JP3750270B2 - フォトマスク欠陥解析装置および欠陥解析方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造工程中のフォトリソグラフィ工程において、ウェハー上の露光パターンに対するフォトマスク上の欠陥の影響を解析するためのフォトマスク欠陥解析装置および欠陥解析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フォトマスク上の欠陥解析は、実際に欠陥をウェハーパターン上に転写することによって行われていた。欠陥解析の目的は、フォトマスクパターンをウェハーに転写する際に、フォトマスク上の欠陥がウェハーパターンにどのような影響を及ぼすかについて評価することである。そしてその結果から、パターンの良否判定および欠陥の大きさ・形状等の許容範囲の設定を行うこと、さらにフォトマスク製造プロセスにおける欠陥生成原因の究明を行うことができる。
【0003】
そのための欠陥解析の一般的手順として、第一の従来方法を次に説明する。
図2は、第一の従来方法の手順を示したフローチャートである。まず、ステップSA1において欠陥部分のあるフォトマスクを準備し、ステップSA2においてフォトマスク欠陥検査機あるいは光学顕微鏡等の光学的観察装置を用いて上記フォトマスク内の欠陥部分を検出・観察する。そしてステップSA3においてこの欠陥部分の位置,形状,大きさ等の情報を記録しておく。次にステップSA4においてこのフォトマスクを露光転写装置に取り付け、実際にウェハー上に露光転写する。そしてステップSA5において所定のリソグラフィ工程を行い、ウェハー上のレジストパターンを得る。このレジストパターンには、上記フォトマスク上の欠陥も転写されていることが期待される。
【0004】
次に、ステップSA6において得られたウェハーパターンのフォトマスク欠陥のあった位置に対応するパターン部分を観察し、ステップSA7においてこれと上記フォトマスク欠陥の情報とを比較評価することによって、ウェハーパターンに対してフォトマスク欠陥がどのような影響を与えたかを評価する。ここで説明した手順は、特に装置を限定するものでなく、一般的な欠陥検査装置や光学顕微鏡などを使用すればよい。
【0005】
しかしながら、上述した従来のマスク欠陥解析方法に関する第一の方法を実施するためには次の条件が必要であった。
まず第一に、フォトマスク上に欠陥が存在していなければならないこと、つまり欠陥のあるフォトマスクを見い出して、しかもその欠陥が転写評価の目的に沿うような形状・大きさである必要がある。第二に、露光転写装置を含むウェハー用リソグラフィプロセスの設備一式が必要であり、実際に露光転写とリソグラフィプロセスを行う必要がある。第三にフォトマスク欠陥検査装置およびウェハー欠陥検査装置あるいは同等の光学的欠陥観察装置が必要である。すなわち、フォトマスク上の欠陥を、実際にウェハー上に露光転写して評価しなければならなかった。
【0006】
そして、前述した手順に従って欠陥の影響の解析評価を行ったとしても、次に述べる欠陥解析上の困難があった。それは、フォトマスク欠陥は、その製造プロセス上で「偶然に」生成されるものであり、本来意図的にその欠陥の生成を再現できるものではないということである。したがって、フォトマスク欠陥を任意の形状や大きさに制御することが困難であるため、解析を行うために必要な欠陥形状や大きさを自由に得られない。このため、上述した第一の方法では系統的に欠陥の影響を評価することはできなかった。また、この方法では実際に露光転写実験を行うので高価な設備を用い、時間をかけて行わねばならず、コストの点で非常に不利であった。
【0007】
但し、上述した欠陥形状を問題とした場合、第二の方法として、任意のフォトマスク欠陥をある程度疑似的に作り出すことは可能である。
すなわち、欠陥の形状や大きさを模擬したパターンデータを作成し、このデータを用いてフォトマスクを製造することで、任意の大きさの擬似的欠陥が存在するフォトマスクを作ることができる。そして、これを欠陥評価用マスクとして露光転写実験に利用することが一般的に行われている。
【0008】
