JP3750332B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置に係り、具体的には感光体ドラムに形成されたトナー画像を記録材に転写し、該記録材を相互に圧接して回転自在に配設された加熱手段を有する加熱ロール及び加圧ロールにより挟圧搬送することにより転写された未定着トナー画像を前記記録材上に定着させることによりプリントを行う電子写真方式を採用した画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式を用いた画像形成装置における定着方法には、最も一般的な方法として、加熱と加圧により記録材上にトナーを溶融させて融着させる加熱定着法がある。その中でも加熱ロール方式のものが一般に利用されている。この定着装置は、加熱ローラとこれに圧接する加圧ローラとを備え、その2本のロールのニップ部に記録材を通過させることにより、記録材上の未定着トナーに熱および圧力を加えて定着させるものである。
【0003】
加熱させる手段には、ヒータを用いてローラ内部より加熱させる方法が多く採られている。コストや装置の大きさなどの条件により、通常ヒータは1本のみ使用されている。特に小型機では低コストが必須であるため2本以上のヒータを使用することはほとんどない。
【0004】
加熱ロールを1本のヒータで加熱させると加熱ロールは全体的に熱せられる。記録材である用紙が加熱ロール及び加圧ロールのニップ部を通過すると用紙に熱が奪われ加熱ロールの熱量は低下するが、加熱ロールの表面温度はサーミスタによりモニターされており、また加熱ロールを加熱するヒータヘの電圧供給を制御する制御手段を備えているため、加熱ロールの表面温度を一定に保っておくことができる。
【0005】
しかし記録材として小幅サイズの記録紙を加熱ロールと加圧ロールのニップ部を走行させた場合、これらの加熱ロールの通紙域では熱が奪われるが非通紙域では熱が奪われないため加熱ロールの通紙域と非通紙域とで温度差が生じる。定着性を確保するため、全記録紙サイズの通紙域の加熱ロールの表面温度は各記録紙についてそれぞれ最適の温度になるよう一定に制御されているのでその温度を基準にすると非通紙域における加熱ロールの表面温度が相対的に高くなる。
【0006】
小幅サイズの記録紙を少数枚、場合は加熱ロールの非通紙域における表面温度が多少高くなってもホットオフセットや紙しわの発生につながることはないが、小幅サイズの記録紙で連続プリントを行った場合や少数枚の小幅サイズの記録紙で短いサイクルで断続的にプリントした場合、加熱ロールの表面温度が許容値以上に上昇し、その後に大幅サイズの記録紙が走行された場合、1枚目にホットオフセットが発生し、ひどいときは2〜3枚目までにもホットオフセットが発生する場合がある。ここでのホットオフセットとは加熱ローラの非通紙領域が高くなり過ぎるために用紙上の未定着トナーの一部が溶融して加熱ロール側に付着する現象をいう。またこのような時は、紙しわも発生するおそれがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題を解決する手段として以下のような従来技術がある。
【0008】
すなわち、特開平5−119669号公報に記載の定着装置では送風手段を用いて小サイズ紙複写時における定着ローラ(加熱ロールに相当)の非通紙域の温度を下げるようにしており、用紙の連続枚数が増加するに従い送風手段としてのファンの風力を強め、また複写する用紙の幅が小さい程ファンの風力を強めホットオフセットの防止を行っている。
【0009】
この定着装置はファンの風力を強めることでホットオフセットの防止を図っているが、そのためには風量を稼ぐため通常サイズより大きめのファンが必要になり、コストアップを招いてしまう。また風量は騒音に影響し、風量を上げれば上げる程騒音が大きくなることにもつながるという問題がある。
【0010】
特開平8−190295号公報に記載の画像定着装置では、加圧ロールの内周面に螺旋状の溝を設け、小サイズの通紙域では溝の本数を少なくし、小サイズの非通紙域では溝の本数を多くして表面積の比率を変え、加熱ロールまたは加圧ロールの回転に伴って上記螺旋状の溝に沿って気流を発生させることにより加熱ロールの非通紙域を通紙域に比して余計に冷却させるようにしている。
【0011】
この画像定着装置では、加圧ロールに溝を設ける必要があるため加圧ロールの製造工程が増え、それに伴いコストアップが生じる。
【0012】
