応答を利用する。例えば、或る蛍光分析法は、或る標的種指示剤の生成の後のサンプルの蛍光の変化を測定する。蛍光の変化は特定のpHや温度で観測されることがあり、それに標的種指示剤のメジウムを合わせることができる。蛍光の変化は、所定のpH又は温度における蛍光の出現又は消失、所定のpH又は温度における蛍光の励起及び/又は発光波長のシフト、所定のpH又は温度範囲における蛍光の急激な消失、又は所定のpH又は温度範囲における依存性のある吸光度の変化であることができる。
【0069】
水系そのものに初期試薬を添加することは、一般に非実用的で不必要である。水系の分岐流れ(side-stream) の水のサンプルを日常的に採取することができ、したがって初期試薬の量を最小限にすることができる。通常は水系に対して無関係の物質を水系の全体に含ませることは、殆どの場合に望ましくないであろう。ここで、本発明は、水系そのものの中に存在する初期試薬又はその前駆体の使用を、特にその仕方が実用的及び/又は必要な場合にも排除するものではない。
【0070】
標的種が化学的標的種の場合の、標的種指示剤の生成及び/又はその標的種指示剤の蛍光分析についての、本発明の目的に見合うことができる方法を種々の文献から抜粋し、例示として次に示した(限定れさない)。
例えば「表題:Trace Determination of Aqueous Sulfite, Sulfide and Methanethiol by Fluorometric Flow Injection Analysis, 著者:P.K. Dasgupta and H.C. Yang,書名:Anal. Chem. 1986,58(13), p.2839-2844」に記載のように、サルファイドアニオン(S-2)は蛍光分析及び/又は蛍光フローインジェクション法によって定量することができ、この文献は本願でも参考にして含まれる。この蛍光分析は、水/DMF媒体中での、N−アクリジニルマレイミドのような有系初期試薬とサルファイドとの蛍光性生成物を形成する反応に基づいており、その蛍光生成物は、そのような有機種と他の硫黄アニオン、例えばスルフィットやメカンチオールとの類似の反応生成物と識別可能な蛍光特性を有する。
【0071】
蛍光計は、冷却水系のような水系中のアルミニウムカチオンの蛍光分析に使用することができる。
「表題:Determination of Magnesium by Spectrofluorometry and Synchronous Scanning First and Second Derivative Spectro-Fluorometry with 2-Quinizarin Sulfonate,著者:F. Salinas, A.M.De la Pena and F.M.De la Pena,書名:Mikrochim. Acta, 1986, 3(5-6), p.361-368」に記載のように、マグネシウムカチオンの極微量を測定するための蛍光法は、1:1及び1:2ののメタノール対配位子錯体を形成するマグネシウムカチオンと2−キニザリンスルホネート初期試薬との約10のpHのエタノール/水メジウム中での反応に基づき、この錯体は、545nmの励起波長とし、610nmの波長で発光強度を測定することによって蛍光計で定量することができる。同期走査の第1と第2の誘導蛍光分析を使用し、低レベルのマグネシウムにおけるこの方法の感度をさらに高めることができる。蛍光強度と濃度の関係の線形性が、20〜200ナノグラム(ng)Mg+ /ml(約20〜200ppb)の溶液強度(strength)について見られ、第1と第2の誘導方法を使用した場合は10〜100ngMg+ /ml(約10〜100ppb)の溶液強度について見られる。
【0072】
例えば「表題:Use of the Indicator Calcein Disodium Salt Instead of Fluorexon in Complexometric Titration of Calcium Oxide, 著者:N.A. Koxhcheeva, L.A. Fartushnaya,書名:Zavod. Lab., 1986,58(6), p.90-91」に記載のように、カルシウムカチオンの蛍光分析のため、カルセイン二ナトリウム塩又はフルオレクソン(fluorexon) を錯体化剤として使用することができる。カルセイン二ナトリウム塩の希薄HCl溶液と5%KOH中の0.2%チモールフタレインを混合して蛍光溶液を調製し、カルシウム濃度の測定に使用することができる。
【0073】
