JP3750371B2 - 耐熱圧キャップ用インナーパーツ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、PETボトル等の耐熱圧キャップに関するものであり、さらに詳細には、PETボトル等に果汁入り炭酸飲料や炭酸等を低温充填し、その口部に装着密封するキャップのインナーパーツの形状に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、果汁入り(1〜10%)炭酸飲料や炭酸などの内容物を低温炭酸ガス充填するために、PETボトル(ポリエチレンテレフタレートを用いて延伸ブロー成形したボトル)等に内容物を低温状態で充填し、ボトル口部にキャップを螺合装着後、内容物を熱シャワー等で殺菌する方法が知られているが、この高温殺菌によりボトル内が高圧となりボトル口部が膨張し、キャップとの気密性が欠け、液漏れの原因となる恐れのあるものであった。
【0003】
この解決方法として、例えば、ボトルの口部を成形直後に熱処理による結晶化することによって加熱による膨張を抑制する方法があるが、製造コスト等の問題点があった。これに対して、例えば図6(a)に示すように、キャップ本体(20)の天板(22)内面(22a)に、パッキングのための円板状インナーパーツ(10)を空隙なく密着一体化してなるもので、この円板状インナーパーツ(10)の円周縁近傍即ち螺合装着されるボトル口部(30)の内側面に相当する位置にインナーリング(10a)が施されている耐熱圧キャップがあった。
【0004】
しかしながら、上記構成の耐熱圧キャップでは、図6(b)に示すように、内容物の低温充填後、内容物の高温殺菌によって、ボトル内部が高圧状態となり、その内圧(IC)によって円板状インナーパーツ(10)とキャップ本体(20)の天板(22)中央部が上に押されて変形し、インナーリング(10a)がボトル口部(30)から外れ、インナーリング(10a)の密封性(パッキン性)が失われ、さらにその後のボトル上部からの殺菌のための熱シャワー(HS)によって、キャップ本体(20)の天板(22)中央が加熱され、天板(22)の変形が加速されるとともに、この変形された形状に固定化されるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、果汁入り(1〜10%程度)炭酸飲料や炭酸等低温炭酸ガス充填を要するボトル(容器)の耐熱圧キャップにおいて、ボトル内の高温殺菌による内圧によって、キャップ本体の天板に変形をもたらすことがなく、かつインナーリングの密封性、パッキン性がよく液漏れのない耐熱圧キャップ用インナーパーツを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、キャップ本体の天板内面に、プラスチック製円板状インナーパーツを載置してなる耐熱圧キャップであって、該円板状インナーパーツの外周縁から中心に向かって順に、円形パッキン部、インナーリング、円形くびれ部および1〜2本乃至数本の円形リブを有する反転部でなることを特徴とする耐熱圧キャップ用インナーパーツとしたものである。
【0007】
また、請求項2の発明では、前記円板状インナーパーツがキャップ本体と分離してなることを特徴とする請求項1記載の耐熱圧キャップ用インナーパーツとしたものである。
【0008】
また、請求項3の発明では、前記円板状インナーパーツに施された円形くびれ部の形状が、容器口部にセット時に凹形状であることを特徴とする請求項1または2記載の耐熱圧キャップ用インナーパーツとしたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
本発明の耐熱圧キャップ用インナーパーツは、図1(a)に示す上面図および図1(b)に示す側断面図のように、プラスチック製円板状インナーパーツ(10)の外周縁から中心に向かって円形パッキン部(12)、インナーリング(10a)、円形くびれ部(14)および1〜2本乃至数本の円形リブ(18)を有する反転部(16)の順になるものである。
【0010】
また、図2に示すように、キャップ本体(20)の天板(22)内面(22a)に上記円板状インナーパーツ(10)を載置してなる耐熱圧キャップ(1)において、この円板状インナーパーツ(10)とキャップ本体(20)とを分離し、天板(22)との間に空隙を設けたことを特徴とし、さらに図3に示すように、上記インナーパーツ(10)に施された円形くびれ部(14)の形状が、内容物を充填後、耐熱圧キャップ(1)をボトル口部(30)に螺合装着した段階で凹形状であることを特徴とするものである。
【0011】
以上のような耐熱キャップ(1)を用いて、炭酸飲料等の低温充填(約5℃の低温充填)を行い、図4に示すように、ボトル外より熱シャワー等で(約65℃10分間)高温殺菌を施すことにより、ボトル内部が増圧し、その内圧(IC)によって、インナーパーツ(10)の中央部即ち反転部(16)が円形くびれ部(14)を起点として上方に反転し、その反転時の力でインナーリング(10a)をボトル口部(30)側へ抑え付け、密封性を向上させることができる。しかもこのとき、反転部(16)に設けられた円形リブ(18)がキャップ本体(20)の天板(22)とインナーパーツ(10)との間に空隙を保持するため、内圧(IC)によってもキャップ本体(20)の天板(22)を膨れ変形を防止するものである。
【0012】
さらに、図5に示すように、ボトル上部より熱シャワー(HS)による殺菌を行ってもキャップ本体(20)の天板(22)が変形(膨れる)現象がなく、インナーリング(10a)の熱によるダメージも最低限に抑えることができるものである。
【0013】