また加圧ロールの溝を設けることで表面積を大きくし気流を発生させ冷却効果をあげると記載されているが、確かに常温状態では溝に隙間が生じていると思われる。しかし、実際加圧ロールが加熱されるとロール自体が膨張し隙間が狭まり、気流が生じるまでには至らない。よって、加圧ロールまたは加熱ロールの回転により冷却効果はほとんどないと言ってよい。
【0013】
更に特開平6−186875公報に記載の画像形成装置では、小さい幅の記録材が複数枚搬送され熱量が一定量以上に達したあと搬送時間間隔を長くし、ロール上の温度分布を均一化することにより加熱ロールにおける非通紙部の昇温を抑えるようにしている。この搬送時間の間隔を長くさせる判断基準は、小さい幅の記録材が一定枚数以上搬送されたとき、あるいは小さい幅の記録材についての定着が一定時間以上行われたときである。この手段では、小さい幅の記録材を連続走行させた場合に、上記の条件下で搬送時間間隔が長くなるが、断続で走行された場合はその都度リセットがかかるので、搬送時間間隔が長くなることがないため加熱ロールの温度分布を均一化することができない。コントローラのデ一夕蓄積量を考慮すると、実際の走行モードは連続走行より断続走行のウェイトが高いと推測されるので、この手段を用いると搬送時間間隔が長くならず、結局加熱ロールの非通紙部域では温度が上昇し、ホットオフセットや紙しわなどの欠陥が発生する。
【0014】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、複数枚の小サイズ幅の記録材に連続的にプリントを行い、あるいは小サイズ幅の記録材を複数枚、短いサイクルで断続的にプリントした後に大サイズ幅の記録材をプリントした場合において、加熱ロールの表面温度が過剰に上昇するのを防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、感光体ドラムに形成されたトナー画像を記録材に転写し、該記録材を相互に圧接して回転自在に配設された加熱手段を有する加熱ロール及び加圧ロールにより挟圧搬送することにより転写された未定着トナー画像を前記記録材上に定着させることによりプリントを行う画像形成装置において、前記加熱ロールの表面温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段の検出出力に基づいて前記加熱ロールの表面温度を、記録材の搬送方向と直交する方向の長さが短い小サイズ幅の記録材以外の記録材のプリントを行う際には、定着動作を開始する以前の待機状態時には第1の制御温度T1 とし、かつ定着動作開始時には第1の制御温度T1 より高い第2の制御温度T2 となるようにすると共に、前記小サイズ幅の記録材のプリントを行う際には、定着動作開始時の加熱ロールの表面温度が前記第2の制御温度T2 よりさらに高い第3の制御温度T3 とし前記小サイズ幅の記録材のプリントを行った後、所定時間だけ第1の制御温度T1 より低い第4の制御温度T4 で待機させておくように前記加熱手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0016】
請求項1に記載の画像形成装置では、制御手段はサーミスタ等の温度検出手段の検出出力に基づいて加熱ロールの表面温度を、小サイズ幅以外のサイズの記録材のプリントを行う際には、待機状態時に第1の制御温度T1 (例えば、170℃)とし、プリント開始時には定着動作に必要な第2の制御温度T2 (例えば、180℃)まで上昇させると共に、小サイズ幅の記録材のプリントを行う際には、加熱ロールの非通紙領域における過度の温度上昇を抑制するために定着動作開始時の加熱ロールの表面温度を、第2の制御温度T2 より高い第3の制御温度T3 (例えば、190℃)まで上昇させ、プリント終了後は続けて相当数の小サイズ幅の記録材のプリントが行われ、その後に大サイズの記録材のプリントが行われた場合に加熱ロールの非通紙域の表面温度がホットオフセットを生じない程度の温度に留まるように、所定時間だけ第1の制御温度T1 より低い第4の制御温度T4 (例えば、160℃)で待機させておくように加熱手段を制御する。したがって、小サイズ幅の記録材が連続的に行われても、加熱ロールの非通紙域における表面温度の過度の温度上昇が抑制されるので、その後に大サイズの記録材のプリントを行った際にホットオフセットが発生することはない。
【0017】
また加熱ロールの温度上昇が抑制されるので、それと接触している加圧ロールの温度も抑制され、温度上昇による加圧ロール径の膨張を減少させることができ、加圧ロール径の左右差が減少するため走行バランスが安定し、紙しわの発生を防止することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の構成を図1に示す。同図において、画像形成装置10は画像情報に基づいてレーザダイオード等の光源を制御し、光源から射出される光ビームにより反射ミラー12を含む光学系を介して感光体ドラム14上にトナー像を形成する露光装置20を有している。