カルシウムと他の二価の金属イオンの濃度を蛍光測定するためのもう1つの初期試薬は、クラウンベースの蛍光試薬である(N−(4−ニトロベンゾフラザン)モノアザ−18−クラウン−6)があり、例えば「表題:A New Metal Sensitive Fluorescence Reagent, 著者:K.W. Street, Jr. and S.A. Krause, 書名:Anal. Lett, 1986,19(7-8), p.735-745 」に記載されており、本願でも参考にして含まれる。この薬剤との金属カチオン錯体は高い蛍光発光を示す。この薬剤の性能は系に使用する溶媒に敏感であり、非水系メジウムは感度と錯体化性能の両方について殆どの望ましい条件を提供するが、水系メジウムが充分であれば、本発明にとって分析のための非水系メジウムの使用は殆どの場合望ましくない。配位子は酸/塩基に敏感な固有の蛍光・分光分析特性を有するが、金属感受性は多くの市販のクロモゲン系やフルオロゲン系のクラウン試薬のようにプロトン化−脱プロトン化の化学変化によらない。この試薬の感度は、金属に会合するアニオンと溶媒マトリックスの水含有率に影響される。この試薬は(1.5〜1.9)×10-6Mの範囲のカルシウムカチオン濃度の測定に使用される。H3 C−CN中のカルシウムの検出限界は約126ppbである。
【0074】
本発明に関係する分析物の蛍光分析法を記載している文献の好ましい初期試薬を次の表1に示す。
Figure 0003751652
Figure 0003751652
上記の表1の文献番号は次の文献に対応し、これらは参考にして含まれる
1:"Molecular Probes - Handbook of Fluorescent Probe & ResearchChemicals", 5th Ed., R. P. Haugland, 1992
2:"Photometric and Fluorometric Methods of Analysis", Part 2, F.D.Snell, 1978
3:"Photometric and Fluorometric Methods of Analysis", Part 2, F.D.Snell, 1978
標的種が水条件にある場合の標的種指示剤の生成及び/又は標的種指示剤の蛍光分析のために使用することができる方法を以降に示すが限定されるものではない。初期試薬の蛍光特性の酸/塩基の感受性は、水系のpHの測定のために使用することができる。適切な初期試薬は、標的種と反応して又は標的種の存在によってその蛍光強度が増加する又は減少する、又はその励起/発光波長(複数でもよい)がシフトする試薬である。pH測定の適当な初期試薬の例には、アクリジンオレンジ、アクリジンイエロー、アクリフラビン、4−アミノベンゾイン酸、4−アミノビフェニル、フルオレセン、及びその他各種がある。
【0075】
用語「追跡(tracing) 」は、他に明記がなければ、水系中の不活性トレーサー濃度の測定を意味する。このような追跡は、本発明の目的に応じて1つだけで、間欠的に、又は半連続的に行うことができるが、好ましくは実質的に連続的に行い、より好ましくは、その場で濃度測定を行う(水系の箇所で)。場合により、不活性トレーサーを単に「トレーサー」と称するときもある。
【0076】
一般に、水処理剤の供給又は補給水へのトレーサーの投与量は、下流のサンプリング/監視の箇所で少なくとも約50ppt、より一般的には少なくとも約5ppb以上の濃度で、約100又は1000ppm以下の濃度を水系に与えるに充分な量であろう。
一般に、水処理剤の供給は、1種以上の活性水処理剤と1種以上の不活性希釈剤を含む(絶対ではない)。希釈剤は水処理剤(複数でもよい)の溶媒であることが多く、その溶媒は水でよいことが多い。希釈剤は、水処理剤を供給する水系中で活性な水処理剤の迅速で実質的に均一な分配を容易にするように、水処理剤の供給の中に含ませる。水処理剤供給の中の活性な水処理剤の濃度は一般に約0.5〜約50重量%であり、さらに高いこともある。水処理剤供給の中の活性な水処理剤とトレーサーの重量比は、約10:1〜約1000:1の範囲であることが多い。いずれかの選択的な水処理剤消費箇所の前方の系の活性水処理剤とトレーサーとの重量比は、水処理剤供給と同じであることは当然であるが、その後水処理剤が水系の中で選択的に消費されるとその重量比は低下し、例えば1:1以下の重量比の程度になることがある。水処理剤の選択的な開放(これも系の消費の因子である)は、この比に対して逆の効果を有することは明らかであろう。
【0077】
トレーサーは好ましくは蛍光分析法によって容易に定量できるものから選択し、好ましくはその系に適する分析法である。ここで、本願で記載のトレーサーの定量以外の分析法を排除するものではない。
不活性トレーサーは、水処理剤供給の中で可溶性で安定であり、水系の水と共に輸送することができ、環境の温度と圧力の条件下で使用する濃度において完全に水溶性である。好ましくは、選択の不活性トレーサーは次の基準に合致するものである。
【0078】
1.温度的に安定であり、所与の系の温度で分解しない。
2.連続的又は半連続的に検出可能であり、正確で再現性があり、系の水について行うことができる濃度測定が可能である。
3.不活性トレーサーを使用する水系の水に通常存在する化学種と実質的に異質である。
【0079】