しかし、この第二の方法を用いて意図的に作り込まれたマスク欠陥は、やはりパターンの一種であって、マスクパターンとしての制限を逃れられない。すなわち、一般的な実際のフォトマスク欠陥は、マスク製造プロセス中での様々な原因、たとえば異物やコンタミネーション、汚染、クラック、露光むら、洗浄むら等の不特定な原因から生成されるものである。そのため、欠陥の形状は例えば図3(イ)〜(ハ)に示したように、不定形や円形等の曲線部を含むことがほとんどであり、大きさも肉眼で観察可能なものからサブミクロン以下のものまで多様で、欠陥の存在する密度も同様に多様である。
【0009】
また、パターンとして作り込まれた欠陥は、CADによるパターンデータ設計の制限のために、例えば図4(イ)〜(ハ)に示したように、形状としては矩形、あるいは矩形の組み合わせしかできず、図3(イ)〜(ハ)に示したような実際の欠陥が曲線部を多く含むのに比べ、本質的に異なっている。また、大きさはある程度制御可能であるが、サブミクロン以下の微小サイズの欠陥は、マスクプロセス上、製造が困難であり、意図した形状や大きさに制御することが非常に難しい。
【0010】
さらに、コンタミネーションに起因する欠陥の中には、光学濃度が通常のマスタパターンと異なることがあり、半透明のものや、濃度分布が中央と周辺で異なっているなど光学濃度が不均一なものがありうる。このような欠陥はもはや、マスクパターンとして意図的に制御して作り込むことは不可能である。
従って、上記第二の方法では、マスク欠陥の解析はごく限られた形状の範囲でしかできなかった。またコストの点でも、露光転写実験を行う必要があるのに加え、欠陥評価用フォトマスクを製造する必要があるため、更に不利であった。
【0011】
そこで、第三の従来方法として行われているのが、コンピュータシミュレーションによる欠陥解析である。ここでコンピュータシミュレーションとは、フォトリソグラフィ工程の露光工程をシミュレーションする光強度シミュレーションのことを指す。光強度シミュレーションは、フォトマスクパターンデータをもとに、露光転写条件をパラメータとしてウェハー上の露光分布をシミュレーションするものである。
【0012】
第三の方法は以下の手順に従う。図5にこの手順を示す。
まず、図5のステップSB1において、マスク欠陥のみを模擬した疑似欠陥パターンデータ(以下、欠陥データという)を作る。但し、この欠陥データは、光強度シミュレーション用データとして作る。そのために、矩形あるいは矩形の組み合わせからなるパターンとして設計しなければならないが、矩形自体の大きさ(これをインクリメントという)には制限がないので、コンピュータの計算能力の許す限り微細な矩形で構成することができ、実際の欠陥形状にある程度近似させることができる。また、この欠陥データは、コンピュータ上のデータであって実際のフォトマスクを作る必要がないため、前述した第二の方法のような製造上の困難もない。
【0013】
次にステップSB2において、通常のマスクパターンを模擬したマスクパターンデータを用意し、これを光強度シミュレーション用にデータ変換する。さらにステップSB3において、上記データ変換したマスクパターンデータを、ステップSB1で作成した欠陥データと合成する。ここで、マスクパターンデータと欠陥データは、最初から同じレイヤーで作成してもよく、その場合は合成することが不要となる。また別のレイヤーで作成した場合には、欠陥とパターンとを別々に何種類か作成しておき、合成する時に様々な組み合わせをすることができる。どちらの方法を採用するかについては適宜選択すればよい。
【0014】