【0023】
露光装置20内には画像形成装置10全体を統轄的に制御する制御回路22が設けられており、この制御回路22(本発明の制御手段に相当する。)は後述する加熱ロール32の温度制御等を行う。また画像形成増置10は記録材としての用紙70に転写されたトナー画像を定着させる定着装置30を有している。定着装置30は、相互に圧接して回転自在に配設された加熱ロール32、加圧ロール34と、トナー画像が定着された用紙を排出する一対の排出ロール36、38とを有している。
【0024】
定着装置30は具体的には図2に示すように未定着のトナー画像72が形成された用紙70を案内するガイド部材90、92が用紙70の入口側に設けられており、加熱ロール32及び加圧ロール34と一対の排出ロール36、38との間には用紙70を排出するように案内する排出ガイド94、96が設けられている。更に、加熱ロール32内には加熱ロール32の表面を加熱するためのヒータ80(本発明の加熱手段に相当する。)が設けられており、その発熱量は制御回路22により制御される。加熱ロール32の表面温度は温度検出手段35(本実施の形態ではサーミスタを加熱ロール32の表面に接触することにより検出する。)により検出され、制御回路22によりモニターされるようになっている。
【0025】
定着装置30の出口付近における用紙70の搬送路66には用紙70が通過する毎に1枚のプリントを行ったことを示す信号を生成する用紙検出手段44(本発明のプリント枚数検出手段に相当する。)が設けられている。この用紙検出手段の検出出力は制御回路22に入力されるようになっている。
【0026】
また画像形成装置10内のカセット50には用紙70が装填されており、用紙70は感光体ドラム14にトナー画像が形成されると同時にカセット50より搬送ロール52、54、56、58、60、62を介して搬送され、用紙70上には感光体ドラム14に形成されたトナー画像が転写ロール16により転写され、定着装置30内の加熱ロール32と加圧ロール34によるニップ部を通過するように搬送されることにより未定着のトナー画像72が加熱ロール32による加熱と加圧ロール34による加圧により用紙70に定着される。
【0027】
ここで小サイズ幅の用紙が複数枚、連続して加熱ロール32と加圧ロール34とのニップ部をプリント走行させた場合の加熱ロール32表面における軸方向の温度分布を図5及び図6に示す。図5は加熱ロール32の側面側に用紙を通過させた場合であり、図6は加熱ロール32の中央部に用紙を通過させた場合の温度分布を、それぞれ示している。これらの図から明らかなように加熱ロール32の非通紙域における表面温度は、通紙域に比して上昇することが判る。特に加熱ロール32の側面側に用紙を通過させた場合は非通紙域側が図5に示すように過剰に温度上昇する。大サイズの用紙が定着装置30の加熱ロール32と加圧ロール34とのニップ部へ突入する時、加熱ロール32の表面温度がある温度以上であった場合(ここでは215℃以上であった場合)、トナーは加熱ロールヘ融着し周ピッチで用紙に再定着させてしまう、所謂ホットオフセットを発生する。このようなホットオフセットは、前回のプリント走行が小サイズ幅の用紙について連続して行われたとき、あるいは短い間隔でかつ少数枚の用紙について断続的にプリント走行がおこなわれたとき程、発生する可能性が高くなる。用紙70がカセット50より搬送されてから定着装置30のニップ部まで到達する時間は一定であり、ニップ部へ到達した時は、加熱ロール32の表面温度が第一の制御温度に達している必要がある。
【0028】
しかし、ホットオフセットが発生する状態では、定着装置30内の温度は通常より高く、かつ加圧ロール34の温度も高くなっているので、加熱ロール表面温度が或る程度低くても未定着のトナー画像を十分に用紙70に定着させることができる。一方、用紙70が定着装置30のニップ部を通過すると、加圧ロール34に蓄えられていた熱量は用紙に奪われてしまうので、定着温度を下げた状態で用紙70を走行させると大サイズ用紙などでは1枚目の後半の部分で定着不良を発生させてしまう。用紙前半部分あるいは先端部分だけを制御によって温度を下げることは、不可能に近く、できたとしても安定性といった点では欠けてしまう。本発明の各実施の形態ではこの点を解決している。
【0029】