4.不活性トレーサーを使用する水系の水に通常存在する化学種による妨害に実質的に影響されない妨害を逸らせる。
5.選択的なキャリーオーバーを含む水系の水からの潜在的な固有の損失に実質的に影響されない。
6.不活性トレーサーを使用する水系の水に使用する全ての水処理剤と適合性があり、それらの効率を下げない。
【0080】
7.トレーサー及び/又はその処方の他の成分の濃縮によらず、貯蔵及び/又は輸送時の遭遇する条件によらず、水処理剤供給処方や補給水の全成分と適合性がある。
8.使用する水系の水の中だけでなく放出した場合においても、適切に非毒性であり、環境的に安全である。
【0081】
不活性トレーサーとして選択する化合物は、例えば分解、堆積、錯体化、又は他の現象によるそのロスが予測できる速度で生じ、監視している水処理剤又は標的種指示剤の系での消費以外のロスに比例するのでなければ、それらのロスによって水系の水から消費される又は選択的なロスが生じるような化合物であるべきでない。本発明に使用する不活性トレーサーは、好ましくは水系環境中で実質的に消費されない。水系環境中で完全に不活性な不活性トレーサー(複数でもよい)は、それを添加する水系の水の中の全ての成分とそれ程反応せず、水系の水の環境中で分解せず、その系の中で何らかの仕方で結合及び/又は堆積することができず、金属組成、熱交換、熱容量のような他の系のパラメーターに有意に影響されないであろう。工業的水系の中で遭遇する可能性のある水系の環境中で、完全に不活性又は実質的に不活性な水溶性不活性トレーサー(複数のこともある)は存在する。ここで、添加から最終的な分析までの時間経過の中で、反応、分解、結合、及び/又は堆積によるロスが10重量%以下であるような不活性の程度を有する不活性トレーサーは、絶対ではないが、殆どの標的種指示剤及び/又は水処理剤の監視において本発明の目的に関して充分に、又は実質的に不活性であると考えられる。
【0082】
上記のように、不活性トレーサーは、標的種及び/又は水処理剤に対して既知の比率で補給水及び/又は水処理剤供給に添加すべきであり、好ましくは、不活性トレーサーは、標的種及び/又は水処理剤に対して既知で一定の比率である既知で一定の濃度で、標的種及び/又は水処理剤と一緒に水系に導入する。このような比例関係を達成するに好ましい方法は、水処理剤供給をその場の希釈で調製し、不活性トレーサーがその濃縮物の中で安定であれば、水処理剤の濃縮物と一緒に不活性トレーサーを処方する方法である。濃縮物は水溶液でよく、又は添加する希釈流体に妥当な速度で分散する実質的に均一な混合物でもよい。殆どの場合、水処理剤と不活性トレーサーは、ドライの固体や個々の純粋な液体ではなくて、流体供給処方の成分として系に添加するため、トレーサー濃度は、不活性トレーサー自身の濃度値又は水処理剤自身の濃度値に関係づけられるのではなく、水処理剤を含む処方品の濃度に関係づけられ、次いでそれを必要により不活性トレーサー及び/又は水処理剤の濃度に関係づけることができる。したがって、本発明の目的におけるトレーサーと水処理剤供給との比例関係は、トレーサーと供給の活性水処理剤成分の比例関係と等価であることができる。
【0083】
実質的に水系で不活性な蛍光化合物には、モノ−、ジ−、トリスルホン化ナフタレン、及びその水溶性塩、特には種々のナフタレンモノ−、ジ−、トリスルホン酸アイソマーがあり、本発明で使用するに好ましい不活性トレーサーである。ナフタレンモノ−、ジ−、トリスルホン酸アイソマーは水溶性であり、概ね市販されており、公知の蛍光分析法によって容易に検出できて定量可能である。好ましいナフタレンモノ−、ジスルホン酸アイソマーは、ナフタレンスルホン酸(NSA)の水溶性塩、例えば1−NSA、2−NSA、ナフタレンジスルホン酸(NSA)の水溶性塩、例えば1,2−NDSA、1,3−NDSA、1,4−NDSA、1,5−NDSA、1,6−NDSA、1,7−NDSA、1,8−NDSA、2,3−NDSA、2,4−NDSA等がある。これらの不活性トレーサー(モノ−、ジ−、トリスルホン化ナフタレンとそれらの混合物)の多くは殆どの系の環境に非常に適合性がある。これらの好ましい蛍光トレーサーの中で、2−NSA、1,5−NDSAは少なくとも約540℃(1004°F)までの温度で熱的に安定(実質的に不活性)であることが分かっており、285℃(545°F)の温度と約1500psigまでの圧力では、工業的な水系の保持時間又はそれ以上の時間で安定であることが多い。このような不活性蛍光トレーサーはスチームの中に蒸発しない。本発明の方法に使用するに好ましいもう1つの不活性蛍光トレーサーの群に、各種のピレンスルホン化誘導体、例えば1,3,6,8−ピレントリスルホン酸、及びそのようなピレンスルホン化誘導体の各種水溶性塩がある。
【0084】