そしてステップSB4において、この合成したデータに対して所定の露光転写条件をパラメータとして光強度シミュレーションを行う。次にステップSB5において、ステップSB4で行った光強度シミュレーションにより得られたシミュレーション結果を解析、評価することにより、欠陥がフォトマスクパターンの露光転写時に与える影響が評価できる。この方法によれば、実際にマスク及び欠陥を製造することなく、コンピュータ上のみで欠陥解析が可能になるので、非常に迅速かつ安価なコストで実施できるという利点を有している。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コンピュータシミュレーションを用いたこの第三の従来方法も、実際の欠陥を解析する点では精度に問題がある。すなわち、前述のように実際のマスク欠陥の形状は不定形が多く、かつ光学濃度分布が一定でないこともあるため、それらの欠陥を正確に欠陥データとして設計することが困難であった。欠陥データ及びパターンデータは、CAD(Computer Aided Design)等の設計ツールを用いて作られるが、通常の設計ツールでは複雑な曲線形状を持つ欠陥を正確に設計することができない。すなわち、この種の設計ツールは、回路パターン設計用であるため、直線のみで構成されたパターンがほとんどであって、曲線があったとしても円形等の単純な形のパターンしか設計することができない。そのため、欠陥形状を模擬するといっても結局は矩形に近い形状になり、実際の欠陥とはかなり異なってしまう。
【0016】
また、データのインクリメントを細かくすることで、原理的には不定形でも模擬することは可能であるが、手動でそのようなことを行うには大変な負荷がかかり、さらにそのためにデータ容量が飛躍的に増大してしまい、シミュレーション計算において膨大な時間を費やすことになるという問題があった。従って、実際のフォトマスク欠陥の解析を精度良く行う目的には不適当であった。
【0017】
そこで本発明は上記のような問題点を鑑み、実際のマスク欠陥の形状・大きさ・光学濃度等の情報を精度良く取り込むことができ、かつ系統的なフォトマスク欠陥解析を迅速・容易に行うことができるマスク欠陥解析装置および欠陥解析方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、フォトリソグラフィ工程におけるフォトマスク上の欠陥の影響を解析するためのフォトマスク欠陥解析 装置において、前記フォトマスク上の欠陥の画像情報を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された欠陥の画像情報と、予め記憶していたフォトマスクパターンデータとに基づいて光強度シミュレーションを行った後、そのシミュレーション結果を解析する解析手段とを備え、前記解析手段は、複数種類のフォトマスクパターンデータを予め記憶した記憶手段と、前記記憶手段からフォトマスクパターンデータを読み出し、前記抽出手段によって抽出された欠陥の画像情報と合成するデータ合成手段と、前記データ合成手段によって合成されたデータに基づいて光強度シミュレーションを行うシミュレーション手段と、前記シミュレーション手段によるシミュレーションの結果得られたデータの解析処理を行うデータ解析処理手段とを具備することを特徴とする。
【0019】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフォトマスク欠陥解析装置において、前記解析手段が、前記抽出された欠陥の画像情報により表される欠陥の形状が所望する形状となるように、前記欠陥の画像情報を変換する画像変換手段と、複数種類のフォトマスクパターンデータを予め記憶した記憶手段と、前記記憶手段からフォトマスクパターンデータを読み出し、前記画像変換手段によって抽出された欠陥の画像情報と合成するデータ合成手段と、前記データ合成手段によって合成されたデータに基づいて光強度シミュレーションを行うシミュレーション手段と、前記シミュレーション手段によるシミュレーションの結果得られたデータの解析処理を行うデータ解析処理手段とを具備することを特徴とする。
【0020】
これらの装置構成により、フォトマスク欠陥を観察して得られた欠陥画像情報を取り込み、これを適宜画像変換して解析目的の欠陥情報とした後、フォトマスクパターンと合成し、光強度シミュレーションによって所望の欠陥解析を行うことを可能にした。
【0021】
また、請求項3に記載の発明は、フォトリソグラフィ工程におけるフォトマスク上の欠陥の影響を解析するためのフォトマスク欠陥解析方法において、フォトマスク上の欠陥を光学的に観察し、欠陥を画像情報として抽出し、この画像情報あるいはこれに対して所定の画像変換処理を行った画像情報を任意のフォトマスクパターンデータと合成し、合成したパターンデータに対して光強度シミュレーションを行ってその結果を解析することにより、フォトマスク上の欠陥の影響を解析することを特徴とする。