次に制御回路22により実行される加熱ロール32の表面温度の温度制御の処理内容を図3に、制御回路22の温度制御特性を図4に示す。画像形成装置10が待機状態である時、図2に示す定着装置30の加熱ロール32は一定の温度に保たれるように制御回路22により制御されている。すなわち制御回路22はサーミスタ35を加熱ロール32に接触させて加熱ロール32の表面温度をモニターしヒーター17への電源供給を断続させることにより加熱ロール32の表面温度を図4に示すように第1の制御温度T1 である170℃に制御する。図3においてプリントの用紙サイズ、プリント枚数等の指定及びプリント開始の指示が図示してない操作部を操作することにより行われると、スタート信号と共にどの用紙サイズに何枚プリントさせる等の指示が制御回路22に入力され、同時に定着装置30、感光体ドラム14、各種ロール等を駆動する図示してない駆動装置等が作動し始める。定着装置30では、制御回路22よりヒータ80に電源が供給され、加熱ロール32を加熱する。
【0030】
まずステップ100で指定された用紙がA5SEL幅以下の小サイズ幅(用紙70の搬送方向と直交する方向の幅)でないと判定された場合には、プリント開始時に定着動作に必要な第2の制御温度T2 (本実施の形態では例えば、T2 は180℃である。)にまで加熱ロール32の表面温度を上昇させる(ステップ102)。指定された枚数のプリントが終了するまで加熱ロール32の表面温度を第2の制御温度T2 に制御し、全枚数のプリントが終了した場合には次のプリント動作に備えて加熱ロール32の表面温度を待機状態時の第1の制御温度T1 になるように制御する(ステップ102、104、106)。
【0031】
一方、ステップ100で指定された用紙がA5SEL幅以下の小サイズ幅であると判定された場合には次のステップ108でプリント開始時、即ち定着動作開始時には加熱ロール32の表面温度を第2の制御温度T2 より高い第3の制御温度T3 (本実施の形態では190℃)まで上昇させる。これは、小サイズ幅の用紙のプリントを行う際には、加熱ロール32の非通紙域における過度の温度上昇を抑制するためである。
【0032】
指定された枚数のプリントが終了するまで加熱ロール32の表面温度を第3の制御温度T3 に制御し、全枚数のプリントが終了した場合には次のプリント動作に備えて所定時間(本実施の形態では300秒)、加熱ロール32の表面温度を待機状態時の第1の制御温度T1 より低い第4の制御温度T4 (本実施の形態では160℃)に保持し、その後、通常の待機状態時の第1の制御温度T1 まで上昇させるように制御する(ステップ108、110、112、114)。
【0033】
ここでステップ112で所定時間だけ加熱ロール32の表面温度を待機状態時の第1の制御温度T1 (170℃)より低い第4の制御温度T4 (160℃)に保持するのは、更に続けて相当数の小サイズ幅の記録材のプリントが行われ、その後に大サイズの記録材のプリントが行われた場合に加熱ロールの非通紙域の表面温度がホットオフセットを生じない程度の温度に留まるようにするためである。その原理を図7を参照して説明する。
【0034】
図7は、小サイズの幅用紙を連続で50枚プリント走行し、加熱ロール32の表面温度をほぼ飽和状態にさせた後、待機状態時の制御温度を第1の制御温度T1 (170℃)とした場合と第4の制御温度T4 (160℃)とした場合のそれぞれについて、その後大サイズ用紙を走行させ用紙先端が加熱ロール32に突入した時の加熱ロール32の表面温度分布を示している。待機状態時の制御温度を170℃で大サイズ用紙のプリント動作をスタートさせた場合、加熱ロール32の表面温度が高い部分ではホットオフセットの発生領域になっていることがわかる。
【0035】
これに対して待機状態時の制御温度を160℃にして大サイズ用紙のプリント動作をでスタートさせた場合では、加熱ロール32の表面温度が一番高い部分でもホットオフセット発生領域より低い温度領域になっているのでホットオフセットが発生することはない。図3のステップ112はこの点を考慮して小サイズふ幅の用紙のプリントが連続的に行われ、プリント動作が終了した後は、所定時間だけ加熱ロール32の表面温度を待機状態時の第1の制御温度T1 (170℃)より低い第4の制御温度T4 (160℃)に保持し、その後のプリントでホットオフセットが発生するのを防止している。
【0036】