好ましい態様において、不活性トレーサーは上記のスルホン化蛍光トレーサーの1種であり、水系中に約0.5ppb以上の濃度で使用し、一般には約5ppb〜約10ppmの濃度である。蛍光化学トレーサーと監視技術は、例えば米国特許第4783314号に開示されており、この特許は本願でも参考にして含まれ、2−ナフタレンスルホン酸のナトリウム塩のような蛍光トレーサーを蛍光監視と組み合わせて使用している。
【0085】
蛍光トレーサーがナフタレンスルホン酸(NAS)の水溶性塩の1種である2−NSAの場合、水系中でのその濃度は、277nmの励起と334nmの発光で蛍光によって測定することができ、観測した発光を酸活性として0.5ppmの2−NSAを含む標準水溶液と対比する。
本発明で使用するトレーサーは一般に不活性トレーサーであるが、或る系で活性処理剤であるトレーサーが別な系で実質的に不活性なトレーサーのことがある。活性トレーサーは、例えば腐食防止剤である。銅と銅合金の腐食を抑制するために施す1つの化合物種は芳香族有機系腐食防止剤である。この種の有機化合物にはベンゾチアゾール(BT)、ブチルベンゾチアゾール(BBT)、トリルトリアゾール(TT)、及び関連の化合物があり、金属表面と反応し、銅や銅合金の上に保護皮膜を形成する。これらの化合物は活性な腐食防止用処理成分であり、本願では総括的に銅腐食防止剤又は腐食防止剤と称し、より具体的に芳香族アゾールやトリアゾール又は芳香族(トリ)アゾールと称することもある。本発明の方法における活性トレーサーとして使用した場合の芳香族(トリ)アゾールの好ましい分析法は、蛍光発光分光分析である。
【0086】
或る水系は、腐食防止剤による保護を必要とする銅、銅合金、又は他の金属表面を有さず、このような系は、本発明の目的の不活性トレーサーとしての銅腐食防止剤の使用は、本発明の一般的な態様ではない。それにもかかわらず、水処理剤供給の流れの少なくとも一部を形成するであろう水の中に既に銅腐食防止剤が含まれている場合や、その系からの水を銅腐食防止剤が必要な系にリサイクルしようとする場合には、その系において好ましい態様であることができる。例えば、或る工場において、冷却塔のような水系からの水を別な水系にリサイクルしている。そのような場合、腐食防止及び/又は活性トレーサー性能のために第1の水系の水に添加したこれらの銅腐食防止剤は、本発明の目的に充分な濃度で、第2の水系の水処理剤供給及び/又は補給水の流れの中に存在することがある。なお、第2の水系がそのような銅腐食防止剤の消費に結びつく金属表面を有しないか、関係の監視の上流にそのような金属表面を少なくとも有しない場合、そのような普通の「活性」トレーサーは、本発明の目的においては不活性トレーサーである。例えば、関係の監視が、水系の本流にそった箇所での水処理剤供給の流れの監視であり(トレーサーの供給濃度を決めるため)、測定箇所の間に消費に結びつく金属表面がない場合、銅腐食防止剤は不活性トレーサーであろう。
【0087】
また、水処理剤供給の流れの少なくとも一部を形成することができる水の中に既に含まれている場合や、トレーサーを含有する流出水をそのようなトレーサーをトレーサーとして又は処理の目的のような他の目的のために使用する系にリサイクルする場合に、前記以外の不適当なトレーサーの使用も同様に本発明の好ましい態様となることがある。特定の蛍光化合物は、インシステムの環境条件のことがある1種以上の環境条件に応答して、所与の発光波長で測定する蛍光強度が変化する。本発明は、蛍光強度が変化する不活性トレーサー監視法を排除するものではなく、当該分野での蛍光発光分光分析の技術で対処可能である。
【0088】
本願において、系の消費は系の中の物質濃度の選択的な変化であり、必ずしもそうではないが一般に系からの物質の損失(ロス)である。堆積物の生成によるスケーリングイオンの選択的なロスは、スケーリングイオンのための系の消費である。スケーリングイオンのロスは系の消費因子と考えられ、正確な正の得られた信号であり、スケーリングイオンについての正味の系の消費の増加を示す。系の中のスケーリングイオンの正味の増加となるスケーリングイオンの開放は、正確な負の得られた信号であり、スケーリングイオンについての正味の系の消費の減少を示す。Fe+2やFe+3のような腐食生成物の生成は、系における腐食生成物の負の消費と考えることができる。標的種の系の消費は系のその濃度の選択的な変化、即ち、不活性トレーサーのインシステム濃度に反映されない濃度変化であり、インシステム消費の変化の適当な変化は、系の消費について起こりそうなメカニズムによる。スケーリングイオンについての系の消費の増加が恐らくスケール生成である場合、スケール防止剤の増加が適切な対応であることができ、この対応が適切であると、堆積物が溶解するか堆積物の形成が停止するため、系の消費の増加に反映されることができる。別な系において、スケーリングイオンを含む粒子の生成、沈殿、凝集が望まれることがあり、標的種の消費が充分に多くない場合、適切な応答は沈殿、凝集、粒子の生成を促進する処理剤の添加であることがある。このように、水処理剤とその標的種との間の消費的相互作用の関係があっても、標的種についての系の要求の増加が、水処理剤濃度の増加を自動的に要求するとは限らない。
