JP3750932B2 - 連結具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は連結具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばコンクリート部材などの連結部材相互をボルト及びナットで連結する方式があるが、この方式ではボルトの挿通作業とナットの回転作業が必要であり、狭い場所でのこの作業が困難である上に、多数のボルト及びナットで連結する場合は、その連結に時間がかかり非能率的である。
【0003】
そのため、ナット内にその周方向の全周にわたって複数のナットセグメントを軸方向に移動可能に設け、ボルトを回転することなくナット内へ挿入することで連結できるようにした連結具も提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のような周方向の全周にわたって複数のナットセグメントを有するナットと、該ナットに挿通するボルトで構成される連結具においては、ナットの軸芯の全周にわたって複数のナットセグメントが配置されるため、そのボルト及びナットの直径が大きくなる。そのため、連結具の占有空間が大きくなり、例えば連結部材に前記のボルト及びナットからなる連結具を埋設的に固設して連結部材を連結する場合には、連結部材における連結部(接合部)の肉厚を大きくする必要がある。
【0005】
そのため、連結部材における連結部(接合部)が薄い場合には前記のボルト及びナット方式の連結具が使用できない。
【0006】
そこで本発明は、連結具を相互に接近することで容易に連結でき、また、必要時には分離でき、かつ、薄肉の連結部(接合部)が要求される場合においても対応できる連結具を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の第1の発明は、一方の連結部材に固着される雄型連結金具と、他方の連結部材に固着される雌型連結金具とからなり、前記雄型連結金具には連結片からなる連結部を突設し、該連結部には、その突出方向に平行する直線状の第1係止面と、該第1係止面の反対側において先方が広がるテーパ面からなる第2係止面と、該第2係止面の後部から膨出して前記第1係止面と平行する第3の係止面を形成し、前記雌型連結金具には、前記雄型連結金具における連結部を挿入する連結片挿入室を形成し、該連結片挿入室を、前記連結部の挿入状態において、連結部の第1係止面に接する直線状の第1受面と、連結部の第3係止面に接する直線状の第3受面と、テーパ状の第2係止面と略平行するテーパ状の第2受面とで形成し、更に、前記連結片挿入室内には、その前記第2受面に沿って進退する係止部材とこれを常時前方へ付勢する付勢手段を設け、連結部の挿入により、前記係止部材が前記第2係止面と第2受面間に介在係合されるようにし、更に、前記係止部材を先細の楔状に形成したことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の第2の発明は、前記第1の発明において、前記係止部材の前記の係合を外部から解除する解除手段を設けたものである。
【0009】
請求項3記載の第3の発明は、前記第1又は第2の発明において、前記連結片と連結片挿入室を板材で形成したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【0011】
図1乃至図8は第1実施例を示す。
【0012】
図1は連結具の斜視図、図2は部品の分解斜視図、図3は連結状態で上カバーを外した平面図、図4は連結状態の側断面図、図5乃至図8は部品を示す。
【0013】
図において、1は雄型連結金具を示し、2は雌型連結金具を示す。
【0014】
先ず、雄型連結金具1の構成部品について説明する。
【0015】
3は金属製の板材からなる連結片で、その基部3aは樹脂製の表カバー4と裏カバー5とにより被覆され、これらがピン穴H1を通じてビス6により一体的に連結されている。また、後部には連結穴H2が形成され、該連結穴H2に連結ピン7を挿通し、該連結ピン7により、連結すべき部材、例えば連結すべき一方のコンクリート部材に埋設するアンカー8等が連結される。
【0016】
連結片3における前記表裏カバー4,5から突出した連結部3bには、その突出方向、すなわち、該連結片3を連結するために後述する雌型連結具2へ挿入する方向Aと平行する直線状の第1係止面3cと、該第1係止面3cの反対側であって、先部において先方が広がる、すなわち、前記第1係止面3cと反対側方向へ所定の角度θ1で広がるテーパ面からなる第2係止面3dと、該第2係止面3dの後側において第1係止面3cと反対側へ膨出する面3eと、該面3eの外端から後方に向って前記第1係止面3cと平行する第3係止面3fと、該第3係止面3fの後側において第1係止面3cと反対側へ直交的に膨出する面3gと、該面3gの外端から後方に向って前記第1係止面3cと平行する第4係止面3hとが形成されている。また、前記第1係止面3cと第2係止面3dとからなる逆くさび状の係止部3iの先端面3jは円弧面に形成されている。また、基部3aは、前記第1係止面3cと直交する面3kによって連結部3bよりも膨出している。