以上に説明したように本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置によれば、加熱ロールの表面温度を小サイズ幅以外のサイズの記録材のプリントを行う際には待機状態時には第1の制御温度T1 (例えば、170℃)とし、プリント開始時には定着動作に必要な第2の制御温度T2 (例えば、180℃)まで上昇させると共に、小サイズ幅の記録材のプリントを行う際には、加熱ロールの非通紙領域における過度の温度上昇を抑制するために第2の制御温度T2 より高い第3の制御温度T3 (例えば、190℃)まで上昇させ、プリント終了後は続けて相当数の小サイズ幅の記録材のプリントが行われ、その後に大サイズの記録材のプリントが行われた場合に加熱ロールの非通紙域の表面温度がホットオフセットを生じない程度の温度に留まるように、所定時間だけ第1の制御温度T1 より低い第4の制御温度T4 (例えば、160℃)で待機させておくように加熱手段を制御するようにしたので、小サイズ幅の記録材が連続的に行われても、加熱ロールの非通紙域における表面温度の過度の温度上昇が抑制されるので、その後に大サイズの記録材のプリントを行った際にホットオフセットが発生することはない。
【0037】
また加熱ロールの温度上昇が抑制されるので、それと接触している加圧ロールの温度も抑制され、温度上昇による加圧ロール径の膨張を減少させることができ、加圧ロール径の左右差が減少するため走行バランスが安定し、紙しわの発生を防止することができる。
【0038】
加熱ロールの温度上昇を抑えることは、それと接触している加圧ロールの温度も抑えられることができ、温度上昇によるロール径膨張を減少させることができる。つまりは、加圧ロール径左右差が減少するため走行バランスが安定し、紙しわ発生を抑えることにもつながる。
【0039】
また加熱ロール32の温度上昇を抑制することができるので加熱ロール32を支持しているスリーブベアリングの温度上昇も抑制でき、スリーブベアリングの耐熱温度に対するマージンが広がり、耐久性の向上を図ることができる。
【0040】
また、耐熱温度に対するマージンが広がった分だけスリーブベアリングの耐熱温度を下げることも可能になるので、スリーブベアリングの樹脂材料の選択幅も広がり、低コストでスリーブベアリングを入手することが可能になる。
【0041】
以上は定着装置内でのメリットであるが、加熱ロールの温度上昇を抑えることは、画像形成装置内部の温度上昇をも抑えれることにつながるため、画像形成装置内部でもメリットが生じてくる。
【0042】
通常、画像形成装置には、装置内の温度上昇を防止するためのファンが取り付けられている。装置の内外部には、規格により或る基準温度を越えてはいけない箇所や部品が存在するので、その基準温度を越える場合はファンを用いてエアーフローを利用し効率的に冷却させている。定着装置内の加熱ロール温度上昇を抑えることは、熱源である定着装置からの発熱量を抑えることにつながり、その分ファンの風量を低減させることができる。ファンの風量を低減させることができれば、ファンの風切り音は小さくなり、装置としての騒音レベルが低減できる。
【0043】
更に風量低減によりファンのサイズを小型化にできるため画像形成装置全体の大きさをコンパクトにすることが可能になる。それにファンのサイズを小型化にすることでコストにおいても低減することができる。
【0044】
次に本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。本実施の形態に係る画像形成装置の構成は制御回路22の温度制御の内容以外は第1の実施の形態に係る画像形成装置と基本的には同一であり、重複する説明は省略する。
【0045】
本実施の形態に係る画像形成装置は、小サイズ幅の用紙によりプリント終了時毎にそのプリント枚数に応じてプリント受け付け禁止状態を解除するタイミング、すなわちプリント受け付け禁止期間を設定することにより、小枚数でかつ小サイズ幅の用紙を断続的に繰り返してプリントを行う場合に対処するようにしている。すなわち、小サイズ幅の用紙を連続的にプリントさせると加熱ロール32における非通紙部の表面温度は既述したように図5及び図6のようになる。これは通常の連続走行においての非通紙部温度上昇であるが、少数枚でかつ小サイズ幅の用紙を何度も繰り返してプリントさせた場合は、加熱ロール32の表面温度あ図5及び図6に示す以上に上昇する。その改善策として、小サイズ幅用紙後の大サイズがニップ部に突入する時に加熱ロール32の表面温度が215℃以下になるようにするため、小サイズ幅の用紙がプリント走行された後、プリント受け付け禁止期間を設定している。
【0046】