【0089】
本願において、特に明記がなければ「(複数でもよい)」は、単数又は複数のいずれでもよいことを意味する。例えば、種、測定、方法、化合物、成分、トレーサー等の用語の後に記載している「(複数でもよい)」は、それぞれ1つの種及び/又は2以上の種、等を意味する。ppmは100万分の部、ppbは10億分の部、pptは1兆分の部を意味する。
本発明は水系、水系/非水系の混合、実質的な非水系の処理のために水処理剤を使用する工業分野に適用可能であり、ボイラー水系、冷却水系を使用する工業分野がある。
【0090】
【実施例】
他に明記がなければ、次の例1〜5の工業的な水溶液の調製は、次の初期化学成分を含み、工業的冷却水に似せてあり、以降では「合成工業水」と称する。
200ppmのCa+2(CaCO3 として)
200ppmのMg+2(CaCO3 として)
200ppmのHCO3 - (CaCO3 として)
140ppmのCl -(Clとして)
194ppmのSO4 -2(SO4 として)
90ppmのNa+ (Naとして)
pH 8.4
例1
本発明の方法の、オルトホスフェート(PO4 -3)標的種への適用例を示すため、さらに0〜10.0ppmのPO4 -3(PO4 として)を含む一連の合成工業水溶液の蛍光分析を初期試薬の存在中で行い、各々の溶液中の標的種指示剤濃度の相対蛍光%を、その標的種がない溶液に比較して求めた。初期試薬は、酸性の高いバナドモリブデート(vanadomolybdate) 水溶液中の1−ピレンスルホン酸とした。この溶液(蛍光試薬)は1.0ppmの1−ピレンスルホン酸(活性成分としてのppm)、2.35重量(wt./vol.)%のモリブデン酸アンモニウム(ammonium molybdate)、0.125重量%のメタバナジウム酸アンモニウム(ammonium metavanadate) 、及び33体積%の濃塩酸を含んだ。蛍光試薬(10ml)をオルトホスフェート含有溶液の各々の100mlと混合した。1.0cm×1.0cmの吸収管を備えた Gilford Fluoro IV二重モノクロメーターを用いて1分間後に蛍光分析を行った。380nmの励起波長と405nmの発光波長を使用した。蛍光試薬を含むがオルトホスフェートを含まない溶液を100%相対蛍光とした。初期試薬がオルトホスフェートと相互作用したときの初期試薬の蛍光特性の変化は、これらの条件下で蛍光強度の減少であった。標的種濃度に関係づけることができる蛍光特性は、分析物(PO4 -3)濃度が増加したきの発光強度の減少である。測定している蛍光は、初期試薬と標的種との錯体によって影響される。各々のサンプルについて測定した相対蛍光%に対するPO4 -3の濃度を次の表2に示す。このデータは、0.98の線形相関係数(r)を示す。完全な直線関係は1.00のrである。
【0091】
Figure 0003751652
例2
本発明の方法の、第1鉄イオン(Fe+2)標的種への適用例を示すため、さらに0.0〜1.0ppmのFe+2(Feとして)を含む一連の合成工業水溶液の蛍光分析を初期試薬の存在中で行い、各々の溶液中の標的種濃度指示剤の相対蛍光%を、標的種を含まないその溶液に比較して求めた。初期試薬は1,10−フェナントロリンであり、この例2では水溶液で使用した。この溶液(蛍光試薬)は1,10−フェナントロリンを蒸留水に加え、1000ppmの1,10−フェナントロリンを含む溶液を作成することによって調製した。蛍光試薬(1.0ml)を、標的種を含む各々の100mlの溶液に混合し、直径0.2cmの吸収管(フローセル)を備えた Gilford Fluoro IV二重モノクロメーターを用いて1分間後に蛍光分析を行った。293nmの励起波長と360nmの発光波長を使用した。蛍光試薬を含むがオルトホスフェートを含まない溶液を100%相対蛍光とした。初期試薬がオルトホスフェートと相互作用したときの初期試薬の蛍光特性の変化は、これらの条件下で蛍光強度の減少であった。標的種濃度に関係づけることができる蛍光特性は、分析物(Fe+2)濃度が増加したきの発光強度の減少である。測定している蛍光は、初期試薬と標的種との錯体によって影響される。各々のサンプルについて測定した相対蛍光%に対するFe+2の濃度を次の表3に示す。このデータは、0.9999の線形相関係数(r)を示す。
【0092】
Figure 0003751652
例3