【0022】
上記のフォトマスク欠陥解析方法により、実際のフォトマスク欠陥の形状、大きさ、光学濃度等の情報を精度良く取り込むことができ、適宜欠陥画像の画像変換を行った後マスクパターンと合成して光強度シミュレーションを行うことによって、欠陥形状や大きさ等に関して様々に変化させた上での系統的な欠陥解析を、迅速かつ容易にできるようにした。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明に係るフォトマスク欠陥解析装置の一実施形態について詳述する。図1は本実施形態のフォトマスク欠陥解析装置の構成を示すブロック図である。以下、その各部位の役割および動作内容を説明する。
【0024】
まず、欠陥観察ユニット1では、予め用意された欠陥を有するフォトマスク3に、可視波長域の光源2からの光が照射され、その透過光が光センサー4に入射する。この光センサー4は、光学レンズ系及びCCD(Charge Coupled Device) 等の光量感知部からなり、微小な欠陥部分も高倍率で感知可能なものとする。そして、フォトマスク上の欠陥部分は、光センサー4を通して透過光の情報として欠陥情報処理部5に入り、ここで第一表示部6を通してフォトマスク上の欠陥部分を観察,確認することができる。
【0025】
上記欠陥観察部5は、通常、光センサー4からの情報を表示装置および情報記録装置に画像情報を受け渡すための情報処理システムからなる。また、CRTディスプレーからなる第一表示部6は欠陥観察部5と接続され、欠陥の外形を観察できるようになっている。そして、光センサ4の倍率を調整して第一表示部6の画面内に欠陥部分のみの画像を表示させることで、欠陥部分の画像情報、すなわち、欠陥部分の画像の光量分布(多数の画素からなるいわゆるビットマップデータ)が抽出される。また、抽出された欠陥画像情報とその観察倍率情報とを、フォトマスク3の欠陥情報、すなわち、欠陥の形状と大きさの情報として出力する。
【0026】
欠陥観察部5からの欠陥情報は観察画像情報記録部7に渡される。観察画像情報記録部7では、欠陥観察部5で観察されたフォトマスク欠陥の画像情報とその観察倍率情報とが記録保存され、これを通じて欠陥情報が観察画像情報出力部8を経て欠陥解析ユニット9へ渡される。なお、観察画像情報記録部7および観察画像情報出力部8は、第一表示部6と接続されており、これにより、記録する欠陥情報、および、欠陥解析ユニット9へ出力される欠陥情報をオペレータがモニタすることができる。
【0027】
このように、欠陥観察ユニット1は、フォトマスク欠陥の光学観察機構を含み、フォトマスクから欠陥部分の画像情報を抽出し、その画像情報と観察倍率情報とを記録・出力する役割を持つ処理系となっている。
【0028】
次に、欠陥観察ユニット1から出力されたフォトマスク3の欠陥情報は、欠陥解析ユニット9の画像取込部10に取り込まれる。この欠陥解析ユニット9は、情報処理システムとして構成されており、ハードウェアとしては、コンピュータ本体とデータ記録・保管装置、表示装置、印刷出力装置等を持つ一般的なコンピュータシステムからなる。また、欠陥解析ユニット9において用いられるソフトウェアとしては、フォトマスクの欠陥情報およびフォトマスクパターン情報の処理や、光強度シミュレーション、および、データ解析等を行うためのソフトウェアからなる。
【0029】
画像取り込み部10に取り込まれた欠陥情報は、画像変換部11に渡され、そこで解析目的に対応した所定の画像処理アルゴリズムによるデータ変換が行われる。例えば、図4(ハ)に示したような欠陥部分の画像に対し、欠陥の長径方向(図中、Y軸方向)を長くした欠陥を解析したいといった場合、コンピュータ上でその欠陥部分の画像情報(ビットマップデータ)をもとに画像変換処理を行うことによりごく簡単に実現できる。すなわち、欠陥部分の大きさや形状が段階的に変化するように、その欠陥部分のビットマップデータを変換し、それをシミュレーションすることで、欠陥の形状や大きさに対する系統的な欠陥解析を行うことが可能となる。このような画像処理のアルゴリズムは、既にコンピュータ画像工学の分野で一般的に認知されたアルゴリズムを用いればよい。