図8に第2の実施の形態に係る画像形成装置における制御回路の制御内容を示す。同図において、まずステップ200では指定された用紙がA5SEL幅以下の小サイズ幅(用紙70の搬送方向と直交する方向の幅)でないと判定された場合には、プリント開始時に定着動作に必要な第2の制御温度T2 (本実施の形態では例えば、T2 は180℃である。)にまで加熱ロール32の表面温度を上昇させる(ステップ202)。指定された枚数の一連のプリントが終了するまで加熱ロール32の表面温度を第2の制御温度T2 に制御し、全枚数のプリントが終了した場合には次のプリント動作に備えて加熱ロール32の表面温度を待機状態時の第1の制御温度T1 になるように制御する(ステップ202、204、206)。
【0047】
一方、ステップ200で指定された用紙がA5SEL幅以下の小サイズ幅であると判定された場合には次のステップ208でプリント枚数を計数するカウンタNをリセットし、ステップ210でプリント動作を開始し、1枚プリントする毎にカウンタNの計数内容を+1インクリメントし、指定された枚数の一連のプリントが終了するまでステップ210、212の処理を繰り返す。このとき制御回路22内のメモリには用紙検出手段44の検出出力に基づいてプリント枚数が記憶される。またプリント開始時、即ち定着動作開始時には加熱ロール32の表面温度を第2の制御温度T2 より高い第3の制御温度T3 (本実施の形態では190℃)まで上昇させる。これは、既述した第1の実施の形態と同様に小サイズ幅の用紙のプリントを行う際には、加熱ロール32の非通紙域における過度の温度上昇を抑制するためである。
【0048】
ステップ212で指定された枚数分の一連のプリントが終了したと判定された場合にはステップ214で小サイズ幅の用紙についてのプリントが終了した時点からの経過時間を計測するためにタイマtをリセットし、起動する。
【0049】
次にステップ216〜252では制御回路22内のメモリに記憶されている一連のプリント終了時における小サイズ幅の用紙のプリント枚数に応じてプリント受け付け禁止期間を設定し、そのプリント受け付け禁止期間が経過した時点で加熱ロール32の表面温度を待機状態時の第1の制御温度T1 (170℃)より低い第4の制御温度T4 (本実施の形態では160℃)に保持し、その後、所定時間(本実施の形態では300秒)経過した時点で通常の待機状態時の第1の制御温度T1 (170℃)まで上昇させるように制御する。すなわち、プリント受け付け禁止期間はプリント枚数が1〜2枚の場合は、20秒、3〜4枚では40秒、5〜10枚では80秒、11〜15枚では120秒、16枚以上では240秒に、それぞれ設定される。
【0050】
プリント受け付け禁止期間はできるだけ短いほうがプリント能力が向上するので、ここではプリント受け付けを禁止してから最短時間でプリント動作を開始できるようにプリント枚数に応じてプリント受け付け禁止期間を設定した。これらの設定値は画像形成装置の能力で変更することができる。このように設定することで、どのような条件においてもホットオフセットの発生を防止することができる。また、これらの制御は簡単にプログラムできるため装置へのコストインパクトはなく、また短い開発納期で達成することができる。
【0051】
他の方法として用紙間隔を拡げ1分間あたりのプリント走行枚数を少なくすることが挙げられる。図5及び図6からも判るように1分間あたりのプリント枚数が少なくなる程、加熱ロール32表面の温度上昇は抑制される。だが、複数枚の小サイズ幅用紙を繰り返しプリント走行させた場合は、どうしても単位時間あたりのプリント能力は低下する。本実施の形態によれば、1分間あたりのプリント枚数を少なくすることなく、良好な画像形成を行うことができる。
【0052】
以上に説明したように本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置によれば、小サイズ幅の記録材の一連のプリント終了後はプリント動作を禁止するプリント受け付け禁止状態とし、該プリント受け付け禁止状態を解除させるタイミングを前記小幅サイズの記録材の一連のプリント時におけるプリント枚数に基づいて決定するようにしたので、プリント枚数に応じてプリント受け付け禁止期間、すなわちプリント受け付け禁止状態を解除させるタイミングを、加熱ロールの非通紙域の表面温度がその後に大サイズの記録材のプリントが行われた際にホットオフセットを生じない温度まで下降するように設定でき、第1の実施の形態による効果に加えて、更に小枚数でかつ小サイズ幅の記録材のプリントを断続的に繰り返し行うような場合であっても、ホットオフセット及び紙しわの発生を防止することができる、とういう効果が有る。
【0053】