本発明の方法の、第2銅イオン(Cu+2)標的種への適用例を示すため、さらに0.0〜2.0ppmのCu+2(Cuとして)を含む一連の合成工業水溶液の蛍光分析を初期試薬の存在中で行い、各々の溶液中の標的種濃度指示剤の相対蛍光%を、標的種を含まないその溶液に比較して求めた。初期試薬はビシンコニネート(2,2’−ビキノリン−4,4’−ジカルボン酸二カリウム塩としても知られる)であり、この例3では水溶液で使用した。ビシンコニネートの溶液(蛍光試薬)はビシンコニネートを蒸留水に加え、1000ppmのビシンコニネートを含む溶液を作成することによって調製した。0〜0.5ppmのCu+2を含むサンプルに対し、蛍光試薬(0.2ml)を、標的種を含む各々の100mlの溶液に混合し、直径0.2cmの吸収管(フローセル)を備えた Gilford Fluoro IV二重モノクロメーターを用いて1分間後に蛍光分析を行った。260nmの励起波長と410nmの発光波長を使用した。0.5〜2.0ppmのCu+2を含むサンプルに対し、蛍光試薬(0.6ml)を、標的種を含む各々の100mlの溶液に混合し、同様にして1分間の発色時間の後に蛍光分析を行った。蛍光試薬を含むがオルトホスフェートを含まない溶液を100%相対蛍光とした。初期試薬がオルトホスフェートと相互作用したときの初期試薬の蛍光特性の変化は、これらの条件下で蛍光強度の減少であった。標的種濃度に関係づけることができる蛍光特性は、分析物(Cu+2)濃度が増加したきの発光強度の減少である。測定している蛍光は、初期試薬と標的種との錯体によって影響される。各々のサンプルについて測定した相対蛍光%に対するCu+2の濃度を次の表4に示す。このデータは、0.994の線形相関係数(r)を示す。
【0093】
Figure 0003751652
追加の試験を行い、ビシンコニネートと、工業水条件及び前記の例3の合成工業水の使用によって既に例証した以外の条件との適合性を調べた。水溶液中のビシンコニネートについて試験した条件とその影響を次の表5に示す。
【0094】
表5
───────────────────────────
水の条件 ビシンコニネートへの影響
───────────────────────────
6〜7のpH 影響なし
強い酸性pH 影響なし
5ppmのFe+2 影響なし
10ppmのZn+2 影響なし
───────────────────────────
例4
本発明の方法の、全アルカリ性度への適用例を示すため、合成工業水の蛍光分析を行い、各々の溶液の標的種濃度指示剤の相対蛍光%を、その標的種を含まないその溶液に対して求めた。初期蛍光試薬は1000ppmの4−アミノ安息香酸水溶液とした。蛍光試薬(0.1ml)溶液を、標的種を含む各々の100mlの溶液に添加した。直径0.2cmの吸収管(フローセル)を備えた Gilford Fluoro IV二重モノクロメーターを用いて蛍光分析を行った。275nmの励起波長と340nmの発光波長を使用した。蛍光試薬を含むが0ppmの(2)カーボネートアルカリ性度である溶液を0%の相対蛍光%とし、pH6.4〜8.9の蛍光試薬含有溶液(硫酸中和剤を含まず)を100%相対蛍光とした。初期試薬の蛍光特性の変化は1分後に行い、反応したとき、これらの条件下で全アルカリ性度は蛍光強度を増加した。標的種濃度に関係づけることができる蛍光特性は、分析物が増加したきの発光強度の増加である。測定している蛍光は、初期試薬と標的種との錯体によって影響される。各々のサンプルについての相対蛍光%に対する全アルカリ性度の濃度を測定し、次の表6に示した。
【0095】
Figure 0003751652
例5
本発明の方法の、(水素)硫化物標的種への適用例を示すため、さらに0.0〜2.24ppmの(水素)硫化物を含む一連の合成工業水溶液の蛍光分析を、初期試薬の存在中で行い、各々の溶液中での標的種濃度指示剤の相対蛍光%を、その標的種を含まない溶液に比較して測定した。初期試薬はN,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン溶液とした(8Mの硫酸水溶液中に1700ppm)。0ppm〜0.56ppmの(水素)硫化物を含むサンプルについて、標的種含有溶液のそれぞれ25mlに蛍光試薬(1.0ml)を混合し、次いで重クロム酸カリウム水溶液(H2 Cr3 7 として1600ppm)の1.0mlを(蛍光試薬+標的種含有溶液)に混合した。5分間の発色時間の後、直径0.2cmの吸収管(フローセル)を備えた Gilford Fluoro IV二重モノクロメーターを用いて蛍光分析を行った。660nmの励起波長と680nmの発光波長を使用した。
【0096】
0.56〜2.24ppm(水素)硫化物を含むサンプルについては、690nmの励起波長と710nmの発光波長で蛍光分析を行った以外は同じ手順を用いた。蛍光試薬、クロメート、及び最も高いレベルの標的種(サンプル群の各々について)を含む合成工業水溶液を100%相対蛍光とした。初期試薬が標的種と相互作用したときの初期試薬の蛍光特性の変化は、励起波長と発光波長の変化、及び記載の分析条件下での蛍光強度の対応する増加であり、各々のサンプルについて測定した相対蛍光%と(水素)硫化物の濃度とを次の表7と8に示す。このデータは、0.56ppm以下の(水素)硫化物の濃度について0.999の相関係数(r)と、0.56〜2.24ppmの(水素)硫化物の濃度について0.991の相関係数を示す。
【0097】
表7.