上記円板状インナーパーツ(10)は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン/プロピレン二成分共重合ゴム、熱可塑性エラストマー類などの弾性を有する樹脂を用いて成形される。その厚さは、パッキング性および円形くびれ部(14)からの反転適性を考慮して0.5mm〜2.0mmが好ましい値であり、円板状インナーパーツ(10)のサイズなども考慮して適宜選定することができる。
【0014】
図3に示す上記円板状インナーパーツ(10)の最外周縁にある円形パッキン部(12)は、キャップ本体(20)の天板(22)とボトル口部(30)の先端との気密性を保持するためのものであり、このパッキン部(12)の内側に設けられるインナーリング(10a)は、ボトル口部(30)の内側面との気密性を保持し、円板状インナーパーツ(10)の反転時の力でボトル口部(30)側へ抑え付けられ、より密封性を向上させるものである。
【0015】
また、上記円板状インナーリング(10a)の内側に設けられる円形くびれ部(14)は、ボトル内の減圧によって、反転部(16)が上方に反転するときの起点となり、反転を容易にする役目と、反転によってインナーリング(10a)をボトル口部(30)の内側に抑え付け気密性を向上させる役目をするものであり、その凹形状の深さは、内面で1.0mm〜8.5mmが好ましく、円板状インナーパーツ(10)のサイズ等から適宜選定するものである。
【0016】
さらにまた、円板状インナーパーツ(10)の中央部即ち反転部(16)の上面(天板(22)の内面(22a)側)に円形状リブ(18)を設け、その本数は、少なくとも1本で、2本の方が安定性からより好ましく、円板状インナーパーツ(10)のサイズが大きくなれば数本が好ましい値である。また、円形状リブ(18)の高さは、0.5mm〜2.0mmが好ましく、円板状インナーパーツ(10)のサイズ等によって適宜選択することができる。
【0017】
以上本発明の耐熱圧キャップ用インナーパーツは、PETボトルで代表されるプラスチックボトルの他、ガラスボトル、金属ボトル等にも適用できるものであり、キャップ本体(20)としてプラスチックキャップ、金属キャップ等にも適用できるものである。
【0018】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
即ち、キャップ本体の天板内面にプラスチック製円板状インナーパーツを載置してなる耐熱キャップにおいて、該インナーパーツの外周縁から中心に向かって順に円形パッキン部、インナーリング、凹形状の円形くびれ部、1〜2本乃至数本の円形状リブを有する反転部でなり、前記円板状インナーパーツが、キャップ本体と分離してなり、キャップ本体の天板との間に空隙をもうけたものとすることによって、低温充填の後、内容物の高温殺菌によるボトル内の増圧で、円板状インナーパーツの中央部即ち反転部が円形くびれ部を起点とする上方への反転を容易にし、その反転時の力でインナーリングをボトル口部側へ抑え付け、密封性を向上させることができる。しかもこのとき、反転部に設けられた1〜2本の円形リブがキャップ本体の天板とインナーパーツとの間に空隙を保持するため、増圧によってもキャップ本体の天板の膨れ変形を防止するものである。
【0019】
さらに、上記のように空隙の保持によって、ボトル上部よりの熱シャワーによる殺菌を行ってもキャップ本体の天板に膨れ変形現象を促進することがなく、インナーリングの熱によるダメージも最低限に抑えることができるものである。
【0020】
従って本発明は、果汁入り炭酸飲料や炭酸などの低温充填後、高温殺菌を要する内容物のためのボトルの耐熱圧キャップとして、優れた実用上の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐熱圧キャップ用インナーパーツの一実施の形態を説明するものであり、
(a)は、その上面図である。
(b)は、その側断面図である。
【図2】本発明に係わる耐熱圧キャップの一実施の形態を側断面と正面で表した説明図ある。
【図3】本発明に係わる耐熱圧キャップをボトル口部に螺合装着した状態を説明する側断面図である。
【図4】本発明に係わる耐熱圧キャップをボトル口部に螺合装着した状態に、ボトル内が増圧になった場合の耐熱圧キャップ用インナーパーツの状態を側断面で表した説明図である。
【図5】本発明に係わる耐熱圧キャップをボトル口部に螺合装着した状態に、ボトル内が増圧になり、さらにキャップ上部から熱シャワーを施した場合の耐熱圧キャップ用インナーパーツの状態を側断面で表した説明図である。
【図6】従来の耐熱圧キャップの一例を説明する図であり、
(a)は、その耐熱圧キャップをボトル口部に螺合装着した状態を側断面で表した説明図である。
(b)は、ボトル内が減圧になった場合の耐熱圧キャップの状態を側断面で表した説明図である。
【符号の説明】
1‥‥耐熱圧キャップ
10‥‥円板状インナーパーツ
10a‥‥インナーリング
12‥‥円形パッキン部
14‥‥円形くびれ部
16‥‥反転部
18‥‥円形状リブ
20‥‥キャップ本体
22‥‥天板
22a‥‥天板内面
30‥‥ボトル口部
IC‥‥内圧
HS‥‥熱シャワー

Claims (3)

  1. キャップ本体の天板内面に、プラスチック製円板状インナーパーツを載置してなる耐熱圧キャップであって、該円板状インナーパーツの外周縁から中心に向かって順に、円形パッキン部、インナーリング、円形くびれ部および1〜2本乃至数本の円形リブを有する反転部でなることを特徴とする耐熱圧キャップ用インナーパーツ。
  2. 前記円板状インナーパーツがキャップ本体と分離してなることを特徴とする請求項1記載の耐熱圧キャップ用インナーパーツ。
  3. 前記円板状インナーパーツに施された円形くびれ部の形状が、容器口部にセット時に凹形状であることを特徴とする請求項1または2記載の耐熱圧キャップ用インナーパーツ。
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