次に本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置について図9及び図10を参照して説明する。図9は小サイズ幅の用紙を少数枚だけプリント走行させてから待機状態に移行するまでの加熱ロールの通紙域の表面温度の変化状態と小サイズ幅の用紙を数枚、断続的に複数回、繰り返しプリント走行させてから待機状態に移行するまでの加熱ロールの通紙域の表面温度の変化状態との関係を示している。小サイズ幅の用紙を少数枚だけプリント走行させてから待機状態に移行するまでの時間、すなわち小サイズ幅の用紙のプリント時の加熱ロール32の表面温度である第3の制御温度(190℃)から通常の待機状態時の加熱ロール32の表面温度である第1の制御温度(170℃)に変化するまでの時間がt1 であるのに対し、小サイズ幅の用紙を少数枚、断続的に複数回、繰り返しプリント走行させてから待機状態に移行するまでの時間、すなわち第3の制御温度(190℃)から第1の制御温度(170℃)に変化するまでの時間はt2 (t2 >t1 )である。
【0054】
本実施の形態は上述した小サイズ幅の用紙を少数枚だけプリントした場合と小サイズ幅の用紙を少数枚、断続的に複数回、繰り返しプリントした場合とで待機状態に移行するまでに時間差が有ることに着目し、この時間差に基づいてプリント受け付け禁止状態を解除するタイミング、すなわちプリント受け付け禁止期間を設定することにより少数枚の小サイズ幅の用紙でプリントする場合に短い待ち時間で次のプリント走行を受け付けることができるようにしたものである。
【0055】
本実施の形態に係る画像形成装置の基本的構成は制御回路22の制御内容を除き第1の実施の形態に係る画像形成装置と同一であり、重複する説明は省略する。図10は本実施の形態に係る画像形成装置の制御回路の制御内容を示している。ステップ300〜314の処理は第2の実施の形態に係る画像形成装置の制御回路の制御内容を示す図8におけるステップ200〜214と同一であるので説明を省略する。図10において、ステップ300、308〜312でA5SEL幅以下の小サイズ幅の用紙によるプリントが指定された一連の枚数だけ終了した後、ステップ314でタイマtをリセットし、ステップ316に移行する。ステップ316では制御回路22内のメモリに記憶されているプリン終了時におけるA5SEL幅以下の小サイズ幅の用紙によるプリント枚数NがN>10(枚)であるか否かが判定される。この判定が否定された場合、すなわちA5SEL幅以下の小サイズ幅の用紙によるプリント枚数Nが少枚数(10枚以下)であると判定された場合にはステップ318に移行し、サーミスタ35の検出出力に基づいて計測された加熱ロール32の表面温度が通常の待機状態時において設定される第1の制御温度T1 (170℃)以上であるか否かが判定される。ステップ318の判定が肯定された場合にはステップ320でプリントの受け付けを禁止し、処理はステップ318に戻る。ステップ318の判定が否定された場合、すなわち加熱ロール32の表面温度が第1の制御温度T1 以下であると判定された場合にはステップ322に移行し、ステップ322でプリントの受け付けを許可する。
一方、ステップ316で一連のプリン終了時におけるA5SEL幅以下の小サイズ幅の用紙によるプリント枚数NがN>10(枚)であると判定された場合には更にステップ324〜336でプリン終了時に制御回路22内のメモリに記憶されているA5SEL幅以下の小サイズ幅の用紙のプリント枚数に応じてプリント受け付け禁止期間を設定し、プリント受け付け禁止期間が経過した時点で加熱ロール32の表面温度を待機状態時の第1の制御温度T1 (170℃)より低い第4の制御温度T4 (160℃)に保持し、その後、所定時間(本実施の形態では300秒)経過した時点で通常の待機状態時の第1の制御温度T1 (170℃)まで上昇させるように制御する。すなわちプリント受け付け禁止期間はプリント枚数が11〜15枚では120秒、プリント枚数が16枚以上では240秒に、それぞれ設定される。
【0056】
本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置によれば、小サイズ幅の記録材の一連のプリント終了後はプリント動作を禁止するプリント受け付け禁止状態とし、該プリント受け付け禁止状態を解除させるタイミングを前記小幅サイズの記録材の一連のプリントにおけるプリント枚数が所定枚数以下のときは加熱ロールの表面温度に基づいて決定し、小サイズ幅の記録材の一連のプリントにおけるプリント枚数が所定枚数以上のときは前記小サイズ幅の記録材の一連のプリントにおけるプリント枚数に応じて決定するようにしたので、小サイズ幅でかつ小枚数のプリントを行う場合には加熱ロールの非通紙域における温度上昇幅は少ないため、短い待ち時間で次のプリントを開始することができる。