【0017】
前記係止部3iの最大幅部の寸法は所定の寸法D1に設定され、第3係止面3fでの幅寸法もD1に設定され、第4係止面3hでの幅寸法D2はD1の寸法より大きく設定されている。
【0018】
次に、雌型連結金具2について説明する。
【0019】
図において、10は樹脂製の裏カバーで、板状の基板10aの上面に、前側を除く周縁において周壁10bを形成し、前側に開口部10cを有する。H3はピン穴、H4は後部に形成した連結穴を示す。
【0020】
11は金属製の裏板で、前記裏カバー10の周壁10bの内側に沿って一ぱいに嵌る形状に形成されており、図4に示すように裏カバー10内に嵌合配置される。該裏板11にも、前記裏カバー10のピン穴H3と同一位置にピン穴H3が形成され、後部に連結穴H4が、前記裏カバー10の連結穴H4と同一位置に形成されている。なお、以下に説明する各部品にもピン穴H3と連結穴H4が形成されているが、これらのピン穴H3相互は同一位置に、また、連結穴H4相互は同一位置に形成されている。
【0021】
12は金属製の板材からなる連結板で、その板厚は前記連結片3の板厚と略同厚に設定されているとともに、その外形が前記裏カバー10の周壁10bの内側に沿って一ぱいに嵌る形状に形成されている。
【0022】
該連結板12の略中央部には一端が開口する連結片挿入室13が前後方向に形成されている。該開口部13a側を前側とし、その反対側の奥部を後側とする。
【0023】
前記連結片挿入室13は、図6に示すように、連結板12の前後方向への中心軸X−Xと平行する直線の面で形成された第1受面13bを有する。また、該室13の後側(奥部)における前記第1受面13bの反対側には、後側に至るにつれて広がるテーパ状の第2受面13cが形成されている。該第2受面13cは、第1受面13bに対し所定の角度θ2のテーパ面に形成され、該角度θ2は、前記雄型連結金具1における係止部3iに形成した第2係止面3dのテーパ角θ1よりも若干大きく設定されている。更に、室13の後側には、前記第2受面13cの後方への延長面と、該面との反対の面13dとからなり、中心軸X−Xに対して傾斜したバネ収納室13eが形成されている。
【0024】
前記第2受面13cの前端から前側に向って前記第1受面13bと平行する直線の面からなる第3受面13fが形成されている。該第3受面13fと第1受面13bとの間の間隙D3は、前記雄型連結金具1の係止部3iと第3係止面3f部における前記寸法D1と略同等に設定され、係止部3iと第3係止面3fの部分が間隙D3内を一ぱいに挿通するようになっている。
【0025】
前記第3受面13fの前側には第1受面13bと反対側へ直交的に屈曲した面13gが形成され、該面の外側から前側に向って第1受面13bと平行する第4受面13hが形成されている。該第4受面13hと第1受面13bとの間隙D4は前記雄型連結金具1のD2の寸法と同等に設定され、第1係止面3cが第1受面13bに、また第4係止面3hが第4受面13hに一ぱいに嵌合するようになっている。したがって、連結片挿入室13の開口部13aはD4の寸法で開口している。H3はピン穴、H4は連結穴である。
【0026】
前記の連結板12は前記裏カバー10の周壁10b内に嵌合配置される。
【0027】
前記連結板12における連結片挿入室13内には金属製の係止部材14が、前記第2受面13cに沿って摺動するように配置されている。該係止部材14の主体部14aは図7(a)に示す平面図のように、前記第2受面13cに摺接する第1面14bと、該第1面14bの反対側を第1面14bに対して傾斜させてなるテーパ面14cとによってくさび状に形成され、その先細側を前側にして図2及び図3に示すように配置されている。更に、該主体部14aの厚みD5は前記連結板12の厚みと同等に設定され、幅D6は前記バネ収納室13eの幅D7内に摺動可能に嵌合する寸法に設定されている。前記主体部14aの上面には案内ピン14dが突設されている。
【0028】
15は付勢手段であるバネで、前記バネ収納室13eに収納され、前記係止部材14を常時前側へ押圧している。
【0029】
16は金属製の表板で、その外形は前記連結板12の外形と同形に形成されており、連結板12の上面に重合される。該表板16には、連結板12に重合した状態において、前記係止部材14の案内ピン14dが嵌合する第1の案内長孔16aが形成されている。該第1の案内長孔16aは、連結板12に形成した第2受面13cの傾斜に沿って形成され、係止部材14を第2受面13cに沿って進退移動するようになっている。H3はピン穴、H4は連結穴である。