【0030】
次に、パターンデータ合成部12にデータ変換された欠陥画像情報が渡され、ここでフォトマスクパターンデータと、フォトマスク欠陥データとが合成される。これは、フォトマスクパターンと欠陥との組み合わせによって解析結果が異なるためである。すなわち、欠陥の影響はパターンデザインや、パターンと欠陥との位置関係によっても異なるため、最終的にはこれらを合成したパターンで解析する必要があるからである。
【0031】
例えばパターン密度が密な場合には、欠陥がパターンに密着するかあるいは近接する場合がある。この場合、露光転写によってパターンは欠陥による光近接効果を受け、パターン自身の変形を生じることがある。このような場合は欠陥とパターンの相対的な位置関係を解析のパラメータとして考慮しなければならない。
【0032】
また、上述したフォトマスクパターンデータは、パターン情報データベース部13から適宜選択して取り出される。これにより、実際のフォトマスクがなくても自由にパターンを選択し、取り出して欠陥データと合成することができ、前記の欠陥データの変換と同様に、大きさや形状あるいはパターンテザインを自由に組み合わせることができるため、フォトマスクパターンの上でも系統的な解析が可能となる。このパターン情報データベースは、実際のフォトマスクパターンを原情報として蓄積されたデータベースであって、パターン種類やパターン寸法等をパラメータとして解析目的に応じた最適なパターンを適宜選択し、抽出できる構成となっている。
【0033】
次に光強度シミュレーション部14において、前述した合成データを取り込み、光強度シミュレーションを実行する。この際、欠陥解析の目的に応じて適宜露光波長や開口数、可干渉度、焦点誤差などの露光条件パラメータを入力することができる。そして、これらのパラメータの値を変更しながら繰り返しシミュレーションを行うことにより、露光条件に対する欠陥の影響の変化を解析することが可能となる。
【0034】
さらに、このシミュレーション結果の情報をデータ解析部15に送り出し、総合的に解析することができる。例えば前記画像変換部でフォトマスク欠陥の形状あるいは大きさ等を少しずつ変化させ、さらにそれぞれについて光強度シミュレーション部で露光条件を変化させてシミュレーションを行うことができる。そして、それらの結果を統合的に処理することで欠陥形状と露光条件との関係を求めるような解析ができる。もちろん、よりパラメータの数を増やした複雑な解析も同様の手順により可能である。
【0035】
次に、データ出力部16においてデータ解析の結果を処理する。解析結果をグラフィック表示したり、外部記憶装置にデータを出力したり、データを印刷したりするような処理を行う。また、部分的なデータを取り出してX,Y平面に露光強度軸を加えた3次元のイメージで視覚化し、これを基に3次元等高線グラフや、指定した断面の分布による波形解析または微分解析等のデータ解析手法を用いて、欠陥のピークの大きさやその座標位置の計測、パターンとの比較、または、回折現象による光近接効果の計測等を行い、マスクパターンの露光時における欠陥による影響を解析する。
なお、上記欠陥解析ユニット9の各々の処理操作は、CRTディスプレー装置からなる第二表示部17で表示され、種々のオペレーションを行える。
【0036】
以上の装置構成により、欠陥観察ユニットにおいてフォトマスク欠陥の観察画像情報が得られ、さらに欠陥解析ユニットにおいて、画像変換処理およびフォトマスクパターンデータとの合成を行うことができ、これによって、実際の欠陥情報をもとにして、フォトマスクパターンを限定せず自由度に富んだパターンで光強度シミュレーションによる欠陥解析が可能となる。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明のように、この発明によれば、半導体ウェハーのフォトリソグラフィ工程においてフォトマスク欠陥がウェハーパターンに与える影響を解析するために、実際のフォトマスク欠陥の画像情報を取り込んで光強度シミュレーションを行うことで、従来は精度良く解析することが困難であった不定形の欠陥や、光学濃度の不均一な欠陥に対しても高精度な解析・評価を行うことができる。そして実際にウェハーでの露光転写実験を行う必要がなく、迅速・容易かつ極めて安価に解析・評価ができる。