──────────────────────────
(水素)硫化物濃度 相対蛍光%
──────────────────────────
0.00ppm 0.0%
0.11ppm 21.2%
0.28ppm 53.3%
0.56ppm 100.0%
──────────────────────────
表8.
──────────────────────────
(水素)硫化物濃度 相対蛍光%
──────────────────────────
0.00ppm 0.0%
1.12ppm 61.9%
1.68ppm 82.2%
2.24ppm 100.0%
──────────────────────────
例6
〔カルシウムイオン硬度〕
1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−テトラ酢酸(BAPTA)の試薬を用いるカルシウムの検出法を開発した。100mlの水に314mgのK4 BAPTAを溶かすことによって5×10-3MのBAPTAを調製した。約800mlの脱イオン水に1.21gのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンと7.4gのKClを溶かし、NaOHを用いて7.4のpHに調節し、次いで1リットルの脱イオン水で希釈することによって、0.1MのKClを含む1×10-2Mのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)緩衝液を調製した。水の中にCaCl2 ・2H2 Oを溶かすことにより2×10-4MのCa+2(8ppmのCa+2)を含む溶液を調製した。2×10-4MのCa+2の溶液の適当なアリコートを100mlのメスフラスコに入れた。2mlのTRIS緩衝液を、充分な脱イオン水と共にそのフラスコに加え、全体積を約75mlとした。最後に、2mlのBAPTA試薬を脱イオン水と共に加えた。サンプルを分析したとき安定な蛍光が発色していた。Ca+2の最終濃度が0〜3.2ppmの数種のサンプルを分析した。1.0cm×1.0cmの吸収管を用い、295nmの励起波長と365nmの発光波長で分析した。応答は単調であり、カルシウムがBAPTA試薬によって錯体化されたときに予想どおり蛍光が減少した。結果を次の表9に示す。このデータは0.985の相関係数を示す。
【0098】
Figure 0003751652

Claims (19)

  1. 工業的な流体系における水処理剤のインシステム濃度を調節する方法であって、次の過程を含んでなる方法:
    ・工業的流体系に不活性トレーサーを添加し、前記不活性トレーサーは前記工業的流体系に付加された標的種に対して既知の比率で添加し、前記標的種の系の消費は前記水処理剤によってもたらされ、
    ・前記工業的流体系から流体のサンプルを抜き出し、
    ・標的種を従属の標的種指示剤に転化させるに有効な量で、初期試薬をサンプルに加え、
    ・前記サンプルの分析によって従属の標的種指示剤を監視し、前記標的種のインシステム濃度に関係づけることができる少なくとも1種の特性を測定し、
    ・前記サンプルの分析によって前記不活性トレーサーを監視し、前記不活性トレーサーのインシステム濃度を測定し、
    ・標的種の系の消費に基づいて前記流体系の水処理剤のインシステム濃度を調節する。
  2. 前記従属の標的種指示剤の前記監視を前記サンプルの蛍光分析によって行い、前記標的種指示剤のインシステム濃度に関係づけることができる少なくとも1種の蛍光発光値を求める請求項1に記載の方法。
  3. 前記従属の標的種指示剤は、前記初期試薬と実質的に非蛍光性の標的種の組み合わせであり、前記従属の標的種指示剤のインシステム濃度に対する前記蛍光発光値は、前記初期試薬の少なくとも1種の蛍光特性と前記従属の標的種指示剤の1つの蛍光特性との少なくとも1種の差異によって確立された請求項1に記載の方法。
  4. 前記従属の標的種指示剤の監視を、工業的系の箇所で実質的に連続して行う請求項1に記載の方法。
  5. 前記水処理剤のインシステム濃度の少なくとも1種の調節を前記標的種の系の消費に基づいて行う請求項1に記載の方法。
  6. 前記初期試薬が実質的に非蛍光性であり、前記従属の標的種指示剤が蛍光性である請求項1に記載の方法。