【0030】
17は樹脂製の抜き治具で、図8に示すように、摺動片17aの上面中央部に操作部17bを突設するとともに該操作部17bの裏面には、前記係止部材14の案内ピン14dが嵌合する凹部17cが形成されている。
【0031】
18は樹脂製の表カバーで、その外周形状は前記裏カバー10の外周形状と同一形状に形成されており、前記表板16の上面に重合される。該表カバー18の裏面には表板16に重合した状態において、表板16に形成した第1の案内長孔16aに沿って傾斜した第2の案内長孔18aが形成され、該第2の案内長孔18aに前記操作部17bが、その上部を表板18の上面より突出させ、かつ、第2の案内長孔18に沿って移動するように嵌合されている。更に、表カバー18の裏面には、抜き治具17の摺動片17aが嵌合して摺動できる案内凹部18bが形成されている。H3はピン穴、H4は連結穴を示す。
【0032】
そして、前記各部品を図4に示すように組み付け、各ピン穴H3にピン19を挿通してかしめるとともに、各連結穴H4に連結ピン20を挿通してかしめ、雌型連結金具2を形成する。
【0033】
なお、前記連結ピン20には連結すべき部品、例えば連結すべき他方のコンクリート部材に埋設するアンカー21等が連結される。
【0034】
次に、前記の実施例の連結作動について説明する。
【0035】
先ず、雄型連結金具1を、アンカー8等を介して連結すべき一方の部材に設け、雌型連結金具2を、アンカー21等を介して連結すべき他方の部材に設け、これら両連結金具1,2が相互に離れている状態、すなわち、図1の状態から、雄型連結金具1における連結片3の連結部3bを、雌型連結金具2における開口部13aより連結片挿入室13内へ挿入する。
【0036】
この連結部3bの挿入により、該連結部3bの先端面3jが係止部材14に当り、該係止部材14を、バネ15の付勢力に抗して奥部へ押し移動する。このとき、係止部材14は、その案内ピン14dが表板16に形成した第1の案内長孔16aに案内されて、傾斜した第2受面13cに沿って後退し、該係止部材14と第1受面13bとの対向間隔が漸増する。そして、この対向間隔が連結片3における係止部3iの最大幅部の寸法D1よりも広くなると、係止部材14はバネ15の付勢力により前側へ押し移動され、係止部材14が、図3に示すように、連結片3における第2係止面3dと連結板12における第2受面13cの間にくさびのように挿入介在し、連結片3の自然の抜けが確実に阻止され、雄型連結金具1と雌型連結金具2が確実に連結される。
【0037】
したがって、連結作業は、両連結金具1と2を相互に近接させるのみでよく、ボルト及びナットを使用する連結作業に比べて極めて容易に行える。
【0038】
前記の連結状態においては、図3に示すように、連結片3の第1係止面3cと、連結板12の第1受面13bが、連結片3の挿入方向(X−X)に沿った長い直線面で相互に接触し、かつ、第1係止面3cと平行する第3係止面3fと第4係止面3hが、第1受面13bと平行する第3受面13fと第4受面13hとに接触するため、連結部3bと連結板12とが相互に、挿入方向(X−X)と直交する幅方向でのガタつきがなくなり、連結片3の抜け外れが防止される。すなわち、両連結金具1,2が相互に離反方向に引っ張られた状態において、前記のガタつきが生じると、テーパ状の第2係止面3dによって係止部材14が後退し、連結片3が抜け外れるおそれがあるが、前記のようにガタつきが阻止されるため、連結片3の抜け外れが防止される。
【0039】
次に、前記の連結状態から両連結金具1と2を相互に分離する場合には、表カバー18の表面から突出した抜き治具17の操作部17bを手操作によって後方(図4の矢印方向)へ移動させ、該抜き治具17に係止された係止部材14を、バネ15の付勢力に抗して後退させる。この係止部材14が、第1受面13bとの対向間隔がD1以上に広くなった位置まで後退した状態において、雄型連結金具1を雌型連結金具2に対して離反方向に移動させると、雄型連結金具1における連結部3bが連結片挿入室13から抜き外され、両連結金具1と2が分離する。
【0040】
図9及び図10は第2実施例を示す。
【0041】
前記第1実施例においては、係止部材14を平面から見て、第2面14cをテーパ面にした先細の楔状に形成したが、本第2実施例では係止部材14を、図10(a)に示すように、第1面14bの反対側の第2面14eを、第1面14bと平行する面に形成して長方形に形成したものである。
【0042】
また、係止部材14を前記のように形成したことにより、図9に示すように、雄型連結金具1側の前記連結部3bにおける第2係止面3dを、前記雌型連結金具2側の第2受面13cと平行するテーパ面に形成している。