【0038】
また、欠陥の画像情報を画像処理により適宜変換することにより、欠陥の形状や大きさ、濃度等を変化させ、系統的かつ定性的な解析を行うことも可能となる。さらに別に準備された任意のフォトマスクパターンデータと欠陥画像データとを合成することにより、任意のパターンに対して欠陥が与える影響を迅速かつ容易に解析評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のフォトマスク欠陥解析装置の一構成を示すブロック図である。
【図2】 従来のフォトマスク欠陥解析の第一の方法を示すブロック図である。
【図3】 実際のフォトマスク欠陥の形状の例を示す図である。
【図4】 設計ツールを用いて作成した擬似的フォトマスク欠陥の形状の例を示す図である。
【図5】 従来のフォトマスク欠陥解析の第三の方法を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 欠陥観察ユニット 2 光源
3 フォトマスク 4 光センサー
5 欠陥観察部 6 第一表示部
7 観察画像情報記録部 8 観察画像情報出力部
9 欠陥解析ユニット 10 画像取込部
11 画像変換部 12 パターンデータ合成部
13 パターン情報データベース部 14 光強度シミュレーション部
15 データ解析部 16 データ出力部
Claims (3)
- フォトリソグラフィ工程におけるフォトマスク上の欠陥の影響を解析するためのフォトマスク欠陥解析装置において、
前記フォトマスク上の欠陥の画像情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された欠陥の画像情報と、予め記憶していたフォトマスクパターンデータとに基づいて光強度シミュレーションを行った後、そのシミュレーション結果を解析する解析手段とを備え、
前記解析手段は、
複数種類のフォトマスクパターンデータを予め記憶した記憶手段と、
前記記憶手段からフォトマスクパターンデータを読み出し、前記抽出手段によって抽出された欠陥の画像情報と合成するデータ合成手段と、
前記データ合成手段によって合成されたデータに基づいて光強度シミュレーションを行うシミュレーション手段と、前記シミュレーション手段によるシミュレーションの結果得られたデータの解析処理を行うデータ解析処理手段と
を具備することを特徴とするフォトマスク欠陥解析装置。 - 前記解析手段は、
前記抽出された欠陥の画像情報により表される欠陥の形状が所望する形状となるように、前記欠陥の画像情報を変換する画像変換手段と、
複数種類のフォトマスクパターンデータを予め記憶した記憶手段と、
前記記憶手段からフォトマスクパターンデータを読み出し、前記画像変換手段によって抽出された欠陥の画像情報と合成するデータ合成手段と、
前記データ合成手段によって合成されたデータに基づいて光強度シミュレーションを行うシミュレーション手段と、前記シミュレーション手段によるシミュレーションの結果得られたデータの解析処理を行うデータ解析処理手段と
を具備することを特徴とする請求項1に記載のフォトマスク欠陥解析装置。 - フォトリソグラフィ工程におけるフォトマスク上の欠陥の影響を解析するためのフォトマスク欠陥解析方法において、
フォトマスク上の欠陥を光学的に観察し、欠陥を画像情報として抽出し、この画像情報あるいはこれに対して所定の画像変換処理を行った画像情報を任意のフォトマスクパターンデータと合成し、合成したパターンデータに対して光強度シミュレーションを行ってその結果を解析することにより、フォトマスク上の欠陥の影響を解析することを特徴とするフォトマスク欠陥解析方法。
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