  7. 前記初期試薬が蛍光性であり、前記従属の標的種指示剤が実質的に非蛍光性である請求項1に記載の方法。
  8. 前記初期試薬と前記従属の標的種指示剤の両者が蛍光性であり、前記蛍光分析を、残存する全ての初期試薬の蛍光発光と前記従属の標的種指示剤の蛍光発光の間の干渉が少なくとも軽減された蛍光分析法を用いて行う請求項1に記載の方法。
  9. 前記流体系に、第2の不活性トレーサーと共に前記水処理剤を供給し、前記第2の不活性トレーサーのインシステム濃度を監視することをさらに含む請求項1に記載の方法。
  10. 前記流体系に前記水処理剤を添加し、蛍光分析によって
    (1)前記水処理剤に対して既知の比率で第2の不活性トレーサーを含む処理生成物として、供給ラインを通して前記流体系に前記水処理剤を供給し、
    (2)前記流体系の中の前記不活性トレーサーと前記第2の不活性トレーサーの濃度を測定し、
    それによって前記標的種と前記水処理剤のゼロ消費濃度を監視することをさらに含む請求項1に記載の方法。
  11. 前記標的種が硫化物、カルシウム、鉄、カーボネート、(二)炭酸銅、アルカリ性度、銅、スルフェート、フルオリド、マグネシウム、及びホスフェートからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  12. 工業的流体系の中の水処理剤のインシステム濃度の調節方法であって、次の過程を含んでなる方法:
    ・前記工業的流体系から流体のサンプルを抜き出し、
    ・流体中の標的種を従属の標的種指示剤に転化するに有効な量で初期試薬をサンプルに加え、
    ・前記サンプルの分析によって従属の標的種指示剤を監視し、前記標的種のインシステム濃度に関係づけることができる少なくとも1種の特性を測定し、
    ・標的種の系の消費に基づいて前記流体系の水処理剤のインシステム濃度を調節する。
  13. 前記流体系が、少なくとも約70重量%の水を含む工業的水系である請求項1に記載の方法。
  14. 前記工業的水系が、冷却水又はボイラー水系である請求項1に記載の方法。
  15. 前記工業的流体系が複数の標的種を含み、複数の従属の標的種指示剤を監視することによって、複数の標的種についての系の消費状態を測定する請求項1に記載の方法。
  16. 工業的流体系における標的種に応答した水処理剤インシステム濃度の調節方法であって、次の過程を含んでなる方法:
    ・少なくとも1種の標的種を含む工業的流体系から流体のサンプルを抜き出し、ここで標的種の系の消費は水処理剤の少なくとも1種によってもたらされ、
    ・前記標的種を、初期試薬と前記標的種の組み合わせを含んでなる標的種指示剤に転化させるに有効な量で前記サンプルに初期試薬を添加し、
    ・前記サンプルの蛍光分析によって前記標的種指示剤を監視し、前記標的種指示剤のインシステム濃度に関係づけることができる前記標的種指示剤の蛍光特性の少なくとも1種を測定し、
    ・前記標的種指示剤のインシステム濃度を、前記標的種のインシステム濃度に関係づけ、
    ・前記標的種の前記インシステム濃度に基づいて前記流体系中の水処理剤のインシステム濃度を調節する。
  17. 前記標的種がカルシウムである請求項16に記載の方法。
  18. 前記標的種指示剤がカルシウムと1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−テトラ酢酸とで形成された錯体である請求項16に記載の方法。
  19. 次の過程をさらに含んでなる請求項16に記載の方法:
    ・前記工業的流体系への前記標的種の供給に対して既知の比率で前記工業的流体系に不活性トレーサーを添加し、
    ・前記サンプルの分析によって前記不活性トレーサーを監視し、前記不活性トレーサーのインシステム濃度を測定し、
    ・前記不活性トレーサーのインシステム濃度を、標的種についてのゼロ消費濃度を関係づけ、
    ・前記標的種のゼロ消費濃度から前記標的種のインシステム濃度を差し引くことによって前記標的種についての系の消費値を求め、
    ・標的種の前記系の消費に基づいて前記流体系の中の水処理剤のインシステム濃度を調節する。
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