【0043】
その他の構造は前記第1実施例と同様であるため,同一部分には前記と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0044】
本第2実施例においても前記第1実施例と同様の作用、効果を発揮する。
【0045】
なお、係止部材14を前記第1実施例のように先細の楔状に形成することにより、前記第2実施例の係止部材14に比べて、連結部3bの連結片挿入室13内への挿入量が少ない時点で係止部材14が前進作動して連結部3bの第2係止面3dに係止する。したがって、第1実施例によれば、第2実施例に比べて、連結すべき部材相互の対向間隙が少ない状態から連結操作が行える効果がある。
【0046】
また、第2実施例のように係止部材14の第1面14bと第2面14eを平行に形成すると、振動による係止部材14の外れを一層確実なものとすることができる。
【0047】
【発明の効果】
以上のようであるから、本発明の連結具によれば、雄型連結金具の連結部を雌型連結金具の連結片挿入室へ挿入するのみの操作で容易に連結することができる。
【0048】
更に、連結状態においては、連結部における直線状の第1係止面と連結片挿入室の直線状の第1受面との接触状態と、該接触面と平行する連結部における直線状の第3係止面と連結片挿入室の直線状の第3受面との接触状態とによって、連結部の挿入方向に対して直交する方向への連結部のガタつきが確実に阻止される。そのため、このガタつきにより、テーパ面によって係止部材が緩んで雄型連結金具が雌型連結金具から抜け外れることを確実に防止できる。
【0049】
更に、前記の係止面と受面等を連結片の両側に対称的に設け、夫々に係止部材を設けるものに比べて、部品点数を少なくし、コスト低減化、小型化を図ることができる。
【0050】
請求項2記載の発明によれば、更に、連結状態の両連結金具を必要により分離することもできる。
【0051】
請求項3記載の発明によれば、更に、雄型連結金具と雌型連結金具を薄く形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す斜視図。
【図2】図1の構成部品を分解した斜視図。
【図3】図1の連結金具を連結した状態で、かつ、表カバーを外した平面図。
【図4】図3の連結状態において表カバーも備えた側断面図。
【図5】図1における雄型連結金具における連結片を示す平面図。
【図6】図1における雌型連結金具における連結板を示す平面図。
【図7】図6の連結板に嵌合される係止部材を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は後面図、(d)は斜視図。
【図8】図7の係止部材に嵌合装着される抜き治具の側断面図。
【図9】本発明の第2実施例の連結状態を示すもので、表カバーを外した平面図。
【図10】図9における係止部材を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は後面図、(d)は斜視図。
【符号の説明】
1 雄型連結金具
2 雌型連結金具
3 連結片
3b 連結部
3c 第1係止面
3d 第2係止面
3f 第3係止面
12 連結板
13 連結片挿入室
13b 第1受面
13c 第2受面
13f 第3受面
14 係止部材
15 付勢手段であるバネ
Claims (3)
- 一方の連結部材に固着される雄型連結金具と、他方の連結部材に固着される雌型連結金具とからなり、前記雄型連結金具には連結片からなる連結部を突設し、該連結部には、その突出方向に平行する直線状の第1係止面と、該第1係止面の反対側において先方が広がるテーパ面からなる第2係止面と、該第2係止面の後部から膨出して前記第1係止面と平行する第3の係止面を形成し、前記雌型連結金具には、前記雄型連結金具における連結部を挿入する連結片挿入室を形成し、該連結片挿入室を、前記連結部の挿入状態において、連結部の第1係止面に接する直線状の第1受面と、連結部の第3係止面に接する直線状の第3受面と、テーパ状の第2係止面と略平行するテーパ状の第2受面とで形成し、更に、前記連結片挿入室内には、その前記第2受面に沿って進退する係止部材とこれを常時前方へ付勢する付勢手段を設け、連結部の挿入により、前記係止部材が前記第2係止面と第2受面間に介在係合されるようにし、更に、前記係止部材を先細の楔状に形成したことを特徴とする連結具。
- 前記係止部材の前記の係合を外部から解除する解除手段を設けた請求項1に記載の連結具。
- 前記連結片と連結片挿入室を板材で形成した請求項1又は2に記載の連結具。
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