【0057】
【発明の効果】
以上に説明したように請求項1に記載の画像形成装置によれば、加熱ロールの表面温度を、小サイズ幅以外のサイズの記録材のプリントを行う際には待機状態時には第1の制御温度T1 (例えば、170℃)とし、プリント開始時には定着動作に必要な第2の制御温度T2 (例えば、180℃)まで上昇させると共に、小サイズ幅の記録材のプリントを行う際には、加熱ロールの非通紙領域における過度の温度上昇を抑制するために第2の制御温度T2 より高い第3の制御温度T3 (例えば、190℃)まで上昇させ、一連のプリント終了後は続けて相当数の小サイズ幅の記録材のプリントが行われ、その後に大サイズの記録材のプリントが行われた場合に加熱ロールの非通紙域の表面温度がホットオフセットを生じない程度の温度に留まるように、加熱ロールの表面温度を所定時間だけ第1の制御温度T1 より低い第4の制御温度T4 (例えば、160℃)で待機させておくようにしたので、小サイズ幅の記録材のプリント動作が連続的に行われても、加熱ロールの非通紙域における表面温度の過度の温度上昇が抑制され、その後に大サイズの記録材のプリントを行った際にホットオフセットが発生することはない。
【0058】
また加熱ロールの温度上昇が抑制されるので、それと接触している加圧ロールの温度も抑制され、温度上昇による加圧ロール径の膨張を減少させることができ、加圧ロール径の左右差が減少するため走行バランスが安定し、紙しわの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す構成図。
【図2】図1における定着装置の具体的構成を示す図。
【図3】図1における制御回路により実行される温度制御処理の内容を示すフローチャート。
【図4】加熱ロールの表面温度の温度制御特性を示す特性図。
【図5】小サイズ幅の用紙によりプリントを行った時の加熱ロールの軸方向の表面飽和温度分布の一例を示す図。
【図6】小サイズ幅の用紙によりプリントを行った時の加熱ロールの軸方向の表面飽和温度分布の他の例を示す図。
【図7】待機状態の制御温度差による用紙先端が加熱ロールに突入した時の加熱ロール表面温度分布とホットオフセット発生領域との関係を示す図。
【図8】 本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の制御回路により実行される温度制御処理の内容を示すフローチャート。
【図9】小サイズ幅の用紙を少数枚だけプリントした場合と小サイズ幅の用紙を少数枚、断続的に複数回、繰り返しプリントした場合とで待機状態に移行するまでに時間差が有ることを示す説明図。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置の制御回路により実行される温度制御処理の内容を示すフローチャート。
【符号の説明】
10 画像形成装置
14 感光体ドラム
16 転写ロール
20 露光装置
22 制御装置
30 定着装置
32 加熱ロール
34 加圧ロール
35 温度検出手段
44 用紙検出手段
70 用紙
Claims (1)
- 感光体ドラムに形成されたトナー画像を記録材に転写し、該記録材を相互に圧接して回転自在に配設された加熱手段を有する加熱ロール及び加圧ロールにより挟圧搬送することにより転写された未定着トナー画像を前記記録材上に定着させることによりプリントを行う画像形成装置において、
前記加熱ロールの表面温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段の検出出力に基づいて前記加熱ロールの表面温度を、記録材の搬送方向と直交する方向の長さが短い小サイズ幅の記録材以外の記録材のプリントを行う際には、定着動作を開始する以前の待機状態時には第1の制御温度T1 とし、かつ定着動作開始時には第1の制御温度T1 より高い第2の制御温度T2 となるようにすると共に、前記小サイズ幅の記録材のプリントを行う際には、定着動作開始時の加熱ロールの表面温度が前記第2の制御温度T2 よりさらに高い第3の制御温度T3 とし前記小サイズ幅の記録材のプリントを行った後、所定時間だけ第1の制御温度T1 より低い第4の制御温度T4 で待機させておくように前記加熱